(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001576
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】自発光式シート
(51)【国際特許分類】
E01F 9/615 20160101AFI20241225BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20241225BHJP
E01F 9/669 20160101ALI20241225BHJP
E01F 13/02 20060101ALI20241225BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20241225BHJP
G09F 13/16 20060101ALI20241225BHJP
G09F 7/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
E01F9/615
E01F9/608
E01F9/669
E01F13/02 Z
G09F13/20 G
G09F13/16 Z
G09F7/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101253
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】391013531
【氏名又は名称】株式会社吾妻製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】内山 和勝
【テーマコード(参考)】
2D064
2D101
5C096
【Fターム(参考)】
2D064AA12
2D064AA22
2D064BA01
2D064BA03
2D064CA03
2D064CA04
2D064DA05
2D064EA02
2D064EA03
2D064EB05
2D064EB07
2D064EB22
2D101CA05
2D101GA22
2D101GA26
5C096AA01
5C096AA29
5C096BA04
5C096CC06
5C096CE02
5C096CE03
5C096DD03
5C096DD04
5C096DD05
5C096FA03
5C096FA07
(57)【要約】
【課題】発光体は複数の色で発光し、視認者に対する注意喚起効果を高めるようにでき、電池の残量の減少を僅かな消費電力で容易に表示できるようにする自発光式シート提供する。
【解決手段】道路に設置する物体に取り付けられる自発光式シート1であって、シート体10と、発光体21~27、発光体21~27を発光させる発光回路・制御部28e及び発光回路・制御部28eに電気を供給する太陽電池28b、蓄電池28dとを有する発光ユニット20とを備え、発光体21~27の各々は、シート体10上の同じ位置で、第1の色と第1の色とは異なる第2の色の2色で発光し、発光回路・制御部28eは、発光体21~27の各々を第1の色と第2の色で交互に発光させるように制御する自発光式シート1。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置する物体に取り付けられる自発光式シートであって、
シート体と、
複数の発光体、該複数の発光体を発光させる発光回路・制御部及び該発光回路・制御部に電気を供給する電源とを有する発光ユニットと、を備え、
前記複数の発光体の各々は、前記シート体上の同じ位置で複数の色で発光し、
前記発光回路・制御部は、前記複数の発光体が同時に同じ色で発光するように前記発光回路を制御することを特徴とする自発光式シート。
【請求項2】
前記複数の発光体の各々は、第1の色と該第1の色とは異なる第2の色の2色で発光し、
前記発光回路・制御部は、前記複数の発光体の各々を前記第1の色と前記第2の色で交互に発光させるように制御することを特徴とする請求項1記載の自発光式シート。
【請求項3】
前記電源は一次電池であり、発光ユニットは、前記一次電池の電池残量を示す電池残量インジケータを備えていることを特徴とする請求項1記載の自発光式シート。
【請求項4】
前記電源は太陽電池と該太陽電池が発電した電気を蓄える二次電池からなり、前記発光ユニットは、前記二次電池の電池残量を示す電池残量インジケータを備えていることを特徴とする請求項1記載の自発光式シート。
【請求項5】
前記電池残量インジケータは発光体を備え、該発光体は、前記一次電池又は前記二次電池の電池残量が第1の基準値以上で第2の基準値未満の場合に第1の色で発光し、前記電池残量が前記第2の基準値以上の場合に前記第1の色とは異なる第2の色で発光することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の自発光式シート。
【請求項6】
前記シート体には文字、図形、記号、絵柄のいずれかが一以上施され、前記複数の発光体は前記シート体に施された文字、図形、記号、絵柄のいずれかの外形に沿うように前記シート体に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の自発光式シート。
【請求項7】
前記シート体は、シート基材と該シート基材に取り付けられた反射シートを有し、該反射シートは前記文字、図形、記号、絵柄のいずれかを形成し、前記複数の発光体は前記シート基材の前記反射シートのない部分に前記前記文字、図形、記号、絵柄のいずれかを強調するように配置されていることを特徴とする請求項6記載の自発光式シート。
【請求項8】
前記シート体は前記シート基材を前記物体に取り付ける物体取付部を有し、前記物体はクッションドラムであり、前記物体取付部は、前記シート基材を前記クッションドラムに巻き付けて固定するベルトであることを特徴とする請求項7記載の自発光式シート。
【請求項9】
前記シート体は金属製の表示板であることを特徴とする請求項1記載の自発光式シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路標識、クッションドラム、コーン、表示板等の道路に設置する各種物体に取り付けられる自発光式シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、道路上(その周辺を含む)には、交通安全等を確保するために、道路標識、クッションドラム、コーン、表示板等の種々の物体が設置されている。
これらの物体には、文字、記号、絵柄等の表示が施されると共に、夜間などにおいても視認できるように発光体が取り付けられることが多い。
この場合、発光体の配置や発光の仕方等について注意を喚起したり見やすくしたりする等の観点から種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000-10512号公報)には、道路標識等の表示板に装着される透明な部材にてなるカバーであって、複数の発光ダイオードを配列することによって文字、図形、記号などによる表示が形成される発光ダイオード装着表示板カバーが開示されている。
しかしながら、特許文献1の発光ダイオード装着表示板カバーは、透明な部材からなり、文字、記号、絵柄等の印刷された表示自体は施されておらず、予めそのような表示がなされた物体にしか取り付けることができず、反射機能もない。
このため、特許文献1の発光ダイオード装着表示板カバーは、記号や絵柄が施された注意喚起用のシートとして、各種物体に取り付けて使用することができず、しかも、反射機能がないため、自動車のライトを反射して視線を誘導できないという問題がある。
この特許文献1の発光ダイオード装着表示板カバーにおいては、文字等を表示するようにした赤色の発光ダイオードを単に点灯ないし点滅させるだけであり、発光することにより注意を喚起するには不十分である。
また、特許文献1では、発光ダイオードの電源として太陽電池が記載されているが(引用文献1の段落[0037])、太陽電池自体は蓄電するものではなく、夜間に発光ダイオードに電力供給するためには、昼間太陽電池が発電した電力を蓄電する蓄電池が必要となる。
さらに、特許文献1においては、発光ダイオード装着表示板カバーが透明な部材からなり、文字、記号、絵柄等の印刷された表示自体は施されておらず、記号や絵柄が施された注意喚起用のシートとして、各種物体に取り付けて使用することができず、しかも、反射機能がないため、自動車のライトを反射して視線を誘導できないという問題がある。
【0004】
次に、特許文献2(特開2012-257398号公報)には、電柱103の外面に固定される電柱防護シート10と、電柱防護シート10に内蔵された発光体11と、発光体11を発光制御する発光制御装置30とを備えた電柱防護装置1であって、柱防護シート10は、電柱103外面に巻き付き固定されるシート状のベース部13と、ベース部13の外面に所定の配置にて突出形成された複数の衝撃緩衝用突部15と、各衝撃緩衝用突部15間のベース部13外面に配置された発光体11(発光ユニット17)とを備え、衝撃緩衝用突部15の表面には、再帰反射材21が付着されており、電柱防護装置1の電源としては、交流の商用電源あるいは太陽電池と太陽電池により発電された電力を一時的に蓄積する二次電池が使用され、発光制御装置30は、発光体11を所定の条件下にて発光(点灯又は点滅)又は消灯させる、例えば、電柱103の周囲が暗くなり所定の明るさ以下になった場合、発光体11を弱く点灯させ、光検知センサ23にて光を検知した場合、発光体11を強く点灯させるようにした電柱防護装置1が開示されている。
この特許文献2には、発光体11は、単色あるいは複数の色にて発光させることや、状況に応じて色を変えながら発光させることが記載されているが(特許文献1の段落[0014])、単に、複数の色で発光させたり、色を変えて発光させても、視認者の注意を喚起するには不十分である。
また、特許文献2の電柱防護装置において、電源として太陽電池と太陽電池により発電された電力を一時的に蓄積する二次電池を使用した場合には、夜間に二次電池に蓄電した電気を使い切ると、発光体11が発光しなくなる等の問題が生ずる。
さらに、特許文献2の電柱防護装置では、シート状のベース部13の外面に所定の配置にて突出形成された複数の衝撃緩衝用突部15が設けられていることから、シート全体に注意を喚起する文字、記号、絵柄等の表示を施すことができないという問題も生ずる。
【0005】
この点、特許文献3(特開2016-172987号公報)には、コーン90のコーン本体91のテーパー状外周面93を覆うカバー部材11に複数の発光ユニット20を取り付けたコーンカバー10であって、カバー部材11は、アウターシート11Aとインナーシート11Bとの二重構造になっており、アウターシート11Aの外面は、例えば略全体が反射部材で覆われかつ防水用の透明な樹脂でコーティングされ、また、アウターシート11Aの外面には、色違いの帯状領域が上下に交互に並んだ縞模様が付され、発光ユニット20の全てが、カバー部材11の全周の半分以下の限定領域R1内に偏在し、カバー部材11の上端部を中心とした放射状に配置されているコーンカバー10が開示されている。
しかしながら、特許文献3のコーンカバーでは、マイクロコンピュータ36が、LEDパターン点灯処理において、LED22群をリズムを変えて点滅させたり、或いは、各発光ユニット20のLED22群を2つのグループに分けて交互に点滅させる等の制御を行うが(引用文献3の段落[0043])、このようなLED22群の点滅制御では、視認者の注意を喚起するには不十分である。
また、特許文献3のコーンカバーでは、発光ユニット20の電源として電池32が使用され、最初に電池32の残容量に応じた点滅パターンでLED22群が点滅するようになっているが(引用文献3の段落[0043]、[0046])、電池32の残量を表示するのに、発光ユニット20全体を点滅させる必要があり、面倒であるのみならず、電池32の残量を表示するためにある程度の電力消費量が必要になるという問題がある。
【0006】
ところで、特許文献4(特開2011-208472号公報)には、複数の発光体が、それぞれ、交互に点滅される赤色系LEDと青色系LEDとから構成される自発光視線誘導標であって、 一つの赤色系LEDが、発光体の表示面における中心に配置される中央LEDとし、該中央LED以外の前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、それぞれ、3個以上使用されるとともに、前記中央LEDを中心として、周方向に沿って、均等でかつ交互に配設され、前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが交互に点滅するようにした自発光視線誘導標が開示されている。
しかしながら、特許文献4の自発光視線誘導標では、赤色系LEDと青色系LEDが交互に点滅することから、配置したLEDの一部(半分)しか同時に発光せず、視認効果が劣るのみならず、赤色系LEDの発光模様と青色系LEDの発光パターン(発光模様)が異なり、視認者に対する注意喚起効果が不十分であるという問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-10512号公報
【特許文献2】特開2012-257398号公報
【特許文献3】特開2016-172987号公報
【特許文献4】特開2011-208472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、道路に設置される各種物体に取り付けられ、電池を電源とする複数の発光体を有する注意喚起用のシートであって、発光体は複数の色で発光し、視認者に対する注意喚起効果を高めるようにでき、電池の残量の減少を僅かな消費電力で容易に表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、道路に設置する物体に取り付けられる自発光式シートであって、シート体と、複数の発光体、該複数の発光体を発光させる発光回路・制御部及び該発光回路・制御部に電気を供給する電源とを有する発光ユニットとを備え、前記複数の発光体の各々は、前記シート体上の同じ位置で複数の色で発光し、前記発光回路・制御部は、前記複数の発光体が同時に同じ色で発光するように前記発光回路を制御する自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項2の発明は、前記複数の発光体の各々は、第1の色と該第1の色とは異なる第2の色の2色で発光し、前記発光回路・制御部は、前記複数の発光体の各々を前記第1の色と前記第2の色で交互に発光させるように制御する自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項3の発明は、前記電源は一次電池であり、発光ユニットは、前記一次電池の電池残量を示す電池残量インジケータを備えている自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項4の発明は、前記電源は太陽電池と該太陽電池が発電した電気を蓄える二次電池からなり、前記発光ユニットは、前記二次電池の電池残量を示す電池残量インジケータを備えている自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項5の発明は、前記電池残量インジケータは発光体を備え、該発光体は、前記一次電池又は前記二次電池の電池残量が第1の基準値以上で第2の基準値未満の場合に第1の色で発光し、前記電池残量が前記第2の基準値以上の場合に前記第1の色とは異なる第2の色で発光する自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項6の発明は、前記シート体には文字、図形、記号、絵柄のいずれかが一以上施され、前記複数の発光体は前記シート体に施された文字、図形、記号、絵柄のいずれかの外形に沿うように前記シート体に取り付けられている自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0015】
請求項7の発明は、前記シート体は、シート基材と該シート基材に取り付けられた反射シートを有し、該反射シートは前記文字、図形、記号、絵柄のいずれかを形成し、前記複数の発光体は前記シート基材の前記反射シートのない部分に前記前記文字、図形、記号、絵柄のいずれかを強調するように配置されている自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0016】
請求項8の発明は、前記シート体は前記シート基材を前記物体に取り付ける物体取付部を有し、前記物体はクッションドラムであり、前記物体取付部は、前記シート基材を前記クッションドラムに巻き付けて固定するベルトであ自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【0017】
請求項9の発明は、前記シート体は金属製の表示板である自発光式シートを提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明の自発光式シートにおいては、複数の発光体の各々がシート体上の同じ位置で複数の色で発光するが、同時には同じ色で発光することから、注意喚起効果が高められるという効果を奏する。
【0019】
請求項2に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、前記複数の発光体の各々が第1の色と該第1の色とは異なる第2の色の2色で交互に発光することからし、注意喚起効果が一層高められるという効果を奏する。
【0020】
請求項3に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、電池残量インジケータにより、一次電池の電池残量が認識できるという効果を奏する。
【0021】
請求項4に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、電池残量インジケータにより、太陽電池が発電した電気を蓄える二次電池の電池残量が認識できるという効果を奏する。
【0022】
請求項5に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、前記一次電池又は前記二次電池の電池残量が2段階で視認できるという効果を奏する。
【0023】
請求項6に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、前記複数の発光体が前記シート体に施された文字、図形、記号、絵柄のいずれかを強調するという効果を奏する。
【0024】
請求項7に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、前記複数の発光体が前記前記文字、図形、記号、絵柄のいずれかを強調するように配置されていることから、視認者の注意を一層喚起できるという効果を奏する。
【0025】
請求項8に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、自発光式シートをクッションドラムに容易に取り付けることできるという効果を奏する。
【0026】
請求項9に記載の発明の自発光式シートにおいては、さらに、自発光式シート自体を表示板として使用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】
図1に示す自発光式シートの分解斜視図である。
【
図6】自発光式シート1における発光体21とキャップ31の斜視図である。
【
図7】
図6に示す発光体21の左側面図、正面図及び平面図である。
【
図8】
図7のA-A断面図、B-B断面図及びC-C断面図である。
【
図9】
図6に示すキャップ31の正面図、背面図及びD-D断面図である。
【
図10】発光体21の突出部21bにキャップ31が被せられた状態を説明する説明図である。
【
図11】発光ユニット20の制御構成を示したブロック図である。
【
図12】発光回路・制御部28eの制御による発光体21~27のLED素子L1a・L1b~L7a・L7bの点灯状態を説明する説明図である。
【
図13】電池残量インジケータの動作を示したフローチャートである。
【
図14】発光回路・制御部28eの制御によるLED28cのLED素子L8bとLED素子L8aの点灯状態を説明する説明図である。
【
図15】自発光式シート1をクッションドラムに取り付けた状態の斜視図である。
【
図17】
図16に示す自発光式シートの平面図、正面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[自発光式シートの構成]
図1は、本発明の自発光式シートの斜視図、
図2は、
図1に示す自発光式シートの平面図、
図3は、
図1に示す自発光式シートの正面図、
図4は、
図1に示す自発光式シートの背面図、
図5は、
図1に示す自発光式シートの分解斜視図である。
図中、1は自発光式シート、10はシート体、11はシート基材、12a、12b、12c、12d、12eは反射シート、13a、13b、14a、14b、15a、15bはベルト、13c、14c、15cは留め金、20は発光ユニット、21、22、23、24、25、26、27は発光体、28は電源・制御装置、28aはボックス、28bは太陽電池、28cはLED、31、32、33、34、35、36、37はキャップ、EW1、EW2、EW3、EW4、EW5、EW6、EW7は電線(ケーブル)、h11、h12、h13、h14、h15、h16、h17は貫通孔であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
図に示すように、自発光式シート1は、シート体10、発光ユニット20及びキャップ31~37を備えている。
【0029】
[シート体]
シート体10は、長方形状のシート基材11、反射シート12a~12e、ベルト13a、13b、14a、14b、15a、15bを備えている。
シート基材11は、塩化ビニル系多層素材であるターポリンからなり、例えば、ポリエステルやナイロン等の合成繊維の織物の両面に塩ビ樹脂を積層したシートからなる。
そして、
図5に示すように、シート基材11の中央の反射シート12a~12cが貼り付けられていない部分には、Vの字を形成する7個の貫通孔h11~h17が設けられている。
反射シート12a~12eは、透明で強靭な表面プラスチックフィルムと、樹脂中に高屈折率微小ガラスビーズを用いた封入型反射シート、あるいは、耐候性の優れた特殊なプラスチックと極微小なガラスビーズ・反射膜・接着剤等からなる封入レンズ型再帰反射シート等からなる。
この場合、
図3に示すように、逆三角形状の反射シート12aが、接着剤等によりシート基材11の正面中央上部に貼り付けられ、平行四辺形状の反射シート12b、12cが、接着剤等によりシート基材11の正面の上端から下端にかけて貼り付けられてVの字を形成し、その外側に直角三角形状の反射シート12d、12eが、接着剤等により貼り付けられている。
このようにシート体10には、反射シート12a~12eによる絵柄が形成されるが、これにより、視認者の注意が喚起される。
ベルト13a等は、シート基材11と同じターポリンからなり、シート基材11の正面側の四隅にはベルト13a、13b、14a、14bが溶着され、シート基材11の背面側の左右上端部には15a、15bが溶着されている。
そして、ベルト13b、14b、15bの溶着されていない側の端部には、それぞれ留め金13c、14c、15cが取り付けられている。
なお、シート基材11に反射シート12a~12eを貼り付けることに代えて、反射シート12a~12eのパターンをシート基材11に直接印刷して形成してもよい。
【0030】
[発光ユニット20の構成]
発光ユニット20は、発光体21~27、電源・制御装置28及び電線(ケーブル)EW1~EW7等を備え、発光体21~27には、それぞれキャップ31~37が被せられている。
図6は、自発光式シート1における発光体21とキャップ31の斜視図、
図7(a)は、
図6に示す発光体21の左側面図、
図7(b)は、
図6に示す発光体21の正面図、
図7(c)は、
図6に示す発光体21の平面図、
図8(a)は、
図7(b)のA-A断面図、
図8(b)は、
図7(c)のB-B断面図、
図8(c)は、
図7(c)のC-C断面図、
図9(a)は、
図6に示すキャップ31の正面図、
図9(b)は、
図6に示すキャップ31の背面図、
図9(c)は、
図9(b)のD-D断面図である。
図中、21aは鍔部、21bは突出部、21c1、21c2、21c3、21c4は第1凸部、21d1、21d2、21d3、21d4は第1突起、21eはLED、21fはLED基板、21g1、21g2、21g3、21g4はリードフレーム、21kは空間、31aはキャップ前面部、31bはキャップ本体部、31c1、31c2、31c3、31c4は第2凸部、31d1、31d2、31d3、31d4は第2突起である。
発光体21は、鍔部21a、筒状の突出部21b、砲弾型のLED21e、LED基板21f、リードフレーム21g1、21g2、21g3、21g4等から構成される。
鍔部21aと突出部21bはプラスチック製であり一体となって本発明のLED収納ケースとなる。
突出部21bの外周面には、4個のL状の第1凸部21c1~21c4と、短い線状の第1突起21d1~21d4が設けられている。
第1凸部21c1~21c4の各々は、前側の広幅部分と後側の狭幅部分からなり、広幅部分と狭幅部分と鍔部21aで囲われた部分に各第1突起21d1~21d4が設けれている。
また、突出部21bの内側には、LED21e等を収納する空間21kが形成されている。
【0031】
LED21eは、色の異なる2個のLED素子(例えば、赤色に発光するLED素子と緑色に発光するLED素子)とアノード・カソードとボンディングワイヤー等(図示せず)が樹脂で封入されたものであり、LED基板21fは、プリント基板(図示せず)が固定された土台であり、LED21cとLED基板21fは、リードフレーム21g1、21g2、21g3、21g4により接続されている(例えば、赤色に発光するLED素子にはリードフレーム21g1、21g2が接続され、緑色に発光するLED素子にはリードフレーム21g3、21g4が接続されている。)。
キャップ31は、発光体21に被せられて本発明の保護部材となるプラスチック製の円筒体であり、一体成形されたキャップ前面部31aとキャップ本体部31bからなる。
キャップ前面部31aには、発光体21の突出部21bの前部が嵌め込まれる穴が設けられている。
キャップ本体部31bの軸方向(Y方向)には挿通穴が設けられ、その内周面には、4個の第2凸部31c1~31c4が等間隔で設けられ、各第2凸部31c1~31c4の隣には短い線状の第2突起31d1~31d4が設けられている。
そして、発光体21の突出部21bが、シート基材11に設けられた貫通孔h11に背面側から挿通されてシート基材11の正面側に突出し、突出した突出部21bにキャップ31が被せられ、第1凸部21c1~21c4で形成される突出部21bの外周面の凹部に第2凸部31c1~31c4が篏合され、第2突起31d1~31d4が第1突起21d1~21d4に係合され、キャップ31と発光体21の鍔部21aでシート基材11が挟み込まれることにより、発光体21がシート基材11に取り付けられる。
なお、突出部21bとキャップ31は白色であり、LED21eが発光した光を外側に放出する。
また、シート基材11の正面とキャップ31の背面の間にはパッキン(図示せず)が取り付けられ、空間21k内への雨水等の浸入が防止される。
【0032】
図10は、発光体21の突出部21bにキャップ31が被せられた状態を説明する説明図であり、同図(a)は、突出部21bにキャップ本体部31bを挿入した状態の平面図、同図(b)は、キャップ本体部31bを回転させて第1突起21d1~21d4と第2突起21d1~21d4を係合させた状態の平面図、同図(c)は、同図(a)のE-E断面図、同図(d)は、同図(b)のF-F断面図、同図(e)は、同図(a)のG-G断面図、同図(f)は、同図(b)のH-H断面図である。
図中、21s1、21s2、21s3、21s4は隙間であり、図においてシート基材11は省略する。
発光体21の突出部21b乃至第1凸部21c1~21c4の外径とキャップ本体部31bの外径、キャップ前面部31aの穴径の関係について説明すると、突出部21bの第1凸部21c1~21c4の外径は、キャップ本体部31bの内径より僅かに小さく、キャップ前面部31aの穴径より少し大きくなっており、突出部21b(第1凸部21c1~21c4のない部分)の外径は、キャップ本体部31bの第2凸部31c1~31c4の内径より少し小さく、キャップ前面部31aの穴径(キャップ本体部31bの内径より少し小さい)より僅かに小さくなっている。
すなわち、各部の大きさは、以下のようになっている。
突出部21bの外径<キャップ前面部31aの穴径<第2凸部31c1~31c4の内径<第1凸部21c1~21c4の外径<キャップ本体部31bの内径
これより、発光体21の突出部21bにキャップ31を被せると、キャップ31は、前後方向、円周方向に移動可能となっているが、第1凸部21c1~21c4の広幅部がキャップ前面部31aの穴の周囲部分に当たって前後方向の移動が規制され、第2凸部31c1~31c4が第1凸部21c1~21c4の狭幅部分に当たって前後方向の移動が規制される。
【0033】
今、
図10(a)、(c)、(e)に示すように発光体21の突出部21bにキャップ本体部31bを挿入して最も押し込んだ状態とする。
このとき、キャップ本体部31bの第2凸部31c1~31c4と第2突起31d1~31d4が、突出部21bの第1凸部21c1~21c4の広幅部の間を通り抜け、第1凸部21c1~21c4の狭幅部の間に位置し、キャップ前面部31aの穴の周囲部分が第1凸部21c1~21c4の広幅部の正面に当たった状態となる。
この状態でキャップ31を時計回りに回転させると、
図10(b)、(d)、(f)に示すように第2凸部31c1~31c4が、第1凸部21c1~21c4の広幅部・狭幅部と鍔部21a(基材11の正面側)で囲われた凹部に篏合し、第2突起31d1~31d4が、第1突起21d1~21d4を乗り越えて(第2突起31d1~31d4と第1突起21d1~21d4の接触部分が変形し)、第1突起21d1~21d4と第1凸部21c1~21c4の間に形成されている隙間21s1~21s4に(第2突起31d1は隙間21s1に、第2突起31d2は隙間21s2に、第2突起31d3は隙間21s3に、第2突起31d4は隙間21s4に)位置する。
これにより、第2突起31d1~31d4が第1突起21d1~21d4に係合した状態となって、キャップ31が反時計回りに回転するのが規制され、第2凸部31c1~31c4が第1凸部21c1~21c4の広幅部に当たり、キャップ31が正面側に移動するのが規制され、キャップ31が突出部21bから外れるのが防止される。
【0034】
他の発光体22~27も発光体21と同じ構造であり、鍔部、突出部、LED、LED基板、リードフレーム等から構成され、突出部の外周面には、4個のL状の第1凸部と、4個短い線状の第1突起が設けられている。
他のキャップ32~37もキャップ31と同じ構造であり、一体成形されたキャップ前面部とキャップ本体部からなり、キャップ前面部には、発光体22~27の前部が嵌め込まれる穴が設けられ、キャップ本体部の軸方向に設けられた挿通穴の内周面には、4個の第2凸部が等間隔で設けられ、各第2凸部の隣には短い線状の第2突起が設けられている。
そして、発光体21と同様にして、発光体22~27の各突出部がシート基材11に設けられた各貫通孔h12~h17に背面側から挿通されてシート基材11の正面側に突出し、突出した各突出部にキャップ32~37が被せられ、第1凸部で形成される各突出部の外周面の凹部に第2凸部が篏合され、第2突起が第1突起に係合され、各キャップ32~37と各発光体22~27の鍔部でシート基材11を挟み込むことにより、各発光体22~27がシート基材11に取り付けられる。
この場合、発光体21~27は、シート基材11の反射シート12a~12eがない部分に、反射シート12b、12cの外形に沿うようして配置されてVの字を形成し、反射シート12a~12eが形成するパターン(絵柄)を強調するようになっている。
【0035】
電線EW1~EW7は、電源・制御装置28から発光体21~27の各LED(LED素子)に電気を供給して各LED(LED素子)を発光させる電線である。
図4に示すように電線EW1の一端は電源・制御装置28に接続され、電線EW1の他端は発光体21に接続され、電線EW2の一端は発光体21に接続され、電線EW2の他端は発光体22に接続され、電線EW3の一端は発光体22に接続され、電線EW3の他端は発光体23に接続され、電線EW4の一端は発光体23に接続され、電線EW4の他端は発光体24に接続され、電線EW5の一端は発光体24に接続され、電線EW5の他端は発光体25に接続され、電線EW6の一端は発光体25に接続され、電線EW6の他端は発光体26に接続され、電線EW7の一端は発光体26に接続され、電線EW7の他は発光体27に接続されている。
そして、
図8(a)等に示すように、発光体21においては、電線EW1の他端と電線EW2の一端が鍔部21aに通されて、LED基板21fのプリント基板に接続(導通)されている。
他の発光体22~27においても、発光体21と同様に各電線の他端と隣り合う電線の一端が各発光体22~27の鍔部に通されて、LED基板のプリント基板に接続(導通)されている。
電線EW1・EW2は、LED21eに電気を供給してLED素子を発光させるものであり、電線EW1の一端は鍔部21aに通されて、LED基板21fのプリント基板に接続(導通)されている。
他の電線EW2・EW3~EW6・EW7も、電線EW1・EW2と同様に、各発光体22~27のLEDに電気を供給してLED素子を発光させるものであり、各発光体22~27の鍔部に通されて、LED基板のプリント基板に接続(導通)されている。
【0036】
[発光体の制御]
図11は、発光ユニット20の制御構成を示したブロック図であり、図中、28dは蓄電池、28eは発光回路・制御部、L1a、L1b、L2a、L2b、L3a、L3b、L4a、L4b、L5a、L5b、L6a、L6b、L7a、L7b、L8a、L8bはLED素子である。
電源・制御装置28は、太陽電池28b、LED28c、蓄電池28d、発光回路・制御部28e、電源スイッチ(図示せず)等を備え、これらはボックス28aに収納されており、太陽電池28bと蓄電池28dは、本発明の電源となる。
太陽電池28bは、ボックス28aの上面に取り付けられたソーラーパネル等からなり、昼間、太陽光を受けたソーラーパネルが発電し、発電した電気を蓄電池28dに供給する。
LED28cは、異なる色に発光する2個のLED素子L8a、L8b、すなわち、第1の色(例えば赤色)で発光するLED素子L8aと、第1の色とは異なる第2の色(例えば緑色)で発光するLED素子L8bを備え、ボックス28aの上面のソーラーパネルの横に取り付けられ、電源・制御装置28の電源スイッチをONにし、蓄電池28dの電圧が所定値以上ある場合にLED素子L8a、L8bが点灯あるいは点滅し、蓄電池28dの電池残量インジケーターとして機能する(詳細は後述する)。
蓄電池28dは、ニッケル水素電池(Ni-MH)、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の二次電池であり、太陽電池28bが発電した電気を蓄電し、蓄電した電気を発光回路・制御部28eに供給する。
なお、本発明の電源は、太陽電池と蓄電池からなるもので限定されず、アルカリマンガン電池、リチウム電池等の一次電池であってもよい。
【0037】
発光回路・制御部28eは、蓄電池28dからの電気を発光体21~27等に供給する発光回路とこの発光回路に供給する電気を制御する制御部からなり、所定のパターンで発光体21~27のLED素子を点灯させる。
そして、昼間において、電源・制御装置28の電源スイッチをOFFにし、太陽電池28bが発電して蓄電池28dに蓄電され、夜間において、電源・制御装置28の電源スイッチをONにし、発光体21~27の各LED素子が所定のパターンで点灯あるいは点滅する。
これにより、商用電源を使用せずに発光体21~27の各LED素子を発光させることができる。
この場合、
図9に示すように発光体21は、異なる色に発光する2個のLED素子L1a、L1b、すなわち、第1の色(例えば赤色)で発光するLED素子L1aと、第1の色とは異なる第2の色(例えば緑色)で発光するLED素子L1bを備え、他の発光体22~27も同様に、第1の色(例えば赤色)で発光するLED素子L2a~L7aと、第1の色とは異なる第2の色(例えば緑色)で発光するLED素子L2b~L7b、を備えている。
そして、後述するように発光体21~27のLED素子L1a・L1b~L7a・L7bは、発光回路・制御部28eの制御により所定のパターンで発光する。
【0038】
図12は、発光回路・制御部28eの制御による発光体21~27のLED素子L1a・L1b~L7a・L7bの点灯状態を説明する説明図であり、図中、横軸は経過時間tを示し、縦軸はLED素子のON・OFFを示している。
図12において、t0、t1、t3、t4は、電源・制御装置28の電源スイッチをONにしてからの経過時間、例えば、t0=0ms(0秒)、t1=1000ms(1秒)、t2=2000ms(2秒)、t3=3000ms(3秒)である。
また、τ1は、LED素子がデューティ比(LED素子が点灯している時間の割合)D1(例えば50%)で点灯している時間、τ2は、LED素子がデューティ比D2(例えば5%)で点灯している時間、例えば、τ1=50ms、τ2=450msである。
図12に示すように、電源・制御装置28の電源スイッチをONにすると、経過時間t0から最初のτ1では、発光体21~27の一方のLED素子L1a~L7aが、デューティ比D1で第1の色に明るく点灯し、次のτ2で同じLED素子L1a~L7aが、デューティ比D2で第1の色に暗く点灯し、その後、LED素子L1a~L7aは消灯する。
次いで、経過時間t1になると、最初のτ1では、発光体21~27の他方のLED素子L1b~L7bが、デューティ比D1で第2の色に明るく点灯し、次のτ2で同じLED素子L1b~L7bが、デューティ比D2で第2の色に暗く点灯し、その後、LED素子L1b~L7bは消灯する。
次いで、経過時間t2になると、発光体21~27の一方のLED素子L1a~L7aが、経過時間t0からの場合と同様に第1の色に点灯した後消灯し、経過時間t3になると、発光体21~27の他方のLED素子L1b~L7bが経過時間t1からの場合と同様に第2の色に点灯した後消灯する。
以後、同様にして、一方のLED素子L1a~L7aの点灯・消灯、他方のLED素子L1b~L7bの点灯・消灯が交互に繰り返され、これが、電源・制御装置28の電源スイッチがOFFになるか、蓄電池28dの電池がなくなるまで継続する。
【0039】
ところで、経過時間t0からt1の間にLED素子L1a~L7aが第1の色に点灯している時間Ta、経過時間t1からt2の間にLED素子L1b~L7bが第2の色に点灯している時間Tbは、Ta=Tb=τ1×(D1/100)+τ2×(D2/100)となる。
τ1=50ms、τ2=450ms、D1=50%、D2=5%とすると、Ta=Tb=47.5msとなる。
t0=0ms、t1=1000ms、t2=2000msとすると、経過時間t0からt1の間のTaの割合は4.75%となり、経過時間t1からt2の間のTbの割合も4.75%となり、LED素子L1a~L7a、L1b~L7bが点灯している時間は、全体時間の4.75%となる。
一方、LED素子L1a~L7a、L1b~L7bは、τ1(50ms)の間、デューティ比D1(50%)で明るく点灯することから、τ2(450ms)の間、LED素子L1a~L7a、L1b~L7bがデューティ比D2(5%)で暗く点灯しても、視認者は、τ1の間の残像により、τ2の間も明るく点灯しているように視認し、全体時間(100ms)の半分(500ms)は、LED素子L1a~L7a、L1b~L7bが明るく点灯しているように視認する。
これにより、LED素子L1a~L7a、L1b~L7bが点灯して時間を全体時間の4.75%と低くして、消費電力を少なくする一方、全体時間の半分は明るく点灯しているに見せることができる。
また、上述のようにして発光体21~27が、一定時間(1秒程度の短い時間)置きに、一方のLED素子L1a~L7aの点灯・消灯と他方のLED素子L1b~L7bの点灯・消灯を繰り返すことから、視認者は、発光体21~27が、同じ位置、同じパターンで第1の色と第2の色(例えば赤色と緑色)に交互に点滅していると認識し、視認者に対する注意喚起効果が大いに高められる。
なお、LED素子L1a~L7aの点灯・消灯とLED素子L1b~L7bの点灯・消灯の繰り返しは、上述のような1秒程度の短い時間置きではなく、数秒~数分のある程度長い時間置きであってもよく、繰り返しの時間間隔を変化させて、例えば、最初の一定時間は短い時間置きに繰り返し、次の一定時間は長い時間置きに繰り返すようにしてもよい。
【0040】
[電池残量インジケータ]
蓄電池28dの電池残量を示す電池残量インジケータは、LED28c(LED素子L8a、L8b)とLED28cの発光を制御する発光回路・制御部28e等から構成される。
図13は、電池残量インジケータの動作を示したフローチャートであり、以下このフローチャートに基づいて電池残量インジケータの動作を説明する。
まず、電源・制御装置28の電源スイッチをONにすると(S1)、発光回路・制御部28eが蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上であるかを判断する(S2)。
第1の基準電圧V1以上であると判断した場合、発光回路・制御部28eは、さらに蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2以上であるかを判断し(S3)、第2の基準電圧V2以上であると判断した場合、発光回路・制御部28eは、LED28cのLED素子L8bを第2の色で所定回数点滅させるように制御し(S4)、処理を終了する。
ステップS3で蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2未満であると判断した場合、発光回路・制御部28eは、LED28cのLED素子L8aを第1の色で所定回数点滅させるように制御し(S5)、処理を終了する。
また、ステップS2で蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V2未満であると判断した場合、発光回路・制御部28eは、LED素子L8a、L8bを点灯させずに消灯した状態にし(S6)、処理を終了する。
この場合、第1の基準電圧V1は、蓄電池28dの電池残量の第1の基準値となるもので、蓄電池28dの公証電圧の60~80%に設定され、第2の基準電圧V2は、蓄電池28dの電池残量の第2の基準値となるもので、蓄電池28dの公証電圧の80~95%に設定される。
例えば、蓄電池28dの公証電圧が2.0ボルトの場合、第1の基準電圧V1は1.5ボルトに設定され、第1の基準電圧V1は1.8ボルトに設定される。
なお、本発明の電源が一次電池の場合も、一次電池の電池残量の第1の基準値には、一次電池の公証電圧の60~80%である第1の基準電圧V1が設定され、一次電池の電池残量の第2の基準値には、一次電池の公証電圧の80~95%である第2の基準電圧V2が設定される。
【0041】
図14(a)は、発光回路・制御部28eの制御によるLED28cのLED素子L8bの点灯状態を説明する説明図、
図14(b)は、発光回路・制御部28eの制御によるLED28cのLED素子L8aの点灯状態を説明する説明図であり、図中、横軸は経過時間tを示し、縦軸はLED素子のON・OFFを示している。
図14において、t0、t1、t3、t4、t5、t6は、電源・制御装置28の電源スイッチをONにしてからの経過時間、例えば、t0=0ms(0秒)、t1=1000ms(1秒)、t2=2000ms(2秒)、t3=3000ms(3秒)、t4=4000ms(4秒)、t5=5000ms(5秒)、t6=6000ms(6秒)である。
また、τ3は、LED素子L8a、L8bが点灯している時間、例えば、τ3=20msである。
図14(a)に示すように、電源・制御装置28の電源スイッチをONにし、蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2以上であると、経過時間t0からτ3の間LED素子L8bが第2の色に点灯し、次いで、経過時間t2からτ3の間LED素子L8bが第2の色に点灯し、以後、経過時間t4、t6、・・・t2nからτ3の間LED素子L8bが第2の色に点灯する。
すなわち、蓄電池28dの電圧がV2以上であると、LED素子L8bが、一定時間(例えば2000ms)置きに、τ3(例えば20ms)の間第2の色(例えば緑色)に点灯することをn回(例えば30回)繰り返す。
また、
図14(b)に示すように、電源・制御装置28の電源スイッチをONにし、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上で第2の基準電圧V2未満であると、経過時間t0からτ3の間LED素子L8aが第1の色に点灯し、次いで、経過時間t2からτ3の間LED素子L8aが第1の色に点灯し、以後、経過時間t4、t6、・・・t2nからτ3の間LED素子L8aが第1の色に点灯する。
すなわち、蓄電池28dの電圧がV1以上V2未満であると、LED素子L8aが、一定時間(例えば2000ms)置きに、τ3(例えば20ms)の間第1の色(例えば赤色)に点灯することをn回(例えば30回)繰り返す。
【0042】
ここで、LED素子L8aまたはLED素子L8aが点灯している時間の全体時間に占める割合は、例えば、t0=0ms、t2=2000ms、τ3=20msとすると、1%とわずかである。
これより、蓄電池28dの電気をほとんど消費せずに、蓄電池28dの電池残量を示す電池残量インジケーターを動作させることができる。
そして、蓄電池28dの電圧が第2基準電圧V2以上であると、LED28c(LED素子L8b)が第2の色で点滅し、点検者に、蓄電池28dの電池残量は十分であり、夜間の長時間発光体21~27を発光させることができると認識させることができ、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上で第2の基準電圧V2未満であると、LED28c(LED素子L8a)が第1の色で点滅し、点検者に、蓄電池28dの電池残量は十分でなく、夜間の長時間は発光体21~27を発光させることができないと認識させることができ、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1未満であると、LED28c(LED素子L8a、L8b)が点滅せず、点検者は、蓄電池28dの電池残量が少なく、夜間短時間しか発光体21~27を発光させることができないと認識させることができる。
【0043】
[自発光式シート1の使用方法]
図15は、自発光式シート1をクッションドラムに取り付けた状態の斜視図であり、図中、40はクッションドラムである。
クッションドラム40は、ポリエチレン等のプラスチックからなり、内部に液体が充填された円筒形の丸形クッションドラムであり、道路上の施設等の手前に置かれ、車両が施設等に直接衝突するのを防止すると共に、車両が衝突した際の衝撃を緩和・吸収する機能を果たす。
図10に示すように自発光式シート1のシート基材11の背面がクッションドラム40の外周面の正面側に当てがわれて、ベルト13aとベルト13bがクッションドラム40の外周面の上側の背面側に当てがわれてベルト13aの端部が留め金13cに固定され、ベルト14aとベルト14bがクッションドラム40の外周面の下側の背面側に当てがわれてベルト14aの端部が留め金14cに固定され、ベルト15aとベルト15bがクッションドラム40の上面に当てがわれてベルト15aの端部が留め金15cに固定され、電源・制御装置28のボックス28aがクッションドラム40の上面に置かれ、これにより自発光式シート1がクッションドラム40に取り付けられる。
シート基材11の左右方向(X方向)の長さはクッションドラム40の円周の約半分であり、シート基材11がクッションドラム40の外周面の半分(正面側)を覆うこととなる。
【0044】
クッションドラム40に取り付けられた自発光式シート1においては、反射シート12a~12eとキャップ31~37がクッションドラム40の正面側に露出する。
これにより、夜間において、車両のヘッドライトがクッションドラム40の正面側を照射すると、反射シート12a~12eが照射光を反射して反射光が車両の運転者の目に入り、運転者は、クッションドラム40の存在を認識することができる。
また、夜間において、電源・制御装置28の電源スイッチをONにすると、発光体21~27が、一定時間(1秒程度の短い時間)置きに、一方のLED素子L1a~L7aの点灯・消灯と他方のLED素子L1b~L7bの点灯・消灯を繰り返すことから、車両の運転者等は、発光体21~27が、同じ位置、同じパターンで第1の色と第2の色(例えば赤色と緑色)で交互に点滅していると認識し、その注意喚起効果が大いに高められて、車両のヘッドライトが照射しないクッションドラム40の存在を十分に認識することができる。
加えて、電源・制御装置28の電源スイッチをONにしたとき、蓄電池28dの電池残量インジケーターが動作し、蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2以上であると、LED28c(LED素子L8b)が第2の色で点滅し、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上で第2の基準電圧V2未満であると、LED28c(LED素子L8a)が、第1の色で点滅し、クッションドラム40の管理者(点検者)は、蓄電池28dの電池残量を認識することができる。
さらに、シート基材11の正面側に突出した発光体21~27の突出部にはキャップ31~37が被せられていることから、発光体21~27の突出部とキャップ31~37は、車両がクッションドラム40に衝突したときに、その衝撃から発光体21~27の各LED等を保護する機能を果たす。
なお、自発光式シート1が取り付けられるクッションドラムは、クッションドラム40のような丸形クッションドラムに限定されず、直方体形状等の角型クッションドラムであってもよい。
【0045】
[自発光式シートの他の例]
図16は、自発光式シートの他の例の斜視図、
図17(a)は、
図16に示す自発光式シートの平面図、
図17(b)は、
図16に示す自発光式シートの正面図、
図17(c)は、
図16に示す自発光式シートの背面図、
図18は、
図18に示す自発光式シートの分解斜視図である。
図中、1’は自発光式シート、50はシート体、51はシート基材、52は反射シート、h51、h52、h53、h54、h55、h56、h57は貫通孔であり、
図1~
図5に示す自発光式シート1と同一のものには同一の符号を付し、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
図16~
図18に示すように、自発光式シート1’は、シート体50、発光ユニット20及びキャップ31~37を備えている。
シート体50は、長方形状のシート基材51、反射シート52を備えている。
シート基材51は、自発光式シート1のシート基材11(ターポリン)とは異なり、アルミニウム等の金属板からなり、板厚は0.5~5mmである。
反射シート52は、 自発光式シート1の反射シート12a~12eと同じ封入型反射シート、あるいは、封入レンズ型再帰反射シート等からなる矢印パターンであり、接着剤等によりシート基材51の正面中央部に貼り付けられている。
なお、シート基材51に反射シート52を貼り付けることに代えて、反射シート52の矢印パターンをシート基材51に直接印刷して形成してもよい。
【0046】
図18に示すように、シート基材51の中央の反射シート52の周辺には、7個の貫通孔h51~h57が設けられている。
そして、自発光式シート1の場合と同様に、自発光式シート1’においても、発光体21~27の各突出部がシート基材51に設けられた各貫通孔h51~h57に背面側から挿通されてシート基材51の正面側に突出し、突出した各突出部にキャップ31~37が被せられ、第1凸部で形成される各突出部の外周面の凹部にキャップ31~37の第2凸部が篏合され、キャップ31~37の第2突起が発光体21~27の第1突起に係合され、各キャップ31~37と各発光体21~27の鍔部でシート基材51を挟み込むことにより、各発光体21~27がシート基材51に取り付けられる。
また、自発光式シート1の場合と同様に、自発光式シート1’においても、電源・制御装置28と各発光体21~27が電線EW1~EW7で接続され、電源・制御装置28から発光体21~27の各LED(LED素子)に電気が供給されて各LED(LED素子)を発光する。
なお、自発光式シート1’において、発光体21~27は、反射シート52の周辺ではなく、反射シート52の内部に取り付けてもよい。
その場合は、反射シート52にも発光体21~27の各突出部が挿通する穴が設けられ、発光体21~27の各突出部がシート基材51と反射シート52を挿通し、反射シート52から突出した各突出部にキャップ31~37が被せられる。
【0047】
自発光式シート1’は、表示板として道路のカーブ、十字路等に支柱等を介して取り付けられる。
道路のカーブ、十字路等に取り付けられた自発光式シート1’においては、反射シート52とキャップ31~37がシート体50の正面側に露出する。
これにより、自発光式シート1と同様に、夜間において、車両のヘッドライトが 自発光式シート1’の正面側を照射すると、反射シート52が照射光を反射して反射光が車両の運転者の目に入り、運転者は、 自発光式シート1’の存在を認識することができる。
また、夜間において、電源・制御装置28の電源スイッチをONにすると、発光体21~27が、一定時間(1秒程度の短い時間)置きに、一方のLED素子L1a~L7aの点灯・消灯と他方のLED素子L1b~L7bの点灯・消灯を繰り返すことから、車両の運転者等は、発光体21~27が、同じ位置、同じパターンで第1の色と第2の色(例えば赤色と緑色)で交互に点滅していると認識し、その注意喚起効果が大いに高められて、車両のヘッドライトが照射しない自発光式シート1’の存在を十分に認識することができる。
加えて、電源・制御装置28の電源スイッチをONにしたとき、蓄電池28dの電池残量インジケータが動作し、蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2以上であると、LED28c(LED素子L8b)が第2の色で点滅し、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上で第2の基準電圧V2未満であると、LED28c(LED素子L8a)が、第1の色で点滅し、自発光式シート1’の管理者(点検者)は、蓄電池28dの電池残量を認識することができる。
さらに、シート体50の正面側に突出した発光体21~27の突出部にはキャップ31~37が被せられていることから、発光体21~27の突出部とキャップ31~37は、車両が自発光式シート1’に接触したときに、その衝撃から発光体21~27の各LED等を保護する機能を果たす。
【0048】
以上のように自発光式シート1(自発光式シート1’)は、シート体10(50)と発光ユニット20を備え、発光ユニット20は、発光体21~27、電源・制御装置28及び電線(ケーブル)EW1~EW7等を備え、発光体21~27は、第1の色で発光するLED素子L1a~L7aと、第1の色とは異なる第2の色で発光するLED素子L1b~L7bを備え、電源・制御装置28は、LED28c、蓄電池28d及び発光回路・制御部28eを備え、発光回路・制御部28eは、発光体21~27が、短い一定時間置きに、LED素子L1a~L7aの点灯・消灯とLED素子L1b~L7bの点灯・消灯を繰り返すように制御することから、視認者は、発光体21~27が、同じ位置、同じパターンで第1の色と第2の色で交互に点滅していると認識し、自発光式シート1に対する注意喚起効果が大いに高められることができる。
また、発光回路・制御部28eは、蓄電池28dの電圧が第2の基準電圧V2以上であると、LED28cが第2の色で点滅し、蓄電池28dの電圧が第1の基準電圧V1以上で第2の基準電圧V2未満であると、LED28cが第1の色で点滅するように制御し、蓄電池28dの電気をほとんど消費せずに、自発光式シート1(自発光式シート1’)の管理者(点検者)に、蓄電池28dの電池残量を認識させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の自発光式シートは、発光体が複数の色で発光し、視認者に対する注意喚起効果を高めるようにでき、電池の残量の減少を僅かな消費電力で容易に表示でき、道路標識、クッションドラム、コーン、表示板等の道路に設置する各種物体に取り付けられる自発光式シートに利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1、1’ 自発光式シート
10 シート体
11 シート基材
12a、12b、12c、12d、12e 反射シート
13a、13b、14a、14b、15a、15b ベルト
13c、14c、15c 留め金
20 発光ユニット
21、22、23、24、25、26、27 発光体
21a 鍔部
21b 突出部
21c1、21c2、21c3、21c4 第1凸部
21d1、21d2、21d3、21d4 第1突起
21e LED
21f LED基板
21g1、21g2、21g3、21g4 リードフレーム
21k 空間
21s1、21s2、21s3、21s4 隙間
28 電源・制御装置
28a ボックス
28b 太陽電池
28c LED
28d 蓄電池
28e 発光回路・制御部
31、32、33、34、35、36、37 キャップ
31a キャップ前面部
31b キャップ本体部
31c1、31c2、31c3、31c4 第2凸部
31d1、31d2、31d3、31d4 第2突起
40 クッションドラム
50 シート体
51 シート基材
52 反射シート
EW1、EW2、EW3、EW4、EW5、EW6、EW7 電線(ケーブル)
h11、h12、h13、h14、h15、h16、h17 貫通孔
h51、h52、h53、h54、h55、h56、h57 貫通孔
L1a、L1b、L2a、L2b、L3a、L3b、L4a、L4b、L5a、L5b、L6a、L6b、L7a、L7b、L8a、L8b LED素子