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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025161628
(43)【公開日】2025-10-24
(54)【発明の名称】分離システム及び分離方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/00 20060101AFI20251017BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20251017BHJP
   B02C 25/00 20060101ALN20251017BHJP
【FI】
C22B1/00 601
C22B7/00 A
B02C25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064978
(22)【出願日】2024-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591063202
【氏名又は名称】産業振興株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】立溝 信之
(72)【発明者】
【氏名】平野 弘二
(72)【発明者】
【氏名】池田 健児
(72)【発明者】
【氏名】神田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭造
【テーマコード(参考)】
4D067
4K001
【Fターム(参考)】
4D067DD07
4D067EE04
4D067EE25
4D067GA10
4D067GA18
4D067GB10
4K001AA09
4K001AA10
4K001BA22
4K001CA01
4K001CA04
(57)【要約】
【課題】破砕不適物や禁忌物などの異物を対象物の集合から分離することによって、より異物の割合が少ない所望物の集合を取得すること。
【解決手段】分離システムは、搬送装置の上流側において、対象物を測定するセンサーと、測定結果に基づいて、対象物に混在する異物を含む分離対象物を判定する判定部と、分離対象物の判定結果に基づいて、指示を生成する分離制御部と、搬送装置の下流側において、指示に基づいて、分離対象物を、他の対象物から分離する分離装置とを備え、分離制御部は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離対象物を他の対象物から分離しない状態である第1状態と、分離対象物を他の対象物から分離する状態である第2状態とについて、第1状態から第2状態に分離装置の状態を遷移させる指示を生成し、所定時間が経過した場合、第2状態から第1状態に分離装置の状態を遷移させる指示を生成する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物を上流から下流へ搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定するセンサーと、
前記センサーによって得られた測定結果に基づいて、前記複数の対象物に混在する異物である分離対象物を判定する判定部と、
前記分離対象物の判定結果に基づいて、指示を生成する分離制御部と、
前記搬送装置の下流側において、前記指示に基づいて、前記分離対象物を、前記分離対象物と判定されなかった他の対象物から分離する分離装置と
を備え、
前記分離制御部は、分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離対象物を前記他の対象物から分離しない状態である第1状態と、前記分離対象物を前記他の対象物から分離する状態である第2状態との間の遷移について、前記第1状態から前記第2状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記第2状態から前記第1状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成する、
分離システム。
【請求項2】
前記分離装置は、電磁石を有する、吊り下げ磁選機、ドラム磁選機又はプーリーであって、
前記分離制御部は、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態を前記第1状態から前記第2状態に遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態を前記第2状態から前記第1状態に遷移させる前記指示を生成する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項3】
前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にない構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成し、前記タイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成する、請求項2に記載の分離システム。
【請求項4】
前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にある構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成する、請求項2に記載の分離システム。
【請求項5】
前記分離装置は、永久磁石を有する、吊り下げ磁選機又はドラム磁選機であって、
前記分離制御部は、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記永久磁石の位置を前記第1状態から前記第2状態に遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記永久磁石の位置を前記第2状態から前記第1状態に遷移させる前記指示を生成する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項6】
前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にない構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域から離した状態から、前記分離領域に近づけた状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記分離領域に近づけた状態から、前記分離領域から離した状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成する、請求項5に記載の分離システム。
【請求項7】
前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にある構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域に近づけた状態から、前記分離領域から離した状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記分離領域から離した状態から、前記分離領域に近づけた状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成する、請求項5に記載の分離システム。
【請求項8】
前記分離装置は、電磁石を有するリフティングマグネットであって、
前記分離制御部は、前記分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域に前記分離装置を移動させ、前記分離装置の電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が置かれる領域に前記分離装置を前記分離対象物と共に移動させ、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記分離装置の電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項9】
前記分離制御部は、オペレーターによる操作を受け付け、前記操作のタイミングと、前記分離対象物の搬送速度とに基づいて、前記分離対象物が到達するタイミングを判定する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項10】
前記分離装置は、第一分離装置及び第二分離装置を含み、
前記第一分離装置と前記第二分離装置は、それぞれ異なる種別の前記分離対象物を前記対象物から分離する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項11】
前記搬送装置は、第一搬送速度と、前記第一搬送速度よりも遅い第二搬送速度とで動作可能であり、
前記搬送装置は、前記分離対象物が到達していないタイミングでは前記第一搬送速度で動作し、前記分離対象物が到達するタイミングでは前記第二搬送速度で動作する、請求項1に記載の分離システム。
【請求項12】
複数の対象物を上流から下流へ搬送する搬送装置と、前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定するセンサーと、判定装置と、分離装置とを備えた分離システムが実行する分離方法であって、
前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定する測定ステップと、
前記センサーによって得られた測定結果に基づいて、前記複数の対象物に混在する異物である分離対象物を判定する判定ステップと、
前記分離対象物の判定結果に基づいて、指示を生成する分離制御ステップと、
前記搬送装置の下流側において、前記指示に基づいて、前記分離対象物を、前記分離対象物と判定されなかった他の対象物から分離する分離ステップと
を備え、
前記分離制御ステップは、分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離対象物を前記他の対象物から分離しない状態である第1状態と、前記分離対象物を前記他の対象物から分離する状態である第2状態との間の遷移について、前記第1状態から前記第2状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記第2状態から前記第1状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成することを含む、
分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離システム及び分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の鉄鋼業界では、二酸化炭素の排出量を削減すること等の効果を狙って、鉄をリサイクルすることの要求が高まっている。リサイクル対象の鉄(以下「鉄スクラップ」という。)を用いて高品位の鉄鋼を製造するためには、モーター及び導線などの非鉄(銅)材料を含む禁忌物の除去が必要となる。禁忌物とは一般に鉄鋼会社が鉄スクラップの持ち込み業者に定めた持ち込み禁止品であり、特に不純物元素を含むモーターや配電盤、溶解工程で爆発する恐れのある密閉物のことを言う。禁忌物を除去するための仕組みの具体例として、人の手や重機で取り除く方法や、シュレッダー破砕システムを用いる方法がある。シュレッダー破砕システムでは、鉄スクラップを粉砕した後に、磁力選別機又は風力選別機や人による作業によって鉄と非鉄とが分別される。シュレッダー破砕システムでは、過度に大きな金属は破砕しきれないことがある。そのような破砕に問題が生じた際に、自動的に判定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-175575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、破砕に適さない物(以下「破砕不適物」という。)がシュレッダーに投入されてしまうことをそもそも防止することが望ましいという考えもある。破砕不適物の具体例として、シュレッダーに投入されてしまうことによりシュレッダーを壊してしまう可能性のある物がある。より具体的な例としては、所定以上に厚い物や、所定以上に硬い物や、シュレッダーの部品(例えばハンマー)に絡まる可能性のある細長い物(例えばチェーン)などがある。また、シュレッダーを用いることで、鉄スクラップを用いたリサイクルにおいてコストと時間を増大させてしまう可能性がある。そのため、より少ないシュレッダーの利用で、破砕不適物や禁忌物を鉄スクラップから分離することで、コストや時間を低減することが可能となる。このような課題は、所望の物体(例えば適切な大きさや硬度の金属物:以下「所望物」という。)と、禁忌物や破砕不適物等の異物と、の両方が混在している対象物の集合を取り扱う際に共通し得る課題である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、破砕不適物や禁忌物などの異物を対象物の集合から分離することによって、より異物の割合が少ない所望物の集合を取得することが可能となる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、複数の対象物を上流から下流へ搬送する搬送装置と、前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定するセンサーと、前記センサーによって得られた測定結果に基づいて、前記複数の対象物に混在する異物である分離対象物を判定する判定部と、前記分離対象物の判定結果に基づいて、指示を生成する分離制御部と、前記搬送装置の下流側において、前記指示に基づいて、前記分離対象物を、前記分離対象物と判定されなかった他の対象物から分離する分離装置とを備え、前記分離制御部は、分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離対象物を前記他の対象物から分離しない状態である第1状態と、前記分離対象物を前記他の対象物から分離する状態である第2状態との間の遷移について、前記第1状態から前記第2状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記第2状態から前記第1状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成する、分離システムである。
【0007】
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記分離装置は、電磁石を有する、吊り下げ磁選機、ドラム磁選機又はプーリーであって、前記分離制御部は、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態を前記第1状態から前記第2状態に遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態を前記第2状態から前記第1状態に遷移させる前記指示を生成する。
【0008】
(3)本発明の一態様は、上記(2)に記載の分離システムにおいて、前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にない構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成し、前記タイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成する。
【0009】
(4)本発明の一態様は、上記(2)に記載の分離システムにおいて、前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にある構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成する。
【0010】
(5)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記分離装置は、永久磁石を有する、吊り下げ磁選機又はドラム磁選機であって、前記分離制御部は、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記永久磁石の位置を前記第1状態から前記第2状態に遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記永久磁石の位置を前記第2状態から前記第1状態に遷移させる前記指示を生成する。
【0011】
(6)本発明の一態様は、上記(5)に記載の分離システムにおいて、前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にない構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域から離した状態から、前記分離領域に近づけた状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記分離領域に近づけた状態から、前記分離領域から離した状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成する。
【0012】
(7)本発明の一態様は、上記(5)に記載の分離システムにおいて、前記分離制御部は、前記分離対象物の移動先と定められた領域が前記搬送装置の終端にある構造では、前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域に近づけた状態から、前記分離領域から離した状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから前記所定時間が経過した場合、前記分離領域から離した状態から、前記分離領域に近づけた状態に、前記永久磁石の位置の状態を遷移させる前記指示を生成する。
【0013】
(8)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記分離装置は、電磁石を有するリフティングマグネットであって、前記分離制御部は、前記分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離領域に前記分離装置を移動させ、前記分離装置の電磁石の状態をオフからオンに遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が置かれる領域に前記分離装置を前記分離対象物と共に移動させ、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記分離装置の電磁石の状態をオンからオフに遷移させる前記指示を生成する。
【0014】
(9)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記分離制御部は、オペレーターによる操作を受け付け、前記操作のタイミングと、前記分離対象物の搬送速度とに基づいて、前記分離対象物が到達するタイミングを判定する。
【0015】
(10)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記分離装置は、第一分離装置及び第二分離装置を含み、前記第一分離装置と前記第二分離装置は、それぞれ異なる種別の前記分離対象物を前記対象物から分離する。
【0016】
(11)本発明の一態様は、上記(1)に記載の分離システムにおいて、前記搬送装置は、第一搬送速度と、前記第一搬送速度よりも遅い第二搬送速度とで動作可能であり、前記搬送装置は、前記分離対象物が到達していないタイミングでは前記第一搬送速度で動作し、前記分離対象物が到達するタイミングでは前記第二搬送速度で動作する。
【0017】
(12)本発明の一態様は、複数の対象物を上流から下流へ搬送する搬送装置と、前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定するセンサーと、判定装置と、分離装置とを備えた分離システムが実行する分離方法であって、前記搬送装置の上流側において、前記対象物を測定する測定ステップと、前記センサーによって得られた測定結果に基づいて、前記複数の対象物に混在する異物である分離対象物を判定する判定ステップと、前記分離対象物の判定結果に基づいて、指示を生成する分離制御ステップと、前記搬送装置の下流側において、前記指示に基づいて、前記分離対象物を、前記分離対象物と判定されなかった他の対象物から分離する分離ステップとを備え、前記分離制御ステップは、分離領域に前記分離対象物が到達するタイミングにおいて、前記分離対象物を前記他の対象物から分離しない状態である第1状態と、前記分離対象物を前記他の対象物から分離する状態である第2状態との間の遷移について、前記第1状態から前記第2状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成し、前記分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、前記第2状態から前記第1状態に前記分離装置の状態を遷移させる前記指示を生成することを含む、分離方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、破砕不適物や禁忌物などの異物を対象物の集合から分離することによって、より異物の割合が少ない所望物の集合を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態における、分離システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。
図2】第1実施形態における、分離システムの処理対象となる物(対象物)の集合(集合対象物)の概略を示す図である。
図3】第1実施形態における、分離システムの処理前の集合対象物の状態を示す図である。
図4】第1実施形態における、分離システムの処理後の集合対象物の状態を示す図である。
図5】第1実施形態における、分離システムの処理前の集合対象物の状態の他の具体例を示す図である。
図6】第1実施形態における、分離システムの処理後の集合対象物の状態の他の具体例を示す図である。
図7】第1実施形態における、分離システムの具体例を示す図である。
図8】第1実施形態における、判定装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
図9】第1実施形態における、分離システムの動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態における、異物が禁忌物である場合に分離装置によって分離された対象物に関する処理の流れを示す図である。
図11】第1実施形態における、異物が破砕不適物である場合に分離装置によって分離された対象物に関する処理の流れを示す図である。
図12】第1実施形態における、本実施形態に適用される情報処理装置のハードウェア構成例の概略を示す図である。
図13】第1実施形態における、提供装置の具体例を示す図である。
図14】第1実施形態における、分離システムの変形例を示す図である。
図15】第1実施形態における、分離システムの具体例を示す図である。
図16】第1実施形態における、分離装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
図17】第1実施形態における、分離装置の具体例を示す図である。
図18】第1実施形態における、分離処理の第1具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図19】第1実施形態における、分離処理の第1具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図20】第1実施形態における、分離処理の第2具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図21】第1実施形態における、分離処理の第2具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図22】第1実施形態における、分離処理の第3具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図23】第1実施形態における、分離処理の第3具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図24】第1実施形態における、分離処理の第4具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図25】第1実施形態における、分離処理の第4具体例を搬送装置の搬送方向から示す図である。
図26】第1実施形態における、分離システムの動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
図27】第1実施形態における、分離装置の第1変形例を示す図である。
図28】第1実施形態における、分離装置の第1変形例を示す図である。
図29】第1実施形態における、分離装置の第2変形例を示す図である。
図30】第1実施形態における、分離装置の第2変形例を示す図である。
図31】第1実施形態における、分離装置の第3変形例を示す図である。
図32】第1実施形態における、分離装置の第3変形例を示す図である。
図33】第1実施形態における、分離装置の第4変形例を示す図である。
図34】第1実施形態における、分離装置の第4変形例を示す図である。
図35】第1実施形態における、分離装置の第5変形例を示す図である。
図36】第1実施形態における、分離装置の第5変形例を示す図である。
図37】第1実施形態における、分離装置の第6変形例を示す図である。
図38】第1実施形態における、分離装置の第6変形例を示す図である。
図39】第1実施形態における、分離装置の第7変形例を示す図である。
図40】第1実施形態における、分離装置の第7変形例を示す図である。
図41】第1実施形態における、分離装置の第8変形例を示す図である。
図42】第1実施形態における、分離装置の第8変形例を示す図である。
図43】第1実施形態における、分離装置の第9変形例を示す図である。
図44】第1実施形態における、分離装置の第9変形例を示す図である。
図45】第1実施形態における、分離システムの変形例の具体的な構成を示す図である。
図46】第2実施形態における、分離装置の具体例を示す図である。
図47】第2実施形態における、分離装置の具体例を示す図である。
図48】第2実施形態における、分離装置の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
図49】第2実施形態における、分離システムの動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、分離システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。分離システム100は、搬送装置10、センサー20、分離装置30及び判定装置40を備える。センサー20、分離装置30及び判定装置40はネットワーク70を介して通信可能に接続される。ネットワーク70は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク70は、例えばインターネットを用いて構成されてもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて構成されてもよい。ネットワーク70は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0021】
図2は、分離システム100の処理対象となる物(以下「対象物」という。)の集合(以下「集合対象物」という。)の概略を示す図である。集合対象物80には、分離システム100の処理対象となる対象物が複数含まれている。対象物には、所望物81と、異物82とがある。なお、図2では所望物81の割合が異物82の割合に比べて非常に多いが、集合対象物80に含まれる所望物81と異物82との割合はどのような値であってもよい。分離システム100では、集合対象物80から異物82を分離することによって、異物82の割合がより少ない所望物81の集合を得る。
【0022】
図3は、分離システム100の処理前の集合対象物80の状態を示す図である。図4は、分離システム100の処理後の集合対象物80の状態を示す図である。分離システム100では異物82を、分離される対象物(以下「分離対象物」という。)として取り扱う。分離対象物である異物82のみを対象物から分離できることが望ましいが、必ずしも異物82のみを分離できるとは限らない。例えば、図4に示されるように異物82とその周囲に位置する所望物81との集合83がまとめて分離されても良い。図3及び図4では、集合83を搬送装置10上から押し出す方式の分離装置(押し出し式の分離装置)によって分離される場合の具体例を示している。そのため、図3及び図4では、押し出し式の分離装置によって押し出される列に相当する領域に位置する所望物81及び異物82の集合83が分離される。また、全ての異物82を分離できることが望ましいが、必ずしも全ての異物82を分離対象物として分離できるとは限らない。例えば、図4の左側に示されるように、分離システム100の処理の後にも異物82が残ってしまう場合もある。しかしながら、図3及び図4に示されるように、分離システム100の処理によって、異物82を含む集合83を集合対象物80から分離することによって、より異物82の割合が少ない所望物81の集合を取得することが可能となる。
【0023】
図5は、分離システム100の処理前の集合対象物80の状態の他の具体例を示す図である。図6は、分離システム100の処理後の集合対象物80の状態の他の具体例を示す図である。図5及び図6では、後述する図7図15に示されるような分離装置30によって分離される場合の具体例を示している。そのため、図7及び図15では、図3及び図4に比べて相対的に狭い領域に位置する所望物81及び異物82の集合83が分離される。
【0024】
図7は、分離システム100の具体例を示す図である。分離システム100において、搬送装置10は、搬送面101に載っている集合対象物(例えば異物が混入したままの鉄スクラップの集まり)を、搬送方向に搬送する。分離システム100の搬送装置10には、集合対象物が載せられて搬送される。搬送装置10の搬送方向は、矢印111に表される方向である。搬送装置10の上流側には、センサー20が設置されている。センサー20は、搬送装置10の上流側の搬送面101を検知範囲21に含むように設置される。センサー20は、検知範囲21の内側に位置する物(例えば対象物)を測定することによって、その物に関する所定の情報(以下「センサー情報」という。)を取得する。センサー20は、取得したセンサー情報を、判定装置40に送信する。
【0025】
搬送装置10の搬送方向において、検知範囲21よりも下流側には、分離装置30が設置される。分離装置30は、搬送装置10の搬送面101における分離領域11に載っている物(例えば、分離対象物)を、搬送面101に載っている対象物から分離する。分離領域11は、検知範囲21よりも下流側に設けられる。搬送面101の分離領域11に載っていた分離対象物が、搬送面101の上方に位置している分離装置30に、磁力で引き寄せられる。分離装置30の搬送帯は、引き寄せられた物を矢印301の方向に押し出すように回転する。これにより、分離装置30に引き寄せられた分離対象物は、矢印131に沿って第二領域13に移動する。
【0026】
分離装置30によって分離されなかった物は、そのまま搬送装置10によって搬送され、矢印121に沿って移動し、搬送装置10の下流側に設けられた第一領域12まで搬送される。第一領域12はどのような態様で定義されてもよい。例えば、第一領域12は第一収容器として定義されてもよい。分離装置30によって分離された物は、矢印131に沿って移動し、第一領域12とは異なる第二領域13に到達する。第二領域13はどのような態様で定義されてもよい。例えば、第二領域13は第二収容器として定義されてもよい。第一収容器及び第二収容器は、いずれも搬送装置10によって搬送されてきた物を収容する容器である。第一収容器及び第二収容器は、搬送されてきた物を収容可能であれば、どのように構成されてもよい。このようにして、搬送装置10によって搬送されていた物は、第一領域12と第二領域13とに分離して搬送される。なお、図7に示される各装置の形状や動作は、一具体例にすぎず、図7に示された形状及び動作に限定されない。
【0027】
センサー20は、対象物(例えば鉄スクラップ)に関する所定の情報(センサー情報)を取得する。対象物は、例えば破砕機(シュレッダー)による破砕前の鉄スクラップである。破砕前の鉄スクラップには、ギロチン等の機器によって小さくされた(製鉄会社で扱いやすいようにダウンサイジングされた)物も含まれる。対象物には、そのまま破砕機に入れると問題が生じうる物(上述した破砕不適物)が含まれる可能性がある。破砕機に生じる問題の具体例としては、例えば破砕機に投入された物が厚すぎることや硬すぎることに起因して、破砕機の部品(例えば刃の部分)に故障が生じてしまう問題がある。破砕機に生じる問題の他の具体例としては、例えば破砕機に投入された物が細長い形状(例えばチェーンの形状)であることに起因して、破砕機の部品(例えばハンマー)に物が絡まってしまって故障が生じてしまう問題がある。センサー20は、対象物としての鉄スクラップが異物であるか否かを判定することが可能な情報であれば、どのような情報をセンサー情報として取得してもよい。例えば、センサー20は撮像装置を用いて構成されてもよい。この場合、センサー20は、所定の波長の電磁波に基づいて対象物に関する画像データを生成する。センサー20は、例えば可視光に基づいて対象物の画像データを生成してもよいし、赤外線に基づいて対象物の画像データを生成してもよい。
【0028】
センサー20は三次元形状情報取得装置であってもよい。この場合、センサー20は、対象物の形状に関する情報(以下「形状情報」という。)を取得する。形状情報は、例えば対象物の三次元形状に関する情報であってもよい。この場合、センサー20は、自装置と対象物の表面の各点までの距離を測定する装置を用いて構成されてもよい。より具体的には、センサー20は、対象物に対してレーザーを照射して散乱光を測定することによって、センサー20から対象物の表面の各部位までの距離を測定する測定装置を用いて構成されてもよい。このようなセンサー20の具体例として、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)がある。このようなセンサー20によって得られる形状情報の具体例として、点群データがある。このように、形状情報は、センサー20によって取得される情報であり、対象物の形状を直接的又は間接的に示す情報である。
【0029】
センサー20は、成分測定装置であってもよい。この場合、センサー20は、対象物を構成する物質の成分に関する情報を取得する。このような成分測定装置の具体例として、レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)を適用した装置や、蛍光X線法(XRF)を適用した装置がある。LIBSを適用した装置は、対象物(例えば、鉄スクラップ)に対してレーザーを照射し、その表面から発生するプラズマから放出される光を分光器で分析することで、対象物中の元素を定量する。XRFを適用した装置は、対象物に対してX線を照射し、対象物から発生する蛍光X線の強度を測定することで、対象物中の元素を定量する。センサー20に適用される成分測定装置は、非侵襲で成分を測定する装置であってもよい。このように、対象物を構成する物質の成分に関する情報は、センサー20によって取得される情報であり、対象物を構成する物質を直接的又は間接的に示す情報である。上述した形状情報や、対象物を構成する物質の成分に関する情報が、対象物に関する情報の具体例である。すなわち、センサー20は例えば対象物の形状、色、表面の構造(質感を示す情報)、硬さ又は成分を測定する。
【0030】
分離装置30は、判定装置40によって分離対象として判定された搬送中の対象物(分離対象物)を分離する装置である。分離対象物は、破砕不適物や禁忌物などの異物である(以下、対象物が鉄スクラップのときは分離対象物を「分離対象スクラップ」ともいう)。分離装置30は、例えば、分離対象物(分離対象スクラップ)などを第二領域13へ送る装置である。分離装置30は、分離対象物を第二領域13へ送ることが可能な装置であれば、どのような態様で構成されてもよい。例えば、図7に示されるように、分離装置30は搬送装置10の分離領域11において搬送方向と搬送面101上で交差する方向(矢印301の方向)に移動することによって、分離領域11に位置する物体(分離対象物及びその周囲に位置する対象物)を、第二領域13へ送る。分離装置30の他の態様については後述する。分離対象物として判定された対象物についてセンサー20で取得された情報(例えば上述した形状情報や、対象物を構成する物質の成分に関する情報)が、分離対象物に関する情報の具体例である。
【0031】
判定装置40は、判定対象の対象物について分離対象物であるか否か判定する。判定装置40は、破砕不適物や禁忌物などの異物を分離対象物であると判定する。判定装置40は、例えばパーソナルコンピューターやサーバー装置などの情報処理装置を用いて構成される。
【0032】
図8は、判定装置40の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。図示する例のように、判定装置40は、通信部41、記憶部42及び制御部43を備える。
【0033】
通信部41は、通信機器である。通信部41は、例えばネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部41は、制御部43の制御に応じて、ネットワーク70を介して他の装置とデータ通信する。通信部41は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0034】
記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部42は、制御部43によって使用されるデータを記憶する。記憶部42は、例えば推定モデル記憶部421として機能してもよい。
【0035】
推定モデル記憶部421は、モデル構築処理によって予め構築された推定モデルの情報を記憶する。このようなモデル構築処理は、例えば人の作業によって実行されてもよいし、他の装置(例えばモデル構築装置)によって実行されてもよいし、自装置(判定装置40)によって実行されてもよい。人の作業によって行われる場合には、センサー20によって取得されるセンサー情報の値と、その値が得られたときに検知範囲21に位置していた対象物(以下「検知物」という。)が分離対象物であるか否かを示す情報と、を対応付けたデータ(例えばルックアップテーブル)が生成されてもよい。他の装置や自装置によって行われる場合には、既知データを教師データとして用いた教師あり学習処理の実行によって学習済モデルが推定モデルとして構築されてもよい。学習処理の具体例として、多変量解析、いわゆる機械学習、深層学習等の処理がある。学習処理として、教師データに用いられる正解情報に応じて、分類のための学習処理が用いられてもよいし、回帰のための学習処理が用いられてもよい。教師データは、例えば、分離システム100において用いられるセンサー20と同種のセンサーによって得られたセンサー情報の値と、その値が得られたときの検知物が分離対象物であるか否かを示すラベル情報とを含むように、構成されてもよい。
【0036】
例えば、推定モデルは、予め準備された画像(基準画像や教師画像ともいう)を用いて構築されても良い。このような教師画像の準備は、例えばコンピューターによって生成されることで実施されてもよいし、予め撮影された画像をコンピューターによって加工することによって実施されてもよい。このような推定モデルとして学習済モデルが構築される場合には、予め分離対象物を撮影して得られた複数の基準画像を用いることで、分離対象物の画像か否かを判定するように学習された学習済モデルが生成されてもよい。分離対象物以外の画像も基準画像として学習処理に用いられる場合には、基準画像に写っている物体が分離対象物か否かを示すラベル(教師ラベルともいう)が付与されてもよい。このような推定モデルとしてルックアップテーブルが用いられる場合には、基準画像から得られる画像の特徴量(例えば物体の輪郭を示す値や、物体の色を示す値)と、その特徴量が得られた物体(基準画像に写っている物体)が分離対象物であるか否かを示す値とが対応付けられても良い。このような処理に用いられる基準画像やラベルには、独自に生成されたものが用いられてもよいし、他者によって提供されている既存のデータが用いられてもよい。また、このような推定モデルには、独自に生成されたものが用いられてもよいし、他者によって生成されて提供されているものが用いられてもよい。
【0037】
例えば、推定モデルは、予め生成された三次元形状情報(基準三次元形状情報)を用いて構築されても良い。このような推定モデルとして学習済モデルが構築される場合には、予め分離対象物を測定して得られた複数の三次元形状情報を用いることで、分離対象物の三次元形状情報か否かを判定するように学習された学習済モデルが生成されてもよい。分離対象物以外の三次元形状情報も基準三次元形状情報として学習処理に用いられる場合には、基準三次元形状情報が示す物体が分離対象物か否かを示すラベルが付与されてもよい。このような推定モデルとしてルックアップテーブルが用いられる場合には、基準三次元形状情報から得られる特徴量(例えば物体の輪郭を示す値や、凹凸を示す値)と、その特徴量が得られた物体(基準三次元形状情報の物体)が分離対象物であるか否かを示す値とが対応付けられても良い。このような処理に用いられる基準三次元形状情報やラベルには、独自に生成されたものが用いられてもよいし、他者によって提供されている既存のデータが用いられてもよい。また、このような推定モデルには、独自に生成されたものが用いられてもよいし、他者によって生成されて提供されているものが用いられてもよい。
【0038】
次に、制御部43について説明する。
制御部43は、CPU(Central Processing Unit)等の1又は複数のハードウェアプロセッサーと1又は複数のメモリー(主記憶装置)とを用いて構成される。メモリーは、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置を用いて構成される。制御部43は、1又は複数のハードウェアプロセッサーが、メモリーに格納される1又は複数のプログラムを実行することによって各種の演算を実行して機能する。制御部43は、例えば情報制御部431、判定部432及び分離制御部433として機能する。なお、制御部43の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0039】
情報制御部431は、センサー20等の他の装置から、情報を取得する。取得される情報の具体例として、例えば、センサー20によって取得されたセンサー情報がある。情報制御部431は、取得された情報をメモリー等の記憶装置に記録する。このような情報制御部431による他の装置との間の情報のやりとりは、例えば、通信部41による通信によって行われてもよい。
【0040】
判定部432は、推定モデル記憶部421に記憶される推定モデルを用いて、センサー情報が示す検知物が分離対象物であるか否か判定する。例えば、判定部432は、センサー情報を説明変数として取得する。判定部432は、推定モデルに基づいて、分離対象物であるか否かを示す値を目的変数として取得する。このとき、分離対象物であることの尤度を示す値や、分離対象物であることの可能性を示す値が、目的変数として得られてもよい。この場合も、判定部432は、検知物が分離対象物であるか否かを、得られた値に基づいて判定する。
【0041】
分離制御部433は、判定部432の判定結果に応じて、分離装置30の動作を制御する。これによって、分離制御部433は、分離対象物を第二領域13に分離する。例えば、分離制御部433は、判定部432が分離対象物と判定したセンサー情報が得られたタイミングと、搬送装置10の搬送速度とに基づいて、センサー情報が得られた際に検知範囲21に位置した対象物が分離領域11に到達するタイミングを判定する。分離制御部433は、そのタイミングで分離装置30が搬送面101の分離領域11の対象物を分離する動作を行うように分離装置30の動作を制御する。
【0042】
図9は、分離システム100の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。センサー20は、搬送中の対象物(検知範囲21に位置した対象物)について、センサー情報を取得する。判定装置40は、センサー20によって得られたセンサー情報を取得する(ステップS101)。判定装置40は、得られたセンサー情報に基づいて、検知物が分離対象物であるか否かを判定する(ステップS102)。例えば、判定装置40は、推定モデル記憶部421から推定モデルを読み出す。判定装置40は、読み出された推定モデルと、取得されたセンサー情報とを用いて、処理を行う。具体的には、判定装置40は、読み出された推定モデルの説明変数としてセンサー情報を用いて、目的変数を取得する。目的変数に応じて、判定装置40は検知物が分離対象物であるか否かを判定する。検知物が分離対象物でない場合(ステップS102-NO)、分離制御部433は、分離装置30に対して、分離動作を実行させない。その場合、搬送装置10によって搬送されている対象物は、分離されることなく搬送され、第一領域12まで搬送される。
【0043】
一方、検知物が分離対象物である場合(ステップS102-YES)、分離制御部433は、分離対象物が分離領域11に到達するタイミングを判定する(ステップS103)。例えばこの処理は、以下のように実行されてもよい。判定装置40の記憶部42は、検知範囲21と分離領域11との距離を、予め記憶している。分離制御部433は、搬送速度の情報を、搬送装置10から取得する。判定部432が分離対象物と判定したセンサー情報が得られたタイミングと、搬送速度と、上記距離とに基づいて、分離制御部433は、センサー情報が得られた際に検知範囲21に位置した対象物が分離領域11に到達するタイミングを判定する。分離制御部433は、判定されたタイミングで、分離装置30に対して分離動作を実行させる(ステップS104)。その場合、搬送装置10によって搬送されている対象物は、分離され、第二領域13に到達する。このような動作により、異物と判定された分離対象物は、異物をほとんど含まないと判定された対象物とは異なる領域に分離される。
【0044】
図10は、異物が禁忌物である場合に分離装置30によって分離された対象物に関する処理の流れを示す図である。異物が禁忌物である場合、多くの禁忌物が分離対象物として分離される。そのため、分離装置30による分離処理後に第一領域12に到達した対象物では、分離前に比べて禁忌物の割合が少なくなる。このような対象物は、そのまま電炉へ投入することが可能である。そのように処理することで、対象物に対する処理に要する時間や費用を軽減することが可能となる。一方で、分離装置30による分離処理後に第二領域13に到達した対象物には、禁忌物が、多く含まれる。このような対象物は、そのまま炉に投入すると品質面で大きな問題が生じうるため、追加で選別する必要がある。追加選別では、分離装置30とは異なる仕組みで、鉄スクラップと非鉄金属(禁忌物等)に分離する処理が行われる。例えば、このような処理は人の手によって行われてもよいし、磁力選別機又は風力選別機などを含むシュレッダー破砕システムを用いて行われてもよい。追加選別で鉄スクラップとして選別されたものは、電炉に投入される。追加選別で非鉄金属に選別されたものは、非鉄リサイクル業者に渡されてもよいし、廃棄されてもよい。なお、追加選別で鉄スクラップとして選別されたものの投入先は、上述した電炉に限定される必要は無い。例えば、転炉やその他の溶解炉が投入先であってもよい。
【0045】
図11は、異物が破砕不適物である場合に分離装置30によって分離された対象物に関する処理の流れを示す図である。異物が破砕不適物である場合、分離された対象物には多くの破砕不適物が含まれている可能性がある。そのため、分離装置30による分離処理後に第一領域12に到達した対象物には、破砕不適物が少ない。ただし、このような対象物には、禁忌物が含まれている可能性がある。このような禁忌物は、そのまま電炉に投入すると、品質面で問題が生じる可能性がある。そのため、追加で選別して禁忌物を分離した方が好ましい。追加選別では、禁忌物を異物として扱う分離システム100による分離処理や、分離装置30とは異なる仕組みで、鉄スクラップと非鉄金属(禁忌物等)に分離する処理が行われる。例えば、分離装置30とは異なる仕組みで行われる処理としては、例えば、人の手によって行われてもよいし、シュレッダー破砕システムを用いて行われてもよい。シュレッダー破砕システムを用いる場合には、少なくとも破砕不適物は殆ど含まれていないため、破砕を行う部分の処理を省略して、選別を行う処理(磁力を用いた選別や風を用いた選別など)のみが実施されてもよい。このような追加選別で鉄スクラップとして選別されたものは、電炉に投入される。追加選別で禁忌物として選別されたものは、非鉄リサイクル業者に渡されてもよいし、廃棄されてもよい。
【0046】
また、分離装置30による分離処理後に第二領域13に到達した対象物には、破砕不適物が多く含まれる。このような破砕不適物は、禁忌成分を多く含まず高品質の鉄スクラップである可能性が高い。そのため、破砕不適物が多く含まれる対象物は、そのまま電炉へ投入することが可能である。そのように処理することで、対象物に対する処理に要する時間や費用を軽減することが可能となる。
【0047】
図12は、本実施形態に適用される情報処理装置90のハードウェア構成例の概略を示す図である。情報処理装置90は、プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94、入出力インターフェース95及び内部バス96を備える。プロセッサー91、主記憶装置92、通信インターフェース93、補助記憶装置94及び入出力インターフェース95は、内部バス96を介して互いに通信可能に接続される。情報処理装置90は、例えば判定装置40に適用されてもよい。この場合、例えば通信部41は通信インターフェース93を用いて構成されてもよい。例えば記憶部42は補助記憶装置94を用いて構成されてもよい。また、制御部43は、プロセッサー91及び主記憶装置92を用いて構成されてもよい。
【0048】
(分離システムの変形例)
判定装置40は、複数の情報処理装置を用いて実装されてもよい。例えば、クラウド等の装置を用いて判定装置40が実装されてもよい。例えば、判定装置40において、記憶部42と制御部43とがそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。例えば、判定装置40の記憶部42が複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0049】
分離システム100は、提供装置50をさらに備えてもよい。図13は、提供装置50の具体例を示す図である。提供装置50は、搬送装置10に対して複数の対象物を互いの距離がより大きくなるように載せる。提供装置50は、自身が振動することによって少しずつ搬送装置10に対して対象物を提供する。提供装置50がこのように動作することによって、特に搬送装置10の搬送方向において対象物同士の距離を大きくすることが可能である。このような提供装置50の具体例として、振動フィーダーがある。
【0050】
上述した分離システム100では、分離対象物として禁忌物や破砕不適物等の異物を、それ以外の対象物(所望物)と分離していた。これに対し、破砕不適合物である対象物と、禁忌物をほとんど含まない対象物とを、同一の領域(例えば第一領域12)に到達させ、禁忌物を他の領域(例えば第二領域13)に到達させるように、構成されてもよい。このような構成は、例えば図14に示されるような処理の流れによって実現されてもよい。
【0051】
図14に示される処理の流れでは、まず破砕不適合物を第一領域12に分離するように分離装置30が動作する。分離装置30による分離処理後に第一領域12に到達した対象物には、破砕不適合物が多く含まれる。このような破砕不適物は、禁忌成分を多く含まず高品質の鉄スクラップである可能性が高い。そのため、破砕不適物が多く含まれる対象物は、そのまま電炉へ投入することが可能である。
【0052】
分離装置30による分離処理後に第二領域13に到達した対象物には、破砕不適物が少ない対象物が、多く含まれる。このような対象物には、禁忌物等の非鉄金属が含まれている可能性がある。このような対象物は、そのまま電炉に投入すると、品質面で問題が生じる可能性がある。そのため、追加で選別した方が好ましい。そこで、破砕不適合物が少ない対象物は、さらに禁忌物を分離するように動作する分離装置30によって、再度分離される。後段の分離装置30では、禁忌物が少ない対象物は第一領域12に分離され、禁忌成分を多く含む対象物は第二領域13に分離される。禁忌物が少ない対象物は、破砕不適合物が多く含まれる対象物と同様に、そのまま電炉へ投入することが可能である。そのように処理することで、対象物に対する処理に要する時間や費用を軽減することが可能となる。
【0053】
禁忌成分を多く含む対象物は、さらに追加選別にかけられる。追加選別では、分離装置30とは異なる仕組みで、鉄スクラップと非鉄金属(禁忌物等)に分離する処理が行われる。例えば、このような処理は、人の手によって行われてもよいし、シュレッダー破砕システムを用いて行われてもよい。追加選別で鉄スクラップとして選別されたものは、電炉に投入される。追加選別で非鉄金属に選別されたものは、非鉄リサイクル業者に渡されてもよいし、廃棄されてもよい。このような構成を実現させるために、分離システム100において、分離装置30が、前段(上流側)と後段(下流側)とに設けられてもよい。前段の分離装置30は、判定装置40の制御に基づいて、破砕不適合物が多く含まれる対象物を分離し、後段に流れないようにする。後段には、破砕不適合物が少ない対象物が流れる。後段の分離装置30は、判定装置40の制御に基づいて、後段に流れてきた対象物を、禁忌物と、鉄スクラップとに分離する。
【0054】
図15は、第1実施形態における、分離システム100の具体例を示す図である。分離システム100は、搬送装置10と、センサー20と、分離装置30と、判定装置40とを備える。センサー20と分離装置30と判定装置40とは、ネットワーク70を介して通信可能に接続される。ネットワーク70は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク70は、例えばインターネットを用いて構成されてもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて構成されてもよい。ネットワーク70は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0055】
重機60は、リフトマグネット61(リフティングマグネット)を備える。このため、リフトマグネット61は、重機60と共に移動する。リフトマグネット61の電磁石の状態(オン及びオフ)は、重機60のオペレーターによる操作に応じて切り替えられる。リフトマグネット61は、重機60のオペレーターによる操作に応じて、対象物(鉄スクラップ)を提供装置50の上面に載せる。提供装置50は、自身が振動することによって、搬送装置10の搬送面に対象物を少しずつ提供する。
【0056】
搬送装置10は、搬送面に載っている対象物を、搬送方向に搬送する。センサー20は、センサー情報を取得する。センサー20は、取得したセンサー情報を、判定装置40に送信する。判定装置40は、判定対象の対象物について、分離対象物であるか否か判定する。判定装置40は、破砕不適物や禁忌物などの異物を含む対象物を、分離対象物であると判定する。禁忌物は、例えば、トランプエレメントを多く含有する物体、及び、密閉物である。
【0057】
分離装置30は、例えば、吊り下げ磁選機(吊り下げられた磁気コンベア)である。分離装置30は、例えば、搬送装置10の下流側において、対象物の搬送方向に対して直交する向きに設置される。分離装置30は、搬送装置10の下流側において、搬送装置10上において判定部432によって判定された分離対象物を、対象物から分離する。
【0058】
分離制御部433は、判定部432の判定結果に応じて、分離装置30の動作を制御する。これによって、分離制御部433は、分離対象物を第二領域13に分離する。例えば、判定部432が分離対象物と判定したセンサー情報が得られたタイミングと、搬送装置10の搬送速度とに基づいて、分離制御部433は、センサー情報が得られた際に検知範囲21に位置した対象物が分離領域に到達するタイミングを判定する。例えば、分離制御部433は、対象物の搬送を目視するオペレーターによる操作を受け付け、その操作のタイミングと、分離対象物の搬送速度とに基づいて、分離領域に分離対象物が到達するタイミングを判定してもよい。例えば、分離制御部433は、オペレーターによる操作のタイミングと、分離対象物の搬送履歴(例えば、プーリーの回転履歴)とに基づいて、分離領域に分離対象物が到達するタイミングを判定してもよい。
【0059】
分離制御部433は、分離装置30の状態を制御する。分離制御部433は、予め定められた分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離対象物を他の対象物から分離する状態に、分離装置30の状態を遷移させる。
【0060】
図16は、第1実施形態における、分離装置30の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。分離装置30は、状態制御部302と、磁石303とを備える。磁石303は、例えば、電磁石(コイル)、又は、永久磁石である。
【0061】
分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離対象物を他の対象物から分離する状態に、分離装置30の状態を遷移させる。例えば、分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の磁石303の状態を、分離対象物を分離する所定の状態に遷移させる。また、分離制御部433は、そのタイミングから所定時間(例えば、所定の秒数)が経過した場合、分離装置30の磁石303の状態を、分離対象物を分離しない所定の状態に遷移させる。
【0062】
状態制御部302は、分離制御部433によるオン指示(電磁石に電流を流すようにする指示)に基づいて、分離装置30の磁石303(電磁石)の状態を、オンに遷移させる。また、状態制御部302は、分離制御部433によるオフ指示(電磁石に電流を流さないようにする指示)に基づいて、分離装置30の磁石303(電磁石)の状態をオフに遷移させる。
【0063】
状態制御部302は、分離制御部433による移動指示に基づいて、永久磁石を有する分離装置30を移動させることで、分離装置30と対象物との間の距離を変更してもよい。また、状態制御部302は、分離制御部433による戻し指示に基づいて、永久磁石を有する分離装置30と対象物との間の距離を元に戻してもよい。
【0064】
図17は、第1実施形態における、分離装置30の具体例を示す図である。分離装置30(吊り下げ磁選機)は、状態制御部302と、磁石303と、モーター304と、搬送帯305(コンベアベルト)とを備える。搬送帯305には、所定間隔の仕切りが配置される。
【0065】
図18は、第1実施形態における、分離処理の第1具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。図18及び図19では、搬送装置10による対象物の搬送方向に、第一領域12が配置されている。すなわち、図18及び図19には、第二領域13(分離対象物の移動先と定められた領域)が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(電磁石)の状態を、第1状態(図18では、オフ)から第2状態(図18では、オン)に遷移させる。また、状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。搬送帯305に配置された各仕切りは、磁力によって磁石303に引き寄せられた分離対象物(異物を含むと判定された分離対象スクラップ)を、第二領域13の方向に搬送帯305が駆動することによって、第二領域13の方向に磁石303から離す。
【0066】
図19は、第1実施形態における、分離処理の第1具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(電磁石)の状態を第2状態(図19では、オン)から第1状態(図19では、オフ)に遷移させる。搬送装置10は、対象物を第一領域12に搬送する。
【0067】
なお、状態制御部302は、搬送帯305を常時駆動させてもよいし、磁石303の状態に応じて搬送帯305を駆動させてもよい。すなわち、状態制御部302は、磁石303の状態がオンである場合に搬送帯305を駆動させ、磁石303の状態がオフである場合に搬送帯305の駆動を停止させてもよい。
【0068】
図20は、第1実施形態における、分離処理の第2具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。図20及び図21では、搬送装置10による対象物の搬送方向に、第二領域13が配置されている。すなわち、図20及び図21には、第二領域13(分離対象物の移動先と定められた領域)が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(電磁石)の状態を、第1状態(図20では、オン)から第2状態(図20では、オフ)に遷移させる。搬送装置10は、分離対象物を第二領域13に搬送する。
【0069】
図21は、第1実施形態における、分離処理の第2具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(電磁石)の状態を、第2状態(図21では、オフ)から第1状態(図21では、オン)に遷移させる。搬送帯305に配置された各仕切りは、磁力によって磁石303に引き寄せられた対象物(異物をほとんど含まないと判定された鉄スクラップ)を、第一領域12の方向に搬送帯305が駆動することによって、第一領域12の方向に磁石303から離す。
【0070】
図22は、第1実施形態における、分離処理の第3具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。図22及び図23では、搬送装置10による対象物の搬送方向に、第一領域12が配置されている。すなわち、図22及び図23には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(永久磁石)の状態を、第1状態(図22では、分離領域から離した状態)から第2状態(図22では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。搬送帯305に配置された各仕切りは、磁力によって磁石303に引き寄せられた分離対象物(異物を含むと判定された分離対象スクラップ)を、第二領域13の方向に搬送帯305が駆動することによって、第二領域13の方向に磁石303から離す。
【0071】
図23は、第1実施形態における、分離処理の第3具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(永久磁石)の状態を、第2状態(図23では、分離領域に近づけた状態)から第1状態(図23では、分離領域から離した状態)に遷移させる。搬送装置10は、対象物を第一領域12に搬送する。
【0072】
図24は、第1実施形態における、分離処理の第4具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。図24及び図25では、搬送装置10による対象物の搬送方向に、第二領域13が配置されている。すなわち、図24及び図25には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(永久磁石)の状態を、第1状態(図24では、分離領域に近づけた状態)から第2状態(図24では、分離領域から離した状態)に遷移させる。搬送装置10は、分離対象物を第二領域13に搬送する。
【0073】
図25は、第1実施形態における、分離処理の第4具体例を搬送装置10の搬送方向から示す図である。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(永久磁石)の状態を、第2状態(図25では、分離領域から離した状態)から第1状態(図25では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。搬送帯305に配置された各仕切りは、磁力によって磁石303に引き寄せられた対象物(異物をほとんど含まないと判定された鉄スクラップ)を、第一領域12の方向に搬送帯305が駆動することによって、第一領域12の方向に磁石303から離す。
【0074】
次に、分離システム100の動作の流れの具体例を説明する。
図26は、第1実施形態における、分離システム100の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。センサー20は、搬送中の対象物(検知範囲21に位置した対象物)についてセンサー情報を取得する。判定装置40は、センサー20によって得られたセンサー情報を取得する(ステップS201)。判定装置40は、得られたセンサー情報に基づいて、対象物が分離対象物であるか否かを判定する(ステップS202)。対象物が分離対象物でない場合(ステップS202-NO)、分離システム100は、ステップS201に処理を戻す。
【0075】
一方、対象物が分離対象物である場合(ステップS202-YES)、分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングを判定する(ステップS203)。分離制御部433は、判定されたタイミングにおいて、分離装置30に対して分離動作を実行させる。すなわち、分離制御部433は、到達するタイミングにおいて、分離対象物を分離する状態(例えば、電磁石がオンの状態)に、分離装置30の状態を遷移させる(ステップS204)。分離制御部433は、到達するタイミングから所定時間の経過後、分離対象物を分離しない状態(例えば、電磁石がオフの状態)に、分離装置30の状態を遷移させる(ステップS205)。分離システム100は、ステップS201に処理を戻す。
【0076】
以上のように、搬送装置10は、集合対象物80(複数の対象物)を、上流から下流へ搬送する。複数の対象物は、複数の所望物81、及び、複数の異物82である。センサー20は、搬送装置10の上流側において、対象物を測定する。判定部432は、センサー20によって得られた測定結果に基づいて、集合対象物80(複数の対象物)に混在する異物82(分離対象物)を判定する。分離制御部433は、異物82の判定結果に基づいて、指示を生成する。分離装置30は、搬送装置10の下流側において、分離制御部433によって生成された指示に基づいて、集合対象物80における異物82(分離対象物)を、集合対象物80において異物82と判定されなかった他の対象物(判定されなかった他の異物82、及び、判定されなかった所望物81)から分離する。ここで、分離装置30は、判定された異物82を含む集合83を、集合対象物80において異物82と判定されなかった他の対象物(判定されなかった他の異物82、及び、判定されなかった所望物81から分離してもよい。
【0077】
ここで、分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離対象物を他の対象物から分離しない状態である第1状態と、分離対象物を他の対象物から分離する状態である第2状態との間の遷移について、第1状態から第2状態に分離装置30の状態を遷移させる指示を生成する。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、第2状態から第1状態に分離装置30の状態を遷移させる指示を生成する。
【0078】
これによって、破砕不適物や禁忌物などの異物を対象物の集合から効率的に分離することによって、より異物の割合が少ない所望物の集合を取得することが可能となる。
【0079】
分離装置30は、例えば、電磁石(磁石303)を有する吊り下げ磁選機である。分離制御部433は、分離対象物の移動先と定められた第二領域13が搬送装置10の終端にない構造では、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の電磁石の状態をオンに遷移させる。分離制御部433は、そのタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態をオフに遷移させる。
【0080】
分離制御部433は、分離対象物の移動先と定められた第二領域13が搬送装置10の終端にある構造では、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の電磁石の状態をオフに遷移させてもよい。分離制御部433は、そのタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態をオンに遷移させる。
【0081】
分離装置30は、例えば、永久磁石(磁石303)を有する吊り下げ磁選機でもよい。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の永久磁石を、分離領域に近づける。分離制御部433は、そのタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置の永久磁石を、分離領域から離す。
【0082】
分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の永久磁石を、分離領域から離してもよい。分離制御部433は、そのタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置の永久磁石を、分離領域に近づける。
【0083】
(変形例)
図27は、第1実施形態における、分離装置30の第1変形例を示す図である。図27には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離装置30は、例えば、電磁石を有する吊り下げ磁選機である。分離装置30は、搬送装置10よりも下流の領域において、対象物の搬送方向と同じ向きに設置される。分離制御部433は、搬送装置10の終端に定められた分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(電磁石)の状態を、第1状態(図27では、オフ)から第2状態(図27では、オン)に遷移させる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた分離対象物を、対象物の搬送方向の第二領域13に分離する。
【0084】
図28は、第1実施形態における、分離装置30の第1変形例を示す図である。図28には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(電磁石)の状態を、第2状態(図28では、オン)から第1状態(図28では、オフ)に遷移させる。搬送装置10は、対象物を第一領域12に搬送する。
【0085】
図29は、第1実施形態における、分離装置30の第2変形例を示す図である。図29には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、搬送装置10の終端に定められた分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(電磁石)の状態を、第1状態(図29では、オン)から第2状態(図29では、オフ)に遷移させる。搬送装置10は、分離対象物を第二領域13に搬送する。
【0086】
図30は、第1実施形態における、分離装置30の第2変形例を示す図である。図30には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(電磁石)の状態を、第2状態(図30では、オフ)から第1状態(図30では、オン)に遷移させる。
【0087】
図31は、第1実施形態における、分離装置30の第3変形例を示す図である。図31には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離装置30は、例えば、永久磁石を有する吊り下げ磁選機でもよい。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、搬送装置10の終端に定められた分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(永久磁石)の状態を、第1状態(図31では、分離領域から離した状態)から第2状態(図31では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。
【0088】
図32は、第1実施形態における、分離装置30の第3変形例を示す図である。図32には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(永久磁石)の状態を、第2状態(図32では、分離領域に近づけた状態)から第1状態(図32では、分離領域から離した状態)に遷移させる。搬送装置10は、対象物を第一領域12に搬送する。
【0089】
図33は、第1実施形態における、分離装置30の第4変形例を示す図である。図33には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、搬送装置10の終端に定められた分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、磁石303(永久磁石)の状態を、第1状態(図33では、分離領域に近づけた状態)から第2状態(図33では、分離領域から離した状態)に遷移させる。搬送装置10は、分離対象物を第二領域13に搬送する。
【0090】
図34は、第1実施形態における、分離装置30の第4変形例を示す図である。図34には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。状態制御部302は、モーター304の駆動を制御することによって、搬送帯305を駆動させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、磁石303(永久磁石)の状態を、第2状態(図34では、分離領域から離した状態)から第1状態(図34では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。
【0091】
図35は、第1実施形態における、分離装置30の第5変形例を示す図である。図35には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離装置30は、例えば、電磁石を有するドラム磁選機である。状態制御部302は、分離装置30を回転させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の電磁石の状態を、第1状態(図35では、オフ)から第2状態(図35では、オン)に遷移させる。分離領域は、例えば、搬送装置10よりも下流の領域である。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた分離対象物を、対象物の搬送方向の第二領域13に分離する。
【0092】
図36は、第1実施形態における、分離装置30の第5変形例を示す図である。図36には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態を、第2状態(図36では、オン)から第1状態(図36では、オフ)に遷移させる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた対象物を、対象物の搬送方向の第一領域12に分離する。
【0093】
図37は、第1実施形態における、分離装置30の第6変形例を示す図である。図37には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の電磁石の状態を、第1状態(図37では、オン)から第2状態(図37では、オフ)に遷移させる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた分離対象物を、対象物の搬送方向の第二領域13に分離する。
【0094】
図38は、第1実施形態における、分離装置30の第6変形例を示す図である。図38には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。状態制御部302は、分離装置30を回転させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態を、第2状態(図38では、オフ)から第1状態(図38では、オン)に遷移させる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた対象物を、対象物の搬送方向の第一領域12に分離する。
【0095】
図39は、第1実施形態における、分離装置30の第7変形例を示す図である。図39には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離装置30は、例えば、永久磁石を有するドラム磁選機でもよい。状態制御部302は、分離装置30を回転させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の永久磁石の状態を、第1状態(図39では、分離領域から離した状態)から第2状態(図39では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。
【0096】
図40は、第1実施形態における、分離装置30の第7変形例を示す図である。図40には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の永久磁石の状態を、第2状態(図40では、分離領域に近づけた状態)から第1状態(図40では、分離領域から離した状態)に遷移させる。
【0097】
図41は、第1実施形態における、分離装置30の第8変形例を示す図である。図41には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の永久磁石の状態を、第1状態(図41では、分離領域に近づけた状態)から第2状態(図41では、分離領域から離した状態)に遷移させる。
【0098】
図42は、第1実施形態における、分離装置30の第8変形例を示す図である。図42には、第二領域13が搬送装置10の終端にある構造が、例示されている。状態制御部302は、分離装置30を回転させる。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の永久磁石の状態を、第2状態(図42では、分離領域から離した状態)から第1状態(図42では、分離領域に近づけた状態)に遷移させる。
【0099】
図43は、第1実施形態における、分離装置30の第9変形例を示す図である。図43には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離装置30は、例えば、搬送装置10において電磁石(磁石303)を有するプーリーである。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、分離装置30の電磁石の状態を、第1状態(図43では、オフ)から第2状態(図43では、オン)に遷移させる。分離領域は、例えば、搬送装置10の終端に定められる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた分離対象物を、搬送装置10の下方の第二領域13に分離する。
【0100】
図44は、第1実施形態における、分離装置30の第9変形例を示す図である。図44には、第二領域13が搬送装置10の終端にない構造が、例示されている。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態を、第2状態(図44では、オン)から第1状態(図44では、オフ)に遷移させる。分離装置30は、搬送装置10の搬送が完了して搬送装置10からはずれた対象物を、対象物の搬送方向の第一領域12に搬送する。
【0101】
(変形例の具体的な構成)
図45は、分離システム100の変形例の具体的な構成を示す図である。図45に示される分離システム100では、搬送装置10の搬送路に沿って複数の分離装置30(例えば分離装置30a及び30b)が設けられる。分離装置30は、例えば、電磁石(磁石303)を有する吊り下げ磁選機である。分離装置30aは第一分離装置に相当し、分離装置30bは第二分離装置に相当する。分離装置30aによって分離された物は、矢印131aに沿って移動し、第二領域13aに到達する。分離装置30bによって分離された物は、矢印131bに沿って移動し、第二領域13bに到達する。分離装置30aと分離装置30bとは、それぞれ異なる種別の分離対象物(例えば、第一分離対象物と第二分離対象物)を分離するように構成されてもよい。例えば、第一分離対象物は禁忌物(分離対象物)であり、第二分離対象物は破砕不適物(分離対象物)であってもよい。この場合、分離装置30aは禁忌物(分離対象物)を分離し、分離装置30bは破砕不適物を分離するように構成されてもよい。言い換えれば、分離装置30aは鉄スクラップとして利用できない物を分離し、分離装置30bは鉄スクラップとして利用可能であるものの破砕に適さない厚い鉄スクラップや硬い鉄スクラップを分離するように、構成されてもよい。判定装置40は、センサー情報に基づいて、分離対象物について第一分離対象物であるか第二分離対象物であるかを判定する。判定装置40は、判定結果に応じて、分離装置30aと分離装置30bとのどちらを動作させるかを決定する。判定装置40は、動作させる分離装置30に応じて、その分離対象物が動作対象の分離装置30の分離領域に到達するタイミングを判定し、そのタイミングで分離装置30を動作させる。このように構成されることによって、後処理が楽になるという効果が得られる。例えば、分離装置30aで分離されたものは禁忌物として取り扱い、分離装置30bで分離されたものはそのまま電炉で溶解させることが可能になる。なお、上述した例では分離装置30が2つの構成であるが、3つ以上の分離装置30が設けられても良い。
【0102】
図45に例示された変形例の具体的な構成において、判定装置40(例えば、分離制御装置)は、分離装置30によって分離を行う際には、搬送装置10の搬送速度を下げるように搬送装置10を制御してもよい。例えば、搬送装置10は分離が行われないタイミングでは第一搬送速度で搬送を行い、分離が行われる所定のタイミング(例えば、分離装置が分離を行うタイミングを含む所定期間)では第二搬送速度(第一搬送速度よりも遅い速度)で搬送を行う。判定装置40は、分離装置30による分離が行われるタイミングで、搬送装置10に対して第二搬送速度で動作するように、指示を行う。搬送装置10は、第二搬送速度で動作することの指示を受けると、その指示から所定の期間(例えば1秒など)は第二搬送速度で搬送し、その後に再び第一搬送速度で搬送してもよい。このように構成されることによって、より高い精度で分離対象物を分離させることが可能となる。搬送装置10は、第一搬送速度と、第一搬送速度よりも遅い第二搬送速度とで動作可能である。搬送装置10は、分離対象物が到達していないタイミングでは第一搬送速度で動作し、分離対象物が到達するタイミングでは第二搬送速度で動作する。
【0103】
(第2実施形態)
第2実施形態では、分離装置30がリフトマグネット(リフティングマグネット)である点が、第1実施形態との主な差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0104】
図46は、第2実施形態における、分離装置30の具体例を示す図である。分離装置30は、搬送装置10において電磁石(磁石303)を有するリフトマグネットである。分離制御部433は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、搬送装置10における対象物の搬送を停止させる。分離制御部433は、分離領域に分離装置30を移動させる。分離制御部433は、分離装置30の電磁石の状態をオンに遷移させる。分離制御部433は、分離装置30を第二領域13の上方に移動させる。分離制御部433は、分離装置30が第二領域13の上方に移動した場合、分離装置30の電磁石の状態をオフに遷移させる。
【0105】
図47は、第2実施形態における、分離装置30の具体例を示す図である。分離制御部433は、分離対象物が到達するタイミングから所定時間が経過した場合、分離装置30の電磁石の状態をオンからオフに遷移させる。また、分離制御部433は、元の位置に分離装置30を戻す。分離制御部433は、搬送装置10における対象物の搬送を再開させる。
【0106】
図48は、第2実施形態における、分離装置30の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。分離装置30は、状態制御部302と、磁石303と、搬送制御部306と、搬送指示部307と、移動制御部308と、駆動部309とを備える。
【0107】
搬送制御部306は、搬送装置10における対象物の搬送のオン及びオフを制御する。搬送指示部307(通信部)は、搬送制御部306による制御に基づいて、搬送装置10に制御信号を送信する。制御信号は、例えば、搬送装置10における対象物の搬送のオン及びオフを制御するための信号である。移動制御部308は、分離制御部433による指示(制御)に基づいて、駆動部309を用いて、所定の位置に分離装置30を移動させる。駆動部309は、モーターである。
【0108】
次に、分離システム100の動作の流れの具体例を説明する。
図49は、第2実施形態における、分離システム100の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。ステップS301からステップS303までの各ステップは、図26に例示されたステップS201からステップS203までの各ステップまでと同様である。搬送制御部306は、分離領域に分離対象物が到達するタイミングにおいて、搬送指示部307(通信部)を用いて、搬送装置10における対象物の搬送を停止させる(ステップS304)。分離制御部433は、分離対象物を分離する状態(例えば、電磁石がオンの状態)に、分離装置30の状態を遷移させる(ステップS305)。
【0109】
移動制御部308は、分離制御部433による指示(制御)に基づいて、駆動部309を駆動させることによって、第二領域13(分離対象物が置かれる領域)に分離装置30を移動させる。その場合、搬送装置10によって搬送されている対象物は分離され、第二領域13に到達する(ステップS306)。分離制御部433は、分離対象物を分離しない状態(例えば、電磁石がオフの状態)に、分離装置30の状態を遷移させる(ステップS307)。
【0110】
移動制御部308は、分離制御部433による指示(制御)に基づいて、駆動部309を駆動させることによって、元の位置(例えば、分離領域の近傍)に分離装置30を戻す(ステップS308)。搬送制御部306は、搬送指示部307を用いて、搬送装置10における対象物の搬送を再開させる(ステップS309)。分離システム100は、ステップS301に処理を戻す。
【0111】
以上のように、分離装置30は、例えば、リフトマグネット(リフティングマグネット)である。分離制御部433は、分離領域に分離装置30を移動させ、分離装置30の電磁石(磁石303)の状態をオンに遷移させる。分離制御部433は、分離対象物が置かれる第二領域13に分離装置30を移動させ、分離装置30の電磁石(磁石303)の状態をオフに遷移させる。
【0112】
これによって、破砕不適物や禁忌物などの異物を対象物の集合から効率的に分離することによって、より異物の割合が少ない所望物の集合を取得することが可能となる。
【0113】
以上のような説明の内容で構成された分離システム100(変形例も含む)では、破砕不適物や禁忌物等の異物を対象物から適切に分離することができる。特に、対象物が鉄スクラップである場合には、ロボットアーム等のように対象物を掴む機構で分離することが難しい。このような課題に対して、上述した分離システム100では、対象物が鉄スクラップである場合にも、分離装置30による動作によって異物を適切に分離することが可能となる。
【0114】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10…搬送装置、11…分離領域、12…第一領域、13…第二領域、20…センサー、21…検知範囲、30…分離装置、31…搬送方向切替器、40…判定装置、41…通信部、42…記憶部、43…制御部、50…提供装置、60…重機、61…リフトマグネット、70…ネットワーク、80…集合対象物、81…所望物、82…異物、83…集合、90…情報処理装置、91…プロセッサー、92…主記憶装置、93…通信インターフェース、94…補助記憶装置、95…入出力インターフェース、96…内部バス、100…分離システム、101…搬送面、111…矢印、121…矢印、131…矢印、301…矢印、302…状態制御部、303…磁石、304…モーター、305…搬送帯、306…搬送制御部、307…搬送指示部、308…移動制御部、309…駆動部、421…推定モデル記憶部、431…情報制御部、432…判定部、433…分離制御部
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