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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156848
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/857 20250101AFI20251007BHJP
   H10H 20/852 20250101ALI20251007BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059567
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相 ともみ
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA33
5F142BA32
5F142CA03
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD44
5F142CD47
5F142CG03
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】導体層が基材の切断面において露出することを抑制可能な半導体装置を提供するものである。
【解決手段】半導体装置(100,300)は、基板(10)を備えている。基板は、基材(11)と、第1導体層(12)及び第2導体層(13)とを有する。基材は、第1主面(11a)と第1主面の反対面である第2主面(11b)とを有する。第1導体層及び第2導体層は、それぞれ第1主面上及び第2主面上に配置されている。平面視において、第1導体層は第1主面の外周縁から離間しており、かつ第2導体層は第2主面の外周縁から離間している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備え、
前記基板は、基材と、第1導体層及び第2導体層とを有し、
前記基材は、第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面とを有し、
前記第1導体層及び前記第2導体層は、それぞれ前記第1主面上及び前記第2主面上に配置されており、
平面視において、前記第1導体層は前記第1主面の外周縁から離間しており、かつ前記第2導体層は前記第2主面の外周縁から離間している、半導体装置。
【請求項2】
前記基材は、前記第1主面及び前記第2主面に連なる側面をさらに有し、
前記第1主面、前記第2主面及び前記側面に沿った前記第1導体層と前記第2導体層との間の沿面距離の最小値は、前記基材の厚さの1.8倍以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は、第1無電解めっき層と、第2無電解めっき層とをさらに有し、
前記第1無電解めっき層及び前記第2無電解めっき層は、それぞれ前記第1導体層上及び前記第2導体層上に配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体素子と、
ボンディングワイヤとをさらに備え、
前記第1導体層は、第1導体パターンと、第2導体パターンとを有し、
前記第1導体パターンは、第1ランドを有し、
前記第2導体パターンは、第2ランドを有し、
前記半導体素子は、前記第1ランド上に配置されており、
前記ボンディングワイヤは、一方端において前記半導体素子に接続されており、他方端において前記第2ランドに接続されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導体パターンは、前記第1ランドと反対側の端に第3ランドを有し、
前記第2導体パターンは、前記第2ランドと反対側の端に第4ランドを有し、
平面視において、前記第3ランドの外周縁は、第1部分円弧を有し、
平面視において、前記第4ランドの外周縁は、第2部分円弧を有し、
前記第1部分円弧の中心角及び前記第2部分円弧の中心角は、180°以上である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記半導体素子及び前記ボンディングワイヤを覆うように前記基板上に配置されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子は、LEDであり、
前記封止樹脂は、前記LEDが発生させる光を透過させる樹脂材料で形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-81300号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、基板を有している。
【0003】
基板は、基材と、第1導体層と、第2導体層と、第1電解めっき層と、第2電気めっき層とを有している。基材は、第1主面と、第1主面の反対面である第2主面とを有している。第1導体層及び第2導体層は、それぞれ、第1主面上及び第2主面上に配置されている。第1電解めっき層及び第2電解めっき層は、それぞれ、第1導体層上及び第2導体層上に配置されている。基板は、複数の基板が含まれている1つの切断前基板を切断することにより得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-81300号公報 [概要] 切断前基板に含まれている1つの基板を第1基板とし、第1基板に隣り合う他の1つの基板を第2基板とする。第1電解めっき層及び第2電解めっき層を電解めっきで形成するためには、第1基板上にある第1導体層と第2基板上にある第1導体層との間に接続箇所が存在していること又は第1基板上にある第2導体層と第2基板上にある第2導体層との間に接続箇所が存在していることが必要である。このことを別の観点から言えば、第1導体層が第1主面の外周縁に達していること及び第2導体層が第2主面の外周縁に達していることのいずれかが必要である。
【0005】
その結果、切断前基板を切断することにより、第1導体層又は第2導体層が切断面に存在することになる。第1導体層又は第2導体層が切断面に存在すると、バリの原因や第1導体層と第2導体層との間の短絡の原因となることがある。
【0006】
本開示の半導体装置は、基板を備える。基板は、基材と、第1導体層及び第2導体層とを有する。基材は、第1主面と、第1主面の反対面である第2主面とを有する。第1導体層及び第2導体層は、それぞれ第1主面上及び第2主面上に配置されている。平面視において、第1導体層は第1主面の外周縁から離間しており、かつ第2導体層は第2主面の外周縁から離間している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】半導体装置100の平面図である。
図2】半導体装置100の底面図である。
図3】半導体装置100の断面図である。
図4】半導体装置100の製造工程図である。
図5】穴開け工程S2を説明する平面図である。
図6A】導体層パターンニング工程S3を説明する平面図である。
図6B】導体層パターンニング工程S3を説明する底面図である。
図7】無電解めっき工程S4を説明する平面図である。
図8A】無電解めっき工程S5を説明する平面図である。
図8B】無電解めっき工程S5を説明する底面図である。
図9】レジスト形成工程S6を説明する平面図である。
図10】半導体素子搭載工程S7を説明する平面図である。
図11】ワイヤボンディング工程S8を説明する平面図である。
図12】樹脂封止工程S9を説明する断面図である。
図13】半導体装置200の平面図である。
図14】半導体装置200を製造する際の導体層パターンニング工程S3を説明する平面図である。
図15】半導体装置300の平面図である。
図16】半導体装置300の底面図である。
【0008】
[詳細な説明]
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置を説明する。第1実施形態に係る半導体装置を、半導体装置100とする。
【0010】
図1は、半導体装置100の平面図である。なお、図1では、封止樹脂50の図示が省略されている。図2は、半導体装置100の底面図である。図3は、半導体装置100の断面図である。図1から図3に示されているように、半導体装置100は、基板10と、レジスト20と、半導体素子30と、ボンディングワイヤ40及びボンディングワイヤ41と、封止樹脂50とを有している。
【0011】
基板10は、基材11と、導体層12と、導体層13と、導体層14とを有している。基材11は、主面11aと、主面11bと、側面11cとを有している。主面11bは、主面11aの反対面である。主面11a及び主面11bは、基材11の厚さ方向における端面である。主面11a(主面11b)の法線方向を、第1方向DR1とする。第1方向DR1に沿って半導体装置100を見る場合を、平面視という。基材11は、平面視において長手方向が第2方向DR2に沿っている。第2方向DR2は、第1方向DR1に垂直な方向である。なお、第1方向DR1及び第2方向DR2に垂直な方向を、第3方向DR3とする。側面11cは、主面11a及び主面11bに連なっている。基材11は、電気絶縁性の材料で形成されている。基材11は、例えば、BT(Bismaleimide-Triazine)レジンで形成されている。
【0012】
導体層12は、主面11a上に配置されている。導体層12は、導電性の材料で形成されている。導体層12は、例えば銅で形成されている。導体層12は、導体パターン12aと、導体パターン12bと、導体パターン12cと、導体パターン12dとを有している。導体層12(導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c、導体パターン12d)は、平面視において、主面11aの外周縁から離間している。このことを別の観点から言うと、導体層12は、平面視において、主面11aの外周縁よりも内側に位置している。
【0013】
導体パターン12aは、ランド12aaと、ランド12abとを有している。平面視において、ランド12aaは導体パターン12aの一方端に位置しており、ランド12abは導体パターン12aの他方端に位置している。ランド12abの外周縁は、部分円弧を含んでいる。部分円弧の中心角は、例えば180°以上である。導体パターン12bは、ランド12baと、ランド12bbとを有している。平面視において、ランド12baは導体パターン12bの一方端に位置しており、ランド12bbは導体パターン12bの他方端に位置している。ランド12bbの外周縁は、部分円弧を含んでいる。部分円弧の中心角は、例えば180°以上である。
【0014】
導体パターン12cは、ランド12caと、ランド12cbとを有している。平面視において、ランド12caは導体パターン12cの一方端に位置しており、ランド12cbは導体パターン12cの他方端に位置している。ランド12cbの外周縁は、部分円弧を含んでいる。部分円弧の中心角は、例えば180°以上である。導体パターン12dは、ランド12daと、ランド12dbとを有している。平面視において、ランド12daは導体パターン12dの一方端に位置しており、ランド12dbは導体パターン12dの他方端に位置している。ランド12dbの外周縁は、部分円弧を含んでいる。部分円弧の中心角は、例えば180°以上である。
【0015】
導体層13は、主面11b上に配置されている。導体層13は、導電性の材料で形成されている、導体層13は、例えば銅で形成されている。導体層13は、導体パターン13aと、導体パターン13bと、導体パターン13cと、導体パターン13dとを有している。導体層13(導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c、導体パターン13d)は、平面視において、主面11bの外周縁から離間している。このことを別の観点から言うと、導体層13は、平面視において、主面11bの外周縁よりも内側に位置している。
【0016】
導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c及び導体パターン13dは、平面視において、長手方向が第2方向DR2に沿う矩形状である。導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c及び導体パターン13dは、平面視において、ランド12ab、ランド12bb、ランド12cb及びランド12dbに重なっている。
【0017】
主面11a、側面11c及び主面11bに沿った導体層12(導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c、導体パターン12d)と導体層13(導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c、導体パターン13d)との間の沿面距離の最小値は、例えば、基材11の厚さの1.8倍以上である。
【0018】
基板10には、貫通穴15aと、貫通穴15bと、貫通穴15cと、貫通穴15dとが形成されている。貫通穴15aは、第1方向DR1に沿って延在し、基材11及びランド12abを貫通している。貫通穴15aからは、導体パターン13aが露出している。貫通穴15bは、第1方向DR1に沿って延在し、基材11及びランド12bbを貫通している。貫通穴15bからは、導体パターン13bが露出している。貫通穴15cは、第1方向DR1に沿って延在し、基材11及びランド12cbを貫通している。貫通穴15cからは、導体パターン13cが露出している。貫通穴15dは、第1方向DR1に沿って延在し、基材11及びランド12dbを貫通している。貫通穴15dからは、導体パターン13dが露出している。
【0019】
導体層14は、貫通穴15aの内壁面上、貫通穴15aから露出している導体パターン13a上、貫通穴15bの内壁面上、貫通穴15bから露出している導体パターン13b上、貫通穴15cの内壁面上、貫通穴15cから露出している導体パターン13c上、貫通穴15dの内壁面上及び貫通穴15dから露出している導体パターン13d上に配置されている。導体層14は、導電性の材料で形成されている。導体層14は、例えば銅で形成されている。導体層14は、例えば無電解めっき層(無電解めっきにより形成されている層)である。
【0020】
導体層14により、導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c及び導体パターン12dは、それぞれ、導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c及び導体パターン13dに電気的に接続されている。貫通穴15a、貫通穴15b、貫通穴15c及び貫通穴15dの内部には、樹脂層16が埋め込まれていてもよい。なお、導体層14の内部には、樹脂層16が埋め込まれていてもよい。
【0021】
基板10は、無電解めっき層17と、無電解めっき層18とをさらに有している。無電解めっき層17は、導体層12(導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c、導体パターン12d)の表面(上面及び側面)を覆っている。無電解めっき層18は、導体層13(導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c、導体パターン13d)の表面(上面及び側面)を覆っている。
【0022】
無電解めっき層17及び無電解めっき層18は、例えば、複数の層で構成されている。複数の層は、例えば、ニッケル層、ニッケル層上に形成されているパラジウム層及びパラジウム層上に形成されている金層である。複数の層は、ニッケル層及びニッケル層上に形成されている金層であってもよい。
【0023】
レジスト20は、無電解めっき層17を部分的に覆うように、主面11a上に配置されている。レジスト20は、少なくともランド12ab、ランド12bb、ランド12cb及びランド12dbの表面上に配置されている無電解めっき層17を覆っていればよい。レジスト20は、例えば、ソルダレジストで形成されている。
【0024】
図1から図3に示されている例では、半導体素子30の数は、2つである。これら2つの半導体素子30を、それぞれ、半導体素子30A及び半導体素子30Bと呼ぶことがある。半導体素子30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。但し、半導体素子30は、これに限られるものではない。
【0025】
半導体素子30は、裏面電極31と、表面電極32とを有している。半導体素子30Aは、裏面電極31が無電解めっき層17及び接合材33を介在させてランド12baと対向するように、ランド12ba上に配置されている。半導体素子30Bは、裏面電極31が無電解めっき層17及び接合材33を介在させてランド12daと対向するように、ランド12da上に配置されている。これにより、半導体素子30Aが導体パターン12bに電気的に接続されるとともに、半導体素子30Bが導体パターン12dに電気的に接続されている。接合材33は、例えば、はんだ合金、導電性接着剤等である。
【0026】
ボンディングワイヤ40は、一方端において半導体素子30Aの表面電極32に接続されており、他方端においてランド12aaに接続されている。これにより、半導体素子30Aは、導体パターン12aに電気的に接続されている。ボンディングワイヤ41は、一方端において半導体素子30Bの表面電極32に接続されており、他方端においてランド12caに接続されている。これにより、半導体素子30Aは、導体パターン12cに電気的に接続されている。ボンディングワイヤ40及びボンディングワイヤ41は、例えば金で形成されている。
【0027】
封止樹脂50は、半導体素子30A、半導体素子30B、ボンディングワイヤ40及びボンディングワイヤ40を覆うように、基板10(主面11a)上に配置されている。封止樹脂50は、樹脂材料で形成されている。半導体素子30がLEDである場合、封止樹脂50は、LEDが発生させる光を透過させる樹脂材料で形成されている。
【0028】
<半導体装置100の製造方法>
以下に、半導体装置100の製造方法を説明する。
【0029】
図4は、半導体装置100の製造工程図である。図4に示されているように、半導体装置100の製造方法は、準備工程S1と、穴開け工程S2と、導体層パターンニング工程S3と、無電解めっき工程S4と、無電解めっき工程S5と、レジスト形成工程S6と、半導体素子搭載工程S7と、ワイヤボンディング工程S8と、樹脂封止工程S9と、個片化工程S10を有している。
【0030】
準備工程S1では、基材60が準備される。基材60は、主面60aと主面60bとを有している。主面60bは、主面60aの反対面である。主面60a及び主面60bは、基材60の厚さ方向における端面である。主面60a上及び主面60b上には、それぞれ導体層12及び導体層13が配置されている。基材60には、複数の基材11が含まれている。
【0031】
図5は、穴開け工程S2を説明する平面図である。図5に示されているように、レーザ照射、ドリル等で穴開け加工が行われることで、貫通穴15a、貫通穴15b、貫通穴15c及び貫通穴15dが形成される。
【0032】
図6Aは、導体層パターンニング工程S3を説明する平面図である。図6Bは、導体層パターンニング工程S3を説明する底面図である。図6A及び図6Bに示されているように、導体層パターンニング工程S3では、導体層12及び導体層13に対するエッチングが行われることで、導体層12及び導体層13がパターンニングされる。これにより、導体層12が導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c及び導体パターン12dを有するようになる。また、これにより、導体層13が導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン12c及び導体パターン12dを有するようなる。上記のエッチングは、導体層12上及び導体層13上に形成されるレジストパターンをマスクとして行われる。レジストパターンは、導体層12上及び導体層13上にフォトレジストを成膜するとともに、成膜されたフォトレジストを露光・現像することで形成される。
【0033】
図7は、無電解めっき工程S4を説明する平面図である。図7に示されているように、無電解めっき工程S4では、無電解めっきが行われることにより、貫通穴15aの内壁面上、貫通穴15aから露出している導体パターン13a上、貫通穴15bの内壁面上、貫通穴15bから露出している導体パターン13b上、貫通穴15cの内壁面上、貫通穴15cから露出している導体パターン13c上、貫通穴15dの内壁面上及び貫通穴15dから露出している導体パターン13d上に導体層14が形成される。導体層14が形成された後、樹脂層16が埋め込まれる。
【0034】
図8Aは、無電解めっき工程S5を説明する平面図である。図8Bは、無電解めっき工程S5を説明する底面図である。図8A及び図8Bに示されているように、無電解めっき工程S5では、無電解めっきが行われることにより、導体層12の表面を覆うように無電解めっき層17が形成され、導体層13の表面を覆うように無電解めっき層18が形成される。図9は、レジスト形成工程S6を説明する平面図である。図9に示されているように、レジスト形成工程S6では、レジスト20の構成材料が塗布及び硬化されることにより、レジスト20が形成される。
【0035】
図10は、半導体素子搭載工程S7を説明する平面図である。図10に示されているように、半導体素子搭載工程S7では、第1に、無電解めっき層17及び接合材33を介在させてランド12ba上に半導体素子30Aが配置されるともに、無電解めっき層17及び接合材33を介在させてランド12da上に半導体素子30Bが配置される。第2に、加熱が行われることにより、裏面電極31と無電解めっき層17とが接合される。
【0036】
図11は、ワイヤボンディング工程S8を説明する平面図である。図11に示されているように、ワイヤボンディング工程S8では、ワイヤボンディングが行われることで、半導体素子30Aの表面電極32とランド12aaとがボンディングワイヤ40で接続されるとともに、半導体素子30Bの表面電極32とランド12caとがボンディングワイヤ41で接続される。
【0037】
図12は、樹脂封止工程S9を説明する断面図である。図12に示されているように、樹脂封止工程S9では、例えばトランスファモールドにより、半導体素子30A、半導体素子30B、ボンディングワイヤ40及びボンディングワイヤ41が封止される。個片化工程S10では、隣り合う基材11の境界に沿って基材60がダイシングされることにより、複数の半導体装置100に個片化される。以上により、図1から図3に示されている半導体装置100の構造が形成される。
【0038】
<半導体装置100の効果>
半導体装置100の効果を、比較例に係る半導体装置と対比しながら説明する。比較例に係る半導体装置を、半導体装置200とする。
【0039】
図13は、半導体装置200の平面図である。図13に示されているように、半導体装置200では、導体層12(導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン12c、導体パターン12d)が、平面視において主面11aの外周縁に達している。半導体装置200では、導体層12の表面が、無電解めっき層17ではなく、電解めっき層19で覆われている。なお、図示されていないが、導体層13(導体パターン13a、導体パターン13b、導体パターン13c、導体パターン13d)の表面が、無電解めっき層18ではなく電解めっき層で覆われている。これらの点に関して、半導体装置200の構成は、半導体装置100の構成と異なっている。
【0040】
図14は、半導体装置200を製造する際の導体層パターンニング工程S3を説明する平面図である。図14に示されているように、半導体装置200の製造方法では、導体層パターンニング工程S3において導体層12がパターンニングされた後、1つの基材11上にある導体層12と当該1つの基材11に隣り合う他の1つの基材11の上にある導体層12とが、互いに接続されている。これは、半導体装置200の製造方法では、無電解めっき工程S5の代わりに電解めっき層19を形成するために電解めっき工程が行われるが、当該電解めっき工程では、基材60上にある導体層12全体を導通させる必要があるからである。
【0041】
半導体装置200の製造方法では、1つの基材11上にある導体層12と当該1つの基材11に隣り合う他の1つの基材11の上にある導体層12とが互いに接続されているため、個片化工程S10におけるダイシングの切断により導体層12が平面視において主面11aの外周縁に達することになり、ダイシングの際の切断面に導体層12が露出する。その結果、導体層12や導体層13が硫化された際に析出する硫化銅により導体層12と導体層13とが短絡してしまうことがある。また、半導体装置200の製造方法では、1つの基材11上にある導体層12と当該1つの基材11に隣り合う他の1つの基材11の上にある導体層12との間をダイシングで切断するため、切断面において導体層12にバリが生じてしまうことがある。
【0042】
他方で、半導体装置100の製造方法では、導体層12の表面が無電解めっき層17で覆われるため、1つの基材11上にある導体層12と当該1つの基材11に隣り合う他の1つの基材11の上にある導体層12とが互いに接続される必要がない。その結果、個片化工程S10におけるダイシングの切断により導体層12が平面視において主面11aの外周縁に達せず、ダイシングの際の切断面に導体層12が露出することもない。
【0043】
このように、半導体装置100によると、導体層12と導体層13との間の短絡や切断面において導体層12からのバリ発生が抑制されることになる。主面11a、側面11c及び主面11bに沿った導体層12と導体層13との間の沿面距離の最小値が基材11の厚さの1.8倍以上であれば、導体層12と導体層13との間の短絡をより確実に抑制することが可能である。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置300とする。
【0045】
<半導体装置300の構成>
以下に、半導体装置300の構成を説明する。
【0046】
図15は、半導体装置300の平面図である。図15中では、封止樹脂50の図示が省略されている。図16は、半導体装置300の底面図である。図15及び図16に示されているように、半導体装置300では、導体層12が導体パターン12c及び導体パターン12dを有しておらず、導体層13が導体パターン13c及び導体パターン13dを有していない。また、半導体装置300では、基板10に貫通穴15c及び貫通穴15dが形成されていない。さらに、半導体装置300では、導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン13a及び導体パターン13bが、平面視において長手方向が第2方向DR2に沿う矩形状である。これらの点を除いて、半導体装置300の構成は、半導体装置100の構成と共通している。
【0047】
<半導体装置300の効果>
半導体装置300でも、導体層12が主面11aの外周縁から離間しているとともに導体層13が主面11bの外周縁から離間しているため、導体層12と導体層13との間の短絡や切断面において導体層12からのバリ発生が抑制されることになる。また、半導体装置300では、導体層12を主面11aの外周縁に達するように延ばす必要がなく、導体層13を主面11bの外周縁に達するように延ばす必要がないため、導体パターン12a、導体パターン12b、導体パターン13a及び導体パターン13cの面積を小さくすることができ、製造コストを低減可能である。
【0048】
(付記)
本開示の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0049】
<付記1>
基板を備え、
前記基板は、基材と、第1導体層及び第2導体層とを有し、
前記基材は、第1主面と、前記第1主面の反対面である第2主面とを有し、
前記第1導体層及び前記第2導体層は、それぞれ前記第1主面上及び前記第2主面上に配置されており、
平面視において、前記第1導体層は前記第1主面の外周縁から離間しており、かつ前記第2導体層は前記第2主面の外周縁から離間している、半導体装置。
【0050】
<付記2>
前記基材は、前記第1主面及び前記第2主面に連なる側面をさらに有し、
前記第1主面、前記第2主面及び前記側面に沿った前記第1導体層と前記第2導体層との間の沿面距離の最小値は、前記基材の厚さの1.8倍以上である、付記1に記載の半導体装置。
【0051】
<付記3>
前記基板は、第1無電解めっき層と、第2無電解めっき層とをさらに有し、
前記第1無電解めっき層及び前記第2無電解めっき層は、それぞれ前記第1導体層上及び前記第2導体層上に配置されている、付記1又は付記2に記載の半導体装置。
【0052】
<付記4>
半導体素子と、
ボンディングワイヤとをさらに備え、
前記第1導体層は、第1導体パターンと、第2導体パターンとを有し、
前記第1導体パターンは、第1ランドを有し、
前記第2導体パターンは、第2ランドを有し、
前記半導体素子は、前記第1ランド上に配置されており、
前記ボンディングワイヤは、一方端において前記半導体素子に接続されており、他方端において前記第2ランドに接続されている、付記3に記載の半導体装置。
【0053】
<付記5>
前記第1導体パターンは、前記第1ランドと反対側の端に第3ランドを有し、
前記第2導体パターンは、前記第2ランドと反対側の端に第4ランドを有し、
平面視において、前記第3ランドの外周縁は、第1部分円弧を有し、
平面視において、前記第4ランドの外周縁は、第2部分円弧を有し、
前記第1部分円弧の中心角及び前記第2部分円弧の中心角は、180°以上である、付記4に記載の半導体装置。
【0054】
<付記6>
封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記半導体素子及び前記ボンディングワイヤを覆うように前記基板上に配置されている、付記4又は付記5に記載の半導体装置。
【0055】
<付記7>
前記半導体素子は、LEDであり、
前記封止樹脂は、前記LEDが発生させる光を透過させる樹脂材料で形成されている、付記6に記載の半導体装置。
【0056】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0057】
10 基板、11 基材、11a,11b 主面、11c 側面、12 導体層、12a 導体パターン、12aa,12ab ランド、12b 導体パターン、12ba,12bb ランド、12c 導体パターン、12ca,12cb ランド、12a 導体パターン、12da,12db ランド、13 導体層、13a,13b,13c,13d 導体パターン、14 導体層、15a,15b,15c,15d 貫通穴、16 樹脂層、17 無電解めっき層、18 無電解めっき層、19 電解めっき層、20 レジスト、30,30A,30B 半導体素子、31 裏面電極、32 表面電極、33 接合材、40 ボンディングワイヤ、41 ボンディングワイヤ、50 封止樹脂、60 基材、60a,60b 主面、100,200,300 半導体装置、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、S1 準備工程、S2 穴開け工程、S3 導体層パターンニング工程、S4,S5 無電解めっき工程、S6 レジスト形成工程、S7 半導体素子搭載工程、S8 ワイヤボンディング工程、S9 樹脂封止工程、S10 個片化工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16