(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025160897
(43)【公開日】2025-10-23
(54)【発明の名称】磁気又は誘導センサ
(51)【国際特許分類】
F15B 15/28 20060101AFI20251016BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20251016BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20251016BHJP
【FI】
F15B15/28 C
G01D5/14 E
G01B7/00 101Z
F15B15/28 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025062790
(22)【出願日】2025-04-04
(31)【優先権主張番号】10 2024 109 940.2
(32)【優先日】2024-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーレ アルミン
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
3H081
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA30
2F063BB10
2F063BC02
2F063CA04
2F063CA08
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2F077AA38
2F077CC02
2F077JJ03
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077TT66
3H081AA03
3H081CC01
3H081CC22
3H081CC23
3H081CC25
3H081DD02
3H081DD38
3H081FF03
3H081GG05
3H081GG15
3H081GG22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スイッチ点のより良い設定方法及びそれに相当する磁気又は誘導センサの提供。
【解決手段】磁気又は誘導センサ1を用いてピストン5の磁石4の位置を特定する方法であって、ピストン5の磁石4を捕えることでストローク長6に沿ったピストン位置を捕らえることができるセンサ素子3と、センサ素子3を評価する制御及び評価ユニット7とを備えており、その都度の最初の最大のピストン位置8と最初の最小のピストン位置9が磁気又は誘導センサ1により捕らえられ、最大のピストン位置8及び最小のピストン位置9にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、制御及び評価ユニット7が各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力10又はインターフェイスに出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケーシング(2)と、それを用いてピストン(5)の磁石(4)を捕らえることができ、それによりストローク長(6)に沿ったピストン位置を捕らえることができる少なくとも1つのセンサ素子(3)と、前記少なくとも1つのセンサ素子(3)を評価するように構成され、該センサ素子を用いてストローク長(6)に沿ったピストン位置を特定可能である制御及び評価ユニット(7)とを備える磁気又は誘導センサ(1)において、その都度の最初の最大のピストン位置(8)と最初の最小のピストン位置(9)が前記センサ(1)により捕らえられ、該最大のピストン位置(8)及び該最小のピストン位置(9)にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、前記制御及び評価ユニット(7)が各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力(10)又はインターフェイスに出力するように構成されていることを特徴とする磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項2】
前記制御及び評価ユニット(7)が前記スイッチ点のための記憶部(11)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項3】
前記制御及び評価ユニット(7)が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのスイッチ投入領域(12)を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が該制御及び評価ユニット(7)により該スイッチ投入領域(12)の内側でオンにされることを特徴とする請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項4】
前記制御及び評価ユニット(7)が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのヒステリシス領域(13)を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が該制御及び評価ユニット(7)により前記スイッチ投入領域(12)の外側且つ前記ヒステリシス領域(13)の外側でオフにされることを特徴とする請求項3に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項5】
前記制御及び評価ユニット(7)が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つの許容領域(14)を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が該制御及び評価ユニット(7)により該許容領域(14)の外側でリセットされることを特徴とする請求項3に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項6】
前記制御及び評価ユニット(7)が、前記スイッチ投入領域(12)、前記ヒステリシス領域(13)及び/又は前記許容領域(14)の長さを、捕らえられたストローク長(6)の長さに応じて設定するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項7】
前記インターフェイスがI/O-Link式インターフェイスであることを特徴とする請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項8】
前記制御及び評価ユニット(7)が、該制御及び評価ユニット(7)により捕らえられた前記ピストン(5)の速度が終端位置の間の中間位置においてゼロになったら該中間位置にスイッチ点を割り当てるように構成されている請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項9】
前記制御及び評価ユニット(7)がマイクロコントローラ内で実装されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)。
【請求項10】
空気圧又は油圧式シリンダにおけるピストン終端位置を特定するための、請求項1に記載の磁気又は誘導センサ(1)の使用。
【請求項11】
磁気又は誘導センサ(1)を用いてピストン(5)の磁石(4)の位置を特定する方法であって、前記センサが、少なくとも1つのケーシング(2)と、それを用いてピストンの前記磁石(5)を捕らえることができ、それによりストローク長(6)に沿ったピストン位置を捕らえることができる少なくとも1つのセンサ素子(3)と、前記少なくとも1つのセンサ素子(3)を評価する制御及び評価ユニット(7)とを備えており、該センサ素子を用いて前記ストローク長(6)に沿ったピストン位置が特定される方法において、その都度の最初の最大のピストン位置(8)と最初の最小のピストン位置(9)が前記センサ(1)により捕らえられ、該最大のピストン位置(8)及び該最小のピストン位置(9)にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、前記制御及び評価ユニット(7)が各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力(10)又はインターフェイスに出力することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の磁気又は誘導センサ、請求項11のプレアンブルに記載の磁気又は誘導センサを用いた方法、及び請求項10に記載の磁気又は誘導センサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、作動シリンダのケーシング上にしばしば配置される磁気又は誘導センサに関係がある。このようなセンサは、例えば作動シリンダ内の空気圧又は油圧式ピストンの位置を非接触で捕らえることにより正確な位置を特定する上で有効であることが実証されている。そのために作動シリンダのケーシングの外側表面上に案内溝が設けられ、その中に磁場センサが軸方向に位置調節可能に保持され、調整後に案内溝内でロックされる。これは例えば特許文献1及び特許文献2から知られている。こうして調整されて固定されたセンサがピストンの位置に応じてスイッチ信号を出力する。大抵はピストンの押し込まれた終端位置と引き出された終端位置が捕らえられることになる。
【0003】
このようなセンサは例えば特許文献3から知られている。該文献には例えば2つの電子的なスイッチ閾値を設定することにより2つのスイッチ点を設定できるセンサが記載されており、該センサは原理的にはピストン位置に対応する信号を出力できるように構成されている。スイッチ閾値は別の処理ステップにおいて、機械的に(例えばポテンショメータの位置によって)設定されるか又はソフトウェア的に一度に設定される。
【0004】
特許文献4はセンサ(特に磁気又は誘導センサ)のスイッチ点を設定する方法、特にピストンの終端位置の位置を特定する方法を開示している。この方法では、ピストン位置がセンサにより繰り返し捕らえられ、頻度評価が行われ、ピストンのストローク運動が予め定められた回数になった後、同じ測定値がたびたび生じるピストン位置にスイッチ点が割り当てられる。
【0005】
特許文献5は少なくとも1つのセンサ素子を用いて測定区間に沿った発信磁石の直線的な相対運動を非接触で磁気的に捕らえるためのセンサを開示している。このセンサではセンサ素子が発信磁石の磁場の少なくとも1つの成分を捕らえ、該センサ素子は測定区間より短く、制御及び評価ユニットが電子的にセンサ素子に接続されており、該制御及び評価ユニットは位置信号を生成するように構成されており、該制御及び評価ユニットは該位置信号の一次の時間導関数を求めるように構成されており、該位置信号の一次の時間導関数がゼロのときに終端位置信号が出力可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 196 43 413 A1
【特許文献2】DE 196 53 222 A1
【特許文献3】DE 10 2004 046 107 A1
【特許文献4】DE 10 2007 029 488 A1
【特許文献5】DE 10 2017 128 548 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来技術から出発した本発明の課題は、スイッチ点のより良い設定方法及びそれに相当するセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は請求項1に記載の磁気又は誘導センサを用いて解決される。該センサは、少なくとも1つのケーシングと、それを用いてピストンの磁石を捕らえることができ、それによりストローク長に沿ったピストン位置を捕らえることができる少なくとも1つのセンサ素子と、前記少なくとも1つのセンサ素子を評価するように構成され、該センサ素子を用いて前記ストローク長に沿ったピストン位置を特定可能である制御及び評価ユニットとを備えており、その都度の最初の最大のピストン位置と最初の最小のピストン位置が前記センサにより捕らえられ、該最大のピストン位置及び該最小のピストン位置にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、前記制御及び評価ユニットが各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力又はインターフェイスに出力するように構成されている。
【0009】
前記課題は更に請求項11に記載の、磁気又は誘導センサを用いてピストンの磁石の位置を特定する方法により解決される。該センサは、少なくとも1つのケーシングと、それを用いてピストンの前記磁石を捕らえることができ、それによりストローク長に沿ったピストン位置を捕らえることができる少なくとも1つのセンサ素子と、前記少なくとも1つのセンサ素子を評価する制御及び評価ユニットとを備えており、該センサ素子を用いて前記ストローク長に沿ったピストン位置が特定され、その都度の最初の最大のピストン位置と最初の最小のピストン位置が前記センサにより捕らえられ、該最大のピストン位置及び該最小のピストン位置にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、前記制御及び評価ユニットが各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力又はインターフェイスに出力する。
【0010】
最初の最大のピストン位置及び最初の最小のピストン位置はピストンの終端位置に対応している。最初の最小のピストン位置はピストンの第1の終端位置に対応し、最初の最大のピストン位置はピストンの第2の終端位置に対応している。つまり、各終端位置はそれぞれピストン・シリンダ装置の最大ストロークの各終端にある。
【0011】
最初の最大のピストン位置は、制御及び評価ユニットにより、例えばピストンがピストン終端位置においてその方向を変えることによって特定される。また、例えば最大のピストン位置をピストンがこの終端位置において速度ゼロを示すことによって確定することもできる。ここに挙げた2つの条件をAND結合することもでき、そうすると、最初の最大のピストン位置は、制御及び評価ユニットにより、例えばピストンがピストン終端位置においてその方向を変えるとともに該ピストンがこの終端位置において速度ゼロを示すことによって特定される。
【0012】
最初の最小のピストン位置は、制御及び評価ユニットにより、例えばピストンがピストン終端位置においてその方向を変えることによって特定される。また、例えば最小のピストン位置をピストンがこの終端位置において速度ゼロを示すことによって確定することもできる。ここに挙げた2つの条件をAND結合することもでき、そうすると、最初の最小のピストン位置は、制御及び評価ユニットにより、例えばピストンがピストン終端位置においてその方向を変えるとともに該ピストンがこの終端位置において速度ゼロを示すことによって特定される。
【0013】
本発明によれば、最初のストロークで既に最初の終端位置信号を出力することができる。終端位置に何度も行って頻度分析を行う必要はない。別の利点は、終端位置信号が常に最初から正確に移動の終点において出力されるということである。スイッチ点の確定をユーザの行為(例えばキー操作又は学習信号)により開始する必要はない。本センサは入力素子なしで済む。本発明によればセンサを非常に簡単に取り付けることができる。両方の終端位置を単一のセンサで捕らえることができる。
【0014】
本発明によれば、終端位置にあるスイッチ点が非常に正確で且つ温度安定性がある。更に、スイッチ点が寿命による発信磁石の残留磁気損失に対して頑強であるとともにシリンダの機械的な許容差に対して頑強である。
【0015】
例えば、ストロークが例えば50mm未満の空気圧シリンダはほとんどの場合、2つの状態、即ち、ピストンがいっぱいに押し込まれているかいっぱいに引き出されている状態で駆動される。ピストン位置はピストン上にある磁石若しくは発信磁石を通じて認識され、終端位置におけるその磁場がセンサ素子若しくは磁場センサにより検出される。
【0016】
センサ素子は例えばホール素子である。一例ではセンサ素子が発信磁石の磁場の一成分を捕らえ、制御及び評価ユニットが例えば連続的で単調な測定信号を生成するように構成されている。
【0017】
一例ではセンサ素子が発信磁石の2つの互いに直交する磁場成分を捕らえ、制御及び評価ユニットが例えば連続的で単調な測定信号を生成するように構成されている。
【0018】
磁気又は誘導センサのケーシングは例えば、ピストン・シリンダ装置の溝の中、部分的に溝の中、又は溝の上に固定されるように構成されている。このためにケーシングは例えば細長い形をしており、センサのケーシングを溝の中、部分的に溝の中、又は溝の上で固定するための固定手段を有している。固定手段は例えば固定ネジである。
【0019】
また、特にケーシング、そして特にセンサ素子は例えばピストンのストローク長よりも短い。
【0020】
センサを溝の中でずらすと、各終端位置が変わるため、その都度の最初の最大のピストン位置と最初の最小のピストン位置の特定がセンサにより新たに捕らえられ、その最大のピストン位置及び最小のピストン位置にそれぞれスイッチ点が新たに割り当てられ、これによりスイッチ点の特定が再び行われる。
【0021】
センサが溝から外され及び/又は新たな駆動装置に取り付けられると、該センサは位置の喪失若しくは終端位置の変化を認識し、それ故、前記プロセスを新たに開始することができる。これによりその都度の最初の最大のピストン位置及び最初の最小のピストン位置がセンサにより新たに捕らえられ、最大のピストン位置及び最小のピストン位置にそれぞれスイッチ点が新たに割り当てられ、これによりスイッチ点の特定が再び行われる。
【0022】
一例では、前記センサがデジタル出力及び/又はアナログ出力を備えている。デジタル出力は例えばデジタル式のスイッチ出力とすることができる。しかし、測定値又はスイッチ点を出力するためのデジタル式インターフェイスを設けることもできる。
【0023】
アナログ出力は例えば、電流出力が例えば4~20mAであるインターフェイスとすることができる。
【0024】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが少なくとも前記スイッチ点のための記憶部を備えている。この記憶部若しくはスイッチ点記憶部は例えば不揮発性メモリ、特にEEPROM又はフラッシュメモリである。
【0025】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのスイッチ投入領域を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が制御及び評価ユニットにより該スイッチ投入領域の内側でオンにされる。スイッチ投入領域はストローク長に沿って一部領域にわたって延在しており、最大又は最小のピストン位置より前から始まって最大又は最小のピストン位置で終わる。スイッチ投入領域は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニットにより設定される。
【0026】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのヒステリシス領域を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が制御及び評価ユニットにより前記スイッチ投入領域の外側且つ前記ヒステリシス領域の外側でオフにされる。
【0027】
ヒステリシス領域はストローク長に沿って一部領域にわたって延在しており、最大又は最小のピストン位置のスイッチ投入領域より前から始まる。ヒステリシス領域は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニットにより設定される。
【0028】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つの許容領域を有効化するように構成されており、前記スイッチ信号が制御及び評価ユニットにより該許容領域の外側でリセットされる。
【0029】
許容領域はストローク長に沿って一部領域にわたって延在しており、最大又は最小のピストン位置より後ろから始まり、学習したピストンのストローク長より外側にある。許容領域は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニットにより設定される。
【0030】
測定された最大及び最小の終端位置は例えば第1のスイッチ点及び第2のスイッチ点として保存される。そして、それらスイッチ点の周りに制御及び評価ユニットにより各窓つまりはスイッチ投入領域、ヒステリシス領域及び許容領域が決定される。ピストンは通常、第1のスイッチ点と第2のスイッチ点の内側で動く。スイッチ出力はスイッチ投入領域の内側でオンになり、ヒステリシス領域の外側でオフになる。ピストンが許容領域を超えて外に出ると反対側のスイッチ点がリセットされ、超えた側のスイッチ点が新たに保存される。次にピストンが反対側に向かって動く際にもその新たなスイッチ点が同様に保存される。しかし、両方のスイッチ点を新たに保存できるようにするため、許容領域は次にそこへ向かうときまで有効化されない。
【0031】
無効な位置が認識されたら、スイッチ点若しくはスイッチ出力又は位置出力の目下の状態を維持することができる。その位置がより長い時間にわたって無効であったら、例えば保存されたスイッチ点がリセットされ、学習プロセスが新たに開始される。この時間遅延によりセンサは溶接プロセスの環境にあっても確実に機能することができる。
【0032】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが、スイッチ投入領域、ヒステリシス領域及び/又は許容領域の長さを、捕らえられたストローク長若しくはピストンストロークの長さに応じて設定するように構成されている。ストローク長が長い場合、スイッチ投入領域、ヒステリシス領域及び/又は許容領域の長さが制御及び評価ユニットによって長めに選ばれ、ストローク長が短い場合、スイッチ投入領域、ヒステリシス領域及び/又は許容領域の長さが制御及び評価ユニットによって短めに選ばれる。
【0033】
本発明の発展形態では前記インターフェイスがI/O-Link式インターフェイスである。例えば、デジタル式インターフェイスはI/O-Link式インターフェイスである。また、デジタル出力は市販のバスシステムにより構成されたものとすることができる。
【0034】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットが、該制御及び評価ユニットにより捕らえられたピストンの速度が終端位置の間の中間位置においてゼロになったら該中間位置にスイッチ点を割り当てるように構成されている。
【0035】
前記中間位置は制御及び評価ユニットにより、例えば、ピストンがピストン中間位置に静止していることによって決定される。例えば前記中間位置は、ピストンがこの終端位置において速度ゼロを示すこと、つまりセンサ素子のセンサ信号が所定の時間範囲内で変化しないことによって確定される。
【0036】
前記発展形態によれば既に最初のストロークで中間位置信号が出力される。中間位置に何度も行って頻度分析を行う必要はない。
【0037】
本発明の発展形態では制御及び評価ユニットがマイクロコントローラ内で実装されている。センサが非常に小さく、ケーシングが例えば1立方センチメートル程度又はそれ未満の非常に小さいケーシング体積を持つ場合、マイクロコントローラにはA/D変換器や統合インターフェース等の重要な周辺部品を既に備えているという利点がある。
【0038】
更に前記課題は、ストローク長に沿った可動ピストンを備える空気圧又は油圧式シリンダにおけるピストン終端位置を特定するための、先行する請求項のいずれかに記載の磁気又は誘導センサの使用により解決される。
【0039】
以下、本発明について、更なる利点及び特徴をも考慮しつつ、添付の図面を参照しながら実施例に基づいて詳しく説明する。図面の各図に示すものは次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の各図では同一の部分に同一の参照符号が付されている。
【0042】
図1は磁気又は誘導センサ1を示している。該センサは、少なくとも1つのケーシング2と、それを用いてピストン5の磁石4を捕らえることができ、それによりストローク長6に沿ったピストン位置を捕らえることができる少なくとも1つのセンサ素子3と、前記少なくとも1つのセンサ素子3を評価するように構成され、該センサ素子を用いてストローク長6に沿ったピストン位置を特定可能である制御及び評価ユニット7とを備えており、その都度の最初の最大のピストン位置8と最初の最小のピストン位置9がセンサ1により捕らえられ、該最大のピストン位置8及び最小のピストン位置9にそれぞれスイッチ点が割り当てられ、前記制御及び評価ユニット7が各スイッチ点をスイッチ信号としてスイッチ出力10又はインターフェイスに出力するように構成されている。
【0043】
最初の最大のピストン位置8及び最初の最小のピストン位置9はピストン5の終端位置に対応している。最初の最小のピストン位置9はピストン5の第1の終端位置に対応し、最初の最大のピストン位置8はピストン5の第2の終端位置に対応している。つまり、各終端位置はそれぞれピストン・シリンダ装置16の最大ストロークの各終端にある。
【0044】
最初の最大のピストン位置8は、制御及び評価ユニット7により、例えばピストン5がピストン終端位置においてその方向を変えることによって特定される。
【0045】
最初の最小のピストン位置9は、制御及び評価ユニット7により、例えばピストン5がピストン終端位置においてその方向を変えることによって特定される。
【0046】
ピストン位置はピストン5上にある磁石4若しくは発信磁石を通じて認識され、終端位置におけるその磁場がセンサ素子3若しくは磁場センサにより検出される。磁石4から出る磁場15が概略的に描かれている。
【0047】
センサ素子3は例えばホール素子である。一例ではセンサ素子3が発信磁石の磁場の一成分を捕らえ、制御及び評価ユニット7が例えば連続的で単調な測定信号を生成するように構成されている。
図3では例として2つのセンサ素子3が設けられている。例えばより多くのセンサ素子3を設けることもできる。
【0048】
磁気又は誘導センサ1のケーシング2は例えば、ピストン・シリンダ装置の溝の中、部分的に溝の中、又は溝の上に固定されるように構成されている。
【0049】
また、特にケーシング2、そして特にセンサ素子3は例えばピストン5のストローク長6よりも短い。
【0050】
センサ1を溝の中でずらすと、各終端位置が変わるため、その都度の最初の最大のピストン位置8と最初の最小のピストン位置9の特定がセンサ1により新たに捕らえられ、その最大のピストン位置8及び最小のピストン位置9にそれぞれスイッチ点が新たに割り当てられ、これによりスイッチ点の特定が再び行われる。
【0051】
センサ1が溝から外され及び/又は新たな駆動装置に取り付けられると、該センサは位置の喪失若しくは終端位置の変化を認識し、それ故、前記プロセスを新たに開始することができる。これによりその都度の最初の最大のピストン位置8及び最初の最小のピストン位置9がセンサ1により新たに捕らえられ、最大のピストン位置8及び最小のピストン位置9にそれぞれスイッチ点が新たに割り当てられ、これによりスイッチ点の特定が再び行われる。
【0052】
一例では制御及び評価ユニット7が少なくとも前記スイッチ点のための記憶部11を備えている。この記憶部11若しくはスイッチ点記憶部は例えば不揮発性メモリ、特にEEPROM又はフラッシュメモリである。
【0053】
図2では制御及び評価ユニット7が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのスイッチ投入領域12を有効化するように構成されており、スイッチ信号が制御及び評価ユニット7により該スイッチ投入領域12の内側でオンにされる。スイッチ投入領域12はストローク長6に沿って一部領域にわたって延在しており、最大のピストン位置8又は最小のピストン位置9より前から始まって最大のピストン位置8又は最小のピストン位置9で終わる。スイッチ投入領域12は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニット7により設定される。
【0054】
図2では制御及び評価ユニット7が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つのヒステリシス領域13を有効化するように構成されており、スイッチ信号が制御及び評価ユニット7によりスイッチ投入領域12の外側且つヒステリシス領域13の外側でオフにされる。
【0055】
ヒステリシス領域13はストローク長6に沿って一部領域にわたって延在しており、最大のピストン位置8又は最小のピストン位置9のスイッチ投入領域12より前から始まる。ヒステリシス領域13は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニット7により設定される。
【0056】
図2では制御及び評価ユニット7が、前記スイッチ点に付属して少なくとも1つの許容領域14を有効化するように構成されており、スイッチ信号が制御及び評価ユニット7により該許容領域14の外側でリセットされる。
【0057】
許容領域14はストローク長6に沿って一部領域にわたって延在しており、最大のピストン位置8又は最小のピストン位置9より後ろから始まり、学習したピストンのストローク長6より外側にある。許容領域14は算定されたピストン終端位置に基づいて制御及び評価ユニット7により設定される。
【0058】
測定された最大及び最小の終端位置は例えば第1のスイッチ点及び第2のスイッチ点として保存される。そして、それらスイッチ点の周りに制御及び評価ユニット7により各窓つまりはスイッチ投入領域12、ヒステリシス領域13及び許容領域14が決定される。ピストン5は通常、第1のスイッチ点と第2のスイッチ点の内側で動く。スイッチ出力10はスイッチ投入領域12の内側でオンになり、ヒステリシス領域13の外側でオフになる。ピストンが許容領域14を超えて外に出ると反対側のスイッチ点がリセットされ、超えた側のスイッチ点が新たに保存される。次にピストン5が反対側に向かって動く際にもその新たなスイッチ点が同様に保存される。しかし、両方のスイッチ点を新たに保存できるようにするため、許容領域14は次にそこへ向かうときまで有効化されない。
【0059】
一例では制御及び評価ユニット7が、スイッチ投入領域12、ヒステリシス領域13及び/又は許容領域14の長さを、捕らえられたピストンストローク若しくはストローク長6に応じて設定するように構成されている。ストローク長6が長い場合、スイッチ投入領域12、ヒステリシス領域13及び/又は許容領域14の長さが制御及び評価ユニット7によって長めに選ばれ、ストローク長6が短い場合、スイッチ投入領域12、ヒステリシス領域13及び/又は許容領域14の長さが制御及び評価ユニット7によって短めに選ばれる。
【0060】
一例では前記インターフェイスがI/O-Link式インターフェイスである。
【0061】
一例では制御及び評価ユニット7が、該制御及び評価ユニット7により捕らえられたピストン5の速度が終端位置の間の中間位置においてゼロになったら該中間位置にスイッチ点を割り当てるように構成されている。
【0062】
一例では制御及び評価ユニット7がマイクロコントローラにおいて実装されている。
【符号の説明】
【0063】
1…磁気又は誘導センサ
2…ケーシング
3…センサ素子
4…磁石
5…ピストン
6…ストローク長
7…制御及び評価ユニット
8…最大のピストン位置
9…最小のピストン位置
10…スイッチ出力
11…記憶部
12…スイッチ投入領域
13…ヒステリシス領域
14…許容領域
15…磁場
16…ピストン・シリンダ装置
【外国語明細書】