(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016061
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】無線通信端末及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20250124BHJP
H04M 1/725 20210101ALI20250124BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20250124BHJP
【FI】
H04M11/00 302
H04M1/725
H04B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119077
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 司樹
【テーマコード(参考)】
5K011
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
5K011BA04
5K011JA01
5K011KA11
5K011KA12
5K127BA03
5K127GA25
5K127GA30
5K127JA21
5K201BB04
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】 複数の無線モジュールが高温になった場合に、無線通信を段階的に停止させて、一部のモジュールが通信停止になっても、他のモジュールでは通信を継続できる無線通信端末及び無線通信システムを提供する。
【解決手段】 複数の無線モジュール13と、端末内の温度を測定する温度センサ11と、複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部12とを有する無線通信端末及び無線通信システムである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線モジュールを備えた無線通信端末であって、
当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、
前記複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、前記温度センサで測定された温度に従って前記複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部とを有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、無線通信を停止させる無線モジュールを通信状況の悪い順に選択することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記制御部は、無線通信を停止させる無線モジュールを予め定められた順に選択することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、停止させた無線モジュールの無線通信を復旧させる温度が段階的に設定されており、前記温度センサで測定された温度に従って、停止させた無線モジュールの無線通信を停止させた順番とは逆の順番で段階的に復旧させる制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の無線通信端末。
【請求項5】
無線通信端末と前記無線通信端末を管理する管理サーバとを備えた無線通信システムであって、
前記無線通信端末は、複数の無線モジュールと、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、前記管理サーバに前記温度センサで測定された温度の情報を送信し、前記管理サーバからの停止指示により前記無線モジュールの無線通信を停止させる制御部とを有し、
前記管理サーバは、前記無線通信端末からの温度の情報に基づいて前記無線通信端末における無線通信を段階的に停止させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの停止指示を前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
前記無線通信端末の制御部は、前記管理サーバからの復旧指示により前記無線モジュールの無線通信を復旧させるものであり、
前記管理サーバは、前記無線通信端末からの温度の情報に基づいて前記無線通信端末における無線通信を段階的に復旧させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの復旧指示を前記無線通信端末に送信することを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線モジュールを備えた無線通信端末及び無線通信システムに係り、特に、無線モジュールが高温になっても、通信状態を継続できる無線通信端末及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の無線通信システムでは、無線モジュールを搭載した無線通信端末が、温度異常に対して無線通信を停止させ、温度が正常になると無線通信を再開させるものがあった。
【0003】
具体的には、無線通信端末が、無線通信を停止させる温度の閾値(アラーム監視閾値)と無線通信を再開させる閾値(アラーム復旧閾値)を備え、温度センサで通信モジュールの温度を検出し、アラーム監視閾値となれば、無線通信を停止し、その後に通信モジュールの温度が下がってアラーム復旧閾値になれば、無線通信を再開するものである。
【0004】
例えば、アラーム監視閾値を75℃で、アラーム復旧閾値を60℃で設定した場合に、無線通信端末が温度センサで通信モジュールの温度を測定し、温度が75℃以上になると無線通信を停止し、温度が60℃以下になると無線通信を再開するようになっている。
【0005】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特許第6160246号公報「車両用無線通信装置」(特許文献1)がある。
特許文献1には、通信モジュールの温度が閾値以上になると異常と判断し、通信モジュールを停止させる車両用無線通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記無線通信システムでは、無線通信端末がアラーム監視閾値とアラーム復旧閾値がそれぞれ一つであるため、温度異常発生時に一つの閾値で直ちに無線通信を停止して通信ができなくなるという問題点があった。
【0008】
特許文献1には、複数の無線モジュールについて、温度異常時に段階的に個々の無線モジュールの無線通信を停止させる構成の記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、複数の無線モジュールが高温になった場合に、無線通信を段階的に停止させて、一部のモジュールが通信停止になっても、他のモジュールでは通信を継続できる無線通信端末及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数の無線モジュールを備えた無線通信端末であって、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記無線通信端末において、制御部が、無線通信を停止させる無線モジュールを通信状況の悪い順に選択することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記無線通信端末において、制御部が、無線通信を停止させる無線モジュールを予め定められた順に選択することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記無線通信端末において、制御部が、停止させた無線モジュールの無線通信を復旧させる温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って、停止させた無線モジュールの無線通信を停止させた順番とは逆の順番で段階的に復旧させる制御を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明は、無線通信端末と無線通信端末を管理する管理サーバとを備えた無線通信システムであって、無線通信端末が、複数の無線モジュールと、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、管理サーバに温度センサで測定された温度の情報を送信し、管理サーバからの停止指示により無線モジュールの無線通信を停止させる制御部とを有し、管理サーバが、無線通信端末からの温度の情報に基づいて無線通信端末における無線通信を段階的に停止させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの停止指示を無線通信端末に送信することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、無線通信端末の制御部が、管理サーバからの復旧指示により無線モジュールの無線通信を復旧させるものであり、管理サーバが、無線通信端末からの温度の情報に基づいて無線通信端末における無線通信を段階的に復旧させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの復旧指示を無線通信端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の無線モジュールを備えた無線通信端末であって、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部とを有する無線通信端末としているので、複数の無線モジュールが高温になった場合に、全ての無線モジュールを一斉に停止するのではなく、複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できる効果がある。
【0017】
本発明によれば、無線通信端末が、複数の無線モジュールと、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、管理サーバに温度センサで測定された温度の情報を送信し、管理サーバからの停止指示により無線モジュールの無線通信を停止させる制御部とを有し、管理サーバが、無線通信端末からの温度の情報に基づいて無線通信端末における無線通信を段階的に停止させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの停止指示を無線通信端末に送信する無線通信システムとしているので、複数の無線モジュールが高温になった場合に、全ての無線モジュールを一斉に停止するのではなく、複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】電波入力レベルによる通信停止判定処理のフロー図である。
【
図7】電波入力レベルによる通信開始判定処理のフロー図である。
【
図8】通信種別による通信停止判定処理のフロー図である。
【
図9】通信種別による通信開始判定処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信端末(本端末)は、複数の無線モジュールと、端末内の温度を測定する温度センサと、複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部とを有するものであり、複数の無線モジュールが高温になった場合に、全ての無線モジュールを一斉に停止するのではなく、複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できるものである。
【0020】
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、無線通信端末とそれを管理する管理サーバとを備え、無線通信端末が、複数の無線モジュールと、当該無線通信端末内の温度を測定する温度センサと、管理サーバに温度センサで測定された温度の情報を送信し、管理サーバからの停止指示により無線モジュールの無線通信を停止させる制御部とを有し、管理サーバが、無線通信端末からの温度の情報に基づいて無線通信端末における無線通信を段階的に停止させる無線モジュールを特定し、当該無線モジュールの停止指示を無線通信端末に送信するものであり、複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できるものである。
【0021】
[本システム:
図1]
本システムの構成について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの構成概略図である。
本システムは、
図1に示すように、管理サーバ1と、無線通信端末(本端末)10と、通信経路21~23と、業務アプリケーション(アプリ)3、業務アプリケーション(アプリ)4とから構成されている。
【0022】
管理サーバ1は、本システムを管理するもので、業務アプリ4に接続する。
本端末10は、業務アプリ3に接続すると共に、複数の通信経路21~23に接続する。
尚、本端末10は、複数の通信経路21~23との間で、同じデータを送受信している。
【0023】
複数の通信経路21~23は、異なる無線ネットワークで、例えば、5G(第5世代携帯電話)、LTE(Long Term Evolution)、Wi-Fiの通信ネットワークである。尚、同種の5Gを複数利用して通信経路を構築してもよい。
【0024】
業務アプリ3は、ユーザの業務に関連するデータを、複数の通信経路21~23を介して本端末10に接続する業務アプリ4と送受信するもので、ユーザの業務として扱うデータは、施設での監視データ、測定データ等である。
【0025】
[本端末:
図2]
次に、本端末10の構成について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本端末の構成概略図である。
本端末10は、
図2に示すように、温度センサ11と、制御部12と、無線通信モジュール13とを備えている。
【0026】
温度センサ11は、本端末10内の温度を測定し、測定した温度データを定期的に制御部12に出力している。
温度センサ11は、無線通信モジュール13の近くに設置して、無線通信モジュール13の温度変化を検知している。
【0027】
制御部12は、温度センサ11から入力される温度データに基づいて、無線通信モジュール13における段階的な無線通信の停止、または段階的な無線通信の復旧(再開)の処理を実行する。具体的な処理については後述する。
【0028】
無線通信モジュール13は、複数の通信経路21~23に対応してモジュール(1)13-1、モジュール(2)13-2、モジュール(3)13-3を備えており、各々の通信経路の無線通信方式に従って各モジュールで無線信号への変換(変調)又は無線信号からの逆変換(復調)が行われる。
また、無線通信モジュール13の各モジュールは、制御部12からの指示により、無線通信を停止し、または開始する。
【0029】
[本端末での概略処理:
図3]
次に、本端末での処理の概略について
図3を参照しながら説明する。
図3は、本端末での概略処理のフロー図である。
本端末10では、制御部12が処理プログラムを実行することで、以下に説明する機能を実現している。
本端末10では、温度センサ11が端末内の温度を測定し、測定された温度データが制御部12に入力される(S1)。
【0030】
次に、制御部12は、無線通信モジュール13のモジュールが温度異常で無線通信を停止しているか否かを判定し(S2)、モジュールが温度異常で無線通信を停止中であれば(Yesの場合)、無線通信の復旧処理に移行する(S3)。尚、復旧処理は、無線通信を開始することである。
また、制御部12は、無線通信モジュール13のモジュールが温度異常で無線通信を停止していなければ(Noの場合)、無線通信の停止処理に移行する(S4)。
【0031】
[無線通信の停止処理:
図4]
次に、上記無線通信の停止処理S4の詳細について
図4を参照しながら説明する。
図4は、無線通信の停止処理のフロー図である。
尚、前提として、制御部12では、無線通信を停止するためのアラーム監視閾値が3つ設定されており、第1アラーム監視閾値<第2アラーム監視閾値<第3アラーム監視閾値の関係となっている。
【0032】
制御部12は、入力された温度データ(現在の温度)が、第1アラーム監視閾値≦現在の温度<第2アラーム監視閾値の関係にあるか否かを判定し(S11)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの1つを通信停止する(S12)。
【0033】
判定処理S11の関係になければ(Noの場合)、第2アラーム監視閾値≦現在の温度<第3アラーム監視閾値の関係にあるか否かを判定し(S13)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの2つを通信停止する(S14)。
【0034】
そして、判定処理S13の関係になければ(Noの場合)、第3アラーム監視閾値≦現在の温度の関係にあるか否かを判定し(S15)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの3つを通信停止する(S16)。
判定処理S15の関係になければ(Noの場合)、制御部12は、停止処理を終了する。
つまり、現在温度が第1アラーム監視閾値より低い場合には、いずれのモジュールも停止せずに停止処理を終了する。
【0035】
[無線通信の復旧処理:
図5]
次に、上記無線通信の復旧処理S3の詳細について
図5を参照しながら説明する。
図5は、無線通信の復旧処理のフロー図である。
尚、前提として、制御部12では、無線通信を停止するためのアラーム監視閾値が3つ設定されており、第1アラーム復旧閾値>第2アラーム復旧閾値>第3アラーム復旧閾値の関係となっている。
【0036】
制御部12は、入力された温度データ(現在の温度)が、第1アラーム復旧閾値≧現在の温度>第2アラーム復旧閾値の関係にあるか否かを判定し(S21)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの1つを通信開始する(S22)。
【0037】
判定処理S21の関係になければ(Noの場合)、第2アラーム復旧閾値≧現在の温度>第3アラーム復旧閾値の関係にあるか否かを判定し(S23)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの2つを通信開始する(S24)。
【0038】
そして、判定処理S23の関係になければ(Noの場合)、第3アラーム復旧閾値≧現在の温度の関係にあるか否かを判定し(S25)、その関係にあれば(Yesの場合)、制御部12は、モジュールの3つを通信開始する(S26)。
判定処理S25の関係になければ(Noの場合)、制御部12は、復旧処理を終了する。
つまり、現在温度が第1復旧閾値よりも高い場合には、いずれのモジュールも通信再開することなく、停止状態を維持したまま復旧処理を終了する。
【0039】
[停止判定処理・開始判定処理:
図6~9]
図4では、通信停止処理の概略を、
図5では、通信復旧処理の概略を説明したが、以下では、どのモジュールを通信停止とし、どのモジュールを通信復旧にするのかの判定の処理について具体的に説明する。
判定処理には、電波入力レベルによるものと通信種別によるものがあり、電波入力レベルが低い方から停止させ、特定の通信種別の順で停止させ、復旧は停止とは逆の順番で復旧させるものである。なお、電波入力レベル以外の通信状況を示す指標で、停止させるモジュールを判定してもよい。例えば、雑音指数、伝送速度、遅延時間、損失率などの指標で、各モジュールの通信状況を判定し、通信状況が悪いモジュールから停止させてもよい。
【0040】
[電波入力レベルによる通信停止判定処理:
図6]
電波入力レベルによる通信停止判定処理について
図6を参照しながら説明する。
図6は、電波入力レベルによる通信停止判定処理のフロー図である。尚、
図6では、モジュールが3つある場合を示している。
図6に停止判定処理では、停止させる順番を、電波入力レベルが小さい順に停止させ、電波入力レベルが大きいモジュールを残すようにしている。
【0041】
制御部12は、無線通信の停止処理を行う場合に、通信中のモジュールの数を判定する(S31)。通信中のモジュールの数が「1」の場合、通信中のモジュールを通信停止モジュールにする(S32)。
【0042】
通信中のモジュールの数が「2」の場合、通信中のモジュール1の電波入力レベルと通信中のモジュール2の電波入力レベルとを比較し、通信中モジュール1の電波入力レベル<通信中モジュール2の電波入力レベルを判定する(S33)。判定処理S33で、上記の関係であれば(Yesの場合)、通信中モジュール1を通信停止モジュールにする(S34)。
【0043】
判定処理S33で、上記の関係でなければ(Noの場合)、通信中モジュール2を通信停止モジュールにする(S35)。
また、制御部11は、通信中のモジュールの数が「3」の場合、通信中モジュール1の電波入力レベル<通信中モジュール2の電波入力レベルであってかつ通信中モジュール1の電波入力レベル<通信中モジュール3の電波入力レベルであるか否かを判定する(S36)。
【0044】
判定処理S36で、上記関係であれば(Yesの場合)、通信中モジュール1を通信停止モジュールにする(S37)。
判定処理S36で、上記関係でなければ(Noの場合)、通信中モジュール2の電波入力レベル<通信中モジュール3の電波入力レベルであるか否かを判定する(S38)。
【0045】
判定処理S38で、上記関係であれば(Yesの場合)、通信中モジュール2を通信停止モジュールにする(S39)。
判定処理S38で、上記関係でなければ(Noの場合)、通信中モジュール3を通信停止モジュールにし(S40)、処理を終了する。
尚、停止判定処理は、
図4に示した処理S12,S14,S16において、どのモジュールを停止するかを判定する処理である。
【0046】
[電波入力レベルによる通信開始判定処理:
図7]
電波入力レベルによる通信開始判定処理について
図7を参照しながら説明する。
図7は、電波入力レベルによる通信開始判定処理のフロー図である。尚、
図7でも、モジュールが3つある場合を示している。
図7の開始判定処理では、停止をさせた順番とは逆の順番になるよう通信開始を行うようにしている。
【0047】
制御部12は、無線通信の開始処理を行う場合に、停止中のモジュールの数を判定する(S41)。停止中のモジュールの数が「1」の場合、停止中のモジュールを通信開始モジュールにする(S42)。
停止中のモジュールの数が「2」の場合、停止中のモジュール1が最後に停止したモジュールか否かを判定する(S43)。
【0048】
判定処理S43で、停止中のモジュール1が最後に停止したモジュールであれば(Yesの場合)、停止中モジュール1を通信開始モジュールにする(S44)。
判定処理S43で、停止中のモジュール1が最後に停止したモジュールでなければ(Noの場合)、停止中モジュール2を通信開始モジュールにする(S45)。
【0049】
また、制御部11は、停止中のモジュールの数が「3」の場合、停止中モジュール1が最後に停止したモジュールか否かを判定する(S46)。
判定処理S46で、停止中モジュール1が最後に停止したモジュールであれば(Yesの場合)、停止中モジュール1を通信開始モジュールにする(S47)。
判定処理S46で、停止中モジュール1が最後に停止したモジュールでなければ(Noの場合)、停止中モジュール2が最後に停止したモジュールであるか否かを判定する(S48)。
【0050】
判定処理S48で、停止中モジュール2が最後に停止したモジュールであれば(Yesの場合)、停止中モジュール2を通信開始モジュールにする(S49)。
判定処理S48で、停止中モジュール2が最後に停止したモジュールでなければ(Noの場合)、停止中モジュール3を通信開始モジュールにし(S50)、処理を終了する。
開始判定処理は、
図5に示した処理S22,S24,S26において、どのモジュールの通信を開始させるかを判定する処理である。
【0051】
[通信種別による通信停止判定処理:
図8]
次に、通信種別による通信停止判定処理について
図8を参照しながら説明する。
図8は、通信種別による通信停止判定処理のフロー図である。
図8の通信停止判定処理では、停止させる順番を、Wi-Fi、LTE、5Gの順として、通信速度が速く、通信容量の大きい通信種別を残すようにしている。
【0052】
制御部11は、無線通信の停止処理を行う場合に、通信中のモジュールの数を判定する(S51)。通信中のモジュールの数が「1」であれば、通信中のモジュールを通信停止モジュールにする(S52)。
【0053】
通信中のモジュールの数が「2以上」であれば、通信中のモジュールにWi-Fiモジュールがあるかどうかを判定する(S53)。
通信中のモジュールにWi-Fiモジュールがあれば(Yesの場合)、通信中Wi-Fiモジュールを通信停止モジュールにする(S54)。
【0054】
判定処理S53で、通信中のモジュールにWi-Fiモジュールがなければ(Noの場合)、通信中のモジュールにLTEモジュールがあるかどうかを判定する(S55)。
通信中のモジュールにLTEモジュールがあれば(Yesの場合)、通信中のLTEモジュールを通信停止モジュールにする(S56)。
【0055】
判定処理S55で、通信中のモジュールにLTEモジュールがなければ(Noの場合)、通信中の5Gモジュールを通信停止モジュールにし(S57)、処理を終了する。
【0056】
[通信種別による通信開始判定処理:
図9]
次に、通信種別による通信開始判定処理について
図9を参照しながら説明する。
図9は、通信種別による通信開始判定処理のフロー図である。
図9の通信開始判定処理では、開始させる順番を、停止させた順番とは逆になるようにし、5G、LTE、Wi-Fiの順で通信開始をしている。
【0057】
制御部11は、無線通信の開始処理を行う場合に、停止中のモジュールの数を判定する(S61)。停止中のモジュールの数が「1」であれば、停止中のモジュールを通信開始モジュールにする(S62)。
【0058】
停止中のモジュールの数が「2以上」であれば、停止中のモジュールに5Gモジュールがあるかどうかを判定する(S63)。
停止中のモジュールに5Gモジュールがあれば(Yesの場合)、停止中の5Gモジュールを通信開始モジュールにする(S64)。
【0059】
判定処理S63で、停止中のモジュールに5Gモジュールがなければ(Noの場合)、停止中のモジュールにLTEモジュールがあるかどうかを判定する(S65)。
停止中のモジュールにLTEモジュールがあれば(Yesの場合)、停止中のLTEモジュールを通信開始モジュールにする(S66)。
【0060】
判定処理S65で、停止中のモジュールにLTEモジュールがなければ(Noの場合)、停止中のWi-Fiモジュールを通信開始モジュールにし(S67)、処理を終了する。
【0061】
[別の実施形態]
本システムでは、温度変化による停止又は開始する無線モジュールを本端末10内の制御部12で判断していたが、管理サーバ1が、本端末10からの温度データを受信し、停止又は開始する無線モジュールを選択する処理を行い、本端末10に指示を送信して本端末10で実行させるようにしてもよい。
【0062】
[実施の形態の効果]
本端末によれば、複数の無線モジュール13と、端末内の温度を測定する温度センサ11と、複数の無線モジュールの無線通信を停止する温度が段階的に設定されており、温度センサで測定された温度に従って複数の無線モジュールの無線通信を段階的に停止させる制御を行う制御部12とを有するものであり、複数の無線モジュール13が複数の無線モジュールが高温になった場合に、全ての無線モジュールを一斉に停止するのではなく、複数の無線モジュール13の無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できる効果がある。
また、温度異常で無線モジュール13の通信を停止することで、本端末10内の温度の上昇を抑えることができ、通信環境を安定化させることができるものである。
【0063】
本システムによれば、本端末10とそれを管理する管理サーバ1とを備え、本端末10が、複数の無線モジュール13と、当該端末10内の温度を測定する温度センサ11と、管理サーバ1に温度センサ11で測定された温度の情報を送信し、管理サーバ1からの停止指示により無線モジュール13の無線通信を停止させる制御部12とを有し、管理サーバ1が、本端末10からの温度の情報に基づいて本端末10における無線通信を段階的に停止させる無線モジュール13を特定し、当該無線モジュール13の停止指示を本端末10に送信するものであり、複数の無線モジュール13の無線通信を段階的に停止させて通信状態を継続できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、複数の無線モジュールが高温になった場合に、無線通信を段階的に停止させて、一部のモジュールが通信停止になっても、他のモジュールでは通信を継続できる無線通信端末及び無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0065】
1…管理サーバ、 3…業務アプリケーション(アプリ)端末、 10…無線通信端末(本端末)、 11…温度センサ、 12…制御部、 13…無線通信モジュール、 21~23…通信経路