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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156777
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20251007BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
B65H29/70
B41J29/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059436
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】野口 芳弘
【テーマコード(参考)】
2C061
3F053
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS02
2C061CJ01
3F053HA03
3F053HB11
3F053LA07
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】用紙カール矯正部にローラ対を設けることなく、用紙搬送方向先端部の用紙のカールを部分的に矯正することで、用紙にシワを発生させることなく用紙を適切に矯正させてインクジェットヘッドへの接触を防止する。
【解決手段】画像形成装置におけるシート搬送方向の上流側にシート(用紙PA)を所定方向に矯正する用紙矯正アーム14a,14b(シート矯正手段)を備え、用紙矯正アーム14a,14bは、待機位置から押し圧位置まで回転することにより、シート搬送方向のシート先端側かつシート搬送方向と直行する方向の両端側のシート(用紙PA)の部分を矯正する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置におけるシート搬送方向の上流側にシートを所定方向に矯正するシート矯正手段を備え、
前記シート矯正手段は、シート搬送方向のシート先端側かつシート搬送方向と直行する方向の両端側のシートの部分を矯正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙にシワを発生させることなく用紙を適切に矯正させてインクジェットヘッドへの接触を防止する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライン型の画像形成装置は、インクジェットヘッド下に設けられたベルト搬送部により搬送される用紙に対して、画像データに基づいてインクジェットヘッドによりインクを吐出して印刷を行う。
【0003】
このとき、吸引搬送される用紙の端部にカールなどの変形が生じた場合、そのまま搬送を継続すると、変形した用紙がインクジェットヘッドの下部に衝突する可能性がある。
【0004】
そこで、一般的に用紙のカールを矯正するカール矯正部を設けることが多い。カール矯正部は、ソフトローラとハードローラとの対で用紙を挟み込んで用紙のカールを矯正する。
【0005】
特許文献1には、レジストローラの上流側に用紙を湾曲させるループローラを配置し、紙曲り矯正に当たって紙種に応じてループローラの駆動を停止するか否か、または、減速するか否かを制御する制御手段を有することを特徴とする用紙搬送装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-285239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、紙曲り矯正に当たって紙種に応じてループローラの駆動を停止するか否か、または、減速するか否かを制御するので、用紙種によってはカール矯正できる一方、搬送方向に延びるシワが発生するという課題があった。また、特許文献1に記載の印刷装置では、ソフトローラが摩耗してしまうデメリットもあり、カールの矯正は必要な用紙や最低限の箇所に限られるという問題点もあった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、用紙カール矯正部にローラ対を設けることなく、用紙搬送方向先端部の用紙カールを部分的に矯正することで、用紙にシワを発生させることなく用紙を適切に矯正させてインクジェットヘッドへの接触を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の特徴は、
画像形成装置におけるシート搬送方向の上流側にシートを所定方向に矯正するシート矯正手段を備え、
前記シート矯正手段は、シート搬送方向のシート先端側かつシート搬送方向と直行する方向の両端側のシートの部分を矯正することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置の特徴によれば、用紙にシワを発生させることなく用紙を適切に矯正させてインクジェットヘッドへの接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置の給紙部のレジストローラ周辺の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置の給紙部のレジストローラ周辺の平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置が備えるシャフト部が待機位置にある場合、図3に示すA-A断面の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置が備えるシャフト部が押し圧位置にある場合、図3に示すA-A断面の断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置により矯正された用紙の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0013】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(インクジェット画像形成装置1の構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置であるインクジェット画像形成装置1の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置1の概略構成図である。
【0016】
以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を左方向、紙面裏方向を右方向とする。また、図1における、ユーザから視て、上下を上下方向とする。また、図1において破線で示す経路が、シートである用紙PAが搬送される搬送経路Rである。用紙PAの搬送方向を前後方向とする。以下の説明における上流は前方向であり、下流は後ろ方向を意味する。
【0017】
図1に示すように、インクジェット画像形成装置1は、給紙部2と、吸引搬送部3と、印刷部4と、排紙部6とを備える。
【0018】
給紙部2は、印刷媒体である用紙PAの給紙を行う。給紙部2は、給紙台11と、給紙ローラ12と、レジストローラ13とを備える。
【0019】
給紙台11は、印刷に用いられる用紙PAが積載される。
【0020】
給紙ローラ12は、給紙台11に積載された用紙PAを1枚ずつピックアップしてレジストローラ13に向けて搬送する。給紙ローラ12は、給紙台11の上側に配置されている。給紙ローラ12は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0021】
レジストローラ13は、給紙ローラ12により搬送されて突き当てられた用紙PAの先端を把持して一旦止めた後、吸引搬送部3に向けて搬送する。レジストローラ13は、給紙ローラ12の下流側に配置されている。レジストローラ13は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0022】
吸引搬送部3は、レジストローラ13から搬送されてきた用紙PAを印刷部4や排紙部6に向け搬送する。吸引搬送部3は、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23~25と、ベルト駆動モータ26と、プラテンプレート27と、吸引ファン28とを備える。
【0023】
搬送ベルト21は、駆動ローラ22および従動ローラ23~25に掛け渡される環状の無端ベルトである。搬送ベルト21には、用紙PAを吸着保持するための貫通穴である吸気孔が、搬送ベルト21の搬送方向に沿って所定の間隔で形成されている。搬送ベルト21は、吸引ファン28の駆動により吸気孔に発生する負圧(吸着力)により、用紙PAを搬送ベルト21上に吸着保持する。
【0024】
搬送ベルト21は、駆動ローラ22の回転駆動により、図1における時計回り方向に回転する。これにより、搬送ベルト21は、無端移動することで用紙PAを右方向へ搬送する。
【0025】
駆動ローラ22および従動ローラ23~25は、搬送ベルト21が掛け渡されるものである。駆動ローラ22は、ベルト駆動モータ26により回転駆動され、搬送ベルト21を回転させる。従動ローラ23~25は、搬送ベルト21を介して駆動ローラ22に従動する。従動ローラ23は、駆動ローラ22と略同じ高さで、駆動ローラ22から左右方向に所定間隔だけ離間して配置されている。従動ローラ24,25は、駆動ローラ22および従動ローラ23の下方において、互いに左右方向に所定間隔だけ離間して、略同じ高さに配置されている。
【0026】
ベルト駆動モータ26は、駆動ローラ22を回転駆動させる。
【0027】
プラテンプレート27は、駆動ローラ22と従動ローラ23との間において搬送ベルト21の下側に配置され、搬送ベルト21の下面を摺動可能に支持する。
【0028】
吸引ファン28は、プラテンプレート27の下方に配置され、下方向への気流を生じさせる。
【0029】
印刷部4は、吸引搬送部3により搬送される用紙PAに印刷を行う。印刷部4は、吸引搬送部3の上側に設けられている。印刷部4は、インクジェット画像形成装置1の筐体(図示せず)内に固定されている。印刷部4は、ブラック(K)のインクジェットヘッド31Kと、シアン(C)のインクジェットヘッド31Cと、マゼンタ(M)のインクジェットヘッド31Mと、イエロー(Y)のインクジェットヘッド31Yと、ヘッドホルダ32とを備える。
【0030】
インクジェットヘッド31K,31C,31M,31Yは、吸引搬送部3により吸引されながら搬送される用紙PAに対して、ノズルからインクを吐出することにより印刷することにより主走査方向(左右方向)に隙間なく印字することができる。
【0031】
ヘッドホルダ32は、吸引搬送部3の上方において、インクジェットヘッド31を保持する。ヘッドホルダ32は、中空状の略直方体形状に形成されている。
【0032】
排紙部6は、印刷部4にて印刷された用紙PAが排紙される。
【0033】
制御部7は、インクジェット画像形成装置1が備える給紙部2と、吸引搬送部3と、排紙部6などを制御する。
【0034】
図2図5は、本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置1の給紙部2のレジストローラ13周辺の構成を示した図である。図2は、給紙部2のレジストローラ13周辺の斜視図であり、図3は、給紙部2のレジストローラ13周辺の平面図であり、図4,図5は、図3に示すA-A断面の断面図である。
【0035】
図2図5に示すように、レジストローラ13の下方であって、用紙PAを搬送方向にガイドする上側ガイド板15と干渉しない位置に、シート矯正手段である用紙矯正アーム14a,14bが設けられている。用紙矯正アーム14a,14bは、レジストローラ13の回転軸方向(左右方向)における両端側に設けられている。用紙矯正アーム14aと、用紙矯正アーム14bとは同一の構成を有するので、ここでは、用紙矯正アーム14bについて説明する。
【0036】
用紙矯正アーム14bは、シャフト部14b2を有しており、このシャフト部14b2は回転軸14b1を中心に回転方向F1またはF2方向に回転自在に設けられている。シャフト部14b2の先端下部には、用紙PAと接触する接触部14b3が設けられている。この接触部14b3は、前後方向(搬送方向)におけるレジストローラ13の上流側(前側)に位置するように設けられている。
【0037】
図4に示した図では、シャフト部14b2がF1方向に回転されて待機位置にある場合を示しており、図5に示した図では、シャフト部14b2がF2方向に回転されて押し圧位置にある場合を示している。
【0038】
図4に示すように、シャフト部14b2が待機位置にある場合、給紙ローラ12により搬送された用紙PAは、上側ガイド板15と下側ガイド板16との間を接触部14b3に接触することなく接触部14b3の下方を通過してレジストローラ13に突き当たり把持される。
【0039】
そして、図5に示すように、シャフト部14b2が押し圧位置までF2方向に回転されると、レジストローラ13に先端が把持された用紙PAに対して、接触部14b3が上方から下側ガイド板16に押し圧する。
【0040】
すなわち、制御部7が、給紙ローラ12により用紙PAを搬送させ、搬送された用紙PAがレジストローラ13に突き当てられて停止している状態のときに、用紙PAの搬送方向(後方向)の先端側かつ搬送方向と直行する方向(左右方向)の両端側の部分を、接触部14b3が上方から下方に押し下げるようにシャフト部14b2をF2方向に回転させる。
【0041】
これにより、用紙PAの搬送方向(後方向)の先端側かつ搬送方向と直行する方向(左右方向)の両端側の部分を矯正することができる。
【0042】
図6は、本発明の実施形態に係るインクジェット画像形成装置1により矯正された用紙PAの一例を示した図である。
【0043】
図6に示すように、用紙PAの搬送方向(後方向)の先端側かつ搬送方向と直行する方向(左右方向)の両端側の部分PA1,PA2が、下方を向くように矯正されている。これにより、用紙PAが吸引搬送部3によりインクジェットヘッド31K,31C,31M,31Yの下方を搬送される場合においても、用紙PAの先端部がインクジェットヘッド31K,31C,31M,31Yに接触することを防止することができる。
【0044】
なお、ここでは、用紙PAの搬送方向(後方向)の先端側かつ搬送方向と直行する方向(左右方向)の両端側の部分を上方から下方に押し下げるようにシャフト部14b2をF2方向に回転させることにより、用紙先端が下方向を向くように変形させたがこれに限らない。例えば、用紙PAの搬送方向先端部から20mm程度の位置で、両側端部から30mm程度内側を下方から押し上げて、用紙PAの先端部が下方向を向くように変形するようにしてもよい。また、レジストローラ13に先端が把持された用紙PAに対して、上方側から下方に押し下げる用紙矯正の構成のほか、下方から上方に突き上げて用紙に打痕を付ける部材を備えて、用紙先端が下方向を向くように変形させてもよい。
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
画像形成装置におけるシート搬送方向の上流側にシートを所定方向に矯正するシート矯正手段を備え、
前記シート矯正手段は、シート搬送方向のシート先端側かつシート搬送方向と直行する方向の両端側のシートの部分を矯正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0045】
これにより、用紙カール矯正部にローラ対を設けることなく、用紙搬送方向先端部の用紙のカールを部分的に矯正することで、用紙にシワを発生させることなく用紙を適切に矯正させてインクジェットヘッドへの接触を防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 インクジェット画像形成装置
2 給紙部
3 吸引搬送部
4 印刷部
6 排紙部
7 制御部
11 給紙台
12 給紙ローラ
13 レジストローラ
14a,14b 用紙矯正アーム
14b1 回転軸
14b2 シャフト部
14b3 接触部
15 上側ガイド板
16 下側ガイド板
21 搬送ベルト
22 駆動ローラ
23~25 従動ローラ
26 ベルト駆動モータ
27 プラテンプレート
28 吸引ファン
31 インクジェットヘッド
32 ヘッドホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6