(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001621
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】塗装方法及び塗装系
(51)【国際特許分類】
B05D 1/38 20060101AFI20241225BHJP
C25D 13/00 20060101ALI20241225BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20241225BHJP
B05D 1/06 20060101ALI20241225BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B05D1/38
C25D13/00 307D
C25D13/00 308C
B05D3/02 C
B05D1/06 E
B05D7/24 301A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222114
(22)【出願日】2023-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2023100860
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 雅彦
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AA02
4D075AE06
4D075BB25Y
4D075BB68X
4D075BB89X
4D075DB02
4D075DC05
4D075DC10
4D075DC11
4D075EA02
4D075EA17
4D075EA19
4D075EB33
4D075EB38
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素排出量を低減できる塗装方法及び塗装系を提供する。
【解決手段】本発明に係る塗装方法は、基60材の表面に電着塗料20及び粉体塗料30を用いた塗装を施す塗装方法であって、前記基材の表面に前記電着塗料を付着させる電着塗装工程と、前記基材に付着した前記電着塗料の硬化温度よりも低い温度で、前記電着塗料の含水率を調整し、電着仮塗膜22を形成する含水率調整工程と、前記電着仮塗膜に前記粉体塗料を吹き付け、前記電着仮塗膜の上に粉体仮塗膜32を形成する粉体塗装工程であって、前記粉体仮塗膜の下層には、前記電着仮塗膜の表層に前記粉体塗料が侵入してなる未硬化混層40が形成される、粉体塗装工程と、前記粉体塗装工程を経た前記基材を、前記粉体塗料の硬化温度以上の高い温度で加熱することで、前記電着仮塗膜、前記未硬化混層及び前記粉体仮塗膜を硬化させた塗装系10を形成する加熱硬化工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に電着塗料及び粉体塗料を用いた塗装を施す塗装方法であって、
前記基材の表面に前記電着塗料を付着させる電着塗装工程と、
前記基材に付着した前記電着塗料の硬化温度よりも低い温度で、前記電着塗料の含水率を調整し、電着仮塗膜を形成する含水率調整工程と、
前記電着仮塗膜に前記粉体塗料を吹き付け、前記電着仮塗膜の上に粉体仮塗膜を形成する粉体塗装工程であって、前記粉体仮塗膜の下層には、前記電着仮塗膜の表層に前記粉体塗料が侵入してなる未硬化混層が形成される、粉体塗装工程と、
前記粉体塗装工程を経た前記基材を、前記粉体塗料の硬化温度以上の高い温度で加熱することで、前記電着仮塗膜、前記未硬化混層及び前記粉体仮塗膜を硬化させた塗装系を形成する加熱硬化工程と、
を含む塗装方法。
【請求項2】
前記含水率調整工程は、前記電着仮塗膜の含水率を30%以下に調整する、
請求項1に記載の塗装方法。
【請求項3】
前記含水率調整工程は、前記電着仮塗膜の含水率を2%超に調整する、
請求項2に記載の塗装方法。
【請求項4】
前記加熱硬化工程は、前記粉体塗料の前記硬化温度まで5℃/分以上15℃/分以下の温度勾配で温度上昇させる、
請求項3に記載の塗装方法。
【請求項5】
前記粉体塗料は、着色塗料である、
請求項4に記載の塗装方法。
【請求項6】
前記粉体塗料は、レーザー式回折の方法により特定される平均粒子径が、10μm以上、150μm以下である、
請求項5に記載の塗装方法。
【請求項7】
前記電着仮塗膜は、JIS K 5600-5-4:1999に基づいて測定される引っかき硬度が、5B以上H以下である、
請求項6に記載の塗装方法。
【請求項8】
前記電着塗料は、架橋系である、
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の塗装方法。
【請求項9】
前記電着塗料は、非架橋系である、
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の塗装方法。
【請求項10】
基材の表面に、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の塗装方法により形成される塗装系。
【請求項11】
基材の表面に形成される塗装系であって、
前記基材の前記表面側に電着塗装による電着塗膜と、前記電着塗膜の上に粉体塗装による粉体塗膜と、を有し、
前記電着塗膜と前記粉体塗膜との間には、電着塗料に粉体塗料が侵入した混層塗膜が形成されている、
塗装系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の塗装方法及び塗装系に関する。
【背景技術】
【0002】
農業機械、工作機械、建設機械、自動車などの基材を塗装する方法として、電着塗装が汎用されている。電着塗装によれば、基材などの塗装対象の表面に、均一かつ瑕疵のない塗装を施しやすく、防錆性に優れた塗装系を形成できる。
【0003】
電着塗装では、基材に塗装された電着塗料を、当該電着塗料に含まれる硬化剤の分解温度より高い温度に加熱することによって、三次元架橋反応を進行させて塗装系を形成させることが多い。そのため、一般的な電着塗装では、基材をおよそ160℃以上の高温で加熱する必要があり、二酸化炭素排出量を低減する観点で改善の余地があった。
【0004】
この課題に鑑み、特許文献1では、二種類の異なるエマルションを混合して構成されるカチオン電着塗料組成物が開示されている。特許文献1の技術によれば、高温焼き付け乾燥を行うことなく、三次元架橋反応を生じさせて塗装系を得ることができる。また、特許文献2では、10~120℃で乾燥および架橋工程を行うカチオン電着塗料の塗装方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-138842号公報
【特許文献2】国際公開第2020/166657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように架橋反応自体を従来の電着塗装方法から変更することや、特許文献2のように従来に比べて低い温度で架橋反応を行うことは、実績が少なく、特に防錆性の信頼度が劣る場合があった。
【0007】
そこで、従来使用されている電着塗料を使用しながら、二酸化炭素排出量を低減できる塗装方法及び塗装系の改善が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る塗装方法は、
基材の表面に電着塗料及び粉体塗料を用いた塗装を施す塗装方法であって、
前記基材の表面に前記電着塗料を付着させる電着塗装工程と、
前記基材に付着した前記電着塗料の硬化温度よりも低い温度で、前記電着塗料の含水率を調整し、電着仮塗膜を形成する含水率調整工程と、
前記電着仮塗膜に前記粉体塗料を吹き付け、前記電着仮塗膜の上に粉体仮塗膜を形成する粉体塗装工程であって、前記粉体仮塗膜の下層には、前記電着仮塗膜の表層に前記粉体塗料が侵入してなる未硬化混層が形成される、粉体塗装工程と、
前記粉体塗装工程を経た前記基材を、前記粉体塗料の硬化温度以上の高い温度で加熱することで、前記電着仮塗膜、前記未硬化混層及び前記粉体仮塗膜を硬化させた塗装系を形成する加熱硬化工程と、
を含む。
【0009】
前記含水率調整工程は、前記電着仮塗膜の含水率を30%以下に調整することが望ましい。
【0010】
前記含水率調整工程は、前記電着仮塗膜の含水率を2%超に調整することが望ましい。
【0011】
前記加熱硬化工程は、前記粉体塗料の前記硬化温度まで5℃/分以上15℃/分以下の温度勾配で温度上昇させることが望ましい。
【0012】
前記粉体塗料は、着色塗料とすることができる。
【0013】
前記粉体塗料は、レーザー式回折の方法により特定される平均粒子径が、10μm以上、150μm以下であることが望ましい。
【0014】
前記電着仮塗膜は、JIS K 5600-5-4:1999に基づいて測定される引っかき硬度が、5B以上H以下であることが望ましい。
【0015】
前記電着塗料は、架橋系とすることができる。
【0016】
前記電着塗料は、非架橋系とすることができる。
【0017】
また、本発明に係る塗装系は、
基材の表面に、上記した塗装方法により形成することができる。
【0018】
本発明に係る塗装系は、
基材の表面に形成される塗装系であって、
前記基材の前記表面側に電着塗装による電着塗膜と、前記電着塗膜の上に粉体塗装による粉体塗膜と、を有し、
前記電着塗膜と前記粉体塗膜との間には、電着塗料に粉体塗料が侵入した混層塗膜が形成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の塗装方法によれば、含水率調整工程では、電着塗料の硬化温度よりも低い温度で電着塗料の含水率を調整し、電着塗料の硬化と粉体塗料の硬化は一度の加熱硬化工程で行なう。従って、電着塗料を硬化させる程の高温を要する工程を一回に留めることができ、塗装方法全体としての消費エネルギー量を低減できる。
【0020】
また、本発明の塗装方法及び塗装系によれば、電着塗膜と粉体塗膜との間に、電着塗料に粉体塗料が侵入した混層を形成することができる。硬化前の混層(未硬化混層)の粘度は、粉体塗料の粘度よりも高いため、基材のコーナーなどの塗膜が薄くなりやすい箇所においても塗料が流失しにくく、十分な塗膜厚さ、すなわち、エッジカバー性を確保できる。さらには、電着塗料と粉体塗料が混ざった混層の存在により、電着塗膜と粉体塗膜の接合強度を高めることができ、塗膜の剥離等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る塗装方法の手順を示す断面図であって、電着塗装工程により形成された電着塗料層と基材の断面図である。
【
図2】
図2は、含水率調整工程により含水率が調整された電着仮塗膜を含む断面図である。
【
図3】
図3は、電着仮塗膜の表面に粉体塗料が侵入した状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、粉体塗装工程により電着仮塗膜上に形成された未硬化混層と粉体仮塗膜を含む断面図である。
【
図5】
図5は、加熱硬化工程中に電着仮塗膜から粉体仮塗膜をとおって蒸発する水分の経路を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る塗装系が形成された基材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る塗装方法及び塗装系10について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、以下では、本発明に係る塗装方法を、直角のコーナー61を有する基材60に適用した実施形態について説明するが、塗装面は、直角以外のコーナー、すなわち、直角よりも鋭角のコーナーや直角よりも鈍角のコーナー、アール形状を有するコーナー等であってもよい。また、塗装面は、平面だけでなく、曲面、その他、凸形状や凹形状を有する形態であってもよい。本発明の塗装方法及び塗装系10は、コーナー61における塗膜の厚さを確保できるエッジカバー性にすぐれるため、とくに120°以下のコーナー61を有する基材60の塗装に好適である。
【0023】
本発明の塗装方法は、電着塗装工程、含水率調整工程、粉体塗装工程、及び、加熱硬化工程を含み、基材60に対して電着塗料20と粉体塗料30を用いて基材60に塗装系10(塗膜)を形成するものである。本発明の塗装方法により、基材60の上には、
図6に示すように、電着塗料20に由来する電着塗膜23と粉体塗料30に由来する粉体塗膜33、また、電着塗膜23と粉体塗膜33との間に、電着塗料20に粉体塗料30が侵入した混層塗膜41と、を含む塗装系10が形成される。なお、説明をわかりやすくするため、図示では各層の厚さを強調して描写するが、実際には、各層の厚さは基材60の厚さに比して相当に薄いものであることは理解されるべきである。
【0024】
<基材60>
塗装対象となる基材60は、本実施形態では、
図1に示すように、直角のコーナー61を形成する直交する二つの面を含む。基材60は、農業機械、工作機械、建設機械、自動車などの外装部品とすることができるが、これに限定されるものではない。基材60の材質は、カチオン電着塗装の場合には、鉄、銅、真鍮、ステンレス鋼、アルミニウム合金、亜鉛ダイカストなどが挙げられる。
【0025】
<電着塗料20>
本発明に採用可能な電着塗料20は、一般的な電着塗料を含む公知の電着塗料である。電着塗料20の硬化温度は、次に説明する粉体塗料30の硬化温度よりも低いものを使用する。理由は後記する。なお、電着塗料20の硬化温度とは、電着塗料の硬化を確実に行ない得るために基材60が到達するべき温度を意味し、塗膜形成時の加工温度として推奨される温度である。当該硬化温度は、電着塗料20によって異なるため、取扱説明書等の記載を参照されたい。
【0026】
電着塗料20は、架橋系の硬化剤(NCO架橋)を有し、140℃以上の加熱硬化が必要な架橋系電着塗料や、架橋系電着塗料よりも低温電着の非架橋系電着塗料を採用できる。架橋系電着塗料の硬化温度は、電着塗料が架橋を開始する架橋開始温度よりも10℃以上、または、20℃以上高い温度であり、その上限は架橋開始温度+40℃、または、架橋開始温度+50℃とすることが好ましい。非架橋系電着塗料の硬化温度は、好適には100℃以上であり、上限は、たとえば140℃以下が好ましく、110℃以下のものが望ましい。
【0027】
電着塗料20は、典型的にはベース樹脂及び硬化剤が水中に分散した態様であり、さらに必要に応じて顔料、有機溶剤、硬化触媒、界面活性剤などを含んでもよい。ベース樹脂は特に限定されないが、たとえばエポキシ樹脂やこのエポキシ樹脂を主体として種々の変性を行った変性エポキシ樹脂など、またはこれらの組合せとすることができる。硬化剤も特に限定されないが、たとえばアミン錯体やブロック・イソシアネート系硬化剤などを採用できる。
【0028】
<粉体塗料30>
本発明に採用可能な係る粉体塗料30は、一般的な粉体塗料を含む公知の粉体塗料である。粉体塗料30の硬化温度は、電着塗料20の硬化温度よりも高いものを使用する。
【0029】
粉体塗料30は、典型的にはバインダー樹脂および顔料を含み、さらに必要に応じて当分野において通常使用される添加剤(密着付与剤、はじき防止剤、ワックスなど)を含んでもよい。粉体塗料30におけるバインダー樹脂は、いずれも当分野において通常使用されるバインダー樹脂であってよく、たとえば、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素誘導体樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂など、またはこれらの組合せを採用できる。
【0030】
粉体塗料30の硬化温度は、電着塗料20の硬化温度よりも高いものを使用する。粉体塗料30の硬化温度は、粉体塗料が溶融温度にて溶融(架橋)を開始した後に硬化を確実に行ない得るために基材60が到達するべき温度を意味し、塗膜形成時の加工温度として推奨される温度である。当該硬化温度は、粉体塗料30によって異なるため、取扱説明書等の記載を参照されたい。粉体塗料30の硬化温度は、粉体塗料の溶融温度よりも20℃以上、または、40℃以上高い温度であり、その上限は溶融温度+70℃、または、架橋開始温度+100℃とすることが好ましい。
【0031】
粉体塗装工程で使用される粉体塗料30は、レーザー式回折により特定される平均粒子径は、10μm以上とすることが好ましく、20μm以上とすることが望ましい。後述する加熱硬化工程にて説明するとおり、電着仮塗膜22の水分の離脱経路50を確保するためである。一方、粉体塗料30の平均粒子径が大きくなると、形成される粉体塗膜33の表面に微細な凹凸が残り、平滑性が低下する虞れがある。従って、粉体塗料30の平均粒子径は、150μm以下が好ましく、100μm以下が望ましく、50μm以下がより望ましい。
【0032】
粉体塗料30の平均粒子径の測定は、JIS K 5600-9-3:2006 塗料一般試験方法-第9部:粉体塗料によって行なうことができる。平均粒子径の測定機器として、粒子計測装置Partica LA-960V2(株式会社堀場製作所製)や、分析計測機器SALD-2300(株式会社島津製作所製)を挙げることができる。
【0033】
また、粉体塗料30は、回転式粘度計を用いて室温から所定の温度で測定される粘度が、10-1Pa・s(0.1Pa・s)以上が好ましく、103Pa・s(1000Pa・s)以下であることが望ましい。粉体塗料30の粘度が上記の範囲にあることによって、形成される粉体塗膜33が平滑になり、製品の外観を良好にできるためである。ここで、粉体塗料30の粘度を測定する際の所定の温度とは、加熱硬化工程において粉体塗料30が到達する温度であり、たとえば加熱硬化工程を実際に実施して測定される粉体塗膜33の表面温度とすることができる。なお、実用される塗装系10の厚さに鑑みると、粉体塗膜33の表面温度を粉体塗料30の到達する温度と同一視できる。
【0034】
粉体塗料30の粘度の測定に用いる回転式粘度計としては、アントンパール社製MCRシリーズが例示される。また、当該測定の測定条件は、一例として、使用するプレートの形状がパラレルプレートであり、プレートの間隔が1mmであり、測定モードが振動測定であり、振動周波数が1Hzである。
【0035】
<電着塗料20と粉体塗料30の硬化温度>
本発明の塗装方法は、後述する含水率調整工程において、基材60に塗着された電着塗料20の含水率を、電着塗料20の硬化温度よりも低い温度で調整する。また、同じく後述する加熱硬化工程では、塗着されたすべての塗料、すなわち、電着塗料20と粉体塗料30(未硬化混層40を含む)を硬化させる必要がある。
【0036】
これらの工程を実施するために、電着塗料20の硬化温度と架橋開始温度(架橋系電着塗料の場合)と、粉体塗料30の硬化温度と溶融温度(架橋開始)を事前に把握しておく必要がある。硬化温度は、上記のとおり取扱説明書を参照する、或いは、試行により特定することができる。一般的には、電着塗料20の硬化温度は、架橋系電着塗料の場合120℃以上、170℃以下、非架橋系電着塗料の場合100℃以上、140℃以下、好ましくは110℃以下である。粉体塗料30の硬化温度は140℃以上、200℃以下であり、粉体塗料30の溶融温度は、電着塗料20の硬化温度よりも10℃以上、または、20℃以上高い温度であり、その上限は電着塗料20の硬化温度+40℃、または、電着塗料20の硬化温度+50℃であることが好ましい。
【0037】
一方で、電着塗料20が硬化する前に、粉体塗料30が溶融(架橋開始)或いは硬化してしまうと、後述するとおり、電着塗料20に含まれる水分が蒸発できない不具合がある。従って、電着塗料20の硬化温度は、粉体塗料30の硬化温度よりも低い塗料を採用することが好適である。望ましくは、電着塗料20は、硬化温度が粉体塗料30の溶融温度よりも低い塗料、言い換えれば、粉体塗料30は、溶融温度が電着塗料20の硬化温度よりも高い塗料を使用する。
【0038】
<電着塗装工程>
電着塗装工程は、
図1に示すように、基材60に対して、電着塗料20を付着させる工程である。電着塗装工程は、公知の電着塗装方法を採用でき、たとえば、カチオン電着塗装やUF(ウルトラフィルター)膜を有する電着塗装システムなどの方法が採用される。カチオン電着塗装は、基材60を水溶性の電着塗料20に浸漬し、基材60が陰極、電極が陽極となるように直流を印加することで、電着塗料20の粒子を電気泳動により基材60の表面に付着させる塗装方法である。電着塗装の後、過剰に付着している塗料分を水洗により洗い落とすことで、基材60の表面に電着塗料層21が形成される。電着塗料層21には、電着塗料20の水分や水洗の水分を含有している。この水分は、次の含水率調整工程で調整される。
【0039】
<含水率調整工程>
含水率調整工程は、電着塗装工程により形成された電着塗料層21(
図1)の含水率を調整する工程である。電着塗料層21の含水率を調整した塗膜を電着仮塗膜22と称する(
図2参照)。含水率調整工程では、電着塗料層21の含水率は、好適には2%超、望ましくは5%超、より望ましくは10%以上に調整する。また、電着塗料層21の含水率を好適には30%以下、望ましくは15%以下に調整する。電着仮塗膜22の含水率は、電着塗料20を付着させる前の基材60の重量をW1、含水率調整工程後の電着塗膜23が形成された基材60の重量をW2、電着塗膜23の含水率がゼロとなるまで基材60を加熱(たとえば105℃で180分以上加熱)した後の重量をW3としたとき、下記の式によって特定することができる。
(含水率:%)=((W2-W3)/(W2-W1))×100
【0040】
電着仮塗膜22を完全に乾燥させず、含水率を上記のとおり調整することで、次の粉体塗装工程において電着仮塗膜22の表面に粉体塗料30が侵入して未硬化混層40を形成することができる(
図3、
図4参照)。
【0041】
含水率の具体的な調整方法は限定されるものではないが、電着塗料20の硬化温度(架橋系電着塗料の場合は望ましくは架橋開始温度)よりも低い温度雰囲気において、たとえば、電着塗料層21が形成された基材60に、同じく電着塗料20の硬化温度(架橋系電着塗料の場合は望ましくは架橋開始温度)よりも低い温度のエアブローを行なうことで含水率を調整できる。エアブローを採用することで、基材60の形状が複雑、たとえば、水分が溜まるような凹部を有する形状であっても、好適に水分を吹き飛ばして含水率を調整できる。また、含水率の調整は、電着塗料層21の形成された基材60を、電着塗料20の硬化温度(架橋系電着塗料の場合は望ましくは架橋開始温度)よりも低い乾燥雰囲気に所定時間保管することでも実施できる。電着塗料20の硬化温度(架橋系電着塗料の場合は望ましくは架橋開始温度)よりも低い温度とは、たとえば室温(20℃~35℃、好適には30℃以下、望ましくは25℃以下)、乾燥雰囲気とは湿度75%以下、望ましくは50%以下とすることができるが、これに限定されるものではない。エアブローは、0.01MPa以上、0.5MPa以下が好適である。もちろん、室温よりも高い温度に加熱して含水率調整を行なってもよいが、水分が完全に蒸発することを防ぐため、また、水分が急激に蒸発すると、電着表面にガスピンが発生して、表面肌が悪くなることがあるため、加熱する場合であっても100℃未満、望ましくは50°以下とすることが望ましい。含水率調整工程の条件は、電着塗料20の組成や固形分濃度、目標とする含水率によって調整することができる。
【0042】
本発明によれば、含水率調整工程は、電着塗料20の硬化温度まで加熱する必要がないから、電着塗料20を硬化温度まで加熱する場合に比べて、二酸化炭素排出量を大幅に低減できる。とくに、架橋系電着塗料の場合は、架橋開始温度よりも低い温度で含水率の調整を行なうことで、電着塗料が架橋して硬化しまうことはなく、続く粉体塗装工程において、好適に粉体31を電着仮塗膜22に侵入させて未硬化混層40を形成することができる(
図3参照)。
【0043】
含水率調整工程において形成された電着仮塗膜22は、JIS K 5600-5-4:1999に基づいて測定される引っかき硬度の下限が5B、上限がHとなるように調整することが好ましい。電着仮塗膜22の硬度を5B以上H以下とすることで、次の粉体塗装工程において、粉体塗料30を電着仮塗膜22の表面に侵入させた未硬化混層40を形成できるからである。電着仮塗膜22の硬度が5Bよりも小さくなると、電着仮塗膜22が柔らかくて流動性を持つため、エッジカバー性が低下する虞れがある。また、電着仮塗膜22の硬度がHを越えると、粉体塗料30を吹き付けても、電着仮塗膜22の表面に粉体31が侵入しない虞れがある。電着仮塗膜22の硬度は、4B以上であることがより好ましく、3B以上であることがさらに好ましい。また、電着仮塗膜22の硬度は、F以下であることがより好ましく、B以下であることがさらに好ましく、2B以下が望ましい。電着仮塗膜22の硬度は、含水率の調整、或いは、電着塗料20の組成調整により実現できる。
【0044】
含水率調整工程により、電着塗料層21は、含まれる水分の一部が除去され、含水率、硬度が上記範囲に調整された未硬化の電着仮塗膜22(
図2参照)となる。電着仮塗膜22は、依然として水分を含有し、低温状態であるから、硬化温度で加熱した程の完全な造膜には至らない。
【0045】
<粉体塗装工程>
粉体塗装工程は、基材60上の電着仮塗膜22に粉体塗料30を吹き付けて付着させる工程である(
図3、
図4)。粉体塗装工程の具体的な実施方法としては、公知の粉体塗装方法を使用でき、たとえば静電粉体塗装法(吹き付け塗装)や流動浸漬塗装法(浸漬塗装)などの方法を使用できる。
【0046】
電着仮塗膜22は、上記のとおり、含水しており、表面の硬度が調整された未硬化状態にある。この状態で電着仮塗膜22の上に粉体塗装工程を実施することで、吹き付けられた粉体塗料30は、粉体31の一部が、
図3に示すように電着仮塗膜22の表面に侵入し、電着塗料20と粉体塗料30が混ざった未硬化混層40が形成される。この未硬化混層40は、電着仮塗膜22の表面の粘度を高めて流動性を低下させる効果を有し、電着仮塗膜22のエッジカバー性を高め、ピンホールなどの発生を抑制できる。また、電着仮塗膜22中に粉体塗料30が侵入した状態で、粉体塗料30を硬化(次工程の加熱硬化工程)することで、電着仮塗膜22と粉体仮塗膜32の接合強度を高めることができる。
【0047】
図3は、電着仮塗膜22の表面に粉体塗料30が侵入した状態を示す模式図である。粉体塗料30は、未硬化の電着仮塗膜22の表面に当たると、一部の粉体31が電着仮塗膜22に侵入して未硬化混層40を形成する。そして、さらに粉体塗装が進行することで、未硬化混層40の上に粉体31が付着し、未硬化の粉体仮塗膜32が形成される。
【0048】
粉体塗装工程により、
図4に示すように、電着仮塗膜22の上層に、電着塗料20と粉体塗料30が混ざった未硬化混層40、さらにその上に粉体仮塗膜32が形成される。
【0049】
<加熱硬化工程>
加熱硬化工程は、電着仮塗膜22の上層に、電着塗料20と粉体塗料30が混ざった未硬化混層40、粉体仮塗膜32が形成された基材60を加熱して、各層を硬化させる工程である。加熱硬化工程は、電着塗料20の硬化温度以上の高い加熱温度で実施する。たとえば、粉体塗料30の硬化温度が上記に例示した120℃以上、200℃以下の領域にあるとき、加熱硬化工程における加熱温度は、当該硬化温度以上で実施する。加熱硬化工程は、たとえば、所定の加熱温度に温度調整された加熱炉に、粉体塗装工程後の基材60を投入する方法によって実施することができる。ここで、加熱温度は、炉内の基材60の温度が粉体塗料30の硬化温度以上の高い温度に維持されるように、加熱炉の条件(出力や寸法など)および基材60の条件(寸法や材質など)を考慮して選択される。
【0050】
粉体仮塗膜32は、
図3に示したように、粉体31の形態である。加熱硬化工程の加熱温度は、水の沸点100℃よりも高い温度である。従って、加熱加工工程では、電着仮塗膜22が100℃以上に加熱される。その結果、電着仮塗膜22に含まれる水分が蒸発して、
図5に示すように粉体仮塗膜32に形成された粉体31、31間の隙間を経路50として系外に離脱する。そして、さらに基材60が加熱されると、電着塗料20の硬化温度に達する。電着塗料20が架橋系の場合は、電着塗料20の硬化温度に達する前に、加熱により電着塗料20は架橋開始温度に達して架橋反応が生じ、さらに加熱が続くことで、電着仮塗膜22が硬化した電着塗膜23が形成される。電着塗料20が非架橋系の場合は、元来高分子量の塗料樹脂であると共に、溶液(有機溶剤と水)が揮散化することで粘度上昇して最終的に硬化した電着塗膜23が形成される。また、粉体仮塗膜32は粉体31が溶融して互いに一体化して硬化する。この状態で、加熱を止めて乾燥、冷却を行なうことで、
図6に示すように、粉体塗膜33が形成される。未硬化混層40中の電着塗料20と粉体塗料30も互いに混ざったまま硬化して混層塗膜41を形成する。
【0051】
これら電着塗膜23、混層塗膜41及び粉体塗膜33は、
図6に示すように、本発明の塗装系10を構成する。各塗膜23,41,33は硬化していることはもちろん、電着塗膜23は基材60に強固に接合しており、電着塗膜23と粉体塗膜33は、混層塗膜41により強固に接合されているため、各塗膜23,41,33が剥離等してしまうことはない。
【0052】
本発明では、電着塗膜23、混層塗膜41及び粉体塗膜33からなる塗装系10を形成するために、高温での加熱は最後の加熱硬化工程による加熱のみで済むため、二酸化炭素排出量を大幅に低減できる。
【0053】
なお、加熱硬化工程において、基材60の加熱が一気に進むと、電着仮塗膜22から水分が蒸発する前に粉体31が溶融温度に達し、溶融、硬化が開始してしまう。この場合、電着塗膜23から水分が蒸発する経路50となる粉体31、31間の隙間が埋まってしまうことがある。離脱できなかった水分は、気泡となって電着塗膜23内に残り、外観不良を生じることがある。このため、加熱硬化工程における温度上昇は、粉体塗料30の硬化温度まで5℃/分以上15℃/分以下の温度勾配で温度上昇させることが望ましい。これにより、加熱硬化工程における電着仮塗膜22からの水分の離脱を、粉体31が溶融して硬化しきるまでに完了できる。なお、温度上昇は、単調増に限らず、段階的な昇温であっても構わない。
【0054】
<電着塗料20と粉体塗料30の色>
本発明は、電着塗料20と粉体塗料30が混層塗膜41を形成するため、粉体塗料30はクリヤではなく顔料を含む着色塗料とすることが望ましい。クリヤの粉体塗料を採用すると、混層塗膜41に粉体の凹凸が出現して光が当たったときに平滑でない視認効果を発現する虞れがあるためである。
【0055】
従って、粉体塗料30は、顔料を含む構成とすることが好適である。一方、電着塗料20も顔料を含む構成とすることができる。顔料は、何れも当分野において通常使用される顔料であってよく、たとえば、一般的な有機顔料または無機顔料であってもよいし、光輝性を持つアルミニウム顔料やパール顔料など特徴的な外観を付与できるものであってもよい。各塗料において使用される顔料の種類は、一種類であっても複数種類であってもよい。
【0056】
この場合、電着塗料20と粉体塗料30とは、同じまたは近い色を呈することが好ましい。これは、二つの塗料の色味を近づけておくことによって、それぞれの塗料に由来する塗膜(電着塗膜23と粉体塗膜33)の膜厚のバランスが変わっても、外観にその違いが表れにくくなるためである。これによって、塗装された製品の外観の再現性が高くなり、工業製品としての生産が容易になりうる。電着塗料20と粉体塗料30とが、同じまたは近い色を呈するためには、たとえば、電着塗料20および粉体塗料30が同一の顔料を含有すればよい。
【実施例0057】
試験板に塗装を行ない、各種評価を行なった。
【0058】
<試験条件>
市販されている厚さ3.2mmのSPCC(冷間圧延鋼板)を
図1に示すように90°に屈曲させてコーナー61を形成した試験板を得た。当該試験板に対して、上記の実施形態及び下記表1の手順で塗装を施した。塗装後の試験板を切断し、コーナー61及びその近傍の断面を顕微鏡で観察して、塗膜の状態を観察した。
【0059】
使用した塗料は、下記のとおりである。
【0060】
[電着塗料20]
A:カチオン系電着塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 パワーフロート(登録商標)1200)
B:カチオン系電着塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 パワーフロート510)
C:カチオン系電着塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 インシュリード(登録商標)3000)
なお、A、B、Cは何れも架橋系電着塗料である。
【0061】
[粉体塗料30]
D:熱硬化性粉体塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 ビリューシア PL5000)
E:熱硬化性粉体塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 ビリューシア PL5100)
F:熱硬化性粉体塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 ビリューシア PL1000)
G:熱硬化性粉体塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 パウダックス(登録商標)E200)
H:熱硬化性粉体塗料(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 多彩ビリューシア(登録商標)ハンマートーン)
【0062】
また、電着塗料20の塗着条件は、導電性のワークの対極となる電極が浸漬された電解槽(電着塗料が貯留されている。)と、上記ワークを搬送しながら上記電解槽に浸漬するためのハンガーと、上記電解槽に浸漬された上記ワークと上記電極との間に電着用の直流電圧を印加する電源(所定の直流電圧を印加する機能を有する整流器)と、を備えた電着塗装装置において、電圧を200Vで設定して、所定の時間を通電させた。電着塗装は、通電とともに塗膜が上記ワークに析出することで、表面電流が低下し、造膜が完了する。
【0063】
粉体塗料30は、表1に示す平均粒子径(前掲の方法にて測定)となるように篩に掛けて粒度調整を行なった。また、粉体塗料30の塗着条件は、アーシングしたワークに対して、粉体塗料を印加することで帯電(負帯電静電塗装 -50KV~-90KV)させた後、静電エアスプレー塗装を実施した。この時の粉体塗料の平均粒子径は8μm~160μmを用いた。
【0064】
表1に示すように、実施例は1~14、比較例は1~7について、電着塗料20と粉体塗料30の組合せ、電着仮塗膜22の含水率、粉体塗料30の平均粒子径、加熱加工工程における温度勾配と表面到達温度、保持時間を変えて塗装系10を成膜し、混層と膜41の厚さを測定した。
【0065】
表1に示すように、実施例1~14、比較例は1~7について、使用した塗料の種類、その他条件、含水率調整工程及び加熱硬化工程の実施条件、含水率調整工程後に形成された電着仮塗膜22についての測定結果、加熱硬化工程後に形成された混層塗膜41の厚さを夫々表1に示す。なお、実施例4と比較例1は、含水率調整工程でエアブローを行なった供試例、それ以外は、設定温度の空間に保持時間だけ放置した供試例である。また、含水率調整工程と加熱硬化工程の保持時間は当該設定温度に達してからの時間を意味する。
【0066】
【0067】
表1を参照すると、何れの実施例でも混層塗膜41が形成されているが、比較例は何れも混層塗膜の厚さがゼロ、すなわち、混層塗膜が形成されていないことがわかる。
【0068】
実施例どうしを比較すると、電着仮塗膜22の鉛筆硬度がB以下となることで、混層塗膜41を厚く形成できている。これは、電着仮塗膜22の表面が柔らかいほど、好適に粉体塗料30が侵入したためである。
【0069】
また、混層塗膜41は、粉体塗料30の平均粒子径が小さいほど、厚く形成できたことがわかる。これは、粉体31が小さい程、電着仮塗膜22の深い位置まで粉体31が侵入したためである。
【0070】
一方、比較例について混層塗膜が形成されない主な理由は次のとおりと考えられる。比較例1、2は電着仮塗膜の含水率が低く、で根着仮塗膜の鉛筆硬度がH、2Hと硬く、粉体が電着仮塗膜に侵入できなかったためである。比較例3~5は、電着塗料の硬化温度が、粉体塗料の硬化温度よりも高く、粉体塗料を硬化させても電着塗料層に水分が残留して硬化せず、塗装系が形成されなかったためである。また、比較例3は電着仮塗膜の含水率が高かったことも、原因である。同じく、比較例6は電着仮塗膜の含水率が高かったため、電着塗料層に水分が残留し、塗装系が形成されなかったためである。比較例7は電着仮塗膜の含水率は適正であるが、加熱硬化工程の温度勾配が高く、電着仮塗膜が乾燥する前に、粉体塗膜が形成されたことで電着仮塗膜の水分が離脱する経路が確保できず、電着塗膜に水分が残留し、塗装系が形成されなかったためである。
【0071】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。