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  • 特開-測定装置 図1
  • 特開-測定装置 図2
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  • 特開-測定装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156785
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   D21F 7/00 20060101AFI20251007BHJP
【FI】
D21F7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059447
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】河重 智哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
(72)【発明者】
【氏名】安部 大樹
(72)【発明者】
【氏名】貞益 智一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】白石 一宏
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CG21
4L055DA09
4L055DA14
4L055DA18
4L055FA20
(57)【要約】
【課題】 センサーの清掃頻度を低減させることができる測定装置を提供する。
【解決手段】 抄紙機に設置され、前記抄紙機により抄かれた紙の品質を測定する測定装置であって、移動する前記紙の少なくとも一面に接触するセンサーと、前記センサーを搭載し、前記センサーを前記紙の移動方向と交差する方向に走査させるヘッド部と、前記ヘッド部が前記紙の幅方向両端部の外側を移動中に、前記センサーにエアーを噴射するエアー噴射部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機に設置され、前記抄紙機により抄かれた紙の品質を測定する測定装置であって、
移動する前記紙の少なくとも一面に接触するセンサーと、
前記センサーを搭載し、前記センサーを前記紙の移動方向と交差する方向に走査させるヘッド部と、
前記ヘッド部が前記紙の幅方向両端部の外側を移動中に、前記センサーにエアーを噴射するエアー噴射部と、
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記エアー噴射部は、前記紙の幅方向両端部の外側に設置されることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記エアー噴射部による前記エアーの噴射方向は、前記紙の移動方向と反対方向であって、前記紙の移動方向と平行な方向または前記紙の幅方向両端部から外側に向かう方向であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の測定装置。
【請求項4】
前記エアー噴射部の先端に取り付けられ、前記エアー噴射部から噴射される前記エアーの噴射方向をガイドするガイドバーを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機により抄かれた紙の品質を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機により抄かれた紙の坪量、水分、灰分、厚さ等の品質をオンラインで測定する測定装置として、抄紙機に設置されたBM計(Basis Weight & Moisture Measurement System)が用いられている。BM計は、抄紙工程において、キャリパー(紙厚)センサー等の各種センサーを搭載したヘッド部を紙の幅方向にスキャンさせながら紙厚等を連続的に測定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-287245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のBM計(測定装置)のキャリパーセンサーにおいては、紙面に接触する紙面接触部に粘着異物であるピッチが多く付着し、これら付着物が剥落することにより損紙及び継手(継目)が発生するという問題があった。
【0005】
したがって、ピッチを除去するための清掃を通常約8時間間隔で行うが、紙の種類によっては短時間に多くのピッチが付着するため10~20分間隔で清掃する必要があった。清掃中はBM計によるスキャニングができないため、測定回数が不十分となり、結果、紙厚プロファイルの異常の発見を逸するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、センサーの清掃頻度を低減させることができる測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく本発明を完成させた。本発明は、以下を提供する。
(1) 抄紙機に設置され、前記抄紙機により抄かれた紙の品質を測定する測定装置であって、移動する前記紙の少なくとも一面に接触するセンサーと、前記センサーを搭載し、前記センサーを前記紙の移動方向と交差する方向に走査させるヘッド部と、前記ヘッド部が前記紙の幅方向両端部の外側を移動中に、前記センサーにエアーを噴射するエアー噴射部とを備えることを特徴とする測定装置。
(2) 前記エアー噴射部は、前記紙の幅方向両端部の外側に設置されることを特徴とする(1)記載の測定装置。
(3) 前記エアー噴射部による前記エアーの噴射方向は、前記紙の移動方向と反対方向であって、前記紙の移動方向と平行な方向または前記紙の幅方向両端部から外側に向かう方向であることを特徴とする(1)または(2)記載の測定装置。
(4) 前記エアー噴射部の先端に取り付けられ、前記エアー噴射部から噴射される前記エアーの噴射方向をガイドするガイドバーを備えることを特徴とする(1)または(2)記載の測定装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサーの清掃頻度を低減させることができる測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は実施の形態に係る測定装置の構成を示す正面図、(B)は実施の形態に係る測定装置の構成を示す断面図である。
図2】実施の形態に係るエアー噴射部がエアーを噴射する噴射エリアについて説明するための図である。
図3】実施の形態に係る上部ヘッド部及び下部ヘッド部とエアー噴射部との位置関係について説明するための図である。
図4】実施の形態に係る上部ヘッド部及び下部ヘッド部とガイド部との位置関係について説明するための図である。
図5】他の実施の形態に係るエアー噴射部がエアーを噴射する噴射エリアについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る測定装置について説明する。この実施の形態に係る測定装置は、例えば抄紙機に設置されるBM計(Basis Weight & Moisture Measurement System)であって、抄紙機により抄かれた紙の坪量、水分、灰分、厚さ等の品質をオンラインで測定する。図1(A)はこの実施の形態に係る測定装置の構成を示す正面図、図1(B)は図1(A)のA-A断面図である。なお、以下において、図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部の位置関係等について説明する。X軸を図1(A)の紙面に直交する方向、Y軸を図1(A)の紙面左右方向、Z軸を図1(A)の紙面上下方向に設定する。
【0011】
この実施の形態に係る測定装置2は、図1に示すように、Z方向に長手方向を有する鉛直フレーム4,6、及びY方向に長手方向を有する水平フレーム8,10を備えている。鉛直フレーム4は反メンテナンス側である-Y方向側に、鉛直フレーム6はメンテナンス側である+Y方向側に配置される。水平フレーム8は+Z方向側に、水平フレーム10は-Z方向側に配置される。図示しない抄紙機により抄かれた紙18は、鉛直フレーム4,6及び水平フレーム8,10により形成されるフレーム内を-X方向から+X方向へ移動する。
【0012】
また、測定装置2は、+Z方向側に上部ヘッド部12及び-Z方向側に下部ヘッド部14を備えている。上部ヘッド部12は、水平フレーム8に取り付けられており、水平フレーム8に沿って±Y方向に移動可能である。下部ヘッド部14は、水平フレーム10に取り付けられており、水平フレーム10に沿って±Y方向に移動可能である。下部ヘッド部14には、紙厚を測定するためのキャリパーセンサー16(図2参照)及び図示しない坪量や水分量等を測定するためのセンサーが搭載されている。
【0013】
上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14は、互いに対向した状態でメンテナンス側から-Y方向に移動し、+X方向に移動する紙18を挟んだ状態で更に-Y方向に移動し、反メンテナンス側に到達すると、反メンテナンス側から+Y方向に移動し、+X方向に移動する紙18を挟んだ状態で更に+Y方向に移動する。このように、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14は、キャリパーセンサー16等をメンテナンス側と反メンテナンス側との間で±Y方向に繰り返し走査させる。キャリパーセンサー16は、下部ヘッド部14が紙18の-Z方向側を移動している間、紙18の紙厚を測定するために、紙18の-Z方向側の面に接触する。
【0014】
測定装置2は、反メンテナンス側(-Y方向側)にエアー噴射部20を備えている。エアー噴射部20は、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14が±Y方向に移動中で、キャリパーセンサー16がエアー噴射部20に近づいたとき、図2に示すように、キャリパーセンサー16に向けて、即ち紙18の移動方向と反対方向である-X方向にエアーを噴射する。キャリパーセンサー16には紙18と接触することによりピッチが付着しているが、エアー噴射部20は、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の間にエアーを噴射することにより、キャリパーセンサー16に付着したピッチを吹き飛ばす。図2の斜線で示すエリアは、エアー噴射部20により噴射されるエアーの噴射方向及び噴射エリアを示しており、エアー噴射部20は、キャリパーセンサー16から吹き飛ばされるピッチが紙18に混入しないエリアにエアーを噴射する位置に設置される。具体的には、エアーは200~300mm幅に拡散するため、エアー噴射部20は、紙18の-Y方向側端部から-Y方向に300mm以上離れた位置に設置されることが望ましい。
【0015】
エアー噴射部20は、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14がエアー噴射部20に近づいたとき、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の移動を妨げない位置、且つピッチを十分に確実に吹き飛ばす位置であって、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の間の隙間G(図3参照)にエアーを確実に噴射できる位置に固定されていることが望ましい。隙間Gに対するエアー噴射部20を構成するパイプの太さによるが、例えば、エアー噴射部20を構成するパイプが剛性を有する場合、エアー噴射部20の先端部が、図3(A)に示すように上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の隙間Gの近傍、図3(B)に示すように上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の隙間Gに挿入されている位置であって上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14に接触しない位置、図3(C)に示すように上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の隙間Gに挿入されている位置であって下部ヘッド部14上に接する位置、または上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の隙間Gに挿入されている位置であって上部ヘッド部12に接する位置(図示せず)に設置される。
【0016】
また、例えば、エアー噴射部20を構成するパイプの太さが隙間Gより小さく、エアー噴射部20を構成するパイプが剛性を有しない場合、図4に示すようなエアーの噴射方向をガイドするガイド部22を備える構成にしてもよい。ガイド部22は、エアー噴射部20の先端に取り付けられる2本のガイドバー22a,22bを備えている。ガイドバー22aはエアー噴射部20の+Z方向側に、ガイドバー22bはエアー噴射部20の-Z方向側に取り付けられている。ガイドバー22a,22bが上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14の間に挿入されることにより、キャリパーセンサー16に対するエアー噴射部20の配置位置のずれ、ひいてはエアー噴射方向のずれを防止する。隙間Gに対するエアー噴射部20を構成するパイプの太さによるが、図4に示すようにガイドバー22aが上部ヘッド部12に、ガイドバー22bが下部ヘッド部14に接しない位置に挿入される以外に、ガイドバー22aが上部ヘッド部12に、若しくはガイドバー22bが下部ヘッド部14に接する位置に挿入されてもよい。
【0017】
また、エアー噴射部20が上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14に接触しダメージを与えることを予防するために、エアー噴射部20を構成するパイプの材質を剛性を有しないプラスチック系の材質とし、エアー噴射方向を調整可能とするために、パイプの外側に針金を這わせてチューブで外覆したものを用いてもよい。また、測定装置2の-X方向側、即ち抄紙機の上流側に、エアー噴射部20によるエアー噴射により吹き飛ばされたピッチを受け容れるカス受容部(図示せず)を設けてもよい。
【0018】
なお、この実施の形態に係るエアー噴射部20は、反メンテナンス側である紙18の幅方向の-Y方向側端部の外側に設置されているが、メンテナンス側である紙18の幅方向の+Y方向側端部の外側に設置されてもよい。また、この実施の形態に係るエアー噴射部20は、その先端が-X方向を向いており、-X方向にエアーを噴射するが、エアー噴射部20によるエアーの噴射方向は、紙18の移動方向と反対方向であって、紙18の幅方向の-Y方向端部から外側に向かう方向のいずれかであればよい。例えば、図5に示すように、エアー噴射部20の先端が-X方向から紙18の幅方向の-Y方向端部から外側に向かう方向を向き、エアー噴射部20によるエアーの噴射エリアが図5の斜線で示すエリア内に収まればよい。
【0019】
この実施の形態に係る測定装置2によれば、エアー噴射部20を備えているため、キャリパーセンサー16に付着したピッチをエアーで吹き飛ばすことによりピッチを除去することができるため、キャリパーセンサー16の清掃頻度を低減させることができ、キャリパーセンサー16の測定精度を高く維持することができる。また、ピッチが剥落することによる損紙及び継手の発生を防止することができる。更に、エアー噴射部20が紙18の幅方向の-Y方向端部の外側に設置されているため、キャリパーセンサー16が紙18の紙厚測定を行っていない間にキャリパーセンサー16に付着したピッチを除去することができ、キャリパーセンサー16による紙厚測定を妨げることもない。
【0020】
また、エアー噴射部20によるエアーの噴射方向が紙18の移動方向と反対方向であって、紙18の移動方向と平行な方向または紙18の幅方向端部から外側に向かう方向、即ち図5の斜線で示す領域であるから、エアーにより飛ばされたピッチが紙18に混入することを防止することができる。
【0021】
また、通常、紙18の穴、異物及び汚れ等の欠陥を検出する欠陥検出器が測定装置2の+X方向側(抄紙機の下流側)に設置されるが、仮にエアー噴射部20によるエアーの噴射方向が紙18の移動方向であって、欠陥検出器より更に+X方向側までエアーにより飛ばされたピッチが紙18に混入するようなことがあった場合、もはや欠陥検出器によりその混入物を検出することは不可能である。しかしながら、この実施の形態に係るエアー噴射部20によるエアーの噴射方向は紙18の移動方向と反対方向であるため、仮にエアーにより飛ばされたピッチが紙18に混入するようなことがあったとしても、欠陥検出器によりその混入物を検出することができる。
【0022】
なお、上述の実施の形態においては、下部ヘッド部14にキャリパーセンサー16を備え、紙18の一面とキャリパーセンサー16とが接触する半接触式センサーを例に挙げて説明したが、上部ヘッド部12及び下部ヘッド部14のそれぞれにセンサーを備え、両センサーは対向しており、一方のセンサーが紙18の一面に、他方のセンサーが紙18の他面に接触する両面接触式センサーであっても本発明を適用することができる。この場合、エアー噴射部20は、対向する両センサーのそれぞれに付着したピッチをエアーで吹き飛ばすことにより、両センサーに付着したピッチを同時に除去する。
【符号の説明】
【0023】
2…測定装置、4,6…鉛直フレーム、8,10…水平フレーム、12…上部ヘッド部、14…下部ヘッド部、16…キャリパーセンサー、18…紙、20…エアー噴射部、22…ガイド部、22a,22b…ガイドバー。
図1
図2
図3
図4
図5