(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025160042
(43)【公開日】2025-10-22
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 58/26 20190101AFI20251015BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20251015BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20251015BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20251015BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20251015BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20251015BHJP
【FI】
B60L58/26
B60L50/60
B60L1/00 L
B60K1/04 Z
B60K11/06
B60L3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063012
(22)【出願日】2024-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 稜治
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA09
5H125BC19
5H125CD07
5H125EE41
5H125EE51
5H125FF04
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】ブロワの電池冷却性能の低下を抑制できる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、電池と、ブロワと、フィルタと、第1検知部と、制御部と、を備える。ブロワは、順回転により空気を電池に送風する。フィルタは、ブロワを空気の送風方向上流側から覆う。第1検知部は、車内の搭乗員を検知する。制御部は、車両の停車後に第1検知部が車内の搭乗員を所定時間検知しない場合、ブロワを最大出力で逆回転させる制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
順回転により空気を前記電池に送風するブロワと、
前記ブロワを前記空気の送風方向上流側から覆うフィルタと、
車内の搭乗員を検知する第1検知部と、
車両の停車後に前記第1検知部が前記車内の前記搭乗員を所定時間検知しない場合、前記ブロワを最大出力で逆回転させる制御を行う制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記第1検知部は、前記搭乗員が着座することによって発生する圧力を検知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1検知部は、前記搭乗員がシートベルトを装着したことを検知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ブロワは、前記車両の幅方向における一方側の端部に近い位置に配設され、
前記車両の扉が開錠されたことを検知する第2検知部を備え、
前記一方側に配設される前記扉が開錠されたことを前記第2検知部が検知した場合、前記制御部は、前記ブロワを最大よりも小さい出力で所定時間逆回転させる、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記フィルタの詰まりを検知する第3検知部を備え、
前記第3検知部が前記フィルタの詰まりを検知した場合、前記制御部は、前記ブロワを逆回転させる、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの電動車は、電池を冷却するブロワを備えている。ブロワは、車室内の空気を電池に送風することで当該電池を空冷する。ブロワは、ブロワカバーに設けられるフィルタよって埃等から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロワを継続して使用すると、フィルタに埃等が溜まり、当該フィルタが早期に目詰まりすることがある。フィルタに目詰まりが発生すると、ブロワが空気を送風する性能が低下する。このため、ブロワは、電池を冷却する性能が低下する虞がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、ブロワの電池冷却性能の低下を抑制できる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、電池と、ブロワと、フィルタと、第1検知部と、制御部と、を備える。ブロワは、順回転により空気を電池に送風する。フィルタは、ブロワを空気の送風方向上流側から覆う。第1検知部は、車内の搭乗員を検知する。制御部は、車両の停車後に第1検知部が車内の搭乗員を所定時間検知しない場合、ブロワを最大出力で逆回転させる制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブロワの電池冷却性能の低下を抑制できる車両制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一つの実施形態のフィルタカバーを取り外した状態の給電ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態の車両制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態の車両制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して、ECU17の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
以下、本実施形態に係る電動車1の概略と構造について説明する。
図1は、一つの実施形態のフィルタカバーを取り外した状態の給電ユニット1aの構成を示す斜視図である。給電ユニット1aは、バッテリー式電気自動車(BEV)である電動車1に搭載される。なお、給電ユニット1aは、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)及び燃料電池自動車(FCV)のような他の車両に搭載されても良い。給電ユニット1aは、例えば、車両の運転席又は助手席のシート下に搭載される。給電ユニット1aは、電池11を収容する電池パック11aと、ブロワ12と、フィルタ13と、吸気口14と、不図示のフィルタカバーとを有する。
【0011】
電池11は、電動車1のモータ(不図示)に電気を供給する二次電池(バッテリー)であって、例えばリチウムイオン電池である。電池11は、回生電力や充電器からの電力によって充電される。
【0012】
電池パック11aは、例えば、リチウムイオン電池等の電池11を収容する容器である。電池パック11aの底面には、例えば、リブのような足が設けられている。電池パック11aは、リブによって防水トレイに支持されるとともに、当該防水トレイを介して車体に搭載される。電池パック11aは、防水トレイを介さずに車体に搭載されても良いし、他の方法で車体に搭載されてもよい。
【0013】
ブロワ12は、例えば、不図示のファンによって車内の空気を取り込み、順回転により空気を電池11に送風し、電池11を冷却する。ブロワ12は、車両の幅方向における一方側の端部に近い位置に配設されている。ブロワ12が配設される位置はこれに限られず、例えば、車両の幅方向における両側の端部に近い位置に一つずつ配設されていてもよい。
【0014】
フィルタ13は、例えば、蛇腹状に形成された不織布、濾紙、又は他のフィルタである。
図1に示すように、フィルタ13は、吸気口14に設けられ吸気口14を塞ぐとともにフィルタカバーによって略+Z方向から覆われている。また、フィルタ13は、ブロワ12を空気の送風方向上流側から覆う。これにより、フィルタ13は、吸気口14を通過する空気に含まれる埃や塵等の異物を捕集し、ブロワ12を異物から保護する。
【0015】
図2は、上記実施形態のECU17の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態のECU17は、例えば、給電ユニット1aに搭載され、空気を電池11に送風するブロワ12のファンを順回転または逆回転させる制御を行う制御装置である。
【0016】
ECU17は、電池温度取得部181と、送風部182と、着座検知部183と、扉開錠検知部184と、フィルタ詰まり検知部185と、エアコン風量取得部186と、車速取得部187と、制御部188とを備えている。
【0017】
電池温度取得部181は、電池11の内部温度を温度センサ171によって取得する。
電池温度取得部181は、温度センサ171が取得した電池11の温度が所定の閾値を上回る場合、電池11の温度取得値をECU17へ送信する。
【0018】
送風部182は、ブロワ12のファンを順回転させて車内側から電池11側へ送風し、電池11を冷却する。また、送風部182は、ブロワ12のファンを逆回転させて電池11側から車内側へ送風し、フィルタ13が捕集した異物を当該フィルタ13から取り除く。また、送風部182は、ブロワ12のファンの回転数の信号をECU17へ送信する。
【0019】
着座検知部183は、車内の搭乗員を検知する。より詳細には、着座検知部183は、車内の各座席(不図示)に搭乗員が着座することによって発生する圧力を着座センサ172aにより検知する。着座センサ172aは、各座席の座面に実装されている。また、着座検知部183は、搭乗員がシートベルトを装着したことをシートベルトセンサ172bにより検知する。着座検知部183は、第1検知部の一例である。
【0020】
扉開錠検知部184は、車両の各扉が開錠されたことをドアロックセンサ173により検知する。例えば、扉開錠検知部184が車両の各扉のうち少なくとも一つの扉が開錠されたことを検知した場合、扉開錠検知部184は、当該扉が開錠されたことを知らせる信号をECU17へ送信する。扉開錠検知部184は、第2検知部の一例である。
【0021】
フィルタ詰まり検知部185は、フィルタ13の詰まりをフィルタ詰まりセンサ175により検知する。より詳細には、フィルタ詰まり検知部185は、フィルタ13が埃等の異物によって目詰まりし始めていることを、フィルタ詰まりセンサ175により検知する。フィルタ詰まりセンサ175は、例えば、ブロワ12の風量及びフィルタ13が目詰まりした場合に発せられる警告信号を監視しており、ブロワ12の風量が所定値以下であるか、もしくはフィルタ13の目詰まりを知らせる警告信号を検知した場合に、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号をECU17に送信する。フィルタ詰まり検知部185は、第3検知部の一例である。
【0022】
エアコン風量取得部186は、電動車1に搭載されているエアコンの動作状態(オンまたはオフ)及び風量を、所定の間隔で取得する。エアコン風量取得部186は、取得したエアコンの動作状態及び風量の信号をECU17へ送信する。
【0023】
車速取得部187は、車速センサ177から出力される車速信号を所定の間隔で取得する。車速センサ177は、車両の走行に伴って回転する回転体(例えば、ドライブシャフト)の回転に同期したパルス信号を、検出信号として出力する。車速取得部187は、車速センサ177によって取得した車速信号をECU17に送信する。
【0024】
ECU17は、車両の各センサから送信される信号を基に、ブロワ12のファンの回転方向(順回転または逆回転)、回転数及び回転のタイミングを判断し、制御部188に制御させる。より詳細には、例えば、車両の停車後に着座検知部183が車内の搭乗員を所定時間検知しない場合、制御部188は、ブロワ12を最大出力で所定時間逆回転させる制御を行う。また、例えば、一方側に配設される扉が開錠されたことをECU17の扉開錠検知部184が検知した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを最大よりも小さい出力で所定時間逆回転させる。また、例えば、ECU17のフィルタ詰まり検知部185がフィルタ13の詰まりを検知した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを逆回転させる。すなわち、上述の制御におけるブロワ12のファンの回転制御は、制御部188によって実行される。ECU17は、制御装置の一例である。
【0025】
また、ECU17は、着座検知部183の他に、車両の全座席のシートベルトが搭乗員によって使用されていることを検知する不図示のシートベルトセンサを備えていてもよい。
【0026】
ECU17がシートベルトセンサを備えている場合、例えば、着座検知部183が各座席に搭乗員が着座していないことを検知し、さらにドアロックセンサ173が車両の電源がオフの状態で扉がドアキーによって施錠されたことを検知し、且つシートベルトセンサが車両の全座席のシートベルトが搭乗員によって使用されていないことを検知した場合、着座検知部183、ドアロックセンサ173及びシートベルトセンサは、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号をECU17に送信する。
【0027】
着座検知部183が各座席に搭乗員が着座していないことを検知した場合、ドアロックセンサ173が車両の電源がオフの状態で扉がドアキーによって施錠されたことを検知せずに、あるいはシートベルトセンサが車両の全座席のシートベルトが搭乗員によって使用されていないことを検知せずに、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号をECU17に送信してもよい。
【0028】
また、ECU17は、例えば、車内に配設された不図示の車内カメラを備え、車内カメラが車内を撮像することによって搭乗員がいないことを検知した場合に、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号をECU17に送信してもよい。
【0029】
[制御装置によるブロワの制御]
次に、ECU17による制御の流れについて、
図3を用いて説明する。
図3は、上記実施形態のECU17の処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS101において、電池温度取得部181が電池11の温度を取得し、電池11の温度情報がECU17に送信される。そして、ECU17は、電池温度取得部181から送信された電池11の温度情報に基づき、電池11を冷却する必要があるかを判断する。
【0030】
ステップS101において、ECU17が電池11を冷却する必要があると判断した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを順回転させる制御を行う(ステップS102)。これにより、電池11がブロワ12によって所定時間送風されて冷却され、ECU17による制御はステップS101に戻る。
【0031】
ステップS101において、ECU17が電池11を冷却する必要がないと判断した場合、ステップS103において、ECU17は、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号が着座検知部183から送信されたかを判断する。
【0032】
ステップS103において、ECU17が、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号が着座検知部183から送信されたと判断した場合、ステップS104において、制御部188は、ブロワ12のファンを最大回転数で逆回転させる。そして、ステップS105において、ECU17は、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたかを判断する。
【0033】
ステップS105において、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたとECU17が判断した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを最大出力で逆回転させる制御を約1分継続する(ステップS106)。そしてその後、制御部188は、ブロワ12のファンの回転を停止させる(ステップS107)。ここで、制御部188がブロワ12のファンを回転させる制御を行う時間は、不図示のタイマーによって計測され、計測された値をECU17が取得する。以降の説明においても同様である。
【0034】
ステップS105において、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されていないとECU17が判断した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを最大出力で逆回転させる制御を約10秒継続する(ステップS108)。そしてその後、制御部188は、ブロワ12のファンの回転を停止させる(ステップS109)。
【0035】
ステップS107及びステップS109において、制御部188がブロワ12の回転を停止させると、ECU17による制御はステップS101に戻る。
【0036】
ステップS103において、ECU17が、車内に搭乗員がいないことを知らせる信号が着座検知部183から送信されなかったと判断した場合、ステップS201において、ECU17は、車両の幅方向においてブロワ12が配設される一方側の扉が開錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されたかを判断する。
【0037】
ステップS201において、車両の幅方向においてブロワ12が配設される一方側の扉が開錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されたとECU17が判断した場合、制御部188は、ブロワ12のファンを所定の回転数以下で逆回転させる制御を行う(ステップS202)。ここで、所定の回転数以下とは、車両付近にいる搭乗者が、ブロワ12のファンの回転音によって不快に感じることのないブロワ12のファンの回転数の範囲のことである。そして、ECU17は、扉が施錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されたかを判断する(ステップS203)。
【0038】
ステップS203において、扉が施錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されたとECU17が判断した場合、制御部188は、ブロワ12の回転を停止する制御を行う(ステップS204)。ステップS203において、扉が施錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されなかったとECU17が判断した場合、制御部188は、所定の回転数以下でブロワ12を逆回転させる制御を継続する。そして、ステップS205において、所定の回転数以下でのブロワ12の逆回転が始まってから1分経過すると、制御部188は、ブロワ12の回転を停止させる(ステップS206)。
【0039】
ステップS204及びステップS206において、制御部188がブロワ12の回転を停止させると、ECU17による制御はステップS101に戻る。
【0040】
ステップS201において、車両の幅方向においてブロワ12が配設される一方側の扉が開錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されなかったとECU17が判断した場合、ステップS301において、ECU17は、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたかを判断する。
【0041】
ステップS301において、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたとECU17が判断した場合、ECU17は、エアコンの動作状態がオンの信号がエアコン風量取得部186から送信されたかを判断する(ステップS302)。
【0042】
ステップS302において、エアコンの動作状態がオンの信号がエアコン風量取得部186から送信されたとECU17が判断した場合、ECU17は、車速取得部187から送信された車速信号の値が0より大きいか、すなわち、車両が走行中か否かを判断する(ステップS303)。
【0043】
ステップS303において、車両が走行中であるとECU17が判断した場合、制御部188は、車速取得部187から送信された車速信号の値、及びエアコン風量取得部186から送信されるエアコンの風量の信号の値に応じた回転数でブロワ12のファンを逆回転させ(ステップS304)、ECU17による制御は、後述するステップS309に進む。
【0044】
ここで、車速取得部187から送信された車速信号の値に応じた回転数とは、走行中の車内にいる搭乗者が、走行によって発生するロードノイズによって不快に感じることのないブロワ12のファンの回転数の範囲のことである。また、エアコン風量取得部186から送信されるエアコンの風量の信号の値に応じた回転数とは、車内にいる搭乗者が、エアコンの送風によって発生するノイズによって不快に感じることのないブロワ12のファンの回転数の範囲のことである。これらのブロワ12のファンの回転数の定義は、以降の説明においても同様である。
【0045】
ステップS303において、車両が走行中ではないとECU17が判断した場合、制御部188は、エアコン風量取得部186から送信されるエアコンの風量の信号の値に応じた回転数でブロワ12のファンを逆回転させ(ステップS305)、ECU17による制御は、後述するステップS309に進む。
【0046】
ステップS302において、エアコンの動作状態がオンの信号がエアコン風量取得部186から送信されなかったとECU17が判断した場合、ECU17は、車速取得部187から送信された車速信号の車速値が0より大きいか、すなわち、車両が走行中か否かを判断する(ステップS306)。
【0047】
ステップS306において、車両が走行中であるとECU17が判断した場合、制御部188は、車速取得部187から送信された車速信号の値に応じた回転数でブロワ12のファンを逆回転させる(ステップS307)。
【0048】
ステップS306において、車両が走行中ではないとECU17が判断した場合、車両は停車しており、且つエアコンの動作状態はオフである。このとき、制御部188は、所定の回転数でブロワ12のファンを逆回転させる(ステップS308)。ここで、所定の回転数とは、停車中且つエアコンの動作状態がオフの状態の車内にいる搭乗者が、不快に感じることのないブロワ12のファンの回転数の範囲のことである。
【0049】
次に、ステップS309において、電池温度取得部181が電池11の温度を取得し、電池11の温度情報がECU17に送信される。そして、ECU17は、電池温度取得部181から送信された電池11の温度情報に基づき、電池11を冷却する必要があるかを判断する。
【0050】
ステップS309において、ECU17が電池11を冷却する必要があると判断した場合、制御部188は、ブロワ12の逆回転を停止させる(ステップS310)。
【0051】
ステップS309において、ECU17が電池11を冷却する必要がないと判断した場合、制御部188は、ステップS304、S305、S307、S308のいずれかのステップで決定された回転数でブロワ12のファンを逆回転させる制御を継続する。そして、ステップS311において、ブロワ12のファンの逆回転が始まってから1分が経過すると、制御部188は、ブロワ12のファンの回転を停止させる(ステップS312)。
【0052】
ステップS310及びステップS312において、制御部188がブロワ12のファンの回転を停止させると、ECU17による制御はステップS101に戻る。以上の工程において、制御部188は、ブロワ12のファンが回転する向き、ブロワ12のファンの回転数及びブロワ12のファンが回転するタイミングを制御する。
【0053】
ステップS301において説明された、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたかをECU17が判断するステップは、ステップS103及びステップS201とは独立して実行されてもよい。すなわち、ステップS101において、ECU17が電池11を冷却する必要がないと判断した場合、ステップS103において、ECU17が車内に搭乗員がいないことを知らせる信号が着座検知部183から送信されたかを判断せず、且つ、ステップS201において、ECU17が車両の幅方向においてブロワ12が配設される一方側の扉が開錠されたことを知らせる信号が扉開錠検知部184から送信されたかを判断せずに、ステップS301において、フィルタ13が目詰まりしていることを知らせる信号がフィルタ詰まり検知部185から送信されたかをECU17が判断してもよい。
【0054】
本実施形態は、走行用の電池11を備える電動車1に関する。これに対して、駆動用エンジンを備える車両において、本実施形態におけるECU17の制御をラジエータファンに適用することができる。すなわち、駆動用エンジンを備える車両において、ECU17の制御部188は、所定の条件においてラジエータファンを逆回転させる。これにより、ECU17は、ラジエータが目詰まりすることを抑制し、ひいてはラジエータのエンジン冷却性能が低下することを抑制できる。
【0055】
また、エアコン及び駆動用エンジンを備える車両において、本実施形態におけるECU17の制御をエアコンに適用することができる。すなわち、エアコン及び駆動用エンジンを備える車両において、ECU17の制御部188は、ECU17がエアコンの冷房運転の終了後に着座検知部183が車内の各座席に搭乗員が着座していないことを検知した場合に、熱交換器の余熱を利用してエアコンの暖房運転を一定時間行う制御を行う。これにより、ECU17は、エアコン内部を乾燥させることができ、ひいてはエアコン内部にカビ等の悪臭発生源が発生することを抑制できる。
【0056】
以上の実施形態において、ECU17は、電池11と、ブロワ12と、フィルタ13と、着座検知部183と、制御部188と、を備える。ブロワ12は、順回転により空気を電池11に送風する。フィルタ13は、ブロワ12を空気の送風方向上流側から覆う。着座検知部183は、車内の搭乗員を検知する。制御部188は、車両の停車後に着座検知部183が車内の搭乗員を所定時間検知しない場合、ブロワ12を最大出力で逆回転させる制御を行う。
【0057】
また、本実施形態において、着座検知部183は、搭乗員が着座することによって発生する圧力を検知する。
【0058】
また、本実施形態において、着座検知部183は、搭乗員がシートベルトを装着したことを検知する。
【0059】
上述の構成において、停車後に着座検知部183が車内の搭乗員を所定時間検知しない場合、制御部188は、ブロワ12を最大出力で所定時間逆回転させる制御を行う。これにより、フィルタ13に埃等が溜まっている場合、ECU17は、搭乗員が不快に感じるタイミングで雑音を発生させること無く埃等をフィルタ13から解放することができる。ひいては、ECU17は、フィルタ13の詰まりを予防し、ブロワ12の電池冷却性能の低下を抑制できる。
【0060】
また、本実施形態において、ブロワ12は、車両の幅方向における一方側の端部に近い位置に配設される。ECU17は、車両の扉が開錠されたことを検知する扉開錠検知部184を備える。一方側に配設される扉が開錠されたことを扉開錠検知部184が検知した場合、制御部188は、ブロワを最大よりも小さい出力で所定時間逆回転させる。
【0061】
上述の構成において、扉開錠検知部184が、ブロワ12が配設される一方側の扉が開錠されたことを検知した場合、制御部188は、ブロワ12を最大よりも小さい出力で所定時間逆回転させる。すなわち、搭乗員がブロワ12が配設される一方側の端部に近い位置付近にある扉から車両を乗降する場合に、当該搭乗員に近い位置に配設されるブロワ12は、最大よりも小さい出力で逆回転する。これにより、フィルタ13に埃等が溜まっている場合、ECU17は、搭乗員がブロワ12が配設される位置付近にある扉から乗降する場合においても、不快に感じる雑音を発生させること無く埃等をフィルタ13から解放することができる。ひいては、ECU17は、フィルタ13の詰まりを予防し、ブロワ12の電池冷却性能の低下を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態において、ECU17は、フィルタ13の詰まりを検知するフィルタ詰まり検知部185を備える。フィルタ詰まり検知部185がフィルタ13の詰まりを検知した場合、制御部188は、ブロワ12を逆回転させる。
【0063】
上述の構成において、フィルタ詰まり検知部185がフィルタ13の詰まりを検知し、且つ着座検知部183が車内の搭乗員を検知した場合、制御部188は、ブロワ12を逆回転させる。すなわち、フィルタ13の詰まりが検知され、且つ車内に搭乗員がいる場合、制御部188は、車両の走行および停車に関わらずブロワ12を逆回転させる。これにより、ECU17は、フィルタ13の詰まりを速やかに解消し、ブロワ12の電池冷却性能の低下を抑制できる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 電動車
11 電池
12 ブロワ
13 フィルタ
17 ECU
183 着座検知部
184 扉開錠検知部
185 フィルタ詰まり検知部
188 制御部