(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001613
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】建物ユニットの養生部材及び養生方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/24 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
E04G21/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179103
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2023100488
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】500444829
【氏名又は名称】株式会社東野朝商店
(74)【代理人】
【識別番号】100117374
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真一
(72)【発明者】
【氏名】東野 光佑
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で安価に製造でき、耐久性にも優れ、ライン生産方式によって製造する場合であっても、作業効率の優れた建物ユニットの養生部材及びそれを使用する建物ユニットの養生方法を提供及び養生部材の安全かつ迅速容易な回収を行うことのできる建物ユニットの養生部材及びそれを使用する建物ユニットの養生方法を提供する。
【解決手段】建物ユニットの上面に防水カバーを被覆するに際して、前記建物ユニットの上面に並設し架設され、前記防水カバーを支持する薄板状の養生用板材と、前記建物ユニットの上面の凹部に敷設され、前記上面に架設される養生用板材を支持するマクラ部材とを備え、前記マクラ部材は長手方向の端部に長尺の回収用紐状部材を設けるとともに、前記養生用板材の端部にも長尺の回収用紐状部材を設けるよう形成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物ユニットの上面に防水カバーを被覆するに際して、
前記建物ユニットの上面に並設し架設され、前記防水カバーを支持する薄板状の養生用板材と、
前記建物ユニットの上面の凹部に敷設され、前記上面に架設される養生用板材を支持するマクラ部材とを備え、
前記マクラ部材は長手方向の端部に長尺の回収用紐状部材を設けるとともに、前記養生用板材の端部にも長尺の回収用紐状部材を設けてなることを特徴とする建物ユニットの養生部材。
【請求項2】
前記養生用板材は、長手方向に2つ折り可能な折曲部を幅方向に亘って設けてなることを特徴とする請求項1に記載の建物ユニットの養生部材。
【請求項3】
前記養生用板材は、四隅に、前記建物ユニットを吊り下げるための固定部材の逃がし切り欠き部を設けてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物ユニットの養生部材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一に記載の建物ユニットの養生部材を使用して防水シートを被覆する建物ユニットの養生方法であって、
前記建物ユニットの上面に前記マクラ部材を前記マクラ部材の端部に設けた前記回収紐部材を前記建物ユニットの外側に垂らすように敷設する行程と、
2つ折りした前記養生用板材を展開し、前記養生板部材の端部に設けた回収紐部材を外側に垂らすように、前記養生板材を前記建物ユニットの上面に複数枚並行に架設する行程と、
前記養生板材の上面に、防水シートを被覆する行程と
を備えてなることを特徴とする建物ユニットの養生方法。
【請求項5】
建物ユニットの上面に防水カバーを被覆するに際して、
前記建物ユニットの上面に並設し架設され、前記防水カバーを支持する薄板状の養生用板材であって、
長手方向の端部に長尺の回収用紐状部材を設けてなることを特徴とする建物ユニットの養生部材。
【請求項6】
前記養生用板材は、長手方向に3つ折り又は四つ折り可能な折曲部を幅方向に亘って設けてなることを特徴とする請求項6に記載の建物ユニットの養生部材。
【請求項7】
前記養生用板材は、四隅に、前記建物ユニットを吊り下げるための固定部材の逃がし切り欠き部を設けてなることを特徴とする請求項5又は6に記載の建物ユニットの養生部材。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか一に記載の建物ユニットの養生部材を使用して防水シートを被覆する建物ユニットの養生方法であって、
2つ折り乃至四つ折りした前記養生用板材を展開し、前記養生板部材の端部に設けた回収紐部材を前記建物ユニットの外側に垂らすように、前記養生板材を前記建物ユニットの上面に複数枚並行に架設する行程と、
前記養生板材の上面に、防水シートを被覆する行程と
を備えてなることを特徴とする建物ユニットの養生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物ユニットの養生部材及び養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物ユニットの保管時や運搬時に、建物ユニットの上面の周囲に防水カバーを被覆するに際し、合板を天井に敷き防水カバーを被せるもの全体を軽量にするために合板を用いず、かつ防水カバーの上に雨水が溜まらないようにするため、特開昭61-257574号公報に記載の如く、防水カバーに空気袋を設け、この空気袋を圧縮空気により膨らませることによって防水カバーの天井面に排水勾配を設けるもの、実公昭56-39085号公報に記載の如く、建物ユニットの相対する天井梁の間に弾性支骨片を弓なり変形させた突っ張り状態で架け渡し、この弾性支骨片の上に防水カバーを被せることによって防水カバーの天井面に排水勾配を設けるものがある。
【0003】
しかしながら、合板を天井から下ろすには時間が掛かり、建物ユニットの上(トラックの荷台の上)で、危険な作業を伴うことがあった。また、防水カバーに空気袋を設けたものでは、防水カバーが複雑で大重量になること、空気袋を膨らます空圧装置が必要がなること、空気袋を膨らませたり、その空気を抜くのに長時間を必要とすること等の不都合がある。さらに、弾性支骨片を用いるものでは、弾性支骨片を弓なり変形させて天井梁に係止したり、この係止を外す作業の全てを、建物ユニットの上面の上で行なう必要があり、作業性が悪い。
【0004】
そこで、出願人は、建物ユニットの上面の周囲に防水カバーを被覆するに際し、 建物ユニットの上面にカバー持上具を載置し、カバー持上具が有している引張部材を引張操作することにより該カバー持上具を平伏状態から立上状態に変化させ、立上状態のカバー持上具により防水カバーを持上げ可能とする建物ユニットの養生装置であって、 前記カバー持上具が、建物ユニットの上面に対し弾性的に弓なり変形できる変形部を備えた持上部材と、持上部材の変形部における建物ユニットの巾方向の一方側に位置する一端部を建物ユニットの周囲でその巾方向の他方側に連結する連結部材と、持上部材の変形部における建物ユニットの巾方向の他方側に位置する他端部を建物ユニットの巾方向の一方側に引張り、該持上部材の変形部を弓なり変形させるとともに、建物ユニットの周囲でその巾方向の一方側に接続する引張部材とを有して構成され、 前記持上部材が、建物ユニットの上面に載置される基板ボードと、基板ボードの一端部に連結されて該基板ボードに折り重ね配置される変形ボードとを有し、該変形ボードは前記変形部を構成し、基板ボードの他端部に前記連結部材を連結し、変形ボードの自由端部に前記引張部材を連結してなる建物ユニットの養生装置を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の建物ユニットの養生装置においては、養生装置としては構造が複雑なうえに、カバー持上具は、引張部材を引っ張り操作することにより平伏状態から立上状態に変化せしめるものであり、防水カバーを被覆するまでに所定の作業を行う必要がある。また、構造が複雑なため、耐久性に問題が生じる虞があった。さらに養生を解き、養生装置を回収する場合においても、手間が掛かっていた。
【0007】
一方、近時においては、製造効率を高めるために、建物ユニットを製造する場合においても、ライン生産方式を採用し、ベルトコンベアを流れる建物ユニットを複数人で加工や梱包(防水カバーの被覆)などを行う方式が採用されている。この場合であっても前記建物ユニットの養生装置では、ラインを流れる時間内に防水カバーの被覆を行うことは困難であり、高い作業効率は望めない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で安価に製造でき、耐久性にも優れ、ライン生産方式によって製造する場合であっても、作業効率の優れた建物ユニットの養生部材及びそれを使用する建物ユニットの養生方法を提供及び養生部材の安全かつ迅速容易な回収を行うことのできる建物ユニットの養生部材及びそれを使用する建物ユニットの養生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の建物ユニットの養生部材は、建物ユニットの上面に防水カバーを被覆するに際して、前記建物ユニットの上面に並設し架設され、前記防水カバーを支持する薄板状の養生用板材と、前記建物ユニットの上面の凹部に敷設され、前記上面に架設される養生用板材を支持するマクラ部材とを備え、前記マクラ部材は長手方向の端部に長尺の回収用紐状部材を設けるとともに、前記養生用板材の端部にも長尺の回収用紐状部材を設けてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の建物ユニットの養生部材は、請求項1に記載の建物ユニットの養生部材において、前記養生用板材は、長手方向に2つ折り可能な折曲部を幅方向に亘って設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の建物ユニットの養生部材は、請求項1又は2に記載の建物ユニットの養生部材において、前記養生用板材は、四隅に、前記建物ユニットを吊り下げるための固定部材の逃がし切り欠き部を設けてなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の建物ユニットの養生方法は、請求項1乃至3の何れか一に記載の建物ユニットの養生部材を使用して防水シートを被覆する建物ユニットの養生方法であって、前記建物ユニットの上面に前記マクラ部材を前記マクラ部材の端部に設けた前記回収紐部材を前記建物ユニットの外側に垂らすように敷設する行程と、2つ折りした前記養生用板材を展開し、前記養生板部材の端部に設けた回収紐部材を外側に垂らすように、前記養生板材を前記建物ユニットの上面に複数枚並行に架設する行程と、前記養生板材の上面に、防水シートを被覆する行程とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の建物ユニットの養生部材は、建物ユニットの上面に防水カバーを被覆するに際して、前記建物ユニットの上面に複数枚を並設し架設され、前記防水カバーを支持する薄板状の養生用板材と、前記建物ユニットの上面の凹部に複数個を敷設され、前記上面に架設される養生用板材を支持するマクラ部材とを備え、前記マクラ部材は長手方向の端部に長尺の回収用紐状部材を設けるとともに、前記養生用板材の端部にも長尺の回収用紐状部材を設けているので、前記建物ユニットの上面に凹部があり平らでなくても前記養生用板材を撓ませることないよう強度をもって支持することができる。
【0014】
そして、前記マクラ部材を敷設及び前記養生用板材を架設するときには、前記回収用紐状部材を前記建物ユニットの側面外側に垂らしておけば、前記養生部材を回収するときに、前記回収用紐状部材を外方から引っ張るだけで回収できるので、前記建物ユニットの上に上がらなくても、回収することができ、安全性及び作業効率性を高めることができる。
【0015】
また、前記養生用板材10や前記マクラ部材20をプラダン(プラッスチック段ボール)や発泡スチロールで形成し、短辺をターポリン生地で被覆したり、外面をポリエチレンシートで被覆して形成すると、前記養生部材(10,20)の全体の軽量化や耐久力向上を図ることができる。また、製造も容易で安価に製造することができる。
【0016】
また、前記養生用板材を2つ折り可能に形成すれば、保管、運搬が容易となり、また、持ち運びが容易となり、架設作業も容易となるので、作業効率を高めることにも寄与できる。
【0017】
一方、前記建物ユニットはクレーンやトラッククレーンで吊り下げ移動できるように四隅に吊り下げるための固定部材が設けられており、上面には上面周囲に枠体が設けられ、電線等の電気設備が配設されるように形成されており、そのため、前記養生用板材を上面に架設する場合に、前記養生用板材の四隅に、前記建物ユニットを吊り下げるための固定部材を逃がすための逃がし切り欠き部を設けて、前記養生用板材を前記建物ユニットに架設する場合に前記吊り下げるための固定部材が前記養生用板材によって塞がれることなく、容易に架設作業を行うことができる。
【0018】
そして、前記建物ユニットの養生部材を使用して、前記建物ユニットに防水シートを被覆する場合は、前記建物ユニットの上面に前記マクラ部材を前記マクラ部材の端部に設けた回収紐部材を前記建物ユニットの外側に垂らすように敷設する行程と、2つ折りした養生用板材を展開し、前記養生板部材の端部に設けた回収紐部材を外側に垂らすように、前記養生板材を前記建物ユニットの上面に複数枚並行に架設する行程と、前記養生板材の上面に、防水シートを被覆する行程を備えるようにすれば、容易に架設作業を行うことができ、また養生部材の回収も安全かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる養生用板材の斜視図であり、(a)は2つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は2つ折りにした状態の斜視図である。
【
図2】(a)は養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。
【
図3】(a)はマクラ部材の斜視図であり、(b)はマクラ部材の断面図である。
【
図4】本発明の第一実施例に係る養生部材を用いて、建物ユニットに防水シートを被覆する工程を示すフローチャートである。
【
図5】ラインを流れる建物ユニットの状態を示す概略図である。
【
図6】ラインを流れる建物ユニットにマクラ部材を敷設する状態を示す概略図である。
【
図7】ラインを流れる建物ユニットのマクラ部材上に養生用板材を架設する状態を示す概略図である。
【
図8】ラインを流れる建物ユニットのマクラ部材上に養生用板材を架設して、回収用紐状部材を側面に垂らした状態を示す概略図である。
【
図9】ラインを流れる建物ユニットの養生用板材状に防水シートを被覆した状態を示す概略図である。
【
図10】ラインを流れる他の建物ユニットの状態を示す概略図である。
【
図11】本発明の第二実施例に係る養生部材を用いて、建物ユニットに防水シートを被覆する工程を示すフローチャートである。
【
図12】ラインを流れる他の建物ユニットの上面に養生用板材を架設する状態を示す概略図である。
【
図13】ラインを流れる他の建物ユニットの上面に養生用板材を架設して、回収用紐状部材を側面に垂らした状態を示す概略図である。
【
図14】ラインを流れる他の建物ユニットの養生用板材状に防水シートを被覆した状態を示す概略図である。
【
図15】本発明にかかる他の養生用板材の斜視図であり、(a)は3つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は3つ折りにした状態の斜視図である。
【
図16】(a)は
図15に示す他の養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。
【
図17】本発明にかかる他の養生用板材の斜視図であり、(a)は4つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は4つ折りにした状態の斜視図である。
【
図18】(a)は
図17に示す他の養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて具体的に説明する。
図1乃至
図9は、本発明の第一実施例を示すものであり、本発明に係る前記建物ユニット30の養生部材(10,20)は後述する養生用板部材10とマクラ部材20とを備える。
また、
図10乃至15は本発明の第二実施例を示すものであり、前記マクラ部材20が不要な建物ユニット30(
図10参照)に使用される養生用板部材10である。
【0021】
(第一実施例)
図1は本発明の第一実施例にかかる養生用板材の斜視図であり、(a)は2つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は2つ折りにした状態の斜視図である。
図2(a)は養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。また、
図3(a)はマクラ部材の斜視図であり、(b)はマクラ部材の断面図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、図中10は本発明に係る養生用板材であり、全体形状は概略長方形状の薄厚の板状部材であり、四隅を切り落として、逃がし切り欠き部15を形成している。
【0023】
そして、前記養生用板材10は、プラスチック段ボール(以下、「プラダン」という。)で形成されており、長手方向に沿ってリブが向き、短辺に中空部断面が位置するように向きを揃え、長手方向中央に、短辺方向に折曲部(13,14)を形成するため、裏面から加熱押圧処理により谷部13を形成し、断面の中空部を熱溶着すると共に、表面部を残して、蝶番14とし、中央で2つ折り可能となるように形成している。そして、前記折曲部(13,14)により、半割体11と半割体12のように2分割された状態に形成し、短辺側に臨んだ中空断面をターポリン生地で覆い縫製して、縫製部18を形成し、中空部に雨水等が侵入しない、かつ地面などに置く時に傷がつかないよう強度をもたせるための処理を行っている。
【0024】
そして、一方の前記半割体12の短辺近傍に後述する回収用紐状部材を固定するための貫通孔16を開設する。前記貫通孔16には、前記養生用板材10を建物ユニット30に上がらなくても回収できるように、長尺状の回収用紐状部材17を結び付け固定している。
【0025】
前記養生用板材10の大きさは幅W1200mm程度、長さL2500mm程度で形成されるが、この数値に限定するものではなく、前記幅Wについては作業者が抱えられる程度の寸法に設定すれば良く、おおよそ、900mm乃至1300mm程度が好適である。また、前記長さLは前記養生用板材10を架設する建物ユニットの幅に符合するように設定すれば良い。
【0026】
なお、前記養生用板材10は、前記半割体11,12をプラダンで形成し、短辺側に臨んだ中空断面をターポリン生地で覆い縫製して、縫製部18を形成したが、これに限定されるものではなく、同様の軽さ、成型の容易さを備える素材で形成されるものであれば良い。
【0027】
図3(a)はマクラ部材の斜視図であり、(b)はマクラ部材の断面図である。
【0028】
図3において、20はマクラ部材であり、前記建物ユニット30の上面の凹部に敷設され、前記建物ユニット30の上面の高さを前記建物ユニット30の上部の枠体31の高さに揃えるための部材であり、長尺状の角柱形状の発泡スチロール21をポリエチレンシート22で被覆し縫製して形成しており、一方の端面に長尺状の回収用紐状部材24を結び付け固定するためのアイボルト状の紐体取付部材23を取り付けている。なお、前記マクラ部材20の長さL2は、後述する前記建物ユニット30の上面32の幅より短い長さに設定する。
【0029】
そして、前記紐体取付部材23には、長尺状の回収用紐状部材24を取り付け、前記マクラ部材20建物ユニット30に上がらなくても回収できるようにしている。前記回収用紐状部材24の長さL2は、前記建物ユニット30に上らなくても、側方から垂らされた前記回収用紐状部材24を引張れる程度の長さに設定する。
【0030】
以上の構成からなる前記建物ユニット30の養生部材10,20を使用して、前記建物ユニット30に防水カバー40を被覆するには
図4に示す建物ユニットの養生方法が好適である。
【0031】
図4は本発明に係る養生部材を用いて、建物ユニットに防水シートを被覆する工程を示すフローチャートであり、
図5はラインを流れる建物ユニットの状態を示す概略図であり、
図6はラインを流れる建物ユニットにマクラ部材を敷設する状態を示す概略図であり、
図7はラインを流れる建物ユニットのマクラ部材上に養生用板材を架設する状態を示す概略図であり、
図8はラインを流れる建物ユニットのマクラ部材上に養生用板材を架設して、回収用紐状部材を側面に垂らした状態を示す概略図であり、
図9はラインを流れる建物ユニットの養生用板材状に防水シートを被覆した状態を示す概略図である。
【0032】
図5乃至
図9において、30はライン製造装置を流れる建物ユニットであり、
図4に示すように、前記建物ユニット30の上面31の周りには枠体32が配設されており、前記枠体32の内部には電線等の電設部材(図示せず)が内包されている。前記ライン製造装置のラインの両側方には足場Aが組まれており、作業者は前記足場Aに上り、防水シート40の被覆作業(養生作業)を行う。
【0033】
そして、前記建物ユニット30の養生部材10,20を使用して、前記建物ユニット30に前記防水カバー40を被覆するには
図4に示すように、まず、作業者は前記足場Aに上り、前記建物ユニット30の上面32に前記マクラ部材20を適宜間隔に敷設する。その際、前記回収用紐状部材24を前記建物ユニット30の一側外方に垂らすように敷設を行う(ST1)。
【0034】
次に、適宜間隔に敷設された前記マクラ部材20の上に前記養生用板材10を前記建物ユニット30の長さ方向に並列するように、幅方向に向けて架設する。その際、前記回収用紐状部材24を前記建物ユニット30の一側外方に垂らすように敷設を行う(ST2)。
【0035】
そして、前記建物ユニット30の上面が平らになった状態にし、前記養生用板材10の上から防水シート40を被覆する(ST3)のである。
【0036】
以上のように、前記建物ユニット30の養生部材(10、20)を使用して前記建物ユニット30の養生を行う場合は、前記建物ユニット30の上面に凹部があり平らでなくても、前記マクラ部材20によって前記養生用板材10を撓ませることないよう強度をもって支持することができる。
【0037】
そして、前記マクラ部材20を敷設及び前記養生用板材10を架設するときには、前記回収用紐状部材17、24を前記建物ユニット30の側面外側に垂らしておけば、前記養生部材10、20を回収するときに、前記回収用紐状部材17、24を外方から引っ張るだけで回収できるので、前記建物ユニット30の上に上がらなくても、回収することができ、安全性及び作業効率性を高めることができる。
【0038】
また、前記養生用板材10をプラダン(プラスチック段ボール)や発泡スチロールで成型し、短辺を被覆する前記縫製部18をターポリン生地で形成すると、軽量化や耐久力向上を図ることができる。また、製造も容易で安価に製造することができる。
【0039】
そして、前記養生用板材10を2つ折り可能に形成すれば、保管、運搬が容易となり、また、持ち運びが容易となり、架設作業も容易となり、作業効率を高めることができる。
【0040】
また、前記建物ユニット30はクレーンやトラッククレーンで吊り下げ移動できるように四隅に吊り下げるための固定部材(図示せず)が設けられており、上面32には上面周囲に枠体31が設けられ、電線等の電気設備(図示せず)が配設されるように形成されている。そのため、前記養生用板材10を上面32に架設する場合に、前記養生用板材10の四隅に前記吊り下げるための固定部材(図示せず)を逃がすための逃がし切り欠き部15を設けて、前記養生用板材10を前記建物ユニット30に架設する場合に吊り下げるための固定部材が前記養生用板材10によって塞がれることなく、容易に架設作業を行うことができる。
【0041】
そして、前記建物ユニット30の養生部材10、20を使用して、前記建物ユニット30に防水シート40を被覆する場合は、前記建物ユニット30の上面32に前記マクラ部材20を前記マクラ部材20の端部に設けた前記回収用紐状部材24を前記建物ユニット30の外側に垂らすように敷設する行程(ST1)と、2つ折りした前記養生用板材10を展開し、前記養生板部材10の端部に設けた回収用紐状部材17を外側に垂らすように、前記養生板材10を前記建物ユニット30の上面32に複数枚並行に架設する行程(S21)と、前記養生板材10の上面に、前記防水シート40を被覆する行程(ST3)を備えるようにすれば、容易に架設作業を行うことができ、また養生部材の回収も安全かつ容易に行うことができる。
【0042】
(第二実施例)
次に、本発明を実施するための形態の他の例を
図10乃至
図14に基づいて具体的に説明する。
図10乃至
図14は、本発明の第二実施例を示すものであり、他の建物ユニット30Aに使用する前記養生部材においては、前記マクラ部材20を不要とする。なお、第一実施例と共通する部材には同符号を付与し、説明を一部省略する。
【0043】
図10は、ラインを流れる他の建物ユニットの状態を示す概略図であり、
図11は、本発明の第二実施例に係る養生部材を用いて、建物ユニットに防水シートを被覆する工程を示すフローチャートであり、
図12は、ラインを流れる他の建物ユニットの上面に養生用板材を架設する状態を示す概略図であり、
図13は、ラインを流れる他の建物ユニットの上面に養生用板材を架設して、回収用紐状部材を側面に垂らした状態を示す概略図であり、
図14は、ラインを流れる他の建物ユニットの養生用板材状に防水シートを被覆した状態を示す概略図である。
【0044】
図10及び
図12乃至
図14において、30Aはライン製造装置を流れる建物ユニットであり、図に示すように、前記建物ユニット30Aの上面31の周りには枠体32が配設されており、前記枠体32の内側には、前記枠体32と同程度の高さの縦桟33前記上面32の長さ方向において1本、配設されおり、また、前記枠体32の内部には電線等の電設部材(図示せず)が内包されている。また、前記ライン製造装置のラインの両側方には足場Aが組まれており、作業者は前記足場Aに上り、防水シート40の被覆作業(養生作業)を行う。
【0045】
したがって、前記建物ユニット30Aの場合は、前記上面32に前記縦桟32が配設されているので、第一実施例の建物ユニットの養生部材(10,20)のように、前記養生板材0の架設のための前記マクラ部材20は不要となり、第二実施例においては、前記養生板材10だけで同様の効果を得ることができる。
【0046】
すなわち、
図11に示すように、前記第二実施例における建物ユニットの養生部材(10)を用いて、前記建物ユニット30Aに前記防水シート40を被覆するには、まず前記前記上面32の上、すなわち、前記枠体31と前記縦桟32との上に前記養生用板材10を前記建物ユニット30の長さ方向に並列するように、幅方向に向けて架設する。その際、前記回収用紐状部材24を前記建物ユニット30の一側外方に垂らすように敷設を行う(ST1)。
【0047】
そして、前記建物ユニット30の上面が平らになった状態にし、前記養生用板材10の上から防水シート40を被覆する(ST2)のである。
【0048】
すなわち、第二実施例においては、前記縦桟33があるため、前記養生板材10の架設のための前記マクラ部材20は不要となり、第二実施例においては、前記第一実施例におけるステップ1(
図4)を省略することができるのである。
【0049】
このように、前記マクラ部材20の敷設を省略できるのは前記上面32の設けられた前記枠体31の内側に前記縦桟33を設けているためであり、前記縦桟33は前記上面32の縦中央に1本設けたものであるが、縦方向に数本配設しても良い。また、横方向に横桟(図示なし)を複数本配設した建物ユニットであっても良い。要するに、第二実施例の場合は、建物ユニットの上に前記養生板材10は展開しても前記枠体31と同程度の高さを維持でき展開できるような高さ維持部材が配設されていれば良いのである。
【0050】
また、前記養生板材10は二つ折りにできるように形成していたが、それ以上の複数折り、例えば、3つ折り、4つ折りに畳めるように形成しても良い。
【0051】
図15は本発明にかかる他の養生用板材の斜視図であり、(a)は3つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は3つ折りにした状態の斜視図である。
図16(a)は
図15に示す他の養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。また、
図17は発明にかかる他の養生用板材の斜視図であり、(a)は4つ折り可能な養生用板材を展開した状態の斜視図であり、(b)は折曲部の部分拡大端面図であり、(c)は4つ折りにした状態の斜視図である。
図18(a)は
図17に示す他の養生用板材の正面図であり、(b)は同横断面図である。
【0052】
図15及び
図16に示す本発明に係る他の養生板材10Aは、前記養生板材10と同様に、全体形状を概略長方形状の薄厚の板状部材で形成しており、また、同様に四隅を切り落として、逃がし切り欠き部15を形成している。
【0053】
さらに、前記養生用板材10Aは、プラスチック段ボール(以下、「プラダン」という。)で形成されており、長手方向に沿ってリブが向き、短辺に中空部断面が位置するように向きを揃え、長手方向に3分割した位置において、短辺方向に3つの折曲部(13,14)を形成するため、裏面から加熱押圧処理により交互に谷部13を形成し、断面の中空部を熱溶着すると共に、表面部を残して、蝶番14とし、長手方向に3つ折り可能となるように形成している。そして、前記折曲部(13,14)により、1/3割体10a、10b、10cとに3分割された状態に形成し、短辺側に臨んだ中空断面をターポリン生地で覆い縫製して、縫製部18を形成し、中空部に雨水等が侵入しない、かつ地面などに置く時に傷がつかないよう強度をもたせるための処理を行っている。
【0054】
そして、一端の前記半1/3割体10cの短辺近傍に後述する回収用紐状部材を固定するための貫通孔16を開設して、前記貫通孔16に、前記養生用板材10を建物ユニット30に上がらなくても回収できるように、長尺状の回収用紐状部材17を結び付け固定している。
【0055】
前記養生用板材10Aの大きさは幅W1200mm程度、長さL2500mm程度で形成されるが、この数値に限定するものではなく、前記幅Wについては作業者が抱えられる程度の寸法に設定すれば良く、おおよそ、900mm乃至1300mm程度が好適である。また、前記長さLは前記養生用板材10Aを架設する建物ユニットの幅に符合するように設定すれば良い。
【0056】
前記養生用板材10Aは、上記の構成からなるため、1/3に折り畳むことが可能となり、前記養生板材10よりもさらにコンパクトに持ち運びを行うことができる。
【0057】
図17及び
図18に示す本発明に係る他の養生板材10Bは、前記養生板材10と同様に、全体形状を概略長方形状の薄厚の板状部材で形成しており、また、同様に四隅を切り落として、逃がし切り欠き部15を形成している。
【0058】
さらに、前記養生用板材10Bは、前記養生板材10と同様に、プラスチック段ボール(以下、「プラダン」という。)で形成されており、長手方向に沿ってリブが向き、短辺に中空部断面が位置するように向きを揃え、長手方向に4分割した位置において、短辺方向に4つの折曲部(13,14)を形成するため、裏面から加熱押圧処理により交互に谷部13を形成し、断面の中空部を熱溶着すると共に、表面部を残して、蝶番14とし、長手方向に4つ折り可能となるように形成している。そして、前記折曲部(13,14)により、1/4割体10d、10e、10f、10gとに4分割された状態に形成し、短辺側に臨んだ中空断面をターポリン生地で覆い縫製して、縫製部18を形成し、中空部に雨水等が侵入しない、かつ地面などに置く時に傷がつかないよう強度をもたせるための処理を行っている。
【0059】
そして、一端の前記半1/4割体10gの短辺近傍に後述する回収用紐状部材を固定するための貫通孔16を開設して、前記貫通孔16に、前記養生用板材10Bを建物ユニット30に上がらなくても回収できるように、長尺状の回収用紐状部材17を結び付け固定している。
【0060】
前記養生用板材10Bの大きさは幅W1200mm程度、長さL2500mm程度で形成されるが、この数値に限定するものではなく、前記幅Wについては作業者が抱えられる程度の寸法に設定すれば良く、おおよそ、900mm乃至1300mm程度が好適である。また、前記長さLは前記養生用板材10を架設する建物ユニットの幅に符合するように設定すれば良い。
【0061】
前記養生用板材10Bは、上記の構成からなるため、1/4に折り畳むことが可能となり、前記養生板材10、10Bよりもさらにコンパクトに持ち運びを行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
10 建物ユニットの養生用板材
11 養生用板材の半割部材(本体)
12 養生用板材の半割部材(本体)
13 カバ-部材
14 折曲部
15 逃がし切り欠き部
16 貫通孔
17 回収用紐状部材(養生用板材)
20 マクラ部材
21 マクラ部材本体
22 被覆シート材
23 紐体取付部材(アイボルト)
24 回収用紐状部材(マクラ部材)
30 建物ユニット
31 建物ユニットの上部枠体
32 建物ユニットの上面
33 縦桟
W 養生板部材の幅
L 養生板部材の長さ
L2 マクラ部材の長さ
A 足場