(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025158851
(43)【公開日】2025-10-17
(54)【発明の名称】滅菌容器蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20251009BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20251009BHJP
【FI】
B65D51/22
B65D53/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061768
(22)【出願日】2024-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517001217
【氏名又は名称】CoreTissue BioEngineering株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】城倉 洋二
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA02
3E084BA05
3E084BA08
3E084BA10
3E084CB02
3E084CB10
3E084CC03
3E084FA09
3E084FD13
3E084GB19
3E084GB30
3E084HA07
3E084HB01
3E084HC06
3E084HD01
3E084JA20
(57)【要約】
【課題】滅菌容器の通気シートからなる蓋本体にゴム製の栓体を確実かつ安定的に取り付ける。
【解決手段】滅菌容器1の蓋30は、蓋本体31と栓ホルダ40と栓体50を備えている。蓋本体31は、ガスの透過を許容し菌の透過を阻止する通気シート31aからなる。蓋本体31に樹脂製の栓ホルダ40が接合されている。栓体30によって、蓋本体31の栓穴31cが塞がれている。栓ホルダ40によってゴム製の栓体50が保持されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌容器の蓋であって、
ガスの透過を許容し菌の透過を阻止する通気シートからなり、栓穴が形成された蓋本体と、
前記蓋本体に接合された樹脂製の栓ホルダと、
前記栓穴を塞ぐようにして、前記栓ホルダによって保持されたゴム製の栓体と、
を備えたことを特徴とする滅菌容器蓋。
【請求項2】
前記栓ホルダが、前記栓体を囲む環状のホルダ部と、前記ホルダ部の軸方向の端部に設けられて前記蓋本体に宛がわれる環状の当接板と、前記当接板に形成されて前記蓋本体と溶着される溶着突起と、を含む請求項1に記載の滅菌容器蓋。
【請求項3】
前記栓ホルダが、前記栓体と分離不能に一体形成されている請求項1に記載の滅菌容器蓋。
【請求項4】
前記蓋本体の外面には、タンパーシールが前記栓穴を覆うようにして貼り付けられている請求項1~3の何れか1項に記載の滅菌容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌容器の蓋に関し、特に生体由来の乾燥された組織を滅菌状態で保存するとともに使用に際して収容したまま水和させるのに適した滅菌容器の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ブタの心膜などの生体由来組織を保存する滅菌容器が開示されている。該滅菌容器は、内容器と外容器の二重容器構造になっている。収容対象の生体由来組織が乾燥された状態で内容器に収容される。内容器が外容器に収容されている。外容器の蓋は、菌の透過を阻止する通気シートによって構成されている。通気シートの中央部にはゴム製の栓体が設けられている。栓体は、内容器の蓋部の中央部に形成された注入口に挿し入れられることで、内容器内に臨んでいる。
【0003】
かかる滅菌容器が減圧下に置かれ、エチレンオキサイドガス等の滅菌ガス雰囲気中に配置されることで、滅菌ガスが、通気シートを透過して外容器の内部に入り、さらに内容器の蓋部の注入口の縁と栓体との間を通って、内容器の内部に入る。これによって、内容器内の生体由来組織の滅菌状態が維持される。
【0004】
生体由来組織の使用に際して、栓体に注入針を刺して、生理食塩液等の水和液を内容器に注入する。これによって、生体由来組織が水和される。水和後の生体由来組織を滅菌容器から取り出して、移植施術等に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲特許文献1において、滅菌容器の通気シートとしては、例えばデュポン社製タイベック(登録商標)等の特殊不織布が用いられている。一方、この種の特殊不織布は、栓体などのゴム製部材との接合性が悪い。
本発明は、かかる事情に鑑み、滅菌容器の通気シートからなる蓋本体にゴム製の栓体を確実かつ安定的に取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、滅菌容器の蓋であって、
ガスの透過を許容し菌の透過を阻止する通気シートからなり、栓穴が形成された蓋本体と、
前記蓋本体に接合された樹脂製の栓ホルダと、
前記栓穴を塞ぐようにして、前記栓ホルダによって保持されたゴム製の栓体と、
を備えたことを特徴とする。
栓ホルダは、樹脂製であるから、蓋本体を構成する通気シートとの接合性を確保できる。これによって、栓体を、栓ホルダを介して、通気シートからなる蓋本体と安定的に接合できる。
好ましくは、通気シートは特殊不織布によって構成されている。
【0008】
好ましくは、前記栓ホルダが、前記栓体を囲む環状のホルダ部と、前記ホルダ部の軸方向の端部に設けられて前記蓋本体に宛がわれる環状の当接板と、前記当接板に形成されて前記蓋本体と溶着される溶着突起と、を含む。
これによって、栓ホルダを蓋本体と溶着によって接合できる。
【0009】
好ましくは、前記栓ホルダが、前記栓体と分離不能に一体形成されている。
例えば、栓ホルダ及び栓体は、インサート成形によって分離不能に一体形成されている。「分離不能に一体形成」とは、無理に分離しようとすると栓ホルダ及び栓体の少なくとも一方が材破される程度に、栓ホルダと栓体とが互いに強固に密着されていることを言う。その結果、通気性が無い状態となっている。
【0010】
好ましくは、前記蓋本体の外面には、タンパーシールが、前記栓穴を覆うようにして貼り付けられている。
タンパーシールの貼り付け状態によって、滅菌容器が未使用か否かを確認できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、滅菌容器の通気シートからなる蓋本体にゴム製の栓体を確実かつ安定的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る滅菌容器蓋を含む滅菌容器の断面図である。
【
図3】
図3は、前記滅菌容器蓋を斜め下から見た斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、前記滅菌容器蓋の平面図である。
図4(b)は、前記滅菌容器蓋の底面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4(a)のVa-Va線に沿う、前記滅菌容器蓋の断面図である。
図5(b)は、
図4(b)のVb-Vb線に沿う、前記滅菌容器蓋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本実施形態に係る滅菌容器1を示す。滅菌容器1の収容対象は、例えば牛、豚、馬その他の動物の腱、神経、皮膚などの生体由来組織2であるが、本発明はこれに限定されない。滅菌容器1は、内容器10と、外容器20を含む二重容器構造になっている。
図2に示すように、滅菌容器1は、平面視で概略長方形のトレー状の容器であるが、容器形状はこれに限らない。
【0014】
図1及び
図2に示すように、内容器10は、内容器本体11と、蓋部12を含む。内容器本体11及び蓋部12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂によって構成されている。生体由来組織2が乾燥された状態で内容器本体11に収容されている。内容器本体11に蓋部12が被せられている。蓋部12の中央部には注入口13が形成されている。注入口13の周縁部は、逆さL字状の断面になるように上方へ隆起されることで、環状の縁凸部14を構成している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、外容器20は、容器本体21と、滅菌容器蓋30を含む。容器本体21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂によって構成されている。容器本体21に内容器10が収容されている。容器本体21に滅菌容器蓋30が被せられている。滅菌容器蓋30の周縁部が、全周にわたって、容器本体21の上端周縁部とヒートシール等にて接合されている。
【0016】
図1に示すように、滅菌容器蓋30は、シート状の蓋本体31と、栓ユニット32を含む。蓋本体31は、ガスの透過を許容し菌の透過を阻止する通気シート31aによって構成されている。通気シート31aとして、例えばデュポン社製のタイベック(登録商標)等の特殊不織布が用いられている。この種の特殊不織布は、ゴム製部材との接合性が悪い。
【0017】
図2に示すように、通気シート31aからなる蓋本体31の中央部には、栓穴31cが形成されている。
図1に示すように、栓穴31cが、栓ユニット32によって塞がれている。
【0018】
図3に示すように、栓ユニット32は、環状の栓ホルダ40と、栓体50を含む。栓ホルダ40の材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂である。栓体50の材質は、ゴムである。
【0019】
図3及び
図4(b)に示すように、栓ホルダ40は、環状のホルダ部41と、中間筒部42と、当接板43を含み、有蓋三重円筒状に形成されている。ホルダ部41は、環状肉抜き部44と、内筒部45を有している。環状肉抜き部44は、放射状に配置された複数(図では8つ)のL字状の枠部44aによって構成されている。
図4(b)及び
図5(b)に示すように、隣接する枠部44aどうしの間に肉抜き孔44bが形成されている。
図5(a)及び同図(b)に示すように、環状肉抜き部44の下端部に内筒部45が一体に連なっている。内筒部45は、環状肉抜き部44より小径の円筒形状に形成され、環状肉抜き部44から下方へ突出されている。内筒部45の上端部の内周には、三角形断面の環状爪部41qが、上方へ突出するように形成されている。
【0020】
図3及び
図4(b)に示すように、ホルダ部41の径方向外側には、中間筒部42が配置されている。中間筒部42は、ホルダ部41より大径かつホルダ部41より短軸長の円筒形状に形成されている。中間筒部42よりも内筒部45が下へ突出されている。
図6に示すように、中間筒部42は、縁凸部14とほぼ同径になっているが、これに限らず、縁凸部14より大径であっても小径であってもよい。
【0021】
図3及び
図5に示すように、ホルダ部41及び中間筒部42の上側部(軸方向の端部)には、当接板43が被さるように設けられている。当接板43は、中間筒部42より大径の円板形状に形成されている。ホルダ部41の上端部及び中間筒部42の上端部が、当接板43と一体に連なっている。
【0022】
当接板43の外周部には、環状の外周リム部43bが下方へ突出するように形成されている。外周リム部43bは、中間筒部42より大径かつ中間筒部42より短軸長の円筒形状に形成されている。外周リム部43bよりも中間筒部42が下へ突出されている。
【0023】
図4(a)に示すように、当接板43の中央部には、中心穴43cが形成されている。
図1に示すように、中心穴43cの穴径は、栓穴31cの穴径より大きい。なお、
図5に示すように、中心穴43cの内周面は、上へ向かって拡径するテーパ面になっている。当接板43における中心穴43cの周縁部には、三角形断面の環状爪部43pが、下方へ突出するように形成されている。
【0024】
図4(a)に示すように、当接板43の上面43a(蓋本体31を向く面)の外周近くには、溶着突起46が形成されている。溶着突起46は、栓ホルダ40の全周にわたる環状になっている。
図5(a)に示すように、溶着前の溶着突起46は、例えば三角形状の断面に形成されて、当接板43から上方(軸方向の外側)へ突出されている。
なお、溶着突起46は、必ずしも環状である必要は無く、周方向の数か所で途切れていてもよく、スポット状であってもよい。
【0025】
図3に示すように、ゴム製の栓体50が栓ホルダ40によって保持されている。栓体50を構成するゴム材質は、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムでもよく、天然ゴムでもよい。
【0026】
図3及び
図4(b)に示すように、栓体50は、栓本体51と、外周リング部52を含む。栓本体51は、概略、円形ピース状に形成されている。
図4(a)及び
図6に示すように、栓本体51の上端部の中央部には、円形状の凸栓部53が形成されている。凸栓部53の外径は、栓穴31cの内径と実質的に等しい。凸栓部53の高さは、通気シート31aの厚みと実質的に等しい。凸栓部53の中央部には、小さな逆さ円錐状の案内凹部53aが形成されている。栓本体51の底部には、台形状の断面の底凹部51bが形成されている。
【0027】
図5(a)に示すように、栓本体51の外周に外周リング部52が一体に設けられている。外周リング部52は、概略四角形の断面を呈して、栓本体51の全周にわたる環状に形成されている。外周リング部52の上端面と栓本体51の上側の外周面との間には、V字状の環状凹溝52pが形成されている。外周リング部52の下端面と栓本体51の下側の外周面との間には、逆さV字状の環状凹溝52qが形成されている。
【0028】
図3及び
図4(b)に示すように、栓体50は、栓ホルダ40のホルダ部41内に収容されることによって、ホルダ部41に囲まれるように保持されている。さらに、栓ホルダ40と栓体50とは、分離不能に密着されて一体になっている。
【0029】
図5(a)に示すように、栓本体51の上端部は、中心穴43cに嵌め込まれている。栓本体51の上端部における凸栓部53のまわりの環状面51aが、当接板43の上面43aとほぼ面一になっている。凸栓部53が、当接板43より上へ突出されている。栓本体50の上端部の外周面は、上へ向かって拡径されることで、中心穴43cのテーパ状の内周面と密着されている。栓本体51の下端部は、内筒部45の内部に差し入れられている。
【0030】
外周リング部52は、環状肉抜き部44の内部44cに収容されることによって環状肉抜き部44と密着されている。さらに、環状凹溝52pに環状爪部43pが嵌入されている。環状凹溝52qに環状爪部41qが嵌入されている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、滅菌容器蓋30においては、栓ホルダ40と栓体50との一体物からなる栓ユニット32が、蓋本体31の下側かつ中央部に配置されている。
図6に示すように、栓ホルダ40の当接板43の上面43aが、蓋本体31の内面31b(下面)の中央部に宛がわれている。
【0032】
また、
図6に示すように、栓ホルダ40の中間筒部42の下端部が、縁凸部14の上端部と近接して、中間筒部42と縁凸部14との間にクリアランス13cが形成されている。中間筒部42が縁凸部14に突き当たっていてもよい。内筒部45の下端部は、注入口13に差し入れられている。縁凸部14と内筒部45との間には、環状の通気隙間13gが形成されている。栓体50が、注入口13を通して、内容器10の内部に臨んでいる。
【0033】
さらに、
図6に示すように、栓体50の上端環状面51aが、蓋本体31の内面31bにおける栓穴31cの周縁部分に宛がわれている。栓体50の凸栓部53が、栓穴31cに嵌っている。これによって、栓穴31cが、栓体50によって閉塞されている。凸栓部53の上面は、通気シート31aの上面(外面)とほぼ面一になり、通気シート31aの面に現れている。
【0034】
図6に示すように、滅菌容器蓋30においては、栓ホルダ40の溶着突起46が蓋本体31と溶着されている。これによって、栓ホルダ40と蓋本体31とが接合されている。ひいては、栓体50が栓ホルダ40を介して蓋本体31と接合されている。
【0035】
図2において二点鎖線にて示すように、蓋本体31の外面(上面)には、溶着突起46との溶着時の熱変質による溶着痕31dが形成されている。溶着痕31dは、円形をなして栓穴31cを囲んでいる。
【0036】
好ましくは、
図6において二点鎖線にて示すように、蓋本体31の外面の中央部には、タンパーシール33が粘着剤を介して貼り付けられている。タンパーシール33によって、栓体50の凸栓部53及び栓穴31cが覆われている。好ましくは、タンパーシール33は、通気シート31aと同じ材質の特殊不織布によって構成され、ガスの透過を許容し菌の透過を阻止する。
【0037】
滅菌容器蓋1は、例えば次のようにして作製される。
栓体50が原料のゴムから単独で成形される。
成形後の栓体50が、栓ホルダ40の成形用金型(図示せず)にセットされる。該成形用金型によって栓ホルダ40が樹脂成形される。これによって、栓ホルダ40と栓体50とがインサート成形にて密着一体化され、栓ユニット32が形成される。
環状肉抜き部44によって、インサート成形時における栓体50の撓みを低減できる。また、環状凹溝52p,52qに栓ホルダ40の原料樹脂が流れ込んで、環状爪部41p,41qとなることで、栓ホルダ40と栓体50との一体性を高めることができる。
【0038】
インサート成形された栓ユニット32が、蓋本体31の内面31b(下面)の中央部に宛がわれ、栓体50によって栓穴31cが内面31b側から閉塞される。
【0039】
そして、栓ホルダ40の溶着突起46が、蓋本体31と溶着される。溶着方法としては、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着、振動溶着等が挙げられる。
これによって、栓ホルダ40と蓋本体31とが接合される。ひいては、栓体50が、栓ホルダ40を介して蓋本体31と接合される。これによって、特殊不織布製の通気シート31aからなる蓋本体31に、ゴム製の栓体50を、確実かつ安定的に取り付けることができる。
【0040】
さらに、蓋本体31の外面の中央部にタンパーシール33(
図2)を貼り付けることで、栓体50の凸栓部53及び栓穴31cをタンパーシール33によって覆う。
このようにして、作製された滅菌容器蓋30が、滅菌容器1の蓋として提供される。蓋本体31の外周縁が、生体由来組織2を含む内容器10を収容済の容器本体21の上端周縁部とヒートシールされる。
【0041】
滅菌容器1は、例えば次のように使用される。
生体由来組織2を収容した滅菌容器1を、エチレンオキサイドガス等の滅菌ガス雰囲気中に配置する。雰囲気中の滅菌ガスは、通気シート31aを透過して外容器20の内部に入り、さらに注入口13の外周のクリアランス13c及び通気隙間13gを通って、内容器10の内部に入る。これによって、内容器10内の生体由来組織2の滅菌状態が維持される。
【0042】
タンパーシール33として通気性のある素材を使うことにより、ゴム製栓体50の表面が滅菌されていることを保証できる。あるいは、タンパーシール33の剥離の有無によって、滅菌容器1が未使用か否かを確認できる。
【0043】
生体由来組織2の使用に際しては、タンパーシール33を剥がす。これによって、栓体50の凸栓部53が露出される。続いて、注入針を、凸栓部53の案内凹部53aに差し入れて、栓体50に刺し通す。そして、生理食塩液等の水和液を内容器10に注入する。これによって、生体由来組織2が水和される。水和後に滅菌容器蓋30を外容器20から剥離し、生体由来組織2の入った内容器10のみを手術室の清潔野等に移動する。手術前に水和後の生体由来組織2を内容器10から取り出して、移植施術等に使用する。
【0044】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、蓋本体31における栓穴31c及び栓ユニット32の配置位置は、蓋本体31の中央部に限らず、蓋本体31の外周近くであってもよい。
栓ユニット32の栓ホルダ40と栓体50とが分離可能であってもよい。
栓ホルダ40が蓋本体31と接着によって接合されていてもよい。
栓ホルダ40が蓋本体31の外面に設けられていてもよい。
通気シート31aの材質は、不織布に限らず、滅菌紙等でもよい。
滅菌容器1は、内容器10と外容器20の入れ子構造に限らず、単一容器でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば生体由来組織を保存する滅菌容器に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 滅菌容器
2 生体由来組織
10 内容器
20 外容器
30 滅菌容器蓋
31 蓋本体
31a 通気シート
31b 内面
31c 栓穴
31d 溶着痕
32 栓ユニット
33 タンパーシール
40 栓ホルダ
41 ホルダ部
43 当接板
43c 中心穴
46 溶着突起
50 栓体
51 栓本体
52 外周リング部
53 凸栓部
53a 案内凹部