(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156875
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
F16M 1/00 20060101AFI20251007BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
F16M1/00 N
F16F15/08 E
F16F15/08 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059611
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉坂 賢一
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA01
3J048DA01
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】取付対象の構成毎に振動を低減するための構成を設定することを不要にすることができる。
【解決手段】洗浄装置10は、筐体12と、駆動部16と、防振材18と、を備えている。駆動部16は、筐体12の内部に設けられ、作動されることで洗浄流体が洗浄対象物側へ送られる。防振材18は、筐体12の内部に設けられていると共に駆動部16と筐体12とを接続し、変形されることで駆動部16の筐体12に対する振動を減衰させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、作動されることで洗浄流体が洗浄対象物側へ送られる駆動部と、
前記筐体の内部に設けられていると共に前記駆動部と前記筐体とを接続し、変形されることで前記駆動部の前記筐体に対する振動を減衰させる防振材と、
を備えた洗浄装置。
【請求項2】
前記駆動部と前記筐体とが離間している請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記筐体は、洗浄流体が供給されるシリンダ部と、前記シリンダ部に供給された洗浄流体が排出される排出部と、を有している請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記シリンダ部内には、前記駆動部の作動によって一方側に移動されることで前記シリンダ部内に洗浄流体が供給され、前記駆動部の作動によって他方側に移動されることで前記シリンダ部内に供給された洗浄流体が圧縮されて前記排出部から排出されるピストンが設けられている請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記ピストンが移動する方向へ押圧した際の前記防振材の変形量が、前記ピストンが移動する方向とは異なる方向へ押圧した際の前記防振材の変形量よりも大きくなっている請求項4に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、異音の発生を抑制することを実現した駆動装置の取付構造が開示されている。この文献に記載された構成では、駆動装置が取付けられる被取付部材側にブラケットが設けられている。また、ブラケットと駆動装置との間には、弾性部材が設けられており、この弾性部材の端部が被取付部材に接触している。これにより、駆動装置の被取付部材に対する振動が低減されて、異音の発生を抑制することが可能となっている。
【0003】
ところで、下記特許文献1に記載された構造のように、駆動装置の被取付部材に対する振動を低減するための弾性部材が被取付部材等の取付対象に接触する構成では、取付対象の構成毎に振動を低減するための構成を設定することが必要になることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、取付対象の構成毎に振動を低減するための構成を設定することを不要にすることができる洗浄装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る洗浄装置は、筐体と、前記筐体の内部に設けられ、作動されることで洗浄流体が洗浄対象物側へ送られる駆動部と、前記筐体の内部に設けられていると共に前記駆動部と前記筐体とを接続し、変形されることで前記駆動部の前記筐体に対する振動を減衰させる防振材と、を備えている。
【0007】
第2の態様に係る洗浄装置は、第1の態様の洗浄装置において、前記駆動部と前記筐体とが離間している。
【0008】
第3の態様に係る洗浄装置は、第1の態様又は第2の態様の洗浄装置において、前記筐体は、洗浄流体が供給されるシリンダ部と、前記シリンダ部に供給された洗浄流体が排出される排出部と、を有している。
【0009】
第4の態様に係る洗浄装置は、第3の態様に係る洗浄装置において、前記シリンダ部内には、前記駆動部の作動によって一方側に移動されることで前記シリンダ部内に洗浄流体が供給され、前記駆動部の作動によって他方側に移動されることで前記シリンダ部内に供給された洗浄流体が圧縮されて前記排出部から排出されるピストンが設けられている。
【0010】
第5の態様に係る洗浄装置は、第4の態様に係る洗浄装置において、前記ピストンが移動する方向へ押圧した際の前記防振材の変形量が、前記ピストンが移動する方向とは異なる方向へ押圧した際の前記防振材の変形量よりも大きくなっている。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係る洗浄装置では、駆動部が筐体の内部に設けられている。この駆動部が作動されることで、洗浄流体が洗浄対象物側へ送られる。また、筐体の内部には、駆動部と筐体とを接続する防振材が設けられている。そして、この防振材が変形されることで、駆動部の筐体に対する振動を減衰させることができる。このように、駆動部の筐体に対する振動を減衰させるための構成が筐体の内部において完結している構成では、洗浄装置が取付けられる取付対象の構成毎に振動を低減するための構成を設定することを不要にすることができる。
【0012】
第2の態様に係る洗浄装置では、駆動部と筐体とが離間している。この構成では、駆動部と筐体との接触箇所における異音の発生を抑制することができる。
【0013】
第3の態様に係る洗浄装置では、筐体は、洗浄流体が供給されるシリンダ部と、シリンダ部に供給された洗浄流体が排出される排出部と、を有している。この構成では、シリンダ部及び排出部が筐体と別体となっている構成と比べて、洗浄装置の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0014】
第4の態様に係る洗浄装置では、ピストンの移動に伴う振動を防振材によって減衰させることができる。
【0015】
第5の態様に係る洗浄装置では、ピストンが移動する方向へ押圧した際の防振材の変形量が、ピストンが移動する方向とは異なる方向へ押圧した際の防振材の変形量よりも大きくなっている。この構成では、ピストンが移動する方向へ押圧した際の防振材の変形量が、ピストンが移動する方向とは異なる方向へ押圧した際の防振材の変形量と同じ又は小さくなっている構成と比べて、ピストンの移動に伴う振動を防振材によって効果的に減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の洗浄装置を前後方向及び上下方向に沿って切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を用いて本発明の実施形態に係る洗浄装置10について説明する。なお、図中における矢印FRは洗浄装置10の前方側、矢印UPは洗浄装置10の上方側、矢印LHは洗浄装置10の左側、矢印RHは洗浄装置10の右側をそれぞれ示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を示す場合は、洗浄装置10の前後方向の前後、洗浄装置10の上下方向の上下、洗浄装置10の左右方向の左右を示すものとする。なお、前後、上下、左右の方向は、洗浄装置10の説明のために定めた方向である。そのため、以下の説明における前後、上下、左右の方向は、洗浄装置10が搭載される姿勢を限定するものではない。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の洗浄装置10は、作動されることにより洗浄流体としてのエア(空気)を噴射するタイプの洗浄装置である。この洗浄装置10は、当該洗浄装置10の外殻を構成する筐体12と、筐体12の内部に設けられたピストン14及び駆動部16と、駆動部16と筐体12との間に設けられた防振材18と、を備えている。
【0019】
筐体12は、筐体本体20と、筐体12に取付けられる筐体カバー22と、を含んで構成されている。
【0020】
筐体本体20は、前後方向及び左右方向に延在する底壁部20Aと、底壁部20Aの前端から上方側へ向けて延びる前壁部20Bと、底壁部20Aの後端から上方側へ向けて延びる後壁部20Cと、を備えている。また、筐体本体20は、前壁部20Bから前方側へ向けて突出するシリンダ部20Dを備えている。このシリンダ部20Dは、前後方向を軸方向とする円筒状に形成された周壁部20Eを備えている。この周壁部20Eの後端側は、筐体12の内部において後述する駆動部16が設けられた側へ向けて開放されている。また、シリンダ部20Dは、周壁部20Eの前端側を閉止するように設けられた閉止壁部20Fと、閉止壁部20Fから前方側へ向けて突出するように設けられた排出部20Gと、を備えている。排出部20Gは、前後方向を軸方向とする円筒状に形成されている。この排出部20Gの後端側は、シリンダ部20Dの内部側へ向けて開放されている。
【0021】
筐体カバー22は、前後方向及び左右方向に延在する上壁部22Aと、上壁部22Aの後端から下方側へ向けて延びる後壁部22Bと、を備えている。そして、上壁部22Aの前端部が筐体本体20の前壁部20Bの上端部に係合している状態かつ後壁部22Bの下端部が筐体本体20の後壁部20Cの上端部に係合している状態で、筐体カバー22が筐体本体20に取付けられている。これにより、筐体カバー22と筐体本体20との間には、ピストン14や駆動部16等が配置される空間が形成されている。なお、筐体カバー22及び筐体本体20の少なくとも一方には、筐体12の内部にエアを取込むための図示しない取込部が設けられている。
【0022】
ピストン14は、シリンダ部20Dの周壁部20Eの内径に対応する外径の円柱状に形成されたピストン本体部14Aと、ピストン本体部14Aの後部に設けられたロッド係合部14Bと、を備えている。ピストン本体部14Aの外周部における前後方向の中央部には、Oリング24が嵌合する嵌合溝14Cが形成されている。この嵌合溝14Cは、ピストン本体部14Aの径方向外側が開放された形状に形成されており、ピストン本体部14Aの周方向にそって途切れなく形成されている。また、嵌合溝14Cの前後方向への寸法は、Oリング24の線径に対して大きな寸法に設定されている。ピストン本体部14Aの前方側の部位には、嵌合溝14Cの内側の空間とピストン本体部14Aに対して前方側の空間とを連通する第1連通部14Dが形成されている。また、ピストン本体部14Aの後方側の部位の外周部には、嵌合溝14Cの内側の空間とピストン本体部14Aに対して後方側の空間とを連通する第2連通部14Eが形成されている。
【0023】
駆動部16は、その前端部がピストン14のロッド係合部14Bに係合しているロッド16Aと、ロッド16Aを前後方向へ往復移動させる駆動部本体16Bと、を含んで構成されている。駆動部本体16Bは、モータと、当該モータの回転力が伝達されることで上下方向を軸方向として回転するギヤと、を含んで構成されている。このギヤには、ロッド16Aの後端部が係合している。これにより、ギヤの回転に伴い、ロッド16Aが前後方向へ往復移動して、ピストン14が前後方向へ往復移動するようになっている。
【0024】
以上説明した駆動部16は、筐体本体20に防振材18を介して支持されている。本実施形態の防振材18は、ゴムやスポンジ等を用いてブロック状に形成されている。一例として、本実施形態の防振材18は、左右方向から見てその外形が上下方向を長手方向とする楕円形状に形成されている。この防振材18の上下方向及び前後方向の中央部には、当該防振材18を左右方向に貫通する円形の貫通孔18Aが形成されている。これにより、防振材18の上端部18Bを前後方向へ押圧した際における単位荷重あたりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量が、防振材18の上端部18Bを左右方向へ押圧した際における単位荷重当たりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量よりも大きくなっている。
【0025】
そして、
図1においては、1つの防振材18が示されている。この防振材18は、駆動部本体16Bの後方側の部位と筐体本体20の底壁部20Aとを上下方向に接続している。また、図示は省略するが、他の防振材18も駆動部本体16Bと筐体本体20の底壁部20Aとを上下方向に接続している。なお、防振材18の数や配置は、洗浄装置10に求められる防振性能等を考慮して適宜設定すればよい。そして、駆動部本体16Bと筐体本体20の底壁部20Aとが複数の防振材18を介して連結されることで、駆動部16が筐体12に対して離間した状態で支持されている(駆動部16が筐体12にフローティング支持されている)。
【0026】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0027】
図1に示されるように、以上説明した洗浄装置10は、取付対象26へ接続アタッチメント28を介して取付けられる。
【0028】
そして、本実施形態の洗浄装置10では、ロッド16Aが駆動部本体16Bによって後方側へ移動することにより、ピストン14が後方側へ移動する際においては、Oリング24がピストン本体部14Aの嵌合溝14Cの前面側に接触している(Oリング24が嵌合溝14Cの内部において符号P1で示された位置に位置している)。Oリング24が当該位置に位置している状態では、筐体12内における駆動部16側のエアが、ピストン14の第2連通部14E、嵌合溝14C及び第1連通部14Dを介してシリンダ部20D内に供給される。
【0029】
また、ロッド16Aが駆動部本体16Bによって前方側へ移動することにより、ピストン14が前方側へ移動する際においては、Oリング24がピストン本体部14Aの嵌合溝14Cの後面側に接触している(Oリング24が嵌合溝14Cの内部において符号P2で示された位置に位置している)。Oリング24が当該位置に位置している状態では、第2連通部14EがOリング24によって前方側から閉止されている。そのため、シリンダ部20D内のエアは、第1連通部14D、嵌合溝14C及び第2連通部14Eを介して筐体12内における駆動部16側へ漏れ出さないようになっている。その結果、ピストン14が前方側へ移動する際においては、シリンダ部20D内のエアが圧縮されて排出部20Gから排出される。これにより、排出部20Gから排出されたエアによって、洗浄対象を洗浄することができる。
【0030】
ここで、駆動部16の作動に伴い、駆動部16が筐体12に対して変位(振動)すると、防振材18が変形する。これにより、駆動部16の筐体12に対する振動を減衰させることができる。詳述すると、エアがシリンダ部20D内に供給される際の振動及びシリンダ部20Dに供給されたエアが排出部20Gから排出される際の振動(ピストン14の移動に伴う振動)を防振材18によって減衰させることができる。このように、駆動部16の筐体12に対する振動を減衰させるための構成が筐体12の内部において完結している構成では、洗浄装置10が取付けられる取付対象26の構成毎に振動を低減するための構成を設定することを不要にすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、駆動部16と筐体12とが離間している(駆動部16が筐体12にフローティング支持されている)。この構成では、駆動部16と筐体12との接触箇所における異音の発生を抑制することができる。また、駆動部16と筐体12との間に形成された隙間をエアの流路とすることもできる。
【0032】
また、本実施形態では、筐体12の一部を構成する筐体12が、シリンダ部20D及び排出部20Gを有する構成となっている。この構成では、シリンダ部20D及び排出部20Gが筐体本体20と別体となっている構成と比べて、洗浄装置10の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、防振材18の上端部18Bを前後方向へ押圧した際における単位荷重あたりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量が、防振材18の上端部18Bを左右方向へ押圧した際における単位荷重当たりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量よりも大きくなっている。この構成では、防振材18の上端部18Bを前後方向へ押圧した際における単位荷重あたりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量が、防振材18の上端部18Bを左右方向へ押圧した際における単位荷重当たりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量と同じ又は小さくなっている構成と比べて、ピストン14の移動に伴う振動を防振材によって効果的に減衰させることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、防振材18の上端部18Bを前後方向へ押圧した際における単位荷重あたりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量が、防振材18の上端部18Bを左右方向へ押圧した際における単位荷重当たりの当該防振材18の上端部18Bの下端部18Cに対する変形量よりも大きくなっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。防振材18の変形特性は、洗浄装置10の振動特性等を考慮して適宜設定すればよい。
【0035】
また、本実施形態では、シリンダ部20D及び排出部20Gが筐体本体20と一体となっている構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。シリンダ部20D及び排出部20Gを筐体本体20と一体とするか別体とするかについては、洗浄装置10の全体の形状等を考慮して適宜設定すればよい。
【0036】
また、本実施形態では、駆動部16と筐体12とが離間している例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部16が筐体12の一部によって前後方向にスライド可能に支持された構成を採用することもできる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 洗浄装置
12 筐体
14 ピストン
16 駆動部
18 防振材
20D シリンダ部
20G 排出部