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特開2025-161172成形品の製造方法、成形装置、およびプレスライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025161172
(43)【公開日】2025-10-24
(54)【発明の名称】成形品の製造方法、成形装置、およびプレスライン
(51)【国際特許分類】
   B21D 19/08 20060101AFI20251017BHJP
【FI】
B21D19/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064137
(22)【出願日】2024-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】米林 亮
(72)【発明者】
【氏名】大塚 研一郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 亮
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 諒
(72)【発明者】
【氏名】金山 沙彩
(57)【要約】
【課題】バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できる成形品の製造方法、成形装置、およびプレスラインを提供する。
【解決手段】金属素材100からバーリング加工部106を有する成形品100aを製造するに際して、バーリング加工部106を形成する前に、金属素材100の板状部102に予成形部104を形成する。板状部102を、ダイ14のR面42b、パンチ12の第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、およびパンチ12の第2支持面22のうち上記径方向Yにおいて上記R面42bよりも内側の部分によって支持した状態で、パンチ12とダイ14とを近付けて予成形部104を形成する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属素材の板状部に対してバーリング加工を行うことによって成形品を製造する方法であって、
前記板状部の厚み方向をプレス方向として、
前記板状部に対して前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒部を有する予成形部を形成した後、前記予成形部に対して前記バーリング加工を行い、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記予成形部を形成するに際して、
前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって前記予成形部を形成する、成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第4支持面は、前記径方向における内側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第2テーパー面を含み、
前記板状部の一部を前記第1テーパー面と前記第2テーパー面とで挟むことによって前記予成形部を形成する、請求項1に記載の成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第2支持面は、前記径方向における内側を向きかつ前記プレス方向における前記他方側ほど直径が小さい第3テーパー面をさらに含み、
前記第4支持面は、前記径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記他方側ほど直径が小さい第4テーパー面をさらに含み、
前記予成形部を形成するに際して、前記板状部の一部を前記第3テーパー面と前記第4テーパー面とでさらに挟む、請求項2に記載の成形品の製造方法。
【請求項4】
前記板状部に下穴を形成した後に、前記板状部のうち前記下穴の周縁部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって前記予成形部を形成する、請求項1に記載の成形品の製造方法。
【請求項5】
前記予成形部の中心部に下穴を形成した後に、前記バーリング加工を行う、請求項1に記載の成形品の製造方法。
【請求項6】
金属素材の板状部に対してバーリング加工を行う前に、前記板状部に対して予成形部を形成する成形装置であって、
プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチを備え、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒部を有する前記予成形部を形成する、成形装置。
【請求項7】
金属素材の板状部に対して予成形部を形成する第1金型と、前記予成形部に対してバーリング加工を行う第2金型と、を備え、
前記第1金型は、プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチを備え、
前記第2金型は、前記プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における前記一方側に配置された第2ダイおよび前記プレス方向における前記他方側に配置された第2パンチを備え、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記第2ダイは、前記第2パンチを挿入可能な穴部、および前記穴部の周りに設けられた第5支持面を有し、
前記第1金型において、前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒部を有する前記予成形部を形成し、
前記第2金型において、前記予成形部が前記穴部内に位置付けられるように前記板状部のうち前記予成形部の周囲を前記第2ダイの前記第5支持面によって支持しつつ、前記第2パンチによって前記予成形部を前記穴部内に押し込むことによってバーリング加工を行う、プレスライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の製造方法、成形装置およびプレスラインに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等の種々のプレス成形部品において、バーリング加工部が設けられる場合がある。バーリング加工部は、一般に、素材に下穴を形成した後、下穴の周縁部を円筒状に押し出すことによって成形される。
【0003】
バーリング加工部には、疲労強度が要求される。そこで、例えば、特許文献1に開示されているように、バーリング加工部の端部にコイニング加工によって圧縮応力を付与することで、上記端部の引張残留応力を緩和する技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-051609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バーリング加工を行う際には、バーリング加工部の湾曲部(根元部分)の曲げ内側に、圧縮方向の力が作用する。この圧縮方向の力により、曲げ変形される部分の内側には不均一な圧縮変形が生じやすい。その結果、微小なしわが発生することがある。
【0006】
そこで、本発明は、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できる成形品の製造方法、成形装置、およびプレスラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の実施の形態に係る成形品の製造方法は、
金属素材の板状部に対してバーリング加工を行うことによって成形品を製造する方法であって、
前記板状部の厚み方向をプレス方向として、
前記板状部に対して前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒状の予成形部を形成した後、前記予成形部に対して前記バーリング加工を行い、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記予成形部を形成するに際して、
前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって前記予成形部を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
(2)上記の成形品の製造方法において、
前記第4支持面は、前記径方向における内側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第2テーパー面を含み、
前記板状部の一部を前記第1テーパー面と前記第2テーパー面とで挟むことによって前記予成形部を形成してもよい。
【0009】
(3)上記の成形品の製造方法において、
前記第2支持面は、前記径方向における内側を向きかつ前記プレス方向における前記他方側ほど直径が小さい第3テーパー面をさらに含み、
前記第4支持面は、前記径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記他方側ほど直径が小さい第4テーパー面をさらに含み、
前記予成形部を形成するに際して、前記板状部の一部を前記第3テーパー面と前記第4テーパー面とでさらに挟んでもよい。
【0010】
(4)上記の成形品の製造方法において、
前記板状部に下穴を形成した後に、前記板状部のうち前記下穴の周縁部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって前記予成形部を形成してもよい。
【0011】
(5)上記の成形品の製造方法において、
前記予成形部の中心部に下穴を形成した後に、前記バーリング加工を行ってもよい。
【0012】
(6)本発明の実施の形態に係る成形装置は、
金属素材の板状部に対してバーリング加工を行う前に、前記板状部に対して予成形部を形成する成形装置であって、
プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチを備え、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒状の前記予成形部を形成する、ことを特徴とする。
【0013】
(7)本発明の実施の形態に係るプレスラインは、
金属素材の板状部に対して予成形部を形成する第1金型と、前記予成形部に対してバーリング加工を行う第2金型と、を備え、
前記第1金型は、プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における一方側に配置された第1ダイおよび前記プレス方向における他方側に配置された第1パンチを備え、
前記第2金型は、前記プレス方向において互いに対向するように、前記プレス方向における前記一方側に配置された第2ダイおよび前記プレス方向における前記他方側に配置された第2パンチを備え、
前記第1パンチは、前記プレス方向において前記一方側を向きかつ円環状の第1内周縁を有する第1支持面、および前記第1内周縁の内側に設けられかつ前記第1支持面から前記プレス方向における前記一方側に突出する第2支持面を含み、
前記第1ダイは、前記プレス方向において前記第1支持面に対向しかつ円環状の第2内周縁を有する第3支持面、および前記第2内周縁の内側に設けられかつ前記第3支持面から前記プレス方向における前記一方側に凹む第4支持面を含み、
前記第2支持面は、前記第1内周縁の径方向における外側を向きかつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい第1テーパー面を含み、
前記第4支持面のうち前記第2内周縁側の端部はR面であり、
前記第2ダイは、前記第2パンチを挿入可能な穴部、および前記穴部の周りに設けられた第5支持面を有し、
前記第1金型において、前記板状部を、前記R面、前記第1支持面のうち前記径方向において前記R面よりも外側の部分、および前記第2支持面のうち前記径方向において前記R面よりも内側の部分で支持した状態で、前記第1パンチおよび前記第1ダイを前記プレス方向において近付けて、前記板状部を前記第1支持面と前記第3支持面とで挟みつつ、前記板状部の一部を前記第1テーパー面によって前記第4支持面側に押し込むことによって、前記板状部から前記プレス方向における前記一方側に突出し、かつ前記プレス方向における前記一方側ほど直径が小さい円筒状の前記予成形部を形成し、
前記第2金型において、前記予成形部が前記穴部内に位置付けられるように前記板状部のうち前記予成形部の周囲を前記第2ダイの前記第5支持面によって支持しつつ、前記第2パンチによって前記予成形部を前記穴部内に押し込むことによってバーリング加工を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来のバーリング加工方法の一例を説明するための図である。
図2図2は、従来のバーリング加工方法の一例を説明するための図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る成形品の製造方法の工程を示す図である。
図4図4は、予成形工程において用いられる成形装置を示す概略図である。
図5図5は、予成形工程を説明するための図である。
図6図6は、バーリング加工工程を説明するための図である。
図7図7は、成形装置の変形例を示す図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る成形品の製造方法の工程を示す図である。
図9図9は、予成形工程を説明するための図である。
図10図10は、バーリング加工工程を説明するための図である。
図11図11は、成形装置の変形例を示す図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係る成形品の製造方法において用いられる成形装置を示す概略図である。
図13図13は、予成形工程を説明するための図である。
図14図14は、バーリング加工工程を説明するための図である。
図15図15は、予成形工程の変形例を説明するための図である。
図16図16は、成形装置の変形例を説明するための図である。
図17図17は、ロアアームを示す図である。
図18図18は、プレスラインを示す概略図である。
図19図19は、プレスラインによって実施される工程の一例を示す図である。
図20図20は、プレスラインによって実施される工程の一例を示す図である。
図21図21は、プレスラインによって実施される工程の一例を示す図である。
図22図22は、プレスラインによって実施される工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2は、従来のバーリング加工方法の一例を説明するための図である。なお、図1においては、中空状のダイ2、中空状のパッド3および円柱状のパンチ4を備えた成形装置1によって、金属素材200の板状部202に対してバーリング加工を行う場合について説明する。
【0017】
図1(a)に示すように、成形装置1によってバーリング加工を行う際には、下穴202aが形成された金属素材200の板状部202を挟持する。その状態で、図1(b)に示すように、パンチ4によって、下穴202aの周縁部をダイ2側へ押し出す。これにより、図2に示すように、円筒状のバーリング加工部210が成形される。
【0018】
ここで、バーリング加工部210の成形過程において、図1(b)に示すように、金属素材200は、ダイ肩2aに接触しつつ、曲げ変形される。この際、金属素材200において曲げ変形される部分204(以下、曲げ変形部204と記載する。)の内側には、図1(b)に矢印で示すように圧縮方向の力が作用する。この圧縮方向の力により、曲げ変形される部分の内側には不均一な圧縮変形が生じやすい。その結果、図2に示すように、バーリング加工部210の根元部分(曲げ変形部204)に、微小なしわ212が発生する場合がある。
【0019】
上記のようなしわの発生を抑制するために、本発明者らは、金属素材200の曲げ変形部204のうち、ダイ肩2aと接触する部分については、板厚方向への変形が拘束されることに着目した。そして、曲げ変形部204とダイ肩2aとの接触面積を大きくして、曲げ変形部204の板厚方向への変形を拘束することによって、バーリング加工部210の根元部分(曲げ変形部204)にしわが発生することを抑制できると考えた。しかしながら、図1に示した従来の加工方法では、成形の初期段階において、曲げ変形部204とダイ肩2aとの接触面積を十分に確保することができないために、しわの発生を十分に防止できないことが分かった。
【0020】
そこで、本発明者らはさらに検討を進め、バーリング加工を行う前に予成形部を形成することを検討した。そして、予成形部を形成する金型(パンチ、ダイ)の形状を工夫することによって、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できることを見出した。
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る成形品の製造方法、成形装置およびプレスラインについて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態に係る成形品の製造方法の工程を示す図である。図3に示すように、本実施形態に係る成形品の製造方法では、金属素材100(後述の図5参照)の板状部102(図5参照)に下穴102a(図5参照)を形成し(ステップS1)、次に、下穴102aの周縁部に予成形部を形成し(ステップS2)、その後、予成形部に対してバーリング加工が行われる(ステップS3)。ステップS1における下穴102aを形成する工程は、従来のバーリング加工方法において下穴を形成する工程と同様であるので、説明を省略する。
【0023】
図4は、ステップS2の予成形工程において用いられる成形装置を示す概略図である。また、図5は、予成形工程を説明するための図である。図4に示すように、成形装置10は、プレス方向Xにおいて互いに対向するように設けられたパンチ12およびダイ14を備えている。図5に示すように、プレス方向Xは、加工対象となる金属素材100の板状部102の厚み方向に一致する。
【0024】
図4および図5に示すように、パンチ12およびダイ14は、プレス方向Xにおいて互いに対して相対移動できるように設けられている。なお、パンチ12およびダイ14をプレス方向Xにおいて相対的に移動させるための手段は、公知のプレス装置の駆動機構(電動シリンダー、油圧シリンダー、ガスクッション装置)と同様に構成できるので、説明は省略する。
【0025】
なお、以下においては、説明を簡便にするために、プレス方向Xにおいてパンチ12が位置する側を上方とし、ダイ14が位置する側を下方とするが、パンチ12とダイ14との上下の位置関係が逆であってもよい。本実施形態では、パンチ12が第1パンチに対応し、ダイ14が第1ダイに対応する。
【0026】
図4に示すように、パンチ12は、下方(プレス方向Xにおける一方側)を向く第1支持面20と、第1支持面20から下方に突出する第2支持面22とを有している。本実施形態では、第1支持面20は、プレス方向Xに直交する方向に延びるように平面状に形成されている。第1支持面20は、プレス方向Xから見て円環形状を有する内周縁20aを有している。プレス方向Xから見て、第2支持面22は、第1支持面20の内周縁20aの内側に設けられている。なお、図4には、内周縁20aの中心を通りかつプレス方向Xに延びる仮想線が一点鎖線で示されている。本明細書において、「円環」には、厳密な円形状の環だけでなく、全体として円または楕円と認識できる形状の環が含まれる。したがって、円環状の内周縁には、円形状の内周縁だけでなく、楕円形状の内周縁が含まれる。本実施形態では、内周縁20aおよび後述する内周縁40aは、プレス方向Xから見て円形状を有している。本実施形態では、内周縁20aが第1内周縁に対応する。
【0027】
第2支持面22は、内周縁20aの径方向Yにおける外側を向きかつ下方側(ダイ14側)ほど直径が小さい第1テーパー面22aを有している。以下において、単に径方向Yと記載した場合、内周縁20aの径方向を意味する。本実施形態では、第2支持面22のうち、内周縁20a側の端部は、上方(プレス方向Xにおける他方側)かつ径方向Yにおける内側に向かって凹むように湾曲するR面22bである。本実施形態では、第2支持面22は、下方側ほど直径が小さくなる円錐台状に形成されている。プレス方向から見て、第2支持面22の中心には円形状の平坦面22cが形成されている。また、第2支持面22において、第1テーパー面22aと平坦面22cとの境界部は、下方(プレス方向Xにおける一方側)かつ径方向Yにおける外側に向かって凸となるように湾曲するR面22dである。なお、本実施形態では、プレス方向Xに直交する第2支持面22(第1テーパー面22a)の断面形状は円形状であるが、上記断面形状は完全な円形状でなくてもよい。例えば、プレス方向Xから見て楕円形状のバーリング加工部を形成する場合には、プレス方向Xに直交する第2支持面22(第1テーパー面22a)の断面形状が楕円形状であってもよい。なお、本明細書において、「プレス方向における一方側(または他方側)ほど直径が小さい」とは、「プレス方向における一方側(または他方側)ほど径方向の寸法が小さい」ことを意味する。
【0028】
ダイ14は、プレス方向Xにおいて第1支持面20に対向する第3支持面40と、第3支持面40から下方に凹む第4支持面42とを有している。本実施形態では、第3支持面40は、プレス方向Xに直交する方向に延びるように平面状に形成されている。第3支持面40は、プレス方向Xから見て円環形状を有する内周縁40aを有している。プレス方向Xから見て、第4支持面42は、第3支持面40の内周縁40aの内側に設けられている。本実施形態では、内周縁40aが第2内周縁に対応する。
【0029】
第4支持面42は、径方向Yにおける内側を向きかつ下方側ほど直径が小さい第2テーパー面42aを有している。第4支持面42のうち内周縁40a側の端部は、上方かつ径方向Yにおける内側に向かって凸となるR面42bである。第4支持面42は、プレス方向Xにおいて第2支持面22に対向するように、第2支持面22の下方に設けられている。本実施形態では、プレス方向Xから見て、第4支持面42の中心は、第2支持面22の中心に一致している。また、本実施形態では、第4支持面42は、パンチ12の第2支持面22に対応する形状とされており、下方側ほど直径が小さくなる円錐台状に形成されている。プレス方向から見て、第4支持面42の中心には円形状の平坦面42cが形成されている。また、第4支持面42において、第2テーパー面42aと平坦面42cとの境界部は、下方(プレス方向Xにおける一方側)かつ径方向Yにおける外側に向かって凹むように湾曲するR面42dである。
【0030】
図5(a)に示すように、予成形工程では、まず、パンチ12とダイ14との間に金属素材100の板状部102を配置する。本実施形態では、プレス方向Xから見て下穴102aの中心が第4支持面42(第2支持面22)の中心に一致または略一致するように、ダイ14の第3支持面40によって板状部102を支持する。
【0031】
次に、図5(b)に示すように、プレス方向Xにおいてパンチ12とダイ14とを互いに近付けて、ダイ14のR面42b、第1支持面20のうち径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、および第2支持面22のうち径方向YにおいてR面42bよりも内側の部分(本実施形態では、第1テーパー面22a)で、金属素材100の板状部102を支持する。
【0032】
図5(c)に示すように、パンチ12およびダイ14をさらに近付けて、板状部102を、第1支持面20と第3支持面40とで挟みつつ、板状部102の一部(本実施形態では、下穴102aの周縁部)を第1テーパー面22aによって第4支持面42側に押し込む。これにより、板状部102から下方に突出し、かつ下方側ほど直径が小さい円筒状の予成形部(円筒部)104が形成される。本実施形態では、板状部102の一部を、第1テーパー面22aと第2テーパー面42aとによって挟むことで、R面42bに押し付ける。これにより、予成形部104を所望の形状に精度良く成形することができる。望ましくは、板状部102の一部を、第1テーパー面22aと第2テーパー面42aとによって挟み、かつR面22bとR面42bとによって挟むことによって、予成形部104を所望の形状にさらに精度良く成形することができる。
【0033】
上記のように、本実施形態では、板状部102の一部(下穴102aの周縁部)がダイ14のR面42bによって支持されつつ予成形部104が成形される。これにより、予成形部104の根元部分104aは、下穴102aの中心を通り板状部102の厚み方向(プレス方向X)に平行な断面において弧状に湾曲した湾曲部となる。以下、予成形部104の根元部分104aを、湾曲部104aとも記載する。
【0034】
図6は、バーリング加工工程を説明するための図である。バーリング加工工程において用いられる成形装置5は、バーリング加工時に用いられる従来の成形装置と同様に構成することができるので、成形装置5については簡単に説明する。
【0035】
図6(a)に示すように、成形装置5は、中空状のダイ6、中空状のパッド7および円柱状のパンチ8を備えている。バーリング加工工程の説明においては、プレス方向Xにおいてパッド7が位置する側を上方とし、ダイ6が位置する側を下方とするが、パッド7およびダイ6の上下の位置関係が逆であってもよい。
【0036】
ダイ6は、パンチ8を挿入可能な穴部6aと、穴部6aの周りに設けられた支持面6bとを有している。穴部6aは、プレス方向Xに直交する断面において円形状を有している。ダイ6の肩部6c(穴部6aの内周面と支持面6bとの境界部)は、上方かつ穴部6aの径方向における内側に向かって凸となるR面である。なお、穴部6aの中心を通りプレス方向Xに平行なダイ6の断面における肩部6cの曲率半径(以下、単に肩部6cの曲率半径と記載する。)は、内周縁40a(図4参照)の中心を通りプレス方向Xに平行なダイ14の断面におけるR面42bの曲率半径(以下、単にR面42bの曲率半径と記載する。)に対して、大きくてもよく、小さくてもよく、同じであってもよい。本実施形態では、支持面6bが第5支持面に対応する。なお、プレス方向Xから見て楕円形状のバーリング加工部を形成する場合には、穴部6aは、プレス方向Xに直交する断面において楕円形状を有するように形成される。
【0037】
図6(a)に示すように、バーリング加工を行う際には、まず、予成形部104がダイ6の穴部6a内に位置付けられるように、板状部102のうち予成形部104の周囲をダイ6の支持面6bによって支持する。その状態で、図6(b)に示すように、パンチ8によって予成形部104を穴部6a内に押し込む。これにより、予成形部104の湾曲部104aがダイ6の肩部6cに接触しつつ湾曲されて、筒状(本実施形態では、円筒状)のバーリング加工部106が成形される。このようにして、バーリング加工部106を有する成形品100aが製造される。なお、バーリング加工部106の高さ(プレス方向Xにおける長さ)は、予成形部104の高さ(プレス方向Xにおける長さ)よりも大きい。バーリング加工部106の先端部(開口部の直径)は、例えば、20~100mmである。後述の実施形態においても同様である。
【0038】
なお、本実施形態では、成形品100a(金属素材100)として、例えば、引張強さが780MPa以上の鋼部材が用いられ、980MPa以上の鋼部材が好ましく用いられ、1180MPa以上の鋼部材がより好ましく用いられる。また、本実施形態では、成形品100a(金属素材100)として、例えば、ビッカース硬さ(HV1)が240以上の鋼部材が用いられ、300以上の鋼部材が好ましく用いられ、340以上の鋼部材がより好ましく用いられる。「HV1」とは、試験力を1kgf(9.807N)として、ビッカース硬さ試験を実施した場合の「硬さ記号」を意味する(JIS Z 2244-1:2020を参照)。なお、成形品100a(金属素材100)のビッカース硬さは、以下のようにして測定する。まず、成形品100aの平板状の部位(下穴加工、曲げ加工等を受けていない部位)から測定用試料を切り出し、樹脂に埋め込んで切断面を研磨する。その後、測定用試料の表面(成形品100aにおいて表面となる部分)から板厚の1/4深さとなる位置を、試験力1kgf(9.807N)で、0.5mm間隔で10点測定した平均をとる。また、成形品100a(金属素材100)の厚さは、例えば、1.8~4.2mmであり、2.0~3.9mmであることがより好ましく、2.3~3.2mmであることがさらに好ましい。この時の厚さは、成形品100a(金属素材100)の表面にめっきが施されている場合は、めっきを含んで測定したときの値である。成形品100a(金属素材100)の厚さを上記の範囲とすることにより、所望の剛性と軽量性を確保することができる。成形品100a(金属素材100)の厚さは、マイクロメータを用いて、平板状の部位(下穴加工、曲げ加工等を受けていない部位)の5箇所の厚さを測定し、その平均値とする。成形品(金属素材)の引張強さ、硬さおよび厚さについては、後述の実施形態についても同様である。
【0039】
(作用効果)
本実施形態では、図5で説明したように、金属素材100の板状部102が、ダイ14のR面42b、パンチ12の第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、およびパンチ12の第2支持面22のうち上記径方向Yにおいて上記R面42bよりも内側の部分によって支持された状態で、板状部102に対して予成形が行われる。第2支持面22は、第1支持面20からプレス方向Xにおける一方側(ダイ14側)に突出するように設けられている。これにより、図5(b)に示すように、第1支持面20と第2支持面22とで板状部102を支持することによって、板状部102を、第1支持面20に対して傾斜させることができる。すなわち、本実施形態で、パンチ12側の二点で板状部102を支持することによって板状部102をパンチ12の第1支持面20に対して傾斜させた状態で、板状部102のうち上記二点の間の部分をダイ14のR面42bに押し付けて、予成形を行うことができる。この場合、板状部102に対して予成形が行われる際に、板状部102のうち曲げ変形される部分(予成形部104の根元となる湾曲部104a)とR面42bとの接触面積を十分に大きくすることができる。これにより、予成形部104を形成する際に、予成形部104の根元部分104aの板厚方向への変形が拘束され、上記根元部分104aに不均一な圧縮変形が生じることを抑制することができる。その結果、予成形部104の根元部分104aの曲げ内側に微小なしわが発生することを抑制することができる。
【0040】
また、バーリング加工工程では、予成形工程によって予め湾曲された予成形部104の根元部分104aに対してダイ6の肩部6cを押し付けて曲げ成形を行うことができる。この場合、すでに根元部分104a(バーリング加工部106の根元部分の一部)が成形されているため、肩部6cと上記根元部分104aとの接触面積を十分に大きくすることができる。その結果、図1のような平坦な素材から成形するよりも、板厚方向への変形が拘束されてバーリング加工部106の根元部分にしわが発生することを抑制できる。さらに、本実施形態では、上記のように、予成形工程において予成形部104の根元部分104aにしわが発生することが抑制されている。これにより、バーリング加工部106の根元部分にしわが発生することを十分に抑制できる。
【0041】
なお、バーリング加工工程において、肩部6cと上記根元部分104aとの接触面積を十分に大きくする観点からは、金属素材100のうち、ダイ14のR面42bが押し付けられた部分に、ダイ6の肩部6cが押し付けられるように、R面42bおよび肩部6cが設けられることが好ましい。具体的には、例えば、成形装置10のプレス方向Xから見てR面42bの内縁によって形成される円の大きさ(図4では、直径D1a)は、成形装置5のプレス方向Xから見て肩部6cの外縁によって形成される円の大きさ(図6では、直径D2b)以下に設定され、成形装置10のプレス方向Xから見てR面42bの外縁によって形成される円の大きさ(図4では、直径D1b)は、成形装置5のプレス方向Xから見て肩部6cの内縁によって形成される円の大きさ(図6では、直径D2a)以上に設定される。
【0042】
ダイ6の肩部6cの曲率半径を、ダイ14のR面42bの曲率半径に対して大きく設定した場合には、R面42bによって形成された予成形部104の根元部分104aが、ダイ6の肩部6cによって押し広げられる。この場合、根元部分104aの曲げ内側に、圧縮方向の力ではなく、引張方向の力を作用させることができる。その結果、バーリング加工部106の根元部分に不均一な圧縮変形が生じることを防止でき、微小なしわが発生することを十分に抑制できる。この効果を得る観点からは、ダイ6の肩部6cの曲率半径を、ダイ14のR面42bの曲率半径よりも大きくすることが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態では、内周縁40aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なダイ14の断面において、第2テーパー面42aは直線状に延びるように形成されている。金属素材100のうち、予成形時にダイ14のR面42bに接触することなく曲げ変形される部分の面積が大きくなることを抑制する観点から、ダイ14の上記断面において、第3支持面40に対する第2テーパー面42aの傾斜角度θ42(図4参照)は、30°以上に設定されることが好ましく、40°以上に設定されることがより好ましい。また、バーリング加工時に、ダイ6の肩部6cと予成形部104の根元部分104aとの接触面積を大きくする観点から、傾斜角度θ42は、65°以下に設定されることが好ましく、50°以下に設定されることがより好ましい。すなわち、傾斜角度θ42は、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。なお、本実施形態では、第1テーパー面22aも同様に、内周縁20aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なパンチ12の断面において、直線状に延びるように形成されている。傾斜角度θ42と同様に、パンチ12の上記断面において、第1支持面20に対する第1テーパー面22aの傾斜角度θ22は、例えば、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。
【0044】
なお、後述する第2実施形態のように、予成形部を形成した後に、下穴を形成することも可能である。ただし、予成形部を形成した後に下穴を形成する場合には、下穴の周囲の平板状の部分を十分に確保することが難しい場合がある。この場合には、下穴の直径が制約される。これに対して、本実施形態では、板状部102に下穴102aを形成した後に、予成形部104が形成されるので、下穴102aの直径を十分に確保できる。
【0045】
(変形例)
なお、上述のしわ抑制の効果は、ダイ14のR面42b、パンチ12の第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、およびパンチ12の第2支持面22のうち上記径方向Yにおいて上記R面42bよりも内側の部分の3点によって板状部102を支持しつつ板状部102に対して予成形を行うことによって、得られる。したがって、板状部102を上記のように3点で支持できるのであれば、成形装置10の各部の形状は、図4に示した形状に限定されない。例えば、図7に示すように、プレス方向Xから見て、第4支持面42の中央部において開口する穴部42eがダイ14に形成されていてもよい。また、図7(b)に示すように、プレス方向Xから見て、第2支持面22の中央部において開口する穴部22eがパンチ12に形成されていてもよい。さらに、図7(c)に示すように、プレス方向Xにおいて、第2支持面22の高さが、予成形部104の高さよりも小さくてもよい。図7(a),(b)の成形装置10では、予成形部104の先端部は、第4支持面42によって支持されていない。また、図7(c)の成形装置10では、予成形部104の先端部は、第2支持面22および第4支持面42によって支持されていない。これらの場合でも、予成形時に板状部102を上述の実施形態と同様に3点で支持できるので、同様の効果が得られる。
【0046】
上述の実施形態では、内周縁20aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なパンチ12の断面において、第1テーパー面22aは直線状に延びるように形成されているが、上記断面において第1テーパー面22aが弧状に湾曲していてもよい。第2テーパー面42aについても同様である。なお、パンチ12の上記断面において、第1テーパー面22aが弧状に湾曲する場合、第1テーパー面22aの曲率半径は、R面22bの曲率半径よりも大きく設定される。同様に、第2テーパー面42aの曲率半径は、R面42bの曲率半径よりも大きく設定される。例えば、第1テーパー面22aの曲率半径は、R面22bの曲率半径の10倍以上に設定され、第2テーパー面42aの曲率半径は、R面42bの曲率半径の10倍以上に設定される。また、後述の実施形態の各テーパー面についても同様に、直線状に延びるように形成されてもよく、弧状に湾曲するように形成されてもよい。
【0047】
なお、第2テーパー面42aが直線状に延びるように形成される場合と同様に、第2テーパー面42aが弧状に湾曲するように形成される場合も、内周縁40aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なダイ14の断面において、第3支持面40に対する第2テーパー面42aの傾斜角度は、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。なお、ダイ14の上記断面において第2テーパー面42aが湾曲するように形成される場合には、上記傾斜角度は以下のようにして決定する。まず、R面42bと第2テーパー面42aとの境界を特定する。本実施形態では、上記のように、第2テーパー面42aの曲率半径は、R面42bの曲率半径よりも大きく設定される。したがって、本実施形態では、ダイ14の上記断面において、R面42bから第2テーパー面42aに向かって曲率を求めた場合に、曲率が明確に変化する点を上記境界として特定する。そして、特定した境界における第4支持面42の接線と第3支持面40とのなす角を、第3支持面40に対する第2テーパー面42aの傾斜角度とする。第1テーパー面22aが湾曲する場合も同様に、R面22bから第1テーパー面22aに向かって曲率を求めた場合に、曲率が明確に変化する点を、R面22bと第1テーパー面22aとの境界として特定する。そして、特定した境界における第2支持面22の接線と第1支持面20とのなす角を、第1支持面20に対する第1テーパー面22aの傾斜角度とする。この場合も、第1支持面20に対する第1テーパー面22aの傾斜角度は、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。
【0048】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る成形品の製造方法の工程を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る成形品の製造方法では、金属素材100(後述の図9参照)の板状部に対して予成形部を形成し(ステップS1)、次に、予成形部に下穴を形成し(ステップS2)、その後、予成形部に対してバーリング加工が行われる(ステップS3)。図9は、予成形工程を説明するための図である。なお、本実施形態においても、図4で説明した成形装置10を用いて予成形工程が実施される。
【0049】
図9(a)に示すように、予成形工程では、まず、パンチ12とダイ14との間に金属素材100の板状部102を配置する。本実施形態では、ダイ14の第3支持面40によって板状部102を支持する。
【0050】
次に、図9(b)に示すように、プレス方向Xにおいてパンチ12とダイ14とを互いに近付けて、板状部102を、ダイ14のR面42b、第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、および第2支持面22のうち上記径方向YにおいてR面42bよりも内側の部分(本実施形態では、R面22d)で支持する。
【0051】
図9(c)に示すように、パンチ12およびダイ14をさらに近付けて、板状部102を、第1支持面20と第3支持面40とで挟みつつ、板状部102の一部を第2支持面22によって第4支持面42側に押し込む。これにより、下方側ほど直径が小さい円筒状の予成形部(円筒部)108が形成される。本実施形態では、板状部102の一部を、第1テーパー面22aと第2テーパー面42aとによって挟み、かつ平坦面22cと平坦面42cとによって挟むことで、R面42bに押し付ける。これにより、予成形部108を所望の形状に精度良く成形することができる。望ましくは、板状部102の一部を、第1テーパー面22aと第2テーパー面42aとによって挟み、平坦面22cと平坦面42cとによって挟み、さらにR面22dとR面42dとによって挟むことによって、予成形部108を所望の形状にさらに精度良く成形することができる。
【0052】
上記のように、本実施形態においても、板状部102の一部がダイ14のR面42bによって支持されつつ予成形部108が成形される。このため、予成形部108の根元部分108aは、上述の予成形部104の根元部分104a(図5(c)参照)と同様に、弧状に湾曲した湾曲部となる。
【0053】
次に、ステップS2における下穴形成工程において、予成形部108の中心部に下穴108b(後述の図10参照)を形成する。なお、ステップS2における下穴形成工程は、従来のバーリング加工方法において下穴を形成する工程と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
図10は、バーリング加工工程を説明するための図である。なお、本実施形態においても、図6で説明した成形装置5を用いてバーリング加工工程が実施される。
【0055】
図10(a)に示すように、バーリング加工を行う際には、まず、下穴108bが形成された予成形部108がダイ6の穴部6a内に位置付けられるように、板状部102のうち予成形部108の周囲をダイ6の支持面6bによって支持する。その状態で、図10(b)に示すように、パンチ8によって予成形部108を穴部6a内に押し込む。これにより、予成形部108の根元部分108aがダイ6の肩部6cに接触しつつ湾曲されて、筒状(本実施形態では、円筒状)のバーリング加工部110が成形される。このようにして、バーリング加工部110を有する成形品100aが製造される。本実施形態においても、バーリング加工部110の高さ(プレス方向Xにおける長さ)は、予成形部108の高さ(プレス方向Xにおける長さ)よりも大きい。
【0056】
(作用効果)
本実施形態においても、予成形工程において、ダイ14のR面42b、パンチ12の第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面42bよりも外側の部分、およびパンチ12の第2支持面22のうち上記径方向Yにおいて上記R面42bよりも内側の部分の3点によって板状部102を支持しつつ板状部102に対して予成形が行われる。これにより、上述の第1実施形態と同様に、予成形部108の根元部分108aの曲げ内側に微小なしわが発生することを抑制することができ、バーリング加工部110の根元部分にしわが発生することを十分に抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、下穴108bを形成する前に予成形部108が形成される。この場合、予成形部108を形成する際に、板状部102のうち第2支持面22と第4支持面42とによって挟み込まれた部分により大きな張力を作用させることができる。これにより、板状部102をダイ14のR面42bに十分な力で押し付けることができるので、しわの発生をさらに抑制できる。
【0058】
なお、自動車部品等を製造する際に本発明を利用する場合には、バーリング加工部110以外の部分を成形する際に予成形部108を成形し、その後に下穴108bを形成することによって、成形中や工程間の搬送などで生じる下穴108bの位置ずれを防止できる。また、予成形後に下穴108bを形成することによって、予成形時の加工によって下穴108bの縁部が損傷することを防止することができる。
【0059】
なお、上述の第1実施形態と同様に、本実施形態においても、成形装置10の形状は、図4に示した形状に限定されない。例えば、図11(a)に示すように、第4支持面42(平坦面42c)の中央部において開口する穴部42fがダイ14に形成されていてもよく、図11(b)に示すように、第2支持面22(平坦面22c)の中央部において開口する穴部22fがパンチ12に形成されていてもよく、パンチ12に穴部22fが形成されかつダイ14に穴部42fが形成されていてもよい。これらの場合でも、予成形時に板状部102を上述の実施形態と同様に3点で支持できるので、同様の効果が得られる。
【0060】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、円錐台状の第2支持面22を有するパンチ12および円錐台状の第4支持面42を有するダイ14によって予成形部を形成する場合について説明したが、第2支持面および第4支持面の形状は、円錐台状に限定されない。
【0061】
図12は、本発明の第3実施形態に係る成形品の製造方法において用いられる成形装置を示す概略図である。図12に示す成形装置10aが、図4に示した成形装置10と異なるのは、パンチ12およびダイ14の形状である。成形装置10aのパンチ12は、第2支持面22(図4参照)の代わりに、第2支持面24および平坦面26を有している。また、成形装置10aのダイ14は、第4支持面42(図4参照)の代わりに、第4支持面44および平坦面46を有している。以下においては、成形装置10aのうち、図4に示した成形装置10と異なる構成について主に説明し、図4に示した成形装置10と共通の構成については説明を省略する。
【0062】
図12に示すように、パンチ12は、第1支持面20と、第1支持面20から下方に突出しかつプレス方向Xから見て環状に形成された第2支持面24と、第1支持面20の内周縁20aの径方向Yにおいて第2支持面24の内側に設けられた平坦面26とを有している。平坦面26は、プレス方向Xに直交する方向に延びるように平面状に形成されている。
【0063】
第2支持面24は、径方向Yにおける外側を向きかつ下方側(プレス方向Xにおける一方側:ダイ14側)ほど直径が小さい第1テーパー面24aと、径方向Yにおける内側をむきかつ上方側(プレス方向Xにおける他方側)ほど直径が小さい第3テーパー面24bとを有している。本実施形態では、第2支持面24のうち、内周縁20a側の端部は、上方かつ径方向Yにおける内側に向かって凹むように湾曲するR面24cである。なお、本実施形態では、プレス方向Xから見て第2支持面24は円環状に形成されているが、プレス方向Xから見た第2支持面24の形状は、完全な円環形状でなくてもよい。
【0064】
ダイ14は、第3支持面40と、第3支持面40から下方に凹みかつプレス方向Xから見て環状に形成された第4支持面44と、径方向Yにおいて第4支持面44の内側に設けられた平坦面46とを有している。平坦面46は、プレス方向Xに直交する方向に延びるように平面状に形成されている。本実施形態では、プレス方向Xにおいて、第2支持面24と第4支持面44とが対向し、平坦面26と平坦面46とが対向している。
【0065】
第4支持面44は、径方向Yにおける内側を向きかつ下方側ほど直径が小さい第2テーパー面44aと、径方向Yにおける外側をむきかつ上方側ほど直径が小さい第4テーパー面44bとを有している。本実施形態では、第4支持面44のうち、内周縁40a側の端部は、上方かつ径方向Yにおける内側に向かって凸となるように湾曲するR面44cであり、平坦面46側の縁部は、上方かつ径方向Yにおける外側に向かって凸となるように湾曲するR面44dである。
【0066】
図13は、本実施形態における予成形工程を説明するための図である。なお、図13においては、上述の第2実施形態と同様に、予成形部を形成した後に、下穴を形成する場合について説明する。
【0067】
図13(a)に示すように、予成形工程では、まず、パンチ12とダイ14との間に金属素材100の板状部102を配置する。本実施形態では、ダイ14の第3支持面40によって板状部102を支持する。
【0068】
次に、図13(b)に示すように、プレス方向Xにおいてパンチ12とダイ14とを互いに近付けて、板状部102を、ダイ14のR面44c、第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面44cよりも外側の部分、および第2支持面24のうち上記径方向YにおいてR面44cよりも内側の部分(本実施形態では、第1テーパー面24aと第3テーパー面24bとの境界部:第2支持面24の下端部)で支持する。なお、本実施形態では、パンチ12の平坦面26およびダイ14のR面44dによっても、板状部102の一部が支持される。
【0069】
図13(c)に示すように、パンチ12およびダイ14をさらに近付けて、板状部102を、第1支持面20と第3支持面40とで挟みつつ、板状部102の一部を第2支持面24および平坦面26によって第4支持面44および平坦面46側に押し込む。これにより、予成形部112が形成される。本実施形態では、予成形部112は、下方側ほど直径が小さい円筒部112aと、上方側ほど直径が小さい円筒部112bと、円筒部112bの内側に設けられる円板部112cとを含む。円筒部112aは、第1テーパー面24aと第2テーパー面44aとによって挟まれることによって形成された部分であり、円筒部112bは、第3テーパー面24bと第4テーパー面44bとによって挟まれることによって形成された部分であり、円板部112cは、平坦面26と平坦面46とによって挟まれることによって形成された部分である。
【0070】
上記のように、本実施形態においても、板状部102の一部がダイ14のR面44cによって支持されつつ予成形部112が成形される。このため、予成形部112の根元部分112d(板状部102からの立ち上がり部)は、上述の予成形部104の根元部分104a(図5(c)参照)と同様に、弧状に湾曲した湾曲部となる。
【0071】
次に、予成形部112の中央部に下穴112e(後述の図14参照)を形成する。なお、下穴形成工程は、従来のバーリング加工方法において下穴を形成する工程と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
図14は、バーリング加工工程を説明するための図である。なお、本実施形態においても、図6で説明した成形装置5を用いてバーリング加工工程が実施される。図14(a)に示すように、バーリング加工を行う際には、まず、下穴112eが形成された予成形部112がダイ6の穴部6a内に位置付けられるように、板状部102のうち予成形部112の周囲をダイ6の支持面6bによって支持する。その状態で、図14(b)に示すように、パンチ8によって予成形部112を穴部6a内に押し込む。これにより、予成形部112の根元部分112dがダイ6の肩部6cに接触しつつ湾曲され、円筒部112aや円筒部112bも押し伸ばされて、筒状(本実施形態では、円筒状)のバーリング加工部114が成形される。このようにして、バーリング加工部114を有する成形品100aが製造される。本実施形態においても、バーリング加工部114の高さ(プレス方向Xにおける長さ)は、予成形部112の高さ(プレス方向Xにおける長さ)よりも大きい。
【0073】
なお、上述の第1実施形態と同様の観点から、例えば、成形装置10a(図12参照)のプレス方向Xから見てR面44cの内縁によって形成される円の大きさ(図12では、直径D3a)は、成形装置5のプレス方向Xから見て肩部6cの外縁によって形成される円の大きさ(図6では、直径D2b)以下に設定され、成形装置10aのプレス方向Xから見てR面44cの外縁によって形成される円の大きさ(図12では、直径D3b)は、成形装置5のプレス方向Xから見て肩部6cの内縁によって形成される円の大きさ(図6では、直径D2a)以上に設定される。また、ダイ6の肩部6cの曲率半径は、内周縁40a(図12参照)の中心を通りプレス方向Xに平行なダイ14の断面におけるR面44cの曲率半径(以下、単にR面44cの曲率半径と記載する。))に対して、大きくてもよく、小さくてもよく、同じであってもよい。ただし、上述の第1実施形態と同様の観点からは、ダイ6の肩部6cの曲率半径を、ダイ14のR面44cの曲率半径よりも大きくすることが好ましい。
【0074】
上述の第1実施形態と同様の観点から、内周縁40aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なダイ14の断面において、第3支持面40に対する第2テーパー面44aの傾斜角度θ44(図12参照)は、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。なお、本実施形態では、ダイ14の上記断面において、第2テーパー面44aは、直線状ではなく、曲線状に形成されている。本実施形態では、ダイ14の上記断面において、R面44cから第2テーパー面44aに向かって曲率を求めた場合に、曲率が明確に変化する点(すなわち、R面44cと第2テーパー面44aとの境界)における第4支持面44の接線(図12において二点鎖線で示す線)と第3支持面40とのなす角を、傾斜角度θ44とする。同様に、内周縁20aの中心を通りかつプレス方向Xに平行なパンチ12の断面において、第1テーパー面24aは、曲線状に形成されている。パンチ12の上記断面において、R面24cから第1テーパー面24aに向かって曲率を求めた場合に、曲率が明確に変化する点における第2支持面24の接線(図12において二点鎖線で示す線)と第1支持面20とのなす角を、第1支持面20に対する第1テーパー面24aの傾斜角度θ24とする。傾斜角度θ24は、30~65°に設定されることが好ましく、40~50°に設定されることがより好ましい。
【0075】
(作用効果)
本実施形態においても、予成形工程において、ダイ14のR面44c、パンチ12の第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面44cよりも外側の部分、およびパンチ12の第2支持面24のうち上記径方向YにおいてR面44cよりも内側の部分(本実施形態では、第1テーパー面24aと第3テーパー面24bとの境界部)の少なくとも3点によって板状部102を支持しつつ板状部102に対して予成形が行われる。これにより、上述の第1実施形態と同様に、予成形部112の根元部分112dの曲げ内側に微小なしわが発生することを抑制することができ、バーリング加工部114の根元部分にしわが発生することを十分に抑制できる。
【0076】
また、本実施形態では、第1テーパー面24aと第2テーパー面44aだけではなく、第3テーパー面24bと第4テーパー面44bとによっても板状部102を挟むことによって、板状部102のダイ14側により大きな張力を作用させることができる。これにより、板状部102をダイ14のR面44cに十分な力で押し付けることができるので、しわの発生をさらに抑制できる。
【0077】
また、本実施形態においても、上述の第2実施形態と同様に、下穴112eを形成する前に予成形部112が形成されるので、予成形部112を形成する際に、板状部102により大きな張力を作用させることができる。これにより、しわの発生をさらに抑制できる。
【0078】
(変形例1)
図15(a)に示すように、成形装置10aを用いる場合も、上述の第1実施形態と同様に、下穴112eを形成した後に、予成形部112を形成してもよい。なお、上述したように、予成形部を形成した後に下穴を形成する方が、成形中や工程間の搬送などで生じる下穴の位置ずれを防止でき、予成形時の加工によって下穴の縁部が損傷することも防止することができる。
【0079】
(変形例2)
上述の成形装置10aにおいては、プレス方向Xにおいて、第1支持面20の位置と平坦面26の位置は等しく、第3支持面40の位置と平坦面46の位置は等しいが、図15(b)に示すように、第1支持面20に対して平坦面26が下方に突出し、第3支持面40に対して平坦面46が下方に凹んでいてもよい。また、図示は省略するが、図11に示した成形装置10と同様に、平坦面26において開口する穴部がパンチ12に形成されてもよく、平坦面46において開口する穴部がダイ14に形成されてもよい。
【0080】
(変形例3)
上述の実施形態では、第2支持面24の下端部は、下方に向かって凸となるように弧状に湾曲し、第4支持面44の下端部は、下方に凹むように弧状に湾曲しているが、第2支持面24および第4支持面44の形状は上述の例に限定されない。例えば、図16に示すように、第2支持面24の下端部に、プレス方向Xから見て円環状の平坦面24dが設けられ、第4支持面44の下端部に、プレス方向Xから見て円環状の平坦面44eが設けられていてもよい。なお、第2支持面24において、第1テーパー面24aと平坦面24dとの境界部は、下方かつ径方向Yにおける外側に向かって凸となるように湾曲するR面24eであり、第3テーパー面24bと平坦面24dとの境界部は、下方かつ径方向Yにおける内側に向かって凸となるように湾曲するR面24fである。
【0081】
本実施形態においても、予成形部を形成する際には、図16に示すように、板状部102を、ダイ14のR面44c、第1支持面20のうち内周縁20aの径方向YにおいてR面44cよりも外側の部分、および第2支持面24のうち上記径方向YにおいてR面44cよりも内側の部分(本実施形態では、R面24e)の少なくとも3点で支持することができる。これにより、上述の実施形態と同様に、予成形部の根元部分の曲げ内側に微小なしわが発生することを抑制することができ、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを十分に抑制できる。なお、本実施形態では、パンチ12の平坦面26およびダイ14のR面44dに加えて、R面24fによっても、板状部102の一部が支持される。
【0082】
(利用例)
本発明に係る成形品の製造方法は、例えば、自動車部品を製造する際に利用できる。以下、ロアアームをプレスラインによって製造する場合について説明する。図17は、ロアアームを示す概略図であり、(a)はロアアームを示す平面図であり、(b)は(a)のA-B部分を示す端面図である。
【0083】
図17に示すロアアーム300は、天板部302と、天板部302の厚み方向に立ち上がるように形成されたバーリング加工部304,306と、天板部302の中央部に形成された溝部308と、天板部302の縁部から天板部302の厚み方向に立ち上がるように形成された壁部310とを有している。なお、図17に示すロアアーム300の形状は、本発明の利用方法の一例を説明するために簡略化されている。本発明を利用して製造される自動車部品は、図17に示すロアアームに限定されず、本発明は、バーリング加工部を有する種々の形状の自動車部品を製造するに際して利用できる。
【0084】
図18は、ロアアーム300を製造するためのプレスライン500を示す概略図である。プレスライン500は、金属素材100の搬送方向に沿って並べられた5つの金型50,52,54,56,58を有している。金型50,52,54,56,58は、スライド60に固定される上型50a,52a,54a,56a,58aと、ボルスタ62に固定される下型50b,52b,54b,56b,58bとを有している。スライド60は、ボルスタ62に対してプレス方向Xに移動可能に設けられている。プレスライン500では、図示しない駆動機構によってスライド60をボルスタ62に対して往復運動させつつ、図示しない搬送機構によって金属素材100を金型50,52,54,56,58の順に搬送して、ステップS11~S15の5つの工程を実施することによって、ロアアーム300が製造される。
【0085】
図19は、プレスライン500によって実施される工程の一例を説明するための図である。図19に示す例では、まず、ステップS11において、金型50の上型50aおよび下型50bによる挟持によって溝部308が形成される。上型50aおよび下型50bとしては、公知のパンチおよびダイと同様のパンチ501およびダイ502を用いることができる。
【0086】
次に、ステップS12において、金型52によるパッド曲げが行われる。具体的には、溝部308を上型52aのパッド521で押さえながら、上型52aのパンチ522によって壁部310が形成される。上型52aとしては、公知のパッドおよびパンチと同様のパッド521およびパンチ522を用いることができ、下型52bとしては、公知のダイと同様のダイ523を用いることができる。なお、詳細な説明は省略するが、ステップS11とステップS12との間に、金属素材100の一部を除去するためのトリム工程を実施してもよい。この場合、金型50と金型52との間に、トリム工程を実施するための金型が配置される。
【0087】
次に、ステップS13において、金型54によって、バーリング加工部304(図17参照)を形成するための下穴120が形成される。上型54aとしては、公知のパッドおよびパンチと同様のパッド541およびパンチ542を用いることができ、下型54bとしては、公知のダイと同様のダイ543を用いることができる。なお、図示は省略するが、ステップS13においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための下穴も形成される。
【0088】
次に、ステップS14において、金型56によって、下穴120の周縁部に予成形部130が形成される。上型56aのパッド561としては、公知のパッドと同様のパッドを用いることができ、上型56aのパンチ562には、上述の実施形態のパンチ12の構成が用いられる。また、下型56bのダイ563には、上述の実施形態のダイ14の構成が用いられる。なお、ダイ563のうち、予成形部130を形成するための部分以外の部分については、公知のダイの構成を用いることができる。本実施形態では、金型56が第1金型に対応し、パンチ562が第1パンチに対応し、ダイ563が第1ダイに対応する。なお、図示は省略するが、ステップS14においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための予成形部も形成される。
【0089】
最後に、ステップS15において、金型58によって、バーリング加工部304が形成される。上型58aとしては、公知のパッドおよびパンチと同様のパッド581およびパンチ582を用いることができ、下型58bとしては、公知のダイと同様のダイ583を用いることができる。なお、金型58のうちバーリング加工部304を形成する部分は、上述の成形装置5と同様に構成される。また、図示は省略するが、ステップS15においては、バーリング加工部306(図17参照)も形成される。これにより、ロアアーム300が完成する。本実施形態では、金型58が第2金型に対応し、パンチ582が第2パンチに対応し、ダイ583が第2ダイに対応する。
【0090】
図20は、プレスライン500によって実施される工程の他の一例を説明するための図である。図20に示す例においても、まず、ステップS11において溝部308が形成され、ステップS12において壁部310が形成される。なお、図20のステップS11,S12は、図19のステップS11,S12と同様であるので、説明は省略する。また、本例においても、ステップS11とステップS12との間に、金属素材100の一部を除去するためのトリム工程を実施してもよい。この場合、金型50と金型52との間に、トリム工程を実施するための金型が配置される。
【0091】
次に、ステップS13において、金型54によって、金属素材100の一部にバーリング加工部304(図17参照)を形成するための予成形部130が形成される。上型54aのパッド544としては、公知のパッドと同様のパッドを用いることができ、上型54aのパンチ545には、上述の実施形態のパンチ12の構成が用いられる。また、下型54bのダイ546には、上述の実施形態のダイ14の構成が用いられる。なお、ダイ546のうち、予成形部130を形成するための部分以外の部分については、公知のダイの構成を用いることができる。本実施形態では、金型54が第1金型に対応し、パンチ545が第1パンチに対応し、ダイ546が第1ダイに対応する。なお、図示は省略するが、ステップS13においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための予成形部も形成される。
【0092】
次に、ステップS14において、金型56によって、予成形部130の中心部に下穴120が形成される。上型56aとしては、公知のパッドおよびパンチと同様のパッド564およびパンチ565を用いることができ、下型56bとしては、公知のダイと同様のダイ566を用いることができる。なお、図示は省略するが、ステップS14においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための下穴も形成される。
【0093】
最後に、ステップS15において、金型58によって、バーリング加工部304が形成される。また、図示は省略するが、ステップS15においては、バーリング加工部306(図17参照)も形成される。これにより、ロアアーム300が完成する。なお、図20のステップS15は、図19のステップS15と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0094】
なお、図19および図20に示した例では、1つのプレスライン500に5つの金型(トリム工程を実施する場合は6つの金型)が設けられる場合について説明したが、5つの金型(または6つの金型)が2つのプレスラインに分けて配置されてもよい。
【0095】
図21は、プレスライン500によって実施される工程のその他の一例を説明するための図である。なお、図19および図20に示した例では、5つの金型50,52,54,56,58によって金属素材100からロアアーム300を製造する場合について説明したが、図21および後述の図22では、4つの金型50,52,54,56によってロアアーム300を製造する場合について説明する。
【0096】
図21に示す例では、まず、ステップS11において、金型50による挟持によってバーリング加工部304(図17参照)を形成するための予成形部130および溝部308が形成される。上型50aのパンチ503には、上述の実施形態のパンチ12の構成が用いられ、下型50bのダイ504には、上述の実施形態のダイ14の構成が用いられる。なお、パンチ503およびダイ504のうち、予成形部130を形成するための部分以外の部分については、公知のパンチおよびダイの構成を用いることができる。本実施形態では、金型50が第1金型に対応し、パンチ503が第1パンチに対応し、ダイ504が第1ダイに対応する。なお、図示は省略するが、ステップS11においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための予成形部も形成される。
【0097】
次に、ステップS12において、金型52によるパッド曲げが行われる。具体的には、溝部308を上型52aのパッド524で押さえながら、上型52aのパンチ525によって壁部310が形成される。上型52aとしては、公知のパッドおよびパンチと同様のパッド524およびパンチ525を用いることができ、下型52bとしては、公知のダイと同様のダイ526を用いることができる。なお、詳細な説明は省略するが、ステップS11とステップS12との間に、金属素材100の一部を除去するためのトリム工程を実施してもよい。この場合、金型50と金型52との間に、トリム工程を実施するための金型が配置される。
【0098】
次に、ステップS13において、金型54によって、予成形部130の中心部に下穴120が形成される。なお、図示は省略するが、ステップS13においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための下穴も形成される。なお、図21のステップS13は、図20のステップS14と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0099】
最後に、ステップS14において、金型56によって、バーリング加工部304が形成される。また、図示は省略するが、ステップS14においては、バーリング加工部306(図17参照)も形成される。これにより、ロアアーム300が完成する。なお、図21のステップS14は、図20のステップS15と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0100】
図21に示した例では、ステップS11において、溝部308の形成と、予成形部130の形成とが行われるので、図19および図20に示した例に比べて、工程数を少なくすることができる。
【0101】
図22は、プレスライン500によって実施される工程のさらに他の一例を説明するための図である。図22に示す例では、まず、ステップS11において、金型50による挟持によって溝部308が形成される。なお、図22のステップS11は、図19のステップS11と同様であるので、説明は省略する。
【0102】
次に、ステップS12において、金型52によって、バーリング加工部304(図17参照)を形成するための予成形部130および壁部310が形成される。本実施形態では、上型52aにおいて予成形部130を形成するためのパンチ527には、上述の実施形態のパンチ12の構成が用いられる。また、上型52aにおいてパッド曲げを行うためのパッド528およびパンチ529には、公知のパッドおよびパンチの構成を用いることができる。下型52bのダイ530には、上述の実施形態のダイ14の構成が用いられる。なお、ダイ530のうち、予成形部130を形成するための部分以外の部分については、公知のダイの構成を用いることができる。なお、図示は省略するが、ステップS12においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための予成形部も形成される。
【0103】
なお、詳細な説明は省略するが、ステップS11とステップS12との間に、金属素材100の一部を除去するためのトリム工程を実施してもよい。この場合、金型50と金型52との間に、トリム工程を実施するための金型が配置される。
【0104】
次に、ステップS13において、金型54によって、予成形部130の中心部に下穴120が形成される。なお、図示は省略するが、ステップS13においては、バーリング加工部306(図17参照)を形成するための下穴も形成される。なお、図22のステップS13は、図20のステップS14と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0105】
最後に、ステップS14において、金型56によって、バーリング加工部304が形成される。また、図示は省略するが、ステップS14においては、バーリング加工部306(図17参照)も形成される。これにより、ロアアーム300が完成する。なお、図22のステップS14は、図20のステップS15と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0106】
図22に示した例では、ステップS12において、壁部310の形成と、予成形部130の形成とが行われるので、図19および図20に示した例に比べて、工程数を少なくすることができる。
【0107】
なお、図21および図22に示した例においても、1つのプレスラインに4つの金型(トリム工程を実施する場合は5つの金型)が設けられてもよく、4つの金型(または5つの金型)が2つのプレスラインに分けて配置されてもよい。
【0108】
上述の実施形態では、複数のトランスファー型のプレスラインにおいて本発明を適用する場合について説明したが、タンデム型のプレスラインにおいて本発明を適用してもよい。
【0109】
上述の実施形態では、平板状の板状部の一部に予成形部(バーリング加工部)を形成する場合について説明したが、予成形部を形成する部分は、完全な平板状でなくてもよく、緩やかに湾曲していてもよい。この場合、例えば、金属素材のうちバーリング加工部の中心となる部分の厚み方向が、プレス方向となる。
【実施例0110】
図4図6で説明した予成形工程およびバーリング加工工程を、成形装置10および成形装置5を用いて実施して、本発明の効果を確認した。下記の表1に示すように、実施例(No.1~14)では、金属素材100として、厚さが2.9mmで、ビッカース硬さ(HV1)が250または350の鋼板を用いた。金属素材100のビッカース硬さ(HV1)は、上述したビッカース硬さの測定方法に従って測定した。予成形工程の成形装置10については、第3支持面40に対する第2テーパー面42aの傾斜角度θ42(図4参照)、ダイ14のR面42b(図4参照)の曲率半径、R面42bの内縁の直径D1aおよびR面42bの外縁の直径D1bを、表1に示すように設定した。第4支持面42のプレス方向Xにおける高さH(図4参照)は、20mmとし、パンチ12のR面22dの曲率半径は3.0mmとした。第1支持面20に対する第1テーパー面22aの傾斜角度θ22(図4参照)は、傾斜角度θ42と等しい。バーリング加工工程の成形装置5については、肩部6cの内縁の直径D2a(図6参照)は50mmとし、肩部6cの外縁の直径D2b(図6参照)は52mmとし、ダイ6の肩部6cの曲率半径は1.0mmとし、パンチ8の肩部8aの曲率半径は5.0mmとした。バーリング加工工程におけるパッド7のパッド荷重は、150kNとした。比較例(No.15,16)では、予成形工程を実施することなく、成形装置5を用いてバーリング加工を行った。比較例(No.15,16)においても、金属素材100として、厚さが2.9mmで、ビッカース硬さ(HV1)が250または350の鋼板を用いた。
【0111】
【表1】
【0112】
実施例(No.1~14)および比較例(No.15,16)について、バーリング加工後に、バーリング加工部の根元部分(図2の曲げ変形部204に相当する部分)を切り出し、樹脂に埋め込んで切断面を研磨し、カーボン蒸着を行った後、上記根元部分をSEMによって観察した。表1の結果の欄の「C」は、上記根元部分に発生したしわの数が15以上であったことを意味し、「B」は、しわの数が5以上14以下であったことを意味し、「A」は、しわの数が4以下であったことを意味する。
【0113】
表1に示す結果から、本発明によれば、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明によれば、バーリング加工部の根元部分にしわが発生することを抑制できる成形品の製造方法、成形装置、およびプレスラインが得られる。本発明は、バーリング加工部の根元部分にしわが発生しやすい高強度の金属素材に対してバーリング加工を行うに際して、特に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0115】
6b 支持面(第5支持面)
10,10a 成形装置
12 パンチ
14 ダイ
20 第1支持面
20a,40a 内周縁
22,24 第2支持面
22a,24a 第1テーパー面
24b 第3テーパー面
40 第3支持面
42,44 第4支持面
42a,44a 第2テーパー面
42b,44c R面
44b 第4テーパー面
100 金属素材
102 板状部
104,108,112,130 予成形部
106,110,114,304,306 バーリング加工部
500 プレスライン
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