(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016044
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】クッション体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20250124BHJP
A47C 27/12 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A47C27/15 A
A47C27/15 B
A47C27/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119054
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】寺山 浩一
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB04
3B096AD01
(57)【要約】
【課題】複数の層を備える場合でも手間およびコストを低減できるクッション体の製造方法を提供する。
【解決手段】使用者の身体が載せられるクッション体の製造方法であって、クッション体を構成する第1部材B1に第1部材B1よりも硬い第2部材B2を貼り合わせて、第1部材B1および第2部材B2を含むブロック体Bを作製する工程と、一対のブロック体Bのうちの一方の第1部材B1に、一対のブロック体Bのうちの他方の第1部材B1を重ねる工程と、一対のブロック体Bのうちの一方の第1部材B1と、一対のブロック体Bのうちの他方の第1部材B1との境界BLに対して上下に蛇行する切断ラインCLに沿って一対のブロック体Bを切断する工程と、境界BLと、境界BLから上方に延在する切断ラインCLとによって画成された部分における第1部材B1を除去する工程と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体が載せられるクッション体の製造方法であって、
前記クッション体を構成する第1部材に前記第1部材よりも硬い第2部材を貼り合わせて、前記第1部材および前記第2部材を含むブロック体を作製する工程と、
一対の前記ブロック体のうちの一方の前記第1部材に、一対の前記ブロック体のうちの他方の前記第1部材を重ねる工程と、
一対の前記ブロック体のうちの一方の前記第1部材と、一対の前記ブロック体のうちの他方の前記第1部材との境界に対して上下に蛇行する切断ラインに沿って一対の前記ブロック体を切断する工程と、
前記境界と、前記境界から上方に延在する前記切断ラインとによって画成された部分における前記第1部材を除去する工程と、
を備える、
クッション体の製造方法。
【請求項2】
前記第1部材は、ウレタンフォームによって構成されており、
前記第2部材は、固綿によって構成されている、
請求項1に記載のクッション体の製造方法。
【請求項3】
一対の前記ブロック体の切断により、前記クッション体の上面として、互いに連続する複数の前記第1部材を形成すること、および、
一対の前記ブロック体の切断により、前記クッション体の上面として、互いに独立する複数の前記第1部材を形成すること、
のいずれかを選択する工程を備える、
請求項1または請求項2に記載のクッション体の製造方法。
【請求項4】
前記選択する工程では、Nを正の実数として、
前記第2部材の厚さをN(mm)以下とすることにより、前記クッション体の上面として互いに連続する複数の前記第1部材を形成することが選択され、
前記第2部材の厚さをN(mm)より厚くすることにより、前記クッション体の上面として互いに独立する複数の前記第1部材を形成することが選択される、
請求項3に記載のクッション体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クッション体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上層部、中層部および下層部によって構成されたマットレスが記載されている。上層部としては、対向配置された一対のロールの間に上層部の元になる上層部用発泡体が通される。一対のロールの外周面のそれぞれに突設された複数の突起の間に上層部用発泡体が通されるプロファイル加工が行われることにより、上層部用発泡体に波形形状が形成される。
【0003】
中層部および下層部については、下層部の元になる2枚の下層部用発泡体の間に中層部の元になる中層部用発泡体を挟んで接着した3層構造の発泡体に対して、上記プロファイル加工が行われる。このプロファイル加工によって、凸部および凹部が形成された中層部と下層部とを含む中間品が製造される。下層部の上面から所定の高さ位置において当該中間品の凸部を水平に切断することにより、四角錐台形状の凸部を有する中層部が製造される。そして、上層部の底面を中層部の四角錐台形状の凸部上面に貼り合わせることによって、このマットレスは製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したマットレスの中層部および下層部が一体化された発泡体を製造するためには、上記3層構造の発泡体を二度切断する必要がある。したがって、切断および貼り合わせに手間とコストがかかっているという現状がある。複数の層を備えたクッション体では、製造の手間とコストを低減できることが求められる。
【0006】
本開示は、複数の層を備える場合でも手間およびコストを低減できるクッション体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るクッション体の製造方法は、(1)使用者の身体が載せられるクッション体の製造方法である。クッション体の製造方法は、クッション体を構成する第1部材に第1部材よりも硬い第2部材を貼り合わせて、第1部材および第2部材を含むブロック体を作製する工程と、一対のブロック体のうちの一方の第1部材に、一対のブロック体のうちの他方の第1部材を重ねる工程と、一対のブロック体のうちの一方の第1部材と、一対のブロック体のうちの他方の第1部材との境界に対して上下に蛇行する切断ラインに沿って一対のブロック体を切断する工程と、境界と、境界から上方に延在する切断ラインとによって画成された部分における第1部材を除去する工程と、を備える。
【0008】
このクッション体の製造方法では、一対のブロック体のうちの一方の第1部材に、一対のブロック体のうちの他方の第1部材が重ね合わされる。よって、最上段に第2部材が位置し、当該第2部材の下に第1部材が位置する。そして、当該第1部材の下に別の第1部材が位置し、当該別の第1部材の下に別の第2部材が位置する。また、一方の第1部材と、他方の第1部材とは貼り合わされていない。したがって、境界の上下で蛇行する切断ラインに沿ってブロック体が切断されることによって、一対のブロック体のそれぞれに複数の凹部が形成されるとともに、互いに隣り合う凹部の間に位置する凸部の頂面を平坦面とすることができる。したがって、截頭錘体状の凸部を有するクッション体を製造することができる。切断ラインに沿って一対のブロック体を切断した後に、上記の境界と当該境界から上方に延在する切断ラインとによって画成された部分における第1部材を除去してクッション体を製造できる。したがって、ブロック体の第1部材によって構成される層、および第2部材によって構成される層のように複数の層を備えるクッション体を容易に製造できるので、製造にかかる手間およびコストを低減させることができる。
【0009】
(2)上記(1)において、第1部材は、ウレタンフォームによって構成されていてもよく、第2部材は、固綿によって構成されていてもよい。第1部材がウレタンフォームによって構成されているので、使用者は、クッション体に身体を載せたときに柔らかさを感じることができる。第2部材が固綿によって構成されているので、使用者の身体を第2部材が支持して身体が沈み込み過ぎることを抑制できる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)において、クッション体の製造方法は、一対のブロック体の切断により、クッション体の上面として、互いに連続する複数の第1部材を形成すること、および、一対のブロック体の切断により、クッション体の上面として、互いに独立する複数の第1部材を形成すること、のいずれかを選択する工程を備えていてもよい。この場合、複数の第1部材が互いに連続するクッション体の製造、および複数の第1部材が互いに独立するクッション体の製造を適宜選択することができる。
【0011】
(4)上記(3)において、選択する工程では、Nを正の実数として、第2部材の厚さをN(mm)以下とすることにより、クッション体の上面として互いに連続する複数の第1部材を形成することが選択されてもよく、第2部材の厚さをN(mm)より厚くすることにより、クッション体の上面として互いに独立する複数の第1部材を形成することが選択されてもよい。この場合、第2部材の厚さを調整することにより、複数の第1部材が互いに連続するクッション体、および複数の第1部材が互いに独立するクッション体のいずれかを製造できる。第2部材の厚さを変えることによって、複数の第1部材が互いに連続するクッション体、または複数の第1部材が互いに独立するクッション体を容易に選択できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数の層を備える場合でも手間およびコストを低減できるクッション体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るクッション体の製造方法によって製造されたクッション体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るクッション体の製造方法によって製造されたクッション体であって
図1とは異なるクッション体を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、クッション体の製造方法の工程の例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、重ねる工程を説明するための図である。
【
図6】
図6は、切断する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るクッション体の製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0015】
図1および
図2に示されるクッション体1A,1Bのそれぞれは、本実施形態に係るクッション体の製造方法によって選択的に製造されるクッション体である。
図1は、クッション体1Aを示す斜視図である。
図2は、クッション体1Bを示す斜視図である。クッション体1A,1Bには、使用者の身体が載せられる。クッション体1A,1Bは、例えば、マットレス、布団またはクッション等として用いられる。本実施形態では、クッション体1A,1Bがマットレスである例について説明する。クッション体1A,1Bは、例えば、汚れ防止用のカバーに収容されて使用される。クッション体1A,1Bは、柔軟性素材によって構成されている。柔軟性素材とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。
【0016】
以下、
図1を参照しながら、クッション体1Aを説明する。クッション体1Aは、平面視において第1方向D1に延びる長辺1aと、平面視において第1方向D1と交差する第2方向D2に延びる短辺1bとを有する。本実施形態において、第1方向D1はクッション体1Aの長手方向を示しており、第2方向D2はクッション体1Aの短手方向(幅方向)を示している。クッション体1Aは、第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する方向である第3方向D3に厚みを有する。
【0017】
クッション体1Aは、使用者の身体に対向する上面1cと、上面1cとは反対側を向く下面1dとを有する。クッション体1Aは、上面1cから下面1dに向かって窪んだ複数の凹部11と、互いに隣接する2個の凹部11に挟まれる複数の凸部12とを有する。凹部11は、第2方向D2から見て、例えば、正弦波の一部と同一の形状を呈する。凹部11は、放物線状とされていてもよい。凸部12は、截頭錘体状を呈している。凸部12の頂部は、平坦面である。より詳細には、凸部12は、四角錐台状を呈している。
【0018】
複数の凸部12は、第1方向D1に沿って互いに間隔を空けて配列されている。第1方向D1に沿って互いに隣接する2個の凸部12の間には、凹部11が形成されている。例えば、第1方向D1に沿って凸部12と凹部11とは、交互に配置されている。平面視(第3方向D3に沿って見た場合)において、複数の凹部11が千鳥状に配置されており、複数の凹部11の間において凸部12が千鳥状に配置されている。クッション体1Aの上面1c側において、第1方向D1に沿って交互に並ぶ凹部11と凸部12とからなる複数の組が、第2方向D2に沿って並んでいる。
【0019】
上記の複数の組は、短辺1bから凸部12及び凹部11がこの順で第1方向D1に沿って交互に並ぶ第1の組と、短辺1bから凹部11及び凸部12がこの順で第1方向D1に沿って交互に並ぶ第2の組とを含む。当該第1の組は、当該第2の組と第2方向D2に隣り合っている。当該第1の組及び当該第2の組は第2方向D2に沿って交互に並んでいる。その結果、凸部12と凹部11は第2方向D2に沿って交互に配列されている。上面1cに沿って延在する方向であって、かつ第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する方向である斜め方向に沿って、複数の凸部12が並んでいる。以下では、「上面1cに沿って延在する方向であって、かつ第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する方向である斜め方向」を単に「斜め方向」と称することがある。クッション体1Aでは、斜め方向において互いに隣接する2個の凸部12は、連結されておらず、互いに独立している。
【0020】
本明細書において、「凹部」とは、平面視において(第3方向D3から見て)四方を線に囲まれていて、当該線よりも深い部分をいう。平面視において、当該四方を囲む線は、他の当該四方を囲む線から離れていてもよい。当該「凹部」は、第1方向D1及び第2方向D2の少なくとも一方において開放されていてもよい。第1方向D1及び第2方向D2の少なくとも一方において開放されている凹部としては、第1方向D1の端部、及び第2方向D2の端部の少なくとも一方に位置する凹部11が挙げられる。
【0021】
クッション体1Aは、使用者の身体が当てられる上層部2と、上層部2の下側に位置する下層部3とを備える。下層部3は、底面視において矩形状を呈する。下層部3は、上層部2とは異なる素材によって構成されている。下層部3は、柔軟性素材によって構成されている。下層部3は、上層部2よりも硬い素材によって構成されている。下層部3は、例えば、固綿によって構成されている。この場合、下層部3は、ポリエステル固綿素材によって構成されていてもよい。
【0022】
下層部3は、第1方向D1および第2方向D2の双方に延在する本体部31と、複数の凸部基部32とを有する。本体部31は、凸部基部32の下に位置する部分である。例えば、本体部31の上面が凹部11の底面とされている。本体部31は、底面視において矩形状を呈する。例えば、本体部31は、平板状を呈する。本体部31の使用者に対向する面とは反対を向く面が下面1dである。
【0023】
例えば、凸部基部32の上面は、平坦面とされている。凸部基部32は、凸部12の一部を構成する。凸部基部32は、凸部12の下側部分を構成している。凸部基部32は、本体部31の上面(凹部11の底面)から上側に向かって突出している部分である。凸部基部32は、例えば、第2方向D2から見て正弦波の一部と同一の形状を呈する。凸部基部32は、放物線状を呈していてもよい。例えば、凸部基部32の上面は、下面1dと平行である。この場合、凸部基部32の上面は、第1方向D1及び第2方向の双方に延在している。本体部31と、複数の凸部基部32とは、一体とされている。クッション体1Aでは、斜め方向において互いに隣接する2個の凸部基部32は、連結されておらず互いに独立している。
【0024】
上層部2は、下層部3の上側で下層部3に連結されている。より詳細には、上層部2は、複数の凸部先端部21を有し、凸部先端部21が凸部基部32の上側に積層されている。凸部先端部21は、凸部12の一部を構成する。凸部先端部21は、凸部12の上側部分を構成している。凸部12は、凸部基部32と、凸部基部32の上面に貼り付けられた凸部先端部21とによって構成されている。
【0025】
複数の凸部先端部21と、複数の凸部基部32とは一対一対応をしていて、1個の凸部基部32に1個の凸部先端部21が積層されている。凸部先端部21は、四角錐台状を呈している。凸部先端部21の下面は矩形状を呈し、凸部先端部21の下面の大きさ(面積)は凸部基部32の上面の大きさと同一である。例えば、凸部先端部21の上面は矩形状を呈し、凸部先端部21の上面の面積は凸部先端部21の下面の面積よりも小さい。凸部先端部21の側面(第3方向D3に交差する方向を向く面)は、凸部基部32の側面に滑らかに接続されている。例えば、第2方向D2に沿って見たときにおける凸部先端部21の形状は、正弦波の一部の形状と同一である。
【0026】
前述したように、凸部先端部21は、凸部基部32の上側に積層されている。よって、複数の凸部先端部21は、凸部基部32と同様、斜め方向に並んでいる。斜め方向において互いに隣接する2個の凸部先端部21の上面21aは、互いに連結されていない。すなわち、クッション体1Aでは、複数の凸部先端部21は、互いに独立している。凸部先端部21の上面21aは、クッション体1Aの上面1cを構成する。
【0027】
例えば、クッション体1Aでは、凸部12の上面(凸部先端部21の上面21a)は矩形状を呈する。一例として、凸部12の上面の第1方向D1の長さは、凸部12の上面の第2方向D2の長さよりも短い。しかしながら、凸部12の上面の第1方向D1の長さは、凸部12の上面の第2方向D2の長さと同一であってもよいし、凸部12の上面の第2方向D2の長さより長くてもよい。
【0028】
上層部2は、柔軟性素材によって構成されている。上層部2は、下層部3より柔らかい材料によって構成されている。上層部2は、例えば、発泡ウレタンによって構成されている。上層部2は、バイオマスウレタン、または軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)、ポリエステル固綿素材、もしくは2次元加工機でカッティングできるもの)によって構成されていてもよい。
【0029】
続いて、
図2を参照しながら、クッション体1Bを説明する。クッション体1Bの一部の構成は、クッション体1Aの一部の構成と重複するため、以降では、クッション体1Aの内容と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。クッション体1Bでは、斜め方向に沿って互いに隣接する2個の凸部基部32が互いに連結されており、かつ、斜め方向に沿って互いに隣接する2個の凸部先端部21の上面21aが互いに連結されている。
【0030】
クッション体1Bでは、凸部12の上面(凸部先端部21の上面21a)が互いに連続している。クッション体1Bでは、凸部12の上面が矩形状を呈し、凸部12の上面における複数の隅部の少なくともいずれかが他の凸部12の上面に連続している。一例として、凸部12の上面の四隅の全部または一部が他の凸部12の上面に連続している。
【0031】
第1方向D1の端部に位置する凸部12の上面の1つまたは2つの隅部(平面視においてクッション体1Bの第1方向D1の中央側に位置する1つまたは2つの隅部)は、当該凸部12に第1方向D1に隣接する凸部12の上面に連続している。第2方向D2の端部に位置する凸部12の上面の1つまたは2つの隅部(平面視においてクッション体1Bの第2方向D2の中央側に位置する1つまたは2つの隅部)は、当該凸部12に第2方向D2に隣接する凸部12の上面に連続している。第1方向D1の端部に位置する凸部12、及び第2方向D2の端部に位置する凸部12以外の凸部12の上面の四隅は、当該凸部12に隣接する凸部12の上面に連続している。
【0032】
図3を参照しながら、本実施形態に係るクッション体の製造方法の例について説明する。
図3は、クッション体の製造方法の工程の例を示すフローチャートである。クッション体の製造方法は、前述したクッション体1A,1Bを製造するときに用いられてもよいし、クッション体1A,1B以外のクッション体を製造するときに用いられてもよい。
【0033】
まず、
図4に示されるブロック体Bを構成する第1部材B1および第2部材B2を準備する。
図4は、ブロック体Bを示す正面図である。ブロック体Bは、上層部2を構成する第1部材B1と、下層部3を構成する第2部材B2とを含む。第1部材B1および第2部材B2は、平板状の部材である。第1部材B1は、第2部材B2の上側に積層される。
【0034】
第2部材B2は、第1部材B1とは異なる素材によって構成されている。第2部材B2は、第1部材B1を構成する素材よりも硬い素材によって構成されている。第1部材B1は、例えば、ウレタンフォームによって構成されている。第1部材B1は、無膜ウレタンによって構成されていてもよい。第2部材B2は、例えば、固綿によって構成されている。例えば、第1部材B1の第3方向D3の長さ(厚さ)は、厚さd1である。第2部材B2の第3方向D3の長さ(厚さ)は、厚さd1よりも大きい厚さd2である。
【0035】
本実施形態に係るクッション体の製造方法は、第1部材B1の厚さd1に対する第2部材B2の厚さd2を調整することによって互いに異なる種類のクッション体を製造することが可能である。本実施形態では、厚さd1に対する厚さd2の比率が一定値以上であるときに上面が互いに独立したクッション体1Aが製造され、厚さd1に対する厚さd2の比率が当該一定値以上でないときに上面が互いに連続するクッション体1Bが製造される、という知見に基づいてクッション体の製造が行われる。
【0036】
本実施形態では、クッション体1A,1Bのいずれを作製するかを選択する(選択する工程、ステップS1)。より詳細には、クッション体1Bのように、クッション体の上面として、互いに連続する上面21aを形成すること、および、クッション体1Aのように、クッション体の上面として、互いに独立する上面21aを形成することのいずれかを選択する。
【0037】
本実施形態では、第2部材B2の厚さd2を決定することにより、クッション体1Aおよびクッション体1Bのいずれを作製するかを選択する。例えば、Nを正の実数として、厚さd1を一定としつつ厚さd2をNmm以下とすることにより、クッション体1Bを作製することを選択し、厚さd1を一定としつつ厚さd2をNmmより厚くすることにより、クッション体1Aを作製することを選択する。
【0038】
クッション体1Aのように、クッション体の上面として、互いに独立する上面21aを形成するための厚さd1及び厚さd2の組合せとしては、例えば、厚さd1が10mmまたは20mmであるとともに、厚さd2が50mmである場合が挙げられる。すなわち、厚さd1が20mm以下であって、且つ厚さd2が50mmであるときに、クッション体1Aが製造される。
【0039】
一方、クッション体1Bのように、クッション体の上面として、互いに連続する上面21aを形成するための厚さd1及び厚さd2の組合せとしては、例えば、厚さd1が10mmまたは20mmであるとともに、厚さd2が30mmである場合が挙げられる。すなわち、厚さd1が20mm以下であって、且つ厚さd2が30mmであるときに、クッション体1Bが製造される。クッション体1Bの製造には、第2部材B2の厚さd2が20mm以上且つ30mm未満である第2部材B2が用いられてもよい。
【0040】
そして、第2部材B2に第1部材B1を重ねてブロック体Bを作製する(作製する工程、ステップS2)。より詳細には、第1部材B1が第2部材B2に積層されるように、第1部材B1を第2部材B2に貼り合わせて、ブロック体Bを作製する。例えば、第1部材B1は第2部材B2の上に接着剤によって接着固定される。
【0041】
続いて、
図5に示されるように、一対のブロック体Bのうちの一方の第1部材B1に、一対のブロック体Bのうちの他方の第1部材B1を重ねる(重ねる工程、ステップS3)。
図5は、ステップS3を説明するための図である。より詳細には、まず一対のブロック体Bを用意する。続いて、一方のブロック体Bの第1部材B1と、他方のブロック体Bの第1部材B1とが互いに対向するように、一対のブロック体Bのうちの一方を、一対のブロック体Bのうちの他方に載置する。
【0042】
このとき、一対のブロック体Bは、互いに貼り合わされていない。すなわち、一対のブロック体Bは、互いに固定されておらず、一方のブロック体Bに他方のブロック体Bが載せられただけの状態(接着等によって固定されない状態)となる。一対のブロック体Bのうちの一方の第1部材B1と、一対のブロック体Bのうちの他方の第1部材B1との間には、一方のブロック体Bに他方のブロック体Bが載置された載置面である境界BLが形成されている。
【0043】
続いて、一対のブロック体Bを切断する(切断する工程、ステップS4)。
図6は、ステップS4を説明するための図である。より詳細には、境界BLに対して上下に蛇行する切断ラインCLに沿って一対のブロック体Bを切断する。切断ラインCLは、例えば、第1方向D1に進むにしたがって、境界BLに対し第3方向D3の一方(上方)及び第3方向D3の他方(下方)に蛇行するように形成される。一例として、第2方向D2に沿って見たときに、切断ラインCLは正弦波状を呈する。
【0044】
切断ラインCLに沿った一対のブロック体Bの切断は、例えば、プロファイル加工機によって行われる。この場合、プロファイル加工機の一対のローラの表面に形成された凹凸部分の間に一対のブロック体Bを通し、当該凹凸部分で一対のブロック体Bを一対のローラが並ぶ方向に押圧しながら一対のブロック体Bを切断することにより、切断ラインCLに沿ったブロック体Bの切断が実現される。
【0045】
一対のブロック体Bを切断した後には、境界BLと、切断ラインCLとによって画成された部分を除去する(除去する工程、ステップS5)。より詳細には、ステップS5では、境界BLと、境界BLから上方に延在する切断ラインCLとによって画成された部分B3における第1部材B1を少なくとも除去する。切断ラインCLが第2部材B2を通過している場合には、部分B3を除去することによって、境界BLと境界BLから上方に延びる切断ラインCLとによって画成された部分に位置する第1部材B1および第2部材B2を除去する。
【0046】
ステップS5では、境界BLと、境界BLから下方に延在する切断ラインCLとによって画成された部分B4における第1部材B1を除去してもよい。切断ラインCLが第2部材B2を通過している場合には、部分B4を除去することによって、境界BLと境界BLから下方に延びる切断ラインCLとによって画成された部分に位置する第1部材B1および第2部材B2を除去する。
【0047】
続いて、本実施形態のクッション体の製造方法の作用効果を説明する。このクッション体の製造方法では、一対のブロック体Bのうちの一方の第1部材B1に、一対のブロック体Bのうちの他方の第1部材B1が重ね合わされる。よって、最上段に第2部材B2が位置し、当該第2部材B2の下に第1部材B1が位置する。そして、当該第1部材B1の下に別の第1部材B1が位置し、当該別の第1部材B1の下に別の第2部材B2が位置する。また、一方の第1部材B1と、他方の第1部材B1とは貼り合わされていない。したがって、境界BLの上下で蛇行する切断ラインCLに沿ってブロック体Bが切断されることによって、一対のブロック体Bのそれぞれに複数の凹部11が形成されるとともに、互いに隣り合う凹部11の間に位置する凸部12の頂面は平坦となる。したがって、截頭錘体状の凸部を有するクッション体1A,1Bを製造することができる。
【0048】
切断ラインに沿って一対のブロック体Bを切断した後に、上記の境界BLと当該境界BLから上方に延在する切断ラインCLとによって画成された部分における第1部材B1を除去してクッション体1A,1Bを製造できる。したがって、ブロック体Bの第1部材B1によって構成される上層部2、および第2部材B2によって構成される下層部3のように複数の層を備えるクッション体1A,1Bを容易に製造できるので、製造にかかる手間およびコストを低減させることができる。
【0049】
第1部材B1は、ウレタンフォームによって構成されている。第2部材B2は、固綿によって構成されている。第1部材B1がウレタンフォームによって構成されているので、使用者は、クッション体1A,1Bに身体を載せたときに柔らかさを感じることができる。第2部材B2が固綿によって構成されているので、使用者の身体を第2部材B2が支持して身体が沈み込み過ぎることを抑制できる。すなわち、使用者は、クッション体1A,1Bに身体を載せたときに、凸部先端部21によって柔らかさを感じることができるとともに、使用者の身体を凸部基部32及び本体部31が支持して身体が沈み過ぎることを抑制できる。
【0050】
クッション体の製造方法は、一対のブロック体Bの切断により、クッション体1Bの上面1cとして、互いに連続する複数の第1部材B1(凸部先端部21)を形成すること、および、一対のブロック体Bの切断により、クッション体1Aの上面1cとして、互いに独立する複数の第1部材B1(凸部先端部21)を形成すること、のいずれかを選択する工程を備えている。この場合、複数の第1部材B1が互いに連続するクッション体1Bの製造、および複数の第1部材B1が互いに独立するクッション体1Aの製造を適宜選択することができる。
【0051】
選択する工程(ステップS1)では、Nを正の実数として、第2部材B2の厚さd2をN(mm)以下とすることにより、クッション体1Bの上面1cとして互いに連続する複数の第1部材B1(凸部先端部21)を形成することが選択され、第2部材B2の厚さd2をN(mm)より厚くすることにより、クッション体1Aの上面1cとして互いに独立する複数の第1部材B1(凸部先端部21)を形成することが選択される。この場合、第2部材B2の厚さd2を調整することにより、複数の第1部材B1が互いに連続するクッション体1B、および複数の第1部材B1が互いに独立するクッション体1Aのいずれかを製造できる。第2部材B2の厚さd2を変えることによって、複数の第1部材B1が互いに連続するクッション体1B、または複数の第1部材B1が互いに独立するクッション体1Aを容易に選択できる。
【0052】
以上、本開示に係るクッション体の製造方法の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、または他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本開示に係るクッション体及びブロック体の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0053】
選択する工程であるステップS1では、第2部材B2の厚さd2に代えて、または厚さd2とともに、第1部材B1の硬さ及び第2部材B2の硬さを決定することにより、一対のブロック体Bの切断により、クッション体の上面として、互いに連続する複数の第1部材B1を形成すること、および、一対のブロック体Bの切断により、クッション体の上面として、互いに独立する複数の第1部材B1を形成すること、のいずれかを選択してもよい。
【0054】
ステップS5の後に、第3方向D3に延在するようにクッション体1A,1Bを貫通する貫通孔を凹部11の底に形成してもよい。この場合、使用者がクッション体1A,1Bの上に寝ている場合であっても、使用者とクッション体1A,1Bとの間の通気性が高められる。
【0055】
ステップS5の後に、第3方向D3に下面1dから上面1cに向かって窪む複数のスリットを下面1dに形成してもよい。この場合、クッション体1A,1Bの上に寝た使用者の身体の荷重をより効果的に分散することができるので、クッション性を高めることができる。
【0056】
このクッション体の製造方法は、Mを正の実数として、第1部材B1の厚さd1をM(mm)以下とすることにより、第2部材B2の凸部基部32を形成することが選択され、第1部材B1の厚さd1をM(mm)より厚くすることにより、第2部材B2の凸部基部32を形成しないことが選択される工程を更に備えてもよい。但し、当該工程は、切断ラインCLの振幅が一定であることが条件となる。
【0057】
上記の工程では、厚さd1を0(mm)に近づけることにより、凸部先端部21の第3方向D3の長さ(厚み)を短くすることが可能である。また、厚さd1をM(mm)に近づけることにより、凸部先端部21を厚くすることが可能である。また、厚さd1をM(mm)とすることにより、凸部12全体を第1部材B1と同一の材料によって形成することができる。厚さd1をM(mm)より大きくすることにより、凸部12全体を第1部材B1と同一の材料によって形成することができるとともに、本体部31と称していた部分の上端側を第1部材B1と同一の材料によって形成することができる。このように、厚さd1を調整することによって種々のクッション体を製造することができる。
【0058】
厚さd1が10mmであるとともに、厚さd2が50mmであるクッション体1Aは、厚さが30mmであるクッション体の上に載置された状態で使用されてもよい。当該クッション体は、固綿によって構成されていてもよい。当該クッション体の上面及び下面のいずれか一方には、凹部が形成されていてもよい。この場合、クッション体1Aの下側の空間における通気性を高めることができる。
【符号の説明】
【0059】
1A,1B…クッション体、1a…長辺、1b…短辺、1c…上面、1d…下面、2…上層部、3…下層部、11…凹部、12…凸部、21…凸部先端部、21a…上面、31…本体部、32…凸部基部、B…ブロック体、B1…第1部材、B2…第2部材、B3…部分、B4…部分、d1,d2…厚さ、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、BL…境界、CL…切断ライン。