(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016119
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20250124BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20250124BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20250124BHJP
B60R 13/00 20060101ALI20250124BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20250124BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20250124BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20250124BHJP
B60Q 1/28 20060101ALI20250124BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20250124BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20250124BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20250124BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20250124BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20250124BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20250124BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G02B5/22
G02B5/26
B60R13/00
G09F13/04 D
G01S17/931
G01S13/931
G09F13/04 J
B60Q1/28
B60Q1/50 Z
F21S41/20
F21S43/20
F21V3/00 350
F21V3/02 500
F21V3/10 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119178
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青山 俊介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 晃司
(72)【発明者】
【氏名】深川 鋼司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 宏明
(72)【発明者】
【氏名】矢上 剛士
【テーマコード(参考)】
2H148
3D024
3K339
5C096
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
2H148CA14
2H148CA19
2H148CA23
2H148FA16
2H148FA22
3D024BA03
3D024BA07
3D024BA15
3K339BA02
3K339BA04
3K339BA30
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3K339MC90
5C096BA01
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5J084AB07
5J084AC02
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】表示装置が設けられる対象物の外観を向上させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置13は、透光パネル14と、透光パネル14の内側に配置されるとともに透光パネル14に光を照射することによって表示することを可能にした表示用光源と、表示用光源を収容するとともに透光パネル14側に開口部を有したハウジング16とを備える。透光パネル14は、透明樹脂基材21と、染料または顔料を含有する第1発色層23と、可視光を反射するとともに赤外線を透過させるコールドミラー薄膜によって構成されたフィラー27を含有する第2発色層24とを有する。第1発色層23は、特定波長の光の透過率が20%以上である。第2発色層24は、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が80%以下であるとともに、第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%以上である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波透過性を有するパネルに設けられる透光部と、前記透光部の内側に配置されるとともに前記透光部に光を照射することによって表示することを可能にした表示用光源と、前記表示用光源を収容するとともに前記透光部側に開口部を有したハウジングとを備え、
前記透光部は、透明樹脂基材と、染料または顔料を含有する第1発色層と、可視光を反射するとともに赤外線を透過させるコールドミラー薄膜によって構成されたフィラーを含有する第2発色層とを有し、
前記第1発色層は、特定波長の光の透過率が20%以上であり、
前記第2発色層は、前記第1発色層の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が80%以下であるとともに、前記第1発色層の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ハウジングにおける前記透光部と対向する面には、光を反射し易くするための反射部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記透光部は、赤外線の透過率が60%以上であり、且つミリ波の減衰率が3.0dB以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両などに搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載される表示装置の一種として発光グリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした発光グリルは、透光性のアウタカバーと、アウタカバーの内側に配置された発光素子とを有している。発光グリルは、夜間に発光素子の光がアウタカバーを透過することによって発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発光グリルは、通常、日中に発光させることはない。発光グリルは、発光していない場合、太陽光などの外部からの光が照射されると、その光のうちの一部がアウタカバーを透過するとともに残りがアウタカバーで反射する。一方、車両において発光グリルに隣接するフードは、太陽光などの外部からの光が照射されると、その光のほとんどを反射する。このため、発光グリルの外観とフードの外観とが大きく異なってしまうので、発光グリルが設けられた車両の外観が低下するという課題がある。
【0005】
こうした課題は、車両に設けられる表示装置に限らず、例えば車両以外の移動体や建物の外壁などに設けられる表示装置においても概ね共通したものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための表示装置の各態様を記載する。
[態様1]電磁波透過性を有するパネルに設けられる透光部と、前記透光部の内側に配置されるとともに前記透光部に光を照射することによって表示することを可能にした表示用光源と、前記表示用光源を収容するとともに前記透光部側に開口部を有したハウジングとを備え、前記透光部は、透明樹脂基材と、染料または顔料を含有する第1発色層と、可視光を反射するとともに赤外線を透過させるコールドミラー薄膜によって構成されたフィラーを含有する第2発色層とを有し、前記第1発色層は、特定波長の光の透過率が20%以上であり、前記第2発色層は、前記第1発色層の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が80%以下であるとともに、前記第1発色層の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%以上であることを特徴とする表示装置。
【0007】
上記構成によれば、夜間には、表示用光源から透光部に光を照射することで、当該光が透光部を透過して外部に進むので、透光部の発光による表示を行うことができる。一方、昼間には、表示用光源から光を出さなくても、第1発色層及び第2発色層が外部からの光を適度に反射及び透過させるとともに外部から第1発色層及び第2発色層を透過した光をハウジングで反射させて透光部を通じて外部へ導くことができる。このため、透光部から外部に出て行く光の光量を増加させることができる。したがって、透光部から外部に出て行く光の光量を、例えば透光部に隣接して配置されるとともに外部からの光をほぼ100%反射する非透光部の一例としての非透光パネルから外部に放たれる光の光量に近づけることができる。この結果、透光部の外装色を非透光パネルの外装色に近づけることができるので、透光部と非透光パネルとの境界が目立ち難くなる。よって、表示装置が設けられる対象物の外観を向上させることができる。
【0008】
[態様2]前記ハウジングにおける前記透光部と対向する面には、光を反射し易くするための反射部が設けられていることを特徴とする[態様1]に記載の表示装置。
上記構成によれば、反射部により、ハウジング内に入った光を透光部に向けて効率的に反射することができる。このため、ハウジング内から透光部を透過して外部に出て行く光の光量をより一層増加させることができる。
【0009】
[態様3]前記透光部は、赤外線の透過率が60%以上であり、且つミリ波の減衰率が3.0dB以下であることを特徴とする[態様1]または[態様2]に記載の表示装置。
上記構成によれば、透光部の内側に赤外線センサやミリ波センサなどの電磁波センサを配置した場合に、透光部を赤外線センサやミリ波センサなどを覆うための電磁波透過カバーとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、表示装置が設けられる対象物の外観を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の車両の外装構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、表示装置を車両に設けられる表示装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
<車両11の構成>
図1に示すように、車両11は、非透光パネル12と、表示装置13とを備えている。車両11は、表示装置13が設けられる対象物の一例である。表示装置13は、電磁波透過性を有するパネルに設けられる透光部の一例としての透光パネル14と、表示用光源15と、ハウジング16とを備えている。非透光部の一例としての非透光パネル12は、一例として車両11の前部に位置するフード17を構成する。表示装置13は、一例として発光グリル18を構成する。透光パネル14は、一例として車両11の前部に位置する発光グリル18の外装を構成する。
【0013】
透光パネル14は、非透光パネル12の周辺に配置されている。すなわち、透光パネル14は、非透光パネル12の下側に隣接して配置されている。非透光パネル12と透光パネル14との外装色同士は、互いに同系色になっている。車両11における表示装置13の後側の位置には、赤外線センサ19及びミリ波センサ20が上下に並んで配置されている。
【0014】
赤外線センサ19は、電磁波のうち例えば900nmの波長を有する赤外線(近赤外線)を車両11の前方へ向けて送信し、且つ先行車両及び歩行者等を含む車外の物体に当たって反射された赤外線を受信する。赤外線センサ19では、送信及び受信した赤外線に基づき、車外の上記物体を認識するとともに、車両11と上記物体との距離、相対速度等を検出する。赤外線センサ19は、ミリ波センサ20が検出できる物体よりも小さな物体を検出できるといった特徴を有している。
【0015】
ミリ波センサ20は、電磁波のうちミリ波を車両11の前方へ向けて送信し、且つ先行車両及び歩行者等を含む車外の物体に当たって反射されたミリ波を受信する。ミリ波センサ20では、送信及び受信したミリ波に基づき、車外の上記物体を認識するとともに、車両11と上記物体との距離、相対速度等を検出する。ミリ波とは、波長が1mm~10mmであり、且つ周波数が30GHz~300GHzである電波をいう。ミリ波センサ20は、雨や霧、雪といった悪天候に強く、且つ赤外線センサ19と比較して検出可能距離が長いといった特徴を有している。
【0016】
<非透光パネル12>
図1に示すように、非透光パネル12は、例えば太陽光などの外部からの光を透過させない。すなわち、非透光パネル12は、外部からの光をほぼ100%反射する。
【0017】
<透光パネル14>
図1及び
図2に示すように、透光パネル14は、例えば太陽光などの外部からの光を反射及び透過させる。すなわち、透光パネル14は、外部からの光のうち、一部を反射するとともに、残りを透過させる。透光パネル14は、外部からの光のうち、例えば、80%を反射する場合、残りの20%を透過させる。透光パネル14は、電磁波透過性を有している。すなわち、透光パネル14は、赤外線透過性及びミリ波透過性を有している。
【0018】
透光パネル14は、板状の透明樹脂基材21と、透明樹脂基材21の後面に積層された加飾層22とを有している。加飾層22は、透明樹脂基材21の後面に積層された第1発色層23と、第1発色層23の後面に積層された第2発色層24とを有している。透明樹脂基材21は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂などによって構成される。第1発色層23は、第1ベース樹脂25に染料または顔料を含有させた層である。
【0019】
第1発色層23は、特定波長の光の透過率が20%以上であることが好ましい。特定波長の光は、例えば非透光パネル12の外装色の色と同じ波長の光である。第1発色層23における特定波長の光の透過率が20%未満である場合、表示用光源15によって透光パネル14に発光表示を行う際に、非透光パネル12の外装色の成分が不足するおそれがある。また、第1発色層23は、その染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が20%であることが好ましい。さらに、第1発色層23は、その染料または顔料で吸収されない波長の光の透過率が100%であることが好ましい。
【0020】
図2及び
図3に示すように、第2発色層24は、第2ベース樹脂26にコールドミラー薄膜によって構成されたフィラー27を含有させた層である。コールドミラー薄膜は、可視光を反射するとともに、赤外線を透過させるという特徴を有している。第2発色層24は、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が80%以下であることが好ましい。第2発色層24における第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が100%である場合、表示用光源15から照射される光のうち第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光が全く透過しなくなってしまう。
【0021】
第2発色層24は、第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%以上であることが好ましい。第2発色層24における第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%未満である場合、ハウジング16で反射した後に透光パネル14を透過して外部に出ていく当該波長の光の光量が不足するおそれがある。
【0022】
図1及び
図2に示すように、透光パネル14は、例えば波長が900nmの赤外線の透過率が60%以上であることが好ましい。透光パネル14における赤外線の透過率が60%未満である場合、赤外線センサ19の検出精度が不足するおそれがある。透光パネル14は、ミリ波の往復での減衰率が3.0dB以下であることが好ましい。透光パネル14におけるミリ波の往復での減衰率が3.0dBを超えると、ミリ波センサ20の検出精度が不足するおそれがある。
【0023】
<ハウジング16>
図1に示すように、ハウジング16は、前端に開口部28を有した有底矩形箱状をなしている。ハウジング16の開口部28は、透光パネル14の透明樹脂基材21によって塞がれている。ハウジング16は、透光パネル14側に開口部28を有している。透光パネル14の加飾層22は、ハウジング16内に位置している。
【0024】
ハウジング16は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合(ASA)樹脂等によって構成される。
【0025】
ハウジング16における透光パネル14との対向面29における上端部及び下端部には、表示用光源15がそれぞれ設けられている。すなわち、ハウジング16は、内部に2つの表示用光源15を収容している。したがって、各表示用光源15は、透光パネル14の後側(内側)の位置に配置されている。ハウジング16における透光パネル14との対向面29には、光を反射し易くするための反射部30が設けられている。すなわち、対向面29は、反射部30によって覆われている。反射部30は、例えば白色反射材や反射鏡などによって構成される。
【0026】
表示用光源15は、可視光を照射するLED(Light Emitting Diode)と、LEDを制御する制御回路とを有している。表示用光源15は、透光パネル14に可視光を照射することで、透光パネル14を透過する可視光によって文字や絵柄などの発光表示を行うことを可能にしている。
【0027】
<実施形態の作用>
車両11は、通常、夜間の走行において表示用光源15を発光させる。すると、表示用光源15から透光パネル14に光が照射されるので、透光パネル14を透過する光によって文字や絵柄などが発光表示される。このとき、第1発色層23における特定波長の光の透過率が20%以上であるため、上記発光表示には特定波長の光も含まれる。
【0028】
さらにこのとき、第2発色層24は、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が例えば80%である場合、表示用光源15から照射される光のうち第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の透過をある程度許容する。このため、上記発光表示には第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光も含まれる。したがって、透光パネル14を透過する光によって文字や絵柄などが良好に発光表示される。
【0029】
一方、車両11は、通常、昼間の走行において透光パネル14に文字や絵柄などを発光表示しないので、表示用光源15を発光表示のために発光させることはない。すると、透光パネル14では、照射される外部からの光の一例としての太陽光のうち、一部を反射するが、残りを透過させる。このとき、透光パネル14と隣接する非透光パネル12では、照射される太陽光のほぼ全てを反射する。このため、透光パネル14での太陽光の反射率は、非透光パネル12での太陽光の反射率よりも小さくなる。
【0030】
したがって、透光パネル14で反射する太陽光の光量は、非透光パネル12で反射する太陽光の光量よりも少なくなる。すなわち、透光パネル14で反射する太陽光の光量と非透光パネル12で反射する太陽光の光量との間に差が生じる。この差が大きくなると、透光パネル14と非透光パネル12との外装色同士が同系色であっても、透光パネル14と非透光パネル12との間で発色が大きく異なってしまう。この結果、透光パネル14と非透光パネル12との境界が目立ち易くなるので、車両11の外観が低下してしまう。
【0031】
この点、
図2に示すように、本実施形態では、車両11の昼間の走行において、表示用光源15を発光させなくても次のようになる。すなわち、透光パネル14に対して外部からの光として例えば太陽光が照射されると、太陽光は透明樹脂基材21及び第1発色層23を透過して第2発色層24に到達する。このとき、太陽光は、全て透明樹脂基材21を透過する。加えて、透明樹脂基材21を透過した太陽光のうち、第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光は第1発色層23を20%透過するとともに、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光は第1発色層23を100%透過する。
【0032】
第2発色層24に到達した太陽光のうち、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光は、例えば80%が第2発色層24で反射されると、20%が第2発色層24を透過する。第2発色層24に到達した太陽光のうち、第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光は、60%以上が第2発色層24を透過する。第2発色層24を透過した太陽光は、反射部30で反射した後、上述と同様に、一部が透光パネル14を透過して外部へ出ていく。このため、透光パネル14から外部へ放たれる光の光量が増加する。
【0033】
これにより、透光パネル14は、その外装色が非透光パネル12の外装色に近づけられた状態で発色する。なぜなら、透光パネル14から外部へ放たれる光の光量と非透光パネル12から外部へ放たれる光の光量との差が小さいほど、非透光パネル12の外装色と透光パネル14の外装色との見た目が近くなるからである。この結果、透光パネル14の外観が非透光パネル12の外観に近づくので、透光パネル14と非透光パネル12との境界が目立ち難くなる。したがって、車両11の外観が向上される。
【0034】
一例として、
図2の矢印で示すように、透光パネル14及び非透光パネル12のそれぞれに対して入射する入射太陽光31の入射光量を100とした場合、透光パネル14では100の入射太陽光31のうちの80の入射太陽光31が反射光32として反射するとともに残りの20の入射太陽光31が透過光33として透過する一方、非透光パネル12では100の入射太陽光31が反射光32として反射する。この状態では、透光パネル14から外部へ放たれる光の光量は80であるとともに、非透光パネル12から外部へ放たれる光の光量は100である。
【0035】
しかし、透光パネル14を透過した20の透過光33は、ハウジング16の反射部30で反射した後、再び20のうちの一部(「A」とする)が透光パネル14の内側から内側反射光34として透光パネル14を透過して外部に放たれる。すると、透光パネル14から外部へ放たれる光の光量は80+上記Aとなるので、透光パネル14から外部へ放たれる光の光量と非透光パネル12から外部へ放たれる光の光量との差が上記Aの分だけ小さくなる。このため、透光パネル14の外装色が非透光パネル12の外装色に近づく。したがって、透光パネル14と非透光パネル12との境界が目立ち難くなるので、車両11の外観が向上される。
【0036】
また、透光パネル14は、波長が900nmの赤外線の透過率が60%以上であるため、赤外線センサ19の検出精度が確保される。さらに、透光パネル14は、ミリ波の往復での減衰率が3.0dB以下であるため、ミリ波センサ20の検出精度が確保される。したがって、透光パネル14は、電磁波透過カバーとしても機能する。
【0037】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)表示装置13は、電磁波透過性を有する透光パネル14と、透光パネル14の内側に配置されるとともに透光パネル14に光を照射することによって表示することを可能にした表示用光源15と、表示用光源15を収容するとともに透光パネル14側に開口部28を有したハウジング16とを備える。透光パネル14は、透明樹脂基材21と、染料または顔料を含有する第1発色層23と、可視光を反射するとともに赤外線を透過させるコールドミラー薄膜によって構成されたフィラー27を含有する第2発色層24とを有する。第1発色層23は、特定波長の光の透過率が20%以上である。第2発色層24は、第1発色層23の染料または顔料で吸収されない波長の光の反射率が80%以下であるとともに、第1発色層23の染料または顔料で吸収される波長の光の透過率が60%以上である。
【0038】
上記構成によれば、夜間には、表示用光源15から透光パネル14に光を照射することで、当該光が透光パネル14を透過して外部に進むので、透光パネル14の発光による表示を行うことができる。一方、昼間には、表示用光源15から光を出さなくても、第1発色層23及び第2発色層24が外部からの光を適度に反射及び透過させるとともに外部から第1発色層23及び第2発色層24を透過した光をハウジング16で反射させて透光パネル14を通じて外部へ導くことができる。このため、透光パネル14から外部に出て行く光の光量を増加させることができる。したがって、透光パネル14から外部に出て行く光の光量を、透光パネル14に隣接して配置されるとともに外部からの光をほぼ100%反射する非透光パネル12から外部に放たれる光の光量に近づけることができる。この結果、透光パネル14の外装色を非透光パネル12の外装色に近づけることができるので、透光パネル14と非透光パネル12との境界が目立ち難くなる。よって、表示装置13が設けられる車両11の外観を向上させることができる。
【0039】
(2)表示装置13において、ハウジング16における透光パネル14と対向する対向面29には、光を反射し易くするための反射部30が設けられている。
上記構成によれば、反射部30により、ハウジング16内に入った光を透光パネル14に向けて効率的に反射することができる。このため、ハウジング16内から透光パネル14を透過して外部に出て行く光の光量をより一層増加させることができる。
【0040】
(3)表示装置13において、透光パネル14は、赤外線の透過率が60%以上であり、且つミリ波の減衰率が3.0dB以下である。
上記構成によれば、透光パネル14の内側に赤外線センサ19やミリ波センサ20などの電磁波センサを配置した場合に、透光パネル14を赤外線センサ19やミリ波センサ20などを覆うための電磁波透過カバーとして機能させることができる。
【0041】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・反射部30は、省略してもよい。
・透光パネル14において、透明樹脂基材21の前面に加飾層22を積層してもよい。
・透光パネル14は、必ずしも赤外線の透過率が60%以上である必要はない。
【0043】
・透光パネル14は、必ずしもミリ波の減衰率が3.0dB以下である必要はない。
・外部からの光は、太陽光に限らず、例えば屋外や屋内に設置された照明機器からの光であってもよい。
【0044】
・加飾層22は、反射光を制御するためのスモーク層及び発光色を制御するための補色層のうち少なくとも一方を有していてもよい。
・表示装置13は、その意匠面を構成するパネルに透光部と非透光部とを隣接して設けるようにしてもよい。
【0045】
・表示装置13は、車両11以外の対象物に設けられるようにしてもよい。対象物としては、例えば、配膳用ロボット、ドローン、建物の外壁や内壁などが挙げられる。
【符号の説明】
【0046】
11…車両
12…非透光部の一例としての非透光パネル
13…表示装置
14…電磁波透過性を有するパネルに設けられる透光部の一例としての透光パネル
15…表示用光源
16…ハウジング
17…フード
18…発光グリル
19…赤外線センサ
20…ミリ波センサ
21…透明樹脂基材
22…加飾層
23…第1発色層
24…第2発色層
25…第1ベース樹脂
26…第2ベース樹脂
27…フィラー
28…開口部
29…対向面
30…反射部
31…入射太陽光
32…反射光
33…透過光
34…内側反射光