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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016047
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/493 20070101AFI20250124BHJP
【FI】
H02M7/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119057
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】門田 行生
(72)【発明者】
【氏名】木内 麻紗子
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】眞野 利一
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA15
5H770CA10
5H770DA11
5H770DA22
5H770DA30
5H770EA01
5H770HA03Y
(57)【要約】
【課題】 複数台の電力変換器を並列接続して運用する電力変換システムにおいて、電流
検出を行うことなく出力電圧情報から電流バランス制御を行う電力変換システムを提供す
る。
【解決手段】 電力変換システムは、直流電圧源から給電された交流出力がリアクトルま
たは変圧器を介して並列に接続された少なくとも2台の電力変換器と、電力変換器を出力
電圧指令値に基づいて制御する制御装置と、交流出力が接続される交流負荷の電圧を検出
する負荷電圧検出器と、電力変換器の出力電圧を検出する複数の出力電圧検出器とを有し
、制御装置は負荷電圧検出器から得られる電圧情報を位相基準とし、出力電圧検出器で検
出された電圧を位相基準で無効電圧に変換し、電力変換器の無効電圧に応じて出力電圧指
令値の振幅成分と位相成分を補正する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクトルまたは変圧器を介して並列に接続され、直流電圧源から供給された直流電力を
交流電力に変換する少なくとも2台の電力変換器と、
前記電力変換器を電圧指令に基づいて制御する制御装置と、
前記電力変換器が接続される母線の電圧を検出する母線電圧検出器と、
前記電力変換器の出力電圧を検出する複数の出力電圧検出器と、
前記制御装置は、前記母線電圧検出器から得られる電圧に基づき位相信号を演算し、前記
出力電圧検出器で検出された電圧を前記位相信号で無効電圧に変換し、前記電力変換器の
前記無効電圧に応じて前記電圧指令の振幅成分と位相成分を補正する
電力変換システム。
【請求項2】
前記電力変換器が2台の場合は、それぞれの前記電力変換器の前記無効電圧の差に応じて
前記電圧指令の振幅成分と位相成分を前記制御装置で補正する
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項3】
それぞれの前記電力変換器の前記無効電圧は、全ての前記電力変換器の前記無効電圧の平
均値に対する差に応じて前記電圧指令の振幅成分と位相成分を前記制御装置で補正する
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記制御装置で演算された補正信号に出力制限を設けて補正信号を設定範囲内にリミット
する
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記制御装置で演算された前記無効電圧の差に不感帯を設ける
請求項2又は請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記電圧指令の振幅成分と位相成分を補正するように比例制御する
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記電圧指令の振幅成分と位相成分を補正するように振幅成分と位相成分を個別に補正す
ることを特徴とする
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記電圧指令の振幅成分と位相成分を補正するように振幅成分と位相成分を個別に比例制
御することを特徴とする
請求項1記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数台の電力変換器を並列接続して運用する電力変換システムにおいては、出力電圧は同
一であっても変圧器のインピーダンスや線路インピーダンスのばらつきにより電力変換器
の出力電流にばらつきが発生する。
【0003】
従来の複数台の電力変換器の電流バランス制御方法としては、変換器の出力電流を検出し
て電流情報を用いて出力電流のバランスを取る方法が提案されている。
【0004】
具体的には出力電流を有効電流成分と無効電流成分に変換し、無効電流成分に比例して出
力電圧指令値の振幅成分を補正し、有効電流成分に比例して出力電圧の位相成分または出
力周波数基準を補正するようにすることで、電流バランスを行う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-229701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、変換器の出力電流を検出する電流バランス制御では変
換器台数が増加するのに比例して電流検出点が増え、制御装置での演算が複雑となる。そ
こで電流検出を行うことなく出力電圧情報から電流バランス制御を行う電力変換システム
を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の電力変換システムは、リアクトルまたは変圧器を介して並列に接続され、
直流電圧源から供給された直流電力を交流電力に変換する少なくとも2台の電力変換器と
、前記電力変換器を電圧指令に基づいて制御する制御装置と、前記電力変換器が接続され
る母線の電圧を検出する母線電圧検出器と、前記電力変換器の出力電圧を検出する複数の
出力電圧検出器と、前記制御装置は、前記母線電圧検出器から得られる電圧に基づき位相
信号を演算し、前記出力電圧検出器で検出された電圧を前記位相信号で無効電圧に変換し
、前記電力変換器の前記無効電圧に応じて前記電圧指令の振幅成分と位相成分を補正する
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の電力変換システムの回路構成図である。
図2】第1の実施形態の制御装置の構成図である。
図3】第2の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図4】第3の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図5】第3の実施形態の変形例を示す電力変換システムの回路構成図である。
図6】第3の実施形態の変形例を示す補正量演算部の構成図である。
図7】第4の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図8】第5の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図9】第6の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図10】第7の実施形態の制御装置の構成図である。
図11】第7の実施形態の補正量演算部の構成図である。
図12】第8の実施形態の補正量演算部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の電力変換システムについて図1及び図2を参照して説明する。
【0011】
図1は電力変換システムの回路構成図である。
【0012】
電力変換システムは、第1の直流電圧源1Aと、第2の直流電圧源1Bと、第1の電力変
換器2Aと、第2の電力変換器2Bと、第1の変圧器3Aと、第2の変圧器3Bと、交流
負荷6と、第1の電圧検出器7Aと、第2の電圧検出器7Bと、第3の電圧検出器7Cと
、第1の制御装置8Aと、第2の制御装置8Bとを備えている。
【0013】
第1の直流電圧源1A、第2の直流電圧源1Bは、第1の電力変換器2A、第2の電力
変換器2Bにそれぞれ直流電力を供給する。第1の直流電圧源1A、第2の直流電圧源1
Bは、直流電力を供給することができるものであればよく、例えば、蓄電システム、チョ
ッパ、コンバータ等により直流電力を供給する構成としてもよい。
【0014】
第1の電力変換器2A、第2の電力変換器2Bは、それぞれ第1の直流電圧源1A、第
2の直流電圧源1Bから供給された直流電力を交流電力に変換する。第1の電力変換器2
A、第2の電力変換器2Bは、スイッチング素子とスイッチング素子に逆並列に接続され
たダイオードとを有しており、スイッチング素子をゲート信号に基づいて、オンオフする
ことで、直流電力を交流電力に変換する。
【0015】
第1の電力変換器2A、第2の電力変換器2Bは、第1の変圧器3A、第2の変圧器3
Bと、それぞれの第1の線路、第2の線路を介して並列に接続され、さらに、第3の線路
を介して交流負荷6に交流電力を供給する。なお、実際の交流回路網においては、遮断器
やフィルタ回路等が接続されているが、ここではそれらの記載は省略している。また、交
流負荷6は、電力系統と接続されていても良い。
【0016】
第1の変圧器3A、第2の変圧器3Bは、それぞれ第1の電力変換器2A、第2の電力
変換器2Bから出力される交流電圧を変圧して出力する。また、第1の線路、第2の線路
、第3の線路は、線路インピーダンス(リアクトル)を有しているため、それぞれを第1
の線路インピーダンス4A、第2の線路インピーダンス4B、第3の線路インピーダンス
5で示す。
【0017】
第1の電圧検出器7A(出力電圧検出器)、第2の電圧検出器7B(出力電圧検出器)
、第3の電圧検出器7C(母線電圧検出器)は、それぞれ第1の線路の電圧、第2の線路
の電圧、第3の線路の電圧を検出する。
【0018】
第1の制御装置8A、第2の制御装置8Bは、それぞれ第1の電力変換器2A、第2の
電力変換器2Bを制御するための回路である。第1の制御装置8A、第2の制御装置8B
には、第1の電圧検出器7A、第2の電圧検出器7B、第3の電圧検出器7Cで検出され
た電圧検出値が入力され、電圧検出値に基づいて、第1のゲート信号9A、第2のゲート
信号9Bを生成する。
【0019】
生成された第1のゲート信号9A、第2のゲート信号9Bとは、それぞれ第1の電力変換
器2A、第2の電力変換器2Bに出力され、第1の電力変換器2A、第2の電力変換器2
Bを制御する。なお、制御回路は、例えば、プロセッサと、プロセッサにより実行される
プログラムとを備え、ソフトウエアにより又はソフトウエアとハードウエアとの組み合わ
せにより種々の機能を実現するように構成され得る。
【0020】
次に、第1の実施形態の制御装置について説明する。
【0021】
図2は、制御装置の構成図である。なお、第1の制御装置8Aと第2の制御装置8Bと
は、基本的な構成は同一であるため、以下では第2の制御装置8Bとして説明する。
【0022】
第2の制御装置8Bは、振幅検出部10と、PLL演算部11と、第1の加算器13と
、比例制御装置14と、第2の加算器15Aと、第3の加算器15Bと、電圧指令演算部
17と、PWM制御部18と、第1の無効電圧演算部19Aと、第2の無効電圧演算部1
9Bと、補正量演算部20とを備えている。
【0023】
振幅検出部10は、第3の電圧検出器7Cで検出された第3の電圧Vcが入力され、電
圧振幅信号を出力する。
【0024】
PLL演算部11は、第3の電圧検出器7Cで検出された第3の電圧Vcが入力され、
位相信号θを出力する。
【0025】
第1の加算器13は、第2の電力変換器2Bが出力すべき有効電圧指令Vdref12と振
幅検出部10からの電圧振幅信号とを比較して、その差分を比例制御装置14に出力する
【0026】
比例制御装置14は、第1の加算器13の出力を比例演算して、第2の加算器15Aを
介して、電圧指令演算部17に出力する。
【0027】
電圧指令演算部17は、第2の加算器15Aを介した比例制御装置14の出力と、第3
の加算器15Bを介した無効電圧指令Vqrefとが入力され、電圧変換器が出力すべき交流
電圧信号を生成する。
【0028】
PWM制御部18は、電圧指令演算部17で生成した交流電圧信号に基づき、第2の電
力変換器2Bのスイッチング素子をオンオフするスイッチングパターンであるゲート信号
9を出力する。
【0029】
上記構成のうち、振幅検出部10と、PLL演算部11と、第1の加算器13と、比例
制御装置14と、電圧指令演算部17と、PWM制御部18とについては、並列接続され
た複数の電力変換器から同一の母線に電力供給を行うように制御するときには、一般的に
用いられる構成である。
【0030】
第2の制御装置8Bでは、第2の電力変換器2Bが出力すべき有効電圧指令Vdrefと第
3の電圧検出器7Cで検出された第3の電圧Vcに基づき振幅検出部10で演算された電
圧振幅信号との差分を比例演算した値と、第3の電圧検出器7Cで検出された第3の電圧
Vcに基づきPLL演算部11で演算された位相信号θを基準として、電圧変換器が出力
すべき交流電圧信号を生成することで、出力電圧の位相同期をとることが可能となる。
【0031】
つぎに、電力変換器の電流バランス制御の構成について、説明する。
【0032】
第1の無効電圧演算部19Aは、第2の電圧検出器7Bで検出された第2の電圧Vbと
PLL演算部11で演算された位相信号θが入力され、第2の電力変換器2Bの無効電圧
を演算する。
【0033】
第2の無効電圧演算部19Bは、第1の電圧検出器7Aで検出された第1の電圧Vaと
PLL演算部11で演算された位相信号θが入力され、第1の電力変換器2Aの無効電圧
を演算する。
【0034】
補正量演算部20は、第1の無効電圧演算部19Aで演算された第2の電力変換器2B
の無効電圧と第2の無効電圧演算部19Bで演算された第1の電力変換器2Aの無効電圧
とを補正して、第2の電力変換器2Bの補正量を演算する。例えば、第1の無効電圧演算
部19Aで演算された第2の電力変換器2Bの無効電圧と、第2の無効電圧演算部19B
で演算された第1の電力変換器2Aの無効電圧に対して所定の定数を乗算することで補正
量を演算する。
【0035】
補正量演算部20で演算した補正量は、第2の加算器15Aと第3の加算器15Bとに
出力される。
【0036】
第2の加算器15Aは、比例制御装置14の出力から補正量演算部20の出力を減算し
て、電圧指令演算部17に出力することで、有効電圧信号(振幅成分)に対して補正を行
う。
【0037】
第3の加算器15Bは、無効電圧指令Vqrefに補正量演算部20の出力を減算して、電
圧指令演算部17に出力することで、無効電圧信号(位相成分)に対して補正を行う。
【0038】
電圧指令演算部17は、第2の加算器15Aの出力と第3の加算器15BとPLL演算
部11の出力に基づき、交流電圧信号を生成し、PWM制御部18は、ゲート信号9を出
力する。
【0039】
以上のように、第1の実施形態における制御装置では、電流出力の大きい電力変換器で出
力電圧に大きな無効電圧が発生し、電流出力の小さい電力変換器で出力電圧に小さな無効
電圧が発生していると、この無効電圧に基づき有効電圧信号(振幅成分)と無効電圧信号
(位相成分)の両方に対して補正を行う。
【0040】
これにより、無効電圧の違いに応じてそれぞれの電力変換器の出力電圧を補正することが
でき、電力変換器の出力電流を検出することなく電流バランスをとることができる。また
、無効電圧は、有効電圧と比較して、出力電流が相違したときの差分が大きくなるため、
有効電圧信号(振幅成分)と無効電圧信号(位相成分)の両方に対して、無効電圧に基づ
いて補正することで効率的に電流バランス制御を行うことができる。
【0041】
次に、第2の実施形態の制御装置について説明する。
【0042】
図3は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外につ
いては、第2の制御装置8Bと同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0043】
補正量演算部20-2は、第4の加算器21と、補正演算部22とを備えている。
【0044】
第4の加算器21は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と第2の無効電圧演算部19
Bの出力を入力し、それぞれの出力の差を演算する。
【0045】
補正演算部22は、第4の加算器21の出力に基づき、補正量を演算して、第2の加算
器15Aと第3の加算器15Bの補正量として出力する。
【0046】
これにより、無効電圧の大きな電力変換器は出力電圧を小さくして出力電流を抑制するよ
うに動作し、無効電圧の小さな電力変換器は出力電圧を大きくして出力電流を増加するよ
うに動作して電力変換器の出力電流を検出することなく電流バランスをとることができる
【0047】
次に、第3の実施形態の制御装置について説明する。
【0048】
図4は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外につ
いては、第2の制御装置8Bと同一であるため、詳細な説明は省略する。また、第2の実
施形態の補正量演算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0049】
補正量演算部20-3は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、
補正演算部22とを備えている。
【0050】
第5の加算器23は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と第2の無効電圧演算部19
Bの出力を入力し、それぞれの出力の和を演算する。
【0051】
乗算器24は、第5の加算器23の出力を電力変換器の数で割ることで、無効電圧の平
均値を演算する。図4では、電力変換器の数を2としており、1/2としている。
【0052】
第4の加算器21は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と乗算器24の出力を入力し
、それぞれの出力の差を演算する。
【0053】
補正演算部22は、第4の加算器21の出力に基づき、補正量を演算して、第2の加算
器15Aと第3の加算器15Bの補正量として出力する。
【0054】
また、図5は、第3の実施形態の変形例を示す電力変換システムの回路構成図である。
なお、第1の実施形態の電力変換システムと同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省
略する。
【0055】
図5の電力変換システムは、図1に示した第1の実施形態の電力変換システムに対して
、電力変換器が複数並列接続されている点で異なっている。
【0056】
第1の電力変換器2A乃至第nの電力変換器2nは、それぞれ同一の構成であり、n個
の電力変換装置が並列接続されている。
【0057】
図6は、第3の実施形態の変形例を示す制御装置の補正量演算部の構成図である。なお
、第3の実施形態の補正量演算部と同一構成は符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0058】
補正量演算部20-31は、第6の加算器23―2と、第2の乗算器24―2と、第4
の加算器21と、補正演算部22とを備えている。
【0059】
第6の加算器23―2は、第1の無効電圧演算部19Aの出力乃至無効電力演算部19
nの出力を入力し、それぞれの出力の和を演算する。
【0060】
第2の乗算器24―2は、第6の加算器23―2の出力を電力変換器の数で割ることで
、無効電圧の平均値を演算する。図6では、電力変換器の数をnとしており、1/nとし
ている。
【0061】
第4の加算器21は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と第2の乗算器24―2の出
力を入力し、それぞれの出力の差を演算する。
【0062】
補正演算部22は、第4の加算器21の出力に基づき、補正量を演算して、第2の加算
器15Aと第3の加算器15Bの補正量として出力する。
【0063】
これにより、無効電圧の大きな電力変換器は出力電圧を小さくして出力電流を抑制するよ
うに動作し、無効電圧の小さな電力変換器は出力電圧を大きくして出力電流を増加するよ
うに動作する。それぞれ電力変換器の無効電圧平均値を比較の基準とすることで、電力変
換器が2台並列のみならず3台以上が並列に接続された場合でも電流バランス制御が可能と
なる。
【0064】
次に、第4の実施形態の制御装置について説明する。
【0065】
図7は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外につ
いては、第2の制御装置8Bと同一であるため、詳細な説明は省略する。また、第3の実
施形態の補正量演算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0066】
補正量演算部20-4は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、
補正演算部22と、出力リミット25とを備えている。
【0067】
出力リミット25は、補正演算部22の出力を入力し、所定の上限値および下限値を超
えるときは、所定の値に制限して、第2の加算器15Aと第3の加算器15Bの補正量と
して出力する。
【0068】
これにより、定格電流等から計算された補正量の最大値に信号出力を制限することができ
、過補正を回避することができる。
【0069】
次に、第5の実施形態の制御装置について説明する。
【0070】
図8は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外につ
いては、第2の制御装置8Bと同一であるため、詳細な説明は省略する。また、第4の実
施形態の補正量演算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0071】
補正量演算部20-5は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、
不感帯26と、補正演算部22と、出力リミット25とを備えている。
【0072】
不感帯26は、第4の加算器21と補正演算部22との間に設けられ、第4の加算器2
1の出力が所定の上限値および下限値の範囲内にあるときは、ゼロを出力する。つまり、
無効電圧の差が小さいときはゼロが出力され、補正演算部22による補正量の演算値もゼ
ロが出力される。
【0073】
これにより、無効電圧の差が設定値以上となったときに補正量演算が機能するようになり
、常時電流バランス制御を動作させることなく、電流バランス制御が必要な電力変換器の
みを補正できるようになる。
【0074】
次に、第6の実施形態の制御装置について説明する。
【0075】
図9は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外につ
いては、第2の制御装置8Bと同一であるため、詳細な説明は省略する。また、第5の実
施形態の補正量演算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0076】
補正量演算部20-6は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、
不感帯26と、比例制御器27と、出力リミット25とを備えている。
【0077】
比例制御器27は、第4の加算器21の出力に基づき、比例演算を行い、無効電圧の差
に比例した補正量を演算して、第2の加算器15Aと第3の加算器15Bの補正量として
出力する。
【0078】
これにより、無効電圧の差を拡大させないように電力変換器の出力電圧を調整できるよ
うになる。
【0079】
次に、第7の実施形態の制御装置について説明する。
【0080】
図10は、制御装置の構成図である。なお、第1の制御装置8Aと第2の制御装置8B
とは、基本的な構成は同一であるため、以下では制御装置8―2として説明する。また、
第1の実施形態の制御装置と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0081】
制御装置8-2は、図2に示した第1の実施形態の制御装置に対して、補正量演算部2
8が異なっている。
【0082】
補正量演算部28は、有効電圧信号(振幅成分)に対する補正量と無効電圧信号(位相成
分)に対する補正量とを演算して、それぞれの補正量を第2の加算器15Aと第3の加算
器15Bの補正量として出力する。
【0083】
図11は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、第5の実施形態の補正量演
算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0084】
補正量演算部28は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、不感
帯26と、第1の補正演算部29Aと、第2の補正演算部29Bと、第1の出力リミット
30Aと、第2の出力リミット30Bとを備えている。
【0085】
第5の加算器23は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と第2の無効電圧演算部19
Bの出力を入力し、それぞれの出力の和を演算する。
【0086】
乗算器24は、第5の加算器23の出力を電力変換器の数で割ることで、無効電圧の平
均値を演算する。図11では、電力変換器の数を2としており、1/2としている。
【0087】
第4の加算器21は、第1の無効電圧演算部19Aの出力と乗算器24の出力を入力し
、それぞれの出力の差を演算する。
【0088】
不感帯26は、第4の加算器21の出力を入力し、所定の上限値および下限値の範囲内
にあるときは、ゼロを出力する。
【0089】
第1の補正演算部29Aは、不感帯26の出力に基づき、有効電圧信号(振幅成分)に
対する補正量を演算する。
【0090】
第2の補正演算部29Bは、不感帯26の出力に基づき、無効電圧信号(位相成分)に
対する補正量を演算する。
【0091】
第1の出力リミット30Aは、第1の補正演算部29Aの出力を入力し、所定の上限値
および下限値を超えるときは、所定の値に制限して、第2の加算器15Aの補正量として
出力する。
【0092】
第2の出力リミット30Bは、第2の補正演算部29Bの出力を入力し、所定の上限値
および下限値を超えるときは、所定の値に制限して、第3の加算器15Bの補正量として
出力する。
【0093】
これにより、有効電圧補正信号と無効電圧補正信号を個別に制御することが可能となり、
有効電圧補正に適した補正演算と出力リミット、無効電圧演算に適した補正演算と出力リ
ミットを適用することが可能となる。
【0094】
次に、第8の実施形態の制御装置について説明する。
【0095】
図12は、制御装置の補正量演算部の構成図である。なお、補正量演算部の構成以外に
ついては、制御装置8―2と同一であるため、詳細な説明は省略する。また、第7の実施
形態の補正量演算部と同一構成は同一符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0096】
補正量演算部28―2は、第5の加算器23と、乗算器24と、第4の加算器21と、
不感帯26と、第1の比例制御器31Aと、第2の比例制御器31Bと、第1の出力リミ
ット30Aと、第2の出力リミット30Bとを備えている。
【0097】
第1の比例制御器31Aは、不感帯26の出力に基づき、比例演算を行い、無効電圧の
差に比例した補正量を演算して、有効電圧信号(振幅成分)に対する補正量を演算する。
【0098】
第2の比例制御器31Bは、不感帯26の出力に基づき、比例演算を行い、無効電圧の
差に比例した補正量を演算して、有効電圧信号(振幅成分)に対する補正量を演算する。
【0099】
これにより、有効電圧補正信号と無効電圧補正信号を個別に比例制御でき、有効電圧補正
に適した比例制御と出力リミット、無効電圧演算に適した比例制御と出力リミットを適用
することが可能となり、無効電圧の差を拡大させないように電力変換器の出力電圧を調整
できるようになる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したもので
あり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の
様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略
、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要
旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1A…第1の直流電圧源
1B…第2の直流電圧源
2A…第1の電力変換器
2B…第2の電力変換器
3A…第1の変圧器
3B…第2の変圧器
6…交流負荷
7A…第1の電圧検出器
7B…第2の電圧検出器
7C…第3の電圧検出器
8A…第1の制御装置
8B…第2の制御装置
10…振幅検出部
11…PLL演算部
13…第1の加算器
14…比例制御装置
15A…第2の加算器
15B…第3の加算器
17…電圧指令演算部
18…PWM制御部
19A…第1の無効電圧演算部
19B…第2の無効電圧演算部
20…補正量演算部
21…第4の加算器
22…補正演算部
23…第5の加算器
24…乗算器
25…出力リミット
26…不感帯
27…比例制御器
28…補正量演算部
29A…第1の補正演算部
29B…第2の補正演算部
30A…第1の出力リミット
30B…第2の出力リミット
31A…第1の比例制御器
31B…第2の比例制御器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12