(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025157810
(43)【公開日】2025-10-16
(54)【発明の名称】ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/02 20140101AFI20251008BHJP
E05B 81/06 20140101ALI20251008BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20251008BHJP
E05B 77/26 20140101ALI20251008BHJP
【FI】
E05B85/02
E05B81/06
E05B79/08
E05B77/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060059
(22)【出願日】2024-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友近 雅之
(72)【発明者】
【氏名】尾高 善樹
(72)【発明者】
【氏名】園 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 考司
(72)【発明者】
【氏名】地代所 清貴
(72)【発明者】
【氏名】三好 瑛
(72)【発明者】
【氏名】谷野 泰朗
(72)【発明者】
【氏名】林 卓臣
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ37
2E250JJ42
2E250KK02
2E250LL01
2E250MM03
2E250QQ03
2E250QQ10
2E250RR13
2E250RR46
(57)【要約】
【課題】ドアロック装置に付加機能を追加しつつ、当該ドアロック装置の大型化を抑制する。
【解決手段】本開示のドアロック装置は、第1モータからの駆動力によりラッチ機構をアンラッチ状態に切り替えるアクチュエータと、第2モータ、第2モータから離間して配置される被駆動部材、および第2モータからの駆動力を被駆動部材に伝達する伝達部材を含む付加機構と、アクチュエータおよび付加機構を収容するハウジングと、ハウジングの内部に配置されるベースプレートと、ハウジングおよびベースプレートによりベースプレートの表面側に画成されると共、第1モータを含むアクチュエータの構成部材および付加機構の第2モータが配置される第1空間と、ハウジングおよびベースプレートによりベースプレートの裏面側に画成されると共に、付加機構の伝達部材が配置される第2空間とを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアを閉状態に保持すると共に前記ドアの開放を許容するドアロック装置において、
前記ドアを閉状態に保持するラッチ状態と、前記ドアの開放を許容するアンラッチ状態とを選択的に形成するラッチ機構と、
第1モータを含み、前記第1モータからの駆動力により前記ラッチ機構を前記アンラッチ状態に切り替えると共に、手動操作による前記ラッチ機構の前記アンラッチ状態への切り替えを許容するアクチュエータと、
第2モータ、前記第2モータから離間して配置される被駆動部材、および前記第2モータからの駆動力を前記被駆動部材に伝達する伝達部材を含み、付加機能を提供する付加機構と、
前記アクチュエータおよび前記付加機構を収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置されるベースプレートと、
前記ハウジングおよび前記ベースプレートにより前記ベースプレートの表面側に画成されると共、前記第1モータを含む前記アクチュエータの構成部材および前記付加機構の前記第2モータが配置される第1空間と、
前記ハウジングおよび前記ベースプレートにより前記ベースプレートの裏面側に画成されると共に、前記伝達部材が配置される第2空間と、
を備えるドアロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドアロック装置において、
前記アクチュエータは、複数のレバーを含み、
前記ベースプレートからは、複数の軸部が前記第1空間側に延出され、
前記複数のレバーは、前記ベースプレートの対応する前記軸部により回転自在に支持されるドアロック装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドアロック装置において、
前記伝達部材は、前記ベースプレートの前記裏面と、前記裏面と対向する前記ハウジングの内面とにより摺動自在に支持されるドアロック装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のドアロック装置において、
前記ハウジング内には、前記ドアのインサイドドアハンドルの手動操作に応じて所定方向に回動するインサイドオープンレバーが配置され、
前記アクチュエータは、前記第1モータからの前記駆動力により駆動されて前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替えるリリースレバーを含み、
前記リリースレバーは、前記付加機構の前記被駆動部材を介して前記所定方向に回動する前記インサイドオープンレバーにより押圧されて前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り替え可能であり、
前記付加機構は、前記インサイドオープンレバーが前記リリースレバーを押圧不能になるように、前記伝達部材を介して前記第2モータからの前記駆動力により前記被駆動部材を前記インサイドオープンレバーと前記リリースレバーとの間から移動させるチャイルドロック機構であるドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のドアを閉状態に保持すると共に当該ドアの開放を許容するドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラッチ機構と、オープンリンクと、アクティブレバーと、モータとを含むドアロック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このドアロック装置のオープンリンクは、ラッチ機構をアンラッチ状態に切替可能にするメカリンク位置と、当該ラッチ機構をアンラッチ状態に切替不能にするメカリンクカット位置とに移動可能である。また、アクティブレバーは、メカリンク位置に移動してオープンリンクをメカリンク位置に保持と共に、メカリンクカット位置に移動してオープンリンクをメカリンクカット位置に保持する。かかるアクティブレバーは、インサイドドアハンドルが操作されたときに、メカリンクカット位置からメカリンク位置へと移動する。そして、モータは、アクティブレバーがメカリンクカット位置に位置する状態でインサイドドアハンドルが操作されたときに、当該アクティブレバーをメカリンクカット位置からメカリンク位置へ移動させる。また、このドアロック装置では、アクティブレバーがメカリンク位置およびメカリンクカット位置の何れにあるかを判別するためのスイッチが当該アクティブレバーから離間するように配置される。そして、アクティブレバーとスイッチとは、当該アクティブレバーに連動して回転するコントロールレバーを介して連系する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のドアロック装置では、互いに離間したアクティブレバーとスイッチとを連系させるために、コントロールレバーが他の構成部材を跨ぐように配置される。このため、ドアロック装置に更なる付加機能を追加すべき場合には、当該付加機能を提供するための要素をコントロールレバー等と干渉しないように配置しなければならず、ドアロック装置が大型化してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、ドアロック装置に付加機能を追加しつつ、当該ドアロック装置の大型化を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のドアロック装置は、車両のドアを閉状態に保持すると共に前記ドアの開放を許容するドアロック装置において、前記ドアを閉状態に保持するラッチ状態と、前記ドアの開放を許容するアンラッチ状態とを選択的に形成するラッチ機構と、第1モータを含み、前記第1モータからの駆動力により前記ラッチ機構を前記アンラッチ状態に切り替えると共に、手動操作による前記ラッチ機構の前記アンラッチ状態への切り替えを許容するアクチュエータと、第2モータ、前記第2モータから離間して配置される被駆動部材、および前記第2モータからの駆動力を前記被駆動部材に伝達する伝達部材を含み、付加機能を提供する付加機構と、前記アクチュエータおよび前記付加機構を収容するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置されるベースプレートと、前記ハウジングおよび前記ベースプレートにより前記ベースプレートの表面側に画成されると共、前記第1モータを含む前記アクチュエータの構成部材および前記付加機構の前記第2モータが配置される第1空間と、前記ハウジングおよび前記ベースプレートにより前記ベースプレートの裏面側に画成されると共に、前記伝達部材が配置される第2空間とを含むものである。
【0007】
本開示のドアロック装置では、ラッチ機構をアンラッチ状態に切り替え可能なアクチュエータおよび付加機能を提供する付加機構を収容するハウジング内にベースプレートが配置される。ハウジング内には、ベースプレートの表面側に第1空間が画成され、当該ベースプレートの裏面側に第2空間が画成される。ハウジング内の第1空間には、第1モータを含むアクチュエータの構成部材および付加機構の第2モータが配置される。そして、付加機構の伝達部材は、ベースプレートの裏面側の第2空間に配置される。これにより、付加機構の被駆動部材が第2モータから離間して配置されたとしても、当該付加機構の伝達部材をアクチュエータの構成部材に干渉させることなくハウジング内に配置すると共に、伝達部材がアクチュエータの構成部材を跨ぐように配置される場合に比べてハウジングの厚みの増加を抑制することができる。この結果、ドアロック装置に付加機能を追加しつつ、当該ドアロック装置の大型化を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のドアロック装置が適用される車両のドアを示す概略構成図である。
【
図2】本開示のドアロック装置を示す概略構成図である。
【
図3】本開示のドアロック装置のラッチ機構を示す概略構成図である。
【
図4】本開示のドアロック装置の付加機構であるチャイルドロック機構を示す概略構成図である。
【
図5】
図4のチャイルドロック機構の動作を説明するための概略構成図である。
【
図6】
図4のチャイルドロック機構の動作を説明するための概略構成図である。
【
図7】
図4のチャイルドロック機構の動作を説明するための概略構成図である。
【
図8】本開示のドアロック装置のハウジングを示す断面図である。
【
図9】本開示のドアロック装置のハウジングを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示のドアロック装置10が適用された車両のドア1を示す概略構成図である。ドア1は、車両の後席のリヤドアであって、当該ドア1の下半部を形成するドア本体2と、ドア1の上半部を形成して窓ガラスをガイドするドアサッシュ3とを含む。ドア本体2は、アウターパネル4に加えて、当該アウターパネル4の内側(車室側)に固定された図示しないインナーパネルと、当該インナーパネルの車室側の面に固定された樹脂製のトリム(図示省略)とを含む。ドア1は、車両の図示しない車体により回転自在に支持された前端部を支点として、全閉位置から半開位置(半ドア位置)を経て全開位置まで回動可能なスイングドアである。半開位置は、全閉位置よりもわずかに開位置の側に移動した位置である。
【0011】
また、ドア1は、アウターパネル4に引っ張り可能または回動自在に取り付けられたアウトサイドドアハンドル5と、トリムに引っ張り可能または回動自在に取り付けられたインサイドドアハンドル6とを含む。アウトサイドドアハンドル5およびインサイドドアハンドル6は、図示しないスプリング等により初期位置に付勢されている。車両のユーザは、アウトサイドドアハンドル5やインサイドドアハンドル6を手動操作により初期位置からドア開位置へと移動させることにより、ドア1を開くことができる。なお、ドア1は、パネルドア(プレスドア)であってもよく、サッシュレスドアであってもよい。
【0012】
図1に示すように、ドアロック装置10は、アウターパネル4と図示しないインナーパネルとにより画成されるドア1の内部空間に配置される。より詳細には、ドアロック装置10は、当該内部空間内でアウトサイドドアハンドル5等の下方に位置するように例えばインナーパネルに固定される。そして、ドアロック装置10は、可撓性を有するケーブル7を介してアウトサイドドアハンドル5に連結されると共に、可撓性を有するケーブル87を介してインサイドドアハンドル6に連結される。ケーブル7は、アウトサイドドアハンドル5の初期位置からドア開位置への動きをドアロック装置10に伝達し、ケーブル8は、インサイドドアハンドル6の初期位置からドア開位置への動きをドアロック装置10に伝達する。なお、ドアロック装置10は、ロッドを介してアウトサイドドアハンドル5やインサイドドアハンドル6に連結されてもよい。
【0013】
図2に示すように、ドアロック装置10は、ラッチハウジング11と、当該ラッチハウジング11に対して垂直に接続されるアクチュエータハウジング12と、ラッチハウジング11内に収容されたラッチ機構14と、アクチュエータハウジング12内に収容されたアクチュエータ20とを含む。ラッチ機構14は、ドア1を全閉位置に保持するフルラッチ状態と、ドア1を全閉位置から僅かに開側に移動した半閉位置に保持するハーフラッチ状態と、ドア1の開放を許容するアンラッチ状態とを選択的に形成可能なものである。
【0014】
また、アクチュエータ20は、ドアロック装置10をメカリンク状態(アンロック状態)およびメカリンクカット状態(ロック状態)の何れかに切り替えると共に、手動操作無しにラッチ機構14をアンラッチ状態に切り替えることができるものである。メカリンク状態は、アウトサイドドアハンドル5またはインサイドドアハンドル6の手動操作によるラッチ機構14のアンラッチ状態への切り替えを許容する状態である。メカリンクカット状態は、アウトサイドドアハンドル5またはインサイドドアハンドル6の手動操作によるラッチ機構14のアンラッチ状態への切り替えを不能にする状態である。
【0015】
図3に示すように、ラッチ機構14は、ラッチ15、ポール16、ポールリフトレバー17、アウトサイドオープンレバー18およびオープンリンク19を含む。ラッチ15は、ラッチハウジング11を形成する図示しないベース部材から延出された軸部15aの周りに回転可能なものであり、
図3に示すように、車体に固定されたストライカ9と係合可能な切欠部150と、当該切欠部150を画成する第1および第2爪部151,152とを含む。ラッチ15の第1爪部151には、フルラッチ係合部(フルラッチ係合面)153が形成され、ラッチ15の第2爪部152には、ハーフラッチ係合部(ハーフラッチ係合面)154およびオープン係合部(オープン係合面面)156が形成されている。フルラッチ係合部153、ハーフラッチ係合部154およびオープン係合部156は、この順番で
図3における時計方向に並ぶようにラッチ15に形成される。そして、ラッチ15は、図示しないラッチスプリングによりラッチハウジング11に対して軸部15aの周りにストライカ9を開放する方向(
図3における反時計方向)に付勢される。
【0016】
ラッチ15は、軸部15aの周りに回転することにより、フルラッチ位置(
図3参照)と、ハーフラッチ位置と、アンラッチ位置とに選択的に移動することができる。フルラッチ位置では、ラッチ15の切欠部150により車体のストライカ9が保持され、それによりドア1が全閉位置に保持される。ハーフラッチ位置は、フルラッチ位置から所定角度だけ
図3における反時計方向に回転した位置である。ハーフラッチ位置では、ラッチ15の切欠部150により車体のストライカ9が保持されたまま、ドア1が半閉位置に保持される。アンラッチ位置は、ハーフラッチ位置から更に所定角度だけ
図3における反時計方向に回転した位置である。アンラッチ位置では、ラッチ15の切欠部150からストライカ9が解放され、ドア1の開放が許容される。
【0017】
ポール16は、ラッチ15の軸部15aと平行に延在するように上記ベース部材から延出された軸部16aの周りに回転可能なものであり、
図3に示すように、係合部160を含む。また、ポールリフトレバー17は、ポール16に嵌合され、軸部16aの周りに当該ポール16と一体に回転可能である。ポール16およびポールリフトレバー17は、軸部16aの周りに一体に回転することで、
図3に示す係合位置と、退避位置とに選択的に移動することができる。
【0018】
本実施形態において、ポール16およびポールリフトレバー17は、係合位置に位置するように、図示しないポールスプリングによりラッチハウジング11に対して軸部16aの周りに
図3における時計方向に付勢される。ポール16およびポールリフトレバー17が係合位置にあるときには、ポール16の係合部160がラッチ15のフルラッチ係合部153およびハーフラッチ係合部154の回転軌跡の内側(
図3における上側)に位置する。これにより、ポール16の係合部160は、ラッチ15のフルラッチ係合部153またはハーフラッチ係合部154と係合可能になることから、ポール16によりラッチ15をフルラッチ位置またはハーフラッチ位置に保持することができる。
【0019】
また、ポール16およびポールリフトレバー17は、軸部16aの周りに
図3における反時計方向に一体に所定角度だけ回転することで退避位置へと移動する。ポール16およびポールリフトレバー17が退避位置に移動すると、ポール16の係合部160がラッチ15のフルラッチ係合部153およびハーフラッチ係合部154の回転軌跡の外側(
図3等における下側)に位置する。これにより、ラッチスプリングにより付勢されたラッチ15の
図3における反時計方向への回転、すなわちラッチ15のアンラッチ位置への移動が許容される。
【0020】
アウトサイドオープンレバー18は、比較的長尺の板体であり、長手方向における中央部に形成された貫通孔180を有し、当該貫通孔180には、上記ベース部材から軸部15a,16aと平行に延出された軸部18aが挿通される。これにより、アウトサイドオープンレバー18は、ベース部材すなわちラッチハウジング11により軸部18aの周りに回転自在に支持される。また、アウトサイドオープンレバー18は、図示しないオープンレバースプリングによりラッチハウジング11に対して軸部18aの周りに
図3における時計方向に付勢される。更に、アウトサイドオープンレバー18の一端(
図3における右端)には、係合部181が形成されており、アウトサイドオープンレバー18の他端には、上述のケーブル7が連結される。
【0021】
オープンリンク19は、アウトサイドオープンレバー18の係合部181に当該アウトサイドオープンレバー18に対して回転自在になるように連結される。オープンリンク19は、軸部18aの周りに回転するアウトサイドオープンレバー18に連動してポールリフトレバー17に対して接近離間可能である。更に、オープンリンク19は、アウトサイドオープンレバー18に対して回転することにより
図3に示すメカリンク位置とメカリンクカット位置とに移動可能である。本実施形態において、オープンリンク19は、アクチュエータハウジング12内のアクチュエータ20によりメカリンク位置およびメカリンクカット位置の何れかに選択的に移動させられる。
【0022】
オープンリンク19がメカリンク位置にある状態で車両のユーザによりアウトサイドドアハンドル5が初期位置からドア開位置へと移動するように操作されると、アウトサイドオープンレバー18は、ケーブル7の移動に応じて軸部18aの周りに
図3における反時計方向に回転する。オープンリンク19は、かかるアウトサイドオープンレバー18の回転に連動してポールリフトレバー17に対して接近すると共に、当該ポールリフトレバー17の被押圧部170に接触する。これにより、アウトサイドドアハンドル5を手動操作してアウトサイドオープンレバー18を軸部18aの周りに
図3における反時計方向に所定角度だけ回転させることで、ポールリフトレバー17の被押圧部170を
図3における上方に押圧し、ポールスプリングの付勢力に抗してポール16およびポールリフトレバー17を係合位置から退避位置へと軸部16aの周りに
図3における反時計方向に回転(移動)させることができる。この結果、ラッチスプリングにより付勢されたラッチ15の
図3における反時計方向への回転、すなわちアンラッチ位置への移動が許容され、切欠部150からストライカ9を解放してドア1の開放を許容することが可能になる。
【0023】
ラッチ15がアンラッチ位置へと移動した後、車両のユーザがアウトサイドドアハンドル5を初期位置に戻すと、当該アウトサイドドアハンドル5によるケーブル7が元に戻り、アウトサイドオープンレバー18は、オープンレバースプリングによって軸部18aの周りに
図3における時計方向に付勢されて初期位置に戻る。また、オープンリンク19は、アウトサイドオープンレバー18の回転に連動してポールリフトレバー17の被押圧部170から離間し、当該ポールリフトレバー17の押圧を解除する。これにより、ポールスプリングの付勢力によりポール16およびポールリフトレバー17が退避位置から係合位置へと
図3における時計方向に回転し、ポール16の係合部160が、アンラッチ位置にあるラッチ15のオープン係合部156と係合する。この結果、ラッチ15は、同図に示すアンラッチ位置に保持される。
【0024】
また、オープンリンク19は、
図3における時計方向に所定角度だけ回転することによりメカリンク位置からメカリンクカット位置へと移動する。オープンリンク19がメカリンクカット位置にあり、かつアウトサイドオープンレバー18が軸部18aの周りに
図3における反時計方向に回転したときに、オープンリンク19は、アウトサイドオープンレバー18の回転に連動してポールリフトレバー17に対して接近するが、当該ポールリフトレバー17の被押圧部170には接触しない。従って、オープンリンク19がメカリンクカット位置にあるときには、アウトサイドオープンレバー18を軸部18aの周りに
図3における反時計方向に所定角度だけ回転させても、ポール16およびポールリフトレバー17は、退避位置へと移動することなく係合位置に保持される。すなわち、オープンリンク19がメカリンク位置にあるときには、アウトサイドドアハンドル5の手動操作によるラッチ機構14のアンラッチ状態への切り替えが禁止される。
【0025】
アクチュエータ20は、
図2に示すように、第1モータM1、回転部材21、回転付勢部材22、阻止部材23、付勢部材24、アクティブレバー25、オープンリンク付勢部材26、コントロールレバー27、リリースレバー28および複数のスイッチレバー29a,29b,29cを含む。第1モータM1は、正逆両方向の回転トルク(駆動力)を発生するように、図示しない電子制御装置により制御される。回転部材21は、軸部121の周りに正逆方向に回転可能なウォームホイールであり、第1モータM1の回転軸に取り付けられたウォームギヤに噛合する。第1モータM1のウォームギヤと回転部材21とは逆駆動可能なものである。また、回転部材21は、第1係合部、第2係合部、第3係合部および第4係合部(何れも図示省略)を有する。回転付勢部材22は、第1モータM1が回転停止しているときに、回転部材21を予め定められた中立位置に向けて軸部121の周りに付勢するねじりコイルはねである。
【0026】
第1モータM1を作動させることにより、回転付勢部材22の付勢力に抗して、回転部材21を中立位置から第1回転位置、第2回転位置、および第3回転位置の何れかまで軸部121の周りに回転させることができる。第1回転位置は、回転部材21を中立位置から
図2における反時計方向に第1角度だけ回転させた位置である。第2回転位置は、回転部材21を中立位置から
図2における時計方向に第2角度だけ回転した位置である。第3回転位置は、回転部材21を中立位置から
図2における時計方向に第2角度よりも小さい第3角度だけ回転させた位置である。
【0027】
阻止部材23は、退避位置と阻止位置との間で進退移動可能なものであり、第1モータM1からの回転トルクにより回転部材21が中立位置から第3回転位置まで回転する際に、阻止位置に移動して当該回転部材21の第3および第4係合部と係合する。これにより、阻止部材23は、回転部材21が第3回転位置を超えて第2回転位置に向けて回転することを阻止する。また、付勢部材24は、阻止部材23を退避位置に向けて付勢するものである。
【0028】
アクティブレバー25は、軸部125の周りに回転可能なものであり、メカリンクカット位置(第1位置)とメカリンク位置(第2位置)との間で正逆方向に回転可能なものである。アクティブレバー25は、図示しない節度スプリングによって、メカリンクカット位置とメカリンク位置のより近接した一方に向けて付勢される。また、アクティブレバー25は、それぞれ回転部材21の図示しない第1係合部と係合可能な第1係合部251および第2係合部252と、第3係合部253とを含む。
【0029】
アクティブレバー25がメカリンクカット位置に位置しており、かつ回転部材21が中立位置から第1回転位置に向けて回転したときに、アクティブレバー25の第1係合部251が回転部材21の第1係合部により押圧され、それにより、アクティブレバー25はメカリンク位置に向けて回転する。アクティブレバー25は、メカリンクカット位置よりもメカリンク位置に近接すると、上記節度スプリングの付勢力によりメカリンク位置に保持される。また、アクティブレバー25がメカリンク位置に位置しており、かつ回転部材21が中立位置から第3回転位置に向けて回転したときには、アクティブレバー25の第2係合部252が回転部材21の第1係合部により押圧され、それにより、アクティブレバー25はメカリンクカット位置に向けて回転する。アクティブレバー25は、メカリンク位置よりもメカリンクカット位置に近接すると、上記節度スプリングの付勢力によりメカリンクカット位置に保持される。
【0030】
更に、アクティブレバー25の第3係合部253は、当該アクティブレバー25がメカリンクカット位置からメカリンク位置へと移動するときに阻止部材23と係合し、付勢部材24の付勢力に抗して当該阻止部材23を退避位置から阻止位置へと移動させる。これにより、アクティブレバー25がメカリンク位置に位置しているときには、阻止部材23が阻止位置に保持される。これに対して、アクティブレバー25がメカリンクカット位置に位置しているときには、第3係合部253は、阻止部材23と係合せず、阻止部材23は、付勢部材24の付勢力により退避位置に保持される。
【0031】
また、アクティブレバー25は、オープンリンク付勢部材26を介してラッチ機構14のオープンリンク19と連係する。オープンリンク付勢部材26は、両端部から略平行に延出された一対のアームを有するねじりコイルはねである。オープンリンク付勢部材26の一対のアームは、両者の間隔が拡がるように弾性変形可能であり、オープンリンク19の被係合部190を弾性的に保持する。オープンリンク付勢部材26は、アクティブレバー25がメカリンク位置へと回転したときに、オープンリンク19を付勢して上記メカリンク位置へと移動させ、アクティブレバー25がメカリンクカット位置へと回転したときに、オープンリンク19を付勢して上記メカリンクカット位置へと移動させる。
【0032】
すなわち、アクチュエータ20によれば、第1モータM1により回転部材21を中立位置から第1回転位置まで回転させてアクティブレバー25をメカリンク位置まで回転させることで、オープンリンク19をメカリンク位置へと移動させることができる。また、アクチュエータ20によれば、第1モータM1により回転部材21を中立位置から第3回転位置まで回転させてアクティブレバー25をメカリンクカット位置まで回転させることで、オープンリンク19をメカリンクカット位置へと移動させることができる。
【0033】
更に、アクティブレバー25は、コントロールレバー27の一端と係合する。コントロールレバー27は、アクティブレバー25と連動して軸部127の周りに回転する。また、コントロールレバー27の先端部は、ポジションスイッチSW0の操作子と係合し、アクティブレバー25の動作に応じて当該ポジションスイッチSW0を開成(OFF)または閉成(ON)させる。これにより、ポジションスイッチSW0の出力から、アクティブレバー25がメカリンク位置およびメカリンクカット位置の何れにある、すなわちドアロック装置10がメカリンク状態およびメカリンクカット状態の何れにあるかを判別することが可能になる。
【0034】
リリースレバー28は、軸部128(
図8参照)の周りに回転可能なものであり、上記回転部材21の第2係合部と係合可能な係合部281と、ラッチ機構14のポールリフトレバー17と係合可能な押圧部282とを有する(何れも
図4参照)。回転部材21が中立位置から第3回転位置を超えて第2回転位置に向けて回転すると、リリースレバー28の係合部281は、回転部材21の第2係合部に係合し、当該第2係合部により押圧される。係合部281が回転部材21により押圧されることで、リリースレバー28は、軸部128の周りに
図2における反時計方向に回転し、それに伴ってリリースレバー28の押圧部282がポールリフトレバー17に形成された第2の被押圧部を
図3における上方に押圧する。
【0035】
これにより、ポールスプリングの付勢力に抗してポール16およびポールリフトレバー17が上記係合位置から退避位置へと軸部16aの周りに
図3における反時計方向に回転(移動)する。この結果、ラッチスプリングにより付勢されたラッチ15の
図3における反時計方向への回転、すなわちアンラッチ位置への移動が許容され、切欠部150からストライカ9を解放してドア1の開放を許容することが可能になる。すなわち、アクチュエータ20によれば、第1モータM1からの駆動力により回転部材21を中立位置から第2回転位置まで回転させることで、オープンリンク19の位置に拘わらず、ラッチ機構14をアンラッチ状態に切り替えることができる。
【0036】
加えて、アクチュエータ20は、それぞれ対応する軸部129a,129bまたは129cの周りに回転可能であると共に対応するスイッチSW1,SW2またはSW3と連系する複数のスイッチレバー29a,29b,29cを含む。複数のスイッチレバー29a,29b,29cは、ラッチ機構14のラッチ15がフルラッチ位置にあるか否かを判別するために当該ラッチ15と係合するカーテシレバーや、キースイッチレバー等を含む。
【0037】
上述のようなアクチュエータ20を収容するアクチュエータハウジング12内には、更に、インサイドオープンレバー30が配置される。インサイドオープンレバー30は、上述のアクティブレバー25と同様に軸部125の周りに回転可能であり、ドア1のインサイドドアハンドル6に上述のケーブル8を介して連結される。また、インサイドオープンレバー30は、図示しないスプリングにより予め定められた初期位置に向けて軸部125の周りに付勢されている。車両のユーザによりインサイドドアハンドル6が初期位置からドア開位置へと移動するように操作されると、インサイドオープンレバー30は、ケーブル8により引っ張られて軸部125の周りに
図2における時計方向に回転し、リリースレバー28を押圧する。
【0038】
リリースレバー28は、当該インサイドオープンレバー30により押圧されて軸部128の周りに
図2における反時計方向に回転し、それに伴ってリリースレバー28の押圧部282がポールリフトレバー17に形成された第2の被押圧部を
図3における上方に押圧する。これにより、ポールスプリングの付勢力に抗してポール16およびポールリフトレバー17が上記係合位置から退避位置へと軸部16aの周りに
図3における反時計方向に回転(移動)する。この結果、ラッチスプリングにより付勢されたラッチ15の
図3における反時計方向への回転、すなわちアンラッチ位置への移動が許容され、切欠部150からストライカ9を解放してドア1の開放を許容することが可能になる。
【0039】
更に、アクチュエータハウジング12内には、チャイルドロック機構50が配置される。チャイルドロック機構50は、車両の後席の乗員(例えば、幼児等)が誤ってインサイドドアハンドル6を操作したときにドア1の開放を禁止するためのチャイルドロック機能(付加機能)を提供する。
図2および
図4に示すように、チャイルドロック機構50は、第2モータM2、セクターギヤ51、リンクプレート(伝達部材)52およびブッシュ(被駆動部材)53を含む。
【0040】
第2モータM2は、正逆両方向の回転トルク(駆動力)を発生するように、例えば車両の運転席近傍に設置されるチャイルドロックスイッチの操作に応じて図示しない電子制御装置により制御される。セクターギヤ51は、上述のコントロールレバー27と同様に軸部127の周りに回転可能である。
図4に示すように、セクターギヤ51は、複数の歯51tと、連結軸部51sとを有する。複数の歯51tは、セクターギヤ51の円弧状に延びる外周に沿って配設され、第2モータM2の回転軸に取り付けられたウォームギヤに噛合する。また、連結軸部51sは、複数の歯51tよりも軸部127から離間すると共に当該軸部127と平行に延在するようにセクターギヤ51の本体から延出されている。
【0041】
リンクプレート52は、金属等により細幅の薄板状に形成されており、当該リンクプレート52の一端には、セクターギヤ51の連結軸部51sが回転自在に嵌合される連結孔52hが形成されている。また、リンクプレート52の他端からは、軸部127やセクターギヤ51の連結軸部51sと平行に延在するように連結軸部52sが延出されている。ブッシュ53は、連結孔53hと、係合部53eとを有する。連結孔53hには、リンクプレート52の連結軸部52sが回転自在に嵌合される。係合部53eは、連結孔53hから離間した位置で軸部127やセクターギヤ51の連結軸部51s、リンクプレート52の連結軸部52sと平行に延在するようにブッシュ53の本体から延出されている。更に、本実施形態では、チャイルドロック機構50が作動しているか否かを検出するために、セクターギヤ51の裏側にリンクプレート52の移動に応じて開成または閉成するスイッチSW5(
図4参照)が配置される。
【0042】
第2モータM2の回転が停止されているときに、チャイルドロック機構50は、
図4に示すロック解除状態を形成する。ロック解除状態では、ブッシュ53の係合部53eがリリースレバー28の被押圧部283に当接すると共に、インサイドオープンレバー30の押圧部301の回転軌跡(
図4における一点鎖線参照)上に位置する。チャイルドロック機構50がロック解除状態を形成しており、かつ車両のユーザによりインサイドドアハンドル6が初期位置からドア開位置へと移動するように操作されたときに、インサイドオープンレバー30は、
図5に示すように、ケーブル8により引っ張られて軸部125の周りに図中時計方向に回転する。
【0043】
インサイドオープンレバー30が軸部125の周りに図中時計方向に回転すると、当該インサイドオープンレバー30の押圧部301は、上記回転軌跡上に位置するチャイルドロック機構50のブッシュ53の係合部53eに当接する。これにより、リリースレバー28は、ブッシュ53の係合部53eを介してインサイドオープンレバー30の押圧部301により押圧されて軸部128の周りに
図5における反時計方向に回転し、それに伴ってリリースレバー28の押圧部282がポールリフトレバー17に形成された第2の被押圧部を上方に押圧する。この結果、ポール16およびポールリフトレバー17が上記係合位置から退避位置へと回転(移動)し、ラッチ15のアンラッチ位置への移動が許容されるので、切欠部150からストライカ9を解放してドア1の開放を許容することが可能になる。
【0044】
ラッチ15がアンラッチ位置へと移動した後、車両のユーザがインサイドドアハンドル6を初期位置に戻すと、ケーブル8の引っ張りが解除される。これにより、インサイドオープンレバー30は、スプリングにより付勢されて軸部125の周りに
図5における反時計方向に回転し、初期位置に戻る。更に、インサイドオープンレバー30の
図5における反時計方向への回転に伴い、リリースレバー28は、当該インサイドオープンレバー30の一部により押圧されて
図4に示す初期位置に戻る。
【0045】
また、チャイルドロック機構50がロック解除状態を形成しており、かつ車両のユーザによりチャイルドロックスイッチがONされたときに、上記電子制御装置は、第2モータM2を予め定められた第1方向に回転するように制御する。これにより、
図6に示すように、セクターギヤ51が軸部127の周りに図中反時計方向に回転する。更に、セクターギヤ51の回転に応じて、当該セクターギヤ51の連結軸部51sは、
図6における斜め下方に移動し、それに伴ってリンクプレート52も斜め下方に移動する。すなわち、セクターギヤ51は、第2モータM2の回転運動をリンクプレート52の直線運動に変換する。そして、ブッシュ53は、リンクプレート52の移動に応じて当該リンクプレート52と共にインサイドオープンレバー30とリリースレバー28との間から斜め下方に移動し、押圧部301の回転軌跡から外れる。これにより、チャイルドロック機構50は、
図6に示すロック状態を形成する。
【0046】
チャイルドロック機構50がロック状態を形成するときには、車両のユーザによりインサイドドアハンドル6が操作されてインサイドオープンレバー30が軸部125の周りに図中時計方向に回転しても、当該インサイドオープンレバー30の押圧部301は、
図7に示すように、ブッシュ53の係合部53eに当接せず、ブッシュ53の係合部53e以外の部分やリリースレバー28にも当接しない。これにより、リリースレバー28は、軸部128の周りに回転することなく、初期位置に保持される。従って、チャイルドロック機構50がロック状態を形成するときには、車両のユーザによりインサイドドアハンドル6が操作されたとしても、切欠部150からストライカ9が解放されないようにポール16およびポールリフトレバー17を係合位置に保持してドア1の開放を禁止することが可能になる。
【0047】
また、上記電子制御装置は、チャイルドロック機構50がロック状態を形成しており、かつ車両のユーザによりチャイルドロックスイッチがOFFされたときに、第2モータM2を上記第1方向とは逆向きの第2方向に回転するように制御する。これにより、セクターギヤ51が軸部127の周りに
図7における時計方向に回転する。更に、セクターギヤ51の回転に応じて、当該セクターギヤ51の連結軸部51sは、
図7における斜め上方に移動し、それに伴ってリンクプレート52も斜め上方に移動する。これにより、ブッシュ53がインサイドオープンレバー30とリリースレバー28との間の押圧部301の回転軌跡上に移動し、チャイルドロック機構50は、
図4に示すロック解除状態を再度形成する。
【0048】
続いて、ドアロック装置10のアクチュエータハウジング12の構造について説明する。
図8は、ドアロック装置10のアクチュエータハウジング12を示す
図2のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図8に示すように、アクチュエータハウジング12は、ハウジング本体12aと、当該ハウジング本体12aの開口部を覆うカバー12bと、ハウジング本体12aおよびカバー12bにより画成される空間内(アクチュエータハウジング12内)に配置されるベースプレート120とを含む。
【0049】
ベースプレート120は、
図9に示すように、ハウジング本体12aの底面の例えば50-70%程度の表面積を有するものであり、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、当該ハウジング本体12aの底面の少なくとも上側半分の領域を覆うようにハウジング本体12aに対して固定される。また、ベースプレート120の裏面は、チャイルドロック機構50のリンクプレート52の厚みよりも僅かに大きい間隔を隔ててハウジング本体12aの底面と対向するように当該ハウジング本体12aに固定される。
【0050】
これにより、アクチュエータハウジング12の内部には、カバー12bの内面(アクチュエータハウジング12の天面)とベースプレート120の表面との間の第1空間201と、ハウジング本体12a(アクチュエータハウジング12)の底面とベースプレート120の裏面との間の第2空間202と、第3空間203とが形成される。第3空間203は、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、第1および第2空間201,202の下側に位置する。更に、第2空間202の高さ(ハウジング本体12aの底面とベースプレート120の裏面との間隔)は、第1空間201の高さ(カバー12bの内面とベースプレート120の表面との間隔)よりも充分に小さくなる。
【0051】
また、ベースプレート120には、回転部材21を回転自在に支持する軸部121、コントロールレバー27およびチャイルドロック機構50のセクターギヤ51を回転自在に支持する軸部127、リリースレバー28を回転自在に支持する軸部128、対応するスイッチレバー29a,29bまたは29cを回転自在に支持する軸部129a,129b,129cが形成されている。軸部121,127,128,129a-129cは、何れもベースプレート120に一体に形成された円柱面状の外周面を有する突起であり、第1空間201内でカバー12bに向けて互いに平行に突出するように当該ベースプレート120から延出されている。
【0052】
更に、ベースプレート120には、第1モータM1の取付座MS1、第2モータM2の取付座MS2、スイッチSW0、SW1,SW2,SW3の取付座SS0,SS1,SS2,SS3が形成されている。これらの取付座MS1,MS2,SS0-SS3は、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、アクチュエータハウジング12内の上側半分の領域に含まれるようにベースプレート120に形成される。これにより、第1および第2モータM2、スイッチSS0-SS3の被水を良好に抑制することが可能になる。本実施形態において、第2モータM2の取付座MS2は、第2モータM2の取付座MS2は、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、第1モータM1の取付座MS1よりも上側に位置するようにベースプレート120に形成される。これにより、第2モータM2は、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、第1モータM1の上側に位置することになる(
図2参照)。
【0053】
また、ハウジング本体12aには、
図8および
図9に示すように、アクティブレバー25およびインサイドオープンレバー30を回転自在に支持する軸部125が形成されている。軸部125は、ハウジング本体12aに一体に形成された円柱面状の外周面を有する突起であり、第3空間203内でカバー12bに向けて軸部121,127,128,129a-129cと平行に突出するように当該ハウジング本体12aから延出されている。加えて、ハウジング本体12aには、阻止部材23のガイド部や付勢部材24の支持部等が、第3空間203内に位置するように形成される。
【0054】
図8に示すように、チャイルドロック機構50のセクターギヤ51の連結軸部51sは、ベースプレート120に形成された開口120oを介して第1空間201から第2空間202内に差し込まれる。また、リンクプレート52は、第2空間202内に配置され、当該リンクプレート52の連結孔52hには、第2空間202内でセクターギヤ51の連結軸部51sが回転自在に嵌合される。リンクプレート52は、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で、上側から下側に向けて延在し、ハウジング本体12aの底面(アクチュエータハウジング12の内面)と、ベースプレート120の裏面とにより摺動自在に支持される。
【0055】
更に、リンクプレート52の連結軸部52sは、ベースプレート120に形成された軸部128の下方かつ第2空間202内でブッシュ53の連結孔53hに回転自在に嵌合される。これにより、ドア1に対するドアロック装置10の取付状態で上側に位置する第2モータM2からの駆動力(移動させるための力)をリンクプレート52を介して当該第2モータM2から離間して配置される下側のブッシュ53に伝達することが可能になる。そして、ブッシュ53の係合部53eは、第3空間203内でカバー12bに向けて軸部128と平行に突出する。これにより、ブッシュ53の係合部53eを軸部128により支持されたリリースレバー28の被押圧部283に当接させることができる。
【0056】
また、ベースプレート120には、
図9に示すように、当該ベースプレート120の裏面からハウジング本体12aの底面に向けて(接触しないように)突出する無端状のガイド部120gが形成されている。ガイド部120gは、セクターギヤ51の回転に応じてリンクプレート52を直線状に移動するようにガイドすると共に、ブッシュ53を平行移動するようにガイドする。これにより、チャイルドロック機構50の動作を安定化すると共に、ロック解除状態とロック状態(インサイドドアハンドル6の操作前)とでブッシュ53の姿勢を一定に維持することが可能になる。ただし、ガイド部120gは、必ずしも無端状に形成される必要はなく、複数の部分に分割されてもよい。また、リンクプレート52およびブッシュ53をガイドするガイド部は、ハウジング本体12aの底面に形成されてもよい。
【0057】
以上説明したように、ドアロック装置10は、車両のドア1を閉状態に保持すると共にドア1の開放を許容するものであり、ラッチ機構14と、アクチュエータ20と、付加機構としてのチャイルドロック機構50とを含む。ラッチ機構14は、ドア1を閉状態に保持するラッチ状態と、ドア1の開放を許容するアンラッチ状態とを選択的に形成する。アクチュエータ20は、第1モータM1を含み、第1モータM1からの駆動力によりラッチ機構14をアンラッチ状態に切り替えると共に、手動操作によるラッチ機構14のアンラッチ状態への切り替えを許容する。チャイルドロック機構50は、第2モータM2、当該第2モータM2から離間して配置されるブッシュ(被駆動部材)53、および第2モータM2からの駆動力をブッシュ53に伝達して当該ブッシュ53を移動させるリンクプレート(伝達部材)52を含み、チャイルドロック機能を提供する。
【0058】
アクチュエータ20およびチャイルドロック機構50は、アクチュエータハウジング12内に収容され、当該アクチュエータハウジング12内には、ベースプレート120が配置される。更に、アクチュエータハウジング12内には、ベースプレート120の表面側に第1空間201が画成され、当該ベースプレート120の裏面側に第2空間202が画成される。そして、アクチュエータハウジング12内の第1空間201には、第1モータM1を含むアクチュエータ20の構成部材およびチャイルドロック機構50の第2モータM2が配置され、チャイルドロック機構50のリンクプレート52は、ベースプレート120の裏面側の第2空間202に配置される。これにより、チャイルドロック機構50のブッシュ53が上側の第2モータM2から下側に離間して配置されたとしても、当該チャイルドロック機構50のリンクプレート52をアクチュエータ20の構成部材に干渉させることなくアクチュエータハウジング12内に配置することが可能になる。更に、リンクプレート52がアクチュエータ20の構成部材を跨ぐように配置される場合に比べてアクチュエータハウジング12の厚みの増加を抑制することができる。この結果、ドアロック装置10にチャイルドロック機能を追加しつつ、当該ドアロック装置10の大型化を抑制することが可能になる。
【0059】
また、アクチュエータ20は、複数のレバー、すなわちコントロールレバー27、リリースレバー28および複数のスイッチレバー29a,29b,29cを含む。これらのコントロールレバー27、リリースレバー28および複数のスイッチレバー29a,29b,29cは、それぞれベースプレート120から第1空間201側に延出された軸部127,128,129a,129bまたは129cにより回転自在に支持される。これにより、ベースプレート120から第2空間202側に突出する部分を無くし、第2空間202の高さ、すなわちハウジング本体12aの底面とベースプレート120の裏面との間隔を必要最小限にすることができる。この結果、チャイルドロック機能(付加機能)の追加に伴うアクチュエータハウジング12の厚みの増加、ひいてはドアロック装置10の大型化を極めて良好に抑制することが可能になる。
【0060】
更に、チャイルドロック機構50のリンクプレート52は、ベースプレート120の裏面と、当該裏面と対向するハウジング本体12aの底面(内面)とにより摺動自在に支持される。これにより、第2空間202の高さ、ひいてはアクチュエータハウジング12の厚みの増加を抑制しつつ、第2空間202の高さ方向におけるリンクプレート52の移動(バタつき)を規制することが可能になる。
【0061】
また、アクチュエータハウジング12内の第3空間203には、ドア1のインサイドドアハンドル6の手動操作に応じて所定方向に回動するインサイドオープンレバー30が配置される。更に、アクチュエータ20は、第1モータM1からの駆動力により駆動されてラッチ機構14をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替えるリリースレバー28を含む。また、リリースレバー28は、チャイルドロック機構50のブッシュ53を介して所定方向に回動するインサイドオープンレバー30により押圧されてラッチ機構14をラッチ状態からアンラッチ状態に切り替える。そして、チャイルドロック機構50は、インサイドオープンレバー30がリリースレバー28を押圧不能になるように、第2モータM2からの駆動力によりリンクプレート52を介してブッシュ53をインサイドオープンレバー30とリリースレバー28との間から移動させる。
【0062】
これにより、第1モータM1からの駆動力によりラッチ機構14をアンラッチ状態に切り替え可能にしつつ、第2モータM2からの駆動力によりラッチ機構14をアンラッチ状態に切り替え不能にするチャイルドロック機能を提供することが可能になる。ただし、ドアロック装置10に追加される付加機構は、チャイルドロック機構50に限られないことは、いうまでもない。また、ドアロック装置10において、コントロールレバー27および複数のスイッチレバー29a,29b,29cの少なくとも何れか1つが第2空間202に配置されてもよい。更に、ドアロック装置10は、後席のドア1に加えて、例えば助手席のフロントドアに適用されてもよい。
【0063】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示の発明は、ドアロック装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ドア、10 ドアロック装置、12 アクチュエータハウジング、12a ハウジング本体、12b カバー、120 ベースプレート、121,125,127,128,129a,129b,129c 軸部、14 ラッチ機構、20 アクチュエータ、25 アクティブレバー、27 コントロールレバー、28 リリースレバー、29a,29b,29c スイッチレバー、30 インサイドオープンレバー、50 チャイルドロック機構、51 セクターギヤ、52 リンクプレート(伝達部材)、53 ブッシュ、201 第1空間、201 第2空間、M1 第1モータ、M2 第2モータ。