(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025158736
(43)【公開日】2025-10-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20251009BHJP
【FI】
D06F39/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061584
(22)【出願日】2024-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】松岡 修司
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA11
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA34
3B166BA84
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB12
3B166CB13
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166FA06
3B166FA12
3B166FA14
3B166FB01
3B166FB05
3B166GA02
3B166GA12
(57)【要約】
【課題】一方のケースから他方のケースに向かって水が溢れることを抑制しつつ、幅方向の省スペース化を実現する洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、洗濯槽と、洗濯槽に供給される液体処理剤を収容する第1ケースと、第1ケースと幅方向に並び、洗濯槽に供給される粉末処理剤を収容する第2ケースとを有する処理剤供給ケースと、第1ケースと第2ケースとに給水する第1給水流路と、第1ケースと洗濯槽とを連通させる第1供給流路と、第2ケースと洗濯槽とを連通させる第2供給流路と、第1ケースの第1壁部と第2ケースの第2壁部とに挟まれて配置され、洗濯槽に連通する連通孔と、を備え、第1ケースの第1壁部は、第2ケースの第2壁部よりも低い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽と、
前記洗濯槽に供給される液体処理剤を収容する第1ケースと、前記第1ケースと幅方向に並び、前記洗濯槽に供給される粉末処理剤を収容する第2ケースとを有する処理剤供給ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとに給水する第1給水流路と、
前記第1ケースと前記洗濯槽とを連通させる第1供給流路と、
前記第2ケースと前記洗濯槽とを連通させる第2供給流路と、
前記第1ケースの第1壁部と前記第2ケースの第2壁部とに挟まれて配置され、前記洗濯槽に連通する連通孔と、を備え、
前記第1ケースの前記第1壁部は、前記第2ケースの前記第2壁部よりも低い、洗濯機。
【請求項2】
前記幅方向と交差する方向を前後方向として、
前記第1ケースは、前記第2ケースと前記幅方向に並ぶ第1部分と、前記第1部分から前記前後方向に延びて、前記第1部分よりも大きい幅を有する第2部分とを有し、
前記連通孔は、前記第1ケースの前記第1部分と前記第2ケースとの間に位置する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第2部分よりも前側に配置され、
前記第2部分の壁部は、上部から下方に凹んだ切欠きを有する、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記切欠きにおける前記第2部分の壁部は、前記第2ケースの前記第2壁部よりも低い、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第2ケースの幅は、前記第1ケースの前記第1部分の幅よりも大きい、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記連通孔の幅は、前側に向かって大きくなる、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
上から見たときに、前記第2壁部の前側の端部は、前記第1壁部から離れる方向に向かって湾曲した形状を有する、請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記幅方向と交差する方向を前後方向として、
前記処理剤供給ケースの前記幅方向の寸法は、前記前後方向の寸法よりも小さい、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記処理剤供給ケースは、前記第2ケースの後側において、第3ケースを有し、
前記第3ケースに給水する第2給水流路をさらに備える、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記第1給水流路は、前記第1ケース及び前記第2ケースの上方に配置され、開口を有し、
前記開口は、前記連通孔の上方に位置する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記連通孔は、前記第1ケースの前記第1壁部と前記第2ケースの前記第2壁部とに挟まれた第3供給流路に連通し、
上下方向から見たときに、前記第3供給流路には、前記開口及び前記連通孔と重なる傾斜面が設けられている、請求項10に記載の洗濯機。
【請求項12】
上下方向から見たときに、前記連通孔の前後方向の寸法は、前記第1ケースの幅方向の寸法よりも大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、洗濯槽と、洗濯槽に処理剤を供給する処理剤供給ユニットとを有する洗濯機が開示されている。処理剤供給ユニットは、それぞれ処理剤を収容する3つのケースを有する。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機において、3つのケースは幅方向に並んで配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、幅方向の省スペース化という点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、一方のケースから他方のケースに向かって水が溢れることを抑制しつつ、幅方向の省スペース化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、洗濯槽と、洗濯槽に供給される液体処理剤を収容する第1ケースと、第1ケースと幅方向に並び、洗濯槽に供給される粉末処理剤を収容する第2ケースとを有する処理剤供給ケースと、第1ケースと第2ケースとに給水する第1給水流路と、第1ケースと洗濯槽とを連通させる第1供給流路と、第2ケースと洗濯槽とを連通させる第2供給流路と、第1ケースの第1壁部と第2ケースの第2壁部とに挟まれて配置され、洗濯槽に連通する連通孔と、を備え、第1ケースの第1壁部は、第2ケースの第2壁部よりも低い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、一方のケースから他方のケースに向かって水が溢れることを抑制しつつ、幅方向の省スペース化を実現した洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】手動投入ケースを処理剤供給ユニットから引き出した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施の形態1の洗濯機1の斜視図である。
図2は、本開示に係る実施の形態1の洗濯機1を示す模式断面図である。
図1に示すように、洗濯機1は、縦型洗濯機であるが、これに限定されない。洗濯機1は、ドラム式洗濯機または洗濯乾燥機であってもよい。
【0012】
以下の図面において、互いに直交する水平方向をX方向/Y方向とし、X方向とY方向の両方に直交する鉛直方向をZ方向とする。水平方向及び鉛直方向はそれぞれ、洗濯機1を自立させて使用する状態における水平方向及び鉛直方向である。なお、X方向を幅方向、Y方向を前後方向と称してもよい。
【0013】
図1及び
図2に示すように、洗濯機1は、筐体2と、外槽3(
図2)と、洗濯槽4と、駆動部5(
図2)と、処理剤供給ユニット6と、給水装置9(
図2)と、排水弁11(
図2)と、制御部12(
図2)とを備える。
【0014】
<筐体>
図2に示すように、筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2は、上部2Aと、上部2Aの下方の下部2Bとに分かれている。上部2Aの上面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な蓋21とが設けられている。上部2Aは、処理剤供給ユニット6、給水装置9及び制御部12を収容する。下部2Bは、外槽3、洗濯槽4、駆動部5、及び排水弁11を収容する。
【0015】
<外槽>
外槽3は、筐体2の下部2Bの内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3を水槽と称してもよい。外槽3の中心軸V0は、Z方向に沿って延びて、外槽3の底部の中心を通過する。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口30を有する。
【0016】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4を内槽、収容槽またはドラムと称してもよい。洗濯槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は、洗濯槽4と外槽3とを連通させ、洗濯槽4と外槽3との間で洗濯水の移動を可能にする。洗濯槽4は、筐体2の開口20及び外槽3の開口30に面する位置に開口41を有する。洗濯機1のユーザは、蓋21を開けると、開口20、30、41を通じて、洗濯槽4に洗濯物を入れることができる。
【0017】
<駆動部>
駆動部5は、洗濯槽4を中心軸V0周りで回転させる部材である。駆動部5は、例えば、洗濯槽4を回転させるモータを有する。
【0018】
<処理剤供給ユニット>
処理剤供給ユニット6は、自動供給装置7(
図3)と手動投入ケース8(
図3)とを有する。
【0019】
自動供給装置7は、複数回分の液剤を貯蔵するタンクから、1回分の液剤を自動で洗濯槽4に供給する装置である。1回分の液剤は、例えば、運転コースの内容や洗濯物の量に応じて、制御部12が決定した適切な量及び種類の液剤である。
【0020】
手動投入ケース8は、ユーザが手動で投入した1回分の処理剤を収容するための容器である。手動投入された処理剤は、運転コース中に、投入された量において洗濯槽4に供給される。手動投入ケース8に投入される処理剤は、液体であっても、粉末状であっても、固体であってもよい。
【0021】
処理剤供給ユニット6は、Y方向において中心軸V0に対して背面側に配置され、洗濯槽4の開口41の一部と重なるように配置される。
【0022】
<給水装置>
給水装置9は、水道等の水源に接続され、水を洗濯槽4に給水する装置である。具体的には、給水装置9は、処理剤供給ユニット6を介して洗濯槽4に水を給水する。実施の形態1では、給水装置9は、給水弁を有する。
【0023】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成された弁であって、閉じたときは外槽3に水を溜めて、開いたときは外槽3に溜めた水を排水する。排水弁11は、下部2Bの底部に設けられる。
【0024】
<制御部>
制御部12は、洗濯機1の制御を司るコントローラである。制御部12は、プログラムを実行することによって所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部12は、メモリ(図示せず)に格納されたプログラムを呼び出して実行することにより、洗濯機1における各種の制御を実現する。制御部12は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0025】
具体的には、制御部12は、駆動部5と、処理剤供給ユニット6と、給水装置9と、排水弁11とを制御する。
【0026】
図3及び
図4は、処理剤供給ユニット6及び給水装置9の斜視図である。
【0027】
図3及び
図4に示すように、処理剤供給ユニット6は、自動供給装置7と手動投入ケース8とを有する。
【0028】
自動供給装置7は、ユニットケース61と、複数の液剤タンク62(
図3)と、複数の液剤ポンプ63と、混合管64(
図4)とを有する。
【0029】
図3に示すように、ユニットケース61は、複数の液剤タンク62を収容する部材である。複数の液剤タンク62のそれぞれは、運転コースで洗濯槽4に供給する液剤を複数回分貯蔵する容器である。それぞれの液剤タンク62は、異なる種類の液剤を収容してもよく、同じ種類の液剤を収容してもよい。
【0030】
図4に示すように、ユニットケース61の後側(+Y側)には、複数の液剤ポンプ63と混合管64とが設けられている。液剤ポンプ63は、液剤タンク62から既定量の液剤を吸い出して、下方に接続された混合管64に向かって吐出する装置である。混合管64は、給水装置9とユニットケース61との間を接続する管状部材であって、給水装置9から給水される水を、吐出される液剤と合流させて、ユニットケース61に流入させる。
【0031】
ユニットケース61は、下部において、流入した水や処理剤を洗濯槽4に案内する流路を有する。
【0032】
図3に戻って、ユニットケース61には、手動投入ケース8も収容される。
【0033】
図5は、手動投入ケース8を処理剤供給ユニット6から引き出した斜視図である。
図5において、ユニットケース61の蓋61Aがユニットケース61から取り外されている。
【0034】
図5に示すように、ユーザは、手動投入ケース8をユニットケース61に対してY方向に引き出すことができる。
【0035】
手動投入ケース8は、第1ケース81と、第2ケース82と、第3ケース83とを有する。第1ケース81、第2ケース82、および第3ケース83のそれぞれは、手動で投入された1回分の処理剤を収容する。ユーザは、運転コースの開始前に、手動投入ケース8を引き出して第1ケース81、第2ケース82、および第3ケース83のそれぞれに1回分の処理剤を投入し、手動投入ケース8をユニットケース61内に収納する。
【0036】
第1ケース81と第3ケース83には液体処理剤が投入される。第2ケース82には粉末処理剤が投入される。実施の形態1では、第1ケース81には液体洗剤、第2ケース82には粉末洗剤、第3ケース83には液体柔軟剤が投入される。
【0037】
実施の形態1では、第1ケース81、第2ケース82に投入される処理剤の種類が同じであるため、ユーザは、液体洗剤または粉末洗剤の一方を選択して、対応する第1ケース81、第2ケース82に投入する。即ち、所定の運転コースの開始前において、第1ケース81または第2ケース82の一方のみに洗剤が投入されている。第1ケース81に洗剤が投入されている場合、第2ケース82には漂白剤が投入されてもよく、第2ケース82は空であってもよい。逆に、第2ケース82に洗剤が投入されている場合、第1ケース81には漂白剤が投入されてもよく、第1ケース81は空であってもよい。
【0038】
ユーザは、運転コースの種類、用途、または好みによって、液体洗剤または粉末洗剤を選択してもよい。
【0039】
手動投入ケース8は、前後方向(Y方向)に長い形状を有する。手動投入ケース8のX方向の寸法D1は、Y方向の寸法D2よりも小さい。手動投入ケース8のX方向の寸法D1を小さくすることによって、処理剤供給ユニット6において、自動供給装置7の液剤タンク62をX方向に並べて配置するためのスペースを確保しやすくなる。
【0040】
手動投入ケース8がユニットケース61内に収納されると、手動投入ケース8の上方には、流路部材90が位置する。
【0041】
流路部材90は、ユニットケース61の一部であって、給水流路91、92を画定する部材である。給水流路91、92は、給水装置9からの水を上方から手動投入ケース8に向かって給水するための流路である。
【0042】
第1給水流路91は、第1ケース81と第2ケース82に連通し、給水装置9からの水を第1ケース81と第2ケース82との両方に給水するための流路である。実施の形態1では、第1給水流路91は、第1ケース81と第2ケース82と同時に給水する。即ち、第1給水流路91を流れる水は、同じタイミングで第1ケース81と第2ケース82との両方に流入する。
【0043】
第2給水流路92は、第3ケース83に連通し、給水装置9からの水を第3ケース83に給水するための流路である。運転コースにおいて、第2給水流路92への給水は、第1給水流路91への給水とは異なるタイミングで実行される。即ち、第3ケース83への給水は、ケース81、82への給水とは異なるタイミングで実行される。例えば、洗濯物の汚れを落とすために実行される運転コースにおいて、第1給水流路91への給水は洗い工程で実行され、第2給水流路92への給水は後続のすすぎ工程で実行される。
【0044】
図6は、手動投入ケース8の斜視図である。
図7は、手動投入ケース8の平面図である。
図6において、錠剤ケース88が手動投入ケース8から取り外されている。
【0045】
図6及び
図7に示すように、第1ケース81は前後方向(Y方向)に延びて、第2ケース82が第1ケース81の前側部分85と幅方向(X方向)に並び、第3ケース83が第1ケース81の後側部分86と幅方向に並ぶ。前側部分85と後側部分86は、互いに連通する。
【0046】
即ち、第1ケース81の+X側において、第2ケース82と第3ケース83とは前後方向に並んで配置され、第2ケース82は第3ケース83よりも前側(-Y側)に位置する。
【0047】
図6に示すように、ケース81、83は後側(+Y側)の壁部において、周囲に対して凹んだ切欠き53、54を有する。ケース81、83に給水された水は、切欠き53、54から後側に溢れる。また、第2ケース82には、後側に延びる流路が接続されている。ケース81~83から後側に流れた水は、下方に落下して手動投入ケース8の下方に位置するユニットケース61(
図5)に流入し、ユニットケース61によって洗濯槽4に案内される。
【0048】
図7に示すように、上から見たとき、第1ケース81は、前側に向かって幅(X方向の寸法)が小さくなる略台形形状を有する。具体的には、第1ケース81の後側部分86の幅W12は、略一定であり、前側部分85の幅W11は、幅W12よりも小さく、前側に向かって小さくなる。
【0049】
一方で、上から見たとき、第2ケース82は、略四角形状を有する。第2ケース82の幅W2は、略一定である。角部87が曲率を有するため、第2ケース82の幅W2は、角部87において小さくなる。
【0050】
第2ケース82の幅W2は、前側部分85の幅W11よりも大きい。実施の形態1では、幅W2は、第1ケース81の後側部分86の幅W12よりも大きい。そのため、第2ケース82の前後方向の寸法を小さくしつつも、第2ケース82の開口面積を確保し、粉末処理剤が投入しやすくなる。
【0051】
前側部分85の幅W11が小さくなる一方で幅W2が一定であるため、第1ケース81の前側部分85と第2ケース82との間には、隙間として連通孔84が設けられる。連通孔84は、前側部分85の壁部51と第2ケース82の壁部52とに挟まれて設けられる。
【0052】
連通孔84は、手動投入ケース8を上下方向(Z方向)に貫通し、手動投入ケース8の下方に位置するユニットケース61に連通する貫通孔である(
図10)。そのため、第1ケース81に過剰な量の水が供給されると、水は壁部51を乗り越えて連通孔84内に落下し、ユニットケース61に流入する。連通孔84からユニットケース61に流入した水は洗濯槽4に供給される。
【0053】
一方で、壁部52は壁部51よりも高く、即ち、壁部52の上端は壁部51の上端よりも高い位置にある。そのため、壁部51の上端を乗り越えた水が、壁部52の上端まで乗り越えて第2ケース82に流入することを抑制できる。
【0054】
ここで、第1ケース81から第2ケース82への水の流入を抑制する意義について説明する。第2ケース82に粉末処理剤が投入された場合において、第2ケース82に、第1給水流路91からの給水に加えて、第1ケース81からも水が流入すると、第2ケース82への給水の流量が多くなり、勢いも強くなる。そのため、粉末処理剤が水に溶け切る前に第2ケース82から押し出される。即ち、粉末処理剤は、粉末状のままで洗濯槽4に流入し、洗浄効果を発揮しにくくなる。壁部52を壁部51よりも高くし、第1ケース81からの溢水が第2ケース82に流入することによる第2ケース82への過剰給水を抑制することで、粉末処理剤は粉末状のままで第2ケース82から流出することを抑制できる。
【0055】
連通孔84の幅W4は、前側に向かって大きくなる。具体的には、第1ケース81における前側部分85の壁部51が、前側に向かって対向する壁部52から離れるようにY方向に対して傾斜している。そのため、前側部分85の幅W11が小さくなるとともに、幅W4が大きくなる。
【0056】
連通孔84の幅W4は、前端においてさらに大きくなる。第2ケース82の角部87が曲率を有するため、第2ケース82の壁部52の前端は、対向する第1ケース81の壁部51から離れるように湾曲している。そのため、壁部51、52の間隔が大きくなり、幅W4が大きくなる。
【0057】
第2ケース82において、前側の角部87の曲率は、後側の角部87の曲率よりも大きい。即ち、前側の角部87は、後側の角部87よりも丸くなっている。
【0058】
連通孔84の長さL4(Y方向の寸法)は、第1ケース81の前端の幅W11よりも大きい。このような構成によって、連通孔84を第1ケース81と手動投入ケース8の前面65との間に設けた場合と比較して、連通孔84の長さL4を確保しやすくなる。
【0059】
なお、手動投入ケース8の前面65は、手動投入ケース8をユニットケース61に収容した状態で、ユニットケース61から露出する部分であって、手動投入ケース8をユニットケース61から引き出すためにユーザが引く部分である。
【0060】
第1ケース81の前端及び第2ケース82の前端は、手動投入ケース8の前面65に接する。言い換えれば、ケース81、82の前端と前面65との間には隙間が設けられていない。このような構成によって、ケース81、82に処理剤を投入しやすくなる。
【0061】
上から見たとき、第3ケース83は、略四角形状を有する。第3ケース83のX方向の幅W3は、略一定である。
【0062】
一方で、幅W3は、第2ケース82の幅W2よりも小さい。そのため、第1ケース81と第3ケース83との間に、錠剤ケース88を設けることが容易になる。錠剤ケース88は、ユーザが手動で投入した錠剤を収容する容器である。ユーザは、1回の運転コースに1つの錠剤を錠剤ケース88に投入する。なお、手動投入ケース8は、錠剤ケース88を有しなくてもよい。
【0063】
実施の形態1では、第3ケース83の深さは、第2ケース82の深さよりも大きい。このような構成によって、第3ケース83の幅W3を小さくしつつも、処理剤及び水を収容するための容積を確保できる。
【0064】
第1ケース81及び第3ケース83にはそれぞれ、サイフォン構造57、59が設けられている。サイフォン構造57、59は、内部に流路を画定する管状構造であって、流路はそれぞれのケース81、83の底部から上方に延びてから折り返してまた下方に延びる。サイフォン構造57、59によって、ケース81、83内の液体は、液位が流路の折り返し点を超えるまで、ケース81、83内で保持される。
【0065】
第2ケース82には、液体処理剤ではなく粉末処理剤が収容されるため、第2ケース82にはサイフォン構造が設けられていない。
【0066】
図8は、後側から見たときの手動投入ケース8の斜視図である。
【0067】
図8に示すように、第1ケース81の後側部分86の壁部42は、Y方向に面する部分において、上部から下方に凹んだ切欠き53を有する。第3ケース83の壁部43は、Y方向に面する部分において、上部から下方に凹んだ切欠き54を有する。即ち、切欠き53、54における壁部42、43の高さは、周囲の壁部42、43の高さよりも低い。
【0068】
第1ケース81、第3ケース83内の液位が切欠き53、54における壁部42、43の高さを超えると、第1ケース81、第3ケース83内の水は切欠き53、54からオーバーフローする。
【0069】
切欠き53、54からオーバーフローした水の一部は、切欠き53、54の下方に位置する受け部45に流入する。受け部45は、下部に複数の開口を有する容器である。受け部45は、切欠き53、54からオーバーフローした水を受けて、開口を通じて下方に落下させる。受け部45から落下した水は、ユニットケース61に流入し、ユニットケース61(
図12)の底部に画定される流路を介して洗濯槽4に案内される。なお、切欠き53、54からオーバーフローした残りの水は、直接ユニットケース61内に落下する。
【0070】
切欠き53と受け部45を含む第1ケース81の後側の空間は、第1ケース81とユニットケース61とを連通させる供給流路R1を画定する。切欠き54と受け部45を含む第1ケース81の後側の空間は、第3ケース83とユニットケース61とを連通させる供給流路R3を画定する。供給流路R1、R3は、ケース81、83に収容された処理剤及び給水された水をユニットケース61に供給するための流路である。
【0071】
切欠き53における壁部42の高さは、第1ケース81の壁部51の高さと略同じである。そのため、第1ケース81内の水は、切欠き53からオーバーフローするとともに、壁部51を乗り越えて連通孔84に落下する。
【0072】
第1ケース81に切欠き53を設けず壁部51のみを設けた場合、オーバーフロー流量を確保するために、壁部51を低くすることが求められ、第1ケース81が保持できる水の体積が小さくなる。第1ケース81に壁部51とともに切欠き53を設けることで、同じオーバーフロー流量を維持しつつ、第1ケース81の保持体積を確保できる。
【0073】
切欠き53、54及び壁部51をオーバーフロー構造と称してもよい。
【0074】
続いて、
図9から
図13を参照しながら、手動投入ケース8に関する水及び処理剤の流れについて説明する。
図9から
図11は、
図8における異なるYZ断面を示す手動投入ケース8の断面図である。
【0075】
以下の説明において、第2ケース82が粉末処理剤を収容し、第1ケース81及び第3ケース83が空である。なお、第1ケース81には漂白剤が収容されてもよい。
【0076】
図9に示すように、第1ケース81は、投入される処理剤や給水される水を第1ケース81内に案内するための案内部55を有する。案内部55は、下部においてX方向に向かって開口した開口56を有する。第1ケース81に給水される水は、案内部55によって開口56に案内され、開口56を通じて第1ケース81内に流入する(矢印A)。
【0077】
第1ケース81に水が給水されると、第1ケース81内の液位が上昇する。液位が切欠き53における壁部42の高さを超えると、水は切欠き53を乗り越えてユニットケース61の底部や受け部45に向かって第1ケース81から流出する(矢印B)。また、切欠き53を乗り越えるとともに、水は前側部分85の壁部51を乗り越えて連通孔84に落下する(矢印C)。なお、第2ケース82の壁部52が壁部51よりも高いため、水が第2ケース82に流入することは抑制される。
【0078】
第1ケース81への給水と同時に、第2ケース82への給水が実行される(矢印D)。給水によって、第2ケース82に収容された粉末処理剤が水と混ざり、水に溶ける。一方で、給水の流量が多いと、粉末処理剤は、水に溶け切る前に第2ケース82から流出する。第1ケース81から第2ケース82への水の流入を抑制することで、第2ケース82への過剰給水を抑制し、粉末処理剤が水に溶けやすくなる。
【0079】
図10に示すように、連通孔84は、第1ケース81の壁部51(
図9)と第2ケース82の壁部52とに挟まれた供給流路R4に連通する。供給流路R4は、ユニットケース61に連通する。
【0080】
供給流路R4の前側部分には、第1ケース81の壁部51と第2ケース82の壁部52との間で延びる傾斜面58が設けられている。傾斜面58は、上下方向に連通孔84と対向し、後側に向かって下方に傾斜する。そのため、傾斜面58は、連通孔84に落下した水を後側に案内し、ユニットケース61に向かって落下させる。連通孔84に落下した水を傾斜面58に当てることで、水の勢いを弱めることができる。
【0081】
図11に示すように、第2ケース82の後側の壁部には、開口89が設けられている。開口89には、後側に受け部45まで延びる供給流路R2が連通する。供給流路R2は、第2ケース82に収容された粉末処理剤及び給水された水をユニットケース61に供給するための流路である。第2ケース82から流出した粉末処理剤が受け部45における複数の開口を通過することによって、粉末処理剤が塊としてユニットケース61に流入することを抑制できる。
【0082】
供給流路R2は、錠剤ケース88の下方において、第1ケース81の後側部分86と第3ケース83との間を通る。
【0083】
図12及び
図13は、処理剤供給ユニット6の一部の断面図である。
【0084】
図12に示すように、手動投入ケース8がユニットケース61に収納されると、ユニットケース61の底部における供給流路R0が手動投入ケース8の下方に位置する。
【0085】
供給流路R0は、ユニットケース61に流入した洗濯水(処理剤及び水)を洗濯槽4に案内するための流路である。ケース81~83(
図5)から流出した洗濯水は、受け部45を介してまたは直接下方に落下して供給流路R0に流入する。即ち、供給流路R1、R2、R3(
図8、
図11)は、供給流路R0と合流する。
【0086】
一方で、
図13に示すように、連通孔84に落下して供給流路R4に流入した水は、供給流路R1、R2、R3よりも前側で供給流路R0と合流する。
【0087】
図12に戻って、供給流路R0には、ユニットケース61の内底面から上方に突出した複数の突起67の集合体が設けられている。複数の突起67は、洗濯水を泡立てるための構造である。洗濯水が複数の突起67に衝突することで、洗濯水が泡立つ。
【0088】
供給流路R0にはさらに、泡立った洗濯水を案内するための複数の壁部68が設けられている。洗濯水は、壁部68に衝突して偏向される。壁部68によって偏向された洗濯水は、ユニットケース61の底部に設けられた開口(図示せず)を通じて洗濯槽4内に落下する。
【0089】
処理剤が泡立ちやすい種類である場合、処理剤の量が多い場合、または水の勢いが強い場合などにおいて、洗濯水が過剰に泡立ち、泡が壁部68を乗り越える可能性がある。
【0090】
図13に示すように、壁部68を乗り越えた泡は、連通孔84の下方に到達する。連通孔84の上方には、流路部材90のノズル69が配置される。ノズル69は、第1給水流路91に連通し、下方に向かって開口している。給水装置9(
図5)から第1給水流路91に給水されると、水はノズル69から連通孔84内に下方に吐出される。
【0091】
ノズル69から吐出された水は、ノズル69と対向する傾斜面58に当たってから、供給流路R4を通じて下方に落下する。落下した水は洗濯水に当たって泡を消泡する。傾斜面58に当ててから泡に当てることによって、直接泡に当てた場合と比較して、水の勢いを弱めて水の消泡効果を高めることができる。
【0092】
[まとめ]
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0093】
実施の形態1に係る洗濯機1において、処理剤供給ユニット6の全体の寸法を維持したまま、自動供給装置7において液剤タンク62を増やすためには、手動投入ケース8の幅方向の省スペース化が求められる。実施の形態1に係る手動投入ケース8において、幅方向の省スペース化のために、従来構造において幅方向に並んでいた3つのケースのうち、第2ケース82と第3ケース83とを前後方向に並べた。
【0094】
一方で、第2ケース82に投入される粉末処理剤は、液体処理剤と比較してケースに投入しにくい。そのため、第2ケース82の幅を大きくし、開口面積を大きくすることが求められる。実施の形態1では、第2ケース82の幅W2が、隣接する第1ケース81の幅W11よりも大きい。
【0095】
第2ケース82の幅W2を大きく、第1ケース81の幅W11を小さくしつつも、第1ケース81に給水された水が第2ケース82へ溢れることを抑制するために、ケース81、82の間に連通孔84を設ける。第1ケース81の液位が上昇すると、後方の切欠き53に加えて、水は連通孔84から下方に落下する。連通孔84から落下することによって、第1ケース81の水が第2ケース82に流入することが抑制される。そのため、第2ケース82に対する過剰給水を抑制できる。第2ケース82に粉末処理剤が収容されている場合において、過剰給水を抑止することで、粉末処理剤が水に溶け切らないで粉末状のまま第2ケース82から流出することを抑制できる。
【0096】
したがって、第1ケース81から第2ケース82に向かって水が溢れることを抑制しつつ、手動投入ケース8の幅方向の省スペース化を実現できる。
【0097】
さらに、連通孔84がユニットケース61に連通するため、連通孔84を、ユニットケース61の供給流路R0において発生した過剰な泡を消すための水を吐出する流路として活用できる。
【0098】
[効果]
実施の形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0099】
実施の形態1の洗濯機1は、洗濯槽4と、手動投入ケース8(処理剤供給ケース)と、第1給水流路91と、供給流路R1、R0(第1供給流路)と、供給流路R2、R0(第2供給流路)と、連通孔84と、を備える。手動投入ケース8は、洗濯槽4に供給される液体処理剤を収容する第1ケース81と、第1ケース81と幅方向に並び、洗濯槽4に供給される粉末処理剤を収容する第2ケース82とを有する。第1給水流路91は、第1ケース81と第2ケース82とに給水する。供給流路R1、R0は、第1ケース81と洗濯槽4とを連通させる。供給流路R2、R0は、第2ケース82と洗濯槽4とを連通させる。連通孔84は、第1ケース81の壁部51(第1壁部)と第2ケース82の壁部52(第2壁部)とに挟まれて配置され、洗濯槽4に連通する。第1ケース81の壁部51は、第2ケース82の壁部52よりも低い。
【0100】
このような構成によって、第1ケース81から第2ケース82に向かって水が溢れることを抑制しつつ、手動投入ケース8の幅方向の省スペース化を実現できる。
【0101】
実施の形態1の洗濯機1において、幅方向と交差する方向を前後方向とする。第1ケース81は、第2ケース82と幅方向に並ぶ前側部分85(第1部分)と、前側部分85から前後方向に延びて、前側部分よりも大きい幅を有する後側部分86(第2部分)とを有する。連通孔84は、第1ケース81の前側部分85と第2ケース82との間に位置する。
【0102】
このような構成によって、前後方向のスペースを活用して、幅が広いところで第1ケース81の容積を確保し、幅が狭く水が溢れやすいところでは連通孔84を設けて、水が第2ケース82に流入することを抑制する。
【0103】
実施の形態1の洗濯機1において、前側部分85は、後側部分86よりも前側に配置される。後側部分86の壁部42は、上部から下方に凹んだ切欠き53を有する。
【0104】
このような構成によって、連通孔84に加えて、後側部分86も切欠き53を設けることによって、連通孔84に流入する流量を小さくし、水が壁部52まで到達することを抑制できる。
【0105】
実施の形態1の洗濯機1において、切欠き53における後側部分86の壁部42は、第2ケース82の壁部52よりも低い。
【0106】
このような構成によって、水が切欠き53を乗り越える前に壁部52を乗り越えることを抑制できる。
【0107】
実施の形態1の洗濯機1において、第2ケース82の幅W2は、第1ケース81の前側部分85の幅W11よりも大きい。
【0108】
このような構成によって、粉末処理剤を第2ケース82に投入しやすい。
【0109】
実施の形態1の洗濯機1において、連通孔84の幅W4は、前側に向かって大きくなる。
【0110】
このような構成によって、第1ケース81の前側部分85の幅W11を小さくしつつ、第1ケース81の前側部分85から水が溢れることをさらに抑制できる。
【0111】
実施の形態1の洗濯機1において、上から見たときに、壁部52の前側の端部は、壁部51から離れる方向に向かって湾曲した形状を有する。
【0112】
このような構成によって、第1ケース81の前側部分85から水が溢れることをさらに抑制できる。また、角部87が曲率を有しない場合と比較して、壁部52付近において粉末処理剤の滞留や残留を抑制できる。
【0113】
実施の形態1の洗濯機1において、手動投入ケース8の幅方向の寸法D1は、前後方向の寸法D2よりも小さい。
【0114】
このような構成によって、手動投入ケース8及び処理剤供給ユニット6の幅方向の寸法を小さくしやすくなる。
【0115】
実施の形態1の洗濯機1において、手動投入ケース8は、第2ケース82の後側において、第3ケース83を有し、第3ケース83に給水する第2給水流路92をさらに備える。
【0116】
このような構成によって、第2ケース82の後方のスペースを活用できる。また、ケース81、82とは異なるタイミングで給水するため、第3ケース83には、ケース81、82とは異なる工程で洗濯槽4に供給される処理剤を投入できる。
【0117】
実施の形態1の洗濯機1において、第1給水流路91は、第1ケース81及び第2ケース82の上方に配置され、ノズル69(開口)を有し、ノズル69は、連通孔84の上方に位置する。
【0118】
このような構成によって、連通孔84に意図的に水を吐出し、連通孔84の下方で発生する泡を消泡することができる。そのため、泡が手動投入ケース8から溢れることを抑制できる。
【0119】
実施の形態1の洗濯機1において、連通孔84は、第1ケース81の壁部51と第2ケース82の壁部52とに挟まれた供給流路R4(第3供給流路)に連通する。上下方向から見たときに、供給流路R4には、ノズル69及び連通孔84と重なる傾斜面58が設けられている。
【0120】
このような構成によって、供給流路R4を流れる水の勢いを抑えることができる。
【0121】
実施の形態1の洗濯機1において、上下方向から見たときに、連通孔84の長さL4(前後方向の寸法)は、第1ケース81の幅W11(幅方向の寸法)よりも大きい。
【0122】
このような構成によって、第1ケース81の前側で幅方向に沿った連通孔を設ける場合と比較して、連通孔84を大きくできる。
【0123】
なお、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0124】
なお、実施の形態1では、切欠き53における壁部42の高さが壁部51と略同じである例について説明したが、これに限定されない。切欠き53における壁部42は、壁部52よりも低ければいい。このような構成によって、第1ケース81内の洗濯水が切欠き53からオーバーフローする前に第2ケース82に流入することを抑制できる。
【0125】
なお、実施の形態1では、第2ケース82が第3ケース83の前側に位置する例について説明したが、これに限定されない。第3ケース83が第2ケース82の前側に位置してもよい。
【0126】
第1の態様における洗濯機は、洗濯槽と、洗濯槽に供給される液体処理剤を収容する第1ケースと、第1ケースと幅方向に並び、洗濯槽に供給される粉末処理剤を収容する第2ケースとを有する処理剤供給ケースと、第1ケースと第2ケースとに給水する第1給水流路と、第1ケースと洗濯槽とを連通させる第1供給流路と、第2ケースと洗濯槽とを連通させる第2供給流路と、第1ケースの第1壁部と第2ケースの第2壁部とに挟まれて配置され、洗濯槽に連通する連通孔と、を備え、第1ケースの第1壁部は、第2ケースの第2壁部よりも低い。
【0127】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、幅方向と交差する方向を前後方向として、第1ケースは、第2ケースと幅方向に並ぶ第1部分と、第1部分から前後方向に延びて、第1部分よりも大きい幅を有する第2部分とを有し、連通孔は、第1ケースの第1部分と第2ケースとの間に位置する。
【0128】
第3の態様における洗濯機として、第2の態様における洗濯機において、第1部分は、第2部分よりも前側に配置され、第2部分の壁部は、上部から下方に凹んだ切欠きを有する。
【0129】
第4の態様における洗濯機として、第3の態様における洗濯機において、切欠きにおける第2部分の壁部は、第2ケースの第2壁部よりも低い。
【0130】
第5の態様における洗濯機として、第3または第4の態様における洗濯機において、第2ケースの幅は、第1ケースの第1部分の幅よりも大きい。
【0131】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、連通孔の幅は、前側に向かって大きくなる。
【0132】
第7の態様における洗濯機として、第6の態様における洗濯機において、上から見たときに、第2壁部の前側の端部は、第1壁部から離れる方向に向かって湾曲した形状を有する。
【0133】
第8の態様における洗濯機として、第1から第7の態様のいずれかにおける洗濯機において、幅方向と交差する方向を前後方向として、処理剤供給ケースの幅方向の寸法は、前後方向の寸法よりも小さい。
【0134】
第9の態様における洗濯機として、第1から第8の態様のいずれかにおける洗濯機において、処理剤供給ケースは、第2ケースの後側において、第3ケースを有し、第3ケースに給水する第2給水流路をさらに備える。
【0135】
第10の態様における洗濯機として、第1から第9の態様のいずれかにおける洗濯機において、第1給水流路は、第1ケース及び第2ケースの上方に配置され、開口を有し、開口は、連通孔の上方に位置する。
【0136】
第11の態様における洗濯機として、第10の態様における洗濯機において、連通孔は、第1ケースの第1壁部と第2ケースの第2壁部とに挟まれた第3供給流路に連通し、上下方向から見たときに、第3供給流路には、開口及び連通孔と重なる傾斜面が設けられている。
【0137】
第12の態様における洗濯機として、第1から第11の態様のいずれかにおける洗濯機において、上下方向から見たときに、連通孔の前後方向の寸法は、第1ケースの幅方向の寸法よりも大きい。
【0138】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示の洗濯機は、処理剤供給ユニットを備える場合において、処理剤供給ユニットの幅方向の省スペース化を実現できるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0140】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 洗濯槽
5 駆動部
6 処理剤供給ユニット
7 自動供給装置
8 手動投入ケース
9 給水装置
51~52 壁部
53~54 切欠き
58 傾斜面
61 ユニットケース
81~83 ケース
84 連通孔
85 前側部分
86 後側部分