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特開2025-160145微小電気機械デバイスのための完全に対称的な構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025160145
(43)【公開日】2025-10-22
(54)【発明の名称】微小電気機械デバイスのための完全に対称的な構造
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20251015BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20251015BHJP
   G01C 19/5712 20120101ALI20251015BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20251015BHJP
【FI】
G01P15/08 101
G01P15/125
G01C19/5712
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025063735
(22)【出願日】2025-04-08
(31)【優先権主張番号】63/631,631
(32)【優先日】2024-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19/093,955
(32)【優先日】2025-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジアンロン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・ヴォーラ
(72)【発明者】
【氏名】ケミアオ・ジア
【テーマコード(参考)】
2F105
3C081
【Fターム(参考)】
2F105BB01
2F105CC04
2F105CD03
2F105CD05
3C081AA00
3C081BA07
3C081BA29
3C081BA32
3C081BA44
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA03
3C081CA13
3C081DA26
3C081DA27
3C081EA02
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、微小電気機械デバイスのための完全に対称的な構造を提供することにある。
【解決手段】MEMSデバイスのための完全に対称的な感知構造が、本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、MEMSセンサは、第1の方向において移動するプルーフマスを含む。プルーフマスは、プルーフマスとともに移動する可動フィンガを含む。MEMSセンサは、可動フィンガに対して固定されている固定フィンガを更に含み、固定フィンガ及び可動フィンガは、プルーフマスの移動を検出する機能を果たす。例えば、可動フィンガ及び固定フィンガは、相互嵌合して、基板に対するプルーフマスの移動から生じる静電容量の変化を感知するための櫛フィンガセットを形成することができる。固定フィンガのレイアウトは、少なくとも第1の方向において完全に対称的である。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電子機械システム(MEMS)センサであって、
第1の方向において移動するように構成されたプルーフマスであって、前記プルーフマスが、前記プルーフマスとともに移動する複数の可動フィンガを含む、プルーフマスと、
前記複数の可動フィンガに対して固定されている複数の固定フィンガと、
を備え、
前記複数の固定フィンガのレイアウトが、少なくとも前記第1の方向において完全に対称的である、MEMSセンサ。
【請求項2】
前記複数の固定フィンガの各々が、少なくとも1つの導電性アンカを使用して定着されている、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記複数の固定フィンガの各々が、少なくとも1つの誘電性アンカを使用して定着されている、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記複数の固定フィンガの各々が、少なくとも1つの誘電性アンカ及び少なくとも1つの導電性アンカを使用して定着されている、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
基板を更に備え、前記複数の固定フィンガが、前記基板に対して対称的に定着されている、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
前記複数の固定フィンガの各々が、前記基板に定着されている中心を含む、請求項5に記載のMEMSセンサ。
【請求項7】
前記複数の固定フィンガの各々の第1の端部及び第2の端部が、前記基板に定着されている、請求項5に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記複数の固定フィンガの各々が、3つ以上の点において前記基板に定着されている、請求項5に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
前記複数の固定フィンガの前記レイアウトが、前記第1の方向及び第2の方向において完全に対称的である、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
前記複数の可動フィンガのレイアウトがまた、前記第1の方向及び前記第2の方向においても完全に対称的である、請求項9に記載のMEMSセンサ。
【請求項11】
前記複数の固定フィンガ及び前記複数の可動フィンガが、容量性感知構造を形成する、請求項9に記載のMEMSセンサ。
【請求項12】
前記容量性感知構造が、前記プルーフマスの前記第1の方向への移動から生じる前記第2の方向へのコリオリ効果を検出する、請求項11に記載のMEMSセンサ。
【請求項13】
前記容量性感知構造が、前記プルーフマスのたわみを検出して、加速度に比例する振幅を有するセンサ出力を生成する、請求項11に記載のMEMSセンサ。
【請求項14】
ジャイロスコープとして実装される、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項15】
加速度計として実装される、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項16】
微小電子機械システム(MEMS)感知の方法であって、前記方法が、
プルーフマスを第1の方向において移動させることであって、前記プルーフマスが、前記プルーフマスとともに移動する複数の可動フィンガを含む、移動させることと、
前記複数の可動フィンガと、前記複数の可動フィンガに対して固定されている複数の固定フィンガと、を使用して、前記プルーフマスの移動を感知することと、
を含み、
前記複数の固定フィンガのレイアウトが、少なくとも前記第1の方向において完全に対称的である、方法。
【請求項17】
基板を更に備え、前記複数の固定フィンガが、前記基板に対称的に定着されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の固定フィンガの前記レイアウトが、前記第1の方向及び第2の方向において完全に対称的である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の可動フィンガのレイアウトがまた、前記第1の方向及び前記第2の方向においても完全に対称的である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の固定フィンガの各々が、少なくとも1つの誘電性アンカ及び少なくとも1つの導電性アンカを使用して定着されている、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関し、より具体的には、微小電子機械システム(MEMS)に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS加速度計又はMEMSジャイロスコープなどのMEMSセンサは、慣性力に応答して移動するプルーフマスを含む。追加的に、MEMSセンサは、プルーフマスに取り付けられた可動フィンガと、基板に定着された固定フィンガと、を有する、容量性感知構造などの感知構造を含む。可動フィンガ及び固定フィンガは、相互嵌合して、基板に対して移動するプルーフマスから生じる静電容量の変化を感知する機能を果たす櫛フィンガセットを形成することができる。
【0003】
加速度計において、プルーフマスは、基板の上方のスプリングテザーによって吊り下げられ、加速力に対する抵抗を提供することができる。追加的に、感知構造は、加速度に比例する振幅を有するセンサ出力をもたらす、プルーフマスのたわみを測定する。別の例では、ジャイロスコープは、プルーフマスを含むことができ、このプルーフマスは、感知構造がプルーフマスの移動から生じる第2の方向(例えば、Y方向)のコリオリ効果を検出する間に、第1の方向(例えば、X方向)に移動する。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、MEMSセンサが、開示される。MEMSセンサは、第1の方向において移動するように構成されたプルーフマスを含み、このプルーフマスは、プルーフマスとともに移動する複数の可動フィンガを含む。MEMSセンサは、複数の可動フィンガに対して固定されている複数の固定フィンガを更に含む。複数の固定フィンガのレイアウトは、少なくとも第1の方向において完全に対称的である。
【0005】
別の態様では、MEMS感知の方法が開示される。この方法は、プルーフマスを第1の方向において移動させることを含み、プルーフマスは、プルーフマスとともに移動する複数の可動フィンガを含む。この方法は、複数の可動フィンガと、複数の可動フィンガに対して固定されている複数の固定フィンガと、を使用して、プルーフマスの移動を感知することを更に含む。複数の固定フィンガのレイアウトは、少なくとも第1の方向において完全に対称的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】MEMS加速度計の一例の平面図である。
図1B図1AのMEMS加速度計の容量性感知構造の平面図である。
図2A】一実施形態による、完全に対称的な感知構造を有するMEMS加速度計の平面図である。
図2B図2AのMEMS加速度計の容量性感知構造の平面図である。
図3A】別の実施形態による容量性感知構造の平面図である。
図3B図3Aの容量性感知構造の第1の断面図である。
図3C図3Aの容量性感知構造の第2の断面図である。
図4A】別の実施形態による容量性感知構造の平面図である。
図4B図4Aの容量性感知構造の第1の断面図である。
図4C図4Aの容量性感知構造の第2の断面図である。
図5A】別の実施形態による容量性感知構造の平面図である。
図5B図5Aの容量性感知構造の第1の断面図である。
図5C図5Aの容量性感知構造の第2の断面図である。
図5D図5Aの容量性感知構造の第3の断面図である。
図6】別の実施形態による容量性感知構造の平面図である。
図7A】別の実施形態による容量性感知構造の平面図である。
図7B図7Aの容量性感知構造の第1の断面図である。
図7C図7Aの容量性感知構造の第2の断面図である。
図7D図7Aの容量性感知構造の第3の断面図である。
図8A】MEMSジャイロスコープの一例の平面図である。
図8B図8AのMEMSジャイロスコープの容量性感知構造の平面図である。
図9A】一実施形態による、完全に対称的な感知構造を有するMEMSジャイロスコープの平面図である。
図9B図9AのMEMSジャイロスコープの容量性感知構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施形態の詳細な説明は、本発明の具体的な実施形態の種々の説明を提示する。しかしながら、本発明は、数多くの異なる方法で具現化することができる。本説明では、図面に対して参照が行われ、そこでは、同様の参照番号は、同一又は機能的に類似の要素を示し得る。図面において例解される要素は、必ずしも縮尺通りに描画されていないことが理解されるであろう。更に、ある特定の実施形態は、図面に例解されているよりも多くの要素、及び/又は図面に例解されている要素のサブセットを含み得ることが理解されるであろう。更に、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面から任意の好適な特徴の組み合わせを組み込むことができる。
【0008】
ある特定のMEMSセンサは、ある程度の対称性を有し得る可動フィンガを伴って設計される。しかしながら、そのような設計は、レイアウトの制限に起因して、完全には対称的でない。例えば、MEMSセンサは、固定アンカの片側のみに延在する固定フィンガを有し得、アンカが応力に起因して回転するときに、感知ギャップは、変化し、かつセンサオフセット及び/又は直交誤差における変化をもたらす。
【0009】
MEMSデバイスのための完全に対称的な感知構造が、本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、MEMSセンサは、第1の方向において移動するプルーフマスを含む。プルーフマスは、プルーフマスとともに移動する可動フィンガを含む。MEMSセンサは、可動フィンガに対して固定されている固定フィンガを更に含み、固定フィンガ及び可動フィンガは、プルーフマスの移動を検出する機能を果たす。例えば、可動フィンガ及び固定フィンガは、相互嵌合して、基板に対するプルーフマスの移動から生じる静電容量の変化を感知するための櫛フィンガセットを形成することができる。固定フィンガのレイアウトは、少なくとも第1の方向において完全に対称的である。
【0010】
完全に対称的な感知構造を有するMEMSセンサを実装することは、パッケージ及び/又は内部/外部応力下で、有意なオフセット性能を達成する。例えば、櫛フィンガセットの非対称設計は、応力下での固定フィンガの異なる移動に起因するオフセットシフトを引き起こす。
【0011】
したがって、MEMS加速度計又はMEMSジャイロスコープなどのMEMSセンサのための完全に対称的な感知構造が、本明細書で提供される。この構造は、設計上、少なくとも1つの方向において完全に対称的である(製造上のばらつき又は欠陥がなく、完全に対称的である)。ある特定の実施態様において、構造は、少なくとも2つの方向において完全に対称的である。MEMSセンサはまた、本明細書では、MEMSデバイスとも称される。
【0012】
したがって、各固定フィンガは、そのアンカに対して完全に対称とすることができ、かつ/又は各固定フィンガセットは、可動フィンガに対して完全に対称的にすることができる。したがって、固定フィンガアンカ回転の影響をキャンセルすることができる。
【0013】
MEMSセンサはまた、固定フィンガアンカの共整列によっても実装することができ、これは、固定アンカの位置の差によって生成されるオフセットを低減する。
【0014】
固定フィンガのアンカのこのような共整列は、多種多様な方法で実装することができる。例えば、固定フィンガは、フィンガ全体によって完全に定着された各フィンガの中心のみにおいて、各フィンガの端部において、及び/又は共整列による定着の任意の他の所望の構成で、基板に定着させることができる。
【0015】
ある特定の実施態様では、固定フィンガのためのアンカは、導電性であり、ポリシリコン又は金属導体への電気的接続を提供する機能を果たす。したがって、導電性アンカは、導体の電位を制御及び/又は感知することを可能にする。アンカはまた、フィンガの下の追加の酸化物/誘電体層などによって、酸化物から形成された1つ以上のアンカを含むこともできる。そのような酸化物フィンガアンカは、非導電性であるが、固定フィンガに構造的定着機能を提供する。
【0016】
一例では、酸化物フィンガアンカは、プルーフマスの直下にも使用される犠牲酸化物から形成される。犠牲酸化物は、プルーフマスの直下で除去されて空洞を形成し、フィンガの直下に残されて酸化物フィンガアンカを形成する。別の例では、酸化物が事前エッチングされ、フィンガは、事前エッチングされた酸化物の上に結合される。任意の好適な酸化物又は他の誘電体層を使用して、非導電性フィンガアンカを形成することができる。
【0017】
図1Aは、MEMS加速度計30の一例の平面図である。MEMS加速度計30は、基板11と、プルーフマス12と、ばね13と、ばねアンカ14と、ストッパ15と、第1の方向容量性感知構造17と、第2の方向容量性感知構造18と、を含む。図1Bは、図1AのMEMS加速度計30の第1の方向容量性感知構造17のうちの1つの平面図である。
【0018】
図1A図1Bを参照すると、MEMS加速度計30は、基板11の上方のばね13によって吊り下げられているプルーフマス12を含む。MEMS加速度計30はまた、第1及び第2の方向におけるプルーフマス12のたわみを測定するための容量性感知構造17/18も含む。
【0019】
図1Bに示されるように、容量性感知構造17は、プルーフマス12とともに移動する可動フィンガ21を含む。容量性感知構造17はまた、第1のセットのフィンガアンカ25によって基板11に定着されている第1のセットの固定フィンガ23と、第2のセットのフィンガアンカ26によって基板11に定着されている第2のセットの固定フィンガ24と、を含む。可動フィンガ21及び固定フィンガ23/24は、相互嵌合して、静電容量を感知するための櫛フィンガセットを形成する。感知された静電容量が変化すると、櫛フィンガセットは、プルーフマス12のたわみを検出する。
【0020】
図1A及び図1Bを引き続き参照すると、各容量性感知構造のレイアウトは、いくつかの非対称性を有する。
【0021】
例えば、図1Bに示されるように、容量性感知構造17の可動フィンガ21は、プルーフマス12の片側のみから延在する。更に、第1のセットのフィンガアンカ25及び第2のセットのフィンガアンカ26は、各フィンガの一端に位置決めされる。更に、第1のセットのフィンガアンカ25は、第2のセットのフィンガアンカ26と整列していない。
【0022】
このような非対称性は、センサオフセットに変化をもたらす。例えば、フィンガアンカが応力に起因して回転すると、可動フィンガ21と固定フィンガ23/24との間の感知ギャップが変化し、センサオフセットに変化を引き起こす。
【0023】
図2Aは、一実施形態による、完全に対称的な感知構造を有するMEMS加速度計50の平面図である。MEMS加速度計50は、基板11と、プルーフマス12と、ばね13と、ばねアンカ14と、ストッパ15と、第1の方向容量性感知構造37と、第2の方向容量性感知構造38と、を含む。図2Bは、図2AのMEMS加速度計50の第1の方向容量性感知構造37のうちの1つの平面図である。
【0024】
図2A図2Bを参照すると、MEMS加速度計50は、基板11の上方のばね13によって吊り下げられているプルーフマス12を含む。MEMS加速度計50はまた、プルーフマス12のたわみを測定するための容量性感知構造37/38も含む。
【0025】
図2Bに示されるように、容量性感知構造37は、プルーフマス12とともに移動する可動フィンガ41を含む。容量性感知構造37はまた、第1のセットのフィンガアンカ45によって基板11に定着されている第1のセットの固定フィンガ43と、第2のセットのフィンガアンカ46によって基板11に定着されている第2のセットの固定フィンガ44と、を含む。可動フィンガ41及び固定フィンガ43/44は、相互嵌合して、静電容量を感知するための櫛フィンガセットを形成する。
【0026】
図2A及び図2Bを引き続き参照すると、各容量性感知構造のレイアウトは、完全に対称的である。
【0027】
例えば、図2Bに示されるように、容量性感知構造37の可動フィンガ41は、単なる片側からではなく、プルーフマス12の両側から対称的に延在する。
【0028】
追加的に、図2Bに示される固定フィンガ43/44は、対称的に定着されている。対照的に、図1Bに示される固定フィンガ23/24は、各フィンガの一端のみに定着されている。
【0029】
更に、第1のセットのフィンガアンカ45は、y軸47に沿って、第2のセットのフィンガアンカ46と整列されている。そのようなアンカ共整列は、固定アンカの位置/応力の差によって生成されるセンサオフセットを低減する。
【0030】
したがって、可動フィンガ41は、この実施形態では、y軸47、並びにx軸48に対して完全に対称的である。
【0031】
例解された実施形態において、容量性感知構造37は、y軸47及びx軸48の両方に対してミラー対称的である。そのような対称性は、非対称設計と比較して、パッケージ及び/又は内部/外部応力下でのオフセット性能において、有意な改善を達成する。
【0032】
図3Aは、別の実施形態による容量性感知構造150の平面図である。図3Bは、線3Bに沿って切り取られた、図3Aの容量性感知構造150の第1の断面図である。図3Cは、線3Cに沿って切り取られた、図3Aの容量性感知構造150の第2の断面図である。
【0033】
容量性感知構造150は、基板140の上方に形成され、可動フィンガ141、第1の固定フィンガ143、第2の固定フィンガ144、第1の固定フィンガ中心アンカ145、及び第2の固定フィンガ中心アンカ146を含む。容量性感知構造150は、MEMSセンサに含まれ得る、完全に対称的な容量性感知構造の例である。
【0034】
可動フィンガ141は、図3A及び図3Bに示されていないプルーフマスに取り付けられている。プルーフマス及び可動フィンガ141は、基板140と、基板140に定着されている固定フィンガ143/144と、に対して移動する。
【0035】
容量性感知構造150のレイアウトは、x方向及びy方向の両方において完全に対称的である。
【0036】
例解された実施形態では、第1の固定フィンガ143は、第1の固定フィンガ143の中心に配置されている第1の固定フィンガ中心アンカ145によって基板140に定着されている。追加的に、第2の固定フィンガ144は、第2の固定フィンガ144の中心に配置されている第2の固定フィンガ中心アンカ146によって基板140に定着されている。第1の固定フィンガ中心アンカ145及び第2の固定フィンガ中心アンカ146は、センサオフセットを低減する共整列を提供するように整列されている。
【0037】
図3A図3Cは、固定フィンガが中心に定着されている実施形態を描写するが、本明細書の教示は、他の方法で定着された固定フィンガに適用可能である。
【0038】
例解された実施形態では、第1の固定フィンガ中心アンカ145及び第2の固定フィンガ中心アンカ146は、導電性アンカであり、これらは、両方とも、固定フィンガを定着させるためだけでなく、基板140の上に形成された金属又はポリシリコン導体に、対応する電気的接続を提供するためにも使用される。
【0039】
図4Aは、別の実施形態による容量性感知構造160の平面図である。図4Bは、線4Bに沿って切り取られた、図4Aの容量性感知構造160の第1の断面である。図4Cは、線4Cに沿って切り取られた、図4Aの容量性感知構造160の第2の断面である。
【0040】
容量性感知構造160は、基板140の上方に形成され、可動フィンガ141、第1の固定フィンガ143、第2の固定フィンガ144、第1の固定フィンガフルアンカ155、及び第2の固定フィンガフルアンカ156を含む。容量性感知構造160は、MEMSセンサに含まれ得る、完全対称の容量性感知構造の別の例である。
【0041】
図4A図4Cの容量性感知構造160は、第1の固定フィンガフルアンカ155及び第2の固定フィンガフルアンカ156がフィンガアンカ全体であることを除いて、図3A~3Cの容量性感知構造150と同様である。したがって、図3A図3Cのように、中心に固定フィンガだけを定着させるのみではなく、フィンガアンカ全体が、図4A図4Cで使用されている。
【0042】
図4Bに示されるように、フィンガアンカ全体の一部は、電気的に非導電性である酸化物アンカ157/158を含む。更に、図4Cに示されるように、電気アンカ155/156もまた、基板140の上に形成された金属又はポリシリコン導体に、対応する電気的接続を提供するために使用される。
【0043】
したがって、図4A図4Cの容量性感知構造160は、酸化物アンカと導電性アンカとの組み合わせを使用する。酸化物アンカは、機械的接続を提供し、任意の所望の構造に接続することができる。導電性アンカは、電気的接続、並びに機械的接続を提供する。
【0044】
本明細書における酸化物アンカは、任意の好適な酸化物又は他の誘電体層を使用して形成することができる。一例では、酸化物アンカは、プルーフマスの直下にも使用されている犠牲酸化物から形成される。そのような犠牲酸化物は、プルーフマスの直下で除去されて空洞を形成し、フィンガの直下に残されて酸化物フィンガアンカを形成する。別の例では、酸化物が事前エッチングされ、フィンガは、事前エッチングされた酸化物の上に結合される。
【0045】
図5Aは、別の実施形態による容量性感知構造170の平面図である。図5Bは、線5Bに沿って切り取られた、図5Aの容量性感知構造170の第1の断面である。図5Cは、線5Cに沿って切り取られた、図5Aの容量性感知構造170の第2の断面である。図5Dは、線5Dに沿って切り取られた、図5Aの容量性感知構造170の第3の断面である。
【0046】
容量性感知構造170は、基板140の上方に形成され、可動フィンガ141、第1の固定フィンガ143、第2の固定フィンガ144、第1の固定フィンガ中心アンカ165、第1の固定フィンガ端部アンカ167、第2の固定フィンガ中心アンカ166、及び第2の固定フィンガ端部アンカ168を含む。容量性感知構造170は、MEMSセンサに含まれ得る、完全対称の容量性感知構造の別の例である。
【0047】
図5A図5Dの容量性感知構造170は、図5A図5Dの容量性感知構造170が、固定フィンガの中心及び端点の両方において、固定フィンガを基板140に定着させることを除いて、図3A図3Cの容量性感知構造150と同様である。
【0048】
図5Bに示されるように、第1の固定フィンガ端部アンカ167及び第2の固定フィンガ端部アンカ168は、酸化物アンカである。更に、図5Dに示されるように、第1の固定フィンガ中心アンカ165及び第2の固定フィンガ中心アンカ166は、基板140上の対応する導体にも電気的接続を提供する、導電性アンカである。
【0049】
図6は、別の実施形態による容量性感知構造180の平面図である。
【0050】
容量性感知構造180は、基板140の上方に形成され、可動フィンガ141、第1の固定フィンガ143、第2の固定フィンガ144、第1の固定フィンガ中心アンカ165、第1の固定フィンガ端部アンカ167、第1の固定フィンガ中点アンカ175、第2の固定フィンガ中心アンカ166、第2の固定フィンガ端部アンカ168、及び第2の固定フィンガ中点アンカ176を含む。容量性感知構造180は、MEMSセンサに含まれ得る、完全対称の容量性感知構造の別の例である。
【0051】
図6の容量性感知構造180は、図6の容量性感知構造180が中点において固定フィンガを基板140に更に定着させることを除いて、図5A図5Dの容量性感知構造170と同様である。
【0052】
図7Aは、別の実施形態による容量性感知構造190の平面図である。図7Bは、線7Bに沿って切り取られた、図7Aの容量性感知構造190の第1の断面である。図7Cは、線7Cに沿って切り取られた、図7Aの容量性感知構造190の第2の断面である。図7Dは、線7Dに沿って切り取られた、図7Aの容量性感知構造190の第3の断面である。
【0053】
容量性感知構造190は、基板140の上方に形成され、可動フィンガ141、第1の固定フィンガ143、第2の固定フィンガ144、第1の固定フィンガハーフアンカ185、及び第2の固定フィンガハーフアンカ186を含む。容量性感知構造190は、MEMSセンサに含まれ得る、完全対称の容量性感知構造の別の例である。
【0054】
図7A図7Dの容量性感知構造190は、固定フィンガハーフアンカ185及び第2の固定フィンガハーフアンカ186がハーフフィンガアンカであることを除いて、図3A図3Cの容量性感知構造150と同様である。したがって、図3A及び図3Bのように、中心に固定フィンガを定着させるのみではなく、図7A図7Dでは、ハーフフィンガアンカが使用されている。
【0055】
図7Cに示されるように、ハーフフィンガアンカの一部は、電気的に非導電性である酸化物アンカ187/188を含む。更に、図7Dに示されるように、電気アンカ185/186もまた、基板140の上に形成された金属又はポリシリコン導体に、対応する電気的接続を提供するために使用される。
【0056】
図8Aは、MEMSジャイロスコープ330の一例の平面図である。ジャイロスコープ330は、基板311と、プルーフマス312(共振器マスとも称される)と、ばね313と、アンカ314と、駆動構造316と、容量性感知構造317と、を含む。図8Bは、図8AのMEMSジャイロスコープ330の容量性感知構造317のうちの1つの平面図である。
【0057】
図8A図8Bを参照すると、MEMSジャイロスコープ330は、基板311の上方のばね313によって吊り下げられているプルーフマス312を含む。プルーフマス312は、駆動構造316によって第1の方向において駆動され、容量性感知構造317は、コリオリ効果から生じる、第2の方向のプルーフマス312のたわみを測定する。
【0058】
図8Bに示されるように、容量性感知構造317は、プルーフマス312とともに移動する可動フィンガ321を含む。容量性感知構造317はまた、第1のセットのフィンガアンカ325によって基板311に定着されている第1のセットの固定フィンガ323と、第2のセットのフィンガアンカ326によって基板311に定着されている第2のセットの固定フィンガ324と、を含む。可動フィンガ321及び固定フィンガ323/324は、相互嵌合して、静電容量を感知するための櫛フィンガセットを形成する。
【0059】
図8A及び図8Bを引き続き参照すると、容量性感知構造317の各々のレイアウトは、いくつかの非対称性を有する。
【0060】
例えば、図8Bに示されるように、固定フィンガ323及び第2の固定フィンガ324は、可動フィンガ321に対して互いに完全には対称的でなく、一端のみに定着されている。更に、第1のセットのフィンガアンカ325は、第2のセットのフィンガアンカ326と整列していない。
【0061】
そのような非対称性は、オフセット及び/又は直交誤差における変化を引き起こす。例えば、フィンガアンカが応力に起因して回転すると、可動フィンガ321と固定フィンガ323/324との間の感知ギャップは、変化し、望ましくないセンサオフセット又は直交誤差項につながる。
【0062】
図9Aは、一実施形態による、完全に対称的な感知構造を有するMEMSジャイロスコープ350の平面図である。MEMSジャイロスコープ350は、基板311と、プルーフマス312と、ばね313と、アンカ314と、駆動構造316と、容量性感知構造337と、を含む。図9Bは、図9AのMEMSジャイロスコープ350の容量性感知構造337のうちの1つの平面図である。
【0063】
図9Bに示されるように、容量性感知構造337は、プルーフマス312とともに移動する可動フィンガ341を含む。容量性感知構造337はまた、第1のセットのフィンガアンカ345によって基板311に定着されている第1のセットの固定フィンガ343と、第2のセットのフィンガアンカ346によって基板311に定着されている第2のセットの固定フィンガ344と、を含む。可動フィンガ341及び固定フィンガ343/344は、相互嵌合して、静電容量を感知するための櫛フィンガセットを形成する。
【0064】
図9A及び図9Bを引き続き参照すると、各容量性感知構造のレイアウトは、完全に対称的である。
【0065】
例えば、図9Bに示されるように、容量性感知構造337の可動フィンガ341は、プルーフマス312の両側から対称的に延在し、第1のセットの固定フィンガ343及び第2のセットの固定フィンガ344に対して完全に対称的である。
【0066】
更に、図9Bに示される固定フィンガ343/344は、対称的に定着されている。対照的に、図8Bに示された固定フィンガ323/324は、各フィンガの一端のみに定着されている。
【0067】
更に、第1のセットのフィンガアンカ345は、第2のセットのフィンガアンカ346と整列している。そのようなアンカ共整列は、固定アンカの位置の差によって生成されるセンサオフセット及び/又は直交誤差を低減する。
【0068】
〔結論〕
前述の説明は、要素又は特徴を、ともに「接続される」又は「結合される」ものとして言及し得る。本明細書で使用される場合、特段の明示的な記載がない限り、「接続される」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に接続されることを意味し、必ずしも機械的に接続されるとは限らない。同様に、特段の明示的な記載がない限り、「結合される」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に結合されることを意味し、必ずしも機械的に結合されるとは限らない。このように、図に示される種々の概略図は、要素及び構成要素の例示的な構成を描写するが、追加の介在する要素、デバイス、特徴、又は構成要素は、実際の実施形態において存在する可能性がある(描写される回路の機能性が悪影響を受けないことを前提とする)。
【0069】
ある特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図されていない。実際に、本明細書で説明される新しい装置、方法、及びシステムは、種々の他の形態で具現化され得、更に、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明された方法及びシステムの形態において、種々の省略、置換、及び変更が行われ得る。例えば、開示された実施形態は、所与の構成で提示されているが、代替的な実施形態は、異なる構成要素及び/又は回路トポロジを有する同様の機能性を行い得、いくつかの要素を削除、移動、追加、細分化、組み合わせ、及び/又は修正を行い得る。これらの要素の各々は、種々の異なる方法で実装され得る。上で説明した種々の実施形態の要素及び行為の任意の好適な組み合わせを組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
【0070】
ここで提示される特許請求の範囲は、USPTOに出願するための単独従属形式であるが、任意の請求項は、明らかに技術的に実現可能でない場合を除いて、同じ種類の任意の先行する請求項に従属し得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
12 プルーフマス
37、150、160、170、180、190、337 容量性感知構造
41、141、341 可動フィンガ
43、143、343 第1のセットの固定フィンガ
44、144、344 第2のセットの固定フィンガ
47 y軸
48 x軸
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
【外国語明細書】