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2025-158540太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025158540
(43)【公開日】2025-10-17
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10F 19/80 20250101AFI20251009BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20251009BHJP
   H10F 19/40 20250101ALI20251009BHJP
   H10K 39/15 20230101ALI20251009BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20251009BHJP
   H10K 30/88 20230101ALI20251009BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H02S10/40
H01L31/04 510
H10K39/15
H10K30/40
H10K30/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061182
(22)【出願日】2024-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昭一
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰造
(72)【発明者】
【氏名】奥田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】森川 良太
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真也
(72)【発明者】
【氏名】日向 慎太朗
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251BA05
5F251BA18
5F251DA15
5F251EA19
5F251GA03
5F251GA05
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251XA01
(57)【要約】
【課題】湾曲した板状の太陽電池モジュールに対して、湾曲したフィルム基材に微細な皺が生じることを抑制できる太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】湾曲した板状の太陽電池モジュール1は、表面層2と、裏面層3と、第1および第2の太陽電池ユニット4、5と、封止材6と、を備えており、第1の太陽電池ユニット4は、帯状の複数の第1のセル40を有しており、各第1のセル40は、可撓性を有する帯状のフィルム基材42と、ペロブスカイト素子41と、を有し、太陽電池モジュール1の湾曲した形状に応じて湾曲しており、フィルム基材42の長手方向に沿った縁部には、フィルム基材42の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部42aが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した板状の太陽電池モジュールであって、
透光性を有した表面層と、
裏面層と、
前記表面層と前記裏面層との間に、前記表面層側から順に配置された第1および第2の太陽電池ユニットと、
前記第1および第2の太陽電池ユニットを封止する封止材と、を備えており、
前記第1の太陽電池ユニットは、帯状の複数の第1のセルを有しており、
前記複数の第1のセルは、前記第1のセルの短手方向に並列に配置されており、
各前記第1のセルは、可撓性を有する帯状のフィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に、前記フィルム基材の長手方向に沿って配置された第1の発電素子と、を有し、前記太陽電池モジュールの湾曲した形状に応じて湾曲しており、
前記第2の太陽電池ユニットは、前記第1のセルの長手方向に沿って、各前記フィルム基材の他方の面と対向するように、前記フィルム基材の長手方向に沿って、配列された複数の第2の発電素子を有しており、
前記フィルム基材の長手方向に沿った縁部には、前記フィルム基材の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部が、形成されていることを特徴とする、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記フィルム基材の短手方向において、前記第1の発電素子の長さは、前記第2の発電素子の長さよりも長く、
前記太陽電池モジュールを厚さ方向から視て、前記短手方向において、前記第2の発電素子は、前記短手方向に沿った両側に、前記第1の発電素子の発電領域を残すように、前記第1の発電素子に対して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールは、第1の方向に沿って湾曲するとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って、前記第1の方向の湾曲よりも大きく湾曲しており、
前記第1のセルは、前記長手方向が前記第2の方向と一致するように、配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の太陽電池モジュールをルーフの少なくとも一部として搭載した車両。
【請求項5】
湾曲した板状の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記太陽電池モジュールは、第1および第2の太陽電池ユニットを備えており、
前記第1の太陽電池ユニットは、帯状の複数の第1のセルを有しており、各前記第1のセルは、可撓性を有する帯状のフィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に、前記フィルム基材の長手方向に沿って配置された第1の発電素子と、を有しており、
前記第2の太陽電池ユニットは、複数の第2の発電素子を有しており、
前記製造方法は、
透光性を有し、湾曲した表面パネルと、湾曲した裏面パネルとの間に、樹脂製の封止シートを挟み込むように、表面パネル側から順に第1および第2の太陽電池ユニットを配置した積層体を作製する作製工程と、
前記封止シートの樹脂で、前記第1および第2の太陽電池ユニットが封止されるまで、前記樹脂の軟化点以上の加熱温度で、前記積層体を熱圧する熱圧工程と、を含み、
前記作製工程において、
前記フィルム基材の長手方向に沿った縁部に、前記フィルム基材の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部が形成された前記第1のセルを、前記第1のセルの短手方向に並列に配置し、
前記第1のセルの長手方向に沿って、各前記フィルム基材の他方の面と対向するように、前記フィルム基材の長手方向に沿って、前記第2の発電素子を配列することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、例えば、特許文献1には、タンデム型の太陽電池モジュールが開示されている。この太陽電池モジュールは、透光性を有した第1保護部材と、第2保護部材と、を備えており、これらの間の間隙領域には、第1保護部材側から順に、第1太陽電池部と、第2太陽電池部とが配置されている。第1太陽電池部は、複数の帯状の第1太陽電池素子を有している。これらは、第1保護部材の上に、第1太陽電池素子の短手方向に並列に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-102620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池モジュールが湾曲した形状を有する場合、特許文献1に記載の第1太陽電池素子(いわゆる発電素子)を、湾曲した第1保護部材の表面に塗工することは難しい。そこで、この発電素子を帯状のフィルム基材に配置したセルを短手方向に並列に配置した状態で、フィルム基材を、太陽電池モジュールの湾曲した形状に応じて湾曲させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、例えば日光が太陽電池モジュールに照射された際、太陽電池モジュールの温度分布が均一にならないことがある。これにより、温度変化に起因したフィルム基材の長手方向の伸び差に伴って、フィルム基材に局所的な応力が生じ、その結果、フィルム基材に微細な皺が発生することがある。特に、フィルム基材が湾曲している場合には、このような現象がより生じやすく、太陽電池モジュールの性能が低下する場合もあり得る。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、湾曲した板状の太陽電池モジュールに対して、湾曲したフィルム基材に微細な皺が生じることを抑制できる太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題に鑑みて、本発明に係る太陽電池モジュールは、湾曲した板状の太陽電池モジュールであって、透光性を有した表面層と、裏面層と、前記表面層と前記裏面層との間に、前記表面層側から順に配置された第1および第2の太陽電池ユニットと、前記第1および第2の太陽電池ユニットを封止する封止材と、を備えており、前記第1の太陽電池ユニットは、帯状の複数の第1のセルを有しており、前記複数の第1のセルは、前記第1のセルの短手方向に並列に配置されており、各前記第1のセルは、可撓性を有する帯状のフィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に、前記フィルム基材の長手方向に沿って配置された第1の発電素子と、を有し、前記太陽電池モジュールの湾曲した形状に応じて湾曲しており、前記第2の太陽電池ユニットは、前記第1のセルの長手方向に沿って、各前記フィルム基材の他方の面と対向するように、前記フィルム基材の長手方向に沿って、配列された複数の第2の発電素子を有しており、前記フィルム基材の長手方向に沿った縁部には、前記フィルム基材の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部が、形成されている。
【0008】
また、前記課題に鑑みて、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、湾曲した板状の太陽電池モジュールの製造方法であって、前記太陽電池モジュールは、第1および第2の太陽電池ユニットを備えており、前記第1の太陽電池ユニットは、帯状の複数の第1のセルを有しており、各前記第1のセルは、可撓性を有する帯状のフィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に、前記フィルム基材の長手方向に沿って配置された第1の発電素子と、を有しており、前記第2の太陽電池ユニットは、複数の第2の発電素子を有しており、前記製造方法は、透光性を有し、湾曲した表面パネルと、湾曲した裏面パネルとの間に、樹脂製の封止シートを挟み込むように、表面パネル側から順に第1および第2の太陽電池ユニットを配置した積層体を作製する作製工程と、前記封止シートの樹脂で、前記第1および第2の太陽電池ユニットが封止されるまで、前記樹脂の軟化点以上の加熱温度で、前記積層体を熱圧する熱圧工程と、を含み、前記作製工程において、前記フィルム基材の長手方向に沿った縁部に、前記フィルム基材の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部が形成された前記第1のセルを、前記第1のセルの短手方向に並列に配置し、前記第1のセルの長手方向に沿って、各前記フィルム基材の他方の面と対向するように、前記フィルム基材の長手方向に沿って、前記第2の発電素子を配列する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湾曲した板状の太陽電池モジュールに対して、湾曲したフィルム基材に微細な皺が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る太陽電池モジュールを車両に既設のルーフ基材に搭載した状態を模式的に示す平面図である。
図2】本実施形態に係る太陽電池モジュールの分解斜視図である。
図3】(A)は、図1のA-Aに係る断面図である。(B)は、図1のB-Bに係る断面図である。(C)は、図3(B)の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。(D)は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法を模式的に示す説明図である。
図4】(A)は、変形例に係る太陽電池モジュールを車両のルーフの一部として搭載した状態を模式的に示す平面図である。(B)は、図4(A)のC-Cに係る断面図である。
図5】(A)は、変形例に係る、二列に並列に配置された複数のシリコン結晶素子全体が一つの第2のセルに含まれているとする太陽電池モジュールを模式的に示す平面図である。(B)は、図5(A)のD-Dに係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態について、図1から図5(B)の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一態様であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
<構成>
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュール1を車両7に既設のルーフ基材に搭載した状態を模式的に示す平面図である。本実施形態に係る太陽電池モジュール1をルーフ基材に搭載することで、車両7のルーフ71を構成している。太陽電池モジュール1は、湾曲した板状の形状を有している。そのため、同様に湾曲した車両7のルーフ基材の形状に応じて、ルーフ基材に搭載することができる。図1に示す例では、車両7の車幅方向(図1の向きで左右方向)と比較して、車長方向(図1の向きで上下方向)に対してルーフ基材の曲率が大きい。これに合わせて、ルーフ71が車長方向に対してより曲率が大きい形状となるように成形された太陽電池モジュール1がルーフ基材に搭載される。
【0013】
太陽電池モジュール1は、タンデム型の構造を有し、ルーフ71の最上層(すなわち、図1の向きで最も手前の層)に、透光性を有するガラス製の表面層2を有する。太陽電池モジュール1に日光等の光が照射されると、その照射光は表面層2を透過し、太陽電池モジュール1の内部に到達する。これによって、太陽電池モジュール1の正極と負極の間に起電力が生じ、発電した電力を車両7に供給することができる。
【0014】
なお、太陽電池モジュール1は、薄くて軽量である。この特性を活かし、図1に例示した車両7のルーフ基材以外にも、様々なものに太陽電池モジュール1を搭載することができる。
【0015】
図2は、本実施形態に係る太陽電池モジュール1の分解斜視図である。また、図3(A)は、図1のA-Aに係る断面図、すなわち、太陽電池モジュール1の長手方向に係る断面図である。図3(B)は、図1のB-Bに係る断面図、すなわち、太陽電池モジュール1の長手方向に係る断面図である。太陽電池モジュール1は、表面層2と、裏面層3と、表面層2と裏面層3との間に、表面層2側から順に配置された第1および第2の太陽電池ユニット4、5と、第1および第2の太陽電池ユニット4、5を封止する封止材6(図2では不図示)等を備えている。裏面層3も、表面層2と同様にガラス製である。
【0016】
第1の太陽電池ユニット4は、帯状の複数の(例えば四つの)第1のセル40を有しており、複数の第1のセル40は、その短手方向に並列に配置されている。各第1のセル40は、可撓性を有する帯状のフィルム基材42と、フィルム基材42の一方の面に、その長手方向に沿って配置されたペロブスカイト素子41と、を有し、太陽電池モジュール1の湾曲した形状に応じて湾曲している。ペロブスカイト素子41は、灰チタン石を原料とする発電素子であり、フィルム基材42と同様に可撓性を有する。フィルム基材42は、透光性を有した樹脂材料からなり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の絶縁性の熱可塑性樹脂を主材としている。第2の太陽電池ユニット5は、第1のセル40の長手方向に沿って、各フィルム基材42の他方の面と対向するように、その長手方向に沿って配列された複数のシリコン結晶素子51を有する。ここで、ペロブスカイト素子41は、本発明における第1の発電素子に相当し、シリコン結晶素子51も発電素子の一種であり、本発明における第2の発電素子に相当する。また、シリコン結晶素子51は、単結晶であっても多結晶であってもよい。
【0017】
既述の通り、照射光は、表面層2を透過した後、太陽電池モジュール1の内部に到達する。この照射光が最初にペロブスカイト素子41に到達すると、その照射光の波長域によって、その照射光は、ペロブスカイト素子41に吸収され、またはペロブスカイト素子41を透過してシリコン結晶素子51に吸収される。具体的には、可視光のような所定の値より短い波長域の光であれば、ペロブスカイト素子41に吸収され、赤外光のような所定の値より長い波長域の光であれば、ペロブスカイト素子41を透過してシリコン結晶素子51に吸収される。すなわち、吸収する波長の長さが異なる発電素子を積層することで、広いスペクトル範囲の波長の光を吸収することができ、高い変換効率で照射光のエネルギーを電気エネルギーに変換することができる。なお、各シリコン結晶素子51は、コネクタ52によって接続されており、コネクタ52を介して第2の太陽電池ユニット5全体に電流が流れる。
【0018】
既述の通り、太陽電池モジュール1は、車両7のルーフ基材の湾曲した形状に合わせて湾曲しており、車両7の車幅方向と比較して、車長方向に対してルーフ基材の曲率が大きい。ここで、曲率とは、局所的に曲がっている部分(上記の例ではルーフ基材の曲がっている部分)を円の一部として近似した時の、その円の半径(曲率半径)の逆数をいう。また、太陽電池モジュール1は、第1の方向に沿って湾曲するとともに、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、第1の方向の湾曲よりも大きく湾曲している。そして、太陽電池モジュール1が車両7のルーフ基材に搭載される際には、比較的曲率の小さい第1の方向が車幅方法に合うように、かつ、比較的曲率の大きい第2の方向が車長方向に合うように搭載される。
【0019】
そして、図3(A)および図3(B)に示す通り、太陽電池モジュール1の第2の方向に沿った曲率に合わせて、フィルム基材42は、その長手方向に沿って湾曲している。また、第1のセル40は、フィルム基材42の長手方向が第2の方向と一致するように配置されている。しかしながら、フィルム基材42がその長手方向に沿って湾曲していることにより、以下のような不具合が生じる可能性がある。例えば日光が太陽電池モジュール1に照射された際、太陽電池モジュール1の温度分布が均一にならないことがある。これにより、温度変化に起因したフィルム基材42の長手方向の伸び差に伴って、フィルム基材42に局所的な応力が生じ、結果、フィルム基材42に微細な皺が発生することがある。特に、フィルム基材42は湾曲しているため、このような現象がより生じやすく、太陽電池モジュール1の性能が低下する場合もあり得る。
【0020】
このため、本実施形態においては、フィルム基材42の長手方向に沿った縁部に、フィルム基材42の他の部分よりも曲げ剛性が高い補強部42aが形成されている。ここで、曲げ剛性とは、部材の曲げ変形のし難さを示す指標であり、曲げモーメントを曲率で除算した値をいう。また、上記の他の部分を非補強部42bとし、ペロブスカイト素子41は、非補強部42bの表面を覆うように形成されている。なお、補強部42aが非補強部42bと比較して、曲げ剛性が高いことが明らかであればよく、曲げ剛性の高さは、当業者が通常実施をしている方法で評価できるため、その詳細の説明は省略する。
【0021】
フィルム基材42の長手方向に沿った縁部に補強部42aが形成されていることによって、フィルム基材42の長手方向の伸び差に起因するフィルム基材42の変形を抑えることができる。この結果、フィルム基材42に微細な皺が発生することを抑えることができるため、太陽電池モジュール1の性能の低下を抑えることができる。さらに、第1のセル40は、フィルム基材42の長手方向が第2の方向と一致するように配置されているので、フィルム基材42の長手方向に沿って形成された補強部42aにより、フィルム基材42に微細な皺が発生することを、効果的に抑えることができる。
【0022】
なお、補強部42aの樹脂と、非補強部42bを構成する樹脂とが同じ樹脂である場合、補強部42aの厚みは非補強部42bの厚みよりも大きい。具体的には、補強部42aは、非補強部42bを構成する樹脂と同じ樹脂をフィルム基材42の長手方向に沿った縁部に接着させることで形成されてもよく、またはフィルム基材42の縁部を折り返した部分を補強部42aとしてもよい。また、補強部42aと非補強部42bとが異なる種類の樹脂から構成される場合には、補強部42aに、例えばアルミニウムやチタンやステンレス鋼等の金属材料を形成することによって、補強部42aを構成する材料のヤング率を、非補強部42bを構成する材料のヤング率より高くしてもよい。また、フィルム基材42の短手方向に沿った縁部にも補強部42aが形成されていてもよい。
【0023】
ところで、補強部42aは樹脂や金属から成ることから、太陽電池モジュール1に照射光が照射された際、その照射光は、補強部42aを透過しないまたは透過し難いことがある。この場合、補強部42aに対して斜め方向から照射光が照射されることにより、補強部42aによる影部分が、シリコン結晶素子51に映り込む可能性がある。その結果、ホットスポットが発生し、長期的に太陽電池モジュール1の発電性能が劣化する可能性がある。ここで、図3(C)に、図3(B)の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図を示す。図3(C)に示す通り、フィルム基材42の短手方向において、ペロブスカイト素子41の長さは、シリコン結晶素子51の長さよりも長い。かつ、太陽電池モジュール1を厚さ方向から視て、その短手方向において、シリコン結晶素子51は、その短手方向に沿った両側に、ペロブスカイト素子41の発電領域41Rを残すように、ペロブスカイト素子41に対して配置されている。
【0024】
図3(C)に示す、ペロブスカイト素子41に対するシリコン結晶素子51の相対的な配置によって、補強部42aに対して斜め方向から照射光が照射された場合であっても、補強部42aによる影部分が、シリコン結晶素子51に映り込み難い。この結果、シリコン結晶素子51に写り込んだ影部分に起因して発生するシリコン結晶素子51のホットスポットの発生を抑制することができる。
【0025】
図3(D)は、本実施形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法を模式的に示す説明図である。図3(D)を用いて、湾曲した板状の太陽電池モジュール1の製造方法を示す。当該製造方法は、作製工程と熱圧工程とを含む。具体的に、作製工程においては、透光性を有し、湾曲した表面パネル2Aと、湾曲した裏面パネル3Aとの間に、樹脂製の封止シート6A-6Cを挟み込むように、表面パネル2A側から順に第1および第2の太陽電池ユニット4、5を配置した積層体1Aを作製する。このとき、フィルム基材42の長手方向に沿った縁部に補強部42aが形成された第1のセル40を、その短手方向に並列に配置し、その長手方向に沿って、各フィルム基材42の他方の面と対向するように、フィルム基材42の長手方向に沿って、シリコン結晶素子51を配列する。
【0026】
熱圧工程においては、ラミネータを用いて、封止シート6A-6Cの樹脂で、第1および第2の太陽電池ユニット4、5が封止されるまで、樹脂の軟化点以上の加熱温度で、作製工程において作製した積層体1Aを熱圧する。具体的には、積層体1Aをラミネート治具(不図示)上に配置し、このラミネート治具をラミネータのヒータープレート8上に置き、チャンバー(不図示)内に密閉した後、十分に脱気し、エアー等の混入がないようにする。十分脱気された後、ヒータープレート8に内蔵されたヒーター81によって、封止シート6A-6Cの樹脂を、樹脂の軟化点以上の加熱温度で加熱し、軟化させる。この時、ラミネータの内部を大気圧に開放することで、ダイヤフラム9で積層体1Aを大気圧力(100kPa)で上から押し付ける。その後、封止シート6A-6Cの軟化した樹脂は、架橋されて接着し、第1および第2の太陽電池ユニット4、5を封止することで熱圧工程が終了する。
【0027】
なお、上記の製造工程における、表面パネル2A、裏面パネル3A、および封止シート6A-6Cは各々、完成した太陽電池モジュール1の表面層2、裏面層3、および封止材6に相当する。完成した太陽電池モジュール1においては、既述の通り、第1の太陽電池ユニット4が、帯状の複数の第1のセル40を有しており、各第1のセル40は、可撓性を有する帯状のフィルム基材42と、その一方の面に、その長手方向に沿って配置されたペロブスカイト素子41とを有している。第2の太陽電池ユニット5は、複数のシリコン結晶素子51を有しており、フィルム基材42の長手方向に沿った縁部には、非補強部42bよりも曲げ剛性が高い補強部42aが形成されている。このため、熱圧工程において、表面パネル2Aと裏面パネル3Aとの間に配置された第1の太陽電池ユニット4の各第1のセル40が、表面パネル2Aと裏面パネル3Aの湾曲形状に応じて湾曲する。この際に、フィルム基材42の縁部に沿った補強部42aにより、フィルム基材42の熱収縮に起因した第1のセル40に皺の発生が抑制される。この結果、太陽電池モジュール1の性能の低下を抑えることができる。
【0028】
例えば、図1に示す太陽電池モジュール1の変形例を説明する。図4(A)に、変形例に係る太陽電池モジュール1を車両7のルーフ71の一部として搭載した状態を模式的に示す。図4(B)は、図4(A)のC-Cに係る断面図である。太陽電池モジュール1は、ルーフ71の少なくとも一部として車両7に搭載されていればよいため、図1との差異として、図4(A)に示す様に、太陽電池モジュール1がルーフ71そのものの一部であってもよい。具体的には、図4(A)に示す太陽電池モジュール1は、サンルーフである。また、図4(A)に示す車両7は、その車長方向(図4(A)の向きで上下方向)と比較して、車幅方向(図4(A)の向きで左右方向)に対してルーフ71の曲率が大きい。これに合わせて、ルーフ71が車幅方向に対してより曲率が大きい形状となるように太陽電池モジュール1がルーフ71の一部として搭載される。すなわち、フィルム基材42の変形を抑えるための補強部42aは、太陽電池モジュール1がルーフ71の一部として搭載される際には車幅方向に沿って配置される。また、各第1のセル40は、一定の間隔Sを空けて配置されている。間隔Sを構成する空間には、第1および第2の太陽電池ユニット4、5のいずれも配置されていない。このため、図4(B)に示す通り、外から照射された日光を、表面層2、間隔S、および裏面層3を介して、車両7の内部に採光することができる。
【0029】
また、前記の実施形態と異なる実施形態として、図5(A)には、二列に並列に配置された複数のシリコン結晶素子51全体が一つの第2のセル50に含まれているとする太陽電池モジュール1を模式的に示す。図5(B)は、図5(A)のD-Dに係る断面図である。一つの第2のセル50において、複数のシリコン結晶素子51全体がより密接して二列に配列されていることとなる。この場合であっても、第2のセル50の短手方向の幅を、ペロブスカイト素子41の同方向の幅と比較して短くし、ペロブスカイト素子41の発電領域41Rを残すことができる。ここで、第2のセル50の短手方向の幅とは、図5(B)に示す向きにおける、二つのシリコン結晶素子51のうちの、左側のシリコン結晶素子51の左端と右側のシリコン結晶素子51の右端との間の距離をいう。これによって、二列に並列に配置された複数のシリコン結晶素子51全体が一つの第2のセル50に含まれている構成においても、補強部42aに対して斜め方向から照射光が照射された場合であっても、補強部42aによる影部分が、シリコン結晶素子51に映り込み難い。この結果、シリコン結晶素子51に写り込んだ影部分に起因して発生するシリコン結晶素子51のホットスポットの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0030】
1:太陽電池モジュール、1A:積層体、2:表面層、2A:表面パネル、3:裏面層、3A:裏面パネル、4:第1の太陽電池ユニット、40:第1のセル、41:ペロブスカイト素子、41R:発電領域、42:フィルム基材、42a:補強部、5:第2の太陽電池ユニット、51:シリコン結晶素子、6:封止材、6A-6C:封止シート、7:車両、71:ルーフ
図1
図2
図3
図4
図5