(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016200
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】介護施設に設けられるランドリールームおよび介護施設に設けられるランドリールームの作業方法
(51)【国際特許分類】
D06F 95/00 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
D06F95/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119324
(22)【出願日】2023-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年6月5日に洗濯代行 楽にて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】511265305
【氏名又は名称】有限会社ウィンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 伸光
(57)【要約】
【課題】介護施設に設けられるランドリールームおよびそのランドリールームに洗濯専任スタッフを配置して洗濯作業を行う介護施設に設けられるランドリールームの洗濯作業方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームは、少なくとも1つの業務用洗濯機と、少なくとも1つの業務用乾燥機と、前記業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、前記業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの業務用洗濯機と、
少なくとも1つの業務用乾燥機と、
前記業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、
前記業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、
を有することを特徴とする介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項2】
前記介護施設の入居者数が25名以内である場合、
前記業務用洗濯機は小型機1台であり、前記業務用乾燥機は中型機2台又は2段式中型機1台である
ことを特徴とする請求項1に記載の介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項3】
前記介護施設の入居者数が50名以内である場合、
前記業務用洗濯機は小型機1台と中型機1台であり、前記業務用乾燥機は中型機2台又は2段式中型機1台と大型機1台である
ことを特徴とする請求項1に記載の介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項4】
前記業務用洗濯機および前記業務用乾燥機を用いた洗濯・乾燥・仕上げ作業を1名の専任スタッフにて作業することを特徴とする請求項2又は3に記載の介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項5】
複数台の業務用洗濯機と、
複数台の業務用乾燥機と、
前記複数台の業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、
前記複数台の業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、
を有し、
近隣の介護施設からの被洗濯物を受け入れ、洗濯代行を行うことを特徴とする介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項6】
前記仕上げ作業台の近くには、前記仕上げ作業台での仕上げ作業を終えた被洗濯物を入居者毎に分けて収納するオープン棚が設けられていることを特徴とする請求項1又は5に記載の介護施設に設けられるランドリールーム。
【請求項7】
少なくとも1つの業務用洗濯機と、少なくとも1つの業務用乾燥機と、前記業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、前記業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、を有する介護施設のランドリールームの作業方法であって、
複数の洗濯バサミが連結された連結洗濯バサミを用いて、少なくとも乾燥作業前に被洗濯物を挟む工程を有し、当該工程では、
色又は模様の異なる前記連結洗濯バサミを複数用意し、その異なる連結洗濯バサミを対象の入居者毎に分けて前記被洗濯物を挟むことを特徴とする介護施設に設けられるランドリールームの作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、介護施設に設けられるランドリールームおよび介護施設に設けられるランドリールームの作業方法。
【背景技術】
【0002】
介護施設(療養施設、老人ホーム等も含む)では、入居者から出る洗濯物を施設従事者(介護スタッフ、看護スタッフ)が介護業務又は看護業務の合間をぬって洗濯乾燥作業を行っている状況にある。その殆どの施設では、一般的な家庭用洗濯機を複数台用いて洗濯し、外に天日干し(自然乾燥)するスタイルで洗濯業務が行われている。例えば、介護施設では2日に一度風呂に入ることになっているので、例えば50人の施設では、毎日25名の洗濯物を洗濯する必要がある。25名分の洗濯物を洗濯するために、複数の介護スタッフが手分けして、複数台の家庭用洗濯機をフル稼働して作業する必要があった。
【0003】
また、洗濯後の天日干しでは、誰の洗濯物であるかを分かるように仕分けしておかなければならず、乾燥作業に手間が掛かっていた。乾燥を家庭用乾燥機で実施する場合は、入居者毎に洗濯物を洗濯ネットに入れたままでの乾燥となるので、洗濯物が塊となった状態での乾燥となる。このため、バラバラの洗濯物の乾燥時間に比べ長い時間が必要となるので、必然的に電気代が高くなる。洗濯ネット内で乾燥した洗濯物には、皺くちゃの状態となっているので、折り畳み作業が必要となる。
【0004】
これらの状況を踏まえ、施設における洗濯作業に掛る人件費等を試算すると、例えば50人の入居者の洗濯を行うために、毎月約60万円以上もの労務費用が掛かることが分かった。また、50人分の洗濯業務を行うのに、一般的な介護施設では3名の介護スタッフが一日に4時間程度の時間(トータル3×4=12時間)が奪われている。本来の介護業務が削減された業務環境になっていると言わざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-35500号公報
【特許文献2】特開2003-290600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、介護施設に設けられるランドリールームおよびそのランドリールームに洗濯専任スタッフを配置して洗濯・乾燥作業を行う介護施設に設けられるランドリールームの作業方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームは、少なくとも1つの業務用洗濯機と、少なくとも1つの業務用乾燥機と、前記業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、前記業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームの作業方法は、少なくとも1つの業務用洗濯機と、少なくとも1つの業務用乾燥機と、前記業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンクと、前記業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台と、を有する介護施設のランドリールームの作業方法であって、複数の洗濯バサミが連結された連結洗濯バサミを用いて、少なくとも乾燥作業前に被洗濯物を挟む工程を有し、当該工程では、色又は模様の異なる前記連結洗濯バサミを複数用意し、前記異なる連結洗濯バサミを対象の入居者毎に分けて前記被洗濯物を挟むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームの第1モデルを示す図である。
【
図2】実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームの第2モデルを示す図である。
【
図3】実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームの第3モデルを示す図である。
【
図4】仕上げ作業台の上部壁面等に取り付けられるオープン棚の形状を示す図であり、同(a)は正面図、同(b)は側面図を示す図である。
【
図5】(a)は、仕分け作業台の上に載置される洗濯物の折り畳みプレートの形状を示す図である。同(b)は、折り畳みプレートのサンプルである。
【
図6】ランドリールームにおける作業工程の手順を示すフローチャートである。
【
図7】(a)は、入居者からの被洗濯物が収集された洗濯ネットの一例を示す写真である。(b)は、業務用洗濯機に洗濯ネットを入れて、洗濯している状態の一例を示す写真である。
【
図8】PC等から収集された洗濯ネットの被洗濯物の情報を入力する作業台帳の一例を示す図である。
【
図9】(a)は、連結洗濯バサミにより1つに纏めた被洗濯物の一例を示す写真である。同(b)は、中型乾燥機で6人分を一緒に乾燥した一例を示す写真である。同(c)は、乾燥後の連結洗濯バサミの一例を示す写真である。
【
図10】(a)は乾燥機に使用する連結洗濯バサミの全体構成を示す図、(b)はハサミ部を拡大した図である。
【
図11】実施形態に係る複数の連結洗濯バサミを色分け(網掛け表示)した状態を示す図である。
【
図12】実施形態に係る乾燥機に使用する連結洗濯バサミの分岐接続部の他の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
最初に、実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームのモデルの幾つかを説明する。
図1は、実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームの第1モデルを示す図である。
図2は、同ランドリールームの第2モデルを示す図である。
図3は、同ランドリールームの第3モデルを示す図である。
【0011】
介護施設に設けられるランドリールームには、業務用洗濯機(コイン式)および業務用乾燥機(コイン式)が設置される。例えば、容量12Kg(小型機)の業務用洗濯機1台と、容量14Kg(中型機)の業務用乾燥機1台を用いると、約6人分の洗濯・乾燥を約60分で完了することが分かっている。なお、この場合、一人分の洗濯物を約1.3~1.5Kgと想定している。その洗濯物の内訳として、靴下1足50g、ズボン1枚g400g、下着1枚80g、肌着1枚130g、フェイスタオル1枚80g、バスタオル1枚300g、シャツ1枚200g、パジャマ1式400~500g等を想定している。
他の例として、新品のバスタオル20枚を容量12kgの業務用洗濯機に入れて洗濯(30分)。容量14kgの業務用乾燥機で重量を計測しながら乾燥すると、約30分で洗濯前と同じ重量になり、完全に乾燥させることが検証できた。
【0012】
図1のランドリールーム100には、容量12Kg(小型)の業務用洗濯機110を1台と、容量14Kg(中型)の業務用乾燥機120を2台(2段式を1台)、を配置した図を示している。この構成により、洗濯専用スタッフを1名の作業によって25人分の洗濯物を5時間以内で仕上げることが出来る。
またランドリールーム100には、布団類をスピード乾燥できる布団リフレッシャー(布団専用洗浄機とも言う)130が業務用洗濯機110と業務用乾燥機120の間に設置される。布団リフレッシャー130により、高温スチームで布団の消臭・除菌することが出来るので、入居者は清潔な布団で睡眠をとることが出来る。
【0013】
業務用洗濯機110の近くには、汚物シンク140が設置される。介護を受ける人たちからは、うんち等の汚物が着いた下着が出てくる。汚物シンク140を業務用洗濯機110の近くに設置することで、業務用洗濯機110に入れる前に汚物を落とす作業が出来るので、作業効率を高めることが出来る。また、業務用洗濯機110に必要な容量の水を貯える貯水槽(地下槽は省略)と、貯水槽の水を業務用洗濯機110に供給する給水ポンプ170も業務用洗濯機110の近くに配置される。
【0014】
業務用乾燥機120の開閉扉側の近くには仕上げ作業台150が配置される。仕上げ作業台150は、例えば横1800mm、縦(奥行き)800mm、高さ800mmである。仕上げ作業台150は、乾燥を終えた洗濯物を仕上げ作業(折り畳み等)に使用される。仕上げ作業台150が業務用乾燥機120の開閉扉側の近くに配置されているので、移動距離が短く(台車に移し替える手間も無く)、乾燥を終えた洗濯物の仕上げ作業を効率良く行うことが出来る。また、仕上げ作業台150の横には、事務机160が配置される。事務机160には、洗濯専任スタッフが操作するパソコン又はタブレット等のPCが設けられる。そのパソコン又はタブレット等からランドリールーム100における作業実績の入力や、今後の作業スケジュールの確認等が行えるので、介護施設と連携して効率良く洗濯・乾燥作業を行うことが出来る。
【0015】
図2のランドリールーム200には、容量12Kg(小型)の業務用洗濯機210を1台と、容量22Kg(中型)の業務用洗濯機220を1台と、容量25Kg(大型)の業務用乾燥機230を1台と、容量14Kg(中型)の2段式乾燥機240を1台(又は容量14Kgの業務用乾燥機2台でも可)、を配置した図を示している。またランドリールーム200には、
図1と同様に、布団類をスピード乾燥できる布団リフレッシャー250が業務用洗濯機220と業務用乾燥機230の間に設置される。
【0016】
この構成により、洗濯専用スタッフを1名の作業によって45~50人分の洗濯物を約6時間で仕上げることが出来る。洗濯専任スタッフは、洗濯・乾燥~洗濯物の仕分け(折り畳み等)作業を6時間の勤務で処理することになるので、従来12時間費やしていた洗濯・乾燥業務を1/2の時間で対処することが出来る。よって、費用削減にも繋がる。
【0017】
業務用洗濯機210、220の近くには、汚物シンク260が設置される。汚物シンク260を業務用洗濯機210、220の近くに設置することで、業務用洗濯機210、220に入れる前に汚物を落とす作業が出来るので、作業効率を高めることが出来る。また、業務用洗濯機210、220に必要な容量の水を貯える貯水槽と、貯水槽の水を業務用洗濯機210、220に供給する給水ポンプ270も業務用洗濯機210、220の近くに配置される。
【0018】
業務用乾燥機230、240の開閉扉側の近くには仕上げ作業台280が配置される。仕上げ作業台280は、乾燥を終えた洗濯物を折り畳む作業等に使用される。仕上げ作業台280が業務用乾燥機230、240の近くに配置されているので、移動距離が短く(台車に移し替える手間も無く)、仕上げ作業を効率良く行うことが出来る。また、作業台280の横には、パソコン又はタブレット等のPCが設けられた事務机290が配置される。そのパソコン又はタブレット等から、ランドリールーム200における作業実績の入力や、今後の作業スケジュールの確認等が行えるので、介護施設と連携して効率良く作業することが出来る。
【0019】
図3のランドリールーム300には、容量12Kg(小型)の業務用洗濯機310、315を2台と、容量22Kg(中型)の業務用洗濯機320、325を2台と、容量25Kg(大型)の業務用乾燥機330を1台と、容量14Kg(中型)の2段式乾燥機340、344、347を3台(又は容量14Kgの業務用乾燥機6台でも可)、を配置した図を示している。またランドリールーム300には、
図1と同様に、布団類をスピード乾燥できる布団リフレッシャー350が業務用洗濯機325と業務用乾燥機330の間に設置される。
【0020】
業務用洗濯機310、315、320、325の近くには、汚物シンク360が設置される。汚物シンク360を業務用洗濯機の近くに設置することで、業務用洗濯機に入れる前に汚物を落とす作業が出来るので、作業効率を高めることが出来る。また、業務用洗濯機310~325に必要な容量の水を貯える貯水槽と、貯水槽の水を業務用洗濯機310~325に供給する給水ポンプ370も業務用洗濯機310~325の近くに配置される。
【0021】
業務用乾燥機330~347の開閉扉側の近くには仕上げ作業台380が配置される。仕上げ作業台380は、乾燥を終えた洗濯物を仕上げ作業(折り畳み等)に使用される。仕上げ作業台380が業務用乾燥機330~347の近くに配置されているので、移動距離が短く(台車に移し替える手間も無く)、仕上げ作業を効率良く行うことが出来る。なお、洗い場にも作業台385を設けても良い。
【0022】
また、仕上げ作業台380の近くにはオープン棚388が配置される。
図4は、仕上げ作業台380の上部壁面等に取り付けられるオープン棚388の形状を示す図であり、同(a)は正面図、同(b)は側面図を示している。オープン棚388は、例えば横1800mm、縦800mm、奥行き400mmであり、3×4=12段の収納棚である。オープン棚388の各収納棚には、仕上げ作業台380で折り畳み作業等を終えた被洗濯物を入居者毎(後述する色又は模様で分別された連結洗濯バサミ毎)に12段に分けて収納することが出来る。1つの棚の大きさは、例えば横425mm、縦280mm、奥行き400mmである。
容量25Kg(大型)の業務用乾燥機330では、1回の動作で最大12名程度の乾燥処理を行うことが出来るので、12段のオープン棚388にて賄うことが出来る。なお、仕上げ作業台380の下側空きスペースには未使用の台車389等を収めるスペースとして活用しても良い。
【0023】
図5(a)は、仕分け作業台380の上に載置される洗濯物の折り畳みプレート387の形状を示す図である。同(b)は、折り畳みプレート387のサンプルである。折り畳みプレート387を用いてシャツ等を簡単に折り畳むことが出来る。なお、折り畳みプレート387は、天板落とし込み形状とすることにより、仕分け作業台380の上面にフラットな形状とすることが出来る。
【0024】
図3に戻り、エントランスの入り口には、近隣の介護施設からの洗濯物を受け入れる受付カウンター390が設けられる。更に、受付カウンター390の近くには、パソコン又はタブレット等のPCが設けられた事務机395が配置される。そのパソコン又はタブレット等から、ランドリールーム300における作業実績の入力や、今後の作業スケジュールの確認等が行えるので、介護施設の介護スタッフ等と連携して効率良く作業することが出来る。
【0025】
上述したランドリールーム300は、複数(多数)の業務用洗濯機と複数(多数)の業務用乾燥機を設置し、近隣の介護施設からの被洗濯物を預かって、その洗濯代行を行うモデルである。
例えば、一日100人分を洗濯する場合、一か月で3050人分を洗濯することになり、これを処理するのに洗濯専任スタッフ2名で対処することができる。
例えば、一日150人分を洗濯する場合、一か月で4575人分を洗濯することになり、これを処理するのに洗濯専任スタッフ3名で対処することができる。
例えば、一日200人分を洗濯する場合、一か月で6100人分を洗濯することになり、これを処理するのに洗濯専任スタッフ4名で対処することができる。
【0026】
図3に示したランドリールーム300の業務用洗濯機と業務用乾燥機の構成により、一日200人分を洗濯・乾燥を実施できる。
洗濯代行を事業化することで「事業再構築補助金」の対象となり、イニシャルコストを補えることが出来る。近隣の介護施設から依頼は有料とし、例えば一人当たり月額5000円程度の低額な料金で、近隣の介護施設入居者から二日に一回洗濯を受け入れることが出来るビジネスを構築できる。
他に、デイサービスを併設している施設の場合、デイサービス利用者の洗濯物をランドリールーム300でお預かりして、施設を利用中に洗濯・乾燥をして帰宅時にお返しするシステムとしても利用出来る。
【0027】
次に、
図1乃至
図3の示したランドリールーム100、200、300において実施される作業方法について説明する。
ランドリールームの作業方法の特徴は、複数の洗濯バサミが連結された連結洗濯バサミを用いて、すくなくとも乾燥作業前に被洗濯物を挟む工程を有することである。そして、その挟み工程では、色又は模様の異なる連結洗濯バサミを複数用意し、異なる連結洗濯バサミを対象の入居者毎に分けて被洗濯物を挟む方式としている。
【0028】
図6は、ランドリールーム100、200、300(以降、番号は省略)における作業工程の手順を示すフローチャートである。
最初に、例えば介護スタッフが、介護施設の入居者から被洗濯物を収集する。この時、入居者毎に被洗濯物を洗濯ネット(名札付き)に入れた状態で収集する(
図6のS100)。収集された多数の洗濯ネットは、ランドリールームに台車等で搬送される。ランドリールームの洗濯専任スタッフは、事務机(160、290、395)のPCを用いて洗濯ネット毎の被洗濯物の受付入力を行う。
【0029】
図7(a)は、入居者からの被洗濯物がランドリールームに収集された洗濯ネット400の一例を示す写真である。同(b)は、業務用洗濯機に洗濯ネット400を入れて、洗濯している状態の一例を示す写真である。
図8は、収集された洗濯ネット400の被洗濯物の情報をPCから入力する作業台帳410の一例を示している。作業台帳410には、作業の日付、部屋番号(又は入居者名)、洗濯物リスト、コメント等の入力項目が定められているので、簡単に入力できる。洗濯専任スタッフは、予め用意された共通の洗濯物リストから洗濯ネット毎の被洗濯物の数を△又は▽ボタンの操作で数を入力する(
図6のS110)。洗濯物リスト400に無い新たな品名がある場合は、自由に追加記入することができる。また、入居者毎に個別の洗濯物リストを事前に作成しておき、部屋番号入力に応じて個別の洗濯物リストを読み出して、当日の数を入力する方式でも良い。この入力情報は、PCから介護施設のサーバー等に保存されて、作業日報、作業月報、月および半期および年間の業務実績等の管理情報に供される。
【0030】
次に、洗濯専任スタッフは、収集した洗濯ネット400を
図7(b)に示すように業務用洗濯機に入れて、洗濯を行う。例えば、小型洗濯機では6名分に入れて洗濯することができる。また、中型洗濯機では12名分に入れて洗濯することができる(
図6のS120)。
【0031】
洗濯作業が終了すると、洗濯ネット400(入居者)毎に被洗濯物を連結洗濯バサミで挟んで1つに纏める。連結洗濯バサミは、後述するように複数の洗濯バサミが1つに繋がった形状である。
図9(a)は、連結洗濯バサミ440により1つに纏めた被洗濯物の一例を示す写真である。同(b)は、中型乾燥機で6人分を一緒に乾燥する時の一例を示す写真である。同(c)は、乾燥後の連結洗濯バサミ440の一例を示す写真である。このように、洗濯時は1人分をそのまま洗濯ネット400に入れ、乾燥時は洗濯ネット400から出して、連結洗濯バサミ440で挟んだ形態にして乾燥を行う。連結洗濯バサミ440に挟んだ被洗濯物は、例えば中型乾燥機では6名に入れて乾燥し、大型乾燥機では12名分に入れて乾燥する(
図6のS130)。
【0032】
このような洗濯・乾燥を実施することで、洗濯から乾燥まで1人分の洗濯物がバラバラにならず、取り違えを防ぐことが出来る。取り違えた場合、誰の物であるかを調べるために多くの時間が掛かっていたので、その作業ロスを大幅に改善できる。また、洗濯ネット400に入れたままでの乾燥では、被洗濯物が塊となって乾燥されるので仕上げ作業に手間が掛かるが、連結洗濯バサミ440で挟んだ被洗濯物はそれぞれ分離した状態で乾燥されるので仕上げ作業を手早く実施することが出来る。
【0033】
次に、洗濯専任スタッフは、乾燥を終えた被洗濯物を入居者毎に仕上げ作業(折り畳み等)を行い、オープン棚388に収納する(
図6のS140)。この時、作業台帳410の被洗濯物と仕上がった被洗濯物(連結洗濯バサミ440で繋がっている)とから、間違いないことを確認する。最後に、例えば介護スタッフが、オープン棚388から洗濯・乾燥を終えた被洗濯物を入居者毎に届けて作業を終了する(
図6のS150)。
なお、洗濯ネット400を使用しないで洗濯物を収集した場合(例えば、紙袋やビニール袋で収集)は、洗濯工程の段階で連結洗濯バサミ440を用いて当該洗濯物で挟んで洗濯する方法とする。
【0034】
次に、
図9に示した連結洗濯バサミ440の実施形態について説明する。
図10(a)は、連結洗濯バサミ440の全体構成を示している。また同(b)は、バサミ部を拡大した図を示している。連結洗濯バサミ440は、基本部450と、複数の分岐接続部455と、ハサミ部460と、複数の分岐接続部455と同数のハサミ部460とを接続する同数のリング部465とを有して構成されている。
【0035】
基本部450は円形にすると、直径が例えば100mmの大きさを有している。基本部450は、例えば8~10個の分岐接続部455が一体形成されている。基本部450および分岐接続部455は、柔らかいシリコン樹脂で形成される。分岐接続部455の先端は、取付輪が形成されており、その取付輪にリング部465を介してハサミ部460が接続されている。ハサミ部460は、
図10(b)に示すように、バネによって洗濯物500を挟む構造(市販のものでも良い)を有している。ハサミ部460およびリング部465は、例えばプラスチックで形成される。
なお、基本部450および分岐接続部455は、柔らかいシリコン樹脂で形成されているので、その形状は固定されるものではない。言い換えると、基本部450の形状は洗濯物を束に纏めるなど、自由に形成することが出来る。
【0036】
図11は、複数の連結洗濯バサミ440a乃至440fのように色分けした図を示している。
図11では、色分けの代わりに網掛け表示にて区別している。
図11では、基本部450の色を6色に色分け(網掛け)した例を示していが、その色分け数は任意である。例えば、大型乾燥機を使用した場合、一度に12名分を乾燥することが出来る。従って、12色の連結洗濯バサミ440を用意(併せて、色と洗濯物の持ち主の名前又は部屋番号の対照表も用意)しておけば、それぞれの洗濯物が誰のものか識別できるようになる。なお、色分けは基本部450だけでなく、分岐接続部455も合わせて色分けしても良い。色分けした複数の連結洗濯バサミ440a乃至440fにより、一人分の洗濯物がバラバラにならず、大勢の人数の洗濯物を扱う場合に取り間違えを防ぐことが出来る。ここでは、連結洗濯バサミ440a乃至440fを色分けするとしたが、連結洗濯バサミ440a乃至440f毎に模様を変えても良い。
【0037】
図12は、分岐接続部455の他の実施形態の形状を示している。
図10では、分岐接続部455とハサミ部460とをリング部465を用いて間接的に取り付ける構造であったが、
図12では分岐接続部455の先端部をクリップ形状にして、ハサミ部460を直接的に取り付ける構造としている。
【0038】
即ち、分岐接続部455の先端部にハサミ部460が取り付けられるように折り返し形状としている。その折り返し部470には、突起部475を形成する構造とする。また、折り返し部470の突起部475に対峙する分岐接続部455の水平部には切り込み部480を形成する。このような形状により、折り返し部470にハサミ部460のバネ水平部485を内側に挟んで、突起部475を切り込み部480に入れて固定することでハサミ部460を直接的に取り付けることが出来る。なお、分岐接続部455の水平部に突起部475を形成し、それに対峙する折り返し部470に切り込み部480を形成する構造としても良い。上述した連結洗濯バサミ440の詳細については、実用新案登録第3242598号を参照されたい。
【0039】
以上説明したように、実施形態に係る介護施設に設けられるランドリールームによれば、
(1)少なくとも小型洗濯機と、少なくとも中型乾燥機と、を配置する構成により、介護施設に入居される入居者からの被洗濯物を専任スタッフで処理することが出来る。
(2)例えば、小型洗濯機を1台と、中型乾燥機を2台(2段式を1台)、を配置する構成により、1名の洗濯専用スタッフの作業によって25人分の洗濯物を5時間以内で仕上げることが出来る。
(3)小型洗濯機を1台と、中型洗濯機を1台と、大型乾燥機を1台と、中型乾燥機を2台(2段式を1台)、を配置する構成により、1名の洗濯専用スタッフの作業によって45~50人分の洗濯物を約6時間で仕上げることが出来る。
(4)洗濯専任スタッフは、洗濯・乾燥~洗濯物の仕分け(折り畳み等)作業を6時間の勤務で処理することになるので、従来12時間費やしていた洗濯業務を1/2の時間(費用削減)で対処することが出来る。
(5)汚物シンクを業務用洗濯機の近くに設置することで、業務用洗濯機に入れる前に汚物を落とす作業が出来るので、作業効率を高めることが出来る。
(6)仕上げ作業台が業務用乾燥機の開閉扉側の近くに配置されているので、移動距離が短く(台車に移し替える手間も無く)、乾燥を終えた洗濯物の仕上げ作業を効率良く行うことが出来る。
(7)仕上げ作業台の近くにオープン棚が設けられているので、仕上げ作業台で折り畳み作業等を終えた被洗濯物を入居者毎に分けて収納することが出来る。
(8)色又は模様の異なる複数の連結洗濯バサミにより、一人分の洗濯物がバラバラにならず、大勢の人数の洗濯物を扱う場合に取り間違えを防ぐことが出来る。
【0040】
実施形態の介護施設のランドリールームは、少なくとも1つの業務用洗濯機110と、少なくとも1つの業務用乾燥機120と、業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンク140と、業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台150と、を有する構成である。これにより、介護施設に入居される入居者からの被洗濯物を専任スタッフで処理することが出来る。
【0041】
また実施形態の介護施設に設けられるランドリールームは、介護施設の入居者数が25名以内である場合、業務用洗濯機110は小型機1台であり、業務用乾燥機120は中型機2台又は2段式中型機1台とする構成である。これにより、1名の洗濯専用スタッフの作業によって25人分の洗濯物を5時間以内で仕上げることが出来る。
【0042】
また実施形態の介護施設に設けられるランドリールームは、介護施設の入居者数が50名以内である場合、業務用洗濯機は小型機1台210と中型機1台220であり、業務用乾燥機は中型機2台又は2段式中型機1台240と、大型機1台230とする構成である。これにより、1名の洗濯専用スタッフの作業によって45~50人分の洗濯物を約6時間で仕上げることが出来る。
【0043】
また実施形態の介護施設に設けられるランドリールームは、業務用洗濯機および業務用乾燥機を用いた洗濯・乾燥・仕上げ作業を1名の専任スタッフにて作業する構成である。これにより、介護施設に入居される入居者からの被洗濯物を1名の専任スタッフで処理することが出来る。
【0044】
実施形態の介護施設に設けられるランドリールームは、複数台の業務用洗濯機(310~325)と、複数台の業務用乾燥機(340~347)と、複数台の業務用洗濯機の近くに設けられた汚物シンク360と、複数台の業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台380と、を有し、近隣の介護施設からの被洗濯物を受け入れ、洗濯代行を行う構成とする。これにより、近隣の介護施設から依頼は有料とし、例えば一人当たり月額5000円程度の低額な料金で、近隣の介護施設入居者から二日に1回洗濯を受け入れることが出来るビジネスが構築できる。
【0045】
実施形態の介護施設に設けられるランドリールームは、仕上げ作業台(150、280、380)の近くには、仕上げ作業台での仕上げ作業を終えた被洗濯物を入居者毎に分けて収納するオープン棚388が設けられている。これにより、仕上げ作業台の近くにオープン棚が設けられているので、仕上げ作業台で折り畳み作業等を終えた被洗濯物を入居者毎に分けて収納することが出来る。
【0046】
実施形態の介護施設に設けられるランドリールームの作業方法は、少なくとも1つの業務用洗濯機110と、少なくとも1つの業務用乾燥機120と、業務用洗濯機120の近くに設けられた汚物シンク150と、業務用乾燥機の近くに設けられた仕上げ作業台150と、を有する介護施設のランドリールームの作業方法であって、複数の洗濯バサミが連結された連結洗濯バサミ440を用いて、少なくとも乾燥作業前に被洗濯物を挟む工程を有し、当該工程では、色又は模様の異なる連結洗濯バサミ440を複数用意し、その異なる連結洗濯バサミを対象の入居者毎に分けて被洗濯物を挟む方法とする。これにより、色又は模様の異なる複数の連結洗濯バサミにより、一人分の洗濯物がバラバラにならず、大勢の人数の洗濯物を扱う場合に取り間違えを防ぐことが出来る。
【0047】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
100、200、300…介護施設に設けられるランドリールーム
110、210、220、310、315、320、325…業務用洗濯機
120、230、240、340、344、347…業務用乾燥機
150、260、360…汚物シンク
150、280、380…仕分け作業台
160、290、395…事務机、387…折り畳みプレート
388…オープン棚、 400…洗濯ネット
440、440a~440f…連結洗濯バサミ
450…基本部、 455…分岐接続部
460…ハサミ部、 465…リング部、 500…被洗濯物