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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016134
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20250124BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B62J23/00 F
B62K11/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119208
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 昌平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 樹
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AF04
3D011AH01
3D011AK04
3D011AK11
3D011AK13
3D011AK14
(57)【要約】
【課題】意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策を図りつつ、ロアカバーの取付剛性を確保しながら、ロアカバーの大型化を抑制すると共に、走行風を接続体に導き易くする。
【解決手段】鞍乗り型車両は、ダウンフレーム(33)とピボットフレーム(32)とを接続する接続体(12)と、ロアカバーステー(90)と、を備え、ロアカバー(54)は、センターロアカバー(60)と右側と左側のサイドロアカバー(70、80)とを有し、ロアカバーステー(90)は、フレーム締結部(92)と左右一対の接続体締結部(97、98)とを有し、ロアカバーステー(90)の凹形状(90a)とロアカバー(54)の凹形状(54a)とが車体正面視において開口形状(S1)を形成し、フレーム締結部(92)が接続体締結部(97、98)よりも上方に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(18)から後方に延びるメインフレーム(31)と、前記ヘッドパイプ(18)から下方に延びるダウンフレーム(33)と、前記メインフレーム(31)の後端から下方に延びるピボットフレーム(32)とを有するバックボーンフレーム(11)にロアカバー(54)が取り付けられる鞍乗り型車両において、
前記ダウンフレーム(33)と前記ピボットフレーム(32)とを接続する接続体(12)と、
前記ロアカバー(54)と車体(11、12)とを接続するロアカバーステー(90)と、を備え、
前記ロアカバー(54)は、センターロアカバー(60)と、右側のサイドロアカバー(70)と、左側のサイドロアカバー(80)と、を有し、
前記ロアカバーステー(90)は、前記ダウンフレーム(33)に締結されるフレーム締結部(92)と、前記接続体(12)に締結される左右一対の接続体締結部(97、98)と、を有し、
車体正面視において、前記ロアカバーステー(90)は上方に凹んだ凹形状(90a)を成し、前記ロアカバー(54)は下方に凹んだ凹形状(54a)を成し、前記ロアカバーステー(90)の凹形状(90a)と前記ロアカバー(54)の凹形状(54a)とが車体正面視において閉じた開口形状(S1)を形成し、
前記フレーム締結部(92)が前記接続体締結部(97、98)よりも上方に設けられる
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
車体正面視において、前記開口形状(S1)の内側には、前記接続体(12)の底面部(12a)が位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記接続体(12)は、パワーユニット(12)である
ことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記パワーユニット(12)は、内燃機関(12)である
ことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記センターロアカバー(60)は、車体側面視で、前記サイドロアカバー(70、80)の前縁(72a、82a)より後方に位置し、
前記センターロアカバー(60)は、車幅方向中央部の前面(61)が車体後方に進むに連れて上方に傾斜し、
前記センターロアカバー(60)は、車体下方に進むに連れて幅狭に形成され、
左右の前記サイドロアカバー(70、80)は、車体下方に進むに連れて車幅方向内側に傾斜する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両において、ダウンフレームとピボットフレームとが離間するバックボーンフレームにおいて、ダウンフレームとピボットフレームとの間を接続する接続体を覆うロアカバーを、ダウンフレームに支持させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ダウンフレームとピボットフレームとに接続体としてのエンジンが支持されており、ダウンフレームの下端部に、ロアカバーに対応するアンダーカウルが支持されている。特許文献1のアンダーカウルは、左右の側方部と、左右の側方部を前側で連結する連結部と、を備えており、連結部がブラケットでダウンフレームの下端部に固定され、側方部がステーを介してエンジンの底面部に固定される。特許文献1のアンダーカウルの連結部の上端は、正面視では、エンジンの底面部よりも上方に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5455509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鞍乗り型車両におけるロアカバーは、意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策のために設けることが望ましいが、それと共に、ロアカバーの取付剛性を確保することや、ロアカバーの大型化を抑制すること、接続体に走行風を導くことが望まれる。特に、接続体が高温となり易い場合には、走行風を接続体に十分に導くことが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、バックボーンフレームにロアカバーが取り付けられる鞍乗り型車両において、意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策を図りつつ、ロアカバーの取付剛性を確保しながら、ロアカバーの大型化を抑制すると共に、走行風を接続体に導き易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、ヘッドパイプから後方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるダウンフレームと、前記メインフレームの後端から下方に延びるピボットフレームとを有するバックボーンフレームにロアカバーが取り付けられる鞍乗り型車両において、前記ダウンフレームと前記ピボットフレームとを接続する接続体と、前記ロアカバーと車体とを接続するロアカバーステーと、を備え、前記ロアカバーは、センターロアカバーと、右側のサイドロアカバーと、左側のサイドロアカバーと、を有し、前記ロアカバーステーは、前記ダウンフレームに締結されるフレーム締結部と、前記接続体に締結される左右一対の接続体締結部と、を有し、車体正面視において、前記ロアカバーステーは上方に凹んだ凹形状を成し、前記ロアカバーは下方に凹んだ凹形状を成し、前記ロアカバーステーの凹形状と前記ロアカバーの凹形状とが車体正面視において閉じた開口形状を形成し、前記フレーム締結部が前記接続体締結部よりも上方に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
バックボーンフレームにロアカバーが取り付けられる鞍乗り型車両において、意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策を図りつつ、ロアカバーの取付剛性を確保しながら、ロアカバーの大型化を抑制すると共に、走行風を接続体に導き易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】実施の形態に係る車体フレームの斜視図である。
図3】実施の形態に係るパワーユニットの周辺部の正面図である。
図4】実施の形態に係るパワーユニットの周辺部の左側面図である。
図5】実施の形態に係るパワーユニットの周辺部の底面図である。
図6】実施の形態に係るロアカバーとロアカバーステーとの分解斜視図である。
図7】実施の形態に係るロアカバーとロアカバーステーとの平面図である。
図8】実施の形態に係るロアカバーとロアカバーステーとの後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
図2は、実施の形態に係る車体フレーム11の斜視図である。
本実施の形態のフロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる一本のメインフレーム31と、メインフレーム31の後端部から下方に延びる一本のピボットフレーム32と、ヘッドパイプ18においてメインフレーム31の前端の下方の位置から下方に延びる一本のダウンフレーム33と、ヘッドパイプ18とメインフレーム31とダウンフレーム33との接続部を補強するガセット34と、を備える。
【0016】
リアフレーム20は、メインフレーム31の後部から車体後端部まで延びる左右一対のシートフレーム41と、左右のピボットフレーム32の上下方向中間部からシートフレーム41の後端部まで延びる左右一対のリアサブフレーム42と、左右一対のシートフレーム41の前部を左右方向に接続するリア前部クロスメンバ43と、左右一対のシートフレーム41の後端部を左右方向に接続するリア後部クロスメンバ44と、リア前部クロスメンバ43とリア後部クロスメンバ44との間に形成されたシート係合部45と、を備える。
【0017】
ダウンフレーム33の下端部には、ユニットブラケット35が形成される。ユニットブラケット35は、後方が開放された折り曲げ板状である。ユニットブラケット35には、パワーユニット12が固定される。詳細には、ユニットブラケット35には、車幅方向に延びる軸状の固定具により、パワーユニット12のクランクケース23の前端部が固定される。
ピボットフレーム32の下端部には、ユニットブラケット36(図1参照)が形成される。ユニットブラケット36には、パワーユニット12が固定される。詳細には、ユニットブラケット36には、車幅方向に延びる軸状の固定具により、パワーユニット12のクランクケース23の後端部が固定される。
よって、車体フレーム11では、ダウンフレーム33とピボットフレーム32とが剛性部材の一例としてのパワーユニット12で接続される。ダウンフレーム33とピボットフレーム32との間がパワーユニット12を介して接続されており、本実施の形態の車体フレーム11は、バックボーンフレームである。
【0018】
図1に示すように、車体フレーム11には、車体カバー50が支持される。車体カバー50は、燃料タンク29を覆うタンクカバー51と、タンクカバー51の下方に設けられて車体を左右方向外側から覆う左右一対のセンターカバー52と、センターカバー52の後方でシート17の下方を左右方向外側から覆う左右一対のリアカバー53と、センターカバー52から下方に離間して配置されパワーユニット12の前端部を前方から覆うロアカバー54と、を備える。
【0019】
図3は、実施の形態に係るパワーユニット12の周辺部の正面図である。図4は、実施の形態に係るパワーユニット12の周辺部の左側面図である。図5は、実施の形態に係るパワーユニット12の周辺部の底面図である。
本実施の形態のパワーユニット12は、エンジンである。以下、パワーユニット12をエンジンという。エンジン12のクランクケース23は、左右半割の構造である。クランクケース23は、左側ケース23Lと右側ケース23Rとを有する(図5参照)。左側ケース23Lと右側ケース23Rとが左右方向に接続されてクランクケース23が構成される。
【0020】
クランクケース23の前部には、前上方に延びるシリンダー部24が設けられる。シリンダー部24は、クランクケース23側から順に、シリンダー24a、シリンダーヘッド24b、及びシリンダーヘッドカバー24cを備える。シリンダー部24は、シリンダー部24のシリンダー軸線が車両側面視でやや前傾して上方に延びる。シリンダー部24は、ダウンフレーム33の後方でダウンフレーム33に沿って上方に延びる。本実施の形態のエンジン12は、シリンダー部24が一つの単気筒エンジンである。
【0021】
シリンダー部24の上部前面には、排気装置25が接続される。排気装置25は、第一排気管25aを備える。第一排気管25aは、シリンダー部24の前面の右部(車幅方向一側部)から前方に延びる。第一排気管25aは、シリンダー部24の前面から前方に延びると、ダウンフレーム33よりも前方に延出して、その後、湾曲して、後下方に向けて下方に延びる。このとき、第一排気管25aは、車体正面視では、ダウンフレーム33よりも右側で、右側に膨出するように湾曲しながら下方に延びる。そして、第一排気管25aは、ダウンフレーム33のユニットブラケット35に車体側面視で重複しながらクランクケース23の前面に沿って後方に湾曲する。第一排気管25aは、クランクケース23の下方では、クランクケース23の底面部12aに沿って後方に延びる。
【0022】
第一排気管25aの後端部には、キャタライザー25bが接続される。キャタライザー25bは、前後方向に延びる円筒状である。キャタライザー25bは、車幅方向中央部に配置される。キャタライザー25bの後端部には、箱状のプリマフラー25cが接続される。プリマフラー25cには、後右上方に延びる第二排気管25dが接続される。第二排気管25dの後端部には、マフラー25eが接続される。マフラー25eは、後輪15の右方に配置される。
第一排気管25a、キャタライザー25b、プリマフラー25c、第二排気管25d、および、マフラー25eにより、本実施の形態の排気装置25が構成される。
【0023】
左側のステップ28の周囲には、シフトペダル39が揺動可能に支持される。シフトペダル39の揺動操作は、シフトペダル39から前方に延びるシフトロッド38を介してクランクケース23内の変速機(不図示)に伝達される。
【0024】
図6は、実施の形態に係るロアカバー54とロアカバーステー90との分解斜視図である。図7は、実施の形態に係るロアカバー54とロアカバーステー90との平面図である。図8は、実施の形態に係るロアカバー54とロアカバーステー90との後方から見た斜視図である。
ロアカバー54は、ロアカバーステー90を介して、車体フレーム11やパワーユニット12などの車体に取り付けられる。ロアカバー54は、センターロアカバー60と、センターロアカバー60の右側に配置されるサイドロアカバー70と、センターロアカバー60の左側に配置されるサイドロアカバー80と、を有する。
【0025】
センターロアカバー60は、正面視で略台形状の前面カバー部61と、前面カバー部61の右側に形成された延出カバー部62と、前面カバー部61の左側に形成された延出カバー部63と、を有する。
前面カバー部61は、中央部が後方に凹んだ湾曲板状である(図7参照)。前面カバー部61は、車体正面視で、下方に進むに連れて左右幅が狭くなるように形成される。前面カバー部61は、車体後方に進むに連れて上方に傾斜する。前面カバー部61には、厚み方向に貫通する横孔61aが形成される。横孔61aは左右方向に延びる。前面カバー部61の下端には、後方に屈曲した板状の固定部61bが形成される(図5参照)。固定部61bには、ボルト(締結部材)が挿通される固定孔が形成されている。
【0026】
左右の延出カバー部62、63は、前面カバー部61よりも上方に延出する。延出カバー部62、63の上端部は、後方に屈曲する。延出カバー部62、63の上端部には、車幅方向に貫通するカバー締結部62a、63aが形成される。カバー締結部62a、63aには、ボルトが挿通される固定孔が形成されている。
センターロアカバー60には、前面カバー部61の上縁と、延出カバー部62、63の車幅方向の内縁により、下方に凹んだ凹形状の切り欠き部60aが形成される(図3参照)。
【0027】
右側のサイドロアカバー70は、前後方向に延びる。図6に示すように、サイドロアカバー70は、車幅方向外側に凹んだ浅底の略容器状である。すなわち、サイドロアカバー70は、車幅方向に厚みを有する側面カバー部71と、側面カバー部71の外周部に形成され車幅方向内側に突出する壁状の外周カバー部72と、を有する。
【0028】
側面カバー部71は、後方に進むに連れて上下幅が狭くなるように形成される。詳細には、側面カバー部71は、センターロアカバー60の右側の延出カバー部62よりも上下方向に長い略矩形状の前部71aと、前部71aの後端から延び後方に進むに連れて上下幅が狭くなる略台形状の中部71bと、中部71bの後端から後方に延びる後部71cと、を有する。
側面カバー部71は、車体正面視では、センターロアカバー60に沿って傾斜している。側面カバー部71は、車体正面視では、下方に進むに連れて車幅方向内側に湾曲している。
【0029】
外周カバー部72は、側面カバー部71の前縁に沿って形成された前壁部72aと、側面カバー部71の上縁に沿って形成された上壁部72bと、側面カバー部71の下縁に沿って形成された下壁部72cと、側面カバー部71の後縁に沿って形成された後壁部72dと、を有する。
前壁部72aの上部は、車体正面視では、フロントフォーク14よりも車幅方向外側で上方に延出する。
【0030】
図6に示すように、サイドロアカバー70の内面において、前壁部72aには、爪状の挟持部73が形成される。挟持部73は、前壁部72aに沿って車幅方向内側に延びている。挟持部73は、前壁部72aの内面との間に所定の隙間を形成する。挟持部73と前壁部72aとの間には、センターロアカバー60の右側の延出カバー部62が挟まれる。挟持部73は、延出カバー部62の後面に当接される。これにより、サイドロアカバー70は、外周カバー部72の前壁部72aがセンターロアカバー60を前側(外側)から覆うように、センターロアカバー60に接続される。
【0031】
挟持部73の上方には、ボス部74が形成される。ボス部74は、側面カバー部71の前部71aの内面に対して車幅方向内側に突出する。ボス部74には締結孔が形成される。ボス部74には、センターロアカバー60の右側のカバー締結部62aが締結される。
【0032】
挟持部73の下方には、側面カバー部71の前部71aの内面に対して車幅方向内側に延出するカバーステー部75が形成される。カバーステー部75は上下方向に厚みを有する板状である。カバーステー部75は、平面視で、センターロアカバー60の固定部61bに重複する。カバーステー部75には、上下方向に貫通する貫通孔が形成される。カバーステー部75の貫通孔の形成部位には、例えば、クリップナット(被締結部材)が装着される。
【0033】
ボス部74およびカバーステー部75の後方には、上下方向に延びるリブ部76が形成される。リブ部76は、側面カバー部71の中部71bの内面に対して車幅方向内側に突出する。リブ部76の上端は、上壁部72bの内面に接続される。また、リブ部76の下端は、下壁部72cの内面に接続される。リブ部76の上下方向中央部には、中部71bの内面から車幅方向に突出する差込部77が形成される。差込部77には、前後方向に貫通する差込孔が形成される。差込部77には、ロアカバーステー90が差し込み可能である。
リブ部76の下方には、車幅方向外側に切り欠かれた形状の排気管回避部78が形成される。排気管回避部78は、下壁部72cに形成される。
【0034】
リブ部76の後方には、側面カバー部71の後部71cの内面から円筒状に突出するステー締結部79が形成される。ステー締結部79には、ボルトの挿通孔が形成される。ステー締結部79には、ロアカバーステー90が締結される。
【0035】
左側のサイドロアカバー80は、右側のサイドロアカバー70に対応して形成される。特に、左側のサイドロアカバー80は、右側のサイドロアカバー70よりも、後方までの長さが短い。これにより、シフトロッド38との干渉が回避される(図5参照)。すなわち、左側のサイドロアカバー80は、右側のサイドロアカバー70と略左右対称状に形成される。
【0036】
詳述すれば、左側のサイドロアカバー80は、前後方向に延びる。サイドロアカバー80は、車幅方向外側に凹んだ浅底の略容器状である。すなわち、サイドロアカバー80は、車幅方向に厚みを有する側面カバー部81と、側面カバー部81の外周部に形成され車幅方向内側に突出する壁状の外周カバー部82と、を有する。
【0037】
側面カバー部81は、後方に進むに連れて上下幅が狭くなるように形成される。詳細には、側面カバー部81は、センターロアカバー60の左側の延出カバー部63よりも上下方向に長い略矩形状の前部81aと、前部81aの後端から延び後方に進むに連れて上下幅が狭くなる略台形状の中部81bと、中部81bの後端から後方に延びる後部81cと、を有する。
側面カバー部81は、車体正面視では、センターロアカバー60に沿って傾斜している。側面カバー部81は、車体正面視では、下方に進むに連れて車幅方向内側に湾曲している。
【0038】
外周カバー部82は、図4に示すように、側面カバー部81の前縁に沿って形成された前壁部82aと、側面カバー部81の上縁に沿って形成された上壁部82bと、側面カバー部81の下縁に沿って形成された下壁部82cと、側面カバー部81の後縁に沿って形成された後壁部82dと、を有する。
前壁部82aの上部は、車体正面視では、フロントフォーク14よりも車幅方向外側で上方に延出する(図3参照)。
【0039】
ここで、センターロアカバー60の切り欠き部60aと、右側のサイドロアカバー70の前壁部72aの内縁と、右側のサイドロアカバー80の前壁部82aの内縁と、により、ロアカバー54では、下方に凹んだ凹形状54aが形成される。(図3参照)。
【0040】
サイドロアカバー80の内面において、前壁部82aには、爪状の挟持部(不図示)が形成される。この挟持部は、前壁部82aに沿って車幅方向内側に延びている。この挟持部は、前壁部82aの内面との間に所定の隙間を形成する。この挟持部と前壁部82aとの間には、センターロアカバー60の左側の延出カバー部63が挟まれる。この挟持部は、延出カバー部63の後面に当接される。これにより、サイドロアカバー80は、外周カバー部82の前壁部82aがセンターロアカバー60を前側(外側)から覆うように、センターロアカバー60に接続される。
【0041】
その挟持部の上方には、図4に示すように、ボス部84が形成される。ボス部84は、側面カバー部81の前部81aの内面に対して車幅方向内側に突出する。ボス部84には締結孔が形成される。ボス部84には、センターロアカバー60の左側のカバー締結部63aが締結される。
【0042】
その挟持部の下方には、側面カバー部81の前部81aの内面に対して車幅方向内側に延出するカバーステー部85が形成される。カバーステー部85は上下方向に厚みを有する板状である。カバーステー部85は、平面視で、センターロアカバー60の固定部61bに重複する。カバーステー部85は、上下方向に貫通する貫通孔が形成される。カバーステー部85は、センターロアカバー60の固定部61bと、右側のサイドロアカバー70のカバーステー部75とに挟まれる。
【0043】
ボス部84およびカバーステー部85の後方には、上下方向に延びるリブ部86が形成される。リブ部86は、側面カバー部81の中部81bの内面に対して車幅方向内側に突出する。リブ部86の上端は、上壁部82bの内面に接続される。また、リブ部86の下端は、下壁部82cの内面に接続される。リブ部86の上下方向中央部には、中部81bの内面から車幅方向に突出する差込部87が形成される。差込部87には、前後方向に貫通する差込孔が形成される。差込部87には、ロアカバーステー90が差し込み可能である。
【0044】
リブ部86の後方には、側面カバー部81の後部81cの内面から円筒状に突出するステー締結部89が形成される。ステー締結部89には、ボルトの挿通孔が形成される。ステー締結部89には、ロアカバーステー90が締結される。
【0045】
ロアカバー54は、ロアカバーステー90を介して車体に取り付けられる。ロアカバーステー90は、一体の金属部材である。ロアカバーステー90は、平面視で、略C字状の棒部91を有する。棒部91は、詳細には、左右方向(車幅方向)に延びる前端部91aと、前端部91aの左右両側から左右方向外側に進むに連れて後方に傾斜する前端傾斜部91b、91cと、前端傾斜部91b、91cの左右外端から後方に延びる延出部91d、91eと、延出部91d、91eの後端から車幅方向内側に曲がる屈曲部91f、91gとを有する。右側の屈曲部91fと左側の屈曲部91gとは、離間する。
【0046】
車体側面視において、前端部91aは棒部91の他の部位に比べて最も上方に位置する。前端傾斜部91b、91cは後方に進むに連れて下方に傾斜する。延出部91d、91eは緩やかな傾斜で後方に進むに連れて上方に傾斜する。屈曲部91f、91gは、車幅方向内側に進むに連れて下方に緩やかに傾斜する。
車体正面視において、ロアカバーステー90は、前端部91aと、左側の前端傾斜部91bと、右側の前端傾斜部91cとにより、上方に凹んだ凹形状90aを形成する(図3参照)。
【0047】
前端部91aには、前方に突出する平板状のフレーム締結部92が形成される。フレーム締結部92は、上下方向に厚みを有する。フレーム締結部92には、下方からボルトが挿通される固定孔が形成される。
延出部91d、91eの前端下部には、前方に直線状に延びる差込棒93、94が支持される。差込棒93、94は、延出部91d、91eに沿って延びる。右側の差込棒93は、右側のサイドロアカバー70の差込部77に差し込まれる。左側の差込棒94は、左側のサイドロアカバー80の差込部87に差し込まれる。差込棒93、94は、差込部77、87を貫通し前方に突出する。
【0048】
右側の延出部91dの後端部には、カバー締結部95が設けられる。カバー締結部95は、延出部91dの車幅方向外側部分に設けられている。カバー締結部95には、車幅方向外側からボルトが締結される締結孔が形成される。
左側の延出部91eの後部には、カバー締結部96が設けられる。カバー締結部96は、延出部91eの車幅方向外側部分に設けられている。カバー締結部96には、車幅方向外側からボルトが締結される締結孔が形成される。
左側のカバー締結部95の方が、右側のカバー締結部96よりも前方に形成される。
【0049】
左右の屈曲部91f、91gの内端には、上下方向に厚みを有する平板状のユニット締結部(接続体締結部)97、98が形成される。ユニット締結部97、98には、下方からボルトが挿通可能である。
【0050】
次に、ロアカバー54の車体への取り付け方の一例を説明する。
ロアカバー54は、予め小組される。本実施の形態では、最初に、センターロアカバー60に、左側のサイドロアカバー80が取り付けられる。すなわち、サイドロアカバー80は、前壁部82aと挟持部83との間にセンターロアカバー60の左縁が挟まれて、センターロアカバー60に対してサイドロアカバー80が位置決めされる。そして、センターロアカバー60の左側のカバー締結部63aには、車幅方向内側からボルトが挿通され、サイドロアカバー80のボス部84に締結される。このとき、サイドロアカバー80のカバーステー部85は固定部61bの上方に重なる。
【0051】
センターロアカバー60に左側のサイドロアカバー80が取り付けられると、センターロアカバー60には、右側のサイドロアカバー70が取り付けられる。すなわち、サイドロアカバー70は、前壁部72aと挟持部73との間にセンターロアカバー60の右縁が挟まれて、センターロアカバー60に対してサイドロアカバー70が位置決めされる。そして、センターロアカバー60の右側のカバー締結部62aには、車幅方向内側からボルトが挿通され、サイドロアカバー70のボス部74に締結される。このとき、サイドロアカバー70のカバーステー部75は、右側のサイドロアカバー80のカバーステー部85の上方に重なる。
【0052】
この状態で、ボルトが、センターロアカバー60の固定部61bに対して下方から挿通される。このボルトが、上方のカバーステー部75の被締結部材に締結される。これにより、固定部61b、カバーステー部85、カバーステー部75が共締めされる。よって、ロアカバー54では、センターロアカバー60と、サイドロアカバー70と、サイドロアカバー80とが一体に組み付けられる。すなわち、ロアカバー54が小組された状態となる。
【0053】
一方、ロアカバーステー90は、予め車体に取り付けられる。ロアカバーステー90は、パワーユニット12の底面部12aに沿って配置される。ロアカバーステー90は、上下方向では、エンジン12の底面部12aと第一排気管25aとの間に配置される。
そして、ロアカバーステー90は、フレーム締結部92、ユニット締結部97、98がダウンフレーム33、エンジン12に締結される。
【0054】
すなわち、ロアカバーステー90のフレーム締結部92は、ダウンフレーム33の下端部に締結される。詳細には、フレーム締結部92は、下方からボルトが挿通され、ダウンフレーム33の下端部におけるユニットブラケット35の下面に締結される。
【0055】
ロアカバーステー90の右側のユニット締結部97は、パワーユニット12の底面部12aに締結される。詳細には、右側のユニット締結部97は、下方からボルトが挿通され、クランクケース23の右側ケース23Rの底面部12aに締結される。
ロアカバーステー90の左側のユニット締結部98は、パワーユニット12の底面部12aに締結される。詳細には、左側のユニット締結部98は、下方からボルトが挿通され、クランクケース23の左側ケース23Lの底面部12aに締結される。
【0056】
ロアカバーステー90が車体に取り付けられると、ロアカバー54を、第一排気管25aの前方から後方に移動させるようにして、ロアカバー54がロアカバーステー90に組み付けられる。すなわち、ロアカバー54の差込部77、87に、ロアカバーステー90の差込棒93、94が差し込まれるように、ロアカバー54が組み付けられる。差込部77、87に、差込棒93、94が差し込まれることで、ロアカバー54がロアカバーステー90に仮止めされる。そして、ロアカバー54の後端部のステー締結部79、89のそれぞれにボルトが車幅方向外側から挿通され、ロアカバーステー90のカバー締結部95、96にそれぞれ締結される。
これにより、ロアカバー54が車体に取り付けられる。
【0057】
ここで、ロアカバー54の凹形状54aと、ロアカバーステー90の凹形状90aと、により、車体正面視において、略六角形状の閉じた開口形状S1が形成される(図3参照)。開口形状S1の内部には、エンジン12の底面部12aが位置する。
【0058】
また、車体側面視では、センターロアカバー60は、サイドロアカバー70、80に重複しており、サイドロアカバー70、80に隠れる(図4参照)。すなわち、センターロアカバー60は、サイドロアカバー70、80の前壁部72a、82aよりも後方に位置する。センターロアカバー60では、前面カバー部61が車体後方に進むに連れて上方に傾斜する。
【0059】
また、ロアカバー54は、ステップ28までは届かない前後長を有する。よって、本実施の形態のロアカバー54はコンパクトであり、ステップ28付近のレイアウトの自由度を高めることができる。特に、本実施の形態のロアカバー54では、左側のサイドロアカバー80が右側のサイドロアカバー70よりも短く形成されており、左側のサイドロアカバー80が、シフトロッド38に干渉しない。よって、本実施の形態のロアカバー54により、ステップ28の周囲のレイアウト自由度をより高め易くなっている。
【0060】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
鞍乗り型車両10が走行すると、前方から走行風が流れる。よって、前輪13やフロントフォーク14の左右を流れた走行風がロアカバー54に到達する。ロアカバー54では、センターロアカバー60が、サイドロアカバー70、80の前壁部72a、82aよりも後方に位置して、センターロアカバー60の車幅方向中央部分である前面カバー部61が平面視で後方に凹むと共に車体側面視では車体後方に進むに連れて上方に傾斜する。よって、センターロアカバー60に到達した走行風は、サイドロアカバー70、80によって車幅方向外側に拡散することが抑制された状態で、切り欠き部60aの上方を流れ易くなっている。
【0061】
このとき、切り欠き部60aを通過した走行風は、ロアカバー54の凹形状54aと、ロアカバーステー90の凹形状90aとにより形成される開口形状S1の内部を通過し易い。車体正面視において開口形状S1の内部には底面部12aが位置するため、走行風がパワーユニット12の底面部12aに沿って後方に流れ易くなっている。よって、走行風がエンジン12の底面部12aを速やかに流れ易く、多量の走行風によりエンジン12を冷却し易くなっている。
【0062】
また、本実施の形態では、ロアカバー54は、差込部77、87の形成された中部71b、81bと、ステー締結部79、89が形成された後部71c、81cとでロアカバーステー90に固定される。このため、差込部77、87よりも前方の部位は、センターロアカバー60や、サイドロアカバー70、80の前部71a、81aなどのカバー部品でのみで剛性が保持された状態となり易い。よって、ロアカバー54の差込部77、87よりも前方の部位は、適度に変形させ易い。したがって、ロアカバー54では、前方から当たる走行風や飛び石などの力を変形により受け流し易くなっている。
【0063】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態の鞍乗り型車両10によれば、ヘッドパイプ18から後方に延びるメインフレーム31と、ヘッドパイプ18から下方に延びるダウンフレーム33と、メインフレーム31の後端から下方に延びるピボットフレーム32とを有する車体フレーム11にロアカバー54が取り付けられる鞍乗り型車両10において、ダウンフレーム33とピボットフレーム32とを接続する接続体12と、ロアカバー54と車体とを接続するロアカバーステー90と、を備え、ロアカバー54は、センターロアカバー60と、右側のサイドロアカバー70と、左側のサイドロアカバー80と、を有し、ロアカバーステー90は、ダウンフレーム33に締結されるフレーム締結部92と、接続体12に締結される左右一対のユニット締結部97、98と、を有し、車体正面視において、ロアカバーステー90は上方に凹んだ凹形状90aを成し、ロアカバー54は下方に凹んだ凹形状54aを成し、ロアカバーステー90の凹形状90aとロアカバー54の凹形状54aとが車体正面視において閉じた開口形状S1を形成し、フレーム締結部92がユニット締結部97、98よりも上方に設けられる。
【0064】
この構成によれば、ロアカバー54が設けられるので鞍乗り型車両10の走行時の飛び石等の対策を図ることができる。また、ロアカバー54とロアカバーステー90とが形成する開口形状S1により、ロアカバー54が設けられた鞍乗り型車両10の意匠性の向上を図ることができる。さらに、ロアカバー54がダウンフレーム33と接続体12とにロアカバーステー90を介して固定されるため、ロアカバー54がダウンフレーム33のみに固定される場合に比べて、ロアカバー54の取付剛性を確保できる。また、ダウンフレーム33とピボットフレーム32とに跨るように取り付けられる場合に比べて、ロアカバー54の大型化を抑制することができる。さらに、ロアカバーステー90とロアカバー54とが形成する開口形状S1によって走行風を接続体12に導き易くできる。したがって、上記構成によれば、バックボーンフレームである車体フレーム11にロアカバー54が取り付けられる鞍乗り型車両10において、意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策を図りつつ、ロアカバー54の取付剛性を確保しながら、ロアカバー54の大型化を抑制すると共に、走行風を接続体12に導き易くすることができる。
【0065】
本実施の形態では、車体正面視において、開口形状S1の内側には、接続体12の底面部12aが位置する。
この構成によれば、開口形状S1を介して接続体12の底面部12aに走行風を送って、底面部12aに沿わせて走行風を流すことができ、接続体12を効率よく冷却できる。
【0066】
また、本実施の形態では、接続体12は、パワーユニット12である。
この構成によれば、ロアカバー54により走行風をパワーユニット12に導風し易くでき、熱が生じ易いパワーユニット12を効果的に冷却することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、パワーユニット12は、エンジン12である。
この構成によれば、閉じた開口形状S1部分に、第一排気管25aを通すことができるので、エンジン12のレイアウトの成立性向上に繋げることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、センターロアカバー60は、車体側面視で、サイドロアカバー70、80の前縁を構成する前壁部72a、82aより後方に位置し、センターロアカバー60は、車幅方向中央部の前面カバー部61が車体後方に進むに連れて上方に傾斜し、センターロアカバー60は、車体下方に進むに連れて幅狭に形成され、左右のサイドロアカバー70、80は、車体下方に進むに連れて車幅方向内側に傾斜する。
この構成によれば、ロアカバー54とロアカバーステー90とで形成された開口形状S1に走行風を導き易くなるので、より接続体12を効果的に冷却できる。
【0069】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0070】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として、内燃機関としてのエンジン12を有する鞍乗り型車両10を例示したが、これに限定されない。例えば、鞍乗り型車両10としては、エンジン12を有しない車両、すなわち、電動車両でもよい。よって、上記実施の形態では、車体を駆動するパワーユニットとしてエンジン12を例示したが、パワーユニットとしては、駆動用の電動モータを備えるパワーユニットでもよい。また、接続体の一例としてパワーユニットを例示したが、例えば、インホイールモータなどを採用する電動の鞍乗り型車両においては、接続体としては、バッテリを収容するバッテリケースなどでもよい。すなわち、ダウンフレーム33の下端部と、ピボットフレーム32の下端部とには、バッテリケースが固定され、ダウンフレーム33の下端部と、ピボットフレーム32の下端部とが、バッテリケースを介して接続されてもよい。このとき、バッテリケース内の発熱部品としてのバッテリに対して、ロアカバー54により走行風を導くことが可能となり、バッテリを冷却可能である。
【0071】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0072】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0073】
(構成1)ヘッドパイプから後方に延びるメインフレームと、前記ヘッドパイプから下方に延びるダウンフレームと、前記メインフレームの後端から下方に延びるピボットフレームとを有するバックボーンフレームにロアカバーが取り付けられる鞍乗り型車両において、前記ダウンフレームと前記ピボットフレームとを接続する接続体と、前記ロアカバーと車体とを接続するロアカバーステーと、を備え、前記ロアカバーは、センターロアカバーと、右側のサイドロアカバーと、左側のサイドロアカバーと、を有し、前記ロアカバーステーは、前記ダウンフレームに締結されるフレーム締結部と、前記接続体に締結される左右一対の接続体締結部と、を有し、車体正面視において、前記ロアカバーステーは上方に凹んだ凹形状を成し、前記ロアカバーは下方に凹んだ凹形状を成し、前記ロアカバーステーの凹形状と前記ロアカバーの凹形状とが車体正面視において閉じた開口形状を形成し、前記フレーム締結部が前記接続体締結部よりも上方に設けられることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、ロアカバーが設けられるので走行時の飛び石等の対策を図ることができる。また、ロアカバーとロアカバーステーとが形成する開口形状により、ロアカバーが設けられた鞍乗り型車両の意匠性の向上を図ることができる。さらに、ロアカバーがダウンフレームと接続体とにロアカバーステーを介して固定されるため、ロアカバーがダウンフレームのみに固定される場合に比べて、ロアカバーの取付剛性を確保できる。また、ダウンフレームとピボットフレームとに跨るように取り付けられる場合に比べて、ロアカバーの大型化を抑制することができる。さらに、ロアカバーステーとロアカバーとが形作る開口形状によって走行風を接続体に導き易くできる。したがって、上記構成によれば、バックボーンフレームにロアカバーが取り付けられる鞍乗り型車両において、意匠性の向上や走行時の飛び石等の対策を図りつつ、ロアカバーの取付剛性を確保しながら、ロアカバーの大型化を抑制すると共に、走行風を接続体に導き易くすることができる。
【0074】
(構成2)車体正面視において、前記開口形状の内側には、前記接続体の底面部が位置することを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、開口形状を介して接続体の底面部に走行風を送って、底面部に沿わせて走行風を流すことができ、接続体を効率よく冷却できる。
【0075】
(構成3)前記接続体は、パワーユニットであることを特徴とする構成1または2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ロアカバーにより走行風をパワーユニットに導風し易くでき、熱が生じ易いパワーユニットを効果的に冷却することができる。
【0076】
(構成4)前記パワーユニットは、内燃機関であることを特徴とする構成3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、閉じた開口形状部分に排気管を通すことができるので、内燃機関のレイアウトの成立性向上に繋げることができる。
【0077】
(構成5)前記センターロアカバーは、車体側面視で、前記サイドロアカバーの前縁より後方に位置し、前記センターロアカバーは、車幅方向中央部の前面が車体後方に進むに連れて上方に傾斜し、前記センターロアカバーは、車体下方に進むに連れて幅狭に形成され、左右の前記サイドロアカバーは、車体下方に進むに連れて車幅方向内側に傾斜することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ロアカバーとロアカバーステーとで形成された他閉じた開口形状に走行風を導き易くなるので、より接続体を効果的に冷却できる。
【符号の説明】
【0078】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム(バックボーンフレーム、車体)
12 エンジン(パワーユニット、内燃機関、接続体、車体)
18 ヘッドパイプ
12a 底面部
31 メインフレーム
32 ピボットフレーム
33 ダウンフレーム
54 ロアカバー
54a 凹形状
60 センターロアカバー
61 前面カバー部(前面)
70 サイドロアカバー
72a 前壁部(前縁)
80 サイドロアカバー
82a 前壁部(前縁)
90 ロアカバーステー
90a 凹形状
92 フレーム締結部
97 ユニット締結部(接続体締結部)
98 ユニット締結部(接続体締結部)
S1 開口形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8