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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025157582
(43)【公開日】2025-10-15
(54)【発明の名称】消火器収納装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/78 20060101AFI20251007BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20251007BHJP
【FI】
A62C13/78 A
A62C3/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025127934
(22)【出願日】2025-07-31
(62)【分割の表示】P 2021139688の分割
【原出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 みのり
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い位置に設置された筐体から、容易かつ安全に消火器を取り出すことを可能とする。
【解決手段】消火栓装置10は、道路を有するトンネル壁面26に沿って設けられた監視員通路34の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面26に近接又は当接させて設置され、消火器74が収納される消火器収納部52と、前面部の消火器収納部52に対応する位置に設けられた開口部と、利用者が開口部を介して消火器収納部52に収納された消火器74を取り出す際の所定の操作により、消火栓装置10の外部であって、消火器収納部52に収納される位置よりも前方且つ下方に位置する場所まで消火器74が移動可能な傾斜路86を形成する第1の消火器移動機構76Aを備え、第1の消火器移動機構76Aは、所定の操作に連動して傾斜路86を延在させる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接させて設置された消火器収納装置であって、
消火器が収納される消火器収納部と、
設置状態に於ける前面部の、前記消火器収納部に対応する位置に設けられた開口部と、
利用者が前記開口部を介して前記消火器収納部に収納された前記消火器を取り出す際の所定の操作より、前記消火器収納装置の外部であって、前記消火器収納部に収納される位置よりも前方且つ下方に位置する場所まで前記消火器が移動可能な傾斜路を形成する消火器移動機構と、
を備え、
前記消火器移動機構は、前記所定の操作に連動して前記傾斜路を延在させることを特徴とする消火器収納装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火器収納装置であって、
前記消火器移動機構は、
前記消火器の収納状態で当該消火器の操作レバーを上方にして、前記消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部と、
前記消火器保持部の前面側に連結され、前記消火器の収納状態で当該消火器の底部側から前記操作レバー側に向けて延在する消火器案内部と、
前記消火器保持部及び前記消火器案内部の連結部位に配置され、前記消火器案内部の上端を軸回りに回動可能に軸支する軸部と、
を備え、
前記消火器案内部は、前記上端を前方側へ向けて前記軸部の軸回りに回動し、当該上端が前記消火器の底部よりも下方であって前記監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置したときに、前方に延伸して前記消火器の引き出し動作を案内する傾斜路を形成することを特徴とする消火器収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に消火器を収納したトンネル用の消火器収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。消火栓装置は、消火栓扉を備えた筐体の消火栓収納部に、先端にノズルを装着したホースとバルブ類が収納され、また、消火器扉を備えた消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納されている。このように、消火器収納装置の機能を備えた消火栓装置は、一般的に、トンネル長手方向に、例えば、50メートル間隔でトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、トンネル躯体の壁面に、箱抜き等による消火栓装置の埋込部(凹部)を設けることが困難な場合、監視員通路に消火栓装置を露出した状態で設置する必要がある。
【0004】
このような場合に、トンネル壁面に消火栓装置を壁掛け設置するための架台構造が提案されており、架台はトンネル壁面に固定される主支持部と消火栓装置の姿勢を保持する姿勢保持部材等から構成されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-055073号公報
【特許文献2】特開2020-078429号公報
【特許文献3】特開平5-123412号公報
【特許文献4】特開2019-68956号公報
【特許文献5】特開2021-186453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、消火栓装置の消火器扉を開いて内部に収納された消火器を容易且つ安全に取り出すために、消火器のレバーの高さを道路面から1.5m以下とすることが消防法で規定されており、トンネルに設置する場合もこれに準ずることとされている。
【0007】
しかしながら、道路面から監視員通路の路面までの高さが1m程度であり、消火器のレバーの高さを道路面から1.5m以下となるように消火栓装置を設置すると、監視員通路の路面からの高さはせいぜい数十cm程度になる。仮に設置高さの制約がなく、例えば監視員通路の路面から2mといった比較的高所に消火栓装置を設置できるとしても、このような高さに収納された重さ10kg程度の消火器を取り出す場合、落下させてしまったり、その衝撃で消火器が投げ出されたり破損したりする可能性がある。
【0008】
本発明は、高い位置に設置された筐体から、容易かつ安全に消火器を取り出し可能とする消火器収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(消火器収納装置)
本発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接させて設置された消火器収納装置であって、
消火器が収納される消火器収納部と、
設置状態に於ける前面部の、消火器収納部に対応する位置に設けられた開口部と、
利用者が開口部を介して消火器収納部に収納された消火器を取り出す際の所定の操作により、消火器収納装置の外部であって、消火器収納部に収納される位置よりも前方且つ下方に位置する場所まで消火器が移動可能な傾斜路を形成する消火器移動機構と、
を備え、
消火器移動機構は、所定の操作に連動して傾斜路を延在させることを特徴とする。
【0010】
(第1の消火器移動機構)
第1の消火器移動機構は、
消火器の収納状態で当該消火器の操作レバーを上方にして、消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部と、
消火器保持部の前面側に連結され、消火器の収納状態で当該消火器の底部側から操作レバー側に向けて延在する消火器案内部と、
消火器保持部及び消火器案内部の連結部位に配置され、消火器案内部の上端を軸回りに回動可能に軸支する軸部と、
を備え、
消火器案内部は、上端を前方側へ向けて軸回りに回動し、消火器の底部よりも下方であって監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置させたときに、前方に延伸して消火器の引き出し動作を案内する傾斜路を形成する。
【発明の効果】
【0011】
(消火器収納装置の効果)
本発明の消火器収納装置にあっては、消火器が収納される消火器収納部と、設置状態に於ける前面部の、消火器収納部に対応する位置に設けられた開口部と、利用者が開口部を介して消火器収納部に収納された消火器を取り出す際に、所定の操作により、消火器の少なくとも操作レバーの最上部が開口部を介して前面部よりも外側に、且つ消火器の底部が開口部を介して消火器収納部の最下部よりも下方に位置するように、消火器を移動させる消火器移動機構とを備えたことで、消火器の操作性が向上し、力のない、例えば、高齢者や女性であっても、消火器を安全かつ容易に消火器を取り出すことが可能となり、消火器を用いた迅速な消火活動を可能とする。
【0012】
(第1の消火器移動機構の効果)
第1の消火器移動機構は、消火器の収納状態で当該消火器の操作レバーを上方にして、消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部と、消火器保持部の前面側に連結され、消火器の収納状態で当該消火器の底部側から操作レバー側に向けて延在する消火器案内部と、消火器保持部及び消火器案内部の連結部位に配置され、消火器案内部の上端を軸回りに回動可能に軸支する軸部を備えることで、消火器案内部は、上端を前方側へ向けて軸部の軸回りに回動し、当該上端が消火器の底部よりも下方であって監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置したときに、消火器の引き出し動作を案内する傾斜路を形成することで、高い位置に設置された筐体から安全かつ容易に消火器を引出して迅速な消火活動を行うことを可能とする。
【0013】
(消火器案内部の構造による効果)
また、第1の消火器移動機構の消火器案内部は、軸部に回動自在に固定された固定案内部と、固定案内部に沿って延伸自在な可動案内部とを備え、可動案内部は、消火器の引出し動作に伴って、固定案内部から前方に延伸して、固定案内部から延在する傾斜路を形成することで、消火器案内部が筐体内に収納されている場合は、傾斜路が短くなることから設置スペースの低減を可能とする。
【0014】
(固定案内部と可動案内部の構造による効果)
また、固定案内部は、軸部の反対側に開口部を有する中空部材であり、可動部材は、固定案内部の中空内部に配置され、口部から突出して延伸方向の所定位置まで移動自在な板部材であることで、簡単な構造で消火器引出し動作に伴い延伸する傾斜路を形成可能とする。
【0015】
(可動案内部の位置決めによる効果)
また、可動案内部は、延伸方向への移動量を変更自在に設定する位置決め部材を備えたことで、位置決め部材の位置を変えることによって、可動案内部が固定案内部の開口部から突出して延伸する長さを簡単に変更可能とする。
【0016】
(第2の消火器移動機構の効果)
また、第2の消火器移動機構は、消火器の収納状態で当該消火器の操作レバーを上方にして、消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部と、消火器保持部の前面側に配置され、消火器の収納状態で当該消火器の底部側から操作レバー側に向けて延在する消火器案内部と、消火器の収納状態で消火器案内部の下方に配置され、消火器案内部の上端を軸回りに回動可能に軸支する軸部と、消火器案を保持した状態の消火器保持部を消火器案内部の軸部側から反対側へ向かって搬送可能な消火器搬送部とを備え、消火器案内部は、上端を前方側へ向けて軸部の軸回りに回動し、当該上端が消火器の底部よりも下方であって監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置したときに、前方に延伸して消火器搬送部による消火器の搬送を案内する傾斜路を形成することで、高い位置に設置された筐体から安全かつ容易に消火器を引出して迅速な消火活動を行うことを可能とする。
【0017】
(消火器案内部の構造による効果)
また、第2の消火器移動機構の消火器案内部は、軸部に回動自在に固定された固定案内部と、固定案内部に沿って延伸自在な可動案内部とを備え、可動案内部は、消火器の引出し動作に伴って、固定案内部から前方に延伸して、固定案内部から延在する傾斜路を形成することで、消火器案内部が筐体内に収納されている場合は、傾斜路が短くなることから設置スペースの低減を可能とする。
【0018】
(固定案内部と可動案内部の構造による効果)
また、固定案内部は、軸部の反対側に開口部を有する中空部材であり、可動案内部は、両端に開口部を有する中空部材であり、固定案内部の外側に配置され、固定案内部から軸部の反対側に突出して延伸方向の所定位置まで移動自在であることから、簡単な構造で消火器引出し動作に伴い延伸する傾斜路を形成可能とする。
【0019】
(消火器搬送部の構造)
また、消火器搬送部は、固定案内部及び可動案内部の内部を転動可能な車輪に支持されたことから、消火器の引出し動作により、消火器保持部を固定案内部の軸部側から可動案内部の延伸方向となる先端側への方向に搬送可能とする。
【0020】
(消火器案内部による消火器搬送の効果)
また、消火器搬送部は、消火器の引出し動作に伴って、可動案内部の先端側の開口部から離脱した後に、消火器保持部に保持された消火器を車輪の転動により搬送可能とすることで、離れた火災発生場所であっても、重い消火器を容易に運んで迅速な消火活動を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】監視員通路上に設置された消火栓装置の実施形態を示した説明図である。
図2】筐体を薄型化するための消火栓装置の架台による設置高さを示した説明図である。
図3】消火栓装置の内部構造を、消火栓扉及び消火器扉を開いて正面から示した説明図である。
図4】消火栓装置の内部構造を平面から示した説明図である。
図5】消火栓装置の側面から見た断面を示した説明図である。
図6】消火器収納部に設けられた第1の消火器移動機構を示した説明図である。
図7図6の消火器収納部を取出して側面から示した説明図である。
図8図6の消火器移動機構を取り出して示した説明図である。
図9図6の消火器移動機構の消火器保持部を取り出して示した説明図である。
図10図6の消火器移動機構における消火器案内部の内部構造を側面から見た断面で示した説明図である。
図11図6の消火器移動機構における消火器案内部の内部構造を平面から見た断面で示した説明図である。
図12図6の消火器移動機構の構造を示した組立分解図である。
図13図6の消火器移動機構による消火器の引出し動作を時系列で示した説明図である。
図14】可動板部材に消火器のガイドローラーが設けられた消火器案内部の他の実施形態を示した組立分解図である。
図15】消火栓収納部に設けられた第2の消火器移動機構を示した説明図である。
図16図15の消火器移動機構が回動した状態を取り出して示した説明図である。
図17図15の消火器移動機構による消火器の引出し状態を示した説明図である。
図18図15の消火器移動構を取り出して内部構造を断面で示した説明図である。
図19図15の消火器移動機構の構造を示した組立分解図である。
図20図15の消火器移動機構の消火器搬送部を使用して引き出された消火器を搬送する動作を示した説明図である。
図21図15の消火器移動機構による消火器の引出し動作を時系列で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る消火器収納装置の機能を備えた消火栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0023】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、トンネル用の消火栓装置に関するものである。
【0024】
ここで、「消火栓装置」とは、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置されるトンネル非常用設備の一種であり、消火栓設備を含む概念である。本実施形態の消火栓装置は、トンネル内の監視員通路に設置された架台に取付け固定され、監視員通路よりも上方の高い位置に露出して設置されるものであって、少なくとも消火器収納部、開口部、及び消火器移動機構で構成される。
【0025】
また、「架台」とは、柱と梁などによって物を支える構造を指すものであり、支持台、土台、基台、台座、ベースなどの概念を含むものである。本実施形態の架台は、湾曲したトンネル壁面の長手方向に沿った監視員通路上で、トンネル壁面に近接又は当接させて設置されるものである。ここで、「トンネル壁面に近接又は当接させて設置」とは、トンネル壁面に近接して設置、一部をトンネル壁面に当接して設置、又は一部をトンネル壁面に固定して設置することを含むものである。
【0026】
また、「消火器収納部」とは、消火器が収納される空間であり、「開口部」とは、消火栓装置の設置状態における前面部の、消火器収納部に対応する位置に設けられた領域である。更に、「消火器移動機構」とは、利用者が開口部を介して消火器収納部に収納された消火器を取り出す際に、所定の操作により、消火器の少なくとも一部分、例えば、操作レバーの最上部が開口部を介して前面部よりも外側に、且つ消火器収納部の最下部よりも下方に位置するように、消火器を移動させるものである。
【0027】
本実施形態の「消火器移動機構」は、高い位置に露出して配置された消火栓装置から容易かつ安全に消火器を引き出す動作を行うことを可能とするものであり、第1の消火器移動機構と第2の消火器移動機構がある。
【0028】
第1の消火器移動機構は、消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部に消火器案内部が連結され、消火器保持部と消火器案内部の連結部位を軸部で軸支して、消火器案内部の上端を軸回りに回動可能としており、消火器案内部が、消火器の引出し動作に伴って、上端を前方側へ向けて軸部の軸回りに回動し、当該上端が消火器の底部よりも下方であって監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置したときに、消火器の引き出し動作を案内する傾斜路を形成するものである。
【0029】
ここで、「消火器案内部」は、軸部に回動自在に固定された固定案内部と固定案内部に沿って延伸自在な可動案内部で構成され、可動案内部が、消火器の引出し動作に伴って固定案内部から前方に延伸して固定案内部から延在する傾斜路を形成する。例えば、固定案内部は、軸部の反対側に開口部を有する中空部材であり、可動案内部は、固定案内部の中空内部に配置され、開口部から突出して延伸方向の所定位置まで移動自在な板部材である。
【0030】
また、可動案内部は、延伸方向への移動量を変更自在に設定とする位置決め部材を備え、固定案内部の開口部から突出して延伸する長さを調整可能である。
【0031】
このように、消火器の引出し動作を案内する傾斜路が形成されることで、高い位置に設置されている消火栓装置から利用者が10kg程度と重い消火器を引き出しても、監視員通路の路面に落下させることなく、傾斜路に沿って消火器を容易かつ安全に引き出すことを可能とする。
【0032】
また、第2の消火器移動機構は、消火器の底部を着脱自在に保持する消火器保持部と、軸部の反対側に開口部を有する中空部材の固定案内部と、両端に開口部を有する中空部材であり、固定案内部の外側に配置され、固定案内部から軸部の反対側に突出して延伸方向の所定位置まで移動自在な可動案内部とを備え、可動案内部が固定案内部に沿って消火器の移動方向に移動自在に配置された消火器案内部と、消火器案内部の上端を軸回りに回動可能に軸支する軸部と、固定案内部及び可動案内部の内部を転動可能な車輪に支持され、消火器の引出し動作により、消火器保持部を固定案内部の軸部側から可動案内部の延伸方向となる先端側へ向かって搬送可能な消火器搬送部とで構成され、消火器案内部が、上端を前方側へ向けて軸部の軸回りに回動し、当該上端が消火器の底部よりも下方であって監視員通路の路面よりも上方の所定位置に位置したときに、可動案内部が固定案内部から前方に延伸して固定案内部から延在する傾斜路を形成し、消火器搬送部による消火器の搬送を案内するものである。
【0033】
また、第2の消火器移動機構の消火器搬送部は、固定案内部及び可動案内部の内部を転動可能な車輪に支持され、消火器の引出し動作に伴って、可動案内部の先端側の開口部から離脱した後に、消火器保持部に保持された消火器を車輪の転動により搬送することを可能とする。
【0034】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、本願発明に係る消火器収納装置を適用した「筐体内にノズル付きホースと消火器が収納された消火栓装置」を対象とし、「消火器移動機構」を「第1の消火器移動機構」と「第2の消火器移動機構」とに分けた場合について説明する。
【0035】
[実施形態の具体的内容]
本実施形態の消火栓装置について詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.消火栓装置
a1.消火栓装置の概要
a2.消火栓装置の設置高さ
a3.消火栓装置の薄型化
a4.消火栓装置の内部構造
b.第1の消火器移動機構
b1.機構構造
b2.消火器保持部
b3.消火器案内部
b4.軸部
b5.消火器引出し動作
b6.消火器案内部の変形形態
c.第2の消火器移動機構
c1.機構構造
c2.消火器保持部
c3.消火器搬送部
c4.消火器案内部
c5.軸部
c6.消火器引出し動作
d.本発明の変形例
【0036】
[a.消火栓装置]
本実施形態によるトンネル用の消火栓装置について、より詳細に説明する。図1は、トンネル内における消火栓装置の設置を示した説明図であり、図1(A)にトンネル横断面で見た消火栓装置の設置を示し、図1(B)にトンネル壁面方向に見た消火栓装置の設置を示している。
【0037】
(a1.消火栓装置の概要)
消火栓装置について、概要を説明する。図1(B)に示すように、消火栓装置10は、消火栓収納部側の筐体11aと消火器収納部側の筐体11bに分割された構造であり、筐体11a,11bの前面に化粧枠13a,13bが装着されている。
【0038】
ここで、図1の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、図1(B)のように消火栓装置の前面を正面に見て、X方向が左右方向とし、Y方向が上下方向とし、Z方向が前後方向とする。また、X方向における+X側は右側、-X側は左側とし、Y方向における+Y側は上側、-Y側は下側とし、Z方向における+Z側は前側とし、-Z側は後側とする。この点は、本発明の実施形態を示す図2図21においても同様となる。
【0039】
消火栓収納部側の化粧枠13aの扉開口部は上下に分割され、扉開口部の下側にヒンジ12aにより下向きに開く前傾式の消火栓扉12が設置され、扉開口部の上側にヒンジ14aにより上向きに開く保守扉14が設置され、その内部である消火栓収納部にはノズル付きのホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納されている。
【0040】
消火器収納部側に装着された化粧枠13bの扉開口部の左側には、ヒンジ16aにより左向きに横開きする消火器扉16が設けられ、内部である消火器収納部に、例えば、2本の消火器を収納可能としている。また、消火器扉16の上側には覗き窓17が設けられ、外部から消火器の有無等の収納状態を確認可能としている。なお、覗き窓17の位置は一例であり、消火器の収納状態を確認できる位置であれば、消火器扉16の任意の位置に設けることができる。
【0041】
化粧枠13bの扉開口部の右側には、ヒンジ18aにより右向きに横開きする電装扉18が設けられている。電装扉18には、電装機器として、例えば、赤色表示灯20、発信機22及び応答ランプ24が設けられ、また電装扉18の筐体内側には電話ジャックが設けられている。
【0042】
赤色表示灯20は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から確認できるようになっている。火災が発生し、発信機22が押されて押し釦スイッチがオンすると、発信信号が送信され、これを受信した防災受信盤から火災警報が出力される。消火栓装置10は、防災受信盤からの応答信号を受信して、赤色表示灯22が点滅し、応答ランプ24が点灯する。
【0043】
(a2.消火栓装置の設置高さ)
トンネル内に消火栓装置を設置する高さについて詳細に説明する。シールド工法により構築された円筒状(円形断面)のトンネル躯体の下部には道路36がトンネル長手方向に構築され、道路36の片側に沿ったトンネル壁面26の下側に、道路36に対し所定高さの監視員通路34が構築されている。
【0044】
シールド工法によるトンネル壁面26は、消火栓装置10を設置するための箱抜きが困難であることから、監視員通路34上のトンネル壁面26に近接又は当接させて架台28が設置され、架台28上に消火栓装置10の筐体11a,11bが取付け固定されている。ここで、架台28の高さH1は、例えば、30cm~50cmの範囲内の所定高さが設定されている。
【0045】
また、本実施形態の架台28は、第1架台30と第2架台32で構成されている。第1架台30は、図1(A)に示すように、側面形状を底辺に対し上辺が長い逆台形とし、トンネル壁面26の湾曲形状に沿って後側が斜め下向きの傾斜面となっている。第2架台32は第1架台30の上に固定され、消火栓装置10の筐体11a,11bを取付け固定するものである。
【0046】
(a3.消火栓装置の薄型化)
消火栓装置の薄型化について、より詳細に説明する。架台28により監視員通路34上に設置された消火栓装置10の、トンネル壁面26からの突出(出っ張り)による通路幅の制約を低減するため、消火栓装置10の設置高さを最適化し、併せて、可能な限り薄型化する。
【0047】
まず、架台28の高さH1の最適化について、より詳細に説明する。図2はトンネル横断面における消火栓装置の設置状態を概略的に示している。消火栓装置10が設置される監視員通路34上のトンネル壁面26は円形断面となっており、図2(A)にあっては、トンネル中心(円形断面の中心)Pからの水平方向のトンネル中心線SL1に対し、監視員通路34上に設置された消火栓装置10は、その高さ方向の中心を通る横方向の筐体中心線SL2が可能な限り近付くように、架台28の高さH1が設定されている。なお、消火栓装置10は側面形状を縦長の矩形とした場合を例にとっている。
【0048】
この場合、筐体中心線SL2をトンネル中心線SL1に近付けるほど、消火栓装置10がトンネル壁面26から突出する度合いを低減することができる。
【0049】
図2(B)は、筐体中心線SL2をトンネル中心線SL1に一致させるように、架台28の高さH1が設定された場合を示す。この場合には、消火栓装置10がトンネル壁面26から突出する度合いを最小とすることができる。
【0050】
また、架台28の高さH1は、消火栓装置10に収納されている消火器のレバーまでの高さが、監視員通路34に立った利用者が消火器を適切に引出せる所定高さを超えないように設定される。利用者が消火器を適切に引き出す所定高さは、例えば、1.5mを超えない高さとなる。このため、架台28の高さH1は、筐体中心線SL2がトンネル中心線SL1に一致又は近付く高さとする場合、更に、消火器消火器のレバーまでの高さが1.5mを超えない高さとなる。
【0051】
次に、消火栓装置10の薄型化について、より詳細に説明する。消火栓装置10を薄型化するためには、消火栓装置10の筐体をトンネル壁面26に沿った形状とすることが有効である。消火栓装置10を薄型化するための筐体11a,11bの形状は任意であるが、例えば、図2(B)に示すように、筐体中心線SL2をトンネル中心線SL1に一致させるように架台28の高さH1が設定された場合、図1(A)に示すように、筐体11a,11bの側面形状として、前面を鉛直面としているが、トンネル中心線SL1の上側の背面15aの部分については、トンネル壁面26の湾曲形状に合わせて鉛直面から前方下向きに伏せた傾斜面とし、また、トンネル中心線SL1の下側の背面15bの部分については、トンネル壁面26の湾曲形状に合わせて鉛直面から前方上向きに起きた傾斜面とし、筐体11a,11bの上部と底部の各々で最小幅とする。
【0052】
ここで、筐体11a,11bの底部の最小幅(最小奥行幅)は、消火器収納部となる筐体11bに消火器が収納できればよいことから、収納する消火器の直径に合わせた幅とする。消火器の直径は、概ね15cmを超えないことから、筐体11a,11bの底部の最小幅は、消火器案内部の設置を考慮して、例えば、18~20cm程度とする。これに対し、トンネル壁面の箱抜きに設置されている公知の消火栓装置の筐体幅(奥行き)は、概ね30cm程度であることから、本実施形態の筐体底部の最小幅は、従来の約半分程度に薄くできる。この点は、筐体上部の最小幅も同様となる。
【0053】
このような筐体11a,11bの薄型化に対し、ノズル付きホース、バルブ類、電装機器、消火器等を収納する収納容積は変わらないことから、所定の収納容積が得られるように、筐体11a,11bの横幅Wや高さH2は、箱抜き設置した従来の消火栓装置に比べ増加させた寸法に設定される。ここで、本実施形態では、消火栓扉12、保守扉14、消火器扉16及び電装扉18として、箱抜き設置した従来の消火栓装置と同じサイズのものが使用されている。その結果、本実施形態にあっては、横幅Wに変化はないが、高さH2が従来装置より増加した縦長のサイズに変更されている。勿論、所定の収納容積が得られるように横幅Wと高さH2の両方を増加させてもよい。
【0054】
図1(A)(B)に示すように、監視員通路34の内部はダクト40となっており、そこに給水本管42が敷設され、消火栓装置10の設置場所ごとに分岐管44が引出され、仕切弁46(例えば、ボール弁)を介して給水配管48が架台28の中を通して筐体11aの内部に引き込まれている。また、図示を省略しているが、ダクト40には、消火栓装置10に接続される各種のケーブルも施設されており、消火栓装置10の設置場所ごとに下から架台28を通して筐体11a内に引き込まれている。このため、消火栓装置10の左右又は背後に、給水配管やケーブルを引き込むためのスペースを確保する必要がなく、見栄えも良くなる。
【0055】
(a4.消火栓装置の内部構造)
消火栓装置の内部構造について詳細に説明する。図3乃至図5に示すように、消火栓収納部となる筐体11aの内部(消火栓扉12の内側)は、バルブ類収納部50aとホース収納部50bに分けられている。
【0056】
バルブ類収納部50aには、架台28を通して下から給水配管48が引き込まれて給水栓54に接続され、また、給水配管48は下向きに分岐し、消火栓弁56及び自動調圧弁58が設けられ、続いてホース62が接続されている。消火栓弁56は、消火栓弁開閉レバー60により開閉操作されるものであり、消火栓弁開閉レバー60が開閉操作されると公知のワイヤーリンク機構により消火栓弁56が遠隔的に開閉する。また、消火栓弁開閉レバー60が開閉操作されると、操作ボックスに設けられたポンプ起動連動スイッチがオン、オフする。また、給水栓54の右上には、消防隊が使用するポンプ起動スイッチ65が設けられている。
【0057】
ホース収納部50bには、ホース収納フレーム64が設けられ、下側から引き込まれたホース62が右回りの内巻き状態で収納されている。また、ホースガイド66を通して引出されたホース62の先端にはノズル68が装着され、ノズルホルダー70に着脱自在に保持されている。
【0058】
ここで、筐体11aの高さH2を従来装置より増加させたため、図3に示すように、ホース収納フレーム64の高さも増加している。これによりホース62の1ターン当り(1巻き当り)の長さが増加し、ホース62を重ね巻きするターン数が減少することで、筐体11aを薄型化しても所定長のホース62、例えば、30mのホース62を内巻き状態で収納可能としている。なお、ホース収納部の高さがホース収納時の操作を阻害するような場合は、筐体11aの高さH2ではなく、横幅Wを長くする。
【0059】
筐体11bの内部(消火器扉16の内側)は消火器収納部52であり、図3に示すように、2本の消火器74が収納されている。また、消火器収納部52の前面開口側には、収納する2本の消火器74の各々に対応して第1の消火器移動機構76Aが設けられている。第1の消火器移動機構76Aは、利用者が消火器扉16を左向きに開いて、消火器74の上部のレバーを握って引き出す動作に伴って下端を軸に前方に傾き、下向き傾斜となる位置まで回動して、消火器74を引き出すための傾斜路を形成する。
【0060】
ここで、筐体11a,11bの背面15a,15bは、図1(A)及び図5に示すように、斜め上向きと斜め下向きの傾斜面となっており、トンネル中心線SL1が通る奥行幅D2に対し底部の奥行幅D1(又は上部の奥行幅)は最小幅となっている。底部の奥行幅D1は、消火器74を収納可能であればよいことから、前述したように、消火器74の直径に対応して、例えば、D1=16cm~17cm程度となっている。
【0061】
また、筐体11bの薄型化に伴い、従来装置のように消火器74の後部の筐体背面に端子箱を設置することができないため、図3に示すように、薄型化に伴い増加した消火器収納部52の上部の空きスペースの筐体背面に端子箱72a,72bが設置されている。端子箱72aには電装扉18に設けられた赤色表示灯20が接続され、端子箱72bには、電装扉18に設けられた発信機22、応答ランプ24及び電話ジャック25が接続され、更に、バルブ類収納部50aに設けられたポンプ起動スイッチ65とポンプ起動連動スイッチが接続されている。
【0062】
[b.第1の消火器移動機構]
第1の消火器移動機構の実施形態について詳細に説明する。図6は、消火栓装置の消火器格納部52を正面から見た状態を示し、図7は、消火器収納部52を側面から見た断面を示している。図8は、第1の消火器移動機構が回動した状態を取り出して示し、図9は、第1の消火器移動機構の消火器保持部を取り出して示し、図10は、第1の消火器移動機構における消火器案内部の内部構造を水平位置で側面から見た断面で示し、図11は、第1の消火器移動機構における消火器案内部の内部構造を平面から見た断面で示し、更に、図12は、消火器案内部の構造を俯瞰した組立分解図を示している。
【0063】
(b1.機構構造)
図6及び図7に示すように、架台28の上に取付け固定された消火栓装置10の筐体11b内となる消火器収納部52には、固定レバー74a、操作レバー74b及び安全栓75を備えた2本の消火器74が収納され、それぞれに第1の消火器移動機構76Aが設けられている。第1の消火器移動機構76Aは、消火器保持部78、消火器案内部80及び軸部82で構成される。なお、本出願においては、固定レバー74aと操作レバー74bとを総称して、「消火器のレバー」又は「消火器の操作レバー」と記載することがある。
【0064】
(b2.消火器保持部)
消火器保持部78について詳細に説明する。消火器保持部78は、消火器74の底部を着脱自在に保持するものであり、その構造、機構、材質などは任意であるが、例えば、図8及び図9に示すように、矩形の台座78aの上にカップ状の消火器ホルダー78bが装着され、消火器ホルダー78bの中に消火器74の底部が着脱自在に嵌め入れられる。消火器ホルダー78bは、弾性変形自在な任意の材質であり、例えば、シリコンゴムが使用され、消火器74の底部を吸着状態で保持する。なお、消火器ホルダー78bを弾性変形しない材質で形成し、スプリング板等の弾性力により消火器74を緩く拘束して保持することも可能である。
【0065】
(b3.消火器案内部)
消火器案内部80について詳細に説明する。消火器案内部80は、消火器保持部78の筐体前面側に連結され、消火器のレバーを上方にした初期状態で正面から見て、消火器74の胴部の半分の高さを超える矩形形状をもった箱型の部材である。本実施形態では、消火器案内部80と消火器保持部78とは、直交状態で固定されている。
【0066】
消火器案内部80は、消火器収納部52から引出される消火器74を案内する傾斜路86を形成するものであり、その構造や機構は任意であるが、例えば、図10(A)に示すように、軸部82に回動可能に軸支された固定案内部として機能する箱形部材88と、箱型部材88の長手方向に沿って延伸自在な可動案内部として機能する可動板部材90で構成される。
【0067】
箱形部材88の構造は任意であるが、例えば、図12の組立分解図に示すように、箱本体88a、蓋部材88b及び開口部材88cで構成される。箱本体88aは、上部及び前部が開放した箱形状であり、後部がビス104により軸穴82aを備えた消火器保持部78との連結部位に固定されている。箱本体88aの上部にはビス110により蓋部材88bが固定される。更に、箱本体88aの前部には、矩形の開口92を備えた開口部材88cがビス106により固定される。なお、各部材の固定はビス以外に、必要に応じて溶接による固定としても良い。
【0068】
箱形部材88の内部に収納された可動板部材90は、図10(A)の横から見た断面、図10(B)の図10(A)におけるa-a視の断面、図11の平面から見た断面、及び図12の組立分解図に示すように、奥行方向(前後方向)の長さが箱形部材88の開口92から先端が僅かに突出する長さ、幅と厚さが箱形部材88の中に収納可能な幅と厚さであり、箱形部材88の軸部82の反対側に配置された開口部材88cの開口92から前方へ延伸する(90a)動きを可能としている。また、開口92から突出した可動板部材90の先端には、ストッパー板94がビス112で固定されている。
【0069】
また、可動板部材90の左右後方の両側に形成された切欠には、箱本体88aの内面を転動するローラー96と、蓋部材88bの内面を転動するローラー98が設けられ、箱形部材88の中で可動板部材90を滑らかに移動可能としている。
【0070】
また、図11及び図12に示すように、可動板部材90の左右中心となる前後方向には、位置決めスリット穴102が形成され、位置決め部100を構成するT形の位置決めスライド部材100aを嵌め入れて固定部材100bをビス108で可動板部材90の所定位置に固定している。位置決め部100は、図10(A)の断面に示すように、可動板部材90と共に前方に移動した場合に、開口部材88cの内側に当接して移動を停止することで、可動板部材90の延伸方向への移動量又は開口92からの突出量を設定している。ストッパー部100が位置決めスリット穴102の最後部に固定された場合、可動板部材90の突出量は最大となり、ストッパー部100が位置決めスリット穴102の前方側に移動して固定されることで、可動板部材90の突出量が少なくするように調整される。
【0071】
(b4.軸部)
軸部82について詳細に説明する。軸部82は、図6及び図7に示すように、消火器保持部78と消火器案内部80の連結部位を、筐体11bの開口底部の前縁に配置した軸受部84により、消火器案内部80の上端を軸回りに回動可能に軸支している。
【0072】
ここでは、消火器格納部52に消火器74が収納された状態で、図7図8(A)に示すように、消火器保持部78が水平に位置し、消火器案内部80が消火器74の前方に鉛直に位置する状態を初期位置としている。
【0073】
これに対し、消火器74が使用される場合には、利用者が消火器扉16のハンドルを引いて消火器扉16をヒンジ16aにより左向きに横開きし、固定レバー74aを持って行う消火器74の引出し動作に伴い、消火器保持部78と消火器案内部80は、軸部82により共に前方に回動し、初期状態で鉛直に起立した位置にある消火器案内部80は、上端が消火器74の底部よりも下方であって監視員通路34の路面よりも上方の所定位置まで、すなわち、図8(B)に示すように、水平線HLより下方に延在する下向き傾斜となる位置まで回動する。
【0074】
また、軸部82の両端とその軸受部84の間には、図6及び図7に示すように、揺動ダンパー85が設けられている。揺動ダンパー85は、公知であり、例えば、外部のステータと内部のローターとの間にオイルが充填され、ステータの内周に摺接するローターの突起部にオリフィスが設けられ、ステータとローターの相対回転に伴うオイルの流れをオリフィスで絞ることでトルクを発生するものである。このため、消火器74の引出し動作で消火器74の荷重が消火器案内部80に作用しても、消火器保持部78と消火器案内部80は、揺動ダンパー85の発生トルクを受けて滑らかに回動する。
【0075】
なお、トルクを発生させるには、揺動ダンパー85に替えて軸方向に進退するピストンダンパーを設ける構造であってもよい。また、消火器保持部78と消火器案内部80が元の初期位置に戻される場合に、トルクを発生することなく軽い力で回動することを可能とするためには、揺動ダンパーのローター突起部に設けられたオリフィスをバイパスする逆止弁を設ける構造であってもよい。
【0076】
(b5.消火器引出し動作)
次に、第1の消火器移動機構76Aによる消火器74の引出し動作について詳細に説明する。図13(A)~(D)は、利用者が消火栓装置10から消火器74を引き出す動作を時系列で示している。
【0077】
図13(A)は、通常の設置状態であり、閉鎖された消火器扉16の内側に、第1の消火器移動機構76Aの消火器保持部78により底部が保持された状態で消火器74が収納されている。
【0078】
利用者が消火器74を使用する場合には、消火器扉16を横開きして消火器収納部52の前面を開放し、固定レバー74aを手で持って、消火器74を手前に引き出す動作を行う。この消火器74の引出し動作に伴い、図13(B)に示すように、軸部82を中心に消火器74と一体に第1の消火器移動機構76Aが前方に、図6及び図7に示すような揺動ダンパー85によるダンパー作用によって緩やかに回動し、消火器74が消火器保持部78から外れると、図13(C)に示すように、消火器74は消火器案内部80に乗った状態で引出される。
【0079】
更に、消火器案内部80が消火器74の荷重を受けて前方に回動して、消火器案内部80の上端が消火器74の底部よりも下方であって監視員通路34の路面よりも上方の所定位置に、すなわち、図13(D)に示すように、水平方向より下方に延在する下向きに傾斜した位置に回動して行くと、これに伴い、消火器案内部80を構成する固定側の箱形部材88の先端の開口92から内部に収納されている可動板部材90が自重により移動して前方へ延伸し、斜め下向きに延在する傾斜路86が形成される。
【0080】
なお、図13(D)では、可動板部材90の先端のストッパー板94が、監視員通路34の路面から浮いた状態となっているが、ストッパー板94が監視員通路34の路面に当接するまで消火器案内部80(箱形部材88及び可動板部材90)が回動するように構成してもよい。
【0081】
このため、利用者は、消火器案内部80の箱形部材88と可動板部材90によって形成された下向きの傾斜路86に沿って消火器74を容易かつ安全に引き出すことができ、引出された消火器74が、その重量により利用者の手から離れて足の上に落下して怪我を負わせたり、監視員通路34の路面に直接落下して破損したりすることが確実に回避でき、消火器74を用いた迅速な消火活動を可能とする。
【0082】
(b6.消火器案内部の変形形態)
第1の消火器移動機構76Aに設けられる消火器案内部80の変形形態について、図14の組立分解図を参照して、より詳細に説明する。
【0083】
本実施形態の消火器案内部80は、図14に示すように、可動板部材90の上面となる前方位置に形成された矩形の凹部115の中に、複数本のガイドローラー114が配置されており、それ以外の構造は、図12の消火器案内部80と同様となる。このように、消火器74の引出し動作により、図13(D)に示すように、下向きに傾斜した傾斜路86を形成する可動板部材90の上面にガイドローラー114が配置されることで、傾斜路86に沿って消火器74を軽い力で容易に引き出すことを可能とする。なお、傾斜路86を形成する可動板部材90の上面には、ガイドローラー114に限定されず、適宜の低摩擦抵抗の部材や構造を設ける構造であってもよい。
【0084】
[c.第2の消火器移動機構]
第2の消火器移動機構の実施形態について詳細に説明する。図15は、消火栓装置の消火器格納部52を側面から見た断面を示し、図16は、第2の消火器移動機構が回動した状態を取り出して示し、図17は、第2の消火器移動機構により消火器を引き出す途中の状態を取り出して示し、図18は、第2の消火器移動機構を側面から見た断面図を示し、図19は、第2の消火器移動機構の構造を俯瞰した組立分解図を示している。
【0085】
(c1.機構構造)
図15に示すように、架台28の上に取付け固定された消火栓装置10の筐体11b内となる消火器収納部52には、第2の消火器移動機構76Bにより消火器74が引出し自在に収納されている。第2の消火器移動機構76Bは、消火器保持部78、消火器案内部120、消火器搬送部126及び軸部82で構成される。
【0086】
(c2.消火器保持部)
消火器保持部78について詳細に説明する。消火器保持部78は、消火器74の底部を着脱自在に保持するものであり、その構造や材質などは任意であるが、例えば、図18及び図19に示すように、箱形の台座78aの上にカップ状の消火器ホルダー78bを装着し、消火器ホルダー78bの中に消火器74の底部を着脱自在に嵌め入れている。消火器ホルダー78bは弾性変形自在な任意の材質であり、例えば、シリコンゴムが使用され、消火器74の底部を吸着状態で保持する。
【0087】
(c3.消火器搬送部)
消火器搬送部126について詳細に説明する。消火器搬送部126は、消火器保持部78を搬送させるものであり、その機能や構造は任意であるが、例えば、図19に示すように、消火器保持部78の台座78aの一端に設けられた支持脚130に、車軸127によって車輪128を回転自在に軸支した構造となっている。
【0088】
(c4.消火器案内部)
消火器案内部120について詳細に説明する。消火器案内部120は、引出し動作される消火器74を案内する傾斜路86を形成するものであり、その構造や機構は任意であるが、例えば、図18及び図19に示すように、可動案内部として機能する外箱部材122と固定案内部として機能する内箱部材124で構成される。
【0089】
外箱部材122は、前後方向に開口した中空形状であり、上面の前後方向に、消火器搬送部126の支持脚130を通すための2本のガイドスリット138が形成されている。また、ガイドスリット138の前端側は開口し、後端側には、ゴムホルダー132が配置される。ゴムホルダー132に形成されたスリット132aに車輪128の支持脚130が離脱自在に嵌め込まれ、消火器保持部78の移動に伴い、消火器搬送部126と外箱部材122が一体的に、固定側となる内箱部材124に対し移動可能となっている。
【0090】
内箱部材124は、前方に開口した中空形状であり、外箱部材122の中に収納された場合に移動自在とするサイズで、後端側に、軸部82を挿通する軸穴82aが形成されている。内箱部材124の上面の前後方向には、消火器搬送部126の支持脚130を通すための2本のガイドスリット140が形成されている。このため、内箱部材124の内部空間の高さは、消火器搬送部126の車輪128が転動可能となる高さとなっている。
【0091】
外箱部材122の中に内箱部材124が収納された状態で、両者のガイドスリット138,140は消火器搬送部126から見て同じ位置となり、消火器搬送部126の支持脚130の車輪128が軸支された下側がガイドスリット138,140を介して内箱部材124の中に位置し、内箱部材124の中空部で車輪128を転動自在に支持している。
【0092】
内箱部材124の前方の開口端の上面及び下面には、前方に向かって厚みが増加する傾斜形状のゴムストッパー136が配置されている。また、内箱部材124のゴムストッパー136に対応して、図18に示すように、外箱部材122の後方の開口端の内側には、前方に向かって厚みが減少する傾斜形状のゴムストッパー134が配置されている。
【0093】
利用者が消火器74を使用する場合には、消火器扉16を横開きして消火器収納部52の前面を開放し、図16に示すように、固定レバー74aを手で持って、消火器74を手前に倒す動作を行う。この動作に伴い、軸部82を中心に消火器74と一体に第2の消火器移動機構76Bの消火器案内部120が前方に回動する。
【0094】
消火器74が引出されると、消火器ホルダー部78bによる消火器74の保持力により、消火器搬送部126が消火器74と共に移動し、内箱部材124の中空部を車輪128が転動することによる消火器搬送部126の移動に伴って、外箱部材122が固定側となる内箱部材124に対し前方へ移動する。外箱部材122は、消火器ホルダー部78bによる消火器74の保持力、及び消火器保持部78に設けられた消火器搬送部126の支持脚130が、外箱部材122のゴムホルダー132のスリット132aに強く嵌め込まれていることで、消火器74の引出し動作に応じて移動する。
【0095】
移動する外箱部材122が内箱部材124から抜け出す位置に近付くと、外箱部材122のゴムストッパー134が内箱部材124のゴムストッパー136に、傾斜面同士の接触により当接して停止する。この外箱部材122の移動によって、図17に示すように、内箱部材124に対し外箱部材122が延伸し、車輪128が転動する内箱部材124の中空部から外箱部材122の中空部に延在する、下向き傾斜面となる消火器の傾斜路86が形成される。
【0096】
ゴムストッパー134,136の当接により外箱部材122が停止した状態で、消火器74が更に強く引出されると、消火器搬送部126の支持脚130がゴムホルダー132のスリット132aから外れ、消火器74は、外箱部材122の中空部を車輪128が転動することで移動し、最終的に外箱部材122から離脱する。
【0097】
このため、図20に示すように、消火器案内部120から離脱した消火器搬送部126は、消火器保持部78の台車として機能し、監視員通路34の路面上を車輪128が転動することで、利用者が10kg程度と重い消火器74を火災発生場所に容易に搬送して、迅速な消火活動が可能となる。
【0098】
(c5.軸部)
軸部82について詳細に説明する。軸部82は、消火器案内部120を回動させるものであり、その構造や機構は任意であるが、例えば、図15乃至図19に示すように、内箱部材124の開口の反対側となる後端側を、筐体11bの開口底部の前縁に配置された軸受部84に挿通して、消火器案内部120の上端を軸回りに回動可能に軸支している。また、軸部82は、消火器74の引出し動作に伴い、消火器案内部120の上端が消火器74の底部よりも下方であって監視員通路34の路面よりも上方の所定位置まで、すなわち、図17に示すように、略鉛直位置から前方に回動して水平線HLより下方に延在する下向き傾斜となる位置まで回動可能としている。
【0099】
ここで、軸部82の両端とその軸受部84の間には、図6及び図7に示したのと同様に、例えば、揺動ダンパーが設けられており(図示省略)、消火器74の引出し動作で消火器74の荷重が消火器案内部120に作用しても、消火器保持部78と消火器案内部120は、揺動ダンパーの発生トルクを受けて滑らかに回動する。
【0100】
(c6.消火器引出し動作)
第2の消火器移動構76Bによる消火器74の引出し動作について詳細に説明する。図21(A)~(D)は、利用者が消火栓装置10から消火器74を引き出す動作を時系列で示している。
【0101】
通常の設置状態では、図21(A)に示すように、閉鎖された消火器扉16の内側に、第2の消火器移動機構76Bの消火器保持部78により底部が保持された状態で消火器74が収納されている。
【0102】
利用者が消火器74を使用する場合には、消火器扉16を横開きして消火器収納部52の前面を開放し、固定レバー74aを手で持って、消火器74を手前に引き出す動作を行う。この消火器74の引出し動作に伴い、図21(B)に示すように、軸部82を中心に消火器74を保持した消火器保持部78と一体に消火器案内部120が前方に揺動ダンパーによるダンパー作用によって緩やかに回動する。
【0103】
更に、消火器案内部120が消火器74の荷重を受けて前方に回動して、消火器案内部120の上端が消火器74の底部よりも下方であって監視員通路34の路面よりも上方の所定位置に、すなわち、図21(C)に示すように、水平方向より下方に延在する下向きに傾斜した位置に回動して行くと、これに伴い、消火器案内部120を構成する固定側の内箱部材124の外側に配置されている可動側の外箱部材122が移動して前方へ延伸し、消火器搬送部126の車輪128が転動する内箱部材124の中空部から外箱部材122の中空部に延在する、斜め下向きの傾斜路86が形成される。
【0104】
このため、利用者は、消火器案内部120の内箱部材124と外箱部材122によって形成された下向きの傾斜路86に沿って消火器74を容易かつ安全に引き出すことができ、引出された消火器74が、その重量により利用者の手から離れて足の上に落下して怪我を負わせたり、監視員通路34の路面に直接落下して破損したりすることが確実に回避できる。
【0105】
更に、消火器74を引き出すと、図21(D)に示すように、消火器搬送部126は、車輪128が外箱部材122から抜け出して離脱することで消火器保持部78の台車として機能し、利用者が消火器74を引いて監視員通路34上を容易に移動することが可能となる。
【0106】
[d.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置の変形例について詳細に説明する。本発明の消火栓装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0107】
(消火器箱)
上記の実施形態は、消火栓装置の消火器収納部に消火器移動機構が設けられた場合を例にとっているが、これに限定されず、例えば、壁面に箱抜きできない躯体構造のトンネルの、長手方向の監視員通路に沿ったトンネル壁面に近接又は当接させて設置された架台上に取付け固定される消火器箱を対象とし、横開き自在な消火器扉を備えた消火器箱の筐体内に、図6乃至図21に示したのと同様な消火器移動機構により消火器が収納されるものであってもよい。
【0108】
(壁掛け設置)
また、上記の実施形態では、消火栓装置をトンネルの監視員通路の路面に設置された架台上に取付け固定しているが、消火栓装置をトンネル壁面に設置された架台に壁掛け固定する構造においても、本発明を適用することができる。
【0109】
(消火器移動機構)
本実施形態の消火器移動機構は、図6乃至図21に示した実施形態である、第1の消火器移動機構76A及び第2の消火器移動機構76Bに限定されず、消火器保持部と消火器案内部が共に前方に回動し、消火器案内部が略鉛直位置から前方に回動して水平方向より下方に延在する斜め下向きの傾斜位置に回動した場合に、前方に延伸して傾斜路を形成できるものであれば、適宜の構造、機構、形状を含むものである。例えば、消火器案内部として、複数枚の板部材が順番にスライド自在に重ねて配置され、略鉛直位置から水平方向より下方に延在する斜め下向きの傾斜位置に回動した場合に、複数の板部材が順番にスライドして延伸することで、傾斜路を形成するものであってもよい。
【0110】
(消火栓装置の薄型化)
上記の実施形態は、消火栓装置の背面形状を、トンネル壁面の湾曲形状に合わせた傾斜形状としているが、これに限定されず、消火栓装置の正面形状もトンネル壁面の湾曲形状に合わせた傾斜形状としてもよい。また、消火栓装置の背面及び又は正面を傾斜形状とすると筐体構造が複雑化する場合があることから、トンネル壁面の湾曲形状に合わせることなく、側面から見て従来装置と同様に矩形形状としてもよい。
【0111】
(トンネル壁面が円形断面以外の場合)
上記の実施形態におけるトンネル断面形状は円形となっているが、トンネル断面が円形以外、例えば、三心円等の場合には、トンネル断面形状の水平方向の幅が最も広い位置の水平線を、上記の説明におけるトンネル中心線SL1とすることで、本発明を適用することができる。
【0112】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0113】
10:消火栓装置
11a,11b:筐体
12:消火栓扉
13a,13b:化粧枠
14:保守扉
16:消火器扉
17:覗き窓
18:電装扉
20:赤色表示灯
22:発信機
24:応答ランプ
25:電話ジャック
26:トンネル壁面
28:架台
30:第1架台
32:第2架台
34:監視員通路
36:道路
38:壁面固定部材
40:ダクト
42:給水本管
44:分岐管
46:仕切弁
48:給水配管
50a:バルブ類収納部
50b:ホース収納部
52:消火器収納部
54:給水栓
56:消火栓弁
58:自動調圧弁
60:消火栓弁開閉レバー
62:ホース
64:ホース収納フレーム
65:ポンプ起動スイッチ
66:ホースガイド
68:ノズル
70:ノズルホルダー
72a,72b:端子箱
74:消火器
76A:第1の消火器移動機構
76B:第2の消火器移動機構
78:消火器保持部
78a:台座
78b:消火器ホルダー
80,120:消火器案内部
82:軸部
84:軸受部
85:揺動ダンパー
86:傾斜路
88:箱型部材(固定案内部)
90:可動板部材(可動案内部)
92,122a,124a:開口
94:ストッパー板
96,98:ローラー
100:位置決め部
100a:位置決めスライド部材
100b:固定部材
102:位置決めスリット穴
104~112:ビス
114:ガイドローラー
122:外箱部材(可動案内部)
124:内箱部材(固定案内部)
126:消火器搬送部
127:車軸
128:車輪
130:支持脚
132:ゴムホルダー
134,136:ゴムストッパー
138,140:ガイドスリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図17
図18
図19
図20
図21