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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001608
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】タンクローリ
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/22 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023112624
(22)【出願日】2023-06-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-23
(71)【出願人】
【識別番号】596080710
【氏名又は名称】株式会社青木製作所
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝昭
(57)【要約】
【課題】タンクローリに搭載するタンクに接続されるポンプや配管類のスペースを確保しながら、走行動力伝達系との干渉が回避できるタンクローリを提供する。
【解決手段】多数の種類の液体を充填するタンクローリ1のタンク6のコンテナ7を車両のシャーシ8に架台9を介して載置したタンクローリ1であって、前記架台9は前記シャーシ8の長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材10と、前記桁部材10の前後端に前記シャーシ8の幅方向に沿って配設する梁部材13とよりなり、前記タンクローリ1の走行輪2に動力伝達する車軸4を包囲して前記桁部材10と平行に並ぶ車軸ハウジング5と、走行駆動源の動力により前記タンク6内の液体を吸排出するポンプ20とを前記架台9の下方に備え、前記ポンプ20が前記車軸ハウジング5の一側方と前記桁部材10との間に配置されるよう前記桁部材10にブラケット40を介して支持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持することを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記ポンプを前記タンクより前記ポンプに向かい下方に傾斜する主配管と、前記桁部材に形成される開口を挿通する幅方向の副配管とに連通させ、前記副配管の一端に左側開閉バルブを、他端に右側開閉バルブを設けるとともに、前記副配管の中間に三方向切換バルブを設け、この三方向切換バルブを前記ポンプに接続することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続することを特徴とする請求項3に記載のタンクローリ。
【請求項5】
前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させることを特徴とする請求項4に記載のタンクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクに接続するポンプや配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタンクローリは、特許文献1に示すようにタンクローリのタンクを後ろ下がりに傾斜して設けるとともに、該タンクの底部に沿って送出管を配設し、該送出管をシャーシの後端部に設置したポンプにつなぎ、該ポンプによってタンク内の液体を外部に送り出すようにし、前記ポンプを駆動するためのモータは一般に前記ポンプの近くに設けられており、このために装置が大型化することになる。
【0003】
さらに、特許文献1ではタンクの収容液体を取扱うポンプの位置が後方になり、タンクの底部から延びる配管類が存在し、この配管類を保護するためタンクフレームの下面に支持フレームを介装し、この支持フレームに載置されたタンクを緊締部材により結着することでシャーシに固定している。
【0004】
このように、収容液体を取扱うポンプの位置が後方になるために、ポンプへの動力伝達用の駆動軸が長くなって振動やそれに伴う騒音発生の原因となるとともに、ポンプなどの装備機器を配設することによりシャーシも長くなって、タンクローリの運転時に後方確認のため必要以上の注意を要し、安全性を損なうことなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62-188484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、従来の問題点を解決しようとするもであって、タンクの液体を吸排出するポンプをタンクローリのエンジンなどの前記走行駆動源の近傍位置で、シャーシとタンクとの間の架台に配置して、タンクにおける底部に配設される配管類のスペースを確保しながらタンクローリにおける車高を低く設定し、タンクローリの重心を下げ対横転性能を向上させるとともに、タンクの荷重を剛性の大きな架台に搭載することができ、タンクローリの運転の安全性を計ことに寄与するタンクローリを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0008】
請求項1に記載の発明は、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持することを特徴とするタンクローリである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ポンプを前記タンクより前記ポンプに向かい下方に傾斜する主配管と、前記桁部材に形成される開口を挿通する幅方向の副配管とに連通させ、前記副配管の一端に左側開閉バルブを、他端に右側開閉バルブを設けるとともに、前記副配管の中間に三方向切換バルブを設け、この三方向切換バルブを前記ポンプに接続することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出することを特徴とする請求項1に記載のタンクローリである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続することを特徴とする請求項3に記載のタンクローリである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させることを特徴とする請求項4に記載のタンクローリである。
【発明の効果】
【0013】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0014】
請求項1に記載の発明では、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持するので、前記タンクの底部と前記シャーシとの狭い空間に前記ポンプや前記タンク内の液体が流通する主配管が配置されるともに、前記タンクローリの走行途中において前記車軸ケーシングが上下にバウンドしても前記ポンプや前記車軸を損傷することがなく安全に運転することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、前記ポンプを前記タンクより前記ポンプに向かい下方に傾斜する主配管と、前記桁部材に形成される開口を挿通する幅方向の副配管とに連通させ、前記副配管の一端に左側開閉バルブを、他端に右側開閉バルブを設けるとともに、前記副配管の中間に三方向切換バルブを設け、この三方向切換バルブを前記ポンプに接続するので、前記三方向切換バルブの前記主配管の閉塞により、前記タンク外に排出した後の液体が前記副配管には残留しなくなり、さらに前記主配管を前記タンクより傾斜させて前記タンク内の液体を速やかに排出させて液体の滞留を防止する。
【0016】
請求項3に記載の発明では、前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出するので、前記ポンプの前記ヘッドバルブと前記桁部材とが近接することになり、前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出する前記操作軸が短縮化できて前記ヘッドブルブの操作が容易になる。
【0017】
請求項4に記載の発明はでは、前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続するので、前記ポンプの左右幅をコンパクト化でき、前記ポンプが小型になると前記タンクの底部と前記シャーシとの狭い空間に前記ポンプや前記タンク内の液体が流通する前記主配管が配置できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させるので、前記ポンプと前記ヘッドバルト間の液体の流通が支障なく円滑となるとともに、前記ヘッドバルブに簡単で容易に取り付けることができ、コストが安価できわめて実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明におけるタンクローリを示す概略図。
図2】この発明におけるタンクローリの架台を示す平面図。
図3】この発明におけるポンプの支持を示す側面図。
図4】この発明におけるタンク下方の配管構造を示す平面図。
図5】この発明におけるヘッドバルブの要部縦断面図。
図6】この発明におけるロータリー式のポンプの断面図。
図7図6におけるA-A線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明におけるタンクローリの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0021】
この発明における第1の実施の形態を、図1および図5に基づいて説明する。
図1はタンクローリ1の一例を示すもので、符号6で示されるタンクは、内部に食糧品流体原料、食品油原料、流体化学薬品、溶剤等を充填し、前記タンクローリ1のシャーシ8に対して前記タンク6の軸線が水平姿勢になるように搭載される。
【0022】
前記タンクローリ1は、エンジンなどの前記走行用駆動源3から車軸4により駆動する走行輪2を備え、前記車軸4は車軸ハウジング5で包囲され、この車軸ハウジング5を前記シャーシ8の幅方向中央を前後に配置する。
【0023】
前記タンク6を囲むコンテナ枠7aよりなるコンテナ7を前記シャーシ8に架台9を介して載置し、前記架台9は前記シャーシ8の長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材10と、前記桁部材10の前後端に前記シャーシ8の幅方向に沿って配設する梁部材13とよりなる。
【0024】
前記桁部材10は断面中空四角形状の下側桁部材11と、その上面に積み重ね配置した上側桁部材12とよりなり、前記上側桁部材12は前部上側桁部材12aと後部上側桁部材12bとに分割し、前記前部上側桁部材12aと前記後部上側桁部材12bとは所定の開口12cを有するように前記下側桁部材11の上面に溶着する。
【0025】
前記前部上側桁部材12aおよび前記後部上側桁部材12bを断面中空長方形状とし、その長辺を中空正四角形状の前記下側桁部材11の一辺より大きくして、前記下側桁部材11および前記上側部材12の両端は前記梁部材13に溶接され、一体に接合して前記架台9の全体を補強する。
【0026】
これにより、前記タンクローリ1の走行時の揺れに伴って、前記架台9の前後幅方向にいくにつれて大きな曲げ力が作用しても、このような前記下側桁部材11と前記上側桁部材12との接合及び梁部材13との接合により、前記曲げ力に抗することができる。
【0027】
前記前部上側桁部材12aおよび前記後部上側桁部材12bのそれぞれ左右を前記梁部材13と平行な複数の横架部材14にて連結し、これにより、前記架台9の中中央側の強度を保持させるようにしている。
【0028】
前記架台9の前記桁部材10の前記下側桁部材11にブラケット40を介してロータリー式のポンプ20を支持し、このポンプ20を前記車軸ハウジング5の一側方と前記桁部材10との間に配置する。
【0029】
前記ポンプ20は前記タンクローリ1のエンジンなどの前記走行用駆動源3からPTO方式の伝達機構(図示せず)を介して前記駆動軸21により伝達される。前記ポンプ20の前記駆動軸21を前記車軸ハウジング5と平行にする。
【0030】
前記タンク6下部には、数ヶ所の出口より前記ポンプ20に向かい下方に傾斜して前記タンク6内の液体が流通する主配管15を配置し、これにより主配管15内での液体の滞留をし難くしている。
【0031】
前記主配管15は前記ポンプ20を介して副配管16aに連通し、この幅方向の副配管16aは前記桁部材10に形成される前記開口12cを挿通し、前記後部上側桁部材12bの前方になる位置の前記下側桁部材11の上面に固定する。
【0032】
前記副配管16aの一端には左側開閉バルブ18aを、他端には右側開閉バルブ18bを設けるとともに、前記副配管16aの中間により分岐する補助配管16bに前記タンク6の後部に配置される後側開閉バルブ18cを設け、前記左側開閉バルブ18aと前記右側開閉バルブ18bおよび前記後側バルブ18cとの操作によりタンクローリ1の両側と後側の3箇所において前記タンク1内の液体などが流出する。
【0033】
このようにタンクローリ1の側方2箇所と後方とより液体の排出作業ができ、これにより、タンクローリ1の停止位置及び停止方向に制約されることなく、タンクローリ1の任意の箇所、例えば、タンク1の両側部及び後部においてタンク6内からの液体の抜き取りができる。
【0034】
前記副配管16aの中間に一対の三方向切換バルブ19a、19bを設け、左側の前記三方向切換バルブ19bに前記ポンプ20より吐出する液体が流通する前記中継管17を接続し、右側の前記三方向切換バルブ19aには前記後側開閉バルブ18cを設ける前記補助配管16bを接続する。
【0035】
前記タンク6内の液体の排出作業において、前記右側開閉バルブ18bより排出する際は、左側の前記三方向切換弁19aの左側開閉バルブ18a方向を閉じるとともに、右側の前記三方向切換弁19bの後側開閉バルブ18c方向を閉じ、前記ポンプ20より前記副配管16aに流通させる。
【0036】
そして、前記左側開閉バルブ18aより排出する際は、右側の前記三方向切換弁19bの前記右側開閉バルブ18a方向を閉じ、左側の前記三方向切換弁19aを開き、前記ポンプ20より前記副配管16aに流通させる。
【0037】
さらに、後側開閉バルブ18cより排出する際は、左側の前記三方向切換弁19aの前記左側開閉バルブ18a方向を閉じ、右側の前記三方向切換弁19bの前記右側開閉バルブ18a方向を閉じるとともに右側の前記三方向切換弁19bの前記後側開閉バルブ18c方向を開き、前記ポンプ20より前記副配管16aに流通させる。
【0038】
このように、左側の前記三方向切換弁19aおよび右側の前記三方向切換弁19bにより、前記タンク6からの液体を効果的に排出でき、前記主配管19aおよび前記副配管19bに残留することがなく、前記主配管15を前記ポンプ20に向かい下方に傾斜することに相乗して前記タンク6内の液体が滞留することを防止できる。
【0039】
次に、ロータリー式の前記ポンプ20は、第6図に示す通り、ロータ22、前記駆動軸21に連結するエキセントリック軸23、ポンプケース25および偏心ギア群(固定ギアとローターギアの噛み合い)24を主要構成体とし、前記ロータ22の外形にハイポトロコイド曲線を、前記ポンプケース25の内形にその外包絡線を用いた前記ポンプ20である。
【0040】
前記ロータ22および前記ポンプケース25は、固定ギアとローターギアの比を2:3に設定したとき、その形状は自動的に決定される形である。このまゆ形の前記ポンプケース25は上下作動室25a、25bの二室を持ち各々独立に作動可能である。
【0041】
前記上下作動室25a、25bは、前記ポンプケース25の短軸部の二ケ所に前記ロータ22の外周部を摺動するメカニカルシール(図示せず)を設けることにより、より完全な前記上下作動室25a、25b間の分離をする。
【0042】
前記両作動室25a、25bを前記エキセントリック軸23と前記偏心ギア群24によって回転を制御された前記ロータ22が通過するとき、前記ロータ22は前記ポンプケース25の内周面と常に三点を接しながら回転し、前記両作動室25a、25bは前記ロータ22により拡大縮小を周期的に繰り返す。
【0043】
前記ポンプケース25には、各作動室25a、25bに吸入ポート25cと吐出ポート25dを設け、液体の吸入および排出を行う。また、前記ロータ22の回転は前記吸入ポート25cおよび前記吐出ポート25dの弁の役割も兼ねる。
【0044】
前記吸入ポート25cは前記ポンプケース25の左外側面26に一体に形成する断面長方形状の吸入通路28に連通し、前記吐出ポート25dは右外側面27に一体に形成する断面長方形状の排出通路29に連通する。なお、前記吸入通路28および前記排出通路29の断面長方形状の長辺になるよう前記ポンプケース25の左右外側面26、27に一体に形成する。
【0045】
前記ポンプ20の上部にヘッドバルブ30が連結され、このヘッドバルブ30のバルブケーシング31には前記主配管15に連通する主配管接続部31aと、前記中継管17に連通する中継接続部31bとを有する。
【0046】
前記ヘッドバルブ30の前記バルブケーシング31の下部に前記ポンプ20の前記吸入通路28および前記排出通路29にそれぞれ連通する吸入路31cと排出路31dを設ける。
【0047】
前記バルブケーシング31の上部に縦断面略U字状のバルブ体32を回転自在に配設し、このバルブ体32に、前記排出通路29を左右の前記主配管接続部31aまたは中継管接続部31bまたは下端出口35aに選択的に連通させる流通路31eを形成する。
【0048】
前記バルブ体32にハンドル32bを有する操作軸32aを一体的に連結し、この操作軸32aは前記ポンプ20の前記駆動軸21に対して直交させ、前記桁部材10の貫通孔12cを挿通して前記シャーシ8の外側方まで突出する。
なお、符号33は排出路31d側の高圧液体を吸入路31c側に逃がすための圧力調整弁である。
【0049】
前記ポンプ20と前記ヘッドバルブ30との間に接続部材34を介在し、この接続部材34には下端出入口35a、36aと上端出入口35b、36bを有する流入路35と流出路36を穿設する。
【0050】
前記流入路35と前記流出路36との前記下端出入口35a、36aは、前記ポンプ20の前記吸入通路29と前記排出通路28に連通し、前記流入路35と前記流出路36との前記上端出入口35b、36bは、前記ヘッドバルブ30の前記吸入路31cと前記排出路31dに連通する。
【0051】
前記流入路35および前記流出路36の下端出入口36a、35aを断面長方形状にするとともに、前記流入路および前記流出路の上端出入口36b、35bを断面円形状にし、前記流入路35および前記流出路36の通路断面形状が順次変化してなる。
【0052】
前記接続部材34により前記ポンプ20と前記ヘッドバルブ30との間で液体の流通が支障なく円滑となり、既成のヘッドバルブ30に簡単容易に取り付けることができ、コストが安価できわめて実用的である。
【0053】
前記前部上側桁部材12aおよび前記後部上側桁部材12bの前後に溶接する前記梁部材13の延長部13aとの交差隅には、前記架台9を補強する筋交い部材37が連結される。
【0054】
前記梁部材13の延長部13aの両端には、前記コンテナ枠7aを係脱可能に係止するための四角錐形状の突起38がそれぞれ設けられている。前記コンテナ7の前記架台9への搭載時には、前記コンテナ枠7aの下部四隅の底面の開口(図示せず)を前記突起38に挿入し、前記コンテナ枠7aを前記架台9に着脱可能に係止する。
【0055】
なお、前記シャーシ8の後端には、品名や標識等が記載された表示板が取り付けられたバンパー39が配備され、このバンパー39より前方に前記後側開閉バルブ18cが位置し、後方よりタンクローリ1内の液体の排出作業ができる。
【0056】
前記タンク6と前記架台9の狭い空間に前記ポンプ20および前記主配管15と前記中継管17を接続する前記副配管16aとを配置できて前記タンク6の全体の高さが低くなり、前記タンク6における底部から配設される配管類のスペースを確保させるとともに、前記タンク6の荷重が前記シャーシ8に対して確実に支持されて前記タンクローリ1における車高を低く設定できる。
【0057】
以上の構成におけるタンクローリは、多数の種類の液体を充填するタンクローリ1のタンク6のコンテナ7を車両のシャーシ8に架台9を介して載置したタンクローリ1であって、前記架台9は前記シャーシ8の長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材10と、前記桁部材10の前後端に前記シャーシ8の幅方向に沿って配設する梁部材13とよりなり、前記タンクローリ1の走行輪2に動力伝達する車軸4を包囲して前記桁部材10と平行に並ぶ車軸ハウジング5と、走行駆動源3の動力により前記タンク6内の液体を吸排出するポンプ20とを前記架台9の下方に備え、前記ポンプ20を前記車軸ハウジング5の一側方と前記桁部材10との間に配置されるよう前記桁部材10にブラケット40を介して支持するので、前記タンク6の底部と前記シャーシ8との狭い空間に前記ポンプ20や前記タンク6内の液体が流通する前記主配管15が配置されるともに、タンクローリ1の走行途中において前記車軸ケーシング5が上下にバウンドしても前記ポンプケース25や前記車軸4を損傷することがなく安全に運転することができる。
【0058】
特に、前記ポンプ20の取付けにあたって前記車軸ケーシング5が障害となったり、前記架台9に特別な加工を施さなければならないことがなく、タンクローリ1の前記シャーシ8に殆ど加工を施す必要がなく、既成のタンクローリに簡単容易に取り付けることができ、きわめて実用的である。
【0059】
また、前記タンク6とシャーシ8の狭い空間に前記ポンプ20および前記主配管15や前記副配管16aを配置でき、タンクローリ1の全体の高さが低くなり、前記タンク6の底部から延設される配管類のスペースが確実に確保させる。
【0060】
さらに、タンクローリ1の前記タンク6内の液体を流出させる前記ポンプ20をタンクローリ1における前記走行用駆動源3の近傍位置に装備できるようになり、前記ポンプ20がタンクローリ1の後端部に配置されている場合に比べて、車両前部に配置されるエンジンなどの前記走行用駆動源3からの動力伝達経路および、その動力を断続する操作経路を短くすることが可能になる。
【0061】
これにより、前記ポンプ20を駆動するための伝達系を小規模なものにすることができ、それによるコストや重量軽減効果、並びに動力伝達効率の改善効果を得ることができる。
【0062】
また、前記ポンプ20の前記ポンプケース25と前記ヘッドバルブ30との間に前記接続部材34を介在して前記ヘッドバルブ30を前記桁部材10に近接させるので、前記ポンプ20の前記ヘッドバルブ30と前記桁部材10との間が狭い間隔になり、前記ポンプ20を作動する前記駆動軸21に対して直交する前記ヘッドバルブ30の前記操作軸33が前記桁部材10を貫通して前記シャーシ8の外側方まで突出することにより、前記操作軸33が短縮化できて前記ヘッドブルブ30の操作が容易になる。
【0063】
しかも、前記ポンプ20の前記ポンプケース25の左右側面に断面長方形状の前記吸入通路28と前記排出通路29とを一体に形成して左右幅を短縮し、前記吸入通路28と前記排出通路29とを前記接続部材34に設ける流入路35と前記流出路36に接続するので、前記ポンプ20の左右幅をコンパクト化でき、前記ポンプ20が小型になると前記タンク6の底部と前記シャーシ8との狭い空間に前記ポンプ20や前記タンク6内の液体が流通する前記主配管15が配置できる。
【0064】
そして、前記接続部材34の前記流入路35および前記流出路36の前記ポンプ20側となる前記下部出入口35a、36aを断面長方形状にして前記流入路35および前記流出路36の断面形状を順次変化させることにより、管路抵抗の増加を防止でき、前記ロータリーポンプ20と前記ヘッドバルト30と間の液体の流通が円滑となり、前記接続部材34の前記流入路35および前記流出路36の断面形状が複雑な形状ではないため接続部材34が製造し易く、既製のヘッドバルブに簡単で容易に取り付けることができ、コストが安価できわめて実用的である。
【0065】
さらに、前記前部上側桁部材12aおよび前記後上側桁部材12bのそれぞれ左右を連結する前記横架部材14により前記架台9の強度が増大するとともに、前記タンク6内の液体が通過する前記主配管15および前記中継管17が接続される前記副配管16aを前記架台9に支持できるとともに、前記タンク6における底部から延設される配管類のスペースが確保させる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明は、タンクローリに搭載するタンクに接続されるポンプや配管類のスペースを確保しながら走行動力伝達系との干渉が回避できるタンクローリを提供する。
【符号の説明】
【0067】
1 タンクローリ
2 走行輪
3 走行駆動源
4 車軸
5 車軸ハウジング
6 タンク
7 コンテナ
7a コンテナ枠
8 シャーシ
9 架台
10 桁部材
11 下側桁部材
12 上側桁部材
12a 前部上側桁部材
12b 後部上側桁部材
12c 開口
12d 貫通孔
13 梁部材
13a 延長部
14 横架部材
15 主配管
16a 副配管
16b 補助副配管
17 中継管
18a 左側開閉バルブ
18b 右側開閉バルブ
18c 後側開閉バルブ
19a、19b 三方向切換バルブ
20 ロータリー式のポンプ
21 駆動軸
22 ロータ
23 エキセントリック軸
24 偏心ギア群
25 ポンプケース
25a 上作動室
25b 下作動室
25c 吸入ポート
25d 吐出ポート
26 左外側面
27 右外側面
28 吸入通路
29 排出通路
30 ヘッドバルブ
31 バルブケーシング
31a 主管接続部
31b 中継管接続部
31c 吸入路
31d 排出路
31e 流通路
32 バルブ体
32a 操作軸
32b ハンドル
33 圧力調整バルブ
34 接続部材
35 流入路
36 流出路
35a、36a 下端出入口
35b、36b 上端出入口
37 筋交部材
38 突起
39 バンパー
40 ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持し、前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出し、前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続することを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させることを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1に記載の発明は、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持し、前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出し、前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続することを特徴とするタンクローリである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させることを特徴とする請求項1に記載のタンクローリである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項1に記載の発明では、多数の種類の液体を充填するタンクローリのタンクのコンテナをシャーシに架台を介して載置したタンクローリであって、前記架台は前記シャーシの長手方向に沿って配設する左右一対の桁部材と、前記桁部材の前後端に前記シャーシの幅方向に沿って配設する梁部材とよりなり、
前記タンクローリの走行輪に動力伝達する車軸を包囲して前記桁部材と平行に並ぶ車軸ハウジングと、走行駆動源の動力により前記タンク内の液体を吸排出するポンプとを前記架台の下方に備え、前記ポンプが前記車軸ハウジングの一側方と前記桁部材との間に配置されるよう前記桁部材にブラケットを介して支持し、前記ポンプのポンプケースの上部にヘッドバルブを連結し、前記ポンプケースと前記ヘッドバルブとの間に接続部材を介在して前記ヘッドバルブを前記桁部材に近接させ、前記ポンプを作動する駆動軸に対して直交する前記ヘッドバルブの操作軸が前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出し、前記ポンプケースの左右側面に断面長方形状の吸入通路と排出通路とを一体に形成して前記ポンプケースの左右幅を短縮し、前記吸入通路と前記排出通路とを前記接続部材に設ける流入路と流出路に接続するので、前記タンクの底部と前記シャーシとの狭い空間に前記ポンプや前記タンク内の液体が流通する主配管が配置されるともに、前記タンクローリの走行途中において前記車軸ケーシングが上下にバウンドしても前記ポンプや前記車軸を損傷することがなく安全に運転することができ、前記ポンプの前記ヘッドバルブと前記桁部材とが近接することになり、前記桁部材を貫通して前記シャーシの外側方まで突出する前記操作軸が短縮化できて前記ヘッドブルブの操作が容易になり、前記ポンプの左右幅をコンパクト化でき、前記ポンプが小型になると前記タンクの底部と前記シャーシとの狭い空間に前記ポンプや前記タンク内の液体が流通する前記主配管が配置できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項2に記載の発明では、前記接続部材の前記流入路および前記流出路の前記ポンプ側となる下部出入口を断面長方形状にし、前記ヘッドバルブ側となる上部出入口を断面円形状になるように前記流入路および前記流出路の断面形状を順次変化させるので、前記ポンプと前記ヘッドバルト間の液体の流通が支障なく円滑となるとともに、前記ヘッドバルブに簡単で容易に取り付けることができ、コストが安価できわめて実用的である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】