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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156770
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20251007BHJP
【FI】
B65H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059426
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】花本 佳弘
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB02
3F048CC03
3F048CC11
3F048DC12
3F048EA03
3F048EB12
(57)【要約】
【課題】用紙の重送時における損紙の発生を抑制する。
【解決手段】
通常経路RCの用紙搬送方向におけるレジストローラ31よりも上流側の箇所に配置された用紙センサ28A,28Bとコントローラ11とを備えており、コントローラ11には、給紙部2から通常経路RCへの給紙動作における、用紙Pの給紙開始から用紙Pを用紙センサ28A,28Bが検出するまでの実経過時間を計測する計測部と、給紙部2から用紙センサ28A,28Bまでの用紙Pの理論上の給紙所要時間に対して実経過時間が所定時間以上短い給紙動作の発生回数を計数する計数部と、発生回数が規定回数に達した場合に、給紙動作を中断し、給紙部2の用紙Pに対する所定の用紙分離動作の割込実行後に給紙動作を再開する制御部が構築される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送経路の用紙搬送方向におけるレジストローラよりも上流側の箇所に配置された用紙センサと、
給紙部から前記用紙搬送経路への給紙動作における、用紙の給紙開始から前記用紙を前記用紙センサが検出するまでの実経過時間を計測する計測部と、
前記給紙部から前記用紙センサまでの用紙の理論上の給紙所要時間に対して前記実経過時間が所定時間以上短い前記給紙動作の発生回数を計数する計数部と、
前記発生回数が規定回数に達した場合に、前記給紙動作を中断し、前記給紙部の用紙に対する所定の用紙分離動作の割込実行後に前記給紙動作を再開する制御部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重送検知センサまでの到達時間を計測し、用紙の重送が検知されたとしても、重送用紙が給送先に到達する時間内に、重送が発生した給紙カセットとは別の給紙カセットから用紙を搬送する給紙装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5350341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給紙装置では、用紙の重送時に転写ドラムの潜像の現像に用いたトナーが無駄になるのを防止できるが、用紙の重送に対して根本的な対策を提供するものではない。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、用紙の重送時における損紙の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様による画像形成装置は、
用紙搬送経路の用紙搬送方向におけるレジストローラよりも上流側の箇所に配置された用紙センサと、
給紙部から前記用紙搬送経路への給紙動作における、用紙の給紙開始から前記用紙を前記用紙センサが検出するまでの実経過時間を計測する計測部と、
前記給紙部から前記用紙センサまでの用紙の理論上の給紙所要時間に対して前記実経過時間が所定時間以上短い前記給紙動作の発生回数を計数する計数部と、
前記発生回数が規定回数に達した場合に、前記給紙動作を中断し、前記給紙部の用紙に対する所定の用紙分離動作の割込実行後に前記給紙動作を再開する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重送された用紙がレジストローラの下流側に搬送されてエラー動作が起こるのを抑制して、用紙の重送時における損紙の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1のコントローラが行う給紙部の用紙分離動作に関する手順の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、図2の用紙分離動作の具体的な内容の一例を示す図である。
図4図4は、図2の用紙分離動作の具体的な内容の一例を示す図である。
図5図5は、図2の用紙分離動作の具体的な内容の一例を示す図である。
図6図6は、図2の用紙分離動作の具体的な内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。なお、以下の説明において、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。図1において太線で示す経路が、用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0012】
本実施形態の画像形成装置1は、給紙部2と、印刷搬送部3と、印刷部4と、第1排紙部5と、上面搬送部6と、第2排紙部7と、反転部8と、コントローラ11と、各部を収納または保持する筐体12とを備える。
【0013】
給紙部2は、印刷ジョブが入力されると、外部給紙ローラ22または内部給紙ローラ24によって、外部給紙台21または内部給紙台23から未印刷の用紙Pを順次取り出し、給紙経路RSに送り出す。給紙経路RSは、外部給紙台21と内部給紙台23とにそれぞれ対応して設けられている。給紙部2は、各給紙経路RSに送り出した用紙Pを、各給紙経路RSの途中で用紙センサ28A,28Bによりそれぞれ検出する。給紙部2は、内部給紙台23から取り出した用紙Pを、縦搬送ローラ25で中継して給紙経路RSに送り出す。各給紙経路RSは、印刷搬送部3の手前で合流する。給紙部2が送り出した用紙Pは、各給紙経路RSの合流箇所を過ぎて通常経路RCに送り込まれ、印刷搬送部3のレジストローラ31に搬送される。
【0014】
通常経路RCは、「用紙搬送経路」に該当する。通常経路RCの、給紙部2から印刷搬送部3に向かう方向が、「用紙搬送経路の用紙搬送方向」に該当する。用紙センサ28A,28Bは、「用紙搬送経路の用紙搬送方向におけるレジストローラよりも上流側の箇所に配置された用紙センサ」に該当する。以下、後述する他の用紙センサ28C~28Lと区別するために、用紙センサ28A,28Bをレジストセンサ28A,28Bと称する。
【0015】
印刷搬送部3は、給紙部2または後述する反転部8から搬送されてきた用紙Pを、レジストローラ31により、印刷部4の印刷動作にタイミングを合わせて、レジストローラ31の下流側の通常経路RCに送り出す。印刷搬送部3は、レジストローラ31が送り出した通常経路RCの用紙Pを、ベルトプラテン部33により搬送する。印刷搬送部3は、レジストローラ31からベルトプラテン部33へ向けて通常経路RCを搬送される用紙Pを用紙センサ28Cで検出し、ベルトプラテン部33から後述の切替部36へ向けて通常経路RCを搬送される用紙Pを用紙センサ28Dで検出する。
【0016】
印刷部4は、複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有し、ベルトプラテン部33により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を行う。印刷部4は、ベルトプラテン部33の上方に配置されている。
【0017】
第1排紙部5は、ベルトプラテン部33から搬送されてきた印刷済みの用紙Pのうち、画像形成装置1に接続された後処理装置(図示せず)へ排紙される用紙Pを、切替部36の切り替えによって、通常経路RCから分岐された排紙経路RD1に送り出す。第1排紙部5は、排紙経路RD1に送り出した用紙Pを、排紙経路RD1の途中で用紙センサ28Eにより検出する。
【0018】
上面搬送部6は、ベルトプラテン部33から搬送されてきた印刷済みの用紙Pのうち、排紙または印刷部4に戻して裏面に印刷する用紙Pを、通常経路RCの上昇及び水平の各搬送ローラ41,43によって、第2排紙部7または反転部8にさらに搬送する。上面搬送部6は、第2排紙部7または反転部8に搬送する用紙Pを、上面搬送部6の通常経路RCの途中の各所で用紙センサ28F~28Iにより検出する。
【0019】
第2排紙部7は、上面搬送部6により搬送されてきた印刷済みの用紙Pのうち、画像形成装置1において排紙する用紙Pを、切替部51の切り替えによって、通常経路RCに接続された排紙経路RD2に送り出す。第2排紙部7は、排紙経路RD2に送り出した用紙Pを、排紙ローラ52によって、排紙経路RD2の下流端に配置された排紙台54に搬送する。第2排紙部7は、排紙台54に搬送する用紙Pを、排紙経路RD2の途中で用紙センサ28Kにより検出する。
【0020】
反転部8は、上面搬送部6により搬送されてきた印刷済みの用紙Pのうち、印刷部4に戻して裏面に印刷する用紙Pを、切替部51の切り替えによって、通常経路RCに接続された反転経路RRの上流側に送り出す。反転経路RRは、排紙経路RD2と並列に通常経路RCに接続されている。反転部8は、反転経路RRの上流側に送り出した用紙Pを、反転経路RRの水平搬送ローラ43及び反転ローラ61によって、反転経路RRのスイッチバック部の終端に搬送する。反転部8は、スイッチバック部の終端に搬送する用紙Pを、反転経路RRの途中で用紙センサ28Jにより検出する。
【0021】
反転部8は、スイッチバック部の終端に搬送した用紙Pを、逆回転させた反転ローラ61により逆方向に搬送する。反転部8は、スイッチバック部から逆方向に搬送されてきた用紙Pを、反転経路RRの用紙センサ28Jの手前の箇所で、切替部65の切り替えによって、反転経路RRの上流側と二股に接続された反転経路RRの下流側に送り出す。反転部8は、反転経路RRの下流側に送り出した用紙Pを、反転経路RRの下流側の途中で用紙センサ28Lにより検出する。反転部8は、反転経路RRの下流側で用紙センサ28Lを通過した用紙Pを、再給紙ローラ63により、表裏反転した状態で印刷搬送部3のレジストローラ31に搬送する。反転状態でレジストローラ31に搬送された用紙Pは、レジストローラ31によって、印刷部4の印刷動作にタイミングを合わせて通常経路RCに送り出される。
【0022】
コントローラ11は、画像形成装置1の各部2~8による上述の動作を制御する。また、コントローラ11は、外部給紙台21または内部給紙台23から給紙経路RSに送り出した用紙Pの重送の発生が疑われる場合に、給紙部2による両給紙台21,23から給紙経路RSへの給紙を中断させて、給紙部2の用紙Pの分離動作を割込実行させる。
【0023】
コントローラ11は、例えば、汎用のマイクロコントローラを有している。汎用のマイクロコントローラは、CPU及びメモリを備える。メモリは、ROM及びRAMを含む。本実施形態の制御部6は、メモリに記憶させた制御プログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、計測部、計数部及び制御部を構成することができる。
【0024】
計測部は、給紙部2から通常経路RCへの給紙動作における、用紙Pの給紙開始から用紙Pをレジストセンサ28A,28Bが検出するまでの実経過時間を計測する。計数部は、給紙部2からレジストセンサ28A,28Bまでの用紙Pの理論上の給紙所要時間に対して,上述した実経過時間が所定時間以上短い給紙動作の発生回数を計数する。制御部は、この発生回数が規定回数に達した場合に、給紙動作を中断し、給紙部2の用紙Pに対する所定の用紙分離動作の割込実行後に給紙動作を再開する。用紙分離動作の具体的な内容は後述する。計測部、計数部及び制御部は、個別の情報処理回路で構成してもよく、1つの情報処理回路で構成してもよい。
【0025】
本実施形態では、コントローラ11に構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。情報処理回路は、専用のハードウェアを用いて構成してもよい。専用のハードウェアは、検出部及び調整部の後述する情報処理を実行する。1つのハードウェアで複数の情報処理回路を構成してもよく、1つのハードウェアで1つの情報処理回路を構成してもよい。専用のハードウェアは、検出部及び調整部の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0026】
用紙Pの重送は、例えば、外部給紙台21または内部給紙台23の用紙Pを連続して給紙経路RSに送り出した際に、先に送り出してレジストローラ31が通常経路RCに送り込む用紙Pに、後から送り出した用紙Pが追いつくことで発生する。
【0027】
例えば、給紙台21,23の一番上の用紙Pを給紙した際に、その用紙Pに上から2番目の用紙Pが引きずられると、一番上の用紙Pの給紙が終了するまでの間に、上から2番目の用紙Pが、給紙台21,23から一部送り出された位置に移動する。次の給紙動作以降も同じことが続けて起こると、給紙した用紙Pの次の用紙Pが給紙動作の終了までに給紙台21,23から送り出される量が突発的又は累積的に増加する可能性がある。給紙台21,23の一番上の用紙Pが給紙動作の開始前に送り出されている量が増えると、レジストローラ31に到達するまでの用紙Pの搬送距離が減る。レジストローラ31に到達するまでの用紙Pの搬送距離が減ると、給紙台21,23から印刷搬送部3に送り出した用紙Pが、先に送り出した用紙Pにレジストローラ31の手前で追いついて、用紙Pの重送が発生する可能性がある。そこで、コントローラ11は、給紙ローラ22,24によりピックアップされた給紙台21,23の用紙Pがレジストローラ31に給紙されるのにかかる時間から、用紙Pの重送の発生が疑われる場合に、給紙部2の用紙Pの分離動作を行う。
【0028】
次に、図2のフローチャートを参照して、コントローラ11が行う給紙部2の用紙Pの分離動作に関する手順の一例を、説明する。コントローラ11は、後続用紙があるか否かを確認する(ステップS1)。用紙Pに画像を印刷する印刷ジョブが存在する場合は、後続用紙が有るとの確認結果となる。後続用紙がない場合は(ステップS1でNO)、処理を終了し、後続用紙がある場合は(ステップS1でYES)、コントローラ11は、給紙部2の一番上の用紙Pを印刷搬送部3に給紙して、給紙時間の計測を開始する(ステップS3)。一番上の用紙Pの給紙は、印刷ジョブにおいて指定された給紙台21,23に対応する給紙ローラ22,24によって行う。
【0029】
コントローラ11は、印刷搬送部3に給紙した用紙Pがレジストセンサ28A,28Bに到達したか否かを確認する(ステップS5)。レジストセンサ28A,28Bに到達していない場合は(ステップS5でNO)、ステップS5をリピートする。用紙Pがレジストセンサ28A,28Bに到達した場合は(ステップS5でYES)、コントローラ11は、給紙開始からの実経過時間を計測部により計数し、理論到達時間との差分を算出する(ステップS7)。理論到達時間は、用紙Pが給紙開始からレジストセンサ28A,28Bに到達するまでにかかる理論上の給紙所要時間である。理論到達時間は、給紙台21,23から対応するレジストセンサ28A,28Bまでの距離によって、給紙台21,23毎に個別に定めてもよい。
【0030】
コントローラ11は、算出した差分に基づいて、実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短いか否かを確認する(ステップS9)。理論到達時間に対して所定時間短い時間よりも実経過時間が長い場合は(ステップS9でNO)、ステップS1にリターンする。実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短い場合は(ステップS9でYES)、コントローラ11は、実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短い用紙Pのカウント値を+1する(ステップS11)。このカウントは、実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短い給紙動作の発生回数の計数に当たり、この計数は計数部によって行うことができる。
【0031】
コントローラ11は、実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短い用紙Pのカウント数が規定回数以上となったか否かを確認する(ステップS13)。カウント数が規定回数未満である場合は(ステップS13でNO)、ステップS1にリターンし、カウント数が規定回数以上である場合は(ステップS13でYES)、給紙動作を中断し、用紙分離動作を割込実行する(ステップS15)。用紙分離動作は、制御部により実行することができる。用紙分離動作の具体的な内容については後述する。コントローラ11は、用紙分離動作の実行後に、計数部が計数している、実経過時間が理論到達時間に対して所定時間以上短い用紙Pのカウントを0にクリアし(ステップS17)、ステップS1にリターンする。
【0032】
次に、用紙分離動作の具体的な内容の一例について、図3図6を参照して説明する。図3図6では、外部給紙台21から印刷搬送部3に給紙する用紙Pの用紙分離動作の例を図示している。まず、図3では、外部給紙台21の一番上の用紙Pが、その前に給紙した不図示の用紙に引きずられて、前の用紙の給紙が終了するまでに外部給紙台21から一部送り出されている状態を示している。この位置から用紙Pを印刷搬送部3に給紙すると、給紙開始から用紙Pがレジストセンサ28Aに到達するまでの実経過時間が、外部給紙台21から印刷搬送部3に給紙した用紙Pの理論到達時間よりも短くなる。
【0033】
印刷搬送部3に給紙した用紙Pの実経過時間が理論到達時間よりも所定時間以上短い回数が規定回数に達すると、給紙動作が中断されて用紙分離動作が割込実行される。この規定回数は、例えば、用紙Pの給紙時に次の用紙Pが引きずられる現象が何回起こると、給紙前の用紙Pが外部給紙台21から重送の発生目安の量まで送り出されるかを、実験的に求めて、定めることができる。
【0034】
図4に示すように、外部給紙台21の用紙分離動作では、まず、外部給紙台21を下降させて、外部給紙台21の用紙Pの束を外部給紙ローラ22から離隔させる。外部給紙台21から一部送り出された一番上の用紙Pの先端側は、給紙経路RSの不図示の用紙ガイドに乗り上げてガイドされ、外部給紙ローラ22に圧接した状態に保持される。次に、外部給紙ローラ22を給紙時とは逆回転させる。
【0035】
図5に示すように、外部給紙ローラ22の逆回転により、外部給紙台21から一部送り出された一番上の用紙Pを外部給紙台21側に移動させ、一番上の用紙Pを外部給紙台21から送り出される前の元の位置に戻す。外部給紙台21の他の用紙Pは、外部給紙ローラ22から離隔しているので、外部給紙ローラ22の逆回転によって移動することはない。
【0036】
外部給紙台21の一番上の用紙Pを元の位置に戻した後、外部給紙ローラ22の逆回転を停止させる。図6に示すように、外部給紙ローラ22の停止後に、外部給紙台21を上昇させて、一番上の用紙Pを外部給紙ローラ22に圧接させる。本実施形態の例による用紙分離動作は以上の通りである。コントローラ11は、用紙分離動作の終了後に、給紙部2による用紙Pの給紙動作を再開させることができる。
【0037】
内部給紙台23でも、例えば、内部給紙台23に対して相対的に離隔させた内部給紙ローラ24を逆回転させた後に内部給紙台23に対して相対的に接近させて、外部給紙台21と同様に用紙分離動作を行ってもよい。
【0038】
本実施形態の画像形成装置1では、用紙Pの重送の発生が疑われる場合に、給紙を中断して給紙部2の用紙分離動作を割込実行することで、重送された用紙Pがレジストローラ31の下流側に搬送されてエラー動作が起こるのを抑制できる。また、用紙Pの重送によるエラー動作が抑制されるので、用紙Pの重送によってジャムを起こした用紙Pにより損紙が発生するのも抑制することができる。
【0039】
なお、本発明は上記の実施形態のままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0040】
例えば、用紙分離動作中に、給紙動作を中止するのに加えて、給紙動作を中止した給紙台21,23と同じサイズ、種類の用紙Pが積載された、給紙動作を中止した給紙台21,23とは別の給紙台23,21の給紙動作を行わせてもよい。この場合は、用紙分離動作中に、別の給紙台23,21の給紙動作により用紙Pの印刷搬送部3への給紙を継続して印刷動作を続けることができる。
【0041】
また、給紙部2の用紙Pの給紙開始からレジストセンサ28A,28Bによる用紙Pの検出までの実経過時間が理論上の給紙所要時間から一定時間以上遅延した場合に、給紙経路RSに用紙Pのジャムエラーが発生したことを、コントローラ11が検出してもよい。この場合、コントローラ11は、用紙分離動作の実行中に、給紙動作と同様に、給紙経路RSにおける用紙Pのジャムエラーの検出を中断する。コントローラ11は、用紙分離動作の実行後に、給紙動作と同様に給紙経路RSにおける用紙Pのジャムエラーの検出も再開させる場合、再開直後の給紙動作について、一定時間を通常よりも長くしてもよい。例えば、用紙分離動作において、給紙台21,23の一番上の用紙Pが余分に戻されて、一番上の用紙Pの位置が上から2番目の用紙Pの位置よりも上流側にずれた場合に、コントローラ11が給紙経路RSのジャムエラーを誤検出するのを避けることができる。
【0042】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0043】
即ち、一つの態様の発明として、
用紙搬送経路の用紙搬送方向におけるレジストローラよりも上流側の箇所に配置された用紙センサと、
給紙部から前記用紙搬送経路への給紙動作における、用紙の給紙開始から前記用紙を前記用紙センサが検出するまでの実経過時間を計測する計測部と、
前記給紙部から前記用紙センサまでの用紙の理論上の給紙所要時間に対して前記実経過時間が所定時間以上短い前記給紙動作の発生回数を計数する計数部と、
前記発生回数が規定回数に達した場合に、前記給紙動作を中断し、前記給紙部の用紙に対する所定の用紙分離動作の割込実行後に前記給紙動作を再開する制御部と、
を備える画像形成装置が開示される。
【0044】
そして、上記態様による発明によれば、用紙の重送の発生が疑われる場合に、給紙を中断して給紙部の用紙分離動作を割込実行することで、重送された用紙がレジストローラの下流側に搬送されてエラー動作が起こるのを抑制できる。また、用紙の重送時における損紙の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成装置
2 給紙部
11 コントローラ(計測部、計数部、制御部)
28A,28B 用紙センサ(レジストセンサ)
31 レジストローラ
P 用紙
RC 通常経路(用紙搬送経路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6