(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016073
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
A41D 13/05 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
A41D13/05 125
A41D13/05 136
A41D13/05 143
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119099
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】308038831
【氏名又は名称】有限会社OPTI
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 和芳
(72)【発明者】
【氏名】西田 光治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隆太
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓之
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮介
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA05
3B211AB11
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】歩行の蹴り出し側の股関節伸展に伴って内旋を促し、しゃがみ込む際の股関節屈曲に伴って内旋を防ぐ衣類を提供することを課題とする。
【解決手段】後身頃の締付緊締部に上端を連結され、外横の大転子の下方直近に対応する部位を通過し、大腿の前面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で前記大腿緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第一強緊締部と、前身頃の締付緊締部に上端を連結され、股関節の前面を通過し、外横の大転子の下方に対応する部位を通過し、大腿の後面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で締付緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第二強緊締部と、を有し、
第一強緊締部と第二強緊締部とが、大転子の前下方に対応する部位で交差して連結され、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で下端同士が連結又は近接されている衣類により課題解決できた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強い緊締力を有する少なくとも2本の帯形状の強緊締生地と、前記強緊締生地の上端部及び下端部をそれぞれ着用者の表面からずれないようにする緊締力を有する締付緊締部とからなる、着用者の表面にほぼ密着した状態で着用される衣類であって、
前記強緊締生地は、後身頃の前記締付緊締部に上端を連結され、外横の大転子の下方直近に対応する部位を通過し、大腿の前面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第一強緊締部と、
前身頃の前記締付緊締部に上端を連結され、股関節の前面を通過し、外横の大転子の下方に対応する部位を通過し、大腿の後面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第二強緊締部と、を有し、
前記第一強緊締部と前記第二強緊締部とが、大転子の前下方に対応する部位で交差して連結され、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で下端同士が連結又は近接されていることを特徴とする衣類。
【請求項2】
前記締付緊締部が、
前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの上端部と連結された、腰に緊締可能な腰緊締部と、少なくとも前記腰緊締部から前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの下端部までの範囲に対応する着用者の表面にほぼ密着した状態で着用される、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部と縫着又は接着された伸縮性を有するベース生地と、を備える第一形態、あるいは、
前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの上端部が連結された、腰に緊締可能な腰緊締部と、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの下端部が連結された、大腿に緊締可能な緊締力を有する環形状の左右の大腿緊締部とからなる第二形態であることを特徴とする請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
帯形状の前記強緊締生地は、前記強緊締生地が緊張したときに、長手方向の緊締力が大腿骨の内外旋移動に影響を与える緊締力を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の下半身にほぼ密着した状態で着用され、歩行の歩幅を拡大しつつ、しゃがみ込むときの下肢のねじれを防ぐ衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも、腰部近傍から股下部近傍までを被覆する伸縮性のある生地素材よりなる下衣であって、該下衣は比較的弱い伸度の本体部と、より強い伸度のストレッチ部とから成り、該ストレッチ部を、前面側の腰骨頂部近傍略中心位置を起点としたスパイラルラインがハの字状を呈するよう、それぞれ左身頃、右身頃を通り背面側の臀部両溝部内側近傍にて逆ハの字状を呈して終点位置とするように構成し内旋機能を持たせたこと、を特徴とする旋回機能を有するスポーツウェアが開示されている。
【0003】
特許文献2には、少なくとも下腿部を覆うレッグウェアであって、脛骨上端または腓骨上端の第1側面から、脛骨および腓骨の前面、脛骨および腓骨の後面を順に通り、脛骨下端または腓骨下端の第2側面に至るように形成されている帯状の第1下腿緊締部を備え、前記第1側面が脛骨上端の内側側面である場合、前記第2側面は脛骨下端の内側側面で あり、前記第1側面が腓骨上端の外側側面である場合、前記第2側面は腓骨下端の外側側面であることを特徴とするレッグウェアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-138322号公報
【特許文献2】特開2017-115256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、歩行時や走るときに片足ずつ交互に前に出すが、一方側の足を前に出すと骨盤の一方側が他方側より前に出るので、つま先を正面に向けたままで歩こうとすると、一方側の股関節は外旋、他方側の股関節は内旋する。他方側の股関節内旋が制限されると、一方側の骨盤が前方に移動しにくくなり、歩幅が狭くなるという問題があった。一方、しゃがみ込むときやジャンプの着地などで下肢を曲げる場合には、特に女性において股関節が内旋して膝が内側に入り、これによって膝のけがが起こりやすいという問題があった。
【0006】
特許文献1に記載の発明は、比較的弱い伸度の本体部と、より強い伸度のストレッチ部とからなり、生地を動かして元に戻る力が内旋機能又は外旋機能となるという技術であるが、股関節に対して内旋を強く制止する力が弱いので、大腿の内旋を制止し難いという問題があった。
【0007】
特許文献2の発明は、膝が過剰に回旋することを制動する技術であるが、大腿に帯状体を巻いているが股関節近傍には巻かれていないので、骨盤に対して大腿骨の内旋を制止することが難しい。よって、膝が内側に旋回しないようにして、つま先を真っすぐにすることは困難であるという問題があった。
【0008】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、歩行の蹴り出し側(他方側)の股関節伸展に伴って内旋を促し、しゃがみ込む際の股関節屈曲に伴って内旋を防ぐことにより、歩行の歩幅を拡大しつつ、しゃがみ込むときの下肢のねじれを防ぐ衣類を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の衣類は、強い緊締力を有する少なくとも2本の帯形状の強緊締生地と、前記強緊締生地の上端部及び下端部をそれぞれ着用者の表面からずれないようにする緊締力を有する締付緊締部とからなる、着用者の表面にほぼ密着した状態で着用される衣類であって、前記強緊締生地は、後身頃の前記締付緊締部に上端を連結され、外横の大転子の下方直近に対応する部位を通過し、大腿の前面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第一強緊締部と、前身頃の前記締付緊締部に上端を連結され、股関節の前面を通過し、外横の大転子の下方に対応する部位を通過し、大腿の後面を通過し、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部に下端を連結されて、らせん状に配置された第二強緊締部と、を有し、前記第一強緊締部と前記第二強緊締部とが、大転子の前下方に対応する部位で交差して連結され、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部で下端同士が連結又は近接されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の衣類は、請求項1において、前記締付緊締部が、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部の上端部と連結された、腰に緊締可能な腰緊締部と、少なくとも前記腰緊締部から前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの下端部までの範囲に対応する着用者の表面にほぼ密着した状態で着用される、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部と縫着又は接着された伸縮性を有するベース生地と、を備える第一形態、あるいは、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの上端部が連結される、腰に緊締可能な腰緊締部と、前記第一強緊締部及び前記第二強緊締部のそれぞれの下端部が連結される、大腿に緊締可能な緊締力を有する環形状の左右の大腿緊締部とからなる第二形態であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の衣類は、請求項1又は2において、帯形状の前記強緊締生地は、前記強緊締生地が緊張したときに、長手方向の緊締力が大腿骨の内外旋移動に影響を与える緊締力を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
歩行の蹴り出し側(他方側)の股関節伸展に伴って内旋を促し歩行の幅を拡大しつつ、しゃがみ込む際の股関節屈曲に伴って内旋を防ぐことによりしゃがみ込むときの下肢のねじれを防ぐことを着目して本発明を想到した。
【0013】
本発明の請求項1又は2に記載の衣類は、第一強緊締部と第二強緊締部がともに上端を歩行や走るときにほとんど伸縮しない腰緊締部と繋がっており、大転子の前下方に対応する部位で略X字状に交差して連結されているので、歩行の蹴り出しの際に、股関節を伸展すると第二強緊締部が緊張して股関節を内旋させるという第一の効果を奏する。また、股関節を屈曲すると第一強緊締部が緊張して股関節内旋を防止するという第二の効果を奏する。
【0014】
前記第一の効果によって、蹴り出しの際の股関節内旋が誘導され、振り出し側の骨盤が前方に移動するので歩幅が広くなり、歩行速度が速くなるという効果を奏する。また、前記第二の効果によって、着地やしゃがみ込むときなど股関節を屈曲する際に膝が内側に入らないようにまっすぐに着地できることから、膝のけがを防ぐという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載の衣類は、帯形状の第一強緊締部及び第二強緊締部の強緊締力は長手方向のみであることから、制止方向が絞られるので制止の効果が大きくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のスパッツ型の締付緊締部が第一形態Aの場合の衣類の説明図で(a)は正面視の説明図で、(b)は背面視の説明図である。
【
図2】本発明のベルト型の衣類の正面視の説明図である。
【
図3】本発明のスパッツ型の衣類を着用者が着用した状態の説明図で、(a)は正面視の説明図で、(b)は背面視の説明図である。
【
図4】本発明のスパッツ型の衣類を着用者が着用した状態の説明図で、(a)は外側から見た説明図で、(b)は第一強緊締部と第二強緊締部の下端同士が近接している状態を内側から見た説明図で、(c)は第一強緊締部と第二強緊締部の下端同士が連結している状態を内側から見た説明図である。
【
図5】本発明のベルト型の衣類を着用者が着用した状態の説明図で、(a)は正面視の説明図で、(b)は背面視の説明図である。
【
図6】本発明のベルト型の衣類を着用者が着用した状態の説明図で、(a)は外側から見た説明図で、(b)は内側から見た説明図である。
【
図7】骨盤と下肢を構成する骨格の正面視の説明図である。
【
図8】右前側から見た骨盤と股関節の説明図である。
【
図10】第一及び第二の効果の説明図で、(a)は第一の効果の説明図で、(b)は第二の効果の説明図である。
【
図11】第一の効果である歩行時の歩幅の説明図で、(a)は股関節伸展時に股関節の内旋がされない場合の歩幅の説明図で、(b)は股関節伸展時に股関節の内旋が促進された場合の歩幅の説明図である。
【
図12】環形状の腰緊締部、又は、環形状の左右の大腿緊締部の強い緊締力又は中程度の緊締力を有する帯形状の形態の説明図である。
【
図13】本発明のスパッツ型の締付緊締部が第一形態Bの場合の衣類の説明図で(a)は正面視の説明図で、(b)は背面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下肢の骨格は、
図7に示すように、下肢には、骨盤20、大腿骨12、脛骨32、腓骨33等があり、骨盤20と大腿骨12との接合部には股関節10があり、大腿骨12と脛骨32との接合部には膝関節30があり、脛骨32と腓骨33との接合部には脛腓関節があり、脛骨32及び腓骨33の下端の接合部には足関節31がある。
【0018】
そして、
図7、
図8、
図9に示すように、股関節10は、大腿骨12の大腿骨頭13と骨盤20の寛骨臼21とが組み合わさった球関節であり、屈曲、伸展、内旋、外旋、内転、外転の大きく6つの方向の動きをする。
【0019】
本発明の衣類1は、歩く動作や走る動作のときの股関節10に影響を与えて大腿骨12の内旋又は外旋を促す発明であり、歩く動作や走る動作と同じように股関節10の屈曲と伸展を繰り返す動きに適し、例えば、陸上競技、自由形競泳、スピードスケート等の運動用衣類としても、日常生活や勤務時の仕事などの一般生活用衣類としても、衣類の用途を問わない衣類として活用できるものである。
【0020】
本発明の衣類1には、
図1、
図3、
図4、
図13に示すように、ベース生地6を備えるスパッツ型の衣類1Aと、
図2、
図5、
図6に示すように、ベース生地6を備えないベルト型の衣類1Bが含まれ、前記スパッツ型の衣類1Aには
図1、
図3、
図4に示すように、大腿緊締部5を備えていないスパッツ型の衣類1Aaと、
図13に示すように、大腿緊締部5を備えるスパッツ型の衣類1Abが含まれます。
【0021】
本発明の衣類1は、
図1~
図6、
図13に示すように、強い緊締力を有する少なくとも2本の帯形状の強緊締生地と、前記強緊締生地の上端部及び下端部をそれぞれ着用者の表面からずれないようにする緊締力を有する締付緊締部8とからなる、着用者80の表面にほぼ密着した状態で着用される衣類1であって、前記強緊締生地は、後身頃の前記締付緊締部8に上端を連結され、外横の大転子11の下方直近に対応する部位を通過し、大腿18の前面を通過し、大腿18の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部8に下端を連結されて、らせん状に配置された第一強緊締部3と、前身頃の前記締付緊締部8に上端を連結され、股関節10の前面を通過し、外横の大転子11の下方に対応する部位を通過し、大腿18の後面を通過し、大腿18の内側の長手方向でほぼ中央部で前記締付緊締部8に下端を連結されて、らせん状に配置された第二強緊締部4と、を有し、前記第一強緊締部3と前記第二強緊締部4とが、大転子11の前下方に対応する部位で交差して連結され、大腿18の内側の長手方向でほぼ中央部で下端同士が連結又は近接されている。
【0022】
そして、前記締付緊締部8は、
図1又は
図13に示すように、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4の上端部と連結された、腰に緊締可能な腰緊締部2と、少なくとも前記腰緊締部2から前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4のそれぞれの下端部までの範囲に対応する着用者80の表面にほぼ密着した状態で着用される、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4と縫着又は接着された伸縮性を有するベース生地6と、を備える第一形態、あるいは、
図2に示すように、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4のそれぞれの上端部が連結される、腰に緊締可能な腰緊締部2と、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4のそれぞれの下端部が連結される、大腿18に緊締可能な緊締力を有する環形状の左右の大腿緊締部5とからなる第二形態がある。
【0023】
また、前記第一形態には、
図1に示すように、前記腰緊締部2及び前記ベース生地6からなる第一形態Aと、
図13に示すように、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4のそれぞれの上端部と連結された、腰に緊締可能な腰緊締部2と、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4のそれぞれの下端部が連結された、大腿18に緊締可能な緊締力を有する環形状の左右の大腿緊締部5と、少なくとも前記腰緊締部2から前記大腿緊締部5までの範囲に対応する着用者80の表面にほぼ密着した状態で着用される、前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4と縫着又は接着された伸縮性を有するベース生地6と、からなる第一形態Bがある。
【0024】
前記第一形態の締付緊締部8を使用した衣類1としては、帯形状の前記腰緊締部2と、帯形状の前記第一強緊締部3と、帯形状の前記第二強緊締部4と、着用者80の表面をほぼ密着した状態で覆うことができるベース生地6とからなる衣類1として、例えば、スパッツ型衣類1Aがある。前記スパッツ型衣類1Aには、少なくとも着用者80の腰部から膝上までの範囲を覆うベース生地6であればよく、例えば着用者80の腰部から膝上までの範囲を覆うスパッツ又はサポーターが含まれる。さらに、前記スパッツ型衣類1Aには、上端位置が着用者80の腰部で下端位置が着用者80の足首までを覆うスパッツ、上端位置が着用者80の腰部で下端位置が着用者80の膝下までを覆うスパッツが含まれる。
【0025】
前記スパッツ型衣類1Aは、
図1、
図3、
図4に示すように、前記第一強緊締部3、前記第二強緊締部4、及び、前記第一形態Aの締付緊締部8を使用したスパッツ型衣類1Aa、並びに、
図13に示すように、前記第一強緊締部3、前記第二強緊締部4、及び、前記第一形態Bの締付緊締部8を使用したスパッツ型衣類1Abがある。
【0026】
次に、前記第二形態の締付緊締部8を使用した衣類1としては、
図2、
図5、
図6に示すように、帯形状の前記第一強緊締部3と、帯形状の前記第二強緊締部4と、環形状を形成する帯形状の腰緊締部2と、環形状を形成する帯形状の左右の太腿緊締部5とからなる衣類1として、例えば帯形状のみからなるベルト型衣類1B等がある。以下において、前記第二形態の前記締付緊締部8を使用した衣類1の代表として前記ベルト型衣類1Bについて説明する。前記第二形態の前記締付緊締部8を使用した前記ベルト型の衣類1Bは、
図2、
図5、
図6に示すように、前記腰緊締部2と、前記大腿緊締部5と、前記第一強緊締部3と、前記第二強緊締部4とからなり、前記第一強緊締部3と前記第二強緊締部4とは、それぞれの上端部が前記腰緊締部2に連結され、それぞれの下端部は前記太腿緊締部5に連結されている。
【0027】
前記スパッツ型の衣類1Aは、強い緊締力を有する少なくとも2本の帯形状の強緊締生地からできた第一強緊締部3と前記第二強緊締部4、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4と同じかそれ以下の緊締力を有する緊締生地からできた腰緊締部2、及び、弱い緊締力を有し伸縮性を有するベース生地6を有する。なお、前記スパッツ型の衣類1Aは、さらに、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4と同じかそれ以下の緊締力を有する緊締生地からできた帯形状の左右の大腿緊締部5を有してもよい。そして、前記ベルト型の衣類1Bは、強い緊締力を有する少なくとも2本の帯形状の強緊締生地からできた第一強緊締部3と前記第二強緊締部4、及び、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4と同じかそれ以下の緊締力を有する緊締生地からできた腰緊締部2と帯形状の左右の大腿緊締部5を有する。
【0028】
帯形状の前記腰緊締部2、帯形状の左右の前記大腿緊締部5、前記第一強緊締部3、及び、前記第二強緊締部4の幅は、例えば3cm~10cmのいずれかで、内旋又は外旋する特定の骨部の動きを規制又は抑制できる十分な緊締力を与える所定の幅を有すればよく限定されない。
【0029】
第一強緊締部3又は第二強緊締部4の緊締力は、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4が緊張したときに大腿骨12の内外旋移動に影響を与える強い緊締力を有し、前記腰緊締部2又は前記大腿緊締部5の緊締力は、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4の着用者80の身体に対する取付位置をずらさない緊締力であって、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4の緊締力と同じかそれ以下の緊締力を有し、前記ベース生地6は、着用者80の身体に密着可能な伸縮性を有し、かつ前記腰緊締部2又は前記大腿緊締部5の緊締力より低い緊締力を有する。
【0030】
前記緊締力とは、伸長に対する素材の抵抗力を意味する。よって、前記ベース生地6の緊締力と、より強い緊締力を有する強緊締生地の第一強緊締部3又は第二強緊締部4の緊締力との差が大きいときに大きな効果が得られる。前記緊締力の差が小さいときは効果が薄れる。
【0031】
前記緊締力は、一定伸長に必要な生地への荷重の大小で確認するため、JIS L 1096 A法に準拠し、卓上形精密万能試験機(AUTOGRAPH AGS-X 5kN 島津製作所社製)を用い、引張速度を200mm/分とし、試料生地の大きさは、巾が25mm、長さが150mm、つかみ間隔が100mmとした。
【0032】
マネキンに対して前記スパッツ型の衣類1Abを着用させて、前記腰緊締部2、前記第一強緊締部3、前記第二強緊締部4、前記大腿緊締部5について、置き寸と着用時の差である着用時伸長率がほぼ30%であったので、伸長に対する素材の抵抗力は、試料生地が30%伸長時に必要な荷重を測定することにした。
【0033】
測定結果から、前記ベース生地6は、例えば30%伸長時の荷重はタテ1.0~1.5N、ヨコ0.5~1.0Nが好ましい。前記の範囲であれば着用感に優れる。また、前記第一強緊締部3及び前記第二緊締部4は、例えば30%伸長時の荷重は、競技スポーツ用途であれば長手方向6.0~8.0Nが好ましく、日常生活用途であれば長手方向1.5~2.0Nが好ましい。前記腰緊締部2及び前記大腿緊締部5は、例えば30%伸長時の荷重は長手方向1.25~1.75Nが好ましい。
【0034】
前記第一強緊締部3、及び、前記第二強緊締部4の帯形状の前記強緊締生地は、前記強緊締生地が緊張したときに、長手方向の緊締力が大腿骨12の内外旋移動に影響を与える緊締力を有する。前記第一強緊締部3、及び、前記第二強緊締部4の短手方向の緊締力は、いずれもそれぞれの前記長手方向の緊締力と同じ、又は、それ以下であって、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4の着用者80の身体に対する取付位置をずらさない緊締力であれば、いずれの強さの緊締力であってもよい。
【0035】
本発明の衣類1のベース生地6の弱緊締力生地、前記大腿緊締部5又は前記腰緊締部2の中程度緊締力生地又は強緊締力生地、並びに、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4の強い緊締力を有する強緊締力生地は、それぞれが伸縮性を有する緊締力が異なるストレッチ素材であり、前記ストレッチ素材は、縦方向及び横方向に伸縮する2ウェイストレッチ編物及び2ウェイストレッチ織物から選ばれる少なくとも一つの生地であることが好ましい。
【0036】
前記2ウェイストレッチ編物又は織物は、ポリエステル繊維糸と弾性糸とを主成分構成糸とするか、またはナイロン繊維糸と弾性糸とを主成分構成糸としてもよい。別の構成としては、コットン(木綿)と弾性糸とを主成分構成糸としてもよい。ここで、主成分構成糸とは、両成分を合計すると80重量%以上になることをいう。ポリエステル繊維糸を用いた場合は、汗をかいても乾き易い。ナイロン繊維糸を用いた場合は、軟らかなタッチの編物となる。
【0037】
前記編物又は織物の組織はどのようなものであっても良い。織物としては一般的に良く知られている平織、斜文織、朱子織の3原組織の他、変化織であってもよい。また、編物として一般的に良く知られているラッセル経編機によって編成される編物、トリコット経編機によって編成される編物及びニット緯編み機によって編成される編物等であっても良い。例えば、トリコット経編機によって編成されるハーフ組織の編物やラッセル経編機によって編成されるパワーネット組織の編物等を挙げることができる。ニット緯編物としては、例えば平編(天竺編)、ゴム編、パール編、スムース編(両面編)等どのような組織 でも良い。また、ニット緯編み機によって編成される編物は、丸編機又は横編機によって 編成される編物であっても良い。なお、緯編ニットの場合は、縫製を必要としないで、弱 緊締力素材と強緊締力素材とを一体化編成することも可能である。例えば、横編の無縫製機( 島精機製作所)の“FIRST-X”という装置があり、これを用いて腰部と両脚部を同 時に編成し、無縫製ニット製品を製造できる。また、耐薬品性の差を利用して、混紡交織物又は混紡交編物の一方の繊維だけ除去して透かし模様を出すオパール加工による単一素材での強弱緊締力を実現させる生地でもよい。
【0038】
さらに、イタリアのサントニ(SANTONI)社のフルコンピュータ制御の“シーム レス・ボディ・インナー編み機”と呼ばれる装置で強緊締力素材及び弱緊締力素材の組み合わせをシームレスで筒状に編成し、下腹部及び脚部とすることも可能である。
【0039】
前記織物または編物は、ポリウレタン糸等の伸縮性を有する弾性糸を少なくとも一部に使用しているものが好ましい。
【0040】
前記弾性糸は、ポリウレタン系弾性糸及びポリエステル系弾性糸から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。ストレッチ性が高く、スポーツ衣料に適しているからである。前記弾性糸は、ベアヤーン(裸糸)又は表面にポリエステル繊維もしくはナイロン繊維が被覆されたカバードヤーンのどちらでも良い。
【0041】
高捲縮仮撚加工を施して伸縮性を持たせたポリエステル、ナイロン等の高捲縮仮撚加工糸を生地の少なくとも一部あるいは全部に使用した生地も可能である。また、単純に前記伸縮性のあるニットを複数枚数重ねて使用することも可能である。更に、ニット生地の片面にラミネート加工した二層ラミネート生地、伸縮性のあるポリウレタンシートを前記伸縮性のあるニット生地ではさみ込みラミネート加工して三層 にした三層ラミネート生地も使用可能である。
【0042】
次に、生地素材に「強弱」の緊締力を持たせ、前記ベース生地6に使用する伸縮性あり素材(弱緊締力素材)、前記腰緊締部2又は前記太腿緊締部5に使用する緊締素材(中程度緊締力素材)、及び、前記腰緊締部2、前記太腿緊締部5、前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4に使用される強緊締力素材とする方法としては、ポリウレタン糸、高捲縮仮撚加工糸(以下、伸縮糸とする。)の混率の「大小」でそれぞれ生地素材に「強弱」の緊締力を持たせることができる。混率に変化を与える方法としては、伸縮糸の太さを「太細」と変えることで混率の「大小」を出す方法、伸縮糸の太さは同じで生地中に配する割合を「多少」と変えることで混率の「大小」を出す方 法がある。伸縮糸の混率が一定の場合に編密度を「密疎」とかえることでも可能である。さらに、伸縮糸の種類を変えた生地を使用するか、ラミネート加工した生地とラミネート加工していない生地を用いるか、または同一の生地の重ねる枚数を変えることでも生地に 強弱」の緊締力を持たせることが可能である。
【0043】
伸縮性を有し弱い緊締力を有する前記ベース生地6の弱緊締力素材、前記大腿緊締部5や前記腰緊締部2に使用される可能性のある中程度緊締力素材、及び、前記腰緊締部2又は前記太腿緊締部5に使用される可能性があり、かつ前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4に使用される強緊締力素材における「強弱」の緊締力は、一定伸長に必要な生地への荷重の大小で確認することができる。すなわち、緊締力の強い生地は一定伸長に必要な生地への荷重が大きく、弱い生地は一定伸長に必要な生地への荷重が小さい。
【0044】
前記弱緊締力素材、中程度緊締力素材および強緊締力素材を縫着又は接着によって一体化し、スパッツ型衣類を形成することもでき、中程度緊締力素材および強緊締力素材を縫着又は接着によって一体化し、ベルト型衣類を形成することもできる。
【0045】
縫着方法としては、本縫い、環縫い、1本針オーバーロック、2本針オーバーロック、 フラットシーマ等の縫目を形成するミシンで縫着する方法があげられるが、縫目の種類は 特にこれらに限定されるものではない。ただ、縫目もストレッチ性を有し、着用時に違和感を起こしにくい1本針オーバーロック、2本縫いオーバーロック、フラットシーマを採用するのが望ましい。
【0046】
接着方法としては、一体化したい二種類の生地(部材)にのりしろを設け、熱によって 融解し、冷却後生地に浸透して凝固するポリウレタン、又はシリコン等の樹脂製熱融解性のシームテープをのりしろの生地の間にはさみ、熱プレスすることで生地を接着できる熱圧着法があげられるが、縫着同様のりしろにストレッチ性をもたせ、着用時の違和感をなくすることが望ましい。
【0047】
また、強緊締力素材の強い緊締力を有する前記第一強緊締部3及び前記第二強緊締部4の帯状体
と、弱緊締力素材の弱い緊締力のベース生地6との緊締力の差が、例えば、前記ベース生地6の3
0%伸長時の荷重がタテ1.0~1.5N、ヨコ0.5~1.0Nである場合、強い緊締力を有す
る前記第一強緊締部3又は前記第二強緊締部4の30%伸長時の荷重が長手方向1.5~2.0N
であると、着用時の違和感が生じにくい。
【0048】
本発明において、「ほぼ密着」の状態を作るには、人体の裸のサイズに対して、周囲方向は50%以上110%以下、さらに好ましくは70%以上95%以下、丈は75%以上100%以下、さらに好ましくは85%以上100%以下として衣類を形成する。もちろん人体のサイズは個人差があるので、前記比率は目安である。
【0049】
また、生地としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。
【0050】
前記腰緊締部2について説明する。前記腰部緊締部2は、スパッツ型用の衣類1Aを表した
図1(a)又は
図13(a)、あるいは、ベルト型の衣類1Bを表した
図5(a)に示すように、前身頃及び後身頃において腰部に対応する部位に配置され、着用者80が運動したときにも前記衣類1A、及び、衣類1Bがずり下がらないように腰部に着装させ続けることができる。そして、前記腰部緊締部2は、
図12に示すように、腰部を囲繞する環状の中程度緊締力又は強緊締力を有する帯形状の形態、又は、腰部に回して縛るという紐体の形態(図示なし)がある。
【0051】
前記腰緊締部2は、前記第一強緊締部3の上端部、及び、前記第二強緊締部4の上端部を、着用者80の身体の上下方向及び左右方向に対して、着用者80が歩く又は走る等の運動をしたときであっても下方にずれないようにすることができる。
【0052】
次に、前記大腿緊締部5について説明する。環形状の左右の前記大腿緊締部5は、ベルト型の衣類1Bを表した
図5、
図6に示すように、左右の大腿の長手方向でほぼ中央部に対応する部位に配置され、着用者80が運動したときにも衣類がずり下がらないように大腿18に着装させ続けることができる。そして、前記大腿緊締部5は、
図12に示すように、大腿18を囲繞する環状の中程度緊締力又は強緊締力を有する帯形状の形態がある。なお、前記大腿緊締部5は、スパッツ型の衣類1Aに追加することもでき、この場合のスパッツ型の衣類1Abを
図13に示す。
【0053】
前記ベルト型の衣類1Bの場合、前記大腿緊締部5は、前記第一強緊締部3の下端部、及び、前記第二強緊締部4の下端部を、着用者80の身体の上下方向及び左右方向に対して、着用者80が歩く又は走る等の運動をしたときであっても動かないようにすることができる。前記大腿緊締部5を有するようにしたスパッツ型の衣類1Abも同じように動かないようにすることができる。
【0054】
前記弱緊締力、すなわち伸縮性を有するベース生地6は、スパッツ型の衣類1Aの構成要件であり、着用者80の表面にほぼ密着した状態で着用される衣類1Aのベースとなる生地である。よって、衣類1Aは、着用者80の表面にほぼ密着しているので、衣類1Aに縫着又は接着された前記第一強緊締部3の下端部、及び、前記第二強緊締部4の下端部を、着用者80の身体の上下方向及び左右方向に対して、着用者80が歩く又は走る等の運動をしたときであっても位置ずれしないようにすることができる。
【0055】
次に、前記強緊締生地は、スパッツ型の衣類1Aを表した
図1、
図13に示すように、又は、ベルト型の衣類1Bを表した
図2に示すように、前記第一強緊締部3と前記第二強緊締部4を形成している。なお、前記強緊締生地は、前記腰緊締部2又は前記太腿緊締部5にも採用することができる。
【0056】
次に、前記第一強緊締部3について説明する。前記第一強緊締部3は、スパッツ型の衣類1Aを身に着けた状態を表した
図3、
図4に示すように、また、ベルト型の衣類1Bを身に着けた状態を表した
図5、
図6に示すように、後身頃の前記腰緊締部2に上端を連結され、外横の大転子11の下方直近に対応する部位を通過し、大腿18の前面を通過し、大腿18の内側の長手方向でほぼ中央部を下端として、らせん状に配置される。スパッツ型の衣類1Aaの場合は
図1に示すように前記下端が前記ベース生地6に縫着又は接着され、スパッツ型の衣類1Abの場合は
図13に示すように下端が前記大腿緊締部5に連結され、ベルト型の衣類1Bの場合は
図2に示すように下端が前記大腿緊締部5に連結される。これにより、前記上端の位置及び前記下端の位置は、着用者80が運動しても着用者80の身体に部位に対応する位置がずれない。
【0057】
また、前記第一強緊締部3は、前記第二強緊締部4と、
図4(a)、
図6(a)に示すように、大転子11(大転子対応部位11aが対応する。)の前下方に対応する部位で交差している。これにより、大転子11の前下方に対応する部位で前記第二強緊締部4との連結により、着用者80の運動の影響を受けにくくなり前記第一強緊締部3が前記大転子11の下方直近に対応する部位からずれないようにすることができる。
【0058】
また、前記第一強緊締部3の下端と前記第二強緊締部4の下端は、
図4(c)又は
図6(b)に示すように、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部を下端同士が連結し、又は、
図4(b)に示すように、大腿の内側の長手方向でほぼ中央部を下端同士が隙Gを形成して近接している。
【0059】
前記第一強緊締部3は第二の効果をもたらす機能を有する。
図10(b)に示すように、着用者80が、例えば垂直飛びから着地に向かってしゃがむ姿勢になると股関節10を屈曲させたときに前記第二強緊締部4が弛緩し前記第一強緊締部3が緊張する。すると、大転子11の前下方の大腿骨12に対応する部位に、大腿18の長手方向に引っ張られた強い緊締力を有する前記第―強緊締部3が前記大腿骨12に該当する部位を強く押さえる力がかかり、この押さえる力が寛骨臼21に対して大腿骨12が内旋するのを防ぐ。歩行や走ったりするときに股関節10を屈曲させたときも同じ方向の効果をもたらす。
【0060】
股関節10を屈曲させたときに、緊張した前記第一強緊締部3が大腿骨12の内旋を防止させる方向に大腿骨12を旋回させるので、しゃがんだときに膝が内側に入るのを防ぐ。
【0061】
前記第一強緊締部3が、大転子11の上方の直近でもなく、大転子11の真横でもなく、大転子11の下方の直近の大腿骨12の部位に緊締力による外力を加えるようにしたことが、球状の大腿骨頭13の旋回に影響を与えるトルクを与えることができる。
【0062】
次に、前記第二強緊締部4について説明する。前記第二強緊締部4は、スパッツ型の衣類1Aを身に着けた状態を表した
図3、
図4に示すように、又は、ベルト型の衣類1Bを身に着けた状態を表した
図5、
図6に示すように、前身頃の前記腰緊締部2に上端を連結され、股関節10の前面を通過し、外横の大転子11の下方に対応する部位を通過し、大腿18の後面を通過し、大腿18の内側の長手方向でほぼ中央部で前記大腿緊締部5に下端を連結されて、らせん状に配置される。スパッツ型の衣類1Aaの場合は
図1に示すように前記下端が前記ベース生地6に縫着又は接着され、スパッツ型の衣類1Abの場合は
図13に示すように前記下端が前記大腿緊締部5に連結され、ベルト型の衣類1Bの場合は
図2に示すように下端が前記大腿緊締部5に連結される。これにより、前記上端の位置及び前記下端の位置は、着用者80が運動しても着用者80の身体に部位に対応する位置がずれない。
【0063】
また、前記第二強緊締部4は、前記第一強緊締部3と、
図4(a)、
図6(a)に示すように、大転子11(大転子対応部位11aが対応する。)の前下方に対応する部位で交差している。これにより、大転子11の前下方に対応する部位で前記第一強緊締部3との連結により、着用者80の運動の影響を受けにくくなり前記第二強緊締部4が大転子11の前下方に対応する部位からずれないようにすることができる。
【0064】
前記第二強緊締部4は第一の効果をもたらす機能を有する。
図10(a)に示すように、着用者80が、例えば歩行や走るときに蹴り出し側(他方側52)の股関節10を伸展させたときに前記第一強緊締部3が弛緩し前記第二強緊締部4が緊張する。すると、
図9に示すように、大転子11の下方直近の大腿骨12に対応する部位に、大腿18の長手方向に引っ張られた強い緊締力を有する前記第ニ強緊締部4が前記大腿骨12に該当する部位を強く押さえる力がかかり、この押さえる力が寛骨臼21に対して大腿骨12を内旋させる。
【0065】
大腿骨12を内旋させるのを促すことにより、
図11(a)に示すように、大腿骨12を内旋させる方向に促さない場合の歩幅L1(a1+b1)に比較して、
図11(b)に示すように歩幅L2(a2+b2)に大きくすることができる。本発明において前記歩幅L1とは一方側51の足のつま先から他方側52の足の踵との間隔を意味する。
【0066】
以上から、本発明の衣類1は、第一の効果として、走ったり歩いたりするときの蹴り出しの際に股関節10を伸展すると第一強緊締部3が緊張して、蹴り出しの際の股関節内旋が誘導され、歩幅が広くなり、歩行速度が速くなるという効果を奏する。また、第二の効果として、股関節10を屈曲すると第二強緊締部4が緊張して股関節内旋を防止し、垂直飛びから着地でしゃがみ込んだときに、膝が内側に入らないように膝の向く方向とつま先の向く方向を一致させてまっすぐに着地できることから、膝のけがを防ぐという効果を奏する。
【符号の説明】
【0067】
1 衣類
1A 衣類
1B 衣類
2 腰緊締部
3 第一強緊締部
4 第二強緊締部
5 大腿緊締部
6 ベース生地
8 締付緊締部
10 股関節
11 大転子
11a 大転子対応部位
12 大腿骨
13 大腿骨頭
18 大腿
20 骨盤
21 寛骨臼
30 膝関節
31 足関節
32 脛骨
33 腓骨
51 一方側
52 他方側
80 着用者
G 隙