(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016147
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】拾得機能付き調査器具
(51)【国際特許分類】
B25J 1/00 20060101AFI20250124BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20250124BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B25J1/00
G02B23/24 B
G02B23/26 B
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119234
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 正博
【テーマコード(参考)】
2H040
3C707
【Fターム(参考)】
2H040AA03
2H040CA03
2H040DA19
2H040DA56
2H040GA02
2H040GA11
3C707BS29
3C707ES03
3C707ET03
3C707EW07
3C707HT04
3C707KT01
3C707KT05
3C707XF06
(57)【要約】
【課題】水槽や水路などの底面にある物体を拾得する際の操作性を大幅に向上させること。
【解決手段】支柱11の先端に支柱11後端のグリップ部12を把持しつつ操作レバー14を引いて操作することに応じてU字に開いた一対の指部13a,13bが閉じて物体を掴むように動作する掴み部13を設けると共に、U字の掴み部13の基部中央に撮像方向と照明方向とを調査器具10の先端方向正面に向けた撮像ユニット23を設ける。操作レバー14に隣接する支柱11上面に端末スタンド26を設け、端末スタンド26に装着した電池電源を有する表示端末30により撮像ユニット23に撮像部21およびLED照明22の動作電源を供給すると共に、撮像された動画像を表示画面30Dに表示させる。掴み部13の開閉により物体の拾得対象となる領域Tに対して掴み部13の基部の中央、すなわち一対の指部13a,13bが開閉する中心から真っ直ぐに照明を当て且つ撮像する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱の先端に設けられ、複数本の指部の先端を開いた状態から閉じた状態へと動作させることで物体を掴むことが可能な掴み部と、
前記支柱の後端に設けられ、前記掴み部の動作を操作する操作部と、
前記掴み部の複数本の指部が開閉する基部の中心に設けられ、前記複数本の指部の先端が閉じる方向に向けて照明する照明部と、前記複数本の指部の先端が閉じる方向に向けて撮像する撮像部と、を有する撮像ユニットと、
前記支柱の前記操作部に隣接して設けられ、前記撮像部により撮像された動画像を表示する表示部と、
を備える拾得機能付き調査器具。
【請求項2】
前記表示部は、表示画面を有する表示端末であり、
前記表示端末を前記支柱に対し着脱自在に支持する端末スタンドを備え、
前記表示端末の表示画面に前記撮像部により撮像された動画像を表示する、
請求項1に記載の拾得機能付き調査器具。
【請求項3】
前記表示端末は、電池電源を有し、
前記表示端末の電池電源により前記撮像ユニットの前記照明部と前記撮像部とに動作電源を供給する、
請求項2に記載の拾得機能付き調査器具。
【請求項4】
前記撮像ユニットは、前記撮像部を中心として周囲に環状且つ均等に複数の前記照明部を配設した撮像面を有し、前記撮像部の中心が前記掴み部の基部の中心と一致する状態で、前記撮像面が前記複数本の指部の先端が閉じる方向に向くように設けられる、
請求項1または請求項2に記載の拾得機能付き調査器具。
【請求項5】
前記指部の先端に設けられる釣金状のフックを備える、
請求項1または請求項2に記載の拾得機能付き調査器具。
【請求項6】
前記支柱は、前記支柱の長さ方向の中間に一または複数連結して前記支柱を伸縮させる延長支柱を有する、
請求項1または請求項2に記載の拾得機能付き調査器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、拾得機能付き調査器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水槽や水路への落下物を拾得したい場合、先ずはその水槽や水路の底面などの状態を調査して確認しなれければならない。
【0003】
しかしながら、水槽内には水が溜まっていたり、水路内には水が流れていたりするだけでなく、その水面には動的な光の反射や浮遊物があることが多く、まして水槽や水路の底面などは光が届き難い場所でもあるため、地上からの目視では必要十分な調査、確認を行なうことができない。
【0004】
従来、落下物などを拾得する器具として、マジックハンド(マニピュレータ)などが広く実用されている。液化ガスタンク、アンモニアタンク、酸素タンクなどのタンク内の貯蔵液、ガスなどの状態を観察したり診断したりする目的で、光源付きのファイバスコープを備えたタンク内操作用マニピュレータが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-067093号公報
【特許文献2】特開2004-291225号公報
【特許文献3】特開2010-089169号公報
【特許文献4】特開2020-142308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタンク内操作用マニピュレータは、光源付きのファイバスコープを備えているものの、そのファイバスコープおよびファイバは、マニピュレータを支持する長尺の支持ロッドの外側面に沿わせて設けられている。またファイバスコープにより得られたタンク内部の状態は、支持ロッドから離れて設置されたテレビ受像機に送られて表示される。
【0007】
従って、従来のタンク内操作用マニピュレータでは、マニピュレータの触手の開閉によって物体の拾得対象となる位置に対して、ファイバスコープによる光の照射方向と撮像方向が斜めになるため、テレビ受像機に表示された物体の状態に対し、拾得対象とする物体との間で感覚的な齟齬が生じるだけでなく、離れて設置されたテレビ受像機の確認を要し、物体の状態を確認しつつ触手で物体を拾得する際の操作性の妨げになる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、例えば水槽や水路などの底面にある物体を確認して拾得する際の操作性を大幅に向上させることが可能になる拾得機能付き調査器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の拾得機能付き調査器具は、
支柱と、
前記支柱の先端に設けられ、複数本の指部の先端を開いた状態から閉じた状態へと動作させることで物体を掴むことが可能な掴み部と、
前記支柱の後端に設けられ、前記掴み部の動作を操作する操作部と、
前記掴み部の複数本の指部が開閉する基部の中心に設けられ、前記複数本の指部の先端が閉じる方向に向けて照明する照明部と、前記複数本の指部の先端が閉じる方向に向けて撮像する撮像部と、を有する撮像ユニットと、
前記支柱の前記操作部に隣接して設けられ、前記撮像部により撮像された動画像を表示する表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の拾得機能付き調査器具10の外観の構成を一部透視して示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の拾得機能付き調査器具10の掴み部13におけるA部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の拾得機能付き調査器具10の掴み部13の基部を前方から見て示すB-B線断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aの外観の構成を一部透視して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の拾得機能付き調査器具10Aの先端の掴み部13を含む周辺を拡大して示す部分斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4および
図5の拾得機能付き調査器具10AのC部を拡大して示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1実施形態の構成と動作)
図1は、第1実施形態の拾得機能付き調査器具10の外観の構成を一部透視して示す斜視図である。
【0013】
拾得機能付き調査器具10は、直線状の支柱11を備える。支柱11は、例えば、長さが2~3m程度で横断面が矩形の筒状(環状でもよい)に構成される。支柱11の一端(後端)にはグリップ部12、他端(先端)には掴み部13が設けられる。
【0014】
以下の説明では、
図1の上側を調査器具10の後端(後方)、
図1の下側を調査器具10の先端(前方または正面)、
図1の手前側を調査器具10の左側面、
図1の奥側を調査器具10の右側面、
図1の左方側を調査器具10の上面、
図1の右方側を調査器具10の下面と称する。
【0015】
グリップ部12は、支柱11の後端からその下面側にL字に屈曲するように設けられ、調査器具10をユーザが掴み部13のある先端の方向に向いて片手で把持して支えるためのものである。グリップ部12の支柱11に対する付根近くの当該支柱11の下面側には、グリップ部12を把持したユーザの手の指が届く距離で、掴み部13を操作するための操作レバー14(操作部)が設けられる。
【0016】
操作レバー14は、支柱11内の空間を左右側面に横断して設けられたレバー支持軸14sに一体となって支持され、当該レバー支持軸14sを支点として、矢印Xに示すようにユーザ操作に応じて回動する。
【0017】
レバー支持軸14sには、当該レバー支持軸14sと共に支柱11内の空間を回動するカム部材15が設けられる。
【0018】
カム部材15の偏心する頂部には、支柱11内の空間を通して掴み部13との間に張設され、当該掴み部13に操作レバー14の回動に伴う操作力を伝達するワイヤ16の一端(後端)が取り付けられる。
【0019】
掴み部13は、支柱11の先端を基部としてU字を成す(U字の底辺が基部に相当)一対の指部13a,13b(U字の左辺と右辺に相当)を有し、各指部13a,13bの付根となる後端部が、支柱11内の先端に沿った空間の上面側と下面側とでそれぞれ支柱11の左右側面に横断して設けられた指部支持軸17a,17bに一体となって支持される。
【0020】
指部支持軸17a,17bには、それぞれ、当該指部支持軸17a,17bと共に支柱11内の空間を回動可能なカム部材18a,18bが設けられ、カム部材18a,18bそれぞれの偏心する頂部には、支柱11内の空間を通してレバー支持軸14sのカム部材15との間で張設されるワイヤ16の他端(先端)が分岐して取り付けられる。
【0021】
すなわち、操作レバー14を矢印Xに示すようにユーザが引いて回動させると、支柱11内のワイヤ16を介して、指部支持軸17a,17bのカム部材18a,18bの頂部が支柱11の後端側に引かれて回動するのに伴い、各指部13a,13bの先端が、それぞれ、矢印Yに示すように、指部支持軸17a,17bを支点として回動し、掴み部13のU字の開きを閉じて物体を挟んで掴むように動作する。
【0022】
掴み部13のU字の対向する内側面、つまり対向する指部13a,13bの内側面には、掴んだ(挟んだ)物体を滑らずに保持するための、例えば柔軟性のあるゴムなどの弾性部材LBが設けられる。
【0023】
操作レバー14を支持して一体に回転するレバー支持軸14sには、操作レバー14を引き、掴み部13を閉じ、ワイヤ16に高い張力が加わった状態で、当該レバー支持軸14sの回転した位置を保持(逆回転を阻止)するラッチ機構19が設けられる。ラッチ機構19によりレバー支持軸14sの逆回転を阻止した状態(ラッチ状態)は、その状態から操作レバー14を更に引くことで解除される。
【0024】
掴み部13が有する一対の指部13a,13bは、例えば当該指部13a,13bの後端間に繋いで設けられる図示しないバネのバネ力により、常時U字に開く方向に軽い力が加えられる。ラッチ機構19のラッチ状態が解除され操作レバー14が引かれていない状態では、掴み部13の指部13a,13bは、U字の初期位置まで戻るように動作する。
【0025】
図2は、
図1の拾得機能付き調査器具10の掴み部13におけるA部を拡大して示す部分斜視図である。
【0026】
掴み部13の一対の指部13a(13b)の先端には、例えば磁石を材料として作られた釣金状のフック20a(20b)が、当該指部13a(13b)の先端から外側に伸びつつ後端に向けて湾曲するように設けられる。
【0027】
すなわち、フック20a,20bは、調査器具10のユーザの操作に応じて、掴み部13の周辺に存在する何らかの引掛りを有する物体を引っ掛けて取得したり、鉄を含む物体を吸着して取得したりする機能を果たす。
【0028】
図3は、
図1の拾得機能付き調査器具10の掴み部13の基部を前方から見て示すB-B線断面図である。
【0029】
U字を成す掴み部13の基部の中央、すなわち指部13a,13bそれぞれの付根に挟まれる支柱11の先端11Fには、撮像部21(撮像レンズおよび撮像素子を含む)と複数のLED照明22(照明部)とを備える撮像ユニット23が設けられる。
【0030】
撮像ユニット23は、撮像部21を中心としその周囲に環状且つ均等に複数のLED照明22を配設した撮像面を有し、撮像部21の中心Zが掴み部13の基部の中心と一致する状態で、その撮像面が支柱11の先端11Fの表面に同一平面状に露出するように設けられる。
【0031】
すなわち、撮像部21の中心Zに対し、掴み部13の指部13a,13bは対称の位置に配置されることになり、操作レバー14の操作に応じて指部13a,13bが矢印Yに示すように閉じられた状態では、当該指部13a,13bを閉じた中心と撮像部21の中心Zとが一致し、また当該指部13a,13bの相互間に向けて複数のLED照明22からの照明が均等に照射される。
【0032】
撮像ユニット23に対し電力を供給し、また撮像ユニット23から撮像信号を取り出すための撮像ユニット用信号線24は、
図1に示すように、撮像ユニット23の後端から導出され、支柱11内の空間を通して、操作レバー14から先端側に隣接する支柱11の側面(ここでは左側面)に設けた撮像ユニット用入出力端子25に接続される。
【0033】
また、撮像ユニット用入出力端子25を設ける付近の支柱11の側面(ここでは上面)には、端末スタンド26が立設される。端末スタンド26は、スマートフォンなどの表示端末30(表示部)を着脱自在に支持するためのもので、当該端末スタンド26に装着した表示端末30の表示画面30Dが支柱11の後方すなわちユーザが見る方向に向いて支持されるように設けられる。
【0034】
調査器具10の撮像ユニット用入出力端子25と表示端末30の入出力端子31とは、USBケーブルなどの接続ケーブル32を介して接続される。
【0035】
表示端末30は、接続ケーブル32と撮像ユニット用信号線24とを介して、内蔵する充電式の電池電源から撮像ユニット23に電力(動作電源)を供給し、また、撮像ユニット23の撮像部21により撮像された動画像を、撮像信号として入力し表示画面30Dに表示させる。
【0036】
すなわち、調査器具10とその撮像ユニット23は、調査器具10の先端の方向の真正面、すなわち掴み部13の真正面の各指部13a,13bの先端部を含む領域Tに向けて真っ直ぐに照明しつつ動画像を撮像し、その動画像を表示端末30の表示画面30Dに表示させるように動作する。
【0037】
(第1実施形態のまとめ)
第1実施形態の拾得機能付き調査器具10によれば、例えば長さ2~3mの支柱11の先端に、当該支柱11の後端のグリップ部12を把持しつつ操作レバー14を引いて操作することに応じて、U字に開いた一対の指部13a,13bが閉じて物体を挟み掴むように動作する掴み部13を設けると共に、当該U字の掴み部13の基部の中央に、撮像する方向と照明する方向とを調査器具10の先端方向の正面に向けた撮像ユニット23を設ける。
【0038】
そして、操作レバー14から先端側に隣接する支柱11の上面に端末スタンド26を設け、当該端末スタンド26に装着した電池電源を有する表示端末30により、撮像ユニット23にその撮像部21およびLED照明22の動作電源を供給すると共に、撮像された動画像を表示画面30Dに表示させる。
【0039】
これにより、掴み部13の開閉によって物体の拾得対象となる位置を中心とする領域Tに対して、当該掴み部13の基部の中央、すなわち一対の指部13a,13bが開閉する中心から真っ直ぐに照明を当て且つ撮像することができ、ユーザの手元の支柱11に装着した表示端末30において、その表示画面30Dに表示される例えば水槽や水路などの底面の状態や物体の状態を、指部13a,13bとの位置的な関係も含めて明確に調査して確認できる。
【0040】
よって、例えば水槽や水路などの底面の状態を確認しつつ落下物などの物体を拾得する際の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0041】
また、第1実施形態の拾得機能付き調査器具10によれば、表示端末30は、複数の調査器具10で共用したり、あるいは、ユーザ個人が所持する表示端末30を使用したりしてもよく、拾得機能付き調査器具10を安価に構成できる。
【0042】
(第2実施形態の構成と動作)
図4は、第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aの外観の構成を一部透視して示す斜視図である。
【0043】
図5は、
図4の拾得機能付き調査器具10Aの先端の掴み部13を含む周辺を拡大して示す部分斜視図である。
【0044】
図6は、
図4および
図5の拾得機能付き調査器具10AのC部を拡大して示す部分斜視図である。
【0045】
図4ないし
図6に示す第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aにおいて、
図1ないし
図3で示した第1実施形態の拾得機能付き調査器具10と同様に構成される部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aは、支柱11の長さ方向の中間部分を、一または複数の延長支柱11a,11bを介して伸縮可能な構成とする。ここで、掴み部13を有する支柱11の先端側を先端側支柱11pと称し、グリップ部12、操作レバー14および端末スタンド26を有する支柱11の後端側を後端側支柱11hと称する。
【0047】
また、掴み部13が有する一対の指部13a,13bを回動させる動力を小型モータ41a,41b(回動駆動部)により取得し、
図4および
図5に示すように、指部13a,13bを回動させる支点となる指部支持軸17a,17bを、小型モータ41a,41b(回動駆動部)の軸として構成する。
【0048】
小型モータ41a,41b(回動駆動部)に対する電力(動作電源)の供給は、例えば
図4に示すように、グリップ部12に着脱可能に内蔵させる充電池などの電池電源BTから行ってよい。
【0049】
電池電源BTからの電源出力線42Bと、小型モータ41a,41bに対する電源供給線42とは、操作レバー14とそのレバー支持軸14sの回動に伴い動作するラッチスイッチ機構19SWを介して接続する。ラッチスイッチ機構19SWは、第1実施形態のラッチ機構19にオンオフスイッチを付加したものでる。
【0050】
ラッチスイッチ機構19SWは、操作レバー14を矢印Xに示すようにユーザが引いて回動させると、レバー支持軸14sの回動に連動してオンオフスイッチをオン状態とし、電池電源BTの電源出力線42Bを小型モータ41a,41bの電源供給線42に接続すると共に、レバー支持軸14sの逆回転を阻止した状態(ラッチ状態)とする。ラッチスイッチ機構19SWによりオンオフスイッチをオン状態としたラッチ状態は、その状態から操作レバー14を更に引くことで解除される。
【0051】
操作レバー14の操作に伴うラッチスイッチ機構19SWのオン状態(ラッチ状態)において小型モータ41a,41bに動作電源が供給されると、当該小型モータ41a,41bにより指部支持軸17a,17bが回転されるのに伴い、第1実施形態と同様に、各指部13a,13bの先端が、それぞれ、矢印Yに示すように、指部支持軸17a,17bを支点として回動し、掴み部13のU字の開きを閉じて物体を挟んで掴むように動作する。
【0052】
第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aにおいて、撮像ユニット用信号線24と電源供給線42とは、それぞれ、支柱11を構成する先端側支柱11p,後端側支柱11h,延長支柱11a,11bの何れにおいても、例えば
図6に示すように、当該支柱11(11p,11h,11a,11b)の断面から見て同一の位置を通して埋設される。
【0053】
後端側支柱11hと延長支柱11aとの連結部、先端側支柱11pと延長支柱11bとの連結部は、何れも、
図6に示すように、延長支柱11a,11b同士の連結部と同様に構成される。
【0054】
すなわち、延長支柱11aの先端の中央には、断面矩形の凸部である連結凸部43vが一体に設けられ、延長支柱11bの後端の中央には、延長支柱11a,11b同士の外周側面が同一平面状に連続するように、延長支柱11aの連結凸部43vが矢印Rに示すように精度よく嵌挿される凹部である連結凹部43cが設けられる。
【0055】
また、延長支柱11aの先端の連結凸部43vを囲む外輪面には、延長支柱11a内の撮像ユニット用信号線24を電気的に露出させた信号線接続ピン24pと、同延長支柱11a内の電源供給線42を電気的に露出させた電源接続ピン42pa,42pbとが立設される。これに対向する、延長支柱11bの後端の連結凹部43cを囲む外輪面には、延長支柱11a先端の信号線接続ピン24pと電源接続ピン42pa,42pbとが嵌挿されて延長支柱11b内の撮像ユニット用信号線24と電源供給線42とに電気的に接続される信号線接続端子24iと電源接続端子42ia,42ibとが設けられる。
【0056】
また、延長支柱11aの先端には、当該延長支柱11aと延長支柱11bとの連結状態を保持するためのロック突起44rが設けられ、これに対向する延長支柱11bの後端には、ロック突起44rの楔状部が嵌まり込む溝を有するロック穴44dが設けられる。
【0057】
ロック突起44rは、延長支柱11aの先端側の上面に例えば図示しないバネのバネ力により矢印Mに示すように上下動可能に設けられるロック解除ボタン45と連動して上下動する。
【0058】
ロック突起44rは、ロック解除ボタン45が押し込まれていない状態では、延長支柱11aと11bとの連結に伴いロック穴44dの溝に嵌まり込んでロック状態となり、ロック解除ボタン45が押し込まれた状態では、ロック穴44dの溝から外れて、延長支柱11aと11bとの連結を解除可能な状態になる。
【0059】
(第2実施形態のまとめ)
第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aによれば、第1実施形態の拾得機能付き調査器具10と同様に、掴み部13の開閉によって物体の拾得対象となる位置を中心とする領域Tに対して、当該掴み部13の基部の中央、すなわち一対の指部13a,13bが開閉する中心から真っ直ぐに照明を当て且つ撮像することができ、ユーザの手元の支柱11に装着した表示端末30において、その表示画面30Dに表示される例えば水槽や水路などの底面の状態や物体の状態を、指部13a,13bとの位置的な関係も含めて明確に調査して確認できる。
【0060】
さらに、第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aによれば、支柱11を一または複数の延長支柱11a,11bを介して伸縮可能な構成としたので、調査器具10Aを使用する例えば水槽や水路などの深さに応じて、支柱11を適切な長さに調整できる。
【0061】
よって、例えば水槽や水路などの底面の状態を確認しつつ落下物などの物体を拾得する際の操作性を、より大幅に向上させることが可能になる。
【0062】
なお、第1実施形態の拾得機能付き調査器具10では、ラッチ機構19によるラッチ状態連動して、また、第2実施形態の拾得機能付き調査器具10Aでは、ラッチスイッチ機構19SWによるラッチ状態に連動して、表示端末30をオフ状態からオン状態に切り換え、撮像ユニット23の動作を開始させるとともに、撮像された動画像を表示画面30Dに表示させる構成としてもよい。
【0063】
また、拾得機能付き調査器具10(10A)の掴み部13は、一対の指部13a,13bを備えて構成したが、3本以上の指部を備え、物体をより掴み易い構成としてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10…拾得機能付き調査器具(第1実施形態)、11…支柱、12…グリップ部、13…掴み部、13a、13b…指部、LB…弾性部材、14…操作レバー(操作部)、14s…レバー支持軸、16…ワイヤ(操作力伝達用)、17a,17b…指部支持軸、19…ラッチ機構、20a,20b…フック(磁石材料)、21…撮像部、22…LED照明(照明部)、23…撮像ユニット、T…領域(照明・撮像対象)、24…撮像ユニット用信号線、25…撮像ユニット用入出力端子、26…端末スタンド、30…表示端末(表示部)、30D…表示画面、31…入出力端子、32…接続ケーブル、10A…拾得機能付き調査器具(第2実施形態)、11h…後端側支柱、11p…先端側支柱、11a,11b…延長支柱、19SW…ラッチスイッチ機構、41a,41b…小型モータ(回動駆動部)、BT…電池電源、42B…電源出力線、42…電源供給線、43v…連結凸部、43c…連結凹部、44r…ロック突起、44d…ロック穴、45…ロック解除ボタン。