(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016076
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】空気清浄機及びフィルター収納袋
(51)【国際特許分類】
B01D 46/42 20060101AFI20250124BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20250124BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20250124BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20250124BHJP
F24F 8/158 20210101ALN20250124BHJP
【FI】
B01D46/42 A
A61L9/014
F24F8/108 110
F24F7/007 B
F24F8/158
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119102
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】菊川 彰仁
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 晃一
【テーマコード(参考)】
3L056
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
3L056BD04
3L056BD06
3L056BE01
4C180AA02
4C180CC04
4C180CC13
4C180CC17
4C180EA14X
4C180EA26X
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4C180HH05
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4D058JA12
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4D058QA01
4D058QA03
4D058QA21
4D058QA23
4D058SA01
4D058TA04
(57)【要約】
【課題】エアフィルターの収納袋や密閉袋の取り外し忘れを検出可能な空気清浄機及びフィルター収納袋を提供する。
【解決手段】空気清浄機1は、フィルター30が設けられる第1流路11と、内部の気流AF2を検出する第1気流検出部41を途中に有し、第1流路11の抵抗が大きくなると気流AF2が多くなる第2流路12とを備える。フィルター30を密閉する密閉袋51を収納するフィルター収納袋52は、取り忘れたままで、空気清浄機1内部に装着されたときに、第2流路12の少なくとも一部が密閉袋51との間の空間に形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターが設けられた第1流路と、
内部の気流を検出する第1気流検出部を途中に有し、前記第1流路の抵抗が大きくなると前記気流が多くなる第2流路と
を備える、空気清浄機。
【請求項2】
前記第2流路は前記フィルターの下流且つファンの上流で前記第1流路につながる、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記第2流路に設けられた埃検出部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記埃検出部は、前記第1気流検出部の上流側に配置されている、請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第2流路は、空気流入口から前記第1気流検出部に向かって細くなる、請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項6】
運転開始時に通常より風量を増やし、所定時間経過後に前記風量を減らす制御を行う制御部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記第1気流検出部は所定速度又は所定量以上の前記気流を検出すると第1信号を出力し、
前記第1信号が出力されると報知を行う報知部をさらに備える、請求項6に記載の空気清浄機。
【請求項8】
フィルター使用の累積時間を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1信号が出力された後に停止すると、前記記憶部に記憶されている前記累積時間を初期化する、請求項7に記載の空気清浄機。
【請求項9】
前記フィルターを密閉する密閉袋を収納するフィルター収納袋であって、
取り忘れたままで、請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機内部に装着されたときに、前記第2流路の少なくとも一部が前記密閉袋との間の空間に形成される、フィルター収納袋。
【請求項10】
前記空間に配置され、前記気流を検出する第2気流検出部をさらに備える、請求項9に記載のフィルター収納袋。
【請求項11】
フィルターを密閉する密閉袋を収納するフィルター収納袋であって、
前記密閉袋との間の空間に配置され、気流を検出する第2気流検出部を備える、フィルター収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気清浄機及びフィルター収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機は、空気をエアフィルター(単に「フィルター」ともいう)に通過させることで空気を浄化する。エアフィルターには、例えば集塵フィルターと脱臭フィルターとを含む。新品(未使用)のエアフィルターは、使用者の元に届くまでの間に浄化機能などを喪失することがないように、樹脂製の収納袋や密閉袋などに入れて密封される。収納袋などで密封されたエアフィルターは、出荷時の空気清浄機の吸気用の開口部分などにセットされる。
【0003】
特許文献1には、空気清浄機内にセットされている収納袋入りのエアフィルターを取り出し、収納袋を開封してからエアフィルターだけを元の位置に戻す使用者の作業が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空気清浄機の使用開始前に、予め装着されているエアフィルターを一旦取り出して収納袋を取り外すことなく、空気清浄機の使用が開始されることもあった。つまり、エアフィルターが収納袋に入れられた状態のままである。その場合、収納袋は空気を通過させないので、空気がエアフィルターを通過できない。したがって、空気清浄機が本来の機能を発揮できないことになる。ただし、空気がエアフィルターを通過できないことで、例えば本来の動作音とは多少異なる音がしても、特に初めてその空気清浄機を使用する者がすぐに異常に気付くと限らない。
【0006】
本開示は、フィルターの収納袋や密閉袋の取り外し忘れを検出可能な空気清浄機及びフィルター収納袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の空気清浄機は、フィルターが設けられる第1流路と、内部の気流を検出する第1気流検出部を途中に有し、前記第1流路の抵抗が大きくなると前記気流が多くなる第2流路とを備える。
【0008】
本開示のフィルター収納袋は、フィルターを密閉する密閉袋を収納するフィルター収納袋であって、前記密閉袋との間の空間に配置され、気流を検出する第2気流検出部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、空気清浄機のフィルターの収納袋や密閉袋の取り外し忘れが検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る空気清浄機1内部におけるファンモーター20と脱臭フィルター31及び集塵フィルター32との基本的な位置関係を示す斜視図である。
【
図2】脱臭フィルター31及び集塵フィルター32がそれぞれの密閉袋51を取り外し忘れた場合に、気流AFがどのように変化するかを例示する斜視図である。
【
図3】
図2の場合に、第1気流検出部41が配置された構成例を示す斜視図である。
【
図4】空気清浄機1内における第1流路11及び第2流路12を示す断面図である。
【
図5A】本開示の第1実施形態の第1変形例に係る空気清浄機1A内における第1流路11及び第2流路12を示す断面図である。
【
図5B】第2流路12に設けられた埃検出部42の具体的構成例を示す断面図である。
【
図6】空気清浄機本体100の機能的構成を示すブロック図である。
【
図7A】空気清浄機1Aのフィルター30交換後の初回運転時の主要動作を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る空気清浄機1B内における第1流路11B及び第2流路12Bを示す断面図である。
【
図9A】本開示の第2実施形態に係るフィルター収納袋52に梱包された集塵フィルター32を示す斜視図である。
【
図9B】フィルター収納袋52に梱包された集塵フィルター32を示す断面図である。
【
図10A】本開示の第2実施形態の変形例に係るフィルター収納袋52Aに収納された脱臭フィルター31を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
<第1実施形態>
1.1 空気清浄機1の構成
図1は、本開示の第1実施形態に係る空気清浄機1内部におけるファンモーター20と脱臭フィルター31及び集塵フィルター32との基本的な位置関係を示す斜視図である。なお、脱臭フィルター31や集塵フィルター32を収納する袋の名称としては「収納袋」の他にも「密閉袋」や単なる「袋」などがあり得る。以下では、新品の脱臭フィルター31や集塵フィルター32を直接包む袋を「密閉袋51」と表記する。なお、第2実施形態において、密閉袋51に入れられた脱臭フィルター31や集塵フィルター32を包む袋は「フィルター収納袋52」と表記することで、密閉袋51とは区別する。
【0013】
図1に示すように、空気清浄機1内部では、矩形板状の脱臭フィルター31と、ほぼ同一形状の集塵フィルター32とが重ねて配置される。なお、以下では、脱臭フィルター31及び集塵フィルター32がまとめてフィルター30とも称される。
【0014】
このフィルター30の下流側に一定距離をおいて、短円柱状のファンモーター20が配置される。なお、ここでいう「下流」とは、空気清浄機1内部で空気が流れる方向に基づく。また、空気の流れは、以下では「気流」とも称される。
【0015】
脱臭フィルター31は、通気中の臭い成分を吸着して除去する。脱臭フィルター31としては、合成樹脂製のハニカムコアの内部に粒状活性炭が収納されているものや、活性炭が封入されている紙製のハニカムコアに消臭剤を含浸させた不織布を一体的に取り付けたものが挙げられる。脱臭フィルター31としては、その他にも、活性炭が充填されている不織布製の袋体を合成樹脂製の枠体に収納したものや、紙製又は不織布製の2枚のシートの間にゼオライト、活性炭、シリカゲルなどの粒子が注入されたものなどが挙げられる。ただし、脱臭フィルター31は、ここで例示したものに限らない。
【0016】
集塵フィルター32は、通気中に含まれる微細な塵埃を捕集して除去する。集塵フィルター32としては、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターが挙げられるが、これに限らない。
【0017】
なお、フィルター30は、脱臭フィルター31及び集塵フィルター32だけの構成に限らない。例えば、通気中の粗い塵埃を捕集して除去するプレフィルターが集塵フィルター32の上流側にさらに配置されてもよい。
【0018】
ファンモーター20は、内蔵するファン(不図示)を回転させることで、フィルター30からファンモーター20へ向かう方向の気流AFを発生させる。内蔵するファンとしては、例えばシロッコファンやプロペラファンが挙げられるが、これらに限らない。
【0019】
図2は、脱臭フィルター31及び集塵フィルター32がそれぞれの密閉袋51を取り外し忘れた場合に、気流AFがどのように変化するかを例示する斜視図である。
図3は、
図2の場合に第1気流検出部41が配置された構成例を示す斜視図である。
【0020】
脱臭フィルター31及び集塵フィルター32が正しく装着されていれば(密閉袋51がそれぞれ取り外された状態)、気流AFはフィルター30を迂回する必要がない。このような正常時には、フィルター30の上端部や下端部の外側などを気流AFはほとんど流れない。
【0021】
一方、脱臭フィルター31及び集塵フィルター32の少なくとも一方が密閉袋51に密封されたままの異常時には、気流AFはほとんどフィルター30Xを通過できない。よって、例えば
図2に示すように、気流AFのうちごく一部の気流AF1を除いた大部分の気流AF2がフィルター30Xを迂回するようになる。気流AF2は、例えばフィルター30Xの上端部や下端部の外側などを通る。なお、ここでは、このような状態のフィルター30の参照符号を「30X」に代えることで正常なフィルター30と区別している。
図3以降も同様である。
【0022】
ただし、このように気流AFの大部分の気流AF2がフィルター30を迂回したとしても、使用者はそのことを直接的に認識できない。そこで、例えば
図3に示すように、フィルター30の上端部付近に第1気流検出部41が配置される。これにより、気流AF2の増大が検出可能となり、密閉袋51の取り外し忘れの可能性が高いことを使用者に知らせることが可能となる。
【0023】
図4は、空気清浄機1内における第1流路11及び第2流路12を示す断面図である。
【0024】
図4に示すように、空気清浄機1は、フィルター30が設けられた第1流路11と、第2流路12とを備える。第2流路12は、内部の気流AF2を検出する第1気流検出部41を途中に有し、第1流路11の抵抗(空気通過抵抗)が大きくなると気流AF2が多くなる。上述したように、フィルター30が密閉袋51を取り外し忘れて装着された場合、気流AF1は第1流路11をほとんど通過できない。第1流路11の空気通過抵抗が大きくなるからである。このような場合、フィルター30を迂回する気流AF2が多くなり、その気流AF2の一部は、フィルター30の下部と空気清浄機1の筐体101との間に形成された第2流路12を通る。
【0025】
したがって、気流AF2の増大が検出可能となる。この結果、空気清浄機1のフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れが検出可能となる。なお、ここでいう「取り外し忘れ」には、例えば、密閉袋51を取り外す際にその密閉袋51が破れたりして部分的に取り残してしまうことも含むものとする。
【0026】
第1気流検出部41は、例えば、フィルター30の下端部と空気清浄機1の筐体101との隙間に配置されてもよいが、このような配置に限らない。
【0027】
第1気流検出部41としては、例えば、空気を吹き込むことで音が鳴る鳴り笛が挙げられる。鳴り笛は、玩具などで用いられており、極めて単純な仕組みなので、コストも安くできる。それでも、空気清浄機1内部から発生する通常の動作音とは全く異質の音によって、使用者は異常があることに容易に気付くことができる。ただし、第1気流検出部41は、鳴り笛に限らず、気流AF2が通過することで音が発生するような他の物でも代用可能である。
【0028】
また、第1気流検出部41は、所定速度又は所定量以上の気流を検出すると第1信号を出力するものであってもよい。
【0029】
なお、第2流路12は、フィルター30の下流且つファン(ファンモーター20に内蔵されている)の上流で第1流路11につながっている。したがって、フィルター30の下流の第1流路11の空気が第2流路12に向かって逆流しない。この結果、空気清浄機1のフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れの検出の妨げになることを回避できる。
【0030】
空気清浄機1の運転風速を3段階に変化させた場合の、第2流路12の風速の変化の例は、表1に示されたとおりである。
【0031】
【0032】
1.2 第1変形例に係る空気清浄機1Aの構成
図5Aは、本開示の第1実施形態の第1変形例に係る空気清浄機1A内における第1流路11及び第2流路12を示す断面図である。
図5Bは、第2流路12に設けられた埃検出部42の具体的構成例を示す断面図である。なお、第1実施形態との相違点は、埃検出部42の有無である。以下の説明は、主として第1実施形態との相違点についてである。
【0033】
図5Aに示すように、空気清浄機1Aは、第1実施形態に係る空気清浄機1の構成に加えて、第2流路12に設けられた埃検出部42をさらに備える。
【0034】
上述したように、フィルター30が密閉袋51を取り外し忘れて装着された場合、気流AF1は第1流路11をほとんど通過できない。例えば、空気清浄機1Aの周囲に埃が多い場合、気流AF2は集塵フィルター32を通過していないから、多くの埃を含むと考えられる。したがって、このような状況で気流AF2があまり増大していなくても、埃検出部42が早期に検出できる。この結果、空気清浄機1Aのフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れが、より確実に検出可能となる。
【0035】
埃検出部42は、第1気流検出部41の上流側に配置されている。つまり、埃検出部42は、第2流路12内で第1気流検出部41のすぐ上流側に配置されている。したがって、埃検出部42の存在によって第2流路12が狭くなるので、埃検出部42より下流側では気流AF2の風速が高くなる。この結果、空気清浄機1Aのフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れが、より敏感に検出可能となる。
【0036】
図5Bに示すように、埃検出部42は、ほぼ中央部に空気を取り込むための貫通孔42aが形成されている。この貫通孔42aを小さくすることで、取り込まれる空気の流路が細くなって流速が高くなるので、埃などがより敏感に検出可能となる。
【0037】
埃検出部42としては、例えば、LED(light-Emitting Diode:発光ダイオード)式やレーザー式の埃センサーやダストセンサーが挙げられるが、これらに限らない。
【0038】
1.3 空気清浄機1Aの機能的構成
図6は、空気清浄機1Aの機能的構成を示すブロック図である。
【0039】
図6に示すように、空気清浄機1Aは、上述した第1気流検出部41、埃検出部42、及びファンモーター20に加えて、報知部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。ただし、ここでは、第1気流検出部41は、第2流路12内の所定速度又は所定量以上の気流を検出すると第1信号を出力する風速計とする。風速計としては、例えば、熱式、ベーン式、風杯式、又は超音波式の風速計が挙げられるが、これらに限らない。
【0040】
報知部110は、第1気流検出部41から第1信号が出力されると、使用者に対する報知を行う。したがって、密閉袋51が取り外し忘れられている可能性があることが、空気清浄機1Aから使用者に報知される。この結果、密閉袋51が取り外し忘れられている可能性に使用者は確実に気付くことができる。
【0041】
報知の方法として、例えば、報知部110は、警告音を発したり、音声メッセージを出力してもよいし、その他の警告表示などを行ってもよい。
【0042】
記憶部120は、空気清浄機1Aの制御に必要な各種のデータやプログラムを記憶する。記憶部120に記憶されるデータには、例えば、フィルター30使用の累積時間も含まれる。
【0043】
記憶部120は、揮発性メモリー及び不揮発性メモリーを含む。揮発性メモリーは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を含むが、これらに限らない。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read-Only Member)、フラッシュメモリー、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクを含むが、これらに限らない。記憶部120は、空気清浄機1Aの具現化に必要な機能を実現するプログラムを記憶してもよい。
【0044】
制御部130は、第1気流検出部41、埃検出部42、報知部110、及びファンモーター20とその他の空気清浄機1Aの各部を制御する。なお、例えば、報知部110による報知が行われる場合に、制御部130は、ファンモーター20の回転開始から所定時間経過後にファンモーター20の回転を停止するように制御してもよい。
【0045】
1.4 空気清浄機1Aのフィルター30交換後の初回運転時の主要動作
図7Aは、空気清浄機1Aのフィルター30交換後の初回運転時の主要動作を示すフローチャートである。
図7Bは、
図7Aのフローチャートの続きである。購入後の初回運転時も同様の動作となる。なお、フィルター30交換の検出方法としては、例えば、フィルター30が正しく装着された状態と取り外された状態とでONとOFFが切り替わるスイッチを設けてもよい。または、フィルター30交換のために空気清浄機1Aのカバーなどを開閉したことを検出できるようにしてもよい。ただし、このような検出方法に限らない。
【0046】
図7Aに示すように、ステップS1では、制御部130は、フィルター30交換後の初回運転か否かを判定し、初回運転であれば次のステップS2へ進み、そうでなければ通常運転へ進む。ここでは、通常運転の内容についての説明は省略する。
【0047】
ステップS2では、制御部130は、フィルター30使用の累積時間を記憶するメモリーを0に初期化して、次のステップS3へ進む。
【0048】
ステップS3では、制御部130は、運転開始時に通常より風量を増やしてファンモーター20の回転を開始させ、次のステップS4へ進む。したがって、元の気流AFの風速が高まるので気流AF2の風速も高くなる。この結果、空気清浄機1Aのフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れが、より敏感に検出可能となる。
【0049】
ステップS4では、制御部130は、ファンモーター20の回転開始からの所定時間が経過したか否かを判定し、既に経過していればステップS5へ進み、そうでなければステップS4の判定を繰り返す。
【0050】
ステップS5では、制御部130は、風量を減らす(通常に戻す)ようにファンモーター20を制御し、次のステップS6へ進む。したがって、通常より風量を増やす制御は、運転開始からの所定時間内に限られる。この結果、一旦は増やされた風量も通常に戻るので、運転音の大きさも通常レベルに戻り、無用な電力消費も抑制できる。
【0051】
ステップS6では、制御部130は、第1気流検出部41による検出風速が所定風速以上か否かを判定し、所定風速以上であればステップS8へ進み、そうでなければ次のステップS7へ進む。
【0052】
ステップS7では、制御部130は、埃検出部42による検出量が所定量以上か否かを判定し、所定量以上であれば次のステップS8へ進み、そうでなければステップS4へ戻る。
【0053】
図7Bに示すように、ステップS8では、制御部130は、報知部110による報知を行い、次のステップS9へ進む。したがって、密閉袋51が取り外し忘れられている可能性があることが、空気清浄機1Aから使用者に報知される。この結果、密閉袋51が取り外し忘れられている可能性に使用者は気付くことができる。
【0054】
その後、ステップS9では、制御部130は、空気清浄機1Aの電源オフ操作が行われたか否かを判定し、電源オフ操作が行われた場合は次のステップS10へ進み、そうでなければステップS9へ戻る。
【0055】
ステップS10では、制御部130は、ファンモーター20の回転を停止し、次のステップS11へ進む。
【0056】
ステップS11では、制御部130は、フィルター30使用の累積時間を記憶するメモリーを0に初期化して、一連の処理を終了する。したがって、次にフィルター30が正しく装着された場合に、そのフィルター30の正しい累積時間が記憶される。この結果、制御部130は、その累積時間に応じた空気清浄機1Aを適切に制御することができる。
【0057】
1.5 第2変形例に係る空気清浄機1Bの構成
図8は、本開示の第1実施形態の第2変形例に係る空気清浄機1B内における第1流路11B及び第2流路12Bを示す断面図である。なお、第1実施形態との相違点は、第2流路12Bの形状である。以下の説明は、主として第1実施形態との相違点についてである。
【0058】
図8に示すように、第2流路12Bは、空気流入口から第1気流検出部41に向かって細くなるように形成されている。したがって、第1流路11Bの閉塞状態がそれほど酷くなくて気流AF2の増大量がそれほど多くなくても、第2流路12の入口よりも下流側の第1気流検出部41周辺の風速が十分高くなる。この結果、空気清浄機1のフィルター30の密閉袋51の取り外し忘れが、より敏感に検出可能となる。
【0059】
<第2実施形態>
2.1 フィルター収納袋52の構成
図9は、本開示の第2実施形態に係るフィルター収納袋52に収納された脱臭フィルター31を示す斜視図である。
図9Bは、フィルター収納袋52に収納された脱臭フィルター31を示す断面図である。
図9Cは、
図9Aの下部の部分拡大図である。なお、ここでは、脱臭フィルター31を収納する場合が説明されるが、集塵フィルター32を収納する場合でも同様である。
【0060】
図9A及び
図9Bに示すように、フィルター収納袋52は、フィルター30を密閉する密閉袋51を収納する。つまり、密閉袋51に密閉された脱臭フィルター31が、フィルター収納袋52に収納されている。換言すると、脱臭フィルター31は密閉袋51及びフィルター収納袋52で二重に包まれている。
【0061】
また、
図9Cに示すように、フィルター収納袋52の下部には、2箇所に貫通孔52aが設けられている。これにより、このフィルター収納袋52を取り忘れたままで、例えば第1実施形態に係る空気清浄機1内部に装着されたときに、気流AF2の少なくとも一部が密閉袋51との間の空間に形成される。したがって、気流AF2の少なくとも一部が、貫通孔52aの一方からフィルター収納袋52内へ入り込み、フィルター収納袋と密閉袋51との間の空間を流れた後、貫通孔52aの他方からフィルター収納袋52の外へ出る。この結果、この空間を通る空気によって密閉袋51やフィルター収納袋52の取り忘れの検出が可能となる。
【0062】
図9Cに示すように、その空間に配置され、気流AF2を検出する第2気流検出部がさらに備えられてもよい。具体的には、フィルター収納袋52の下部の2箇所の貫通孔52aの中間付近に第2気流検出部が配置されてもよい。第2気流検出部としては、例えば、鳴り笛41Bが挙げられるが、これに限らない。貫通孔52a及び鳴り笛41Bは、密閉袋51及びフィルター収納袋52を取り忘れた状態で空気清浄機1が運転された場合に、フィルター30を迂回する気流AF2が最も流れやすい場所に配置することが好ましい。
【0063】
したがって、フィルター収納袋52を取り忘れたままで空気清浄機1の運転を開始した場合には、鳴り笛41Bの音がするので、使用者は異常があることに容易に気付くことができる。この結果、空気清浄機1自体の構成や仕様を変更することなく、フィルター収納袋52の取り外し忘れを検出して使用者に知らせることが可能となる。
【0064】
2.2 フィルター収納袋52Aの構成
図10Aは、本開示の第2実施形態の変形例に係るフィルター収納袋52Aに収納された脱臭フィルター31を示す平面図である。
図10Bは、
図10Aの下部側面の部分拡大図である。
【0065】
図10A及び
図10Bに示すように、例えば、フィルター収納袋52Aの貫通孔52aが下部側面に設けられ、その中間付近に鳴り笛41Bが配置されてもよい。このような構成でも、第2実施形態のフィルター収納袋52と同様の作用効果を奏する。
【0066】
本発明は、その主旨又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、空気清浄機及びフィルター収納袋などに利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 空気清浄機
11 第1流路
12 第2流路
20 ファンモーター
30 フィルター
31 脱臭フィルター
32 集塵フィルター
41 第1気流検出部
41B 鳴り笛
42 埃検出部
51 密閉袋
52 フィルター収納袋
100 空気清浄機本体
101 筐体
110 報知部
120 記憶部
130 制御部