(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015836
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】半導体装置、放熱板及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024203138
(22)【出願日】2024-11-21
(62)【分割の表示】P 2020130583の分割
【原出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 慎次
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洋昭
(57)【要約】
【課題】半導体素子を効率的に冷却する半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体パッケージと、放熱部材と、前記半導体パッケージと前記放熱部材との間に設けられた放熱板を備え、前記放熱板は、上面に形成された第1溝と、下面に形成された第2溝と、前記第1溝と前記第2溝を接続する貫通孔と、端面に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、前記第1溝、前記第2溝及び前記貫通孔は、前記第1開口から前記第2開口までの流路を形成し、熱伝導性材料で充填される半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージと、放熱部材と、前記半導体パッケージと前記放熱部材との間に設けられた放熱板を備え、
前記放熱板は、上面に形成された第1溝と、下面に形成された第2溝と、前記第1溝と前記第2溝を接続する貫通孔と、端面に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、
前記第1溝、前記第2溝及び前記貫通孔は、前記第1開口から前記第2開口までの流路を形成し、熱伝導性材料で充填される、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1溝及び前記第2溝のそれぞれは、幅が150μm以上、深さが50μm以上である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体パッケージと、放熱部材と、を備える半導体装置の前記半導体パッケージと前記放熱部材との間に設けられた放熱板であって、
上面に形成された第1溝と、下面に形成された第2溝と、前記第1溝と前記第2溝を接続する貫通孔と、端面に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、
前記第1溝、前記第2溝及び前記貫通孔は、前記第1開口から前記第2開口までの流路を形成し、熱伝導性材料で充填される、
放熱板。
【請求項4】
前記第1溝及び前記第2溝のそれぞれは、幅が150μm以上、深さが50μm以上である、
請求項3に記載の放熱板。
【請求項5】
半導体パッケージと、放熱部材と、前記半導体パッケージと前記放熱部材との間に設けられた放熱板を備え、前記放熱板は、上面に形成された第1溝と、下面に形成された第2溝と、前記第1溝と前記第2溝を接続する貫通孔と、端面に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、前記第1溝、前記第2溝及び前記貫通孔は、前記第1開口から前記第2開口までの流路を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体パッケージと、前記放熱板と、前記放熱部材とを順に積層する工程と、
前記放熱板の前記第1開口から熱伝導性材料を注入して、前記第1溝、前記第2溝及び前記貫通孔のそれぞれに熱伝導性材料を充填する工程と、を備える、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、放熱板及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に代表されるパワー半導体素子を用いた電力変換装置が、近年利用されている。パワー半導体素子を効率よく冷却することが求められている。
【0003】
特許文献1には、パワーモジュールに装着された放熱板を、グリスを介して放熱ケースに組み付けるパワーモジュールの組み付け構造が記載されている。
【0004】
特許文献2には、回路基板に実装される電気部品と、電気部品が載置される部品載置部及び電気部品で発熱した熱を放熱する放熱部が一体的に形成されたヒートシンクと、ヒートシンク及び電気部品を収容する箱状の筐体と、ヒートシンクと筐体との間に介在するシール部材と、を備える電力変換装置が開示されている。また、筐体は、ヒートシンクとは別部材で構成される。ヒートシンクは、筐体に形成された開口を介して放熱部が外部に露出する状態で筐体に取り付けられることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、電力変換装置のU、V、W相用のスイッチング装置が開示されている。また、当該スイッチング装置は、第1のコレクタ端子と第2のエミッタ端子との各々の接続端が第1の仮想直線上に配置されること等が開示されている。
【0006】
特許文献4には、電力変換回路を構成する複数の電子部品と、少なくとも一部の電子部品を冷却する冷却器とを、ケース内に収容してなる電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-101259号公報
【特許文献2】特開2018-191388号公報
【特許文献3】特開2016-015863号公報
【特許文献4】特開2011-182628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体素子を効率的に冷却するためには、半導体素子を搭載する絶縁基板と放熱部材とを熱伝達効率が高い状態で接合することが求められる。
【0009】
本開示は、半導体素子を効率的に冷却する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一の態様によれば、半導体パッケージと、放熱部材と、前記半導体パッケージと前記放熱部材との間に設けられた放熱板を備え、前記放熱板は、上面又は下面の少なくとも一方の面に溝と、端面に形成された第1開口及び第2開口と、を備え、前記溝は、前記第1開口から前記第2開口までの流路を形成し、熱伝導性材料で充填される半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の各実施形態によれば、半導体素子を効率的に冷却する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態の半導体装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の半導体装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の半導体装置の側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の半導体装置の放熱板の下面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の半導体装置の放熱板の上面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の半導体装置の放熱板の斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の半導体装置の側面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の半導体装置の放熱板の下面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の半導体装置の放熱板の上面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の半導体装置の放熱板の斜視図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態の半導体装置の放熱板の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態の半導体装置の側面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態の半導体装置の放熱板を構成する板状部材の上面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態の半導体装置の放熱板を構成する板状部材の上面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態の半導体装置の放熱板の下面図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態の半導体装置の放熱板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する場合がある。また、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0014】
<<第1実施形態>>
≪半導体装置1≫
<半導体装置1の構成>
図1は、第1実施形態の半導体装置1の斜視図である。
図2は、第1実施形態の半導体装置1の分解斜視図である。
図3は、第1実施形態の半導体装置1の側面図である。
【0015】
なお、図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定される場合がある。図面の紙面に対して垂直な座標軸については、座標軸の丸の中にバツ印は紙面に対して奥の方向が正、丸の中に黒丸印は紙面に対して手前側が正であることを表している。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置等の姿勢について限定するものではない。なお、本開示では、特に説明しない限り、X軸は、放熱部材20の載置面と平行な方向、Y軸は、放熱部材20の載置面と平行な方向であってX軸と垂直な方向、とする。Z軸は、当該X軸、Y軸に垂直な方向とする。なお、Z軸方向を上下方向という場合がある。例えば、+Z側を上、-Z側を下という場合がある。+Z側から見た平面図を上面図、-Z側から見た平面図を下面図という場合がある。
【0016】
半導体装置1は、半導体パッケージ10と、放熱部材20と、放熱板30と、を備える。各構成要素について説明する。
【0017】
[半導体パッケージ10]
半導体パッケージ10は、パワー半導体等の半導体素子を樹脂封止したパッケージである。半導体パッケージ10は、内部の半導体素子が発生した熱を放熱するために、放熱板30を介して放熱部材20に連結される。
【0018】
[放熱部材20]
放熱部材20は、半導体パッケージ10からの熱を外部に放出する部材である。放熱部材20は、例えば、金属で形成された放熱板又は内部に冷却液が流れる液冷冷却器である。放熱部材20には、放熱板30を介して、半導体パッケージ10が連結される。放熱部材20は、放熱板30を介して、半導体パッケージ10に接続されることにより、半導体パッケージ10の放熱を行う。放熱部材20として、例えば、金属で形成された放熱板を用いることにより、放熱部材20は載置面からの熱を載置面と反対側の面に伝達させて放熱する。放熱部材20の大きさを半導体パッケージ10より大きくすることにより、放熱面積を大きくして、放熱効率を向上させて半導体パッケージ10を冷却する効率を上げることができる。また、放熱部材20として、例えば、液冷冷却器を用いることにより、液冷冷却器の内部を導通する液(例えば、水、ブライン、不凍液、クーラント等)により、半導体パッケージ10を冷却する効率を上げることができる。
【0019】
[放熱板30]
放熱板30は、半導体パッケージ10と放熱部材20との間に介在する部材である。
図4は、第1実施形態の半導体装置1の放熱板30の下面図である。
図5は、第1実施形態の半導体装置1の放熱板30の上面図である。放熱板30は、板状の部材である。
【0020】
放熱板30は、熱伝導性の高い材料で形成されている。例えば、放熱板30は、銅若しくはアルミ等の金属又は樹脂で形成されている。放熱板30は、例えば、立体造形装置、いわゆる、三次元プリンタを用いて作成される。
【0021】
放熱板30は、下面30S1に、X軸方向に延在し、Y軸方向に等間隔に形成された溝31a1、溝31a2、溝31a3及び溝31a4を有する。放熱板30は、上面30S2に、X軸方向に延在し、Y軸方向に等間隔に形成された溝31b1、溝31b2、溝31b3及び溝31b4を有する。溝31b1は、上面視で溝31a1と溝31a2の間に形成される。同様に、溝31b2は、上面視で溝31a2と溝31a3の間に形成される。溝31b3は、上面視で溝31a3と溝31a4の間に形成される。溝31b4は、上面視で溝31a4より+Y側に形成される。
【0022】
また、放熱板30は、放熱板30の上面30S2と下面30S1との間を貫通する貫通孔31c1、貫通孔31c2、貫通孔31c3、貫通孔31c4、貫通孔31c5、貫通孔31c6及び貫通孔31c7を有する。貫通孔31c1、貫通孔31c2、貫通孔31c3、貫通孔31c4、貫通孔31c5、貫通孔31c6及び貫通孔31c7のそれぞれは、X軸方向から見た側面視で、傾斜して形成される。いいかえると、貫通孔31c1、貫通孔31c2、貫通孔31c3、貫通孔31c4、貫通孔31c5、貫通孔31c6及び貫通孔31c7のそれぞれは、放熱板30の上面30S2又は下面30S1に対して傾斜して形成される。
【0023】
溝31a1は、放熱板30の+X側の端面30Sに形成される開口30aから貫通孔31c1までの間にわたって形成される。溝31b1は、貫通孔31c1から貫通孔31c2までの間にわたって形成される。溝31a2は、貫通孔31c2から貫通孔31c3までの間にわたって形成される。溝31b2は、貫通孔31c3から貫通孔31c4までの間にわたって形成される。溝31a3は、貫通孔31c4から貫通孔31c5までの間にわたって形成される。溝31b3は、貫通孔31c5から貫通孔31c6までの間にわたって形成される。溝31a4は、貫通孔31c6から貫通孔31c7までの間にわたって形成される。溝31b4は、貫通孔31c7から放熱板30の+X側の端面30Sに形成される開口30bまでの間にわたって形成される。
【0024】
貫通孔31c1は、溝31a1と溝31b1のそれぞれの-X側の端部の間に形成される。貫通孔31c2は、溝31b1と溝31a2のそれぞれの+X側の端部の間に形成される。貫通孔31c3は、溝31a2と溝31b2のそれぞれの-X側の端部の間に形成される。貫通孔31c4は、溝31b2と溝31a3のそれぞれの+X側の端部の間に形成される。貫通孔31c5は、溝31a3と溝31b3のそれぞれの-X側の端部の間に形成される。貫通孔31c6は、溝31b3と溝31a4のそれぞれの+X側の端部の間に形成される。貫通孔31c7は、溝31a4と溝31b4のそれぞれの-X側の端部の間に形成される。
【0025】
半導体装置1において、放熱板30を半導体パッケージ10と放熱部材20との間に挟み込むことにより、開口30aから溝31a1、貫通孔31c1、溝31b1等を通過して、開口30bまでの液状のグリス(熱伝導性材料)が通過する流路を形成することができる。
【0026】
溝の寸法は、幅が150μm以上、深さが50μmであることが望ましい。溝が、150μmより狭く又は深さが50μmより浅くなると、グリス(熱伝導性材料)に含まれるフィラーが詰まる可能性がある。
【0027】
<半導体装置1の組み立て>
半導体装置1の組み立て(製造方法)について説明する。最初に、放熱部材20に放熱板30を介して半導体パッケージ10を載置する。いいかえると、半導体パッケージ10と、放熱板30と、放熱部材20と、を順に積層する(積層する工程)。そして、放熱板30の+X側端面に形成された開口30aからグリス(熱伝導性材料)を注入する。注入されたグリス(熱伝導性材料)は、溝31a1、貫通孔31c1、溝31b1と順に流れて、最終的には、溝31b4を通過して、開口30bから排出される(充填する工程)。グリス(熱伝導性材料)が開口30bから注入されて、開口30bから排出されることを確認することにより、グリス(熱伝導性材料)を溝の内部に充填さえることができる。
【0028】
なお、開口30aは第1開口、開口30bは第2開口の一例である。
【0029】
<効果・作用>
グリス(熱伝導性材料)は、開口30aから一つの経路を通過することにより開口30bから排出されることにより、過不足なくグリス(熱伝導性材料)を注入することができる。また、グリス(熱伝導性材料)は、開口30aから一つの経路を通過することにより開口30bから排出されることにより、ボイドの発生を抑えることができる。したがって、本実施形態の半導体装置1は、半導体素子を効率的に冷却できる。
【0030】
なお、グリス(熱伝導性材料)を注入する開口は、開口30aに限らず、開口30bから注入してもよい。また、開口30a、開口30bの位置についても、端面30Sに限らず、放熱板30の別の端面に形成してもよい。また、開口30a、開口30bはそれぞれ放熱板230の別の端面に形成してもよい。
【0031】
<<第2実施形態>>
≪半導体装置101≫
<半導体装置101の構成>
第2実施形態の半導体装置101について説明する。第2実施形態の半導体装置101は、半導体装置1と比較して、放熱部材の溝の形状が異なる。
【0032】
図6は、第2実施形態の半導体装置101の放熱板130の斜視図である。
図7は、第2実施形態の半導体装置101の側面図である。
図8は、第2実施形態の半導体装置101の放熱板130の下面図である。
図9は、第2実施形態の半導体装置101の放熱板130の上面図である。
【0033】
半導体装置101は、半導体パッケージ10と、放熱部材20と、放熱板130と、を備える。放熱板130について説明する。
【0034】
[放熱板130]
放熱板130は、半導体パッケージ10と放熱部材20との間に介在する部材である。
【0035】
放熱板130は、熱伝導性の高い材料で形成されている。例えば、放熱板130は、銅若しくはアルミ等の金属又は樹脂で形成されている。放熱板130は、例えば、立体造形装置、いわゆる、三次元プリンタを用いて作成される。また、放熱板130は、例えば、平板状の部材から、表面に溝を機械加工により形成することにより作成される。
【0036】
放熱板130は、下面130S1に溝131aを有する。溝131aは、放熱板130の+X側の端面130Sに形成される開口130a1から、放熱板130の+X側の端面130Sに形成される開口130b1の間に、X軸方向の端部で折り返しながら形成された溝である。
【0037】
放熱板130は、上面130S2に溝131bを有する。溝131bは、放熱板130の+X側の端面130Sに形成される開口130a2から、放熱板130の+X側の端面130Sに形成される開口130b2の間に、X軸方向の端部で折り返しながら形成された溝である。
【0038】
半導体装置101において、放熱板130を半導体パッケージ10と放熱部材20との間に挟み込むことにより、開口130a1から溝131aを通過して、開口130b1までのグリス(熱伝導性材料)が通過する流路を形成することができる。また、放熱板130を半導体パッケージ10と放熱部材20との間に挟み込むことにより、開口130a2から溝131bを通過して、開口130b2までのグリス(熱伝導性材料)が通過する流路を形成することができる。
【0039】
<半導体装置101の組み立て>
半導体装置101の組み立てについて説明する。最初に、放熱部材20に放熱板130を介して半導体パッケージ10を載置する。いいかえると、半導体パッケージ10と、放熱板130と、放熱部材20と、を順に積層する(積層する工程)。そして、放熱板130の+X側の端面130Sに形成された開口130a1からグリス(熱伝導性材料)を注入する。注入されたグリス(熱伝導性材料)は、溝131aを流れて、最終的には、開口130b1から排出される。また、放熱板130の+X側の端面130Sに形成された開口130a2からグリス(熱伝導性材料)を注入する。注入されたグリス(熱伝導性材料)は、溝131bを流れて、最終的には、開口130b2から排出される(充填する工程)。グリス(熱伝導性材料)が開口130a1又は開口130a2から注入されて、開口130b1又は開口130b2から排出されることを確認することにより、グリス(熱伝導性材料)を溝の内部に充填さえることができる。
【0040】
なお、開口130a1は第1開口、開口130b1は第2開口の一例である。また、開口130a2は第1開口、開口130b2は第2開口の一例である。
【0041】
<効果・作用>
グリス(熱伝導性材料)は、開口130a1から一つの経路を通過することにより開口130b1から排出されることにより、過不足なくグリス(熱伝導性材料)を注入することができる。また、グリス(熱伝導性材料)は、開口130a1から一つの経路を通過することにより開口130b1から排出されることにより、ボイドの発生を抑えることができる。同様に、グリス(熱伝導性材料)は、開口130a2から一つの経路を通過することにより開口130b2から排出されることにより、過不足なくグリス(熱伝導性材料)を注入することができる。また、グリス(熱伝導性材料)は、開口130a2から一つの経路を通過することにより開口130b2から排出されることにより、ボイドの発生を抑えることができる。したがって、本実施形態の半導体装置1は、半導体素子を効率的に冷却できる。
【0042】
さらに、放熱板130の両面のそれぞれに独立した溝を設けることにより、溝に充填されたグリス(熱伝導性材料)が、半導体パッケージ10又は放熱部材20に接触する面積を増やすことができる。
【0043】
なお、第2実施形態の放熱板130において、溝は上面130S2及び下面130S1の両面に備えることに限らない。例えば、一方の面(例えば、下面130S1)に溝131aを設けて、他方の面(例えば、上面130S2)には溝を備えないようにしてもよい。同様に、一方の面(例えば、上面130S2)に溝131bを設けて、他方の面(例えば、下面130S1)には溝を備えないようにしてもよい。
【0044】
なお、グリス(熱伝導性材料)を注入する開口は、開口130a1又は開口130a2に限らず、開口130b1又は開口130b2から注入してもよい。また、開口130a1、開口130a2、開口130b1及び開口130b2の位置についても、端面130Sに限らず、放熱板130の別の端面に形成してもよい。また、開口130a1、開口130a2、開口130b1及び開口130b2はそれぞれ放熱板130の別の端面に形成してもよい。
【0045】
<<第3実施形態>>
≪半導体装置201≫
<半導体装置201の構成>
第3実施形態の半導体装置201について説明する。第3実施形態の半導体装置201は、半導体装置1と比較して、放熱部材の溝の形状が異なる。また、放熱部材の構成が異なる。
【0046】
図10は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230の斜視図である。
図11は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230の分解斜視図である。
図12は、第3実施形態の半導体装置201の側面図である。
図13は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230を構成する板状部材230Aの上面図である。
図14は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230を構成する板状部材230Bの上面図である。
図15は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230の下面図である。
図16は、第3実施形態の半導体装置201の放熱板230の上面図である。
【0047】
半導体装置201は、半導体パッケージ10と、放熱部材20と、放熱板230と、を備える。放熱板230について説明する。
【0048】
[放熱板230]
放熱板230は、半導体パッケージ10と放熱部材20との間に介在する部材である。
【0049】
放熱板230は、熱伝導性の高い材料で形成されている。例えば、放熱板230は、銅若しくはアルミ等の金属又は樹脂で形成されている。放熱板230は、例えば、立体造形装置、いわゆる、三次元プリンタを用いて作成される。また、放熱板230は、例えば、平板状の部材から、平板状の部材を貫通する溝を機械加工により形成することにより作成される。
【0050】
放熱板230は、2枚の板状の部材である板状部材230Aと、板状部材230Bと、により構成される。放熱板230は、板状部材230Aと板状部材230Bが積層されて構成される。
【0051】
板状部材230Aは、上面から下面に貫通する貫通溝232a1、貫通溝232a2、貫通溝232a3、貫通溝232a4、貫通溝232a5及び貫通溝232a6を有する。貫通溝232a1、貫通溝232a2、貫通溝232a3、貫通溝232a4、貫通溝232a5及び貫通溝232a6のそれぞれは、X軸方向に延在するとともに-X側の端部で+Y方向に延びるL字状の形状を有する。
【0052】
板状部材230Bは、上面から下面に貫通する貫通溝232b1、貫通溝232b2、貫通溝232b3、貫通溝232b4、貫通溝232b5及び貫通溝232b6を有する。貫通溝232b1、貫通溝232b2、貫通溝232b3、貫通溝232b4、貫通溝232b5及び貫通溝232b6のそれぞれは、X軸方向に延在するとともに+X側の端部で+Y方向に延びるL字状の形状を有する。
【0053】
板状部材230Aの+Z側に板状部材230Bを重ね合わせて貼り付ける。板状部材230Aと板状部材230Bとを重ね合わせた放熱板230では、貫通溝232b1は、貫通溝232a1と貫通溝232a2との間に位置する。したがって、放熱板230では、貫通溝232a1の部分に、-Z方向に解放された溝231a1が形成される。すなわち、放熱板230の下面230S1に溝231a1が形成される。また、貫通溝232b1の部分に、+Z方向に解放された溝231b1が形成される。そして、溝231a1と溝231b1とは、貫通溝232a1と貫通溝232b1とが平面視で重なった部分である開口231c1により接続される。貫通溝232a1は、放熱板230の+X側の端面230Sまで形成されている。したがって、溝231a1は、放熱板230の+X側の端面230Sに開口230aを有する。
【0054】
同様に、貫通溝232a2、貫通溝232a3、貫通溝232a4、貫通溝232a5及び貫通溝232a6の部分は、それぞれ-Z方向に解放された溝231a2、溝231a3、溝231a4、溝231a5及び溝231a6となる。また、貫通溝232b2、貫通溝232b3、貫通溝232b4、貫通溝232b5及び貫通溝232b6は、それぞれ+Z方向に解放された溝231b2、溝231b3、溝231b4、溝231b5及び溝231b6となる。
【0055】
また、溝231b1と溝231a2とは、貫通溝232b1と貫通溝232a2とが平面視で重なった部分である開口231c2により接続される。同様に、溝231a2と溝231b2とは、貫通溝232a2と貫通溝232b2とが平面視で重なった部分である開口231c3により接続される。溝231b2と溝231a3とは、貫通溝232b2と貫通溝232a3とが平面視で重なった部分である開口231c4により接続される。溝231a3と溝231b3とは、貫通溝232a3と貫通溝232b3とが平面視で重なった部分である開口231c5により接続される。溝231b3と溝231a4とは、貫通溝232b3と貫通溝232a4とが平面視で重なった部分である開口231c6により接続される。溝231a4と溝231b4とは、貫通溝232a4と貫通溝232b4とが平面視で重なった部分である開口231c7により接続される。溝231b4と溝231a5とは、貫通溝232b4と貫通溝232a5とが平面視で重なった部分である開口231c8により接続される。溝231a5と溝231b5とは、貫通溝232a5と貫通溝232b5とが平面視で重なった部分である開口231c9により接続される。溝231b5と溝231a6とは、貫通溝232b5と貫通溝232a6とが平面視で重なった部分である開口231c10により接続される。溝231a6と溝231b6とは、貫通溝232a6と貫通溝232b6とが平面視で重なった部分である開口231c11により接続される。
【0056】
貫通溝232b6は、放熱板230の+X側の端面230Sまで形成されている。したがって、溝231b6は、放熱板230の+X側の端面230Sに開口230bを有する。
【0057】
<半導体装置201の組み立て>
半導体装置201の組み立てについて説明する。最初に、放熱部材20に放熱板230を介して半導体パッケージ10を載置する。いいかえると、半導体パッケージ10と、放熱板230と、放熱部材20と、を順に積層する(積層する工程)。そして、放熱板230の+X側の端面230Sに形成された開口230aからグリス(熱伝導性材料)を注入する。注入されたグリス(熱伝導性材料)は、溝231a1から流れて、最終的には、開口230bから排出される(充填する工程)。グリス(熱伝導性材料)が開口230aから注入されて、開口230bから排出されることを確認することにより、グリス(熱伝導性材料)を溝の内部に充填さえることができる。
【0058】
なお、開口230aは第1開口、開口230bは第2開口の一例である。
【0059】
<効果・作用>
グリス(熱伝導性材料)は、開口230aから一つの経路を通過することにより開口230bから排出されることにより、過不足なくグリス(熱伝導性材料)を注入することができる。また、グリス(熱伝導性材料)は、開口230aから一つの経路を通過することにより開口230bから排出されることにより、ボイドの発生を抑えることができる。
【0060】
さらに、板状部材230Aと板状部材230Bを組み合わせて放熱板230を形成することにより、放熱部材の製造を容易に行うことができる。
【0061】
なお、グリス(熱伝導性材料)を注入する開口は、開口230aに限らず、開口230bから注入してもよい。また、開口230a及び開口230bの位置についても、端面230Sに限らず、放熱板230の別の端面に形成してもよい。また、開口230a、開口230bはそれぞれ放熱板230の別の端面に形成してもよい。
【0062】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、101、201 半導体装置
10 半導体パッケージ
20 放熱部材
30、130、230 放熱板
30S1、130S1、230S1 下面
30S2、130S2、230S2 上面
31a1、31a2、31a3、31a4 溝
31b1、31b2、31b3、31b4 溝
131a、131b 溝
231a1、231a2、231a3、231a4、231a5、231a6 溝
231b1、231b2、231b3、231b4、231b5、231b6 溝