(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016060
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20250124BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
H01L23/12 E
H01L21/60 311Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119076
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】名越 正人
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044KK12
5F044LL01
5F044QQ01
(57)【要約】
【課題】バンプが接続されるパッドの配置間隔が狭い半導体装置においても、電源電圧又は接地電圧を半導体装置内に効率的に供給する。
【解決手段】半導体装置は、第1のパッドと、平面視で、第1の方向で前記第1のパッドと接続される第1の配線と、平面視で、前記第1の方向とは異なる第2の方向で前記第1のパッドと接続される第2の配線と、第2のパッドと、平面視で、前記第1の方向で前記第2のパッドと接続される第3の配線と、平面視で、前記第2の方向で前記第2のパッドと接続される第4の配線と、を有し、前記第2の配線は、前記第2の方向で前記第3の配線と前記第1のパッドとの間に位置し、前記第4の配線は、前記第2の方向で前記第1の配線と前記第2のパッドとの間に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパッドと、
平面視で、第1の方向で前記第1のパッドと接続される第1の配線と、
平面視で、前記第1の方向とは異なる第2の方向で前記第1のパッドと接続される第2の配線と、
第2のパッドと、
平面視で、前記第1の方向で前記第2のパッドと接続される第3の配線と、
平面視で、前記第2の方向で前記第2のパッドと接続される第4の配線と、
を有し、
前記第2の配線は、前記第2の方向で前記第3の配線と前記第1のパッドとの間に位置し、
前記第4の配線は、前記第2の方向で前記第1の配線と前記第2のパッドとの間に位置する
半導体装置。
【請求項2】
前記第2のパッドは、前記第1のパッドに対して前記第1の方向及び前記第2の方向にずれた位置に配置される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の方向における前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間隔は、前記第2の方向における前記第2の配線の幅よりも狭い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の方向における前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間隔は、前記第2の方向における前記第4の配線の幅よりも狭い
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のパッドには、第1の電源電圧が供給され、
前記第2のパッドには、前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧が供給される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のパッドと前記第2の配線との間に設けられ、前記第1のパッドと前記第2の配線とを接続する第5の配線と、
前記第2のパッドと前記第4の配線との間に設けられ、前記第2のパッドと前記第4の配線とを接続する第6の配線と、
を有し、
前記第5の配線の前記第1の方向の幅は、前記第2の配線の前記第1の方向の幅より狭く、
前記第6の配線の前記第1の方向の幅は、前記第4の配線の前記第1の方向の幅より狭い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の方向における前記第2の配線の位置の一部は、前記第2の方向における前記第4の配線の位置と一致する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の配線、前記第2の配線、前記第3の配線及び前記第4の配線が設けられる第1の配線層と異なる第2の配線層において、前記第1の方向に間隔を置いて設けられ、前記第2の方向に延在する第7の配線及び第8の配線と、
前記第1の配線及び前記第2の配線を前記第7の配線に接続する第1のビアと、
前記第3の配線及び前記第4の配線を前記第8の配線に接続する第2のビアと、を有し、
前記第1の配線及び前記第2の配線を前記第7の配線に接続する前記第1のビアの数は、前記第1のパッドに対して前記第1の方向に離れるほど多く、
前記第3の配線及び前記第4の配線を前記第8の配線に接続する前記第2のビアの数は、前記第2のパッドに対して前記第1の方向に離れるほど多い
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1のパッドの前記第2の方向の両側の各々に、前記第2の方向に延在する複数の前記第2の配線を有し、
前記第2のパッドの前記第2の方向の両側の各々に、前記第2の方向に延在する複数の前記第4の配線を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1のパッドに接続された第1のバンプと、
前記第2のパッドに接続された第2のバンプとを有する
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、例えば、入出力回路と重なる位置に電源電圧又は接地電圧を外部から供給するためのバンプ等の端子が配置される場合がある。また、電源電圧又は接地電圧を半導体装置内に供給するための電源配線が、複数層にわたって配置される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-164195号公報
【特許文献2】特開2012-234931公報
【特許文献3】国際公開第2016/063458号
【特許文献4】米国特許第10186504号明細書
【特許文献5】米国特許第7554133号明細書
【特許文献6】米国特許第8549447号明細書
【特許文献7】米国特許第8013362号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、半導体装置の素子構造の微細化に伴い、バンプの配置間隔が狭くなり、電源配線の配置するスペースが小さくなる傾向にある。これにより、電源配線の配置数が減少すると、電源電圧又は接地電圧を半導体装置内に効率的に供給することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、バンプが接続されるパッドの配置間隔が狭い半導体装置においても、電源電圧又は接地電圧を半導体装置内に効率的に供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、半導体装置は、第1のパッドと、平面視で、第1の方向で前記第1のパッドと接続される第1の配線と、平面視で、前記第1の方向とは異なる第2の方向で前記第1のパッドと接続される第2の配線と、第2のパッドと、平面視で、前記第1の方向で前記第2のパッドと接続される第3の配線と、平面視で、前記第2の方向で前記第2のパッドと接続される第4の配線と、を有し、前記第2の配線は、前記第2の方向で前記第3の配線と前記第1のパッドとの間に位置し、前記第4の配線は、前記第2の方向で前記第1の配線と前記第2のパッドとの間に位置する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、バンプが接続されるパッドの配置間隔が狭い半導体装置においても、電源電圧又は接地電圧を半導体装置内に効率的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の概要を示す図である。
【
図3】
図1の半導体チップの回路領域における電源配線のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図4】
図3のX1-X1'線に沿う断面及びY1-Y1'線に沿う断面の一例を示す断面図である。
【
図5】
図1の半導体チップの回路領域における電源配線のレイアウトの別の例を示す平面図である。
【
図6】第2実施形態の半導体装置における電源配線のレイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。以下では、電源電圧を示す符号は、電源電圧が供給される電源配線又は電源端子を示す符号としても使用される。平面図及び断面図において、各配線の幅と厚さとの比率、配線間隔、配線層の厚さの比率、及び、平面視でバンプBMPに重なる位置に配線される配線の本数は、各図に限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における半導体装置の概要を示す。例えば、
図1に示す半導体装置SEMは、断面図に示すように、外部接続端子EXTが設けられた配線基板WSUBと、バンプBMPを介して配線基板WSUBに接続された半導体チップCHIP1とを有する。半導体チップCHIP1は、バンプBMPを介して配線基板WSUBの第1面に接続される。外部接続端子EXTは、第1面の反対面である第2面に設けられる。
【0011】
半導体チップCHIP1は、図示しないトランジスタ等の素子が形成された半導体基板SUBと、半導体基板SUBのバンプBMP側に設けられた多層配線層MWLとを有する。半導体チップCHIP1は、平面図に示すように、回路領域CAを有する。回路領域CAは、回路領域CAに設けられるトランジスタ等の素子に電源電圧及び接地電圧を供給する複数の電源配線PWを有する。各電源配線PWは、電源電圧及び接地電圧が供給されるバンプBMPに電気的に接続される。
【0012】
図2は、半導体装置の別の例を示す。
図2に示す半導体チップCHIP2は、チップの周辺部に設けられる入出力セルIOCと、入出力セルIOCに電源電圧VDD及び接地電圧VSSを供給する複数の電源配線PWを有する。電源電圧VDDは、第1の電源電圧の一例であり、接地電圧VSSは、第2の電源電圧の一例である。
【0013】
また、半導体チップCHIP2は、例えば、平面視で各入出力セルIOCが設けられる領域に重なる位置に、半導体チップCHIP2の外部から電源電圧VDD又は接地電圧VSSが供給されるバンプBMPを有する。電源電圧VDDが供給されるバンプBMPは、電源配線PWのうちの電源配線VDDに接続される。接地電圧VSSが供給されるバンプBMPは、電源配線PWのうちの接地配線VSSに接続される。半導体チップCHIP2は、
図1の半導体チップCHIP1と同様に、図示しないトランジスタ等の素子が形成された半導体基板と、半導体基板のバンプBMP側に設けられた多層配線層とを有してもよい。
【0014】
図3は、
図1の半導体チップCHIP1の回路領域CAにおける電源配線のレイアウトの一例を示す。
図1に示したように、回路領域CAには、バンプBMPが千鳥状に配置される。なお、
図3以降では、
図1の半導体チップCHIP1の電源配線のレイアウトの例が示されるが、
図3以降に示すレイアウトの手法は、
図2の半導体チップCHIP2の電源配線のレイアウトに適用されてもよい。
【0015】
半導体チップCHIP1は、チップの厚さ方向であるZ方向でバンプBMP側に配置されるパッド層PADLに設けられる電源パッドVDDPAD、VSSPAD及び電源配線VDDa、VDDb、VDDc、VSSa、VSSb、VSScを有する。電源パッドVDDPADは、第1のパッドの一例である。電源パッドVSSPADは、第2のパッドの一例である。電源配線VDDaは、第1の配線の一例であり、電源配線VDDbは、第2の配線の一例であり、電源配線VDDcは、第5の配線の一例である。電源配線VSSaは、第3の配線の一例であり、電源配線VSSbは、第4の配線の一例であり、電源配線VSScは、第6の配線の一例である。
【0016】
電源パッドVDDPADは、電源電圧VDDが供給される図示しないバンプBMPと平面視で重なる位置に設けられ、電源電圧VDDが供給されるバンプBMPに接続される。電源パッドVSSPADは、接地電圧VSSが供給される図示しないバンプBMPと平面視で重なる位置に設けられ、接地電圧VSSが供給されるバンプBMPに接続される。電源パッドVDDPAD及び電源パッドVSSPADは、平面視で千鳥状に設けられており、X方向及びY方向に互いにずれた位置に配置される。電源パッドVDDPADに接続されたバンプBMPは、第1のバンプの一例であり、電源パッドVSSPADに接続されたバンプBMPは、第2のバンプの一例である。
【0017】
また、半導体チップCHIP1は、パッド層PADLにおけるバンプBMPと反対側に位置する多層配線層MWLに設けられる電源配線VDD、VSSを有する。パッド層PADLは、第1の配線層の一例であり、多層配線層MWLは、パッド層PADLと異なる第2の配線層の一例である。電源配線VDD、VSSは、
図1の電源配線PWに対応する。電源配線VDD、VSSは、Y方向に延在し、X方向に間隔を置いて交互に配置される。
【0018】
電源配線VDDは、第7の配線の一例であり、電源配線VSSは、第8の配線の一例である。X方向は、第1の方向の一例であり、Y方向は、X方向と異なる第2の方向の一例である。電源パッドVDDPAD、VSSPADの配置間隔及び電源配線VDDa、VDDb、VSSa、VSSbの幅と間隔は、
図3に示す例に限定されない。また、平面視で電源パッドVDDPAD、VSSPADと重なる位置に配置される電源配線VDD、VSSの本数は、
図3に示す例に限定されない。
【0019】
例えば、電源パッドVDDPAD、VSSPAD及び電源配線VDDa、VDDb、VDDc、VSSa、VSSb、VSScは、パッド層PADLに配線を形成する半導体プロセスにより同時に形成される。例えば、電源配線VDD、VSSは、多層配線層MWLに配線を形成する半導体プロセスにより同時に形成される。
【0020】
電源配線VDDaは、平面視で電源パッドVDDPADを横切る位置にX方向に沿って配置され、電源パッドVDDPADと接続される。電源配線VDDbは、平面視で電源パッドVDDPADのY方向の両側にX方向に沿って配置され、Y方向に所定の間隔を置いて電源配線VSSaと隣接している。電源配線VDDcは、平面視で電源パッドVDDPADのY方向の両側に配置され、電源パッドVDDPADと電源配線VDDbとの間に設けられ、電源配線VDDbを電源パッドVDDPADに接続する。
【0021】
電源配線VDDbのY方向の幅及び電源配線VDDcのX方向の幅は、レイアウトルールにおける電源配線の幅の上限値以下に設定される。このため、レイアウトルールに違反することなく、X方向に幅の広い電源配線VDDbを電源パッドVDDPADに接続することができる。電源配線VDDa、VDDbの各々は、複数のビアVIAを介して多層配線層MWLの電源配線VDDに接続される。電源配線VDDa、VDDbを電源配線VDDに接続するビアVIAは、第1のビアの一例である。
【0022】
電源配線VSSaは、平面視で電源パッドVSSPADを横切る位置にX方向に沿って配置され、電源パッドVSSPADと接続される。電源配線VSSbは、平面視で電源パッドVSSPADのY方向の両側にX方向に沿って配置され、Y方向に所定の間隔を置いて電源配線VDDaと隣接している。電源配線VSScは、平面視で電源パッドVSSPADのY方向の両側に配置され、電源パッドVSSPADと電源配線VSSbとの間に設けられ、電源配線VSSbを電源パッドVSSPADに接続する。
【0023】
電源配線VSSbのY方向の幅及び電源配線VSScのX方向の幅は、レイアウトルールにおける電源配線の幅の上限値以下に設定される。このため、レイアウトルールに違反することなく、X方向に幅の広い電源配線VSSbを電源パッドVSSPADに接続することができる。電源配線VSSa、VSSbの各々は、複数のビアVIAを介して多層配線層MWLの電源配線VSSに接続される。電源配線VSSa、VSSbを電源配線VSSに接続するビアVIAは、第2のビアの一例である。
【0024】
電源配線VDDbは、X方向に伸張させた場合に、電源パッドVSSPAD及び電源配線VSSb、VSScと重なる位置に配置される。すなわち、Y方向における電源配線VDDbの位置の一部は、Y方向における電源配線VSSbの位置と一致し、Y方向における電源配線VDDbの位置の他の一部は、Y方向における電源パッドVSSPADの位置と一致する。
【0025】
電源配線VSSbは、X方向に伸張させた場合に、電源パッドVDDPAD及び電源配線VDDb、VDDcと重なる位置に配置される。すなわち、Y方向における電源配線VSSbの位置の一部は、Y方向における電源配線VDDbの位置と一致し、Y方向における電源配線VSSbの位置の他の一部は、Y方向における電源パッドVDDPADの位置と一致する。
【0026】
また、Y方向における電源パッドVDDPAD、VSSPADの間隔W0は、Y方向における電源配線VDDbの幅WVDDb及びY方向における電源配線VSSbの幅WVSSbより狭い。しかしながら、この実施形態では、電源パッドVDDPADと電源配線VSSaとの隙間に電源配線VDDbが配置され、電源パッドVSSPADと電源配線VDDaとの隙間に電源配線VSSbが配置される。
【0027】
これにより、電源パッドVDDPAD、VSSPADの間隔W0よりも大きい幅WVDDb、WVSSbを有する電源配線VDDb、VSSbを、電源パッドVDDPAD、VSSPAD及び電源配線VDDa、VSSaが配置されない空き領域に効率よく配置することができる。
【0028】
したがって、各バンプBMPから電源パッドVDDPADに供給される電源電圧VDDを、パッド層PADLの電源配線VDDa、VDDbを介して多層配線層MWLの電源配線VDDに効率よく分配することができる。同様に、各バンプBMPから電源パッドVSSPADに供給される接地電圧VSSを、パッド層PADLの電源配線VSSa、VSSbを介して多層配線層MWLの電源配線VSSに効率よく分配することができる。すなわち、バンプBMPが千鳥状に配置される場合に、各バンプBMPから多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに電源電圧VDD及び接地電圧VSSを供給する経路の電源抵抗を下げることができる。
【0029】
これに対して、例えば、電源配線VDDcにX方向に延在する補助の電源配線を接続し、電源配線VSScにX方向に延在する補助の電源配線を接続する場合、補助の電源配線の各々は幅が細くなり、あるいは、配線自体が困難になる。また、補助の電源配線が配線できる場合にも、補助の電源配線の各々を多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSにそれぞれ接続するビアVIAの大きさは小さくなる。
【0030】
この場合、各バンプBMPから供給される電源電圧VDD、VSSを、多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに効率よく分配することができず、各バンプBMPから電源配線VDD、VSSまでの電源抵抗を下げることが困難になる。近時、半導体プロセスの微細化によりバンプBMPの配置ピッチが小さくなる傾向にあり、電源配線VDDa、VSSa間のスペースは、小さくなる傾向にある。このため、電源抵抗を下げることが益々困難になってきている。
【0031】
図4は、
図3のX1-X1'線に沿う断面及びY1-Y1'線に沿う断面の例を示す。なお、
図4に示す断面は、
図1の半導体チップCHIP1の断面を上下反転させている。
図4では、半導体基板SUBに形成されるトランジスタ等の素子は省略している。半導体チップCHIP1は、半導体基板SUB上に順に設けられる多層配線層MWL、パッド層PADL及び絶縁膜INS1を有する。バンプBMPは、絶縁膜INS1の開口部OPENに露出する電源パッドVDDPADに接続される。なお、絶縁膜INS1は、複数の絶縁膜が積層されたものであってもよい。
【0032】
X1-X1'線に沿う断面において、多層配線層MWLにおけるパッド層PADL側の絶縁膜INS2には、パッド層PADLに設けられる電源配線VDDaに接続されたビアVIAと、ビアVIAに接続された電源配線VDDと、電源配線VSSとが形成される。なお、多層配線層MWLには、電源配線だけでなく信号配線が形成されてもよい。また、多層配線層MWLにおいて、絶縁膜INS2よりも半導体基板SUB側の領域には、配線だけでなくトランジスタ等の素子が形成されてもよい。また、絶縁膜INS2は、複数の絶縁膜が積層されたものであってもよい。
【0033】
Y1-Y1'線に沿う断面において、多層配線層MWLにおけるパッド層PADL側の絶縁膜INS2には、パッド層PADLに設けられる電源配線VSSaに接続されたビアVIAと、ビアVIAに接続された電源配線VSSとが形成される。電源配線VSSaは、電源配線VDDa、VDDcを介して2つのバンプBMP(VDD)にそれぞれ接続される2つの電源配線VDDbの間に配置される。
【0034】
図5は、
図1の半導体チップCHIP1の回路領域CAにおける電源配線のレイアウトの別の例を示す。
図3と同一又は同様のレイアウトについては、詳細な説明は省略する。
図5に示すレイアウトは、電源配線VDDa、VDDbに接続されるビアVIAの数が、電源パッドVDDPADのX方向の近くと遠くとで相違し、電源配線VSSa、VSSbに接続されるビアVIAの数が、電源パッドVSSPADのX方向の近くと遠くとで相違することを除き、
図3のレイアウトと同様である。
【0035】
電源配線VDDa、VDDbを電源配線VDDに接続するビアVIAの数は、電源パッドVDDPADに対してX方向に離れるほど多い。電源配線VSSa、VSSbを電源配線VSSに接続するビアVIAの数は、電源パッドVSSPADに対してX方向に離れるほど多い。したがって、電源配線VDDの配置密度は、電源パッドVDDPADに対してX方向に離れるほど多く、電源配線VSSの配置密度は、電源パッドVSSPADに対してX方向に離れるほど多い。
【0036】
これにより、電源パッドVDDPADに対して平面視でX方向に離れて配置される電源配線VDDへの電源電圧VDDの供給能力と、X方向の近くに配置される電源配線VDDへの電源電圧VDDの供給能力との差を抑制することができる。同様に、電源パッドVSSPADに対して平面視でX方向に離れて配置される電源配線VSSへの接地電圧VSSの供給能力と、X方向の近くに配置される電源配線VSSへの接地電圧VSSの供給能力との差を抑制することができる。
【0037】
各電源配線VDDに均一な電源電圧VDDを供給でき、各電源配線VSSに均一な接地電圧VSSを供給できるため、半導体チップCHIP1に形成される回路の電気的特性(性能)の、電源パッドVDDPAD、VSSPADの位置による差を抑制することができる。例えば、半導体装置SEMの性能は、性能が最も低い回路に合わせて決定される。この実施形態では、回路の性能の低下を抑制することができるため、半導体装置SEMの性能を向上することができ、半導体装置SEMの歩留まりを向上することができる。
【0038】
以上、第1実施形態では、各バンプBMPから電源パッドVDDPADに供給される電源電圧VDDを、パッド層PADLの電源配線VDDa、VDDbを介して多層配線層MWLの電源配線VDDに効率よく分配することができる。同様に、各バンプBMPから電源パッドVSSPADに供給される接地電圧VSSを、パッド層PADLの電源配線VSSa、VSSbを介して多層配線層MWLの電源配線VSSに効率よく分配することができる。すなわち、バンプBMPが千鳥状に配置される場合に、各バンプBMPから多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに電源電圧VDD及び接地電圧VSSを供給する経路の電源抵抗を下げることができる。
【0039】
電源パッドVDDPADと電源配線VSSaとの間に電源配線VDDbが配置され、電源パッドVSSPADと電源配線VDDaとの間に電源配線VSSbが配置される。これにより、電源パッドVDDPAD、VSSPADの間隔W0よりも大きい幅WVDDb、WVSSbを有する電源配線VDDb、VSSbを、電源パッドVDDPAD、VSSPAD及び電源配線VDDa、VSSaが配置されない空き領域に効率よく配置することができる。
【0040】
電源配線VDDcのX方向の幅をレイアウトルールにおける電源配線の幅の上限値以下に設定することで、X方向に幅の広い電源配線VDDbを電源パッドVDDPADに接続することができる。同様に、電源配線VSScのX方向の幅をレイアウトルールにおける電源配線の幅の上限値以下に設定することで、X方向に幅の広い電源配線VSSbを電源パッドVSSPADに接続することができる。
【0041】
Y方向における電源配線VDDbの位置の一部は、Y方向における電源配線VSSbの位置と一致し、Y方向における電源配線VDDbの位置の他の一部は、Y方向における電源パッドVSSPADの位置と一致する。これにより、千鳥状の電源パッドVDDPAD、VSSPAD及び電源配線VDDa、VSSaが配置されない空き領域に電源配線VDDb、VSSbを効率よく配置することができる。
【0042】
電源配線VDDa、VDDbを電源配線VDDに接続するビアVIAの数は、電源パッドVDDPADに対してX方向に離れるほど多い。電源配線VSSa、VSSbを電源配線VSSに接続するビアVIAの数は、電源パッドVSSPADに対してX方向に離れるほど多い。
【0043】
これにより、電源パッドVDDPADに対して平面視でX方向に離れて配置される電源配線VDDへの電源電圧VDDの供給能力と、X方向の近くに配置される電源配線VDDへの電源電圧VDDの供給能力との差を抑制することができる。同様に、電源パッドVSSPADに対して平面視でX方向に離れて配置される電源配線VSSへの接地電圧VSSの供給能力と、X方向の近くに配置される電源配線VSSへの接地電圧VSSの供給能力との差を抑制することができる。
【0044】
各電源配線VDDに均一な電源電圧VDDを供給でき、各電源配線VSSに均一な接地電圧VSSを供給できるため、半導体チップCHIP1に形成される回路の電気的特性(性能)の、電源パッドVDDPAD、VSSPADの位置による差を抑制することができる。例えば、半導体装置SEMの性能は、性能が最も低い回路に合わせて決定される。この実施形態では、回路の性能の低下を抑制することができるため、半導体装置SEMの性能を向上することができ、半導体装置SEMの歩留まりを向上することができる。
【0045】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の半導体装置における電源配線のレイアウトの一例を示す。
図3と同一又は同様のレイアウトについては、詳細な説明は省略する。
図6に示すレイアウトは、電源配線VDDb、VDDcの代わりに電源配線VDDdが配置され、電源配線VSSb、VSScの代わりに電源配線VSSdが配置されることを除き、
図3のレイアウトと同様である。
【0046】
電源配線VDDdは、電源パッドVDDPADのY方向の両側に2本ずつY方向に延在して設けられ、先端が所定の間隔を置いて電源配線VSSaに隣接している。電源配線VSSdは、電源パッドVSSPADのY方向の両側に2本ずつY方向に延在して設けられ、先端が所定の間隔を置いて電源配線VDDaに隣接している。電源配線VDDd、VSSdのX方向の幅は、レイアウトルールにおける電源配線の幅の上限値以下に設定される。
【0047】
電源配線VDDd、VSSdをY方向に延在させることで、電源配線VDDd、VSSdに接続されるビアVIAのY方向の長さを、
図3の電源配線VDDb、VSSbに接続されるビアVIAのY方向の長さより長くすることができる。したがって、各バンプBMPから多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに電源電圧VDD及び接地電圧VSSをそれぞれ供給する経路の電源抵抗を、
図3のレイアウトに比べてさらに下げることができる。
【0048】
以上、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、バンプBMPから電源パッドVDDPADに供給される電源電圧VDDを、電源配線VDDに効率よく分配することができ、バンプBMPから電源パッドVSSPADに供給される接地電圧VSSを、電源配線VSSに効率よく分配することができる。すなわち、電源配線VDDb、VSSbを設けない場合に比べて、各バンプBMPから多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに電源電圧VDD及び接地電圧VSSを供給する経路の電源抵抗を下げることができる。
【0049】
さらに、第2実施形態では、電源配線VDDd、VSSdをY方向に延在させることで、電源配線VDDd、VSSdに接続されるビアVIAのY方向の長さを、
図3の電源配線VDDb、VSSbに接続されるビアVIAのY方向の長さより長くすることができる。したがって、各バンプBMPから多層配線層MWLの電源配線VDD、VSSに電源電圧VDD及び接地電圧VSSをそれぞれ供給する経路の電源抵抗を、
図3のレイアウトに比べてさらに下げることができる。
【0050】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0051】
BMP バンプ
CA 回路領域
CHIP1、CHIP2 半導体チップ
EXT 外部接続端子
INS1、INS2 絶縁膜
IOC 入出力セル
MWL 多層配線層
OPEN 開口部
PADL パッド層
PW 電源配線
SEM 半導体装置
SUB 半導体基板
VDD 電源電圧、電源配線
VDDa、VDDb、VDDc、VDDd 電源配線
VDDPAD 電源パッド
VSS 接地電圧、電源配線
VSSa、VSSb、VSSc、VSSd 電源配線
VSSPAD 電源パッド
VIA ビア
WSUB 配線基板