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特開2025-1616稼働状況集計システム、稼働状況集計方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001616
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】稼働状況集計システム、稼働状況集計方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20241225BHJP
   G06Q 10/109 20230101ALI20241225BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/109
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200331
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2023100487の分割
【原出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】513202801
【氏名又は名称】株式会社ゼスト
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100134625
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 加寿子
(72)【発明者】
【氏名】豊島 正規
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する場合において、各スタッフの訪問件数と移動時間を容易に集計できるようにする。
【解決手段】稼働状況集計システム100において、稼働状況集計部111が、ユーザ端末300からの要求に応じて、集計対象とする各スタッフのスケジュール情報として、対象者を訪問する時間帯を示す訪問時間帯情報と、各訪問終了後の次の訪問場所までの移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報とを含むスケジュール情報323を取得し、その取得したスケジュール情報323に含まれる、集計対象の各スタッフの訪問時間帯情報及び移動時間情報に基づき、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成し、集計結果送信部113が要求元のユーザ端末300へ出力するようにした。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータにより構成され、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計システムであって、
集計対象とする各スタッフのスケジュール情報として、対象者を訪問する時間帯を示す訪問時間帯情報と、各訪問終了後の次の訪問場所までの移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報とを含むスケジュール情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記スケジュール情報に含まれる、前記集計対象の各スタッフの訪問時間帯情報及び移動時間情報に基づき、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計部とを備えることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項2】
請求項1に記載の稼働状況集計システムであって、
サービス提供の対象者毎に、訪問場所、訪問希望時間及び希望サービスの入力を受け付け、スタッフ毎に、勤務時間及び移動方法の入力を受け付け、これらに基づき、各スタッフが各対象者を訪問して前記サービスを提供するためのスケジュールを規定する前記スケジュール情報を作成するスケジュール作成部を備えることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項3】
請求項2に記載の稼働状況集計システムであって、
前記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項4】
1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータにより構成され、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計システムであって、
予め定めた取得先から、所定集計期間内に提供したサービスの情報として、訪問場所、訪問時間帯、訪問したスタッフの情報を取得する第1取得部と、
スタッフ毎にスタッフの勤務時間帯及び移動方法を取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した情報から、集計対象のスタッフの勤務時間帯毎に該スタッフが訪問した訪問場所及び訪問時間帯を時刻順に抽出し、その取得した各訪問場所について、該訪問場所の位置、次の訪問場所の位置及び、前記第2取得部が取得した該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該各訪問場所から次の訪問場所への移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報を取得する移動時間取得部と、
前記第1取得部が取得した情報及び前記移動時間取得部が取得した移動時間情報に基づき、前記所定集計期間内の、前記集計対象の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計部とを備えることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項5】
請求項4に記載の稼働状況集計システムであって、
前記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであり、
前記取得先が、電子カルテシステム、レセプト管理システム、日報システム又は勤怠管理システムであることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の稼働状況集計システムであって、
前記スケジュール情報には、各スタッフの勤務時間帯を示す勤務時間帯情報が含まれ、
前記移動時間情報には、勤務開始場所から勤務時間内の最初の訪問場所までの移動時間である出発移動時間及び/又は前記勤務時間内の最後の訪問終了後の勤務終了場所までの移動時間である帰還移動時間の情報が含まれ、
前記集計部は、前記所定集計期間内の1の勤務時間帯と対応する合計移動時間を求めるに当たり、当該勤務時間内の各訪問と対応する訪問間移動時間に、前記出発移動時間及び/又は前記帰還移動時間を加算することを特徴とする、稼働状況集計システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の稼働状況集計システムであって、
前記第2取得部は、前記スタッフ毎に該スタッフの勤務開始場所及び/又は勤務終了場所の情報も取得し、
前記移動時間取得部は、各スタッフの勤務開始場所の位置、勤務時間内の最初の訪問場所の位置及び、該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、前記勤務開始場所から前記最初の訪問場所への移動時間である出発移動時間を取得する処理及び/又は、各スタッフの勤務時間内の最後の訪問場所の位置、勤務終了場所の位置及び、該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、前記最後の訪問場所から前記勤務終了場所への移動時間である帰還移動時間を取得する処理を行い、
前記集計部は、前記所定集計期間内の1の勤務時間帯と対応する合計移動時間を求めるに当たり、当該勤務時間内の各訪問と対応する訪問間移動時間に、前記出発移動時間及び/又は前記帰還移動時間を加算することを特徴とする、稼働状況集計システム。
【請求項8】
請求項2又は3に記載の稼働状況集計システムであって、
前記スケジュール情報は、前記各訪問に際して提供するサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報と、スタッフが各移動に用いる移動方法を示す移動方法情報とを含み、
前記サービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、前記移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とを取得する負荷情報取得部と、
前記取得部が取得した前記スケジュール情報に含まれる前記集計対象の各スタッフに関する情報のうち、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記提供サービス情報に基づき前記サービス負荷情報を参照してサービス提供に係る負荷値をスタッフ毎に算出し、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記移動時間情報及び前記移動方法情報に基づき前記移動負荷情報を参照して移動に係る負荷値をスタッフ毎に算出して、前記所定の出力先へ出力する負荷値算出部を備えることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項9】
請求項4又は5に記載の稼働状況集計システムであって、
前記第1取得部が取得する前記提供したサービスの情報は、提供したサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報を含み、
前記サービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、前記移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とを取得する第3取得部と、
前記第1取得部が取得した情報に含まれる、前記集計対象の各スタッフによる訪問に関する情報のうち、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記提供サービス情報に基づき前記サービス負荷情報を参照してサービス提供に係る負荷値をスタッフ毎に算出し、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記移動時間情報及び前記第2取得部が取得した該スタッフの移動方法に基づき前記移動負荷情報を参照して移動に係る負荷値をスタッフ毎に算出して、前記所定の出力先へ出力する負荷値算出部を備えることを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項10】
請求項2又は3に記載の稼働状況集計システムであって、
前記スケジュール作成部は、前記スケジュール情報を作成する際に、あるスタッフについて、一の訪問及びその次の訪問のスケジュールを候補とし、当該一の訪問の訪問場所と、当該次の訪問の訪問場所と、当該あるスタッフの移動方法とを予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該一の訪問の訪問場所から当該次の訪問の訪問場所への移動時間を取得し、当該一の訪問と当該次の訪問との間に該取得した移動時間を前記訪問間移動時間として確保しつつ、当該一の訪問の時間帯及び当該次の訪問の時間帯を、該各訪問に係る訪問希望時間を満たし、かつ該あるスタッフの勤務時間内で設定できる場合に、当該訪問の時間帯を示す訪問時間帯情報及び当該訪問間移動時間を、当該あるスタッフのスケジュール情報として登録することを特徴とする稼働状況集計システム。
【請求項11】
1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータが実行し、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計方法であって、
集計対象とする各スタッフのスケジュール情報として、対象者を訪問する時間帯を示す訪問時間帯情報と、各訪問終了後の次の訪問場所までの移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報とを含むスケジュール情報を取得する取得手順と、
前記取得手順で取得した前記スケジュール情報に含まれる、前記集計対象の各スタッフの訪問時間帯情報及び移動時間情報に基づき、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計手順とを備えることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項12】
請求項11に記載の稼働状況集計方法であって、
サービス提供の対象者毎に、訪問場所、訪問希望時間及び希望サービスの入力を受け付け、スタッフ毎に、勤務時間及び移動方法の入力を受け付け、これらに基づき、各スタッフが各対象者を訪問して前記サービスを提供するためのスケジュールを規定する前記スケジュール情報を作成するスケジュール作成手順を備えることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項13】
請求項12に記載の稼働状況集計方法であって、
前記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項14】
1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータが実行し、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計方法であって、
予め定めた取得先から、所定集計期間内に提供したサービスの情報として、訪問場所、訪問時間帯、訪問したスタッフの情報を取得する第1取得手順と、
スタッフ毎にスタッフの勤務時間帯及び移動方法を取得する第2取得手順と、
前記第1取得手順で取得した情報から、集計対象のスタッフの勤務時間帯毎に該スタッフが訪問した訪問場所及び訪問時間帯を時刻順に抽出し、その取得した各訪問場所について、該訪問場所の位置、次の訪問場所の位置及び、前記第2取得手順で取得した該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該各訪問場所から次の訪問場所への移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報を取得する移動時間取得手順と、
前記第1取得手順で取得した情報及び前記移動時間取得手順で取得した移動時間情報に基づき、前記所定集計期間内の、前記集計対象の各スタッフの合計訪問時間数及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計手順とを備えることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項15】
請求項14に記載の稼働状況集計方法であって、
前記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであり、
前記取得先が、電子カルテシステム、レセプト管理システム、日報システム又は勤怠管理システムであることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項16】
請求項12に記載の稼働状況集計方法であって、
前記スケジュール情報には、各スタッフの勤務時間帯を示す勤務時間帯情報が含まれ、
前記移動時間情報には、勤務開始場所から勤務時間内の最初の訪問場所までの移動時間である出発移動時間及び/又は前記勤務時間内の最後の訪問終了後の勤務終了場所までの移動時間である帰還移動時間の情報が含まれ、
前記集計手順において、前記所定集計期間内の1の勤務時間帯と対応する合計移動時間を求めるに当たり、当該勤務時間内の各訪問と対応する訪問間移動時間に、前記出発移動時間及び/又は前記帰還移動時間を加算することを特徴とする、稼働状況集計方法。
【請求項17】
請求項14に記載の稼働状況集計方法であって、
前記第2取得手順において、前記スタッフ毎に該スタッフの勤務開始場所及び/又は勤務終了場所の情報も取得し、
前記移動時間取得手順において、各スタッフの勤務開始場所の位置、勤務時間内の最初の訪問場所の位置及び、該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、前記勤務開始場所から前記最初の訪問場所への移動時間である出発移動時間を取得する処理及び/又は、各スタッフの勤務時間内の最後の訪問場所の位置、勤務終了場所の位置及び、該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、前記最後の訪問場所から前記勤務終了場所への移動時間である帰還移動時間を取得する処理を行い、
前記集計手順において、前記所定集計期間内の1の勤務時間帯と対応する合計移動時間を求めるに当たり、当該勤務時間内の各訪問と対応する訪問間移動時間に、前記出発移動時間及び/又は前記帰還移動時間を加算することを特徴とする、稼働状況集計方法。
【請求項18】
請求項12に記載の稼働状況集計方法であって、
前記スケジュール情報は、前記各訪問に際して提供するサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報と、スタッフが各移動に用いる移動方法を示す移動方法情報とを含み、
前記サービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、前記移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とを取得する負荷情報取得手順と、
前記取得手順で取得した前記スケジュール情報に含まれる前記集計対象の各スタッフに関する情報のうち、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記提供サービス情報に基づき前記サービス負荷情報を参照してサービス提供に係る負荷値をスタッフ毎に算出し、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記移動時間情報及び前記移動方法情報に基づき前記移動負荷情報を参照して移動に係る負荷値をスタッフ毎に算出して、前記所定の出力先へ出力する負荷値算出手順をさらに備えることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項19】
請求項14に記載の稼働状況集計方法であって、
前記第1取得手順で取得する前記提供したサービスの情報は、提供したサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報を含み、
前記サービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、前記移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とを取得する第3取得手順と、
前記第1取得手順で取得した情報に含まれる、前記集計対象の各スタッフによる訪問に関する情報のうち、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記提供サービス情報に基づき前記サービス負荷情報を参照してサービス提供に係る負荷値をスタッフ毎に算出し、前記所定集計期間内の各訪問に係る前記移動時間情報及び前記第2取得手順が取得した該スタッフの移動方法に基づき前記移動負荷情報を参照して移動に係る負荷値をスタッフ毎に算出して、前記所定の出力先へ出力する負荷値算出手順をさらに備えることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項20】
請求項12に記載の稼働状況集計方法であって、
前記スケジュール作成手順は、前記スケジュール情報を作成する際に、あるスタッフについて、一の訪問及びその次の訪問のスケジュールを候補とし、当該一の訪問の訪問場所と、当該次の訪問の訪問場所と、当該あるスタッフの移動方法とを予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該一の訪問の訪問場所から当該次の訪問の訪問場所への移動時間を取得し、当該一の訪問と当該次の訪問との間に該取得した移動時間を前記訪問間移動時間として確保しつつ、当該一の訪問の時間帯及び当該次の訪問の時間帯を、該各訪問に係る訪問希望時間を満たし、かつ該あるスタッフの勤務時間内で設定できる場合に、当該訪問の時間帯を示す訪問時間帯情報及び当該訪問間移動時間を、当該あるスタッフのスケジュール情報として登録する手順であることを特徴とする稼働状況集計方法。
【請求項21】
1のコンピュータに又は複数のコンピュータを協働させて、請求項11乃至20のいずれか一項に記載の稼働状況集計方法の各手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、稼働状況集計システム、稼働状況集計方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、訪問診療や訪問看護、訪問介護など、サービス提供を受ける患者、利用者等のもとへスタッフが訪問してサービスを提供する、訪問型のサービスが広く行われている。
このようなサービスを提供する事業所では、スタッフ1人当たりの訪問件数や訪問時間を重要なKPI(Key Performance Indicator)として管理することが行われている。特に、訪問診療、訪問看護、訪問介護の分野では、訪問時間に対する単価が保険点数に規定されるため、訪問時間が変動要因として大きい。
【0003】
このような訪問型サービスに適用可能な、スタッフ毎の訪問スケジュールを作成するための技術として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5847986公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したスタッフ1人当たりの訪問件数や訪問時間を集計しようとする場合、従来は、電子カルテなどのシステムよりサービス提供の実績情報をCSV形式等でダウンロードし、その情報をもとに経営者や管理者が表計算ソフトなどで管理するといった手法が用いられていた。
【0006】
しかしこの手法では、訪問件数や訪問時間は集計可能であるものの、移動時間を考慮することが難しかった。一方、実際には、訪問型のサービスにおいては、訪問先間を移動する時間が訪問可能な件数に大きな影響を与えるので、訪問件数や訪問時間と合わせて移動時間も集計できることが好ましい。移動時間を集計できると、その情報を用いて、他の様々なKPIに関する集計も行うことが可能となる。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する場合において、各スタッフの訪問時間と移動時間を容易に集計できるようにすることを目的とする。
この発明は、訪問診療、訪問看護、訪問介護に限らず、対象者を訪問してサービスを提供する任意の事業に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、この発明の第1の稼働状況集計システムは、1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータにより構成され、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計システムであって、集計対象とする各スタッフのスケジュール情報として、対象者を訪問する時間帯を示す訪問時間帯情報と、各訪問終了後の次の訪問場所までの移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報とを含むスケジュール情報を取得する取得部と、上記取得部が取得した上記スケジュール情報に含まれる、上記集計対象の各スタッフの訪問時間帯情報及び移動時間情報に基づき、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計部とを備えるものである。
【0009】
このような稼働状況集計システムにおいて、サービス提供の対象者毎に、訪問場所、訪問希望時間及び希望サービスの入力を受け付け、スタッフ毎に、勤務時間及び移動方法の入力を受け付け、これらに基づき、各スタッフが各対象者を訪問して上記サービスを提供するためのスケジュールを規定する上記スケジュール情報を作成するスケジュール作成部を備えるとよい。
さらに、上記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであるとよい。
【0010】
また、上記スケジュール情報には、各スタッフの勤務時間帯を示す勤務時間帯情報が含まれ、上記移動時間情報には、勤務開始場所から勤務時間内の最初の訪問場所までの移動時間である出発移動時間及び/又は上記勤務時間内の最後の訪問終了後の勤務終了場所までの移動時間である帰還移動時間の情報が含まれ、上記集計部は、上記所定集計期間内の1の勤務時間帯と対応する合計移動時間を求めるに当たり、当該勤務時間内の各訪問と対応する訪問間移動時間に、上記出発移動時間及び/又は上記帰還移動時間を加算するとよい。
【0011】
また、上記スケジュール情報が、上記各訪問に際して提供するサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報と、スタッフが各移動に用いる移動方法を示す移動方法情報とを含み、上記サービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、上記移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とを取得する負荷情報取得部と、上記取得部が取得した上記スケジュール情報に含まれる上記集計対象の各スタッフに関する情報のうち、上記所定集計期間内の各訪問に係る上記提供サービス情報に基づき上記サービス負荷情報を参照してサービス提供に係る負荷値をスタッフ毎に算出し、上記所定集計期間内の各訪問に係る上記移動時間情報及び上記移動方法情報に基づき上記移動負荷情報を参照して移動に係る負荷値をスタッフ毎に算出して、上記所定の出力先へ出力する負荷値算出部を備えるとよい。
【0012】
また、上記スケジュール作成部は、上記スケジュール情報を作成する際に、あるスタッフについて、一の訪問及びその次の訪問のスケジュールを候補とし、当該一の訪問の訪問場所と、当該次の訪問の訪問場所と、当該あるスタッフの移動方法とを予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該一の訪問の訪問場所から当該次の訪問の訪問場所への移動時間を取得し、当該一の訪問と当該次の訪問との間に該取得した移動時間を上記訪問移動間時間として確保しつつ、当該一の訪問の時間帯及び当該次の訪問の時間帯を、該各訪問に係る訪問希望時間を満たし、かつ該あるスタッフの勤務時間内で設定できる場合に、当該訪問の時間帯を示す訪問時間帯情報及び当該訪問間移動時間を、当該あるスタッフのスケジュール情報として登録するものであってもよい。
【0013】
また、この発明の第2の稼働状況集計システムは、1のコンピュータ又は協働する複数のコンピュータにより構成され、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する稼働状況集計システムにおいて、予め定めた取得先から、所定集計期間内に提供したサービスの情報として、訪問場所、訪問時間帯、訪問したスタッフの情報を取得する第1取得部と、スタッフ毎にスタッフの勤務時間帯及び移動方法を取得する第2取得部と、上記第1取得部が取得した情報から、集計対象のスタッフの勤務時間帯毎に該スタッフが訪問した訪問場所及び訪問時間帯を時刻順に抽出し、その取得した各訪問場所について、該訪問場所の位置、次の訪問場所の位置及び、上記第2取得部が取得した該スタッフの移動方法の情報を予め定めた経路検索システムに送信することに応じて、該経路検索システムから、当該各訪問場所から次の訪問場所への移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報を取得する移動時間取得部と、上記第1取得部が取得した情報及び上記移動時間取得部が取得した移動時間情報に基づき、上記所定集計期間内の、上記集計対象の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成して所定の出力先へ出力する集計部とを設けたものである。
【0014】
このような稼働状況集計システムにおいて、上記サービスは、医療、看護又は介護のサービスであり、上記取得先が、電子カルテシステム、レセプト管理システム、日報システム又は勤怠管理システムであるとよい。
この他、第2の稼働状況集計システムに対しても、上記第1の稼働状況集計システムについて述べたものと同様な変形を適用可能である。
【0015】
以上のような本発明は、上記のシステムの発明として実施する他、装置、方法、プログラム、プログラムを記録した記録媒体など、任意の態様で実施可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上のようなこの発明の稼働状況集計システムによれば、対象者を訪問してサービスを提供するスタッフの稼働状況を集計する場合において、各スタッフの訪問時間と移動時間を容易に集計できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の第1実施形態である稼働状況集計システム及びその動作に関連する装置の配置について説明するための図である。
図2図1に示した稼働状況集計システム100のハードウェア構成を示す図である。
図3図1に示した各システムが備える、スケジュール作成及び稼働状況集計に関連する機能の構成を示す機能ブロック図である。
図4図3に示したスタッフ情報321の構成を示す図である。
図5】スタッフ情報321の具体例を示す図である。
図6図3に示した訪問先情報322の構成を示す図である。
図7】訪問先情報322の具体例を示す図である。
図8図3に示したスケジュール情報323の構成を示す図である。
図9】スケジュール情報323により表されるスタッフ1人の1日分のスケジュールの例を示す図である。
図10図3に示した単位負荷情報324のうちサービスに関する単位負荷情報324aの例を示す図である。
図11図3に示した単位負荷情報324のうち移動に関する単位負荷情報324bの例を示す図である。
図12図3に示したスケジュール作成システム200がユーザの指示に応じてスケジュール情報を作成する場合の動作の手順を示すシーケンス図である。
図13図12に示したスケジュール作成処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図14図13の続きのフローチャートである。
図15図3に示した稼働状況集計システム100がユーザの指示に応じて稼働状況情報を作成する場合の動作の手順を示すシーケンス図である。
図16図15に示した稼働状況集計処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図17図16に示した稼働状況集計処理で作成される稼働状況情報に基づき表示される、各スタッフの稼働状況を示す稼働状況画面の例を示す図である。
図18図15に示した負荷算出処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図19図19A乃至図19Cはそれぞれ、図18に示した負荷算出処理で作成される負荷情報の例を示す図である。
図20図18に示した負荷算出処理で作成される稼働状況情報に基づき表示される、各スタッフの業務負荷を示す負荷状況画面の例を示す図である。
図21】この発明の第2実施形態である稼働状況集計システムによる稼働状況集計に関連する各システムが備える、稼働状況集計に関連する機能の構成を示す、図3と対応する機能ブロック図である。
図22図21に示したカルテ情報252の構成を示す図である。
図23図21に示した各システムがユーザの指示に応じて稼働状況情報を作成する場合の動作の手順を示すシーケンス図である。
図24図23に示した稼働状況集計処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図25図24の続きのフローチャートである。
図26】この発明の第3実施形態である稼働状況集計システムを構成する各システムが備える、稼働状況集計に関連する機能の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態:図1乃至図20
以下、この発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず図1に、この発明の第1実施形態である稼働状況集計システム及びその動作に関連する装置の配置を示す。図2に、図1の稼働状況集計システム100のハードウェア構成を示す。
【0019】
図1に示す稼働状況集計システム100がこの発明の稼働状況集計システムの実施形態であるが、これに加えてスケジュール作成システム200を含むシステム、あるいはユーザ端末300を含むシステム、あるいはこれら双方を含むシステムも、それぞれこの発明の稼働状況集計システムの実施形態である。
【0020】
稼働状況集計システム100は、対象者を訪問してサービスを提供する事業者に対し、そのスタッフの稼働状況を集計する集計サービスをオンラインで提供する事業者が運用する、当該集計サービスの提供のためのシステムである。
スケジュール作成システム200は、対象者を訪問してサービスを提供する事業者に対し、そのスタッフの訪問スケジュールを作成するスケジュール作成サービスをオンラインで提供する事業者が運用する、当該スケジュール作成サービスの提供のためのシステムである。
【0021】
稼働状況集計システム100及びスケジュール作成システム200を同じ事業者が運用し、これらのシステムのハードウェアが同じローカル環境にあってもよい。
いずれのシステムも、利用者である事業者は、自社が持つユーザ端末300から、インターネットNを介してこれらのシステムにアクセスし、そのサービスを利用する。図1には複数のユーザ端末300-1~yを示しているが、これは複数の事業者がそれぞれ独立に稼働状況集計システム100及びスケジュール作成システム200を利用可能であることを示すものであり、以後の説明において、個体を区別する必要がない場合にはユーザ端末の符号として300を用いる。
【0022】
図2に示すように、稼働状況集計システム100は、プロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、インターネットN等を介した通信のための通信I/F104、オペレータから操作を受け付けるための操作部105、オペレータに情報を表示するための表示部106をシステムバス等の通信路107によって接続したコンピュータ(情報処理装置)により構成することができる。相互に通信可能な複数のコンピュータに必要な機能を分散して設けて構成してもよい。この基本構成は、スケジュール作成システム200及びユーザ端末300においても同様である。
【0023】
ユーザ端末300は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、スマートフォン等、個人が操作するコンピュータである。しかし、1事業者辺り複数の端末を有し、それらの端末が共通のデータ(図3に示すスタッフ情報321~稼働状況情報325等)を参照して稼働状況集計システム100及び/又はスケジュール作成システム200を利用できる構成とすることも妨げられない。この場合において、データの保存場所は、ユーザ環境内のサーバ、クラウド環境のストレージ、稼働状況集計システム100やスケジュール作成システム200の内部に設けられたストレージ等、任意に定めることができる。
【0024】
経路検索システム400は、稼働状況集計システム100及びスケジュール作成システム200とは独立して運用される、少なくとも、指定された2地点間の移動経路及びその所要時間の情報を、種々の移動方法を用いて移動する場合について提供するサービスを実現するためのシステムである。
【0025】
例えば、地図情報サービス、乗換案内サービス、ナビゲーションサービス等を、インターネットNを通じたアクセスに応じて提供するためのシステムが経路検索システム400に該当する。乗換案内サービスの場合、交通機関を使う部分の経路だけでなく、特定の住所や座標までの移動経路や所要時間を出力できるものを用いる。経路検索システム400は、API(Application Programming Interface)等、外部からの要求に応じて2地点間の移動経路や所要時間の情報を返す機能を備える。
【0026】
以下、図3以降を参照しつつ、各システムが上述のサービスを提供するために備える機能の構成及び、それら機能を実現するために用いるデータやアルゴリズム、画面等の例について説明する。
【0027】
図3は、図1に示した稼働状況集計システム100、スケジュール作成システム200、ユーザ端末300及び経路検索システム400が備える機能の構成を、上述したサービスの提供及び利用に必要なものを中心に示す機能ブロック図である。
図4乃至図11はそれぞれ、図3に示した各部が用いるデータ又はそのデータにより表されるスケジュールの例を示す図である。
図3に示す各部の機能は、各システム又は装置のプロセッサが所要のプログラムを実行して所要のハードウェアを制御することにより実現することができる。このプログラムは、任意にインストール及びアンインストール可能であってよい。
【0028】
また、稼働状況集計システム100及び/又はスケジュール作成システム200側にウェブサーバ機能を設け、ユーザ端末300側の機能の全部又は一部を、ユーザ端末300からウェブブラウザ等を用いて当該稼働状況集計システム100及び/又はスケジュール作成システム200にアクセスしたことに応じて表示されるウェブページを通じて実質的に提供することも考えられる。また、図3に示した機能の全部または一部を専用のハードウェアにより実現することも妨げられない。また、各装置が備える機能の全部又は一部を、クラウド環境など、外部装置のリソースを用いて実現することも妨げられない。
【0029】
図3に示すように、稼働状況集計システム100は、スタッフの稼働状況を集計する集計サービスを提供するための機能として、稼働状況集計部111、負荷情報算出部112、集計結果送信部113の機能を備える。
稼働状況集計部111は、ユーザ端末300からの要求に応じ、集計対象とする各スタッフのスケジュール情報として、対象者を訪問する時間帯を示す訪問時間帯情報と、各訪問終了後の次の訪問場所までの移動時間である訪問間移動時間を示す移動時間情報とを含むスケジュール情報をユーザ端末300から取得する機能と、その取得したスケジュール情報に含まれる、集計対象の各スタッフの訪問時間帯情報及び移動時間情報に基づき、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を示す集計情報をスタッフ毎に作成する機能とを備える。
【0030】
この例では、訪問時間帯情報として、訪問先でのサービス提供開始時刻及びサービス提供終了時刻を用いる(図8参照)。集計情報の作成は、例えば図16の処理により行うことができる。また、スケジュール情報は、スケジュール作成システム200が作成したものであっても、これをユーザが任意に編集したものであってもよい。また、スケジュール情報内に必要な情報が含まれていれば、図3のスケジュール作成システム200以外のシステムにより作成されたものでもよい(稼働状況集計システム100とスケジュール作成システム200が、互いに全く無関係に運用されるシステムであってもよい)。
以上の稼働状況集計部111は、取得部に該当すると共に、集計結果送信部113と合わせて集計部にも該当する。
【0031】
負荷情報算出部112は、ユーザ端末300からの要求に応じ、スタッフが提供するサービスの種類毎の単位時間当たり負荷を示すサービス負荷情報と、スタッフの移動方法毎の単位時間当たり負荷を示す移動負荷情報とをユーザ端末300から取得する機能と、これらの単位負荷情報に加え、稼働状況集計部111が取得したスケジュール情報と稼働状況集計部111が作成した集計情報も参照しつつ、勤務中のサービス提供に係る負荷値と移動に係る負荷値とをスタッフ毎に算出する機能を備える。負荷情報算出部112を動作させる場合、上記スケジュール情報には、スタッフが各訪問に際して提供するサービスの種類及び時間を示す提供サービス情報と、スタッフが各移動に用いる移動方法を示す移動方法情報と、スタッフの各移動に要する時間を示す移動時間情報が含まれる。負荷値の算出は、例えば図18の処理により行うことができる。
以上の負荷情報算出部112は、負荷情報取得部に該当すると共に、集計結果送信部113と合わせて負荷値算出部にも該当する。
【0032】
集計結果送信部113は、稼働状況集計部111が作成した集計情報と、負荷情報算出部112が算出した負荷値とを、要求元のユーザ端末300に送信する機能を備える。
【0033】
次に、スケジュール作成システム200は、スタッフの訪問スケジュールを作成するスケジュール作成サービスを提供するための機能として、スケジュール作成部211及び移動時間取得部212の機能を備える。また、割当条件情報221を記憶している。
スケジュール作成部211は、ユーザ端末300からの要求に応じ、サービス提供の対象者毎に、訪問場所、訪問希望時間及び希望サービスの情報をユーザ端末300から取得し、スタッフ毎に、勤務時間及び移動方法の情報をユーザ端末300から取得し、これらに基づき、各スタッフが各対象者を訪問してサービスを提供するためのスケジュールを規定するスケジュール情報を作成して、要求元のユーザ端末300に送信する機能を備える。
【0034】
移動時間取得部212は、このスケジュール情報の作成に当たり、スタッフの移動時間として確保すべき時間の情報を、経路検索システム400の経路検索部411にアクセスして取得する機能を備える。
例えば、経路検索システム400が提供するAPIに対し、出発場所と到着場所の情報と、使用する移動方法(自転車、車等)の情報とを所定のコマンドと共に送信することで、応答として、移動経路及び所要時間(移動時間)の情報を取得することができる。
【0035】
場所の情報は、住所、座標、ランドマーク等、経路検索システム400が要求する仕様に合った態様で送信すればよい。移動方法の指定も同様である。ユーザ端末300から送信される情報がこの仕様に合わない場合、移動時間取得部212が利用可能な、記載態様を変換するため、住所と座標を相互に変換する等のコンバータを設ければよい。
【0036】
割当条件情報221は、各訪問をスタッフに割り当てる際に固定的に考慮すべき条件を予め定めておくものである。例えば、医療サービスを提供する訪問は医師の資格を持つスタッフに割り当てる、看護サービスを提供する訪問は看護師の資格を持つスタッフに割り当てる、等である。資格だけでなく属性に関する条件を定めてもよい。スケジュール作成部211は、割当条件情報221が規定する条件を満たすように、スケジュール情報を作成する。
以上の各部によるスケジュール情報の作成は、例えば図13及び図14の処理により行うことができる。
【0037】
次に、ユーザ端末300は、スケジュール作成及び/又は稼働状況の集計に関するデータの取り扱いに関する機能として、情報入力受付部311及び情報表示部312の機能を備える。
また、ユーザ端末300は、スケジュール作成システム200を利用するための機能として、スケジュール作成指示受付部331、条件情報送信部332及びスケジュール受信部323を備える。また、スタッフ情報321及び訪問先情報322を記憶している。スケジュール情報323は、スケジュール作成システム200から送信されるスケジュール情報であり、ユーザ端末300側で編集することもできる。
【0038】
また、ユーザ端末300は、稼働状況集計システム100を利用するための機能として、稼働状況集計指示受付部341、集計要求部342、単位負荷情報送信部343、稼働状況受信部344を備える。また、単位負荷情報324を記憶している。稼働状況情報325は、稼働状況集計システム100から送信されるスタッフの稼働状況の集計結果(集計情報及び負荷値)である。
【0039】
これらのうち情報入力受付部311は、オペレータからスタッフ情報321~単位負荷情報324の入力及び編集操作を受け付け、これに従って各情報を編集する機能を備える。
情報表示部312は、オペレータの操作に従ってスタッフ情報321~稼働状況情報325を、例えば図20に示すような画面に表示する機能を備える。
スケジュール作成指示受付部331は、ユーザからスケジュール作成システム200によるスケジュール作成の指示と、スケジュールを作成する日付範囲の指定を受け付ける機能を備える。
【0040】
条件情報送信部332は、スケジュール作成指示受付部331が受け付けた指示に応じて、スタッフ情報321及び訪問先情報322のうちスケジュール作成に必要な情報を抽出し、スケジュール作成部211に渡してスケジュールの作成を要求する機能を備える。スタッフ情報321は、訪問を担当するスタッフの情報であり、訪問先情報322は、訪問サービスを利用する顧客の情報である。この顧客は、サービスが医療であれば患者、看護、介護であれば利用者と呼ばれる。スタッフ情報321及び訪問先情報322は、ユーザがスケジュールの作成前に予め作成しておく。
【0041】
スケジュール受信部333は、スケジュール作成部211から送信される、作成済のスケジュール情報を受信して、スケジュール情報323として保存する機能を備える。このスケジュール情報323は、ユーザの操作により編集可能である。すなわち、スケジュール作成システム200が作成したスケジュール情報は、一旦作成された後、ユーザが任意に修正可能である。
【0042】
稼働状況集計指示受付部341は、ユーザから稼働状況集計システム100によるスタッフの稼働状況の集計の指示と、集計を行う日付範囲及び集計対象とするスタッフの指定を受け付ける機能を備える。
集計要求部342は、稼働状況集計指示受付部341が受け付けた指示に応じて、スケジュール情報323のうち集計に必要な情報を抽出し、稼働状況集計部111に渡して稼働状況の集計を要求する機能を備える。
【0043】
単位負荷情報送信部343は、集計要求部342が稼働状況の集計を要求する場合に、それに応じて、負荷値の算出に用いるサービス提供及び移動に関する単位負荷情報324を、負荷情報算出部112に送信する機能を備える。単位負荷情報324は、ユーザが稼働状況の集計前に予め作成しておく。
スケジュール情報323と単位負荷情報324の送信は、まとめて行ってもよい。この場合、集計要求部342と単位負荷情報送信部343を区別する必要はない。
稼働状況受信部344は、集計結果送信部113から送信される、作成済の集計情報と負荷値とを受信し、稼働状況情報325として保存する機能を備える。
【0044】
次に、図4に、図3に示したスタッフ情報321の構成を示す。図5に、スタッフデータとして登録する情報の例を示す。
スタッフ情報321は、図4に示すように、登録されているスタッフ1名毎に、当該スタッフに関する情報であるスタッフデータを含む。図4の例ではn1人分のスタッフデータE1~En1が含まれている。
【0045】
各スタッフデータは、スタッフID、氏名、資格、属性、スキル、勤務時間帯、休日情報、移動方法、勤務開始位置、勤務終了位置等の情報を含む。
スタッフIDは、スタッフを一意に特定するための識別情報である。
氏名は、スタッフの氏名である。
資格は、スタッフの持つ資格で、例えば医師、看護師、介護福祉士、理学療法士等が考えられる。スタッフ1人に複数の資格を規定することもできる。
【0046】
属性は、資格以外で、スタッフにどの業務を担当させられるか、又はどのような訪問先の業務を担当させられるかを決めるために用いるスタッフの性質である。例えば、性別、体格、顧客との相性等が考えられる。顧客側でスタッフの性別の指定があったり、大柄な顧客の介護は大柄で力のあるスタッフでないと担当が難しかったり、過去の経緯から特定のスタッフの担当を断られていたりする場合に、これらを考慮したスケジュールの作成を行うために必要な情報をこの属性として登録する。
スキルも、属性に近い用途の情報であるが、子供のケアが得意、ターミナルケアが得意、精神障害を持つ顧客の対応が得意、特定の処置が得意等、各スタッフを得意分野の顧客に優先的に割り当てるために用いる情報である。
【0047】
勤務時間帯は、スタッフの各曜日の定時の勤務時間帯を、勤務開始時刻と勤務終了時刻とにより示す。原則としては、移動時間を含めてこの勤務時間帯の範囲内にサービス提供を完了できるように、各スタッフに訪問先を割り当て、訪問時間を決定する。ただし、スケジュール情報323の作成に当たって早出や残業などを考慮して、スタッフ情報321に規定される勤務時間帯と異なる勤務開始時刻や勤務終了時刻を用いることができる。また、勤務時間帯は、曜日ごとでなく、毎月の日付ごとなど、他の基準で定めることもできる。
休日情報は、スタッフの休暇や、祝日休みかどうかなど、休日の情報である。
【0048】
移動方法は、スタッフが顧客を訪問する際に用いる移動方法の情報であり、車、自転車等を設定することが考えられる。曜日によって異なる移動方法を登録したり、距離や訪問先エリアによって異なる移動方法を登録したりすることも考えられる。
いずれの場合も移動方法は、図11に示す移動に関する単位負荷情報324b中の移動方法との対応が把握できるように記述する。このためには、スタッフ情報321と単位負荷情報324とにおいて共通のID又はサービス名称を用いて移動方法を記述し、スケジュール情報323内でも同様とすることが好ましい。
【0049】
勤務開始位置及び勤務終了位置は、スタッフが勤務を開始する場所及び勤務を終了する場所の情報である。一旦事業所に出勤してから勤務を開始したり、逆に勤務終了時に事業所に戻ったりする場合にその事業所の位置になるし、直行や直帰の場合には自宅住所、又は管理形態によっては初回や最終回の訪問先を参照する旨の情報となることもある。曜日や、1日の初回又は最終の訪問先のエリアによって異なる位置を登録することも考えられる。自宅から初回又は最終の訪問先までの距離が近い場合には直行や直帰とする等である。位置の特定は、住所、座標など、任意の形式で行うことができる。
【0050】
これらの情報は、スケジュールの作成時に参照するための情報であり、スケジュール作成時にいずれかの情報を考慮しないことにする場合、その情報は省略して差し支えない。逆に、他の情報も考慮する場合、その情報もスタッフデータに含める。
スタッフデータの表現形式は図5に示すものに限られない。例えば、資格や属性を、他のテーブルを参照するためのIDとして登録してもよいし、勤務時間帯を、勤務開始時刻と勤務時間数により表現してもよい。休憩時間を登録できるようにしてもよい。
【0051】
次に、図6に、図3に示した訪問先情報322の構成を示す。図7に、訪問先データとして登録する情報の例を示す。
訪問先情報322は、図6に示すように、登録されている顧客毎に、当該顧客への訪問に関する情報である訪問先データを含む。図6の例ではn2人分の訪問先データV1~Vn2が含まれている。
【0052】
各訪問先データは、訪問先ID、氏名、位置、サービス種類、提供時間、基本訪問日、変則訪問日、訪問可能時間帯、特殊制約条件等の情報を含む。
訪問先IDは、訪問先データを一意に特定するための識別情報である。1人の顧客に対して複数の契約があったり、1箇所の訪問先で複数の顧客にそれぞれサービスを提供したりする場合、契約ごとや顧客ごとに、事業者側の整理がしやすいように適宜な区分で訪問先データを作れるようにすることが考えられる。従ってこの例では、訪問先IDは、顧客や訪問先を一意に特定するためのIDとはしていない。顧客や訪問先を特定するための識別情報を別途用意してもよい。
【0053】
氏名は、サービスの提供対象となる顧客の氏名である。
位置は、訪問先の場所の情報である。住所、座標など、任意の形式で表現することができる。
サービス種類及び提供時間は、訪問先で顧客に提供するサービスの種類及び時間である。
【0054】
サービス種類は、図10に示すサービスに関する単位負荷情報324a中のサービス種類との対応が把握できるように記述する。また、スケジュール作成システム200の割当条件情報221にも、サービス種類に応じたスタッフへの割当ての制約条件が定義されているが、この定義との対応関係も把握できるように記述する。このためには、訪問先情報322、単位負荷情報324、割当条件情報221の全てにおいて共通のID又は名称を用いてサービス種類を記述し、スケジュール情報323内でも同様とすることが好ましい。
【0055】
提供時間は、固定の時間であってもよいし、例えば担当スタッフのスキルによってサービス提供に要する時間が変動する場合には、変動を前提とした基本の時間であってもよい。
基本訪問日は、原則としての訪問予定日を、毎週の曜日や毎月の日付で規定するデータである。毎週何回、といった日付を特定しない指定を可能としてもよい。
変則訪問日は、基本訪問日に対して臨時の変更がある場合にその旨を規定するデータである。
【0056】
訪問可能時間帯は、訪問先を訪問可能な時間帯のデータである。例えば曜日ごとに時間範囲により指定することが考えられるし、各基本訪問日と対応付けて指定するようにしてもよい。変則訪問日と同様に、臨時の変更を登録できるようにしてもよい。
特殊制約条件は、訪問するスタッフの選定に当たり、割当条件情報221以外に考慮すべき制約条件がある場合にこれを指定するデータである。スタッフデータ中の属性やスキルと対応付けられるように規定する。例えば、ターミナルケアのスキルを持つスタッフに限る、体格大の属性を持つスタッフに限る等が考えられる。
訪問先データの表現形式は図7に示すものに限られないことは、スタッフデータの場合と同様である。
【0057】
次に、図8に、図3に示したスケジュール情報323の構成を示す。図9に、スタッフ1名分の1日分のスケジュールデータにより表されるスケジュールの例を示す。
スケジュール情報323は、図8に示すように、スタッフ情報321に登録されているスタッフ毎に、そのスタッフに関するスケジュールデータC1~Cn1を含む。また、どの日付範囲についてのスケジュールデータであるかを示す日付範囲のデータも含む。
なお、スタッフ情報321に含まれるスタッフの一部を、スケジュール(訪問)の割当て対象としない場合、スタッフ情報321とスケジュール情報323とでスタッフ数が異なっていてもよい。
【0058】
各スタッフのスケジュールデータは、スタッフを特定するためのスタッフIDと、日付範囲が示す各日のスケジュールデータとを含む。スタッフの休日については、休日であることを示すスケジュールデータを用意するとよいが、その日付のスケジュールデータがないことにより休日であることを示してもよい。また、この例では1日を単位としてスケジュールデータを作成しているが、勤務開始から勤務終了までが日を跨いだり、複数日を一連の勤務時間帯として扱ったりする場合には、勤務時間帯毎にスケジュールデータを作成するとよい。
【0059】
各日のスケジュールデータは、日付、勤務開始時刻、出発移動情報、任意数の訪問に関する訪問データ、訪問間の移動情報、帰還移動情報、勤務終了時刻の情報を含む。
日付は、該当のスケジュールデータが表すスケジュールの日付を示す。
勤務開始時刻及び勤務終了時刻は、該当日におけるスタッフの勤務開始時刻及び勤務終了時刻である。残業を想定して、スタッフ情報321中の勤務時間帯とは異なる時刻となっている場合もある。
【0060】
出発移動情報は、勤務開始位置から初回の訪問先までの移動に関する情報である。訪問データの間にある移動情報は、前の訪問先から次の訪問先への移動に関する情報である。帰還移動情報は、該当日の最後の訪問先から勤務終了位置までの移動に関する情報である。いずれも、移動方法と移動時間の情報を含む。移動方法は、スタッフ情報321及び移動に関する単位負荷情報324b中の移動方法との対応が把握できるように記述する。移動時間は、単位負荷情報324b中の1単位の何倍であるかを把握できるように記述する。同じ訪問先で続けて複数の顧客にサービスを提供する場合など、訪問間の移動時間が0である場合もある。
【0061】
各訪問データは、スタッフによる1件の訪問に関する情報であり、訪問先ID、サービス提供開始時刻、サービス種類、サービス提供時間、サービス提供終了時刻の情報を含む。
訪問先IDは、訪問先情報322中のどの訪問先データに関する訪問であるかを示す識別情報である。
サービス提供開始時刻は、該当の訪問先でのサービス提供を開始する予定の時刻である。スタッフは、この時刻よりも前に訪問先に到着している必要がある。
【0062】
サービス種類は、該当の訪問先で顧客に提供するサービスの種類であり、訪問先情報322及びサービス提供に関する単位負荷情報324a中のサービス種類との対応が把握できるように記述する。
提供時間は、訪問先でのサービスの提供に要すると想定される時間であり、訪問先情報322では可変として規定されている場合も、割り当てたスタッフに応じて実際に想定される固定の時間を規定する。
【0063】
サービス提供終了時刻は、該当の訪問先でのサービス提供を終了する予定の時刻である。サービス提供終了時刻は、サービス提供開始時刻から提供時間だけ後の時刻として、時刻自体を記述しないことも考えられる。スタッフが訪問先を出発する時刻は、このサービス提供終了時刻よりも後になる。
以上の、スタッフ1人についての1日分のスケジュール情報により、たとえば図9に示すスケジュールを表現できる。
【0064】
図9の例では、訪問データVD1~VD3により1日に3件の訪問が規定されている。訪問先IDに基づき訪問先情報322を参照することで、訪問先顧客の氏名を把握でき、提供するサービスの種類や想定時間、各訪問先でのサービス提供開始予定と終了予定は各訪問データにより規定されている。
【0065】
図9に矢印で示される移動時間は、各移動情報により規定されている。空き時間を直接規定されるデータは図8にはないが、前の訪問先でのサービス提供終了時刻から次の訪問先でのサービス提供開始時刻までの、移動に使える時間と、移動情報に含まれる実際に移動に要すると想定される時間との差により、訪問間の空き時間を求めることができる。従って、この空き時間の長さも、実質的にはスケジュール情報により規定される。勤務開始から初回訪問まで、最終訪問から勤務終了までについても同様である。
【0066】
なお、訪問先での事務処理等も考慮し、空き時間の長さは、移動に使える時間と実施に移動に要すると想定される時間との差よりも短い時間とすることも考えられる。また、長い空き時間は昼休み等の休憩であると判断するようにしてもよい。1日に1回はこのような休憩に該当する空き時間を連続で取れるようにスケジュール情報を作成してもよい。
【0067】
次に、図10に、単位負荷情報324中のサービス提供に関する単位負荷情報324aの例を示す。
この情報は、サービスの種類ごとに、当該サービスの提供が担当するスタッフに与えると想定される単位時間当たりの負荷を規定する情報である。I2~I5は、厚生労働省が定めたサービスコードによりサービスの種類を規定するものである。
負荷は、精神面と肉体面を合わせた負荷を抽象的に表現する数値である。各サービスと対応する値をいくつにするかは、ユーザ端末300を運用する事業者が適宜に定めればよい。稼働状況集計システム100の運用者が適宜なテンプレートを用意し、原則としてそれを用いるようにしてもよい。サービス種類をどの程度の粒度で区分するかは、ユーザ端末300を運用する事業者が適宜に定めればよい。ただし、少なくとも提供の負荷が大きく異なるサービスは、異なるサービスとして規定しておくことが好ましい。
【0068】
次に、図11に、単位負荷情報324中の移動に関する単位負荷情報324bの例を示す。
この情報は、移動方法ごとに、その方法での移動が担当するスタッフに与えると想定される単位時間当たりの負荷を規定する情報である。こちらの負荷も、精神面と肉体面を合わせた負荷を抽象的に表現する数値である。数値をいくつにするかは事業者が適宜に定めればよいこと、適宜なテンプレートを用いてもよいことや、移動方法の区分に関する考え方は、サービス提供に関する単位負荷情報324aの場合と同様である。
【0069】
次に、稼働状況集計システム100、スケジュール作成システム200及びユーザ端末300が、以上説明した各機能を実現するために実行する処理及び動作の例について、図12乃至図17を参照しつつ説明する。なお、特に断らない限り、図12及び図15の各シーケンス図に示す動作に際し、ユーザ端末300又はそのオペレータは何らかの手段により、アクセス先の稼働状況集計システム100又はスケジュール作成システム200によりシステムの正当な利用者として認証されているものとする。
【0070】
まず図12に、図3に示したスケジュール作成システム200がユーザの指示に応じてスケジュール情報を作成する場合の各装置の動作の手順を示す。図12に示す各装置の動作、特にスケジュール作成システム200が実行する動作は、この発明の稼働状況集計方法のうちスケジュール作成手順の一例である。
図12の手順においてユーザ端末300は、スケジュール作成の準備として、予めスタッフ情報321及び訪問先情報322の入力を受け付けて適宜なストレージに保存しておく(S11)。
【0071】
この状態でユーザからスケジュールを作成する日付範囲及び作成指示を受け付けると(S12)、ユーザ端末300は、スケジュール作成システム200に対し、スケジュール作成要求と共に、ステップS11で保存したスタッフ情報321、訪問先情報322及び、受け付けた日付範囲を送信する(S13)。
【0072】
スケジュール作成システム200は、この要求を受けると、図13及び図14に示すスケジュール作成処理を行って図8に示したようなスケジュール情報を作成し(S14)、作成したスケジュール情報をユーザ端末300に送信する(S15)。スケジュール情報の作成に際して、スケジュール作成システム200は経路検索システム400にアクセスして自動的に移動時間の情報を取得する(S21)。
【0073】
スケジュール情報を受信したユーザ端末300は、これをスケジュール情報323として適宜なストレージに保存する(S16)。また、ユーザの操作に応じて、保存されているスケジュール情報323に基づき図9に示したようなスケジュールを表示したり(S17)、ユーザの編集操作に従ってスケジュール情報を編集したりする(S18)。
【0074】
スケジュールの表示は、特定のスタッフについて1日分、1週間分、1か月分等を表示したり、特定の日や週について複数のスタッフのスケジュールを表示したりすることができる。
スケジュールの編集としては、一例として、自動ではスタッフに割り当てきれなかった訪問について、必要に応じて残業を考慮しつつ割り当てたり、スタッフの急な欠勤に対応して当該スタッフ分の訪問を別のスタッフに割り当てたりするものが考えられる。
【0075】
図13及び図14に、ステップS14のスケジュール作成処理の内容をより詳細に示す。
この処理において、スケジュール作成システム200はまず、ループL1として、ユーザ端末300から渡された各訪問先データを順次処理対象として、ステップS31及びループL2の処理を繰り返す。
【0076】
ステップS31では、処理対象の訪問先データに規定される、ユーザ端末300から渡された日付範囲内の各訪問に係る訪問データを作成する。例えば、訪問先データで毎週月曜に訪問すべきことが規定され、日付範囲が3月の1ヶ月であるとすると、3月中の各月曜の日付の訪問データを作成する。この訪問データは、後の処理で図8のスケジュールデータの一部となるものである。
その後、スケジュール作成システム200は、ループL2として、作成した各訪問データを順次処理対象としてステップS32乃至S41の処理を繰り返す。
【0077】
ステップS32では、スケジュール作成システム200は、処理対象の訪問先データに規定されるサービス種類、訪問可能時間帯及び特殊制約条件に基づき、割当条件情報221も考慮して、当該訪問が可能なスタッフXを抽出する。複数候補がいた場合には、そのうちの任意の1名を適宜に選択すればよい。
【0078】
ステップS32での抽出ができた場合(S33のYes)、スケジュール作成システム200はステップS34で、スタッフXについての、処理対象の訪問データに係る訪問日のスケジュールデータを参照し、訪問可能時間帯を考慮して大まかに訪問時間を特定した上で、スタッフXの直前の所在位置を取得する。直前の所在位置は、処理対象の訪問データが規定する訪問の前の訪問先の位置又は、前の訪問先がなければ勤務開始位置である。また、スタッフXのスタッフデータから、移動方法を取得する。
【0079】
次に、スケジュール作成システム200はステップS35で、取得した直前の所在位置及び移動方法と、処理対象の訪問先データに規定される今回の訪問先の位置とを含む移動時間算出要求を経路検索システム400に送信する。この要求に応じて経路検索システム400から、直前の所在位置から今回の訪問先までの移動時間を取得する。
また、ステップS36及びS37では同様に、スタッフXの直後の所在位置(次の訪問先の位置又は勤務終了位置)と移動方法を取得し、これら及び今回の訪問先の位置を含む移動時間算出要求を経路検索システム400に送信する。この要求に応じて経路検索システム400から、今回の訪問先から直後の所在位置までの移動時間を取得する。
【0080】
次に、スケジュール作成システム200は、ステップS35及びS37で取得した移動時間に基づき、前後の訪問予定の間に処理対象の訪問データに係る訪問予定を追加できるか否か判断する(S38)。当該訪問予定が1日の最初の訪問予定である場合には、前の訪問予定は勤務開始時刻と読み替え、当該訪問予定が1日の最後の訪問予定である場合には、後の訪問予定は勤務終了時刻と読み替える。早出や残業を考慮し、勤務開始時刻や勤務終了時刻が、スタッフ情報321に規定される勤務時間帯と一致していない場合もある。
いずれにせよ、ステップS38でYesであれば、スタッフXのスケジュールデータに処理対象の訪問データを追加し(S39)、訪問可能時間帯の範囲で移動が間に合うように適宜にサービス提供開始時刻とサービス提供終了時刻を設定して(S40)、次の訪問データを処理対象としたループL2の処理へ進む。
【0081】
ステップS38でNoであれば、ステップS32に戻って他のスタッフを抽出する。また、他に抽出できるスタッフがいない場合(S33のNo)、処理対象の訪問データへのスタッフの割当てができなかった旨を記録して(S41)、次の訪問データを処理対象としたループL2の処理へ進む。
ステップS31で作成した全ての訪問データについてループL2の処理が終わると、次の訪問先データを処理対象としたループL1の処理へ進む。
【0082】
全ての訪問先データについてループL1の処理が終わると、処理は図14のステップS51に進む。ここで、スタッフの割当てが出来なかった訪問データが所定数以下であれば(S51のYes)、スケジュール作成システム200は、ここまでに作成したスケジュールデータ及び未割当の訪問データを、スケジュールの作成結果として確定し(S52)、スケジュール作成処理を終了する。
【0083】
ステップS51でNoであれば、リトライ回数が予め定めた上限を超えるまで(S53のNo)、訪問先データの処理順を変えてループL1をリトライする(S55)。処理順を変えることで、スタッフにより密に訪問を割り当て、割り当てのできない訪問データの数を減らせる可能性があるためである。
【0084】
一方、ステップS53でリトライ回数が上限を超えると、未割当の訪問データが最も少なかった回のスケジュールデータ及び、その時の未割当の訪問データと、未割当が多い旨の警告とを、スケジュールの作成結果として確定し(S54)、スケジュール作成処理を終了する。
【0085】
ステップS52又はS54で確定された結果が、図12のステップS15でユーザ端末300に返される。以上により、ユーザ端末300のオペレータは、スタッフ情報321及び訪問先情報322に規定される多数の条件を満たし、かつ訪問間の移動が間に合うことも適切に考慮された各スタッフの訪問スケジュールを、自動で取得することができる。
【0086】
この場合において、各訪問先の位置、勤務開始位置及び勤務終了位置を設定しておけば、スケジュール作成システム200が自動で移動時間を取得できるため、ユーザ端末300のオペレータが自ら移動時間を調べる必要がなく、オペレータの負荷を低減できる。各訪問の割当て先候補となるスタッフについてそれぞれ割り当てを仮定して移動時間を調べることは非常に作業負荷が大きいので、ここを自動化できることの省力化効果は大きい。
【0087】
なお、未割当の訪問データがある場合、ユーザ端末300のオペレータがステップS18の編集で手動の割り当てを行うことが期待されるが、スケジュール作成システム200がこの編集に関与する必要はない。
ユーザ端末300のオペレータは、スタッフの残業を考慮して勤務時間帯を再設定する等の条件変更をした上で、再度スケジュール作成システム200にスケジュールを作成させることもできる。
【0088】
次に図15に、図3に示した稼働状況集計システム100がユーザの指示に応じてスタッフの稼働状況を集計する場合の各装置の動作の手順を示す。図15に示す各装置の動作、特に稼働状況集計システム100が実行する動作は、この発明の稼働状況集計方法の一例である。
図15の手順においてユーザ端末300は、スケジュール作成の準備として、予め単位負荷情報324の入力を受け付けて適宜なストレージに保存しておく(S71)。また、スケジュール情報323も適当なストレージに保存された状態にしておく(S72)。このスケジュール情報は、スケジュール作成システム200が作成したものであっても、これをユーザが編集したものであってもよい。また、必要な情報が含まれていれば、稼働状況集計システム100及びスケジュール作成システム200と無関係に作成されたものであってもよい。
【0089】
いずれにせよ、ステップS71及びS72が実行された状態でユーザからスタッフの稼働状況を集計する対象期間、集計対象とするスタッフ及び集計指示を受け付けると(S73)、ユーザ端末300は、稼働状況集計システム100に対し、稼働状況集計要求と共に、ステップS72で保存したスケジュール情報323、対象スタッフ及び対象期間の情報、及びステップS71で保存した単位負荷情報324を送信する(S74)。
【0090】
稼働状況集計システム100は、この要求を受けると、図16に示す稼働状況集計処理を行って、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を含む稼働状況集計情報をスタッフ毎に作成する(S75)。また、図18に示す負荷算出処理を行って、スタッフ毎の集計期間内のサービス提供に係る負荷値及び移動に関する負荷値を含む負荷集計情報を算出する(S76)。
【0091】
稼働状況集計システム100は、これらの稼働状況集計情報及び負荷集計情報をユーザ端末300に送信する(S77)。
ステップS77の情報を受信したユーザ端末300は、これを稼働状況情報325として適宜なストレージに保存する(S78)。また、オペレータの操作に応じて、保存されている稼働状況情報325を、例えば図17及び図20に示すように表示することができる(S79)。
以上の動作において、ステップS74は、取得手順の動作の一例である。ステップS75及びS77は、集計手順の動作の一例である。ステップS76及びS77は、負荷値算出手順の動作の一例である。
【0092】
図16に、ステップS75の稼働状況集計処理の内容をより詳細に示す。
この処理において、稼働状況集計システム100はまず、ループL11として、ユーザ端末300から渡された集計対象のスタッフを順次処理対象として、ループL12及びステップS95の処理を繰り返す。
また、ループL12では、処理対象のスタッフに関する、集計範囲の日付のスケジュールデータを順次処理対象として、ステップS91乃至S94の処理を繰り返す。
【0093】
稼働状況集計システム100は、このループにおいてまず、処理対象のスケジュールデータ中の訪問データの数を、処理対象のスタッフの訪問回数をカウントする(S91)。次に、処理対象のスケジュールデータ中の各訪問データに係るサービス提供時間を、サービス種類ごとに合計する(S92)。また、処理対象のスケジュールデータ中の各移動情報(出発移動情報及び帰還移動情報を含む)中の移動時間を移動方法毎に合計する(S93)。また、各訪問先でのサービス提供終了から次の訪問先でのサービス提供開始までの時間と、その間の移動時間との差を、処理対象のスタッフのアイドリング時間として合計する(S94)。
【0094】
ここで、アドリング時間は、車移動で車内で待機しながら仕事している時間など、スタッフが非効率な環境にいると考えられる時間である。アドリング時間は概ね図9の空き時間に相当するが、初回訪問前の時間と最終訪問後の時間は含めていない。ここの空き時間は、事業所での会議や事務作業等に使えると考えられるためである。
【0095】
集計範囲の全ての日付のスケジュールデータについてループL12の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、処理対象のスタッフの稼働日数をカウントし、各日の訪問回数、サービス提供時間、移動時間及びアイドリング時間をそれぞれ合計し、処理対象のスタッフに関する集計結果を作成する(S95)。ステップS92及びS93でサービス種類毎、移動方法毎に合計したのは、図18の負荷算出処理でその合計を利用するためであり、稼働状況集計の用途であれば、サービス種類毎、移動方法毎の合計は必須ではない。
【0096】
集計対象の全てのスタッフについてループL11の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、各スタッフの訪問回数、サービス提供期間、移動時間及びアイドリング時間をそれぞれ合計し、全スタッフに関する集計結果を作成して、稼働状況集計処理を終了する。
【0097】
ステップS95及びS96の集計結果が、図15のステップS77でユーザ端末300に返される。
ユーザ端末300は、この集計結果を、例えば図17に示すような稼働状況画面500により表示することができる。稼働状況画面500には、表表示部510を備える。
【0098】
表表示部510では、ステップS77で送信された集計結果の生データを表形式で表示する他、1日当たり訪問件数、1日当たり移動時間など、集計結果の項目間の演算で得られる情報も表示することができる。どのような項目を表示するかは、ユーザ端末300のオペレータが適宜に指定できるようにするとよい。
【0099】
ユーザ端末300のオペレータは、この表示を参照し、事業所経営に当たってのKPIを把握することができる。特に、スタッフの訪問間の移動時間の情報を含むスケジュール情報323に基づきスタッフの稼働状況を集計することで、訪問件数や訪問時間だけでなく、合計移動時間も含む集計を容易に行えることが、この実施形態の一つの特徴である。課題の項で述べた通り、訪問型のサービスにおける移動時間は本来は重要なKPIであるにも関わらず、従来は移動時間の集計が難しかったので、この点を改善できる本実施形態のシステムが、訪問型のサービスの経営に与えるインパクトは大きいと言える。
【0100】
稼働状況集計システム100とスケジュール作成システム200を連携させてスケジュール情報のやりとりを容易に行えるようにしたり、直接連携はしないまでもユーザ端末300を通してスケジュール情報を稼働状況集計システム100に提供できるようにすることで、合計移動時間も含む集計を容易に行える効果が一層強く発揮される。
なお、移動時間の集計に当たり、図8の出発移動情報及び帰還移動情報が示す移動時間を集計に加えることで、勤務時間内の移動時間をより正確に把握できる。しかし、これらの移動時間を加えることは必須ではなく、一方又は両方を集計から除外してもよい。例えば直行や直帰の場合にはこれらの移動時間は勤務時間外の通勤時間と考慮すべき場合もあるためである。
【0101】
図18に、ステップS76の負荷算出処理の内容をより詳細に示す。
この処理において、稼働状況集計システム100はまず、ループL21として、ユーザ端末300から渡された集計対象のスタッフを順次処理対象として、ステップS101乃至S107の処理を繰り返す。
【0102】
稼働状況集計システム100は、このループにおいてまず、処理対象のスタッフの集計対象期間内のサービス提供時間の合計を、サービス種類ごとに取得する(S101)。図16のステップS95の集計結果からこのデータを取得できる。
稼働状況集計システム100は、このデータを用いて、各サービスと対応するサービス提供時間にサービス種類に応じた単位負荷を乗じて、サービス種類毎に、当該サービスの提供によりスタッフが負ったと想定されるサービス提供負荷の負荷値を算出する(S102)。単位負荷は、図15のステップS74でユーザ端末300から送信される情報に含まれる。
【0103】
また、稼働状況集計システム100は、ステップS102で算出した各サービス種類のサービス提供負荷を合計し、集計対象期間内の勤務で処理対象のスタッフが負ったと想定される総サービス提供負荷を算出する(S103)。
稼働状況集計システム100は次に、処理対象のスタッフの集計対象期間内の移動時間の合計を、移動方法ごとに取得する(S104)。図16のステップS95の集計結果からこのデータを取得できる。
【0104】
稼働状況集計システム100は、このデータを用いて、各移動方法と対応する移動時間に移動方法に応じた単位負荷を乗じて、移動方法毎に、当該方法での移動によりスタッフが負ったと想定される移動負荷の負荷値を算出する(S105)。単位負荷は、図15のステップS74でユーザ端末300から送信される情報に含まれる。
【0105】
また、稼働状況集計システム100は、ステップS105で算出した各移動方法の移動負荷を合計し、集計対象期間内の勤務で処理対象のスタッフが負ったと想定される総移動負荷を算出する(S106)。
また、稼働状況集計システム100は、ステップS103で算出した総サービス提供負荷とステップS106で算出した総移動負荷を合計して、集計対象期間内の勤務で処理対象のスタッフが負ったと想定される総負荷を算出する(S107)。
【0106】
集計対象の全てのスタッフについてループL21の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、総サービス提供負荷、総移動負荷及び総負荷について各スタッフの負荷値の合計を、全スタッフの各負荷値の総計として算出し(S108)、負荷算出処理を終了する。
ステップS103、S106、S107、S108でそれぞれ算出された負荷値が、図15のステップS77でユーザ端末300に返される。
【0107】
図19A乃至図19Cに、スタッフ1人分の負荷値の計算例を示す。図19Aに示すのは、サービス種類ごとのサービス提供負荷、図19Bに示すのは、移動方法ごとの移動負荷、図19Cに示すのは、総負荷の計算例である。
なお、この実施形態では、図6の訪問先情報322中のサービス種類を、図10の単位負荷情報324a中の複数のサービス種類の組み合わせとして規定できるようにしている。例えば、図19A中の「I2+小児」は、小児の利用者に対してI2のサービスを提供したことを示す。「医療+ターミナルケア」は、ターミナルケアの必要な患者に対して医療を提供したことを示す。
【0108】
図19Aの例では、このような複数のサービス種類の組み合わせにより規定されるサービスを提供した場合、単位負荷としては、組み合わせた各サービス種類について規定された単位負荷の積としている。例えば「I2+小児」のサービス種類と対応する単位負荷は、「I2」の単位負荷「1」と「小児」の単位負荷「2」の積の「2」としている。「医療+ターミナルケア」の単位負荷は同様に1×5=5である。
【0109】
図19Aにおいて、表中のサービス種類が図10中の1つのサービス種類に該当する場合には第1単位負荷の欄にそのサービス種類の単位負荷を記載し、図10中の2のサービス種類の組み合わせである場合には第1単位負荷及び第2単位負荷の欄にそれら2のサービス種類の単位負荷を記載している。
同様に3以降のサービス種類の組み合わせにより実際に提供したサービスを規定できるようにしてもよい。また、単位負荷を、組み合わせた各サービス種類について規定された単位負荷の和とすることも考えられる。
【0110】
ユーザ端末300は、この集計結果を、例えば図20に示すような負荷状況画面600により表示することができる。負荷状況画面600には、表表示部610を備える。
表表示部610では、ステップS77で送信された集計結果の生データを表形式で表示する。稼働状況画面500の場合と同様、1日当たりの数値等を表示できるようにしてもよい。
【0111】
ユーザ端末300のオペレータは、この表示を参照し、現在の業務により各スタッフにどの程度の負荷がかかっているかを定量的に把握することができる。各負荷値は、スタッフに休暇を取らせたり、業務負荷のバランスを取ったり、不公平感のない待遇を定めたりする際の参考情報とすることができる。
この負荷値の算出に当たり、サービス提供負荷だけでなく移動負荷も加味できる点も、この実施形態の一つの特徴である。稼働状況の集計の場合と同様、スタッフの訪問間の移動時間の情報を含むスケジュール情報323に基づき負荷値を算出することで、移動負荷を加味した負荷値を容易に算出することができる。
なお、稼働状況集計システム100からユーザ端末300に対し、サービス提供負荷と移動負荷とを分けて送信することは必須ではなく、これらを加味して求めた総負荷のみを送信するようにしてもよい。
【0112】
〔第2実施形態:図21乃至図25
次に、この発明の稼働状況集計システムの第2実施形態について、図21乃至図25を用いて説明する。
まず図21に、第2実施形態の稼働状況集計システム100による稼働状況集計に関連する各システムが備える、稼働状況集計に関連する機能の構成を示す。第1実施形態の構成と共通の又は対応する箇所には同じ符号を示し、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0113】
第2実施形態では、稼働状況集計システム100が、スケジュール情報ではなく、電子カルテシステムが管理するカルテ情報を用いてスタッフの稼働状況の集計を行う点が、第1実施形態と異なる。これに伴い、第2実施形態ではスケジュール作成システム200は不要であり、これに代えて、ユーザ端末300から電子カルテシステム250へアクセスしてこれを利用可能である。ただし、稼働状況集計システム100が電子カルテシステム250と連携して動作する必要はない。
【0114】
第2実施形態の稼働状況集計システム100は、第1実施形態で図3に示した各機能に加え、移動時間取得部114の機能を備える。
移動時間取得部114は、稼働状況集計部111による稼働状況の集計に当たり、スタッフの移動時間の情報を、第1実施形態の移動時間取得部212の場合と同様に経路検索システム400の経路検索部411にアクセスして取得する機能を備える。
稼働状況集計部111が稼働状況の集計に用いるカルテ情報には移動時間の情報が含まれていないので、稼働状況集計部111は、稼働状況の集計に当たり、カルテ情報に含まれる必要な情報を移動時間取得部114に提供してスタッフの移動時間の情報を取得させる。
【0115】
電子カルテシステム250は、医療機関等におけるカルテを電子的に管理する機能を備える公知のシステムであり、情報入力受付部251及び情報送信部253を備え、複数の患者や利用者のカルテ情報252を管理する。
情報入力受付部251は、電子カルテシステム250の利用者の端末であるユーザ端末300からの要求に応じてカルテ情報252を編集する機能を備える。
情報送信部253は、同じくユーザ端末300からの要求に応じてカルテ情報252の全部又は一部を要求元のユーザ端末300に送信する機能を備える。
【0116】
ユーザ端末300は、図3の同名の機能と対応する情報入力受付部311、情報表示部312、稼働状況集計指示受付部341、集計要求部342、単位負荷情報送信部343、稼働状況受信部344に加え、カルテ記入受付部351及びカルテ情報取得部352を備える。
これらの各部が用いる情報であるスタッフ情報321、単位負荷情報324及び稼働状況情報325は図3と同様であり、図3にあった訪問先情報322とスケジュール情報323は不要である。
【0117】
以上のうちカルテ記入受付部351は、電子カルテシステム250が管理するカルテ情報252の編集操作を受け付ける機能を有し、オペレータの操作に従い、電子カルテシステム250から編集したいカルテ情報252を取得して、編集指示を情報入力受付部251に送信する。診察や看護等のサービス提供を担当するスタッフの情報については、スタッフ情報321を参照して入力することができる。
【0118】
カルテ情報取得部352は、稼働状況集計指示受付部341が稼働状況の集計指示を受け付けた場合に、電子カルテシステム250の情報送信部253へ要求して、カルテ情報252のうち集計対象期間と集計対象スタッフの条件を満たす訪問記録及び訪問先の住所を取得して、集計要求部342に渡す機能を備える。
【0119】
集計要求部342は、稼働状況集計指示受付部341が受け付けた指示に応じて、カルテ情報取得部352が取得した訪問記録のうち集計に必要な情報を抽出し、また、スタッフ情報321のうち各スタッフの移動方法の情報を抽出し、稼働状況集計部111に渡して稼働状況の集計を要求する機能を備える。
その他の各部の機能は図3の例と同様である。なお、第2実施形態における稼働状況集計部111は、第1取得部及び第2取得部に該当すると共に、集計結果送信部113と合わせて集計部にも該当する。
【0120】
次に、図22に、図21に示したカルテ情報252の構成例を示す。カルテ情報252の構成や形式は、電子カルテシステム250により定められるものである。電子カルテシステム250によって具体的な記述形式やデータの階層構造が異なることは考えられるが、ここでは多くの電子カルテシステム250におけるカルテ情報252に含まれていると考えられる情報について説明する。
【0121】
カルテ情報252は、図22に示すように、カルテを作成する患者(医療以外のサービス利用者を含んでもよい。以下、本実施形態において同じ。)毎に、当該患者のカルテデータを含む。図22の例ではn3人分のカルテデータK1~Kn3が含まれている。
各カルテデータは、患者ID、氏名、住所(訪問先)、その他個人情報、および訪問毎の訪問記録等の情報を含む。
患者IDは、患者を一意に特定するための識別情報である。
氏名は、カルテに情報を記載する患者の氏名である。
【0122】
住所は、患者の住所であり、訪問してサービスを提供する際の訪問先の位置情報として用いることができる。
その他個人情報は、年齢、性別、電話番号など、患者を特定するための情報のうち稼働状況の集計に用いないものである。
【0123】
訪問記録は、訪問しての診察や看護等のサービス提供の記録である。訪問以外でのサービス提供の記録と混在していてもよいが、訪問に関する記録のみを抽出できるように、訪問以外に関する記録と何らかの基準で区別できる必要がある。図22の例では、訪問1回毎にその訪問に関する記録として訪問データを作成し、n4回分の訪問データKV1~KVn4が含まれている。
【0124】
各訪問データには、訪問スタッフID、訪問スタッフ名、訪問開始日時、訪問終了日時、診察/看護内容、レセプト連携情報が含まれる。
訪問スタッフID及び訪問スタッフ名は、該当の訪問を担当したスタッフのID及び氏名であり、スタッフ情報321に登録されているスタッフID及び氏名により記述する。複数名の情報が含まれていてもよい。
サービス提供開始日時及びサービス提供終了日時は、該当の訪問先でのサービス提供の開始及び終了の日時である。
【0125】
診察/看護内容は、該当の訪問の際に提供したサービスの内容を示す情報である。ここには、少なくとも提供した1以上のサービスの種類を示す情報が含まれていることが好ましい。図10の単位負荷情報324aにおけるサービス種類は、診察/看護内容に記載されるサービスの種類との対応が把握できるように作成する。提供したサービスの内容が自然文で記述される等して機械的な対応付けが難しい場合、対応関係をニューラルネットワークに学習させた学習済みモデル等を用いて、対応関係を推定することも考えられる。
【0126】
また、診察/看護内容には、サービスの種類ごとに、該当のサービスを提供した時間の情報が含まれていることが好ましい。しかし、直接の時間の記載がない場合には、訪問開始日時及び訪問終了日時から把握される滞在時間を、提供したサービスに適宜に按分して、各サービスの提供時間と取り扱うことも考えられる。
レセプト連携情報は、該当の訪問と対応する費用請求のためのレセプト管理システムと連携するための参照情報等である。
【0127】
カルテ情報取得部352は、稼働状況の集計指示があった場合、訪問スタッフID、訪問開始日時等をキーに、集計対象とする訪問データを特定し、それらの訪問データと、対応する訪問先の住所とを取得することができる。これらの情報と、スタッフ情報321中の各スタッフの移動方法、勤務開始位置及び勤務終了位置と、単位負荷情報324とが揃えば、稼働状況集計システム100は、第1実施形態の場合と同様な稼働状況の集計及び負荷値の算出を行うことができる。
【0128】
次に図23に、図21に示した稼働状況集計システム100がユーザの指示に応じてスタッフの稼働状況を集計する場合の各装置の動作の手順を示す。図23に示す各装置の動作、特に稼働状況集計システム100が実行する動作は、この発明の稼働状況集計方法の一例である。
この場合、ユーザ端末300のユーザは、ステップS124までの動作により電子カルテシステム250を利用し、顧客を訪問してのサービス提供に関する情報を電子カルテシステム250に登録していることが前提となる。
【0129】
すなわち、準備作業として、ユーザ端末300が予めスタッフ情報321及び単位負荷情報324の入力を受け付けて適宜なストレージに保存しておく(S121)。また、ユーザ端末300が電子カルテへの記入指示を受け付け(S122)、その指示に応じたカルテ記入要求を電子カルテシステム250に送信し(S123)、電子カルテシステム250がその要求に従ってカルテ情報を更新する(S124)。
【0130】
以上が実行された状態を前提に、ユーザ端末300は、ユーザからスタッフの稼働状況を集計する対象期間、集計対象とするスタッフ及び集計指示を受け付けると(S131)、電子カルテシステム250に対し、その指定された対象期間及び対象スタッフを特定したカルテ情報取得要求を送信する(S132)。この要求を受けた電子カルテシステム250は、カルテ情報252から送信された対象期間と対象スタッフを満たす訪問データと当該訪問データが示す訪問の訪問先のデータを取得し(S133)、取得した情報をユーザ端末300に返す(S134)。
これを受け取ったユーザ端末300は、稼働状況集計要求と共に、取得したカルテ情報と、ステップS121で保存した集計対象のスタッフのスタッフ情報321及び単位負荷情報324を稼働状況集計システム100へ送信する(S135)。
【0131】
稼働状況集計システム100は、この要求を受けると、図24及び図25に示す稼働状況集計処理を行って、所定集計期間内の各スタッフの合計訪問時間及び合計移動時間を含む稼働状況集計情報をスタッフ毎に作成する(S136)。稼働状況の集計に際して、稼働状況集計システム100は経路検索システム400にアクセスして自動的に移動時間の情報を取得する(S141)。
また、第1実施形態で図18に示した負荷算出処理を行って、スタッフ毎の集計期間内のサービス提供に係る負荷値及び移動に関する負荷値を含む負荷集計情報を算出する(S137)。
【0132】
稼働状況集計システム100は、これらの稼働状況集計情報及び負荷集計情報をユーザ端末300に送信する(S138)、ユーザ端末300は、これを稼働状況情報325として適宜なストレージに保存する(S139)。また、オペレータの操作に応じて、保存されている稼働状況情報325を、第1実施形態の場合と同様に表示することができる(S140)。
以上の動作において、ステップS135は、第1取得手順及び第2取得手順の動作の一例である。ステップS136及びS138は、集計手順の動作の一例である。ステップS137及びS138は、負荷値算出手順の動作の一例である。
【0133】
図24及び図25に、ステップS136の稼働状況集計処理の内容をより詳細に示す。
この処理において、稼働状況集計システム100はまず、ループL31として、ユーザ端末300から渡された集計対象のスタッフを順次処理対象(スタッフXとする)として、ループL32及びステップS160の処理を繰り返す。
【0134】
また、ループL32では、集計範囲の日付を順次処理対象(日付Yとする)として、ループL33及びステップS157乃至S159の処理を繰り返す。スタッフの勤務時間が日付を跨ぐ場合、1つの勤務時間帯を単位として処理対象の期間を定めればよい。
また、ループL33では、スタッフXに関する日付Yの訪問データを、例えば訪問開始時刻のデータに基づき訪問時刻順に順次処理対象としてステップS151乃至S156の処理を繰り返す。ここで訪問時刻順にするのは、スタッフが各訪問先をどの順序で移動したかを特定するためである。
【0135】
稼働状況集計システム100は、ループL33においてまず、スタッフXの日付Yにおける訪問回数をカウントアップする(S151)。また、処理対象の訪問データ中の診察/看護内容に従い、サービス提供時間をサービス種類ごとに算出してスタッフXのサービス提供時間としてカウントする(S152)。
【0136】
次に、稼働状況集計システム100は、スタッフXについての、直前の所在位置及び移動方法を取得し(S153)、これらに加え処理対象の訪問データに係る訪問先の位置を含む移動時間算出要求を経路検索システム400に送信する。この要求に応じて経路検索システム400から、直前の所在位置から今回の訪問先までの移動時間を取得する(S154)。これは、カルテ情報に含まれていない移動時間の情報を、カルテ情報に含まれている訪問先の位置の上方に基づき図13のステップS34及びS35と同様な処理により取得する処理である。
【0137】
稼働状況集計システム100は、ステップS154で取得した移動時間を、移動方法毎にスタッフXの移動時間としてカウントする(S155)。また、取得した移動時間に基づき、図16のステップS94の場合と同様にアイドリング時間をカウントする(S156)。
【0138】
処理対象とする全ての訪問データについてループL33の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、スタッフXについての、勤務終了位置及び移動方法を取得し(S157)、ステップS154及びS155の場合と同様に、最後の訪問から勤務終了位置までの移動時間を経路検索システム400から取得してカウントする(S158,S159)。
【0139】
ここまでがループL32の処理であり、対象期間内の全ての日付についてループL32の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、ここまでの集計結果に基づき、スタッフXの対象期間内の稼働日数、訪問回数、サービス提供時間、移動時間及びアイドリング時間の合計を求め、スタッフXに関する集計結果を作成する(S160)。
【0140】
ここまでがループL31の処理であり、集計対象の全てのスタッフについてループL31の処理が終わると、稼働状況集計システム100は、各スタッフについての訪問回数、サービス提供時間、移動時間及びアイドリング時間をそれぞれ合計し、全スタッフに関する集計結果を作成する(S161)。以上で稼働状況集計処理を終了する。
【0141】
ステップS161及びS162の集計結果が、図23のステップS138でユーザ端末300に返される。集計結果としては、第1実施形態の場合と同様な情報を作成することができる。またユーザ端末300は、この集計結果を第1実施形態の場合と同様に表示することができる。
また、以上の処理により、各スタッフのサービス種類毎のサービス提供時間と、移動方法毎の移動時間の情報を得ることができる。従って、第1実施形態の場合と同じ処理により、各スタッフの負荷値を算出することができる。
【0142】
以上説明してきた通り、第2実施形態の稼働状況集計システム100によれば、移動時間の情報が含まれていない電子カルテシステム250のカルテ情報252に基づき、第1実施形態の場合と同様に、移動時間を加味してスタッフの稼働状況の集計と負荷値の算出を行うことができる。これは、カルテ情報252に含まれている各訪問先の位置の情報と、別途用意したスタッフ毎の移動時間の情報とに基づき、経路検索システム400にアクセスして移動時間の情報を取得するようにしたためである。カルテ情報252にスタッフの移動順の情報が含まれていなくても、特定のスタッフが担当した訪問の情報を時刻順に抽出することで、スタッフがその順序で移動したことを把握できる。
【0143】
医療、看護又は介護のサービスを提供する事業者であれば、カルテを作成することは通常行うし、近年では電子カルテシステムを採用する事業者も増えている。そこで、第2実施形態のように電子カルテシステムのデータを用いて集計を行うことができれば、集計に要するコストや手間を軽減することが期待できる。
【0144】
電子カルテシステム250に代えて、医療機関等が診療や介護に係る報酬を請求するために作成するレセプトを電子的に管理する機能を備えるレセプト管理システムを用いても同様なシステムを構成することができる。
レセプト管理システムは、診療報酬の請求のため、カルテ情報252の場合よりも明確かつ精密に、顧客に提供したサービスの内容や時間を記述することが想定される。このため、カルテ情報252に代えて、レセプト管理システムが管理するレセプト情報を用いることで、サービスに関する単位負荷情報324aをより容易に作成することができる場合もある。
【0145】
医療保険や介護保険のサービスを提供する事業者であれば、レセプトを作成することは通常行うし、近年ではレセプト管理システムを採用する事業者も増えている。そこで、レセプト管理システムのデータを用いてスタッフの稼働状況の集計を行うことができれば、電子カルテシステム250を用いる場合と同様、集計に要するコストや手間を軽減することが期待できる。
【0146】
なお、顧客(患者)に提供したサービスの内容、時間、担当者、場所等の情報を管理していると想定されるシステムとしては、他にも、各スタッフの日報を電子的に作成して管理するための日報システムや、各スタッフの勤怠を管理するための勤怠管理システム等が考えられる。これらのシステムが管理する、上記サービス内容等のデータを用いることでも、第2実施形態の場合と同様なスタッフの稼働状況の集計と負荷値の算出を行うことができると想定される。
【0147】
〔第3実施形態:図26
次に、この発明の稼働状況集計システムの第3実施形態について、図26を用いて説明する。
第3実施形態では、スタッフ情報321~稼働状況情報325の各情報を、ユーザ端末300ではなく稼働状況集計システム100又はスケジュール作成システム200が保持している点が第1実施形態と異なる。また、これらに伴い各システムの機能構成が異なる。
図26に、第3実施形態の稼働状況集計システム100による稼働状況集計に関連する各システムが備える、稼働状況集計に関連する機能の構成を示す。第1及び第2実施形態の構成と共通の又は対応する箇所には同じ符号を示し、共通する部分については説明を省略する。
【0148】
まず、スケジュール作成に関連する機能から説明する。
図26の例において、ユーザ端末300はスケジュール用情報入力受付部361を備える。スケジュール用情報入力受付部361は、スタッフ情報321及び訪問先情報322の編集操作を受け付ける機能を有し、オペレータの操作に従い、スケジュール作成システム200から編集したい情報を取得して、編集指示をスケジュール作成システム200の情報編集部213に送信する。
情報編集部213は、この編集指示に応じてスタッフ情報321及び訪問先情報322を編集する機能を備える。
【0149】
スケジュール作成指示受付部331は、ユーザからスケジュール作成システム200によるスケジュール作成の指示と、スケジュールを作成する日付範囲の指定を受け付ける機能を備え、指示を受け付けると、これらの指定の情報と共にスケジュール作成要求をスケジュール作成システム200のスケジュール作成部211へ送信する。
【0150】
スケジュール作成部211は、この要求に応じて第1実施形態の場合と同様にスケジュール情報323を作成する。作成したスケジュール情報323はスケジュール作成システム200側の適当なストレージに保持し、スケジュール提供部214の機能によりユーザ端末300に提供する。また、稼働状況集計システム100が稼働状況の集計に当たってスケジュール情報を参照できるよう、稼働状況集計システム100に対してスケジュール情報323を予め提供しておくことも考えられる。
ユーザ端末300のスケジュール表示部362は、スケジュール提供部214から提供されるスケジュール情報323に従いスケジュールを表示する機能を備える。
【0151】
次に、スタッフの稼働状況集計に関連する機能について説明する。
ユーザ端末300は集計用情報入力受付部363を備える。集計用情報入力受付部363は、単位負荷情報324の編集操作を受け付ける機能を有し、オペレータの操作に従い、稼働状況集計システム100から編集したい情報を取得して、編集指示を稼働状況集計システム100の情報編集部115に送信する。
情報編集部115は、この編集指示に応じて単位負荷情報324を編集する機能を備える。
【0152】
稼働状況集計指示受付部341は、ユーザから稼働状況集計システム100によるスタッフの稼働状況の集計の指示と、集計を行う日付範囲及び集計対象とするスタッフの指定を受け付ける機能を備え、指示を受け付けると、これらの指定の情報と共に稼働状況集計要求を稼働状況集計システム100の稼働状況集計部111へ送信する。
【0153】
稼働状況集計部111及び負荷情報算出部112は、この要求に応じて第1実施形態の場合と同様にスタッフの稼働状況の集計及び負荷情報の算出を行う。これらにより作成した稼働状況情報325は稼働状況集計システム100側の適当なストレージに保持し、稼働状況提供部116の機能によりユーザ端末300に提供する。稼働状況情報325の作成とユーザ端末300への提供(出力)のタイミングが近接している必要はない。稼働状況情報325の作成と非同期のユーザ端末300からの要求に応じて稼働状況情報325をユーザ端末へ提供してもよい。
ユーザ端末300の稼働状況表示部364は、稼働状況提供部116から提供される稼働状況情報325に従い、スタッフの稼働状況や負荷状況を、第1実施形態の場合と同様に表示する機能を備える。
【0154】
ここで、稼働状況集計部111は、稼働状況の集計に当たりスケジュール情報323を参照する。この参照方法としては、予めスケジュール作成システム200から提供されて稼働状況集計システム100側のストレージに記憶されているスケジュール情報323を参照する、ユーザ端末300がスケジュールを表示する場合と同様なインタフェースを介しスケジュール提供部214から提供を受ける、スケジュール作成システム200が記憶しているスケジュール情報323に他のインタフェースを介してアクセスする、等が考えられる。いずれの場合であっても、スケジュール情報323は稼働状況集計部111が参照可能な記憶部に記憶されていると言える。
【0155】
また、ETL(Extract-Transform-Load)ツールやELT(Extract-Load-Transform)ツールと、データウェアハウスと呼ばれるデータベースとを用いて、スケジュール作成システム200と稼働状況集計システム100との間でスケジュール情報323を受け渡す構成とすることも考えられる。この構成であっても、間にツールは介在するが、スケジュール作成システム200が作成したスケジュール情報323は、受け渡しの完了後には稼働状況集計部111が参照可能な記憶部に記憶されることになる。
【0156】
以上の態様であっても、第1実施形態の場合と同様にスタッフの稼働状況の集計や負荷値の算出が可能であり、第1実施形態の場合と同様な効果を得ることができる。
この実施形態ではユーザ端末300を介さずにスケジュール作成システム200から稼働状況集計システム100へスケジュール情報323を提供している。しかし、第1実施形態の場合と同様、スケジュール作成システム200がユーザ端末300へスケジュール情報323を送信し、ユーザ端末300から稼働状況集計システム100へ送信するようにすることも妨げられない。
また、スタッフ情報321~稼働状況情報325の全てをスケジュール作成システム200又は稼働状況集計システム100側に記憶させることも必須ではなく、一部の情報をユーザ端末300に持たせてもよい。
【0157】
〔変形例〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、システムや装置の具体的な構成、具体的な処理の手順、データの形式、ネットワークの構成、画面の表示、用いる計算式等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
【0158】
例えば、上述した実施形態では、提供するサービスが医療、看護、介護のサービスである場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。スケジュール情報、スケジュール作成システム、日報システム、勤怠管理システムは、業種に関わらず利用可能なものであり、スタッフの稼働状況の集計や負荷値の算出も、これらを利用してサービスの業種に関わらず行うことができる。
集計や表示する項目が上述した実施形態のものに限られることもない。
【0159】
また、上述した実施形態では訪問時間帯情報として訪問先でのサービス提供開示時刻とサービス提供終了時刻を用い、サービス提供時間に注目して訪問時間の集計を行う例について説明した。しかし、訪問先への到着から、訪問先からの出発までの、訪問先への滞在時間に注目して訪問時間の集計を行うことも考えられる。どこからどこまでの時間に注目して訪問時間を集計するかは、集計の用途に応じて定めることができる。
【0160】
移動時間の集計に際しても、種々の要因を考慮してスケジュール情報に含まれる移動時間を補正して集計したり、経路検索システムから取得した移動時間を補正したりすることが考えられる。例えば集合住宅では一軒家に比べ建物に入ってから顧客の部屋に移動するまでに時間を要するので住居のタイプを考慮して補正することが考えられる。また、雪国では冬季の移動に夏季よりも時間を要するので地域や季節(月)を考慮して補正することが考えられる。
【0161】
また、上述した実施形態では経路検索システム400を稼働状況集計システム100やスケジュール作成システム200と別に設ける例について説明したが、経路検索システム400の機能を、オンプレミスで稼働状況集計システム100やスケジュール作成システム200の一部として(これらのシステムが備える機能の1つとして)設けることもできる。
【0162】
また、この発明のプログラムの実施形態は、コンピュータに所要のハードウェアを制御させて上述した実施形態における稼働状況集計システム100、スケジュール作成システム200、およびユーザ端末300のうち1又は複数の機能を実現させるためのプログラムである。
【0163】
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMや他の不揮発性記憶媒体(フラッシュメモリ,EEPROM等)などに格納しておいてもよい。しかし、メモリカード、CD、DVD、ブルーレイディスク等の任意の不揮発性記録媒体に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータにインストールして実行させることにより、上述した各機能を実現させることができる。
【0164】
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部装置あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部装置からダウンロードし、コンピュータにインストールして実行させることも可能である。
また、以上説明してきた各実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0165】
100:稼働状況集計システム、200:スケジュール作成システム、250:電子カルテシステム、300:ユーザ端末、400:経路検索システム、500:稼働状況画面、510,610:表表示部、600:負荷状況画面
図1
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