(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156776
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20251007BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20251007BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20251007BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B65H7/02
G03G21/00 388
G06F3/12 310
G06F3/12 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059435
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 直人
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK06
2C061HK07
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN22
2H270KA59
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC05
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270MD25
2H270MD26
2H270MD27
2H270MH06
2H270NB22
2H270NB26
2H270NC07
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048BB05
3F048BC03
3F048BD07
3F048CA02
3F048DC11
3F048EB22
(57)【要約】
【課題】印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】用紙の用紙情報を設定する設定部(操作部152)と、設定部により用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部(制御部11)と、所定の条件を複数記憶する記憶部14と、を備える。判定部は、設定部により用紙情報が設定された用紙の特性情報が、記憶部14に記憶された複数の所定の条件のうち設定部により用紙情報が設定された用紙に対する所定の条件を満たすか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の用紙情報を設定する設定部と、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件を複数記憶する記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記用紙情報ごとにそれぞれ設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記用紙情報と、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の画像形成条件である用紙プロファイルと、に基づいて、前記用紙情報ごとにそれぞれ前記所定の条件を設定する条件設定部を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報を検知する検知部を備え、
前記判定部は、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記用紙情報は、紙種又は銘柄であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件が設定されていない場合、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に依存しない共通の前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記用紙を搬送する搬送経路に設けられることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特性情報は、紙厚、坪量、表面性に関する情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
請求項4に記載の情報処理装置と、
を備え、
前記画像形成部は、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たす場合に、前記検知部により前記特性情報が検知された用紙に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
用紙の用紙情報を設定する設定部と、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件を複数記憶する記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
用紙の用紙情報を設定する設定部と、所定の条件を複数記憶する記憶部と、を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定工程を含み、
前記判定工程は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
用紙の用紙情報を設定する設定部と、所定の条件を複数記憶する記憶部と、を備える情報処理装置のコンピュータを、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷領域では、印刷時に用紙を誤ってしまった場合、再印刷となる。印刷する業者やユーザーは、再印刷となると、時間、コストの両面から大きな損害を受ける。
【0003】
例えば、特許文献1には、設定された紙厚と給紙経路に設けられたセンサーにより検知された紙厚の不一致を検知する構成が開示されている。特許文献1記載の構成は、紙厚の不一致が検知された場合に、設定の確認を促す。これにより、間違った用紙への印刷を未然に防止することができる。
【0004】
また、特許文献2には、給紙経路に設けられたセンサーにより検知された特性が指定の範囲に合致しているか否かを判定する構成が開示されている。特許文献2記載の構成は、特性が指定の範囲に合致していないと判定された場合に、印刷を停止する。これにより、間違った用紙への印刷を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-77855号公報
【特許文献2】特開2022-30864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2記載の構成のように、設定された特性とセンサーにより検知された特性の不整合を判定することは、印刷事故を防ぐセーフティ機能として有効である。しかしながら、不整合の判定には、同時に高い判定精度(検出率、正解率)が求められる。不整合の判定に用いる閾値(スレッショルド)が緩すぎる場合、似て非なる用紙を不整合と判定できなくなるおそれがある。したがって、不整合の検出率が下がる。一方、閾値を厳しく設定した場合、不整合の検出率は上がるが、誤って不整合を検出しジョブを止めてしまうケースが増加する。したがって、正解率が下がり、かつ、生産性の低下を招く。いずれにせよ、ユーザーの信頼低下に繋がるという課題がある。
【0007】
近年、商業印刷領域におけるメディア(用紙)の種別は、付加価値向上のために、増加傾向にある。用紙には、特性値のバラツキが大きいものあれば、バラツキの小さいものもある。したがって、固定スレッショルドでは、高い判定精度を確保することは困難である。
上記課題の対応策として、スレッショルドのレベル設定(厳しい、普通、緩い)を設ける手法が知られている。しかしながら、レベル設定を設ける手法は、レベル設定の基準が不明なうえに、用紙ごとに設定を変更しなければならない。したがって、ユーザーの手間になるという課題がある。
【0008】
本発明は、印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
情報処理装置において、
用紙の用紙情報を設定する設定部と、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件を複数記憶する記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記所定の条件は、前記用紙情報ごとにそれぞれ設定されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、
前記用紙情報と、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の画像形成条件である用紙プロファイルと、に基づいて、前記用紙情報ごとにそれぞれ前記所定の条件を設定する条件設定部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報を検知する検知部を備え、
前記判定部は、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記用紙情報は、紙種又は銘柄であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件が設定されていない場合、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に依存しない共通の前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、
前記検知部は、前記用紙を搬送する搬送経路に設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記特性情報は、紙厚、坪量、表面性に関する情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、
画像形成装置において、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
請求項4に記載の情報処理装置と、
を備え、
前記画像形成部は、前記検知部により検知された特性情報が、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たす場合に、前記検知部により前記特性情報が検知された用紙に画像を形成することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、
情報処理システムにおいて、
用紙の用紙情報を設定する設定部と、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件を複数記憶する記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、
用紙の用紙情報を設定する設定部と、所定の条件を複数記憶する記憶部と、を備える情報処理装置の情報処理方法であって、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定工程を含み、
前記判定工程は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、
用紙の用紙情報を設定する設定部と、所定の条件を複数記憶する記憶部と、を備える情報処理装置のコンピュータを、
前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙の特性情報が、前記記憶部に記憶された複数の前記所定の条件のうち前記設定部により前記用紙情報が設定された用紙に対する前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成装置の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図4】データ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】メディアセンサーにより検知された用紙Aの特性情報をリスト化した特性群Aの一例を示すである。
【
図6】スレッショルド決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】間違い検知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る情報処理システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本実施形態に係る画像形成装置10は、
図1及び
図2に示すように、制御部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、記憶部14と、操作パネル15と、通信部16と、メディアセンサー17と、を備える。
【0025】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備える。まず、CPUは、指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開する。指示信号は、操作部152から入力される操作信号又は通信部16により受信される。次に、CPUは、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、画像形成装置10の動作を統括的に制御する。
例えば、制御部11は、操作部152により用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。すなわち、制御部11は、本発明の判定部として機能する。
【0026】
画像読取部12は、図示しない原稿台又は自動原稿搬送部(ADF)に載置された原稿の画像を読み取り、画像信号を得る。具体的には、画像読取部12は、原稿の画像を走査露光装置の光学系により走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、画像信号を得る。画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、画像読取部12で読み取ったものに限らない。例えば、通信部16を介して外部装置(図示省略)から受信した画像データであってもよい。
【0027】
画像形成部13は、画像処理された原画像の各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びKの4色からなる画像を用紙上に形成する。
画像形成部13は、4つの書込部131、中間転写ベルト132、2次転写ローラー133、定着部134等を備える。
【0028】
4つの書込部131は、中間転写ベルト132のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、C、M、Y及びKの各色の画像を形成する。各書込部131は、形成する画像の色が異なるだけで構成は同じである。各書込部131は、それぞれ光走査部131a、感光体131b、現像部131c、帯電部131d、クリーニング部131e及び1次転写ローラー131fを備える。
【0029】
画像形成時、各書込部131は、まず、帯電部131dにより感光体131bを帯電させる。次に、各書込部131は、原画像に基づいて光走査部131aから出射させた光束で感光体131b上を走査させ、静電潜像を形成させる。次に、各書込部131は、現像部131cによりトナー等の色材を供給させて現像させる。これにより、感光体131b上に画像(トナー像)が形成される。
各書込部131により感光体131b上にそれぞれ形成された画像は、それぞれの1次転写ローラー131fにより中間転写ベルト132上に順次重ねて1次転写される。これにより、中間転写ベルト132上には各色からなる画像が形成される。中間転写ベルト132は、複数のローラーに巻き回されて回動する像担持体である。各書込部131は、1次転写後、感光体131b上に残留する色材をクリーニング部131eにより除去させる。
【0030】
画像形成部13は、回動する中間転写ベルト132上の画像が2次転写ローラー133の位置に至るタイミングに合わせて用紙が給紙される。画像形成部13は、手差しトレイT1又は給紙トレイT2から用紙が給紙される。2次転写ローラー133は、対をなす一方のローラーが中間転写ベルト132に圧接する。対をなす他方のローラーは、中間転写ベルト132を巻き回す複数のローラーのうちの1つを構成している。画像形成部13に給紙された用紙は、2次転写ローラー133の圧接により中間転写ベルト132から画像が2次転写される。2次転写された用紙は、定着部134に搬送されて定着処理が施され、排紙トレイT3に排出される。定着処理は、定着ローラー134aにより用紙を加熱及び加圧して画像を用紙に定着させる処理である。用紙の両面に画像を形成する場合、反転経路135に用紙を搬送して用紙面を反転させた後、2次転写ローラー133の位置へ再度用紙を給紙する。
【0031】
記憶部14は、HDD、SSD等により構成される不揮発性の記憶手段である。記憶部14は、各種プログラムや各種設定データ等を制御部11から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部14は、所定の条件を複数記憶する。所定の条件は、用紙の用紙情報(紙種、銘柄)ごとにそれぞれ設定される。所定の条件は、用紙の用紙情報ごとに決定されたスレッショルドや、従来手法で使われる固定スレッショルド等である。
【0032】
操作パネル15は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部151と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部152と、を備える。
【0033】
表示部151は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、制御部11から入力される表示制御信号に従って、操作画面等を表示する。操作画面は、例えば、各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等である。
【0034】
操作部152は、表示部151の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部151の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備える。操作部152は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、まず、押下された力点のXY座標を電圧値で検出する。次に、操作部152は、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。操作部152は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。ユーザーは、操作部152を操作して、画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。画像形成に関する設定は、例えば、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等である。
また、操作部152は、用紙の用紙情報を設定する。用紙情報は、例えば、用紙の紙種又は銘柄である。すなわち、操作部152は、本発明の設定部として機能する。
【0035】
通信部16は、通信用IC及び通信コネクタなどを有し、画像形成装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースである。通信部16は、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークに接続されている外部装置と各種情報の送受信を行う。また、通信部16は、USBを介して各種情報の入出力を行うことも可能である。
【0036】
メディアセンサー17は、画像形成部13に用紙を搬送する搬送経路に設けられる。メディアセンサー17は、手差しトレイT1又は給紙トレイT2から給紙された用紙を読み取って、当該用紙の特性情報を検知する。特性情報は、用紙の特性に関する情報であり、例えば、紙厚、坪量、表面性(平滑度、水分率など)に関する情報である。特性情報は、紙厚、坪量、表面性に関する情報のうち少なくとも1つを含んでいればよい。検知された特性情報は、制御部11に出力される。すなわち、メディアセンサー17は、操作部152により用紙情報が設定された用紙の特性情報を検知する本発明の検知部として機能する。
【0037】
本発明の情報処理装置は、少なくとも、設定部(操作部152)と、判定部(制御部11)と、記憶部14と、を備える。
【0038】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の制御について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3では、用紙Aに対して最適なスレッショルドを決定し、間違い検知を行う制御を例示して説明する。用紙Aは、操作部152により用紙情報(紙種、銘柄)が設定された用紙である。
【0039】
まず、制御部11は、データ収集処理を行う(ステップS1)。データ収集処理は、用紙Aに対するスレッショルドを決定するために必要なデータを収集する処理である。以下、データ収集処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、制御部11は、用紙A(メディアA)の画像形成条件(印刷条件)をまとめた用紙プロファイルAを作成する(ステップS101)。ステップS101で作成された用紙プロファイルAは、記憶部14に記憶される。
【0041】
次に、制御部11は、用紙Aを用いて印刷するジョブを実行する(ステップS102)。具体的には、制御部11は、用紙Aの用紙プロファイルAを記憶部14から読み出し、用紙プロファイルAに応じてジョブを実行する。
【0042】
次に、制御部11は、メディアセンサー17により検知された用紙Aの特性情報を取得し、リスト化して記憶部14に記憶させる(ステップS103)。
図5に、ステップS103で取得された用紙Aの特性情報をリスト化した特性群Aの一例を示す。特性群Aは、用紙Aを用いる100ページのジョブが実行されたときに取得された用紙Aの特性情報のリストである。
図5では、特性情報として、平滑度、紙厚、坪量、水分率が例示されている。
【0043】
次に、制御部11は、ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS104)。
制御部11は、ジョブが終了したと判定した場合(ステップS104:YES)、次のステップS105へと移行する。
一方、制御部11は、ジョブが終了していないと判定した場合(ステップS104:NO)、ステップS103へと移行する。
【0044】
ステップS105において、制御部11は、用紙プロファイルAに特性群Aを紐づける。
【0045】
図3に戻り、制御部11は、スレッショルド決定処理を行う(ステップS2)。スレッショルド決定処理は、用紙Aに対するスレッショルドを決定する処理である。以下、スレッショルド決定処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、制御部11は、用紙プロファイルAに紐づけられた特性群Aのデータが十分量存在するか否かを判定する(ステップS201)。十分量は、例えば、100ページ分である。
制御部11は、特性群Aのデータが十分量存在すると判定した場合(ステップS201:YES)、次のステップS202へと移行する。
一方、制御部11は、特性群Aのデータが十分量存在しないと判定した場合(ステップS201:NO)、ステップS206へと移行する。
【0047】
ステップS202において、制御部11は、特性群Aの特性ごとの最大値及び最小値に対し、外れ値検定を行う。具体的には、まず、制御部11は、特性群Aを記憶部14から読み出し、特性(平滑度、紙厚、坪量、水分率)ごとの最大値及び最小値を抽出する。次に、制御部11は、特性ごとの最大値及び最小値に対して外れ値検定を行う。外れ値検定は、例えば、スミルノフ・グラブス検定である。外れ値検定は、有意水準5%で行われる。
【0048】
次に、制御部11は、外れ値検定の結果、外れ値があるか否かを判定する(ステップS203)。
制御部11は、外れ値があると判定した場合(ステップS203:YES)、次のステップS204へと移行する。
一方、制御部11は、外れ値がないと判定した場合(ステップS203:NO)、ステップS205へと移行する。
【0049】
ステップS204において、制御部11は、特性群Aのデータから外れ値を除外する。その後、制御部11は、ステップS202へと移行する。
【0050】
ステップS205において、制御部11は、外れ値が除外された特性群Aの特性ごとの最大値及び最小値に対し固定マージンを加えた値を、用紙Aに対するスレッショルドとして決定する。このように、スレッショルドは、用紙の用紙情報(例えば用紙Aなどの紙種、銘柄)ごとに決定される。ステップS205で決定されたスレッショルドは、記憶部14に記憶される。
上記のように、制御部11は、用紙情報と用紙プロファイルとに基づいて、用紙情報ごとにそれぞれ所定の条件を設定(決定)する。すなわち、制御部11は、本発明の条件設定部として機能する。
【0051】
ステップS206において、制御部11は、従来手法で使われる固定スレッショルドを、用紙Aに対するスレッショルドとして決定する。固定スレッショルドは、予め記憶部14に記憶されている。
特性群Aのデータが十分量存在しない場合(ステップS201:NO)、用紙Aに対するスレッショルドは設定されていない。したがって、固定スレッショルドを用いることで、間違い検知を実施することができる。
本実施形態では、制御部11は、用紙Aに対するスレッショルドが設定されていない場合、メディアセンサー17により検知された用紙Aの特性情報が、用紙Aに依存しない共通の所定の条件(固定スレッショルド)を満たすか否かを判定する。
【0052】
図3に戻り、制御部11は、間違い検知処理を行う(ステップS3)。間違い検知処理は、用紙の間違い(用紙情報が異なる用紙が通紙されていること)を検知する処理である。間違い検知処理は、設定で間違い検知機能が有効である場合に行われる。以下、間違い検知処理について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、制御部11は、用紙Aを用いて印刷するジョブを実行する(ステップS301)。具体的には、制御部11は、用紙Aの用紙プロファイルAを記憶部14から読み出し、用紙プロファイルAに応じてジョブを実行する。
【0054】
次に、制御部11は、手差しトレイT1又は給紙トレイT2から用紙Aを給紙させる(ステップS302)。
【0055】
次に、制御部11は、メディアセンサー17により検知された用紙Aの特性情報を取得する(ステップS303)。
【0056】
次に、制御部11は、ステップS303で取得された用紙Aの特性情報が用紙Aに対するスレッショルドの範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS304)。用紙Aに対するスレッショルドは、
図6のステップS205又はステップS206で決定されたスレッショルドである。
制御部11は、用紙Aに対するスレッショルドの範囲内に収まっていると判定した場合(ステップS304:YES)、用紙間違いでないと判定し、次のステップS305へと移行する。
一方、制御部11は、用紙Aに対するスレッショルドの範囲内に収まっていないと判定した場合(ステップS304:NO)、用紙間違いであると判定し、ステップS308へと移行する。
すなわち、制御部11は、用紙Aの特性情報が、記憶部14に記憶された複数の所定の条件(スレッショルド)のうち用紙Aに対する所定の条件を満たすか否かを判定する。
【0057】
ステップS305において、制御部11は、画像形成部13を制御して、メディアセンサー17により特性情報が検知された用紙Aに画像を形成させる。
【0058】
次に、制御部11は、給紙された用紙が最終紙であるか否かを判定する(ステップS306)。
制御部11は、最終紙であると判定した場合(ステップS306:YES)、ジョブを終了する(ステップS307)。その後、
図3の制御を終了する。
一方、制御部11は、最終紙でないと判定した場合(ステップS306:NO)、ステップS302へと移行する。
【0059】
ステップS308において、制御部11は、ジョブを停止する。その後、
図3の制御を終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置は、設定部(操作部152)と、判定部(制御部11)と、記憶部14と、を備える。設定部は、用紙の用紙情報を設定する。判定部は、設定部により用紙情報が設定された用紙の特性情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。記憶部14は、所定の条件を複数記憶する。判定部は、設定部により用紙情報が設定された用紙の特性情報が、記憶部14に記憶された複数の所定の条件のうち設定部により用紙情報が設定された用紙に対する所定の条件を満たすか否かを判定する。
したがって、本実施形態に係る情報処理装置によれば、用紙の特性に応じて設定される適切なスレッショルドを用いて用紙間違いを検知することができる。よって、印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することができる。
【0061】
また、所定の条件は、用紙情報ごとにそれぞれ設定される。用紙情報と、設定部により用紙情報が設定された用紙の画像形成条件である用紙プロファイルと、に基づいて、用紙情報ごとにそれぞれ所定の条件を設定する条件設定部(制御部11)を備える。用紙情報は、紙種又は銘柄である。
したがって、用紙情報ごとの特性のバラツキに応じて適切なスレッショルドを自動的に設定することができる。よって、印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することができる。
【0062】
また、設定部により用紙情報が設定された用紙の特性情報を検知する検知部(メディアセンサー17)を備える。判定部は、検知部により検知された特性情報が、設定部により用紙情報が設定された用紙に対する所定の条件を満たすか否かを判定する。特性情報は、紙厚、坪量、表面性に関する情報のうち少なくとも1つを含む。
したがって、検知部で検知した特性情報を用いて用紙間違いを検知することができる。よって、印刷時の用紙間違いをより正確に検知して、ユーザーの信頼及び生産性を確保することができる。
【0063】
また、判定部は、設定部により用紙情報が設定された用紙に対する所定の条件が設定されていない場合、検知部により検知された特性情報が、設定部により用紙情報が設定された用紙に依存しない共通の所定の条件を満たすか否かを判定する。
したがって、データ量が不十分な場合であっても固定スレッショルドを用いて用紙間違いを検知することができる。よって、用紙間違いの検知を確実に実施することができる。
【0064】
また、検知部は、用紙を搬送する搬送経路に設けられる。
したがって、インラインで検知した特性情報を用いて用紙間違いを検知することができる。よって、印刷時にリアルタイムで用紙間違いを検知することができる。
【0065】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、ジョブの実行時に用紙の特性情報を収集するようにしているが、これに限定されるものでない。例えば、データ収集用の動作モードを有するようにし、ジョブ実行とは別にデータ収集を行うようにしてもよい。また、表裏調整などの用紙搬送を伴う調整時に、データ収集を行うようにしてもよい。また、画像形成装置10の搬送経路内に設置されていない外付けメディアセンサーでデータ収集を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、外れ値検定として、スミルノフ・グラブス検定を例示して説明しているが、これに限定されるものでない。すなわち、外れ値検定は、スミルノフ・グラブス検定以外の外れ値判定方法を用いるようにしてもよい。
また、外れ値検定の有意水準やスレッショルド決定時に加算する固定マージンは、操作部152を介して任意に変更できるようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、データ収集処理で用紙の特性情報を収集するようにしているが、これに限定されるものでない。例えば、間違い検知処理で用紙の特性情報がスレッショルドの範囲内に収まっていると判定した場合に、当該特性情報を当該用紙の特性群に追加するようにしてもよい。
また、ジョブ完了のタイミングで現在の特性群を削除し、当該ジョブで収集した特性情報をリスト化して新たな特性群としてもよい。また、ジョブ完了のタイミングで現在の特性群とジョブで収集した特性群とを比較し、統計的に有意差が認められる場合は丸ごと差替え、認められない場合は現在の特性群にジョブで収集した特性群を追加するようにしてもよい。
【0069】
また、間違い検知処理で用紙間違い(用紙の特性情報がスレッショルドの範囲内に収まっていない)と判定した場合に、当該用紙をユーザーに確認させるための画面を表示部151に表示させるようにしてもよい。この場合、用紙が本当に間違っているかの判断結果をユーザーが入力可能な構成にする。
例えば、ユーザーが「用紙間違いではない」と入力した場合、現在の特性群が正しく間違い検知できていないことがわかる。そのため、現在の特性群を削除するようにする。
また、ユーザーが「用紙間違いではない」と入力した場合、特性情報の値としては用紙間違いであっても、ユーザーにとっては許容範囲であることがあり得る。したがって、その場合は、間違い検知処理で用紙間違いと判定された用紙の特性情報の値を含めた範囲にスレッショルドを拡張する。
【0070】
また、
図6のステップS206において、固定スレッショルドが用紙Aに対するスレッショルドとして決定された場合、特性群Aのデータが不十分であることがわかる。したがって、その場合には、データ収集フラグをONにするようにして、特性群Aのデータを収集するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、画像形成装置10が、単体で本発明を実施する構成を例示しているが、これに限定されるものでない。例えば、画像形成装置10と、PC20と、を備える情報処理システム1が、本発明を実施する構成であってもよい。
情報処理システム1は、
図8に示すように、画像形成装置10と、PC20と、を備える。情報処理システム1を構成する各装置は、通信ネットワークNに接続される。通信ネットワークNは、具体的には、インターネットや電気通信事業者等の電話回線網や携帯電話通信網等である。なお、画像形成装置10は、実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0072】
PC20は、情報処理システム1を導入したユーザーが使用する、デスクトップPCやノートPC等の端末装置である。PC20は、
図8に示すように、制御部21と、操作部22と、表示部23と、記憶部24と、通信部25と、を備える。
【0073】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部21は、RAMの作業領域に展開されたプログラムデータとCPUとの協働により、PC20の各部の動作を統括的に制御する。プログラムデータは、ROMや記憶部24に記憶されている。
【0074】
操作部22は、例えば、文字入力キー、数字入力キーなどを有するキーボード、マウス等のポインティングデバイスなどを備える。操作部22は、ユーザーからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部21へと出力する。
【0075】
表示部23は、例えば、LCDなどのディスプレイを備え、制御部21から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0076】
記憶部24は、例えば、HDD、半導体メモリなどにより構成される。記憶部24は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部21から読み書き可能に記憶する。
【0077】
通信部25は、通信用IC及び通信コネクタなどを有する通信インターフェースである。通信部25は、制御部21の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0078】
情報処理システム1において、PC20の制御部21は、本発明の判定部、条件設定部として機能する。また、PC20の記憶部24は、本発明の記憶部として機能する。また、PC20の操作部22は、本発明の設定部として機能する。
なお、本発明の判定部、記憶部、設定部の一部を画像形成装置10の機能、残りをPC20の機能とするようにしてもよい。
【0079】
その他、情報処理システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理システム
10 画像形成装置
11 制御部(判定部、条件設定部)
12 画像読取部
13 画像形成部
131 書込部
131a 光走査部
131b 感光体
131c 現像部
131d 帯電部
131e クリーニング部
131f 1次転写ローラー
132 中間転写ベルト
133 2次転写ローラー
134 定着部
14 記憶部
15 操作パネル
151 表示部
152 操作部(設定部)
16 通信部
17 メディアセンサー(検知部)
20 PC
21 制御部(判定部、条件設定部)
22 操作部(設定部)
23 表示部
24 記憶部
25 通信部
T1 手差しトレイ
T2 給紙トレイ
T3 排紙トレイ