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特開2025-16062取付構造、およびコントロールケーブルアセンブリ
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  • 特開-取付構造、およびコントロールケーブルアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016062
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】取付構造、およびコントロールケーブルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/10 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
F16C1/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119078
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】西岡 信一
(72)【発明者】
【氏名】横山 弘明
【テーマコード(参考)】
3J032
【Fターム(参考)】
3J032AB06
3J032AB23
3J032AB40
3J032BC04
(57)【要約】
【課題】振動などによって長尺部材が移動する場合であっても長尺部材の破損を防止することが可能な長尺部材の取付構造を提供すること。
【解決手段】取付構造14におけるプロテクタ31の筒状部41は、コントロールケーブル11が挿通される貫通孔31aを有する。第1突条部42および第2突条部43は、筒状部41の表面から突出し、周方向に沿って形成され、互いに対向して配置される。取付構造14における取付用クランプ33のプロテクタ側取付部51は、筒状部41が挿通され、第1突条部42と第2突条部43の間に配置され、筒状部41と摺動可能である。取付構造14の固定用クランプ32は、第1突条部42の第2突条部43とは反対側においてプロテクタ31の周囲に配置される。筒状部41の軸方向に沿った方向において、第1突条部42と第2突条部43の間の長さL0は、プロテクタ側取付部51の長さL1よりも長い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材を対象物に取り付ける取付構造であって、
前記長尺部材の周囲に配置されるプロテクタと、
前記プロテクタを前記長尺部材に固定する固定部材と、
前記プロテクタを前記対象物に取り付ける取付部材と、を備え、
前記プロテクタは、
前記長尺部材が挿通される貫通孔を有する筒状部と、
前記筒状部の表面から突出し、周方向に沿って形成され、互いに対向して配置された第1突条部および第2突条部と、を有し、
前記取付部材は、
前記筒状部が挿通され、前記第1突条部と前記第2突条部の間に配置され、前記筒状部と摺動可能な第1取付部と、
前記対象物に固定される第2取付部と、を有し、
前記固定部材は、前記第1突条部の前記第2突条部とは反対側において前記プロテクタの周囲に配置され、
前記筒状部の軸方向に沿った方向において、前記第1突条部と前記第2突条部の間の長さは、前記第1取付部の長さよりも長い、
取付構造。
【請求項2】
前記第1取付部の内径は、前記筒状部の外径よりも大きい、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記筒状部の軸方向に沿った方向において、
前記第1取付部の長さをL1とし、
前記第1取付部を前記第1突条部と前記第2突条部の中央に配置した際の前記第1取付部から前記第1突条部までの長さおよび前記第1取付部から前記第2突条部までの長さの各々をL2とすると、
2×L2>L1である、
請求項1に記載の取付構造。
【請求項4】
L1>L2である、
請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
コントロールケーブルと、
前記コントロールケーブルの周囲に配置されるプロテクタと、
前記プロテクタを前記コントロールケーブルに固定する固定部材と、
前記プロテクタを対象物に取り付ける取付部材と、を備え、
前記プロテクタは、
前記コントロールケーブルが挿通される貫通孔を有する筒状部と、
前記筒状部の表面から突出し、周方向に沿って形成され、互いに対向して配置された第1突条部および第2突条部と、を有し、
前記取付部材は、
前記筒状部が挿通され、前記第1突条部と前記第2突条部の間に配置され、前記筒状部と摺動可能な第1取付部と、
前記対象物に固定される第2取付部と、を有し、
前記固定部材は、前記第1突条部の前記第2突条部とは反対側において前記プロテクタの周囲に配置され、
前記筒状部の軸方向に沿った方向において、前記第1突条部と前記第2突条部の間の長さは、前記第1取付部の長さよりも長い、
コントロールケーブルアセンブリ。
【請求項6】
前記取付部材を前記対象物に固定した状態において、前記第1取付部は、前記第2突条部よりも前記第1突条部寄りに配置されている、
請求項5に記載のコントロールケーブルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付構造およびコントロールケーブルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
車体には、操作部材の操作を従動部材へ伝達するコントロールケーブルが設けられている。このようなコントロールケーブルは、車両走行時の振動などが伝達することによるケーブルの破損を防止するために余裕を持った長さに設定されているが、ケーブル長が長いため、車両の振動などにより移動し易くなっている。
【0003】
このため、例えば、特許文献1では、支持部材を用いてコントロールケーブルの中間部分を車体に支持する構成が提案されている。特許文献1の支持部材は、コントロールケーブルを車体に固定するためのブラケットと、アウターケーシングを挿通するプロテクタとを備えている。ブラケットは、車体への固定部と、プロテクタを挿通する挿通部を有している。プロテクタは、アウターケーシングを被覆し、ブラケットの挿通部に挿通して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-249903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ブラケットの挿通部がプロテクタに形成された一対の環状壁部の間に挟み込まれている。そのため、コントロールケーブルに振動が伝達された際に、コントロールケーブルが移動できないことによる、破損を回避するため、コントロールケーブルに十分な余裕を持たせる必要があり、振動が発生しやすくなる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、振動などによって長尺部材が移動する場合であっても長尺部材の破損を防止することが可能な長尺部材の取付構造およびコントロールケーブルアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかる取付構造は、長尺部材を対象物に取り付ける取付構造であって、プロテクタと、固定部材と、取付部材と、を備える。プロテクタは、長尺部材の周囲に配置される。固定部材は、プロテクタを長尺部材に固定する。取付部材は、プロテクタを対象物に取り付ける。プロテクタは、筒状部と、第1突条部および第2突条部と、を有する。筒状部は、長尺部材が挿通される貫通孔を有する。第1突条部および第2突条部は、筒状部の表面から突出し、周方向に沿って形成され、互いに対向して配置される。取付部材は、第1取付部と、第2取付部と、を有する。第1取付部は、筒状部が挿通され、第1突条部と第2突条部の間に配置され、筒状部と摺動可能である。第2取付部は、対象物に固定される。固定部材は、第1突条部の第2突条部とは反対側においてプロテクタの周囲に配置される。筒状部の軸方向に沿った方向において、第1突条部と第2突条部の間の長さは、第1取付部の長さよりも長い。
【0008】
本発明の第1の態様にかかるコントロールケーブルアセンブリは、コントロールケーブルと、プロテクタと、固定部材と、取付部材と、を備える。プロテクタは、コントロールケーブルの周囲に配置される。固定部材は、プロテクタをコントロールケーブルに固定する。取付部材は、プロテクタを対象物に取り付ける。プロテクタは、筒状部と、第1突条部および第2突条部と、を有する。筒状部は、コントロールケーブルが挿通される貫通孔を有する。第1突条部および第2突条部は、筒状部の表面から突出し、周方向に沿って形成され、互いに対向して配置される。取付部材は、第1取付部と、第2取付部と、を有する。第1取付部は、筒状部が挿通され、第1突条部と第2突条部の間に配置され、筒状部と摺動可能である。第2取付部は、対象物に固定される。固定部材は、第1突条部の第2突条部とは反対側においてプロテクタの周囲に配置される。筒状部の軸方向に沿った方向において、第1突条部と第2突条部の間の長さは、第1取付部の長さよりも長い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動などによって長尺部材が移動する場合であっても長尺部材の破損を防止することが可能な長尺部材の取付構造およびコントロールケーブルアセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態1のコントロールケーブルアセンブリを示す斜視図である。
図2】コントロールケーブルアセンブリの取付構造を示す側面図である。
図3図2のAA間の断面図である。
図4】本実施形態2のコントロールケーブルアセンブリの一部を示す側面図である。
図5】本実施形態2のコントロールケーブルアセンブリを車体に取り付ける際の取付用クランプの位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかる実施形態のコントロールケーブルアセンブリおよび取付構造について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1のコントロールケーブルアセンブリ1を示す斜視図である。本実施形態のコントロールケーブルアセンブリ1は、例えば、自動車などの車両のトランスミッションにシフトレバーの操作を伝達し、車両の変速操作を行うために用いられるものである。
【0013】
コントロールケーブルアセンブリ1は、コントロールケーブル11(長尺部材の一例)と、操作側接続部12と、ミッション側接続部13と、取付構造14と、を有する。
【0014】
コントロールケーブル11は、シフトレバーとトランスミッションとを連結することによってトランスミッションにシフトレバーの操作を伝達する。コントロールケーブル11は、アウターケーシング21と、インナーケーブル22と、を有する。アウターケーシング21は、細長い筒状である。インナーケーブル22は、アウターケーシング21に摺動自在に内挿されている。アウターケーシング21およびインナーケーブル22は、可撓性を有する。アウターケーシング21は、例えば樹脂によって形成されたものを、あるいは、樹脂と金属線によって形成されたもの用いることができるが、特に限定されるものではない。インナーケーブル22は、例えば複数の金属線を束ねたもの、あるいは、複数の金属の素線を束ね、表面を樹脂でコートしたものを用いることができるが、特に限定されるものではない。また、トランスミッションに用いられるコントロールケーブル11の場合、外径が、例えば8mm以上9mm以下のアウターケーシング21が用いられる。
【0015】
操作側接続部12は、インナーケーブル22の一端に接続されている。操作側接続部12は、シフトレバーに接続される。ミッション側接続部13は、インナーケーブル22の他端に接続されている。ミッション側接続部13は、トランスミッションに接続される。取付構造14は、コントロールケーブル11を車体に取り付ける。なお、図1および以下の図において、コントロールケーブル11の長手方向のうち、操作側接続部12側が矢印C1で示され、ミッション側接続部13側が矢印C2で示されている。
【0016】
(取付構造14)
図2は、コントロールケーブルアセンブリ1の取付構造14近傍を示す側面図である。取付構造14は、プロテクタ31と、固定用クランプ32(固定部材の一例)と、取付用クランプ33(取付部材の一例)と、を有する。
【0017】
プロテクタ31は、コントロールケーブル11のアウターケーシング21の周囲に配置される。固定用クランプ32は、プロテクタ31をアウターケーシング21に固定する。取付用クランプ33は、プロテクタ31を車体のフレーム部分100(対象物の一例)に取り付ける。図2では、車体のフレーム部分100は点線で示される。
【0018】
(プロテクタ31)
図3は、図2のAA間の断面図である。プロテクタ31は、ゴム材料によって形成されており、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)で形成されている。プロテクタ31の全体形状は略円筒状である。図2および図3には、プロテクタ31の中心軸Oが示されている。中心軸Oは、コントロールケーブル11の長手方向に沿っている。図3に示すように、プロテクタ31は貫通孔31aを有し、貫通孔31aには、コントロールケーブル11が挿通される。
【0019】
プロテクタ31は、図2に示すように、筒状部41と、第1突条部42と、第2突条部43と、クランプ配置部44と、第3突条部45と、を有する。
【0020】
筒状部41は、筒状であり、アウターケーシング21の外側に配置される。第1突条部42は、筒状部41の一端に配置されている。第1突条部42は、筒状部41の操作側接続部12側の端に配置されている。第1突条部42は、筒状部41よりも径方向外側に突出している。本実施形態では、第1突条部42は、フランジ状に形成されている。径方向は、筒状部41の中心軸Oに対して垂直であって、中心軸に近づくまたは中心軸から遠ざかる方向である。第1突条部42は、筒状部41の中心軸Oの周方向において全周に亘って形成されている。
【0021】
第2突条部43は、筒状部41の他端に配置されている。第2突条部43は、筒状部41のミッション側接続部13側の端に配置されている。第2突条部43は、第1突条部42に対向して配置されている。第2突条部43は、筒状部41よりも径方向外側に突出している。本実施形態では、第2突条部43は、フランジ状に形成されている。
【0022】
クランプ配置部44は、第1突条部42の第2突条部43とは反対側に配置されている。クランプ配置部44は、筒状であり、筒状部41と同軸に配置されている。クランプ配置部44は、第1突条部42から操作側接続部12に向かって形成されている。クランプ配置部44は、筒状部41よりも外径が小さく形成されているが、これに限定されない。第3突条部45は、クランプ配置部44の操作側接続部12側の端に配置されている。第3突条部45は、クランプ配置部44よりも径方向外側に突出している。本実施形態では、第3突条部45は、フランジ状に形成されている。
【0023】
(固定用クランプ32)
固定用クランプ32は、プロテクタ31をアウターケーシング21に固定する。固定用クランプ32は、プロテクタ31のクランプ配置部44の外周に取り付けられている。固定用クランプ32は、プロテクタ31において第1突条部42の第2突条部43とは反対側に配置されている。固定用クランプ32は、プロテクタ31の第1突条部42と第3突条部45の間に配置されている。
【0024】
固定用クランプ32の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属製である。固定用クランプ32は、例えばカシメリングである。プロテクタ31は、固定用クランプ32によりアウターケーシング21にカシメ付けて固定される。
【0025】
(取付用クランプ33)
取付用クランプ33は、プロテクタ31を介してコントロールケーブル11を車両に取り付ける。取付用クランプ33の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属製である。取付用クランプ33は、板状の部材を曲げ加工やプレス加工することによって形成される。
【0026】
取付用クランプ33は、図2に示すように、プロテクタ側取付部51(第1取付部の一例)と、車体側取付部52(第2取付部の一例)と、接続部53と、を有する。
【0027】
図3に示すように、プロテクタ側取付部51は、円筒状である。プロテクタ側取付部51は、プロテクタ31の筒状部41が挿通されている。図2に示すように、プロテクタ側取付部51は、第1突条部42と第2突条部43の間に配置されている。プロテクタ側取付部51は、筒状部41と摺動可能に配置されている。プロテクタ側取付部51は、第1突条部42と第2突条部43の間においてプロテクタ31に対して相対移動可能である。プロテクタ側取付部51は、筒状部41の外周に配置されている。
【0028】
図2に示すように、プロテクタ31の中心軸Oに沿った第1突条部42と第2突条部43の間の長さをL0とし、中心軸Oに沿ったプロテクタ側取付部51の長さをL1とすると、L0>L1に設定されている。
【0029】
図3に示すように、プロテクタ側取付部51の内径d1は、筒状部41の外径d2よりも大きく形成されている。これにより、プロテクタ側取付部51の内周面51aと筒状部41の外周面41aには隙間が生じ、プロテクタ31に対してプロテクタ側取付部51が摺動し易くなる。
【0030】
図2に示すように、プロテクタ側取付部51を第1突条部42と第2突条部43の間の中央に配置した状態において、プロテクタ側取付部51の操作側接続部12側の端から第1突条部42までの長さと、プロテクタ側取付部51のミッション側接続部13側の端から第2突条部43までの長さを、各々L2とした場合、L1とL2の値は、2×L2>L1に設定される方が好ましい。また、L1とL2の値は、L1>L2に設定する方が好ましい。L2は、例えば、15mm程度に設定してもよい。2×L2は、コントロールケーブル11が振動したときの移動可能な長さであり、車体のフレーム部分100への取付位置の調整代も含む。
【0031】
車体側取付部52は、板状に形成されている。車体側取付部52には、貫通孔52aが形成されている。貫通孔52aにボルト等が挿入されて、車体側取付部52は、車体のフレーム部分100に締結される。
【0032】
接続部53は、プロテクタ側取付部51と車体側取付部52とを繋ぐ。本実施形態では、接続部53は、板状であり、プロテクタ側取付部51からミッション側接続部13側に向かって延び、車体側取付部52に接続されているが、これに限られるものではない。
【0033】
(取付動作)
本実施形態1では、コントロールケーブルアセンブリ1を車体に取り付ける際には、図2に示すように、プロテクタ側取付部51が第1突条部42と第2突条部43の略中央に配置される。
【0034】
作業者は、本実施形態1のコントロールケーブルアセンブリ1を車体に取り付ける際には、図2に示すように、目視においてプロテクタ側取付部51を第1突条部42と第2突条部43の間の略中央に配置する。この状態で、車体側取付部52が車体のフレーム部分100に概ね合うようにコントロールケーブルアセンブリ1は設計されている。車体側取付部52を車体のフレーム部分100に配置し、ボルトを貫通孔52aに挿入することによって、車体側取付部52を車体のフレーム部分100に固定することができる。
【0035】
(実施形態2)
実施形態2では、コントロールケーブルアセンブリ1を車体に取り付ける際のプロテクタ31におけるプロテクタ側取付部51の配置が異なる。
【0036】
図4は、本実施形態2のコントロールケーブルアセンブリ1´の一部を示す側面図である。図4に示すコントロールケーブルアセンブリ1´は、実施形態1のコントロールケーブルアセンブリ1と異なり、2つの取付構造14、14´が設けられている。
【0037】
本実施形態2の取付構造14´は、取付構造14と同様の構成であり、プロテクタ31と、固定用クランプ32(固定部材の一例)と、取付用クランプ33(取付部材の一例)と、を有する。本実施形態2では、取付構造14の固定用クランプ32と取付構造14´の固定用クランプ32は向き合うように配置されている。取付構造14´は、取付構造14のC1方向側に配置されている。取付構造14においてクランプ配置部44および固定用クランプ32はプロテクタ31のC1方向側の端に配置され、取付構造14´においてクランプ配置部44および固定用クランプ32はプロテクタ31のC2方向側の端に配置されている。
【0038】
本実施形態2では、コントロールケーブルアセンブリ1´を車体に取り付ける際には、図5に示すように、取付構造14においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接され、取付構造14´においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接される。この状態で、取付構造14の車体側取付部52が車体のフレーム部分100に概ね合い、取付構造14´の車体側取付部52が車体のフレーム部分100´に概ね合うようにコントロールケーブルアセンブリ1´は設計されている。
【0039】
作業者は、コントロールケーブルアセンブリ1´を車体に取り付ける際、取付構造14のプロテクタ側取付部51を第1突条部42に当接させ、取付構造14´のプロテクタ側取付部51を第1突条部42に当接させ、車体のフレーム部分100、100´に取付構造14,14´のプロテクタ側取付部51をボルト等によって固定することができる。このため、ボルト等でプロテクタ側取付部51を車体のフレーム部分100,100´に取り付けた状態において、取付構造14においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接され、取付構造14´においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接された状態となる。
【0040】
このようにコントロールケーブルアセンブリ1´の車体への取付けの際に、取付構造14、14´において固定用クランプ32側の第1突条部42にプロテクタ側取付部51を当接させているため、固定用クランプ32を位置決めの基準として用いることができる。
【0041】
(特徴等)
本実施形態1、2では、第1突条部42と第2突条部43の間の長さL0を、プロテクタ側取付部51の長さL1よりも長くすることによって、車体に取り付ける際に位置調整が容易にできる。また、車体が振動し、コントロールケーブル11が移動する場合であっても、プロテクタ側取付部51に対してプロテクタ31とコントロールケーブル11が相対移動可能であるため、コントロールケーブル11の破損を防止することができる。
【0042】
固定用クランプ32が第1突条部42側と第2突条部43側の双方ではなく、第1突条部42側にのみ配置されているため、車体の振動によってプロテクタ31に曲げ力が作用しても追従することができる。また、プロテクタ31とコントロールケーブル11とを接着剤などで固定せずに、プロテクタ31の端部の1箇所で固定用クランプ32を用いて固定しているためプロテクタ31は曲げ応力に追従することができる。
【0043】
本実施形態1、2では、プロテクタ側取付部51の内径d1は、筒状部41の外径d2よりも大きい。これによって、プロテクタ側取付部51と筒状部41の間に隙間が生じるため、筒状部41に対してプロテクタ側取付部51が移動し易くなり、位置調整、およびコントロールケーブル11が移動した際のプロテクタ31の移動性が向上する。
【0044】
本実施形態1、2では、プロテクタ側取付部51が移動できる距離を、2×L2>L1と設定することによって、位置の調整代、およびコントロールケーブル11が移動した際の移動代を確保することができる。
【0045】
本実施形態1では、プロテクタ側取付部51を第1突条部42と第2突条部43の略中央に配置することで位置決めして取付構造14を車体に固定する場合、L2が長すぎると位置決めが行い難いが、L1>L2とすることによって、作業者が位置決めを行いやすくなる。
【0046】
上記実施形態2では、取付用クランプ33を車体に固定した状態において固定用クランプ32が配置されている側の第1突条部42に当接してプロテクタ側取付部51が配置されることにより、取付用クランプ33を車体に固定する作業の際に、第1突条部42側の固定用クランプ32を位置決めの基準とすることができる。そのため、コントロールケーブルアセンブリ1´を対象物に取り付け易い。また、振動などによってプロテクタ側取付部51が第1突条部42側に移動した場合であっても固定用クランプ32によって第1突条部42が撓むことが抑制され、プロテクタ側取付部51がプロテクタ31から抜けることを防止できる。
【0047】
本実施形態1、2では、コントロールケーブルをトランスミッションのシフトケーブルとして用いている。径が大きく、操作荷重が大きいトランスミッションのシフトケーブルでは、生じる振動も大きくなるが、本実施形態1,2の取付構造14、14´を用いることにより、効果的に破損を防止することができる。
【0048】
(他の実施の形態)
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
(A)
上記実施形態1、2では、コントロールケーブル11をトランスミッションのシフトケーブルに用いているが、これに限らなくてもよく、例えばパーキング用のケーブルに用いてもよい。
【0050】
(B)
上記実施形態1、2の取付構造14,14´を用いて取り付ける長尺部材の一例として車両に用いるコントロールケーブルを挙げているが、これに限らなくてもよく、単なる長尺の部材を対象物に取り付ける構造として適用してもよい。また、長尺部材を取り付ける対象物は、車両に限らなくてもよい。
【0051】
(C)
上記実施形態2では、プロテクタ側取付部51を車体のフレーム部分100,100´に取り付けた状態において、取付構造14においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接され、取付構造14´においてプロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接されるが、プロテクタ側取付部51が第1突条部42に当接していなくてもよく、プロテクタ側取付部51が第2突条部43よりも第1突条部42寄りに配置されていてもよい。要するに、コントロールケーブルアセンブリ1´を車体に取り付ける際に固定用クランプ32を位置決めとして用いることが出来ればよい。プロテクタ側取付部51が第2突条部43よりも第1突条部42寄りに配置されているとは、少なくとも、プロテクタ側取付部51から第1突条部42までの距離が、プロテクタ側取付部51から第2突条部43までの距離よりも短いことである。
【0052】
(D)
上記実施形態1のコントロールケーブルアセンブリ1では1つの取付構造14が設けられており、上記実施形態2のコントロールケーブルアセンブリ1´では、2つの取付構造14、14´が設けられているが、これに限られるものではなく、コントロールケーブルの長さおよび配索経路に応じて取付構造の数が適宜変更してもよい。
【0053】
(E)
上記実施形態1において、クランプ配置部44および固定用クランプ32は、プロテクタ31のC1方向側の端に配置されているが、C2方向側の端に配置されていてもよい。
【0054】
(F)
上記実施形態2では、取付構造14、14´において、クランプ配置部44および固定用クランプ32が向き合うように配置されているが、これに限らなくてもよく、取付構造14においてクランプ配置部44および固定用クランプ32がプロテクタ31のC1方向側の端に配置され、取付構造14´においてクランプ配置部44および固定用クランプ32がプロテクタ31のC2方向側の端に配置されていてもよい。また、取付構造14、14´の双方において、クランプ配置部44および固定用クランプ32がプロテクタ31のC1方向側の端またはC2方向側の端に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の取付構造は、振動などによって長尺部材が移動する場合であっても長尺部材の破損を防止することが可能な効果を有し、コントロールケーブルアセンブリ等として有用である。
【符号の説明】
【0056】
11 :コントロールケーブル
14 :取付構造
31 :プロテクタ
31a :貫通孔
32 :固定用クランプ
33 :取付用クランプ
41 :筒状部
42 :第1突条部
43 :第2突条部
51 :プロテクタ側取付部
図1
図2
図3
図4
図5