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特開2025-16091評価システム、処理装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016091
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】評価システム、処理装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20250124BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119133
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】木島 真一
(72)【発明者】
【氏名】松沢 航
(72)【発明者】
【氏名】清水 剛
(72)【発明者】
【氏名】澤野 悠一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境を多様化する。
【解決手段】推論装置11は、対象者20の生体パラメータの測定波形に対応する第一データD1を取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ第一データD1に当該確率が付与された第二データD2を生成する。処理装置12は、第二データD2に所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、かつ第二データD2に当該価値スコアが付与された第三データD3を生成する。表示装置13は、より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの第三データD3に基づく情報を表示する。前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、かつ当該第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成する処理装置と、
より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データに基づく情報を出力する出力装置と、
を備えており、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している、
評価システム。
【請求項2】
前記処理装置は、特定の時点で測定された前記生体パラメータについて生成された前記第二データと、当該特定の時点よりも前に測定された前記生体パラメータと当該特定の時点よりも後に測定された前記生体パラメータの少なくとも一方について生成された前記第二データとの整合性に基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記対象者の年齢、性別、および基礎疾患の種別の少なくとも一つに基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記対象者に装着されていないセンサを通じて取得された当該対象者の行動に基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記対象者に装着されていないセンサを通じて取得された当該対象者の行動に基づいて前記価値スコアの算出を停止させるように構成されている、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項6】
前記価値スコアの妥当性についてのフィードバックを受け付けるユーザインタフェースを備えており、
前記処理装置は、前記フィードバックに応じて別の前記第三データに基づく情報を出力装置に出力させる、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項7】
前記処理装置は、前記フィードバックに基づいて前記評価関数を修正する、
請求項6に記載の評価システム。
【請求項8】
前記評価関数は、機械学習を通じて生成された推論モデルにより提供されている、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項9】
前記価値スコアの妥当性についてのフィードバックを受け付けるユーザインタフェースを備えており、
前記処理装置は、前記フィードバックに対応する情報が前記第三データに付与された第四データを生成し、
前記第四データに基づいて前記推論モデルの再学習を実行する装置を備えている、
請求項8に記載の評価システム。
【請求項10】
対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と通信可能に接続される処理装置であって、
前記第二データを受け付けるインタフェースと、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、当該第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成し、かつより高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データを出力装置に出力させるプロセッサと、
を備えており、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している、
処理装置。
【請求項11】
対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と協働する処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、
前記第二データを受け付け、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、
前記第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成し、
より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データを出力装置に出力させ、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者から取得された生体情報を評価するシステムに関連する。本開示は、当該システムに含まれる処理装置、および当該処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対象者から取得された生体パラメータの測定波形に対応するデータを機械学習済みモデルに入力することにより、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論する装置を開示している。閾値を下回る確率が付与されたデータを特定することにより、ノイズの影響下などの信頼性の低い環境で取得された生体情報を評価対象から除外できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-019602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様化を図ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、評価システムであって、
対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、かつ当該第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成する処理装置と、
より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データに基づく情報を出力する出力装置と、
を備えており、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している。
【0006】
本開示により提供される一態様例は、対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と通信可能に接続される処理装置であって、
前記第二データを受け付けるインタフェースと、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、当該第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成し、かつより高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データを出力装置に出力させるプロセッサと、
を備えており、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している。
【0007】
本開示により提供される一態様例は、対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と協働する処理装置に搭載されたプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、
前記第二データを受け付け、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、
前記第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成し、
より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データを出力装置に出力させ、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している。
【0008】
上記の各態様例に係る構成によれば、生体パラメータの値が正確に測定される確率だけでなく当該値が測定された時点からの経過時間も加味された新たな価値基準に基づいて評価された結果を提示できる。例えば、従来の評価基準に基づいて早期警告スコアに用いられている生体パラメータの測定値に加えてあるいは代えて、このようにして評価された生体パラメータの測定値を利用することができる。したがって、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る評価システムの機能構成を例示している。
図2図1の推論装置により付与された正常測定確率の経時変化を例示している。
図3図1の処理装置により生成された第三データの一例を示している。
図4図1の表示装置により表示される画面の一例を示している。
図5図1の処理装置により生成された第三データの別例を示している。
図6図1の処理装置により生成された第三データの別例を示している。
図7図1の表示装置により表示される画面の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る評価システム10の機能構成を例示している。評価システム10は、対象者20から取得された生体情報を評価するための構成を備えている。
【0012】
評価システム10は、推論装置11を含んでいる。推論装置11は、入力インタフェース111を備えている。入力インタフェース111は、対象者20の生体パラメータの測定波形に対応する第一データD1を受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。第一データD1は、当該測定波形が取得された時点を示す情報を含んでいる。
【0013】
第一データD1は、対象者20に装着されたセンサ31から直接的に受け付けられてもよいし、複数種のセンサが接続された不図示のモニタ装置を中継して受け付けられてもよい。第一データD1は、出力元の仕様に応じてアナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。第一データD1がアナログデータの形態である場合、入力インタフェース111は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0014】
本明細書で用いられる「対象者の生体パラメータ」という語は、当該対象者の生理学的状態を表す各種の指標のうち測定可能な数値をもつものを指す。生体パラメータの測定値は、生体情報の一例である。
【0015】
推論装置11は、推論モデル112を備えている。推論モデル112は、第一データD1に対応する生体パラメータの測定波形に基づいて当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を、推論結果として出力するように構成されたコンピュータアルゴリズムである。確率は、0から1の間の値をとる。値0は、0%に対応している。値1は、100%に対応している。確率の高低は、生体パラメータの測定環境、対象者の状態などに依存する。
【0016】
推論モデル112は、教師データを用いた機械学習を行なうことにより、または適宜の統計手法を通じて生成されうる。教師データは、測定環境や対象者の状態が相違する条件下で取得された生体パラメータの測定波形と、当該生体パラメータが正しく算出されているか否かを示すアノテーションとの組合せとして提供される。機械学習に用いられるアルゴリズムの例としては、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシン、ベイズ推定、ガウス過程などが挙げられる。統計手法の例としては、変動係数を用いた手法が挙げられる。
【0017】
推論装置11は、プロセッサ113と出力インタフェース114を備えている。プロセッサ113は、入力インタフェース111により受け付けられた第一データD1を推論モデル112に入力し、推論モデル112から出力された確率を第一データD1に付与することによって生成された第二データD2を、出力インタフェース114から出力するように構成されている。すなわち、出力インタフェース114は、第二データD2を出力可能なハードウェアインタフェースとして構成されている。
【0018】
プロセッサ113は、生体パラメータの測定波形に対応する第一データD1に基づいて、当該生体パラメータの値を算出しうる。この場合、算出された値は、当該生体パラメータの測定値として第二データD2に含まれうる。第一データD1の出力元の仕様によっては、当該生体パラメータの測定値が第一データD1に含まれてもよい。
【0019】
評価システム10は、処理装置12を含んでいる。処理装置12は、入力インタフェース121を備えている。入力インタフェース121は、第二データD2を受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。
【0020】
処理装置12は、評価モデル122を備えている。評価モデル122は、第二データD2に所定の評価関数を適用することにより第一データD1に係る生体パラメータの測定波形の価値スコアを算出するように構成されたコンピュータアルゴリズムである。本例においては、価値スコアは、0から100の間の値をとる。
【0021】
図2を参照しつつ、価値スコアの意義について説明する。図2は、対象者20から取得された生体パラメータの値ごとに推定された当該値が正しく測定された確率(以下、「正常測定確率」と称する)の経時変化を例示している。したがって、横軸は時間の経過を表しており、縦軸は確率を表している。本例においては、生体パラメータは呼吸数とする。グラフには示されていないが、プロットごとに一つの呼吸数の測定値が対応付けられている。
【0022】
正常測定確率は、例えばいわゆるデータクレンジングに利用されうる。低い確率値が付与されている呼吸数の測定値は、相対的に悪い測定条件下で取得された可能性が高いとみなされうる。測定条件を悪化させる要因としては、被検者の体動、センサの位置ずれや故障などが挙げられる。正常測定確率について適切な閾値Ptを設定し、当該閾値を下回る確率値が付与された測定値を採用しないようにすることによって、信頼性の高い呼吸数の測定値を選別できる。
【0023】
図2において時点t1において測定された呼吸数の値に付与された正常測定確率は、時点t2において測定された呼吸数の値に付与された正常測定確率よりも高い。確率値のみに注目すれば、時点t1において測定された呼吸数の値の方が時点t2において測定された呼吸数の値よりも信頼性が高いと言える。しかしながら、時間的により後で測定された呼吸数の方が現時点の対象者の状態をよりよく反映しており信頼性が高いという見方も可能である。
【0024】
本実施形態例においては、「測定されてからの経過時間が長いほど、その測定値の信頼性は低下する」という指針に基づいて価値スコアを算出している。すなわち、価値スコアは、当該指針に基づく評価が加味された呼吸数の測定値の信頼性の高さを表している。よって、評価モデル122により第二データD2に対して適用される上記の評価関数は、結果として算出される価値スコアが正常測定確率に対して正の相関を有し、かつ呼吸数の測定時点からの経過時間に対して負の相関を有するように定められる。
【0025】
図1に例示されるように、処理装置12は、プロセッサ123を備えている。プロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられた第二データD2を評価モデル122に入力し、評価モデル122から出力された価値スコアを第二データD2に付与することによって第三データD3を生成するように構成されている。
【0026】
図3は、プロセッサ123により生成された第三データD3の一例を示している。六つの時点において測定された呼吸数の各々について正常測定確率と価値スコアが算出されている。図3においては、より高い価値スコアを含む第三データD3がより上方に位置するように例示がなされている。結果として、測定日時については時系列順の並びではなくなっており、正常測定確率についても高低順の並びではなくなっている。
【0027】
処理装置12は、ハードウェアインタフェースとして構成された出力インタフェース124を備えている。プロセッサ123は、より高い価値スコアが付与された少なくとも一つの第三データD3を、出力インタフェース124から出力するように構成されている。
【0028】
評価システム10は、表示装置13を含んでいる。表示装置13は、処理装置12から出力された第三データD3に基づく表示を行なうように構成されている。表示装置13は、出力装置の一例である。表示は、情報の出力の一例である。
【0029】
図4は、表示装置13により表示される第一画面131を例示している。本例においては、最も高い価値スコアが付与された第三データD3に基づいて表示がなされる。第一画面131は、測定がなされた時点、当該時点において取得された測定波形、当該測定波形に基づいて算出された呼吸数、当該呼吸数の正常測定確率、および当該呼吸数の価値スコアを含んでいる。
【0030】
処理装置12のプロセッサ123は、上記のような表示を表示装置13に行なわせる表示制御データDCを、出力インタフェース124から出力する。表示制御データDCは、表示装置13の仕様に応じてアナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。表示制御データDCがアナログデータの形態で出力される場合、出力インタフェース124は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0031】
適切な院内迅速対応システム(Rapid Response System)を構築するために、患者のバイタルサインを点数化して容体の急変を予測する早期警告スコア(Early Warning Score;EWS)を用いることが知られている。容態の急変リスクの予測精度を高めるためには、より正確な生体パラメータの測定値を提供する必要がある。前述したデータクレンジングは、例えばこの予測精度の向上を目的として行なわれうる。
【0032】
本実施形態例に係る構成によれば、生体パラメータの値が正確に測定される確率だけでなく当該値が測定された時点からの経過時間も加味された新たな価値基準に基づいて評価された結果を提示できる。例えば、従来の評価基準に基づいてEWSに用いられている生体パラメータの測定値に加えてあるいは代えて、このようにして評価された生体パラメータの測定値を利用することができる。したがって、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様化を図ることができる。
【0033】
処理装置12のプロセッサ123は、特定の時点で測定された呼吸数について生成された第二データD2と、当該特定の時点よりも前に測定された呼吸数と当該特定の時点よりも後に測定された呼吸数の少なくとも一方について生成された第二データD2との整合性に基づいて価値スコアを変動させるように構成されうる。
【0034】
具体的には、プロセッサ123は、ある時点で測定された呼吸数に対して付与された正常測定確率の値が、その前後に測定された呼吸数に対して付与された正常測定確率の値から大きく乖離している場合、価値スコアを低下させるように構成されうる。
【0035】
図5は、プロセッサ123により生成された第三データD3の別例を示している。六つの時点において測定された呼吸数の各々について正常測定確率と価値スコアが算出されている。図5においては、時系列順に沿ってデータの例示がなされている。より新しい(時間的に後で取得された)測定値について生成された第三データD3がより上方に位置している。
【0036】
太い実線で囲まれた第三データD3においては、呼吸数の測定値に付与された正常測定確率の値が、時間的に前後して測定された呼吸数に付与された正常測定確率の値から大きく乖離していることが判る。このような場合、プロセッサ123は、測定時点からの経過時間が短く正常測定確率が高くても、測定値に付与される価値スコアを低下させる。
【0037】
正常測定確率の乖離の度合いを判定するために、特定数の測定値の移動平均値と特定の測定値との差分に基づいて判断するアルゴリズムや、ディープメトリックラーニングに基づくアルゴリズムなどが用いられうる。
【0038】
正常測定確率の値が急変することによって上記のような乖離が生じうる。そのような確率値の急変は、ノイズに起因している可能性が高い。そのような状況下で取得された測定値の価値を低下させることにより、本来は信頼性の低い測定値が高い評価を伴って表示装置13に表示される事態の発生を抑制できる。これにより、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様性をさらに高めることができる。
【0039】
図1に例示されるように、評価システム10は、ユーザインタフェース14を備えうる。ユーザインタフェース14は、対象者20の年齢、性別、および基礎疾患の種別の少なくとも一つに係る情報の入力を、属性データATとして受け付けるように構成されている。ユーザインタフェース14は、推論装置11または処理装置12の一部として提供されてもよいし、これらとは独立した装置の一部として提供されてもよい。
【0040】
属性データATは、処理装置12の入力インタフェース121により受け付けられる。属性データATは、ユーザインタフェース14の仕様に応じてアナログデータの形態で提供されてもよいし、デジタルデータの形態で提供されてもよい。属性データATがアナログデータの形態で提供される場合、入力インタフェース121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。この説明は、後述する入力インタフェース121が受け付け可能な他のデータについても同様に適用される。
【0041】
処理装置12のプロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられた属性データATに基づいて価値スコアを変動させるように構成されうる。
【0042】
対象者が高齢者や基礎疾患を持つ者である場合、ある生体パラメータの測定値や変化態様が同様であっても、非高齢者や基礎疾患を持たない者に比べて容体の急変リスクが高い傾向にある。容体の急変リスクが高いと医療従事者により判断された者も同様である。
【0043】
一例として、容体急変リスクが相対的に高い対象者であることを示す属性データATが入力された場合に、測定時点からの経過時間が長い測定値の価値スコアをより大きく低下させるように(負の相関を強めるように)プロセッサ123が構成されることにより、新しい生体パラメータの測定値が提示されやすくなり、容体急変リスクへの対応可能性を高めることができる。
【0044】
別例として、対象者の容体が回復した場合、または回復傾向にある場合、測定時点からの経過時間が長い測定値の価値スコアの低下をより少なくするように(負の相関を弱めるように)プロセッサ132が構成されることにより、提示される生体パラメータの測定値の幅が増大する。
【0045】
結果として、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様性をさらに高めることができる。
【0046】
図1に例示されるように、処理装置12の入力インタフェース121は、非装着型センサ32からの検出データDTを受け付け可能に構成されうる。非装着型センサ32は、対象者20に装着されることなくその行動を検出し、検出された行動に対応する検出データDTを出力するように構成される。非装着型センサ32の例としては、カメラ、集音マイク、ベッドに設置された荷重センサなどが挙げられる。検出データDTは、当該行動が検出された時点を示す情報を含んでいる。
【0047】
この場合、処理装置12のプロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられた検出データDTに基づいて価値スコアを変動させるように構成されうる。具体的には、プロセッサ123は、検出データDTに含まれている時点情報を参照し、同時点に測定された呼吸数に係る第三データD3との関連付けを行なう。例えば、センサ31による生体パラメータの測定精度を低下させるような行動を検出データDTが示している場合、プロセッサ123は、当該検出データDTに関連付けられた第三データD3に含まれる価値スコアを低下させる。そのような行動の例としては、体動、発話、咳、くしゃみ、いびきなどが挙げられる。
【0048】
図6は、プロセッサ123により生成された第三データD3の別例を示している。四つの時点において測定された呼吸数の各々について正常測定確率と価値スコアが算出されている。図6においては、時系列順に沿ってデータの例示がなされている。より新しい(時間的に後で取得された)測定値について生成された第三データD3がより上方に位置している。加えて、検出データDTに基づいて判断された対象者20の体動の有無が、各第三データD3に関連付けられている。
【0049】
太い実線で囲まれた第三データD3については、検出データDTに基づいて対象者20の体動が判断されている。このような場合、プロセッサ123は、測定時点からの経過時間が短く正常測定確率が高くても、測定値に付与される価値スコアを低下させる。図示された例のように、体動の大きさに応じて価値スコアを低下させる量を変えてもよい。
【0050】
すなわち、センサ31による生体パラメータの測定精度を低下させるような行動(体動、咳、会話など)を対象者20がとっている状況を検出データDTが示している場合、プロセッサ123は、当該状況下で取得された測定値の価値を低くする。これにより、本来は信頼性の低い測定値が高い評価を伴って表示装置13に表示される事態の発生を抑制できる。
【0051】
別例として、センサ31による生体パラメータの測定中に対象者20の呼吸が検出されない状況を検出データDTが示している場合、プロセッサ123は、当該状況下で取得された測定値の価値を高くする。これにより、対象者20が呼吸困難、吐血などの異常が疑われる状況下にあることの認知を促すことができる。対象者20が当該状況下にあると判断された場合、医療従事者への報知がなされることが好ましい。
【0052】
他方、対象者20が睡眠時無呼吸症候群(SAS)に罹患していると医療従事者が認識している場合、無呼吸に係る上記のような異常が検出データDTに基づいて判断されても、直ちに報知がなされることを要しない。この場合、無呼吸状態が検出されている時間長さが所定の閾値を超えたときに報知がなされるように構成されうる。
【0053】
但し、中枢性無呼吸症候群に関連付けられうる呼吸パターンであるチェーンストークス様呼吸の出現が検出データDTに基づいて判断された場合、報知が直ちになされることが好ましい。これにより、対象者20の意識消失による舌根沈下や窒息が生じた場合への応急処置を迅速に行なうことができる。本例においては、プロセッサ123は、応急処置を優先するために価値スコアの算出を停止するように構成されうる。プロセッサ123は、異常事態に起因して価値スコアの算出が中断されていることを示すフラグを立てるなどの処理を行なうことにより、当該異常事態の解消後に価値スコアの算出を再開できる。
【0054】
結果として、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様性をさらに高めることができる。
【0055】
図1に例示されるように、ユーザインタフェース14は、価値スコアの妥当性についてのフィードバックを受け付け、当該フィードバックに対応するフィードバックデータFBを出力するように構成されうる。
【0056】
具体的には、図4に例示されるように、第一画面131は、確定ボタン画像131aと却下ボタン画像131bを含んでいる。確定ボタン画像131aが選択状態とされることにより、提示された価値スコアが妥当であるとのフィードバックがなされる。却下ボタン画像131bが選択状態とされることにより、提示された価値スコアが妥当でないとのフィードバックがなされる。ユーザは、第一画面131に表示されている呼吸数の測定波形を参照しつつ測定値の正確性と価値スコアの妥当性を判断できる。
【0057】
各ボタン画像は、マウスなどの入力装置を用いて選択状態とされうる。表示装置13がタッチパネル方式である場合、各ボタン画像は、ユーザのタッチ操作を通じて選択状態とされうる。すなわち、ユーザインタフェース14は、表示装置13の一部として提供されうる。
【0058】
却下ボタン画像131bが選択状態とされると、第二画面132が表示される。第二画面132は、複数のラジオボタン画像132aを含んでいる。複数のラジオボタン画像132aは、より具体的なフィードバックを受け付けるために提供されている。ユーザは、複数のラジオボタン画像132aの一つを選択状態にすることによって、第一画面131を通じて提供された価値スコアが妥当でないと考える理由を入力できる。
【0059】
第二画面132は、戻るボタン画像132b、省略ボタン画像132c、および確定ボタン画像132dをさらに含んでいる。戻るボタン画像132bが選択状態にされると、表示装置13は、第一画面131を再表示する。省略ボタン画像132cまたは確定ボタン画像132dが選択状態にされると、表示装置13は、第三画面133を表示する。省略ボタン画像132cは、価値スコアが妥当でない理由の入力を省略したい場合に選択状態とされる。
【0060】
第三画面133は、第一画面131を通じて提供された情報に加えて、別の時点で測定された呼吸数に係る第三データに基づく情報を含んでいる。本例においては、二番目に高い価値スコアが付与された呼吸数に係る情報が表示されている。
【0061】
第三画面133は、複数のラジオボタン画像133aを含んでいる。各ラジオボタン画像133aは、対応する一つの呼吸数の測定値に基づく情報に対応付けられている。第三画面133が表示された当初は、第一画面131を通じて提供された情報に対応づけられたラジオボタン画像133aが選択状態とされている。
【0062】
第三画面133は、確定ボタン画像133bと却下ボタン画像133cをさらに含んでいる。確定ボタン画像133bは、選択状態とされたラジオボタン画像133aに対応付けられた価値スコアが妥当であるとのフィードバックを行なうために選択状態とされる。却下ボタン画像133cは、選択状態とされたラジオボタン画像133aに対応付けられた価値スコアが妥当でないとのフィードバックを行なうために選択状態とされる。ユーザは、選択状態にしたラジオボタン画像133aに対応付けられた呼吸数の測定波形を参照しつつ、測定値の正確性と価値スコアの妥当性を判断できる。
【0063】
却下ボタン画像133cが選択状態にされると、表示装置13は、第二画面132を再表示する。ユーザは、第三画面133を通じて選択した価値スコアが妥当でないと考える理由についてのフィードバックを行なうことができる。ここで省略ボタン画像132cまたは確定ボタン画像132dが選択状態にされると、表示装置13は、さらに別の時点で測定された呼吸数に係る第三データに基づく情報を含む第三画面133を表示する。ユーザは、妥当と認める価値スコアが付与された測定結果が得られるまで上記の操作を繰り返すことができる。
【0064】
なお、第一画面131を通じて提供された情報に加えて第三画面133に表示される情報は、二つ以上の時点で測定された呼吸数に基づくものであってもよい。この場合、複数の候補のいずれかを選択できるように二つ以上のラジオボタン画像133aが追加的に表示される。
【0065】
すなわち、処理装置12のプロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられたフィードバックデータFBに基づいて、少なくとも一つの別の第三データD3に基づく情報を表示装置13に表示させるように構成されうる。
【0066】
評価システム10が当初採用している価値スコアの付与基準が、ユーザの好みやユーザが所属している医療機関の指針に沿わない場合がありうる。上記のような構成によれば、価値スコアの妥当性をユーザの好みやユーザが所属している医療機関の指針に近づける変更を許容する自由度を評価システム10に与えることができる。これにより、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様性をさらに高めることができる。
【0067】
なお、第一画面131の表示が省略され、当初より第三画面133が表示装置13に表示される構成も採用されうる。この場合、ユーザは、ラジオボタン画像133aを用いて複数の価値スコアから一つを選択し、確定ボタン画像133bで最も妥当と考える価値スコアを選択したり、却下ボタン画像133cで第二画面132を表示させることにより価値スコアが妥当でないと考える理由を入力したりできる。
【0068】
処理装置12のプロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられたフィードバックデータFBに基づいて、評価モデル122により提供される評価関数を変更するように構成されうる。
【0069】
一例として、図4の第二画面132において「データが古い」という理由が選択された場合、プロセッサ123は、当該選択に係る呼吸数が測定された時点からの経過時間を閾値として取得する。以降の処理においては、プロセッサ123は、呼吸数が測定された時点からの経過時間が閾値以上である第二データD2に対して付与される価値スコアを大きく低下させるように、評価関数を変更する。
【0070】
別例として、図4の第二画面132において「波形が乱れている」という理由が選択された場合、プロセッサ123は、当該選択に係る生体パラメータの値が正しく測定される確率を、閾値として取得する。以降の処理においては、プロセッサ123は、当該確率が所定の閾値を下回る第二データD2に対して付与される価値スコアを大きく低下させるように、評価関数を変更する。
【0071】
別例として、図4の第二画面132において「呼吸数が合わない」という理由が選択された場合、図7に例示される第四画面134が表示される。第四画面134は、アノテーション付与を行なうために提供される。第四画面134は、アノテーション付与領域134aと呼吸数入力領域134bを含んでいる。ユーザは、第四画面134に表示されている呼吸数の測定波形に対して波形のピークとボトムを示すアノテーションを付与できる。アノテーションの付与は、測定波形における該当箇所へのタッチ操作を通じてなされうる。ユーザは、アノテーション結果に基づいて正しい呼吸数を特定し、呼吸数入力領域134bへ入力できる。
【0072】
第四画面134は、省略ボタン画像134cと確定ボタン画像134dをさらに含んでいる。省略ボタン画像134cが選択状態とされると、アノテーションの付与と呼吸数の訂正は行なわれることなく、表示装置13が第三画面133を表示する。確定ボタン画像134dが選択状態とされると、付与されたアノテーションと訂正後の呼吸数に係るデータが有効化され、表示装置13が第三画面133を表示する。
【0073】
上記のような構成によれば、価値スコアの妥当性をユーザの好みやユーザが所属している医療機関の指針に近づける変更を、評価モデル122の動作に反映できる。これにより、対象者から取得された生体パラメータの測定波形を評価する環境の多様性をさらに高めることができる。
【0074】
評価モデル122の評価関数は、機械学習を通じて生成された推論モデルにより提供されうる。機械学習に用いられるアルゴリズムの例としては、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシン、ベイズ推定、ガウス過程などが挙げられる。教師データとしては、図4および図7を参照して説明したユーザによる変更結果(いずれのデータが選択または却下されたのか)が使用されうる。
【0075】
図1に例示されるように、評価システム10は、再学習装置15を含みうる。再学習装置15は、機械学習を通じて生成された評価モデル122の再学習を行なうための装置である。再学習装置15は、処理装置12と通信可能に接続される。
【0076】
この場合、処理装置12のプロセッサ123は、入力インタフェース121により受け付けられたフィードバックデータFBに対応する情報を第三データD3に付与することにより、第四データD4を生成するように構成される。第四データD4は、出力インタフェース124から再学習装置15へ出力される。
【0077】
再学習装置15は、処理装置12に実装されているものと同じ評価モデルMを保持している。第四データD4は、特定の測定波形に対して付与された価値スコアとその妥当性についての情報(アノテーション)を含んでいる。したがって、再学習装置15は、第四データD4を教師データとして用いることにより、より妥当性の高い価値スコアを付与できるように評価関数を調整するための再学習を評価モデルMに対して実行できる。処理装置12は、再学習がなされた評価モデルMを再学習装置15から受け取ることにより、評価モデル122を更新する。
【0078】
このような構成によっても、価値スコアの妥当性をユーザの好みやユーザが所属している医療機関の指針に近づける変更を、評価モデル122の動作に反映できる。図示を省略するが、再学習装置15は、複数の処理装置12により共有されうる。この場合、価値スコアの妥当性について好みや指針を共有する複数の評価システム10の間で同じ評価モデル122を共有できる。
【0079】
これまで説明した各種の機能を有する推論装置11のプロセッサ113と処理装置12のプロセッサ123の各々は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。当該コンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされてから汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0080】
推論装置11のプロセッサ113と処理装置12のプロセッサ123の各々は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体の一例である。推論装置11のプロセッサ113と処理装置12のプロセッサ123の各々は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0081】
これまでに説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜の変更や他の構成例との組み合わせがなされうる。
【0082】
図1においては、推論装置11、処理装置12、表示装置13、および再学習装置15は、互いに独立した装置として例示されている。しかしながら、これらの装置のうち少なくとも二つは、単一の装置における異なる機能モジュールとして実現されうる。例えば推論装置11と処理装置12が単一の装置として提供される場合、推論装置11の出力インタフェース114と処理装置12の入力インタフェース121は、ハードウェアインタフェースではなくソフトウェアインタフェースとして実現されうる。
【0083】
第三データD3に基づく価値スコアを含む情報は、必ずしも表示装置13を通じて出力されることを要しない。当該情報は、プリンタを通じて可視化されてもよいし、他の装置が利用可能なデータ形式で送信されてもよい。この場合におけるプリンタおよびデータ送信装置は、出力装置の一例である。
【0084】
推論モデル112は、必ずしも推論装置11に搭載されることを要しない。図示を省略するが、推論装置11は、通信ネットワークを介して外部サーバ装置と通信可能に接続されうる。この場合、推論モデル112は、当該外部サーバ装置に搭載されうる。
【0085】
評価モデル122は、必ずしも処理装置12に搭載されることを要しない。図示を省略するが、処理装置12は、通信ネットワークを介して外部サーバ装置と通信可能に接続されうる。この場合、評価モデル122当該外部サーバ装置に搭載されうる。
【0086】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。

項目1:
対象者の生体パラメータの測定波形に対応する第一データを取得し、当該生体パラメータの値が正しく測定される確率を推論し、かつ当該第一データに当該確率が付与された第二データを生成する推論装置と、
前記第二データに所定の評価関数を適用することにより前記測定波形の価値スコアを算出し、かつ当該第二データに当該価値スコアが付与された第三データを生成する処理装置と、
より高い前記価値スコアが付与された少なくとも一つの前記第三データに基づく情報を出力する出力装置と、
を備えており、
前記価値スコアは、前記確率に対して正の相関を有し、前記生体パラメータが測定されてからの経過時間に対して負の相関を有している、
評価システム。

項目2:
前記処理装置は、特定の時点で測定された前記生体パラメータについて生成された前記第二データと、当該特定の時点よりも前に測定された前記生体パラメータと当該特定の時点よりも後に測定された前記生体パラメータの少なくとも一方について生成された前記第二データとの整合性に基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
項目1に記載の評価システム。

項目3:
前記処理装置は、前記対象者の年齢、性別、および基礎疾患の種別の少なくとも一つに基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
項目1または2に記載の評価システム。

項目4:
前記処理装置は、前記対象者に装着されていないセンサを通じて取得された当該対象者の行動に基づいて前記価値スコアを変動させるように構成されている、
項目1から3のいずれか一項に記載の評価システム。

項目5:
前記処理装置は、前記対象者に装着されていないセンサを通じて取得された当該対象者の行動に基づいて前記価値スコアの算出を停止させるように構成されている、
項目1から3のいずれか一項に記載の評価システム。

項目6:
前記価値スコアの妥当性についてのフィードバックを受け付けるユーザインタフェースを備えており、
前記処理装置は、前記フィードバックに応じて別の前記第三データに基づく情報を出力装置に出力させる、
項目1から5のいずれか一項に記載の評価システム。

項目7:
前記処理装置は、前記フィードバックに基づいて前記評価関数を修正する、
項目6に記載の評価システム。

項目8:
前記評価関数は、機械学習を通じて生成された推論モデルにより提供されている、
項目1から7のいずれか一項に記載の評価システム。

項目9:
前記処理装置は、前記フィードバックに対応する情報が前記第三データに付与された第四データを生成し、
前記第四データに基づいて前記推論モデルの再学習を実行する装置を備えている、
項目6に記載の評価システム。

【符号の説明】
【0087】
10:評価システム、11:推論装置、12:処理装置、121:入力インタフェース、122:評価モデル、123:プロセッサ、13:表示装置、14:ユーザインタフェース、15:再学習装置、20:対象者、32:非装着型センサ、D1:第一データ、D2:第二データ、D3:第三データ、D4:第四データ、DT:検出データ、FB:フィードバックデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7