(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016195
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
H04R1/02 108
H04R1/02 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119316
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小林 毅
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BC02
5D017BC14
5D017BC16
(57)【要約】
【課題】キャビネットからマイク素子に伝達される固体伝播音を十分に低減すること。
【解決手段】第1ガスケット(24)の対向面と第2ガスケット(28)の対向面との間に無端部材(34)が第1音響経路(24c)及び第2音響経路(28c)の開口部を囲むように設けられ、キャビネット(12)の内壁面(12f)に、第2方向(D2)の両側から第2ガスケット(28)の音孔(12h)側の部位を保持する一対の第1保持リブ(36)が形成されると共に、第2方向(D2)の両側から第2ガスケット(28)の音孔(12h)側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブ(38)が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの内部に設けられ、音声を集音するマイク素子が実装されたマイク基板と、
前記マイク基板に前記マイク素子を覆うように設けられ、前記キャビネットに対して非接触に構成され、前記マイク素子に連絡する第1音響経路が形成された第1ガスケットと、
前記キャビネットの内部に前記第1ガスケットと対向して設けられ、前記キャビネットに形成された音孔と前記第1音響経路とを連絡する第2音響経路が形成され、前記第2音響経路の前記音孔側の開口部の周縁部に前記キャビネットの内周面における前記音孔の周縁に圧接する環状の密閉リブが形成された第2ガスケットと、
前記第1ガスケットの対向面と前記第2ガスケットの対向面との間に前記第1音響経路及び前記第2音響経路の開口部を囲むように設けられた無端部材と、を備え、
前記キャビネットの内壁面に、前記音孔の孔線に平行な第1方向に直交する第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の部位を保持する一対の第1保持リブが形成されると共に、前記第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブが形成されている、電子機器。
【請求項2】
前記第2ガスケットの前記音孔側の部位に、各第1保持リブと嵌合させるための嵌合段部が形成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
各第1保持リブは、前記第2ガスケットのうち前記音孔側の部位のみに接触可能であり、各第2保持リブは、前記第2ガスケットのうち前記音孔側の反対側の部位のみに接触可能である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記キャビネットの内壁面における前記第1保持リブから前記第1方向に離隔した位置に、前記第1方向と前記第2方向に直交する第3方向の一方側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位の位置を規制する規制リブが形成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位は立ち上がる立ち上がり部を有し、前記立ち上がり部は、前記第3方向の他方側から前記規制リブに係止可能である、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記キャビネットは、首掛け可能になっている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を集音するマイク素子を内蔵した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器による通話、音声録音、又は音声操作等を行うために、電子機器にマイク素子を内蔵することがある。特許文献1に示す電子機器においては、電子機器のキャビネット(特許文献1ではカバーと称される)の内部にマイク素子(特許文献1ではマイクと称される)を取付けるためのマイク取付構造を備えており、マイク取付構造の構成は、次の通りである。
【0003】
キャビネットには、音声を導入するための音孔(特許文献1ではマイク穴と称される)が形成されており、キャビネットの内壁面における音孔の周縁部には、環状のV溝が形成されている。キャビネットの内部には、マイク素子を覆うように保持する保持部材が設けられており、マイク素子は、音孔に対向して配置される。保持部材は、キャビネットと電池ボックスによって挟持されている。また、保持部材における音孔側には、キャビネットのV溝に圧接する環状の密接リブ(特許文献1ではリブと称される)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の電子機器においては、密接リブがキャビネットのV溝に圧接することで、キャビネットの内部からノイズがマイク素子に入ることを防止できるものの、例えばユーザの指等の物体がキャビネットに接触した場合に、キャビネットからマイク素子に伝達される振動を抑えることができない。そのため、前述の場合には、キャビネットからマイク素子に伝達される固体伝播音を十分に低減することができず、マイク素子に集音される音声の音質が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、キャビネットの内部からノイズがマイク素子に入ることを十分に防止ししつつ、物体がキャビネットに接触した場合においても、マイク素子に集音される音声の音質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様は、キャビネットの内部に設けられ、音声を集音するマイク素子が実装されたマイク基板と、前記マイク基板に前記マイク素子を覆うように設けられ、前記キャビネットに対して非接触に構成され、前記マイク素子に連絡する第1音響経路が形成された第1ガスケットと、前記キャビネットの内部に前記第1ガスケットと対向して設けられ、前記キャビネットに形成された音孔と前記第1音響経路とを連絡する第2音響経路が形成され、前記第2音響経路の前記音孔側の開口部の周縁部に前記キャビネットの内周面における前記音孔の周縁に圧接する環状の密閉リブが形成された第2ガスケットと、前記第1ガスケットの対向面と前記第2ガスケットの対向面との間に前記第1音響経路及び前記第2音響経路の開口部を囲むように設けられた無端部材と、を備える。前記キャビネットの内壁面に、前記音孔の孔線に平行な第1方向に直交する第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の部位を保持する一対の第1保持リブが形成されると共に、前記第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブが形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、キャビネットの内部からノイズがマイク素子に入ることを十分に防止ししつつ、物体がキャビネットに接触した場合においても、マイク素子に集音される音声の音質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置の模式的な斜視図である。
【
図2】
図1の下側から見た本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置の模式的な斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るマイク取付構造の模式的な断面図である。
【
図4】本実施形態に係るマイク取付構造の一部の模式的な拡大断面図である。
【
図5】本実施形態に係る第2ガスケットの模式的な斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る第2ガスケットを密閉リブ側から見た模式的な正面図である。
【
図7】本実施形態に係る第2ガスケットがキャビネットに収容された状態を示す模式的な平面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、環状とは、円環状、長円環状、矩形環状、多角形環状を含む意である。
【0011】
図1から
図8を参照して、本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10の具体的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10の模式的な斜視図である。
図2は、
図1の下側から見た本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10の模式的な斜視図である。
図3は、本実施形態に係るマイク取付構造20の模式的な断面図である。
図4は、本実施形態に係るマイク取付構造20の一部の模式的な拡大断面図である。
図5は、本実施形態に係る第2ガスケット28の模式的な斜視図である。
図6は、本実施形態に係る第2ガスケット28を密閉リブ30側から見た模式的な正面図である。
図7は、本実施形態に係る第2ガスケット28がキャビネット12に収容された状態を示す模式的な平面図である。
図8は、
図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0012】
(ウェアラブルスピーカ装置10の概要)
図1及び2に示すように、本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10は、ユーザの首に掛けた状態で使用可能な電子機器であり、例えばテレビジョン受信機、スマートフォン等の外部機器から送信された音声を出力する。ウェアラブルスピーカ装置10は、外部機器であるスマートフォンを用いた音声通話において、音声の入出力に利用することができる。
【0013】
(キャビネット12、筐体部12a、連結部12b)
図1及び
図2に示すように、ウェアラブルスピーカ装置10は、逆U字状のキャビネット12を備えており、キャビネット12は、首掛け可能である。キャビネット12は、一対のアーム状の筐体部12aと、一対の筐体部12aの基端を連結する中空状の連結部12bを有している。キャビネット12の各筐体部12aは、例えば樹脂等により構成されている。キャビネット12の各筐体部12aは、開口を有した筐体本体部12abと、筐体本体部12abの開口を覆うように設けれた筐体カバー部12acとを有している。キャビネット12の連結部12bは、撓み変形可能であり、例えばエラストマー材料により構成されている。
【0014】
(スピーカ14、放音部16、マイク素子18)
図1に示すように、キャビネット12の各筐体部12aの基端側の内部には、音声を出力するスピーカ14が設けられている。キャビネット12の各筐体部12aの基端側には、スピーカ14から出力された音声を放音するための放音部16が設けられており、各放音部16は、複数の放音孔を有している。キャビネット12における一方の筐体部12aの先端側の内部には、音声を集音するマイク素子18が設けられている。
【0015】
(通信部、制御部)
図1に示すように、キャビネット12の内部には、例えばテレビジョン受信機、音声再生装置、及びスマートフォン等の外部機器と無線通信を行う通信部(不図示)が設けられている。通信部は、アンテナ及び通信モジュール等により構成されている。通信部の通信方式としては、例えば422MHz帯又は440MHz帯の周波数帯が用いられる。中継器(不図示)を介して外部機器と無線通信を行う場合には、通信部の通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)のような440MHz帯の周波数帯が用いられる。
【0016】
キャビネット12の内部には、スピーカ14、マイク素子18、及び通信部を統括的に制御する制御部(不図示)を備えており、制御部は、マイクロコンピュータにより構成されている。制御部は、通信部から取得した電気信号を増幅して、スピーカ14に出力する。制御部は、マイク素子18から取得した音声を電気信号に変換して、通信部に出力する。
【0017】
(マイク取付構造20の概要)
図3に示すように、ウェアラブルスピーカ装置10は、キャビネット12における一方の筐体部12aの先端側の内部にマイク素子18を取付けるためのマイク取付構造20を備えている。そして、マイク取付構造20の具体的な内容は、次の通りである。
【0018】
(音孔12h、マイク基板22、マイク素子18、マイク孔18h)
図1、
図3、及び
図4に示すように、キャビネット12における一方の筐体部12aの先端側には、音声を導入するための音孔12hが貫通して形成されており、音孔12hの断面は、円形状に形成されている。また、キャビネット12における一方の筐体部12aの先端側の内部には、マイク素子18を制御するためのマイク基板22が基板ホルダ(不図示)を介して設けられており、マイク基板22は、キャビネット12の音孔12hの近傍に配置されている。マイク基板22は、キャビネット12の内壁面12fに対して非接触に構成されている。マイク基板22には、矩形状のマイク素子18が実装されており、マイク素子18には、音声を集音するための円形のマイク孔(集音孔)18hが形成されている。
【0019】
(第1ガスケット24、第1音響経路24c)
図3及び
図4に示すように、マイク基板22には、第1ガスケット24がマイク素子18を覆うように設けられており、第1ガスケット24は、両面テープ26によってマイク基板22に固定されている。第1ガスケット24は、弾性変形可能であり、例えばゴム、ガラス繊維を含むゴム、又はフッ素樹脂等により構成されている。第1ガスケット24は、キャビネット12の内壁面12fに対して非接触に構成されている。第1ガスケット24は、マイク素子18に収容するための矩形状の収容凹部24dを有している。
【0020】
第1ガスケット24には、マイク素子18のマイク孔18hに連絡する長孔状の第1音響経路24cが貫通して形成されており、第1音響経路24cは、収容凹部24dに連通している。第1ガスケット24の第1音響経路24cが長孔状に形成されることで、第1ガスケット24の収容凹部24dがマイク素子18に収容されると、第1ガスケット24の第1音響経路24cがマイク素子18のマイク孔18hに整合するように構成されている。
【0021】
(第2ガスケット28、第2音響経路28c、密閉リブ30)
図3から
図6に示すように、キャビネット12における一方の筐体部12aの先端側の内部には、第2ガスケット28が第1ガスケット24と対向して設けられている。第2ガスケット28は、キャビネット12の内壁面12fによって音孔12hの孔線に平行な第1方向D1の両側から圧縮された状態で設置されている。第2ガスケット28は、弾性変形可能であり、例えばゴム、ガラス繊維を含むゴム、又はフッ素樹脂等により構成されている。ここで、音孔12hの孔線とは、音孔12hの中央を通る軸のことであり、音孔12hの中心を通るもの(軸心)であってもよいし、通らないものであってもよい。
【0022】
第2ガスケット28には、キャビネット12の音孔12hと第1ガスケット24の第1音響経路24cとを連絡する第2音響経路28cが貫通して形成されている。第2ガスケット28の第2音響経路28cの一端部は、キャビネット12の音孔12hに連通しており、第2ガスケット28の第2音響経路28cの他端部は、第1ガスケット24の第1音響経路24cに連通している。第2ガスケット28の第2音響経路28cの側断面形状は、L字形状に形成されている。第2ガスケット28の第2音響経路28cの一端部側の開口部は、円形状に形成されており、第2ガスケット28の第2音響経路28cの他端部側の開口部は、矩形状に形成されている。なお、第2ガスケット28の第2音響経路28cの他端部側の開口部が円形状に形成されてもよい。
【0023】
第2ガスケット28における第2音響経路28cの音孔12h側の開口部の周縁部には、キャビネット12の内壁面12fにおける音孔12hの周縁に圧接する円環状の密閉リブ30が形成されている。密閉リブ30の一部は、その圧接によって潰れた状態になる。
図3及び
図4には、密閉リブ30の一部の潰れる前の状態を二点鎖線で示している。なお、密閉リブ30は、防水シート(不図示)を介してキャビネット12の内壁面12fにおける音孔12hの周縁に圧接してもよい。防水シートは、キャビネット12の内壁面12fに音孔12hを覆うように設けられ、音を通過させることができる。
【0024】
第2ガスケット28の対向面28fには、矩形枠状の無端リブ34が第2音響経路28cの他端部側の開口部を囲むように形成されている。無端リブ34は、第1ガスケット24の対向面24fにおける第1音響経路24cの開口部を囲んでいる。換言すれば、第1ガスケット24の対向面24fと第2ガスケット28の対向面28fとの間には、無端部材としての無端リブ34が第1音響経路24c及び第2音響経路28cの開口部を囲むように設けられている。無端リブ34は、第1ガスケット24の対向面24fにおける第1音響経路24cの開口部の周縁部に圧接し、無端リブ34の一部は、その圧接によって潰れた状態になる。
図3及び
図4には、無端リブ34の一部の潰れる前の状態を二点鎖線で示している。
【0025】
なお、第2ガスケット28の対向面28fとは、第2ガスケット28の表面のうち、第1ガスケット24に対向する面のことをいう。第1ガスケット24の対向面24fとは、第1ガスケット24の表面のうち、第2ガスケット28に対向する面のことをいう。無端リブ34の矩形枠状に形成する代わりに、環状、矩形枠状以外の多角枠状にしてもよい。無端リブ34に凹凸が形成されてもよい。密閉リブ30を第1密閉リブと称した場合に、無端リブ34は第2密閉リブと称してもよい。
【0026】
(第1保持リブ36、嵌合段部28s、第2保持リブ38)
図7に示すように、キャビネットの内壁面における音孔12hの近傍には、第1方向D1に直交する第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の部位を保持する一対の第1保持リブ36が形成されている。一対の第1保持リブ36は、第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の部位の位置を規制する。各第1保持リブ36は、第2ガスケット28のうち音孔12h側の部位のみに接触可能である。また、第2ガスケット28の音孔12h側の部位には、各第1保持リブ36と嵌合させるための嵌合段部28sが形成されている。
【0027】
キャビネットの内壁面における第1保持リブ36から第1方向D1に離隔した位置には、第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブ38が形成されている。一対の第2保持リブ38は、第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位の位置を規制する。各第2保持リブ38は、第2ガスケット28のうち音孔12h側の反対側の部位のみに接触可能である。
【0028】
(規制リブ40、立ち上がり部42)
図3、
図7、及び
図8に示すように、キャビネット12の内壁面12fにおける第1保持リブ36から第1方向D1に離隔した位置には、第1方向D1と第2方向D2に直交する第3方向D3の一方側(
図3及び
図8において上方向)から第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位の位置を規制する規制リブ40が形成されている。また、第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位は、立ち上がる立ち上がり部42(
図5及び
図6参照)を有しており、立ち上がり部42は、第3方向の他方側(
図3及び
図8において下方向)から規制リブ40に係止可能である。規制リブ40は、第2ガスケット28のうち立ち上がり部42のみに接触可能である。なお、第1保持リブ36を第1規制リブと称しかつ第2保持リブ38を第2規制リブと称した場合に、規制リブ40を第3規制リブと称してもよい。規制リブ40は、キャビネット12に形成されたUSBポート44の周辺を補強する機能を有している。
【0029】
(作用効果)
本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10の構成によれば、前述のように、マイク素子18を覆う第1ガスケット24がキャビネット12に対して非接触に構成されている。また、第1ガスケット24の対向面と第2ガスケット28の対向面が無端部材としての無端リブ34を介して局所的に接触する。そのため、物体の一例としてユーザの毛髪がキャビネット12に接触した場合においても、キャビネット12から第2ガスケット28及び第1ガスケット24を経由してマイク素子18に伝達される振動を低減することができる。これにより、前述の場合においても、キャビネット12からマイク素子18に伝達される固体伝播音を十分に低減して、マイク素子18に集音される音質を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10の構成によれば、前述のように、キャビネット12の内壁面12fに、第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の部位を保持する一対の第1保持リブ36が形成されている。キャビネット12の内壁面12fにおける第1保持リブ36から第1方向D1に離隔した位置に、第2方向D2の両側から第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブ38が形成されている。そのため、第2ガスケット38が音孔12hの孔線に対して多少傾いても、密閉リブ30の圧接状態を密閉リブ30の周方向に沿って略均一に保って、密閉リブ30の密閉性を高めることができる。これにより、キャビネット12の内部からノイズがマイク素子18に入ることを十分に防止して、マイク素子18に集音される音質の高めることができる。
【0031】
従って、本実施形態に係るウェアラブルスピーカ装置10によれば、キャビネット12の内部からノイズがマイク素子18に入ることを十分に防止しつつ、物体の一例としてユーザの毛髪がキャビネットに接触した場合においても、マイク素子18に集音される音質を高めることができる。
【0032】
第2ガスケット28の音孔12h側の部位に各第1保持リブ36と嵌合させるための嵌合段部28sが形成されている場合には、第2ガスケット28の音孔12h側の部位が音孔12hの孔線に対して傾くことを抑えて、密閉リブ30の密閉性をより高めることができる。これにより、キャビネット12の内部からノイズがマイク素子18に入ることをより十分に防止して、マイク素子18に集音される音質をより高めることができる。
【0033】
キャビネット12の内壁面12fにおける第1保持リブから第1方向D1に離隔した位置に規制リブ40が形成されている場合には、第2ガスケット28の音孔12h側の部位が音孔12hの孔線に対して傾くことを抑えて、密閉リブ30の密閉性をより高めることができる。これにより、キャビネット12の内部からノイズがマイク素子18に入ることをより十分に防止して、マイク素子18に集音される音質をより高めることができる。
【0034】
各第1保持リブ36が第2ガスケット28のうち音孔12h側の部位のみに接触可能であり、各第2保持リブ38が第2ガスケット28のうち音孔12h側の反対側の部位のみに接触可能であり、規制リブ40が第2ガスケット28のうち立ち上がり部42のみに接触可能である。この場合には、各第1保持リブ36と第2ガスケット28との接触面積、各第2保持リブ38と第2ガスケット28との接触面積、及び規制リブ40と第2ガスケット28との接触面積を極力減らして、キャビネット12から第2ガスケット28を経由してマイク素子18に伝達される振動をより低減することができる。これにより、キャビネット12からマイク素子18に伝達される固体伝播音を十分に低減して、マイク素子18に集音される音質をより高めることができる。
【0035】
立ち上がり部42が第3方向D3の他方側から規制リブ40に係止可能である場合には、立ち上がり部42を規制リブ40に第3方向D3の他方側から係止させることで、第2ガスケット28の音孔12h側の反対側の部位の位置が規制される。これにより、キャビネット12に対する第2ガスケット28の組付けが容易になり、ウェアラブルスピーカ装置10の組立性を高めることができる。
【0036】
(その他の実施形態)
第2ガスケット28の対向面28fに矩形枠状の無端リブ34が形成される代わりに、第1ガスケット24の対向面24fに矩形枠状の無端リブ(不図示)が第1音響経路24cの開口部を囲むように形成されてもよい。無端リブは、第2ガスケット28の対向面28fにおける第2音響経路28cの他端部側の開口部を囲んでもよい。換言すれば、第1ガスケット24の対向面24fと第2ガスケット28の対向面28fとの間に、無端部材としての無端リブが第1音響経路24c及び第2音響経路28cの開口部を囲むように設けられてもよい。この場合には、無端リブは、第2ガスケット28の対向面28fにおける第2音響経路28cの開口部の周縁部に圧接し、無端リブの一部は、その圧接によって潰れた状態になる。
【0037】
また、第1ガスケット24の対向面24fと第2ガスケット28の対向面28fとの間に無端リブ34等の無端部材が設けられる代わりに、無端スペーサ又はOリング等の他の無端部材が設けられるようにしてもよい。
【0038】
更に、第2ガスケット28は、2つの分割ガスケット(不図示)に分割して構成されてもよい。この場合には、各分割ガスケットは、その分割面に、第2音響経路28cの開口部を有している。
【0039】
また、第1ガスケット24と第2ガスケット28を一体化して1つのガスケット(不図示)にしてもよい。この場合には、1つのガスケットにおける第1ガスケット24に相当する部分がマイク基板22にマイク素子18を覆うように設けられる。1つのガスケットには、キャビネット12の音孔12hとマイク素子18のマイク孔18hに連絡する音響経路(不図示)が形成される。1つのガスケットにおける第2ガスケット28に相当する部分であって音響経路の音孔12h側の開口部の周縁部には、キャビネット12の内壁面12fにおける音孔12hの周縁に圧接する円環状の密閉リブ(不図示)が形成される。
【0040】
また、ウェアラブルスピーカ装置10に適用したマイク取付構造を、例えばテレビジョン受信機、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末機、加熱調理器等のウェアラブルスピーカ装置10以外の電子機器に適用してもよい。
【0041】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電子機器は、キャビネットの内部に設けられ、音声を集音するマイク素子が実装されたマイク基板と、前記マイク基板に前記マイク素子を覆うように設けられ、前記キャビネットに対して非接触に構成され、前記マイク素子に連絡する第1音響経路が形成された第1ガスケットと、前記キャビネットの内部に前記第1ガスケットと対向して設けられ、前記キャビネットに形成された音孔と前記第1音響経路とを連絡する第2音響経路が形成され、前記第2音響経路の前記音孔側の開口部の周縁部に前記キャビネットの内周面における前記音孔の周縁に圧接する環状の密閉リブが形成された第2ガスケットと、前記第1ガスケットの対向面と前記第2ガスケットの対向面との間に前記第1音響経路及び前記第2音響経路の開口部を囲むように設けられた無端部材と、を備える。前記キャビネットの内壁面に、前記音孔の孔線に平行な第1方向に直交する第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の部位を保持する一対の第1保持リブが形成されると共に、前記第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブが形成されている。
【0042】
前記の構成によれば、前述のように、前記マイク素子を覆う前記第1ガスケットが前記キャビネットに対して非接触に構成されている。また、前記第1ガスケットの対向面と前記第2ガスケットの対向面が前記無端部材を介して局所的に接触する。そのため、物体が前記キャビネットに接触した場合においても、前記キャビネットから前記第2ガスケット及び前記第1ガスケットを経由して前記マイク素子に伝達される振動を低減することができる。これにより、前述の場合においても、前記キャビネットから前記マイク素子に伝達される固体伝播音を十分に低減して、前記マイク素子に集音される音質を高めることができる。
【0043】
また、前述のように、前記キャビネットの内壁面に、前記第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の部位を保持する一対の第1保持リブが形成されると共に、前記第2方向の両側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位を保持する一対の第2保持リブが形成されている。そのため、前記第2ガスケットが前記音孔の孔線に対して多少傾いても、前記密閉リブの圧接状態を前記密閉リブの周方向に沿って略均一に保って、前記密閉リブの密閉性を高めることができる。これにより、前記キャビネットの内部からノイズが前記マイク素子に入ることを十分に防止して、前記マイク素子に集音される音質の高めることができる。
【0044】
本発明の態様2に係る電子機器は、前記態様1において、前記第2ガスケットの前記音孔側の部位に、各第1保持リブと嵌合させるための嵌合段部が形成されてもよい。
【0045】
前記の構成によれば、前記第2ガスケットの前記音孔側の部位が前記音孔の孔線に対して傾くことを抑えて、前記密閉リブの密閉性をより高めることができる。
【0046】
本発明の態様3に係る電子機器は、前記態様1又は2において、各第1保持リブは、前記第2ガスケットのうち前記音孔側の部位のみに接触可能であり、各第2保持リブは、前記第2ガスケットのうち前記音孔側の反対側の部位のみに接触可能であってもよい。
【0047】
前記の構成によれば、各第1保持リブと前記第2ガスケットとの接触面積、及び各第2保持リブと前記第2ガスケットとの接触面積を極力減らして、前記キャビネットから前記第2ガスケットを経由して前記マイク素子に伝達される振動をより低減することができる。これにより、前記キャビネットから前記マイク素子に伝達される固体伝播音を十分に低減して、前記マイク素子に集音される音質をより高めることができる。
【0048】
本発明の態様4に係る電子機器は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記キャビネットの内壁面における前記第1保持リブから前記第1方向に離隔した位置に、前記第1方向と前記第2方向に直交する第3方向の一方側から前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位の位置を規制する規制リブが形成されてもよい。
【0049】
前記の構成によれば、前記第2ガスケットの前記音孔側の部位が前記音孔の孔線に対して傾くことを抑えて、前記密閉リブの密閉性をより高めることができる。
【0050】
本発明の態様5に係る電子機器は、前記態様4において、前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位は立ち上がる立ち上がり部を有し、前記立ち上がり部は、前記第3方向の他方側から前記規制リブに係止可能であってもよい。
【0051】
前記の構成によれば、前記立ち上がり部を前記規制リブに前記第3方向の他方側から係止させることで、前記第2ガスケットの前記音孔側の反対側の部位の位置が規制される。これにより、前記キャビネットに対する前記第2ガスケットの組付けが容易になり、前記電子機器の組立性を高めることができる。
【0052】
本発明の態様6に係る電子機器は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記キャビネットは、首掛け可能になってもよい。
【0053】
前記の構成によれば、物体の一例としてユーザの毛髪が前記キャビネットに接触した場合においても、前記キャビネットから前記マイク素子に伝達される固体伝播音を十分に低減して、前記マイク素子に集音される音質を高めることができる。
【0054】
〔付記事項〕
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10 ウェアラブルスピーカ装置(電子機器)
12 キャビネット
12a 筐体部
12ab 筐体本体部
12ac 筐体カバー部
12b 連結部
12f 内壁面
12h 音孔
14 スピーカ
16 放音部
18 マイク素子
18h マイク孔
20 マイク取付構造
22 マイク基板
24 第1ガスケット
24c 第1音響経路
24d 収容凹部
24f 対向面
26 両面テープ
28 第2ガスケット
28c 第2音響経路
28f 対向面
28s 嵌合段部
30 密閉リブ
34 無端リブ(無端部材)
36 第1保持リブ
38 第2保持リブ
40 規制リブ
42 立ち上がり部
44 USBポート
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向