(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015917
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20250124BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118818
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 拓人
(72)【発明者】
【氏名】林 幸佑
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA36
4F206AD07
4F206AH33
4F206AH36
4F206AH37
4F206AM08
4F206JA02
4F206JB12
4F206JL02
4F206JP14
4F206JP15
4F206JP30
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】インターロックに起因して樹脂成形装置が動作しない場合に樹脂成形装置が動作しない原因をユーザに容易に認識させることが可能な樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形装置は、制御対象と、コントローラとを備える。コントローラは、制御対象を制御する。コントローラは、メモリと、プロセッサとを含む。メモリは、制御対象の所定動作に関して、複数の条件と、複数の条件の各々に対応付けられたコメントとを記憶する。複数の条件の各々は、制御対象のインターロックに関する条件である。プロセッサは、所定動作の実行が指示された場合に、複数の条件の各々が満たされているときは、所定動作の実行を指示する指令を制御対象へ出力する一方、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないときは、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品の製造を行なう樹脂成形装置であって、
前記製造に用いられる制御対象と、
前記制御対象を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、メモリと、プロセッサとを含み、
前記メモリは、前記制御対象の所定動作に関して、複数の条件と、前記複数の条件の各々に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記複数の条件の各々は、前記制御対象のインターロックに関する条件であり、
前記プロセッサは、
前記所定動作の実行が指示された場合に、
前記複数の条件の各々が満たされているときは、前記所定動作の実行を指示する指令を前記制御対象へ出力する一方、
前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないときは、前記複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられた前記コメントを出力する、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記メモリは、条件群と、前記条件群に含まれる各条件に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記条件群に含まれる各条件は、前記インターロックに関する条件であり、
前記複数の条件の各々は、前記条件群に含まれる、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記所定動作中に前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に、前記所定動作の停止を指示する指令を前記制御対象へ出力する、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
ユーザからの指示の入力を受け付ける入力インターフェースをさらに備え、
前記入力インターフェースは、前記複数の条件に新たな条件を追加する指示、及び、前記複数の条件に含まれる少なくとも一部の条件を変更する指示の少なくとも一方を受け付ける、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型と、
前記成形型の前方に配置されており開閉可能なカバーとをさらに備え、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記型締め機構は、モータを含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型締め動作であり、
前記複数の条件は、前記モータが駆動可能な状態であること、前記カバーが閉じられていること、及び、前記第1型及び前記第2型による型締めの圧力が所定圧力未満であることの少なくとも2つを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型をさらに備え、
前記成形型を用いた樹脂成形時に前記成形型内は真空引きされ、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型開き動作であり、
前記複数の条件は、前記第1型及び前記第2型のうち下方の型が下限位置に存在しないこと、及び、前記成形型内が真空引きされていないことを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記制御対象に前記所定動作を実行させることと、
前記所定動作を通じて前記樹脂成形品を製造することとを含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2023-48797号公報(特許文献1)は、樹脂封止装置を開示する。この樹脂封止装置はワーク処理ユニットを備えており、ワーク処理ユニットはローダを備えている。ローダは、樹脂封止前のワークを封止金型へ搬送し、樹脂封止済みのワークを封止金型外の所定位置へ搬送する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている樹脂封止装置において、ローダの移動経路上に障害物が配置された状態でローダが移動すると、樹脂封止装置が故障し得る。上記特許文献1においては、このような故障の発生を抑制する手段が開示されていない。
【0005】
このような故障の発生を抑制するために、樹脂封止装置にインターロックを導入することが考えられる。例えば、ローダの移動経路上に障害物が配置されていないことがローダの移動動作に関するインターロックの条件に含まれていれば、ローダの移動経路上に障害物が配置されている場合にローダの移動が開始されない。これにより、樹脂封止装置の故障の発生が抑制される。ローダの移動が開始されない原因を解消することによって、再びローダの移動が可能となる。しかしながら、所定動作に関するインターロックの条件が複数の条件によって構成される場合に、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないのかをユーザが認識するのは容易ではない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、インターロックに起因して樹脂成形装置が動作しない場合に樹脂成形装置が動作しない原因をユーザに比較的容易に認識させることが可能な樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従う樹脂成形装置は、樹脂成形品の製造を行なう。樹脂成形装置は、制御対象と、コントローラとを備える。制御対象は、樹脂成形品の製造に用いられる。コントローラは、制御対象を制御する。コントローラは、メモリと、プロセッサとを含む。メモリは、制御対象の所定動作に関して、複数の条件と、複数の条件の各々に対応付けられたコメントとを記憶する。複数の条件の各々は、制御対象のインターロックに関する条件である。プロセッサは、所定動作の実行が指示された場合に、複数の条件の各々が満たされているときは、所定動作の実行を指示する指令を制御対象へ出力する一方、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないときは、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントを出力する。
【0008】
本発明の他の局面に従う樹脂成形品の製造方法は、上記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、制御対象に所定動作を実行させることと、所定動作を通じて樹脂成形品を製造することとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インターロックに起因して樹脂成形装置が動作しない場合に樹脂成形装置が動作しない原因をユーザに比較的容易に認識させることが可能な樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】樹脂成形装置の正面を模式的に示す図である。
【
図2】樹脂成形装置の内部の平面を模式的に示す図である。
【
図3】型締め前の圧縮成形部の断面を模式的に示す図である。
【
図4】樹脂材料収容部の側方断面を模式的に示す図である。
【
図5】コントローラの構成を模式的に示す図である。
【
図6】出力されたコメントに基づいて表示されたメッセージの一例を示す図である。
【
図7】比較対象におけるメッセージの表示手順を説明するための図である。
【
図8】実施の形態におけるメッセージの表示手順を説明するための図である。
【
図9】実施の形態においてインターロックに関する条件の変更を行なう場合の手順について説明するための図である。
【
図10】樹脂成形装置におけるインターロックに関連する動作手順を示すフローチャートである。
【
図11】所定動作の実行中に行なわれるインターロックに関連する動作手順を示すフローチャートである。
【
図12】各センサの接続形式の別の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0012】
[1.構成]
<1-1.樹脂成形装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に従う樹脂成形装置100の正面を模式的に示す図である。
図2は、本実施の形態に従う樹脂成形装置100の内部の平面を模式的に示す図である。樹脂成形装置100は、半導体チップ等の電子部品が搭載された基板Wに樹脂封止を施し、樹脂成形品を製造するように構成されている。樹脂成形装置100においては、基板Wのうち電子部品が搭載された部品搭載面が樹脂封止される。
【0013】
基板Wの一例としては、シリコンウェーハ等の半導体基板、リードフレーム、プリント配線基板、金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミック製基板等を挙げることができる。基板Wは、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)、FOPLP(Fan Out Panel Level Packaging)に用いられるキャリアであってもよい。基板Wにおいては、配線が既に施されていてもよいし、配線が施されていなくてもよい。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、樹脂成形装置100は、基板供給・収納モジュールA(以下、単に「モジュールA」とも称する。)と、2つの樹脂成形モジュールB(以下、単に「モジュールB」とも称する。)と、樹脂材料供給モジュールC(以下、単に「モジュールC」とも称する。)と、コントローラ200とを含んでいる。
【0015】
モジュールA-Cの各々は、他のモジュールに着脱可能かつ交換可能である。また、樹脂成形装置100において、モジュールA-Cの各々は増減可能である。モジュールAの正面にはディスプレイ300が設けられており、各モジュールBの正面には操作パネル400が設けられている。ディスプレイ300は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成され、タッチパネル機能を有する。例えば、モジュールAに関する操作指示はディスプレイ300を介して入力され、モジュールBに関する操作指示は操作パネル400を介して入力される。また、モジュールA-Cの各々の正面には透明のカバー(窓)CV1が設けられている。各カバーCV1は、開閉可能である。
【0016】
モジュールAは、基板供給部1と、基板収納部2と、基板載置部3と、基板搬送機構4とを含んでいる。基板供給部1は、樹脂封止前の基板(以下、「封止前基板」とも称する。)Wを基板載置部3上に供給するように構成されている。基板収納部2は、樹脂封止済の基板(以下、「封止済基板」とも称する。)W(樹脂成形品)を収納するように構成されている。基板載置部3は、基板供給部1に対応する位置と基板収納部2に対応する位置との間で矢印Y方向に移動するように構成されている。基板搬送機構4は、モジュールA及び各モジュールBにおいて、矢印X方向及び矢印Y方向に移動するように構成されている。基板搬送機構4は、例えば、基板載置部3上の封止前基板Wを保持しモジュールBに搬送し、封止済基板Wを基板載置部3上に載置する。
【0017】
各モジュールBは、圧縮成形部5を含んでいる。圧縮成形部5は、圧縮成形によって封止済基板W(樹脂成形品)を製造するように構成されている。この圧縮成形においては、熱硬化性を有する顆粒状の樹脂材料Pが用いられる。樹脂材料Pの色は、例えば黒色である。
【0018】
図3は、型締め前の圧縮成形部5の断面を模式的に示す図である。
図3に示されるように、圧縮成形部5は、外枠部材501と、固定プラテン540と、成形型50と、型締め機構53と、ポンプ550とを含んでいる。成形型50の一例としては、金型が挙げられる。
【0019】
外枠部材501は、タイバー(柱体)又はホールドフレーム(板部材)で構成される。外枠部材501がタイバーで構成される場合には、四隅に配置された4本のタイバーによって外枠部材501が構成される。4本のタイバーの各々は上下方向(矢印Z方向)に延びている。外枠部材501がホールドフレームによって構成される場合には、左右に配置された2枚のホールドフレームによって外枠部材501が構成される。2枚のホールドフレームの一方の幅広面は、2枚のホールドフレームの他方の幅広面と左右方向(矢印X方向)において対向している。
【0020】
固定プラテン540は、平面視矩形状の板状部材である。固定プラテン540は、外枠部材501の上部に固定されている。型締め機構53は可動プラテン530とサーボモータ531とを含んでおり、可動プラテン530は外枠部材501の内側において固定プラテン540よりも下方に配置されている。可動プラテン530は、上下方向に移動するように構成されている。可動プラテン530の移動は、例えば、サーボモータ531及びボールねじ(不図示)の組合せによって実現される。
【0021】
成形型50は、上型52と、下型51とを含んでいる。上型52と下型51とは、互いに対向して配置されている。成形型50の前方(手前側)には、カバーCV1(
図1)が配置されている。成形型50は、外枠部材501の内側において、固定プラテン540と可動プラテン530との間に配置されている。より具体的には、上型52が固定プラテン540の下面に固定されており、下型51が可動プラテン530の上面に固定されている。可動プラテン530が上下方向に移動することによって、下型51も可動プラテン530と共に上下方向に移動する。可動プラテン530が上昇することによって、成形型50の型締めが行なわれる。
【0022】
上型52及び下型51にはそれぞれ加熱部520,510が設けられており、成形型50の型締め時には上型52及び下型51がそれぞれ加熱部520,510によって加熱される。加熱部520,510の各々は、例えば、ヒータによって構成される。また、成形型50の型締めが完了した状態における樹脂成形時には成形型50内の真空引きが行なわれる。
【0023】
下型51は、ベースプレート514と、底面部材511と、バネ513と、側面部材512とを含んでいる。ベースプレート514は、平面視矩形状の板状部材である。ベースプレート514は、可動プラテン530の上面に固定されている。底面部材511は、平面視矩形状のブロック状部材である。底面部材511は、ベースプレート514の上面に固定されており、ベースプレート514の略中央部分に位置している。側面部材512は、底面部材511の周囲を囲む枠状部材である。側面部材512は、複数のバネ513を介してベースプレート514に固定されている。
【0024】
側面部材512の上面は底面部材511の上面よりも上方に位置しており、下型51の上面にはキャビティ51Cが形成されている。キャビティ51Cには、樹脂材料Pが載っているフィルム(離型フィルム)F1が配置される。ポンプ550は吸引を行なうように構成されており、ポンプ550が吸引を行なうことによってフィルムF1がキャビティ51C内に吸着される。上型52の下面には、基板Wが配置される。下型51のキャビティ51Cに樹脂材料Pが載っているフィルムF1が配置され、かつ、上型52の下面に基板Wが配置された状態で成形型50の型締めが行なわれることによって、基板Wの部品搭載面が樹脂封止される。樹脂材料Pは加熱部510によって加熱される。最初、樹脂材料Pの粘度が低下する。この状態で成形型50の型締めが行なわれ、型締めが一定時間維持される。これにより、樹脂材料Pの温度が上昇し、樹脂材料Pは硬化する。これにより、樹脂封止が行なわれる。なお、樹脂材料Pは熱可塑性を有する樹脂材料であってもよい。この場合、樹脂材料Pを冷却することにより、樹脂材料Pを硬化させる。以下では、樹脂材料Pが熱硬化性を有する例を説明する。
【0025】
圧縮成形部5は、さらにセンサS1-S6を含んでいる。センサS1は、下型51の温度及び加熱部510の電流値等に基づいて加熱部510の異常を検出するように構成されている。センサS2は、上型52の温度及び加熱部520の電流値等に基づいて加熱部520の異常を検出するように構成されている。センサS3は、例えば、型締め機構53の動作状態及び型締めの圧力を検出するように構成されている。センサS4は、成形型50内の圧力を検出するように構成されている。可動プラテン530が移動可能な下限位置は、予め定められている。センサS5は、可動プラテン530が下限位置に達しているか否かを検出するように構成されている。センサS6は、ポンプ550の動作状態を検出するように構成されている。センサS6は、例えば、ポンプ550の電源がオン状態であるか否か、及び、ポンプ550においてエラーが生じているか否かを検出するように構成されている。各センサの出力の用途の一例については後程詳しく説明する。
【0026】
再び
図2を参照して、モジュールCは、移動テーブル6と、樹脂材料収容部7と、樹脂材料供給機構8と、離型フィルム供給部(不図示)と、樹脂材料搬送機構9とを含んでいる。移動テーブル6は、モジュールCにおいて矢印X方向及び矢印Y方向に移動するように構成されている。
【0027】
図4は、樹脂材料収容部7の側方断面を模式的に示す図である。
図4に示されるように、樹脂材料収容部7は、フィルムF1と、枠状部材72とを含む。樹脂材料収容部7には、樹脂材料Pが供給される。フィルムF1は樹脂材料収容部7の底面を構成し、枠状部材72は樹脂材料収容部7の側面を構成する。樹脂材料収容部7には、下型51のキャビティ51Cの大きさに対応する空間(凹部71)が形成されている。樹脂材料収容部7は、移動テーブル6上に載置されている。
【0028】
再び
図2を参照して、樹脂材料供給機構8は、樹脂材料収容部7の上方から樹脂材料収容部7に樹脂材料Pを供給するように構成されている。樹脂材料供給機構8の吐出口から落下する樹脂材料Pは、移動テーブル6が樹脂材料供給機構8の吐出口に対して相対移動することによって、樹脂材料収容部7の凹部71において万遍なく敷き詰められる。
【0029】
樹脂材料搬送機構9は、モジュールC及びモジュールBにおいて、矢印X方向及び矢印Y方向に移動するように構成されている。樹脂材料搬送機構9は、樹脂材料Pを収容した樹脂材料収容部7を下型51に搬送し、下型51のキャビティ51Cに樹脂材料Pを供給するように構成されている。
【0030】
コントローラ200は、情報処理に応じてモジュールA-Cの各々の制御を行なうように構成されている。コントローラ200の制御対象O1(
図5参照)の一例としては、基板載置部3、基板搬送機構4、圧縮成形部5、移動テーブル6、樹脂材料供給機構8及び樹脂材料搬送機構9が挙げられる。コントローラ200は、少なくとも一部の制御対象O1の一部の動作に関してインターロックを実現するように構成されている。インターロックとは、制御対象O1に所定動作を実行させる指示がなされた場合に、予め定められた複数の条件が満たされない限り、制御対象O1に所定動作を実行させない制御方式のことをいう。次に、コントローラ200の構成について詳細に説明する。
【0031】
<1-2.コントローラの構成>
図5は、コントローラ200の構成を模式的に示す図である。
図5に示されるように、コントローラ200は、プロセッサ211と、メモリ212と、入出力インターフェース213とを含んでいる。各構成は、例えば、バス(不図示)を介して電気的に接続されている。
【0032】
プロセッサ211は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含んでいる。プロセッサ211は、情報処理に応じて、樹脂成形装置100内の各構成要素(制御対象O1)を制御するように構成されている。
【0033】
メモリ212は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置によって構成される。メモリ212は、例えば、プログラムPR1及びインターロック関連情報D1を記憶する。インターロック関連情報D1については、後程詳しく説明する。プログラムPR1がプロセッサ211によって実行されることにより、樹脂成形装置100における各種動作が実現される。プロセッサ211がプログラムPR1を実行する場合に、プログラムPR1は、プロセッサ211内のRAMに展開される。そして、プロセッサ211は、RAMに展開されたプログラムPR1をプロセッサ211内のCPUによって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0034】
入出力インターフェース213は、信号線を介して、樹脂成形装置100に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力インターフェース213は、コントローラ200から樹脂成形装置100内の各構成要素へのデータ及び指令等の送信、樹脂成形装置100内の各構成要素からコントローラ200へ送信されるデータ及び指令等の受信に用いられる。
【0035】
入出力インターフェース213は、例えば、センサS1-S6にそれぞれ端子TE1-TE6を介して接続されており、センサS1-S6の各々からデータを受信する。また、入出力インターフェース213は、各制御対象O1に所定動作を実行させる指示を示す第1指令を受け付け、所定動作の実行を指示する第2指令を各制御対象O1へ出力する。なお、第1指令は、例えば、ディスプレイ300又は操作パネル400を介して受け付けられる。また、第1指令は、樹脂成形装置100の外部の通信装置を介して受け付けられてもよい。また、入出力インターフェース213は、例えば、ディスプレイ300に表示させる画像を示すデータを表示制御部310へ出力する。表示制御部310は、例えば、CPU、RAM及びROM等を含み、ディスプレイ300を制御するように構成されている。
【0036】
[2.インターロックに関する条件の通知]
上述のように、本実施の形態に従う樹脂成形装置100において、コントローラ200は、少なくとも一部の制御対象O1の一部の動作に関してインターロックを実現するように構成されている。すなわち、コントローラ200においては、少なくとも一部の制御対象O1の一部の動作に関して、インターロックに関する複数の条件が記憶されている。
【0037】
樹脂成形装置100においては、例えば、型締め機構53における可動プラテン530の上昇動作(型締め動作)に関してインターロックが実現される。可動プラテン530の上昇動作のインターロックに関する複数の条件には、例えば、a)サーボモータ531が駆動可能な状態であること、b)モジュールBのカバーCV1が閉じられていること、及び、c)型締め機構53による型締めの圧力が所定圧力未満であることが含まれる。なお、可動プラテン530の上昇動作のインターロックに関する複数の条件には、必ずしもa)からc)の全てが含まれていなくてもよく、a)からc)のうち少なくとも2つが含まれていればよい。また、各カバーCV1の開閉状態は不図示のセンサによって検出され、センサによって出力されるデータはコントローラ200へ送信される。
【0038】
また、樹脂成形装置100においては、例えば、型締め機構53における可動プラテン530の下降動作(型開き動作)に関してインターロックが実現される。可動プラテン530の下降動作のインターロックに関する複数の条件には、例えば、a)下型51が下限位置に存在しないこと、及び、b)成形型50内が真空引きされていないことが含まれる。
【0039】
また、樹脂成形装置100においては、例えば、成形型50における加熱部510,520の加熱開始動作に関してインターロックが実現される。加熱部510,520の加熱開始動作のインターロックに関する複数の条件には、a)加熱部510に異常が生じていないこと、及び、b)加熱部520に異常が生じていないことが含まれる。
【0040】
また、樹脂成形装置100においては、例えば、ポンプ550の吸引開始動作に関してインターロックが実現される。ポンプ550の吸引開始動作のインターロックに関する複数の条件には、a)ポンプ550において異常が生じていないこと、及び、b)ポンプ550に電力供給がされていることが含まれる。
【0041】
インターロックの対象となっている所定動作(以下、単に「所定動作」とも称する。)の指示(第1指令)が受け付けられると、コントローラ200は、所定動作に関する複数の条件の各々が満たされているか否かをセンサS1-S6等の出力に基づいて判定する。複数の条件のうち全てが満たされている場合には、コントローラ200が第2指令を制御対象O1へ出力する。これにより、所定動作が実行される。一方、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていない場合には、コントローラ200が第2指令を制御対象O1へ出力しない。その結果、所定動作が実行されない。これにより、樹脂成形装置100の故障の発生が抑制される。
【0042】
なお、各構成部の状態が記憶されている場合において、コントローラ200は、所定動作に関する複数の条件の各々が満たされているか否かをセンサS1-S6等の出力だけではなく、記憶されている状態に基づいて判定してもよい。同様の場合において、コントローラ200は、所定動作に関する複数の条件の各々が満たされているか否かを、センサS1-S6等の出力に基づかず、記憶されている状態に基づいて判定してもよい。
【0043】
所定動作が実行されない原因が解消されると、再び所定動作の実行が可能となる。しかしながら、所定動作に関するインターロックの条件は複数の条件によって構成されるため、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないのかをユーザが認識するのは容易ではない。
【0044】
本実施の形態に従う樹脂成形装置100においては、所定動作の実行が指示された場合にインターロックに関する複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。コメントは、例えば、対応付けられている条件に関連する情報を示すテキストデータによって構成される。
【0045】
図6は、出力されたコメントに基づいて表示されたメッセージの一例を示す図である。
図6を参照して、ディスプレイ300には、メッセージM1が表示されている。この例においては、可動プラテン530の上昇動作が指示された場合に、型締め機構53による型締めの圧力が所定圧力以上となっている。ユーザは、メッセージM1を参照することによって、型締め機構53による型締めの圧力に問題があることを容易に認識することができる。なお、メッセージM1は、コントローラ200によって出力されたコメントと同一のものであってもよいし、コメントに基づいて別途生成されたものであってもよい。
【0046】
複数の条件のうち満たされていない条件に関するメッセージの表示手順として複数のパターンが考えられる。以下では、まず比較対象のパターンを説明した後に、本実施の形態におけるパターンを説明する。
【0047】
図7は、比較対象におけるメッセージの表示手順を説明するための図である。
図7を参照して、この例においては、コントローラ200X内のメモリに複数のテーブルT1が記憶されている。複数のテーブルT1の各々は、インターロックの対象となっているいずれかの所定動作に対応付けられている。各テーブルT1は、インターロックに関する複数の条件を含んでいる。各テーブルT1において、複数の条件の各々はアドレスに対応付けられている。各アドレスは、コントローラ200Xに設けられた端子のアドレスを示す。例えば、各端子にはセンサが接続されている。
【0048】
コントローラ200Xの外部の表示制御部310内のメモリには、複数のテーブルT2が記憶されている。複数のテーブルT2の各々は、インターロックの対象となっているいずれかの所定動作に対応付けられている。各テーブルT2は、複数のコメントを含んでいる。複数のコメントの各々は、インターロックに関する複数の条件のいずれかに対応している。各テーブルT2において、複数のコメントの各々はアドレスに対応付けられている。
【0049】
所定動作の実行が指示された場合に、コントローラ200Xにおいて、所定動作に対応する複数の条件のうちいずれかの条件が満たされていないと判定されると、満たされていない条件に対応付けられているアドレス情報が表示制御部310へ出力される。表示制御部310においては、入力されたアドレス情報に対応付けられたコメントが抽出され、コメントに基づいて生成されたメッセージ又はコメントがディスプレイ300へ出力される。
【0050】
樹脂成形装置においては、インターロックに関する条件の追加及び変更が比較的頻繁に行なわれる。この比較対象においては、例えば、アドレス「1001」に対応付けられる条件を「X1」から「XA1」に変更し、かつ、アドレス「1001」に対応付けられるコメントを「Y1」から「YA1」に変更する場合に、テーブルT1の更新と、テーブルT2の更新とが必要となる。すなわち、コントローラ200X及び表示制御部310の各々における更新が必要となる。インターロックに関する条件の追加及び変更の度にコントローラ200X及び表示制御部310の各々において更新作業を行なうことは繁雑である。
【0051】
図8は、本実施の形態におけるメッセージの表示手順を説明するための図である。
図8を参照して、上述のように、本実施の形態においては、コントローラ200内のメモリ212にインターロック関連情報D1が記憶されている。インターロック関連情報D1は、テーブルT3と複数のテーブルT4とを含む。テーブルT3は、条件群を記憶する。樹脂成形装置100においてインターロックの対象となっている各所定動作に関する各条件は、この条件群に含まれている。複数のテーブルT4の各々は、インターロックの対象となっているいずれかの所定動作に対応付けられている。各テーブルT4は、複数の条件を含んでいる。各テーブルT4に含まれている各条件は、テーブルT3に含まれている。各テーブルT4において、複数の条件の各々はアドレスに対応付けられている。
【0052】
所定動作の実行が指示された場合に、コントローラ200において、所定動作に対応する複数の条件のうちいずれかの条件が満たされていないと判定されると、テーブルT3,T4を参照することによって、満たされていない条件に対応付けられているコメントが抽出される。抽出されたコメントに基づいて生成されたメッセージ又はコメントは、コントローラ200から表示制御部310へ出力される。表示制御部310は、コメントに基づいて生成されたメッセージ又はコメントをディスプレイ300へ出力する。
【0053】
図9は、本実施の形態においてインターロックに関する条件の変更を行なう場合の手順について説明するための図である。
図9に示されるように、アドレス「1003」に対応付けられる条件を「X3」から「XA3」に変更し、かつ、アドレス「1003」に対応付けられるコメントを「Y3」から「YA3」に変更する場合に、テーブルT3の更新と、テーブルT4の更新とが必要となる。テーブルT3,T4の各々は、コントローラ200のメモリ212に記憶されている。すなわち、コントローラ200の更新のみが必要となる。このように、樹脂成形装置100においては、複数の条件とコメントとが共通のコントローラ200内に記憶されている。したがって、樹脂成形装置100によれば、条件の追加又は変更が生じたとしてもコントローラ200内において条件とコメントとが更新されることによって適切なコメントを出力することができる。
【0054】
[3.動作]
図10は、樹脂成形装置100におけるインターロックに関連する動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コントローラ200のプロセッサ211によって実行される。
【0055】
図10を参照して、プロセッサ211は、ディスプレイ300又は操作パネル400等を介して所定動作の実行指示があったか否か(第1指令を示す信号が受信されたか否か)を判定する(ステップS100)。所定動作の実行指示がなかったと判定されると(ステップS100においてNO)、プロセッサ211は、再びステップS100の処理を実行する。
【0056】
一方、所定動作の実行指示があったと判定されると(ステップS100においてYES)、プロセッサ211は、所定動作に対応する複数の条件のうち全ての条件が満たされているか否かを判定する(ステップS110)。複数の条件のうち全ての条件が満たされていると判定されると(ステップS110においてYES)、プロセッサ211は、所定動作の実行を指示する指令(第2指令)を制御対象O1へ出力するように入出力インターフェース213を制御する(ステップS120)。
【0057】
一方、ステップS110において、所定動作に対応する複数の条件のうち少なくとも一部の条件が満たされていないと判定されると(ステップS110においてNO)、プロセッサ211は、テーブルT3,T4を参照することによって、満たされていない条件に対応付けられたコメントを抽出し、抽出されたコメントに基づいて生成されたメッセージ又はコメントを出力するように入出力インターフェース213を制御する(ステップS130)。
【0058】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う樹脂成形装置100においては、所定動作の実行が指示された場合にインターロックに関連する複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。したがって、樹脂成形装置100によれば、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0059】
また、樹脂成形装置100においては、条件群と、条件群に含まれる各条件に対応付けられたコメントとがメモリ212に記憶されている。したがって、樹脂成形装置100によれば、様々な動作のインターロックに関してコメントが出力されるため、各動作について複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0060】
なお、樹脂成形装置100は、本発明における「樹脂成形装置」の一例である。制御対象O1は、本発明における「制御対象」の一例である。コントローラ200は、本発明における「コントローラ」の一例である。プロセッサ211は、本発明における「プロセッサ」の一例である。メモリ212は、本発明における「メモリ」の一例である。ディスプレイ300又は操作パネル400は、本発明における「入力インターフェース」の一例である。成形型50は、本発明における「成形型」の一例である。カバーCV1は、本発明における「カバー」の一例である。型締め機構53は、本発明における「型締め機構」の一例である。サーボモータ531は、本発明における「モータ」の一例である。
【0061】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0062】
<5-1>
上記実施の形態においては、所定動作の開始時に、インターロックに関する各条件が満たされているか否かが判定された。しかしながら、インターロックに関する各条件が満たされているか否かが判定されるタイミングはこれに限定されない。インターロックに関する各条件が満たされているか否かは、例えば、所定動作の開始時、及び、所定動作の実行中の両方において判定されてもよい。
【0063】
図11は、所定動作の実行中に行なわれるインターロックに関連する動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、所定動作の実行中にコントローラ200のプロセッサ211によって実行される。
【0064】
図11を参照して、プロセッサ211は、所定動作に対応する複数の条件のうち全ての条件が満たされているか否かを判定する(ステップS200)。複数の条件のうち全ての条件が満たされていると判定されると(ステップS200においてYES)、プロセッサ211は、再びステップS200の処理を実行する。一方、複数の条件のうち少なくとも一部の条件が満たされていないと判定されると(ステップS200においてNO)、プロセッサ211は、所定動作の停止指令を制御対象O1へ出力するように入出力インターフェース213を制御する(ステップS210)。
【0065】
この樹脂成形装置100においては、所定動作中に複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に、所定動作の停止を指示する指令が制御対象O1へ出力される。したがって、この樹脂成形装置100によれば、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に所定動作が継続されないため、一部の条件が満たされない状態で所定動作が継続されることに起因する樹脂成形装置100の故障の発生を抑制することができる。
【0066】
<5-2>
また、上記実施の形態においては、コントローラ200の各端子に個別にセンサが接続された。しかしながら、各センサの接続形式はこれに限定されない。
【0067】
図12は、各センサの接続形式の別の例を模式的に示す図である。
図12に示されるように、センサS1A-S6Aの各々は、ネットワークを介してコントローラ200Aに接続されている。各センサは、このような形式でコントローラ200Aに接続されてもよい。この場合には、例えば、センサS1A-S6Aの各々に個別のIPアドレスが割り当てられてもよい。
【0068】
<5-3>
また、上記実施の形態においては、コメントに基づいて生成されたメッセージ又はコメントがディスプレイ300に表示された。しかしながら、メッセージ又はコメントの出力形式はこれに限定されない。例えば、樹脂成形装置100はさらにスピーカを備えていてもよく、メッセージ又はコメントは音声で出力されてもよい。
【0069】
<5-4>
また、上記実施の形態においては、各圧縮成形部5が1つの成形型50を備えていた。しかしながら、圧縮成形部5の構成はこれに限定されない。例えば、各圧縮成形部5は、高さ方向に並んだ複数の成形型50を備え、複数の基板Wの樹脂成形を並行して行なうような構成であってもよい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0071】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【0072】
[6.付記]
<技術1>
(構成)
樹脂成形品の製造を行なう樹脂成形装置であって、
前記製造に用いられる制御対象と、
前記制御対象を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、メモリと、プロセッサとを含み、
前記メモリは、前記制御対象の所定動作に関して、複数の条件と、前記複数の条件の各々に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記複数の条件の各々は、前記制御対象のインターロックに関する条件であり、
前記プロセッサは、
前記所定動作の実行が指示された場合に、
前記複数の条件の各々が満たされているときは、前記所定動作の実行を指示する指令を前記制御対象へ出力する一方、
前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないときは、前記複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられた前記コメントを出力する、樹脂成形装置。
【0073】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、所定動作の実行が指示された場合に、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。したがって、この樹脂成形装置によれば、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0074】
<技術2>
(構成)
前記メモリは、条件群と、前記条件群に含まれる各条件に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記条件群に含まれる各条件は、前記インターロックに関する条件であり、
前記複数の条件の各々は、前記条件群に含まれる、技術1に記載の樹脂成形装置。
【0075】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、条件群と、条件群に含まれる各条件に対応付けられたコメントとがメモリに記憶されている。したがって、この樹脂成形装置によれば、様々な動作のインターロックに関してコメントが出力されるため、各動作について複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0076】
<技術3>
(構成)
前記プロセッサは、前記所定動作中に前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に、前記所定動作の停止を指示する指令を前記制御対象へ出力する、技術1又は技術2に記載の樹脂成形装置。
【0077】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、所定動作中に複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に、所定動作の停止を指示する指令が制御対象へ出力される。したがって、この樹脂成形装置によれば、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に所定動作が継続されないため、一部の条件が満たされない状態で所定動作が継続されることに起因する樹脂成形装置の故障の発生を抑制することができる。
【0078】
<技術4>
(構成)
ユーザからの指示の入力を受け付ける入力インターフェースをさらに備え、
前記入力インターフェースは、前記複数の条件に新たな条件を追加する指示、及び、前記複数の条件に含まれる少なくとも一部の条件を変更する指示の少なくとも一方を受け付ける、技術1から技術3のいずれか1つに記載の樹脂成形装置。
【0079】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、複数の条件とコメントとが共通のコントローラ内に記憶されている。したがって、この樹脂成形装置によれば、条件の追加又は変更が生じたとしてもコントローラ内において条件とコメントとが更新されることによって適切なコメントを出力することができる。
【0080】
<技術5>
(構成)
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型と、
前記成形型の前方に配置されており開閉可能なカバーとをさらに備え、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記型締め機構は、モータを含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型締め動作であり、
前記複数の条件は、前記モータが駆動可能な状態であること、前記カバーが閉じられていること、及び、前記第1型及び前記第2型による型締めの圧力が所定圧力未満であることの少なくとも2つを含む、技術1から技術4のいずれか1つに記載の樹脂成形装置。
【0081】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、型締め動作の実行が指示された場合に、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。したがって、この樹脂成形装置によれば、型締め動作に関して、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0082】
<技術6>
(構成)
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型をさらに備え、
前記成形型を用いた樹脂成形時に前記成形型内は真空引きされ、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型開き動作であり、
前記複数の条件は、前記第1型及び前記第2型のうち下方の型が下限位置に存在しないこと、及び、前記成形型内が真空引きされていないことを含む、技術1から技術4のいずれか1つに記載の樹脂成形装置。
【0083】
(効果等)
この樹脂成形装置においては、型開き動作の実行が指示された場合に、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。したがって、この樹脂成形装置によれば、型開き動作に関して、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させることができる。
【0084】
<技術7>
(構成)
技術1から技術6のいずれか1つに記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記制御対象に前記所定動作を実行させることと、
前記所定動作を通じて前記樹脂成形品を製造することとを含む、樹脂成形品の製造方法。
【0085】
(効果等)
この樹脂成形品の製造方法においては、所定動作の実行が指示された場合に、複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないと、複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられたコメントが出力される。したがって、この樹脂成形品の製造方法によれば、複数の条件のうちいずれの条件が満たされていないかをコメントを通じてユーザに比較的容易に認識させながら樹脂成形品を製造することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 基板供給部、2 基板収納部、3 基板載置部、4 基板搬送機構、5 圧縮成形部、6 移動テーブル、7 樹脂材料収容部、8 樹脂材料供給機構、9 樹脂材料搬送機構、50 成形型、51 下型、51C キャビティ、52 上型、53 型締め機構、71 凹部、72 枠状部材、100 樹脂成形装置、200,200A,200X コントローラ、211 プロセッサ、212 メモリ、213,213A 入出力インターフェース、300 ディスプレイ、310 表示制御部、400 操作パネル、501 外枠部材、510,520 加熱部、511 底面部材、512 側面部材、513 バネ、514 ベースプレート、530 可動プラテン、531 サーボモータ、540 固定プラテン、550 ポンプ、A 基板供給・収納モジュール、B 樹脂成形モジュール、C 樹脂材料供給モジュール、CV1 カバー、D1 インターロック関連情報、F1 フィルム、M1 メッセージ、O1 制御対象、P 樹脂材料、PR1 プログラム、S1-S6,S1A-S6A センサ、T1-T4 テーブル、TE1-TE6 端子、W 基板。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品の製造を行なう樹脂成形装置であって、
前記製造に用いられる制御対象と、
前記制御対象を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、メモリと、プロセッサとを含み、
前記メモリは、前記制御対象の所定動作に関して、複数の条件と、前記複数の条件の各々に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記複数の条件の各々は、前記制御対象のインターロックに関する条件であり、
前記プロセッサは、
前記所定動作の実行が指示された場合に、
前記複数の条件の各々が満たされているときは、前記所定動作の実行を指示する指令を前記制御対象へ出力する一方、
前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされていないときは、前記複数の条件のうち満たされていない条件に対応付けられた前記コメントを出力する、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記メモリは、条件群と、前記条件群に含まれる各条件に対応付けられたコメントとを記憶し、
前記条件群に含まれる各条件は、前記インターロックに関する条件であり、
前記複数の条件の各々は、前記条件群に含まれる、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記所定動作中に前記複数の条件のうち少なくとも一部が満たされなくなった場合に、前記所定動作の停止を指示する指令を前記制御対象へ出力する、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
ユーザからの指示の入力を受け付ける入力インターフェースをさらに備え、
前記入力インターフェースは、前記複数の条件に新たな条件を追加する指示、及び、前記複数の条件に含まれる少なくとも一部の条件を変更する指示の少なくとも一方を受け付ける、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型と、
前記成形型の前方に配置されており開閉可能なカバーとをさらに備え、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記型締め機構は、モータを含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型締め動作であり、
前記複数の条件は、前記モータが駆動可能な状態であること、前記カバーが閉じられていること、及び、前記第1型及び前記第2型による型締めの圧力が所定圧力未満であることの少なくとも2つを含む、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
互いに対向して配置される第1型及び第2型を含む成形型をさらに備え、
前記成形型を用いた樹脂成形時に前記成形型内は真空引きされ、
前記制御対象は、前記成形型を型締めする型締め機構を含み、
前記所定動作は、前記型締め機構による型開き動作であり、
前記複数の条件は、前記第1型及び前記第2型のうち下方の型が下限位置に存在しないこと、及び、前記成形型内が真空引きされていないことを含む、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記制御対象に前記所定動作を実行させることと、
前記所定動作を通じて前記樹脂成形品を製造することとを含む、樹脂成形品の製造方法。