(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025156903
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】ポアデバイスおよび微粒子測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 15/13 20240101AFI20251007BHJP
【FI】
G01N15/13 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059648
(22)【出願日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】田口 星人
(57)【要約】
【課題】信頼性の高いポアデバイスを提供する。
【解決手段】ポアデバイス100は、ポアチップ102を収容可能する。ボディ120は、ポアチップ102によって、内部が第1空間122と第2空間124に区画され、電解液2を充填可能に構成される。基板110には、ボディ120と接続され、少なくとも一部がボディ120の内部空間に露出している電極106,108が形成される。電極106,108はそれぞれ、基板110上に形成される第1金属層132と、ボディ120の内部空間122,124に露出している部分において、第1金属層132よりも上の層に形成されるカーボンバリア層134と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポアを介して連通する第1空間と第2空間を含む内部空間を有し、電解液を充填可能に構成されたボディと、
前記ボディと接続され、少なくとも一部が前記ボディの内部空間に露出している電極が形成される基板と、
を備え、
前記電極はそれぞれ、
前記基板上に形成される第1金属層と、
前記ボディの前記内部空間に露出している部分において、前記第1金属層よりも上の層に形成されるカーボンバリア層と、
を含むことを特徴とするポアデバイス。
【請求項2】
前記基板はプリント基板であり、
前記第1金属層の材料はCuであり、
前記電極は、
前記第1金属層の上に形成されたNiの第2金属層と、
前記第2金属層の上に形成されたAuの第3金属層と、
をさらに含み、
前記カーボンバリア層は、前記第3金属層の上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のポアデバイス。
【請求項3】
前記基板はフィルム基板であり、
前記第1金属層の材料はAgであることを特徴とする請求項1に記載のポアデバイス。
【請求項4】
前記カーボンバリア層は、前記ボディの外部空間に露出する部分にも形成されることを特徴とする請求項3に記載のポアデバイス。
【請求項5】
前記カーボンバリア層の厚みは、10μm~30μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポアデバイス。
【請求項6】
前記電極は、前記カーボンバリア層の上に形成されるAg/AgCl層をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポアデバイス。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のポアデバイスと、
前記ポアデバイスの前記電極に電気信号を印加し、前記ポアデバイスに発生する電気信号を測定する計測装置と、
を備えることを特徴とする微粒子測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的検知帯法(コールター原理)と呼ばれる粒度分布測定法が知られている。この測定法では、粒子を含む電解液を、ナノポアと称される細孔を通過させる。粒子が細孔を通過するとき、細孔中の電解液は粒子の体積に相当する量だけ減少し、細孔の電気抵抗を増加させる。したがって細孔の電気抵抗を測定することで、粒子の体積(すなわち粒径)を測定することができる。
【0003】
図1は、電気的検知帯法を用いた微粒子測定システム1Rのブロック図である。微粒子測定システム1Rは、ポアデバイス100R、計測装置200Rおよびデータ処理装置300を備える。
【0004】
ポアデバイス100Rの内部は、検出対象の粒子4を含む電解液2が満たされる。ポアデバイス100Rの内部は、ポアチップ102によって2つの空間に隔てられており、2つの空間には電極106と電極108が設けられる。電極106と電極108の間に電位差を発生させると、電極間にイオン電流が流れ、また電気泳動によって粒子4が細孔104を経由して、一方の空間から他方の空間に移動する。
【0005】
計測装置200Rは、電極対106,108の間に電位差を発生させるとともに、電極対の間の抵抗値Rpと相関を有する情報を取得する。計測装置200Rは、トランスインピーダンスアンプ210、電圧源220、デジタイザ230を含む。電圧源220は電極対106,108の間に電位差Vbを発生させる。この電位差Vbは、電気泳動の駆動源であるとともに、抵抗値Rpを測定するためのバイアス信号となる。
【0006】
電極対106,108の間には、細孔104の抵抗に反比例する微小電流Isが流れる。
Is=Vb/Rp …(1)
【0007】
トランスインピーダンスアンプ210は、微小電流Isを電圧信号Vsに変換する。変換ゲインをrとするとき、以下の式が成り立つ。
Vs=-r×Is …(2)
式(1)を式(2)に代入すると、式(3)が得られる。
Vs=-Vb×r/Rp …(3)
デジタイザ230は、電圧信号VsをデジタルデータDsに変換する。このように計測装置200Rにより、細孔104の抵抗値Rpに反比例する電圧信号Vsを得ることができる。
【0008】
図2は、計測装置200Rにより測定される例示的な微小電流Isの波形図である。なお本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0009】
粒子が通過する短い期間、細孔104の抵抗値Rpが増大する。したがって、粒子が通過するごとに電流Isはパルス状に減少する。個々のパルス電流の振幅は、粒径と相関を有する。データ処理装置300は、デジタルデータDsを処理し、電解液2に含まれる粒子4の個数や粒径分布などを解析する。データ処理装置300の一部は、サーバやクラウドであってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2023-2249号公報
【特許文献2】国際公開WO2021-152954A1号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0160160号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3は、本発明者が検討したポアデバイス100Rの断面図を示す図である。ポアデバイス100Rは、基板110およびボディ120を備える。ボディ120は、ポアチップ102によって区画される2つの空間122,124を含む。空間122,124は、測定時において粒子4を含む電解液2で満たされる。
【0012】
ボディ120は、基板110の上に設けられる。基板110には、電極106,108に相当する配線112P,112Nが形成されている。配線112P,112Nはそれぞれ、ボディ120の空間122,124内から外側に引き出されており、ボディ120の内側のイオン交換領域118において、電解液2との間でイオン交換を行い、外側のコンタクト領域116において、計測装置200と電気的に接続可能となっている。
【0013】
本発明者は、
図3のポアデバイス100Rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0014】
基板110としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルム基板、プリント基板、ガラス基板が候補として上げられる。
【0015】
PET基板では安価で、加工性が高いため、使い捨て(ディスポーザル)のポアデバイス100Rにおいてしばしば用いられる。PET基板は耐熱性が低いため、配線112P,112Nとしては、低温形成できる銀粒子で配線されることが多い。
【0016】
しかしながら、銀は酸化速度が速く、その表面に酸化銀の絶縁膜を形成してしまう。絶縁膜は、コンタクト領域116における基板110との電気的な接続を妨げる。電気的接続をポゴピンなどで確立する場合、ワイピングによって酸化銀の絶縁膜を突き破って新生面を露出させてコンタクトを取ることができるが、銀配線の厚みが薄いため、接触が不安定になりやすい。
【0017】
プリント基板は、一般的に電極形成で使用され、FR-4(Flame Retardant Type 4)などのガラスエポキシ材で形成される。プリント基板の場合、配線層は銅であり、通常はその上に金メッキをするため、PETのような酸化の心配はなく、外部電極との接触も良好である。
【0018】
しかしながら、ポアデバイス100Rの基板110として使用する場合、ボディ120の内部を電解液2で満たしたときに、電解液2に含まれる塩化物イオンが、銀塩化銀電極及びその下の金メッキを通過して配線層の銅まで達してしまう。これにより銅の塩化が起こり、絶縁体である塩化銅が電極表面に析出してきて接触不良を起こす。
【0019】
ガラス基板は、電解液を使用する電気化学計測においてよく用いられる。ガラスは融点が高いので蒸着法で直接に金を配線できる。このためプリント基板のような塩化リスクやPET基板のような接触不良リスクは低い。ただし、価格が1桁以上高くなるため、ディスポーザブルなポアデバイスには不向きである。
【0020】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、信頼性の高いポアデバイスの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示のある態様は、ポアデバイスに関する。ポアデバイスは、ポアを介して連通する第1空間と第2空間を含む内部空間を有し、電解液を充填可能に構成されたボディと、ボディと接続され、少なくとも一部がボディの内部空間に露出している電極が形成される基板と、を備える。電極はそれぞれ、基板上に形成される第1金属層と、ボディの内部空間に露出している部分において、第1金属層よりも上の層に形成されるカーボンバリア層と、を含む。
【0022】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0023】
本開示のある態様によれば、信頼性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電気的検知帯法を用いた微粒子測定システムのブロック図である。
【
図2】計測装置により測定される例示的な微小電流Isの波形図である。
【
図3】本発明者が検討したポアデバイスの断面図を示す図である。
【
図4】実施形態1に係るポアデバイスの断面図である。
【
図5】カーボンバリア層を省略した比較用のサンプルの電極部分の表面成分分析の結果を示す図である。
【
図6】カーボンバリア層を備えるサンプルの電極部分の表面成分分析の結果を示す図である。
【
図7】実施形態2に係るポアデバイスの断面図である。
【
図8】変形例1に係るポアデバイスの断面図である。
【
図9】変形例2に係るポアデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0026】
一実施形態に係るポアデバイスは、ポアを介して連通する第1空間と第2空間を含む内部空間を有し、電解液を充填可能に構成されたボディと、ボディと接続され、少なくとも一部がボディの内部空間に露出している電極が形成される基板と、を備える。電極はそれぞれ、基板上に形成される第1金属層と、ボディの内部空間に露出している部分において、第1金属層よりも上の層に形成されるカーボンバリア層と、を含む。
【0027】
この構成によると、カーボンバリア層によって、電解液に含まれる塩化物イオンをブロックすることができ、これにより、塩化物イオンが第1配線層に到達するのを防ぐことができ、信頼性を改善できる。
【0028】
一実施形態において、基板はプリント基板であり、第1金属層の材料はCuであり、電極は、第1金属層の上に形成されたNiの第2金属層と、第2金属層の上に形成されたAuの第3金属層と、をさらに含んでもよい。カーボンバリア層は、第3金属層の上に形成されてもよい。これによりCuの劣化を防ぐことができる。
【0029】
一実施形態において、基板はフィルム基板であり、第1金属層の材料はAg(銀)であってもよい。これによりAgの塩化を防ぐことができる。
【0030】
一実施形態において、カーボンバリア層は、ボディの外部空間に露出する部分にも形成されてもよい。これにより、Agの酸化を防ぐことができる。
【0031】
一実施形態において、電極は、カーボンバリア層の上に形成されるAg/AgCl(銀塩化銀)層をさらに含んでもよい。これにより電解液とのイオン交換を効率よく行うことが可能となる。
【0032】
一実施形態に係る微粒子測定システムは、上述のいずれかのポアデバイスと、ポアデバイスの電極に電気信号を印加し、ポアデバイスに発生する電気信号を測定する計測装置と、を備えてもよい。
【0033】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0034】
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0035】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0038】
図4は、実施形態1に係るポアデバイス100Aの断面図である。ポアデバイス100Aは、プリント基板110Aと、ボディ120を備える。
【0039】
ボディ120は、ポアを介して連通する第1空間(第1流路ともいう)122と第2空間(124)を含む内部空間を有する。ボディ120は、その内部空間を電解液を充填可能に構成される。実施形態1において、ボディ120は、ポアが形成されたポアチップ102と、ポアチップ102を収容するポアチップケースを含み、ボディ120は、ポアチップ102によって、内部空間が第1空間122と第2空間124に区画される。
【0040】
プリント基板110Aは、FR4などのガラスエポキシ基板である。プリント基板110Aは、ボディ120と接続される。プリント基板110Aの表層には、少なくとも一部がボディ120の内部空間である第1空間122に露出している第1電極106と、少なくとも一部がボディ120の内部空間である第2空間124に露出している第2電極108と、が形成されている。
【0041】
第1電極106および第2電極108は、同様の配線構造を有する配線130Aである。
【0042】
配線130Aは、プリント基板110A上に順に積層される第1配線層132、第2配線層136、第3配線層138、カーボンバリア層134、Ag/AgCl層140を含む。第1配線層132はCu、第2配線層136はNi、第3配線層138はAuである。カーボンバリア層134は導電性を有しており、第3配線層138の上に形成される。カーボンバリア層134の上の、ボディ120の内部に露出する部分(イオン交換領域)には、電解液2とのイオン交換を効率よく行うために、Ag/AgCl層140が形成される。
【0043】
カーボンバリア層134の厚さは、たとえば10μm~30μm程度、具体的には20μm程度とするとよい。この範囲とすることで、製造コストの増加を抑えつつ、塩化物イオンをブロックすることができる。
【0044】
以上がポアデバイス100Aの構造である。続いてその利点を説明する。ポアデバイス100Aにおけるカーボンバリア層134の利点を検証するために、カーボンバリア層を有する
図4のデバイスサンプルと、カーボンバリア層を省略した比較用のデバイスサンプルを作製した。そして、2つのサンプルについて、内部を電解液で満たして通電した後、電極の表面成分分析を行った。
【0045】
図5は、カーボンバリア層を省略した比較用のサンプルの電極部分の表面成分分析の結果を示す図である。カーボンバリア層を省略したサンプルでは、CuおよびClが電極表面に多く検出されることが分かる。
【0046】
図6は、カーボンバリア層を備えるサンプルの電極部分の表面成分分析の結果を示す図である。カーボンバリア層を設けたサンプルでは、表面にCuは現れず、Ag/AgCl層140に含まれるAgが多く検出されることが分かる。
【0047】
図4のポアデバイス100Aによれば、電解液2に含まれる塩化物イオンが第1配線層132に到達するのを防止できる。これにより、第1配線層132における塩化銅の生成、塩化銅の電極表面への析出を防止できる。
【0048】
図7は、実施形態2に係るポアデバイス100Bの断面図である。実施形態2に係るポアデバイス100Bは、プリント基板110Aに代えてフィルム基板110Bを備える。フィルム基板110Bは、たとえばPET基板であり、フィルム基板110Bの上には、電極106,108が形成される。電極106,108は、同じ構造の配線130Bで形成される。フィルム基板110Bの材料はPETに限定されず、ポリイミド、シクロオレフィンポリマー、アクリルなどで作製することが可能である。
【0049】
配線130Bは、積層された第1配線層132、カーボンバリア層134、Ag/AgCl層140を含む。第1配線層132は、Agである。カーボンバリア層134は、第1配線層132の上に形成される。カーボンバリア層134は、ボディ120の内部と外部の両方に形成されている。
【0050】
以上がポアデバイス100Bの構成である。ポアデバイス100Bでは、ボディ120の内側においては、カーボンバリア層134によって電解液2中の塩化物イオンが第1配線層132に到達するのを防止できる。
【0051】
さらにボディ120の外側においては、カーボンバリア層134によって第1配線層132の酸化を防ぐことができる。
【0052】
続いて配線130の変形例を説明する。
【0053】
(変形例1)
図8は、変形例1に係るポアデバイス100Cの断面図である。実施形態1および実施形態2では、コンタクト領域が、基板110の上面に形成されたがその限りでない。変形例1では、コンタクト領域116は、基板110の裏面、つまりイオン交換領域118の反対側に形成される。
【0054】
配線130Cは、基板110の裏面に積層された第1配線層132、カーボンバリア層134、第3配線層138を含む配線あるいはパッドを有する。プリント基板110Aの上面側の第1配線層132と、下面側の第1配線層132の間はビアホール133で接続される。
【0055】
(変形例2)
図9は、変形例2に係るポアデバイス100Dの断面図である。変形例2においては、コンタクト領域116とイオン交換領域118の間が、プリント基板110Dの内部の配線131およびビアホール133を介して接続される。
【0056】
(変形例3)
実施形態では、ボディが、ポアチップとポアチップケースの組み合わせで構成されたが本開示はそれに限定されず、ボディに、第1空間および第2空間と、それらを連通するポアが一体に形成されてもよい。
【0057】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0058】
1 微粒子測定システム
2 電解液
4 粒子
200 計測装置
210 トランスインピーダンスアンプ
220 電圧源
230 デジタイザ
100 ポアデバイス
102 ポアチップ
104 細孔
106,108 電極
110 基板
110A プリント基板
110B フィルム基板
112P,112N 配線
116 コンタクト領域
118 イオン交換領域
120 ボディ
122 第1空間
124 第2空間
130 配線
132 第1配線層
134 カーボンバリア層
136 第2配線層
138 第3配線層
140 Ag/AgCl層