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特開2025-16222情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016222
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20250124BHJP
   H02J 3/26 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119355
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 孝二郎
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AE04
5G066AE09
5G066GA02
(57)【要約】
【課題】三相送配電線の電圧不平衡率を改善可能な工事方法を精度良く定めることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】
情報処理装置は、電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて電力系統とやりとりされる電力と、電力系統の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出部と、電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、m個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が接続する接続相の状態を決定する決定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、前記第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力と、前記電力系統の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出部と、
前記電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する接続相の状態を決定する決定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する接続相の状態を決定変数とし、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率に基づいて定まる目的関数を用いて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
接続相を変更する前記柱上変圧器の数に基づいて定まる前記目的関数を用いて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率に対する制約条件下で、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記接続相を変更する前記柱上変圧器の数に対する制約条件下で、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法により、前記目的関数を最適化する、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記算出部は、
前記電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける三相送配電線の状態を、ねん架しない第4状態、第3パターンでねん架する第5状態、又は前記第3パターンと異なる第4パターンでねん架する第6状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、前記電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、前記第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力と、前記系統構成情報と、に基づいて、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出し、
前記決定部は、前記電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定変数とし、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率に基づいて定まる目的関数を用いて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記三相送配電線をねん架するノードの数に基づいて定まる前記目的関数を用いて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率に対する制約条件下で、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項11】
請求項9に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記三相送配電線をねん架するノードの数に対する制約条件下で、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項12】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法により、前記目的関数を最適化する、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態及び前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する
情報処理装置。
【請求項13】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記算出部は、
前記電力系統における所定の位置の電圧、及び電流を計測するセンサの計測値、または、前記n個のノードのそれぞれに接続されたスマートメータの計測値の少なくとも何れかを用いて、前記n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力を算出する
情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置が、
電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、前記第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力と、前記電力系統の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出ステップと、
前記電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する決定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、前記第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力と、前記電力系統の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出処理と、
前記電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記柱上変圧器が接続する前記接続相の状態を決定する決定処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の送電線、または配電線(以下、「送配電線」と称する。)において、相毎の電圧のばらつきは電圧不平衡率(以下、「不平衡率」と称する。)で算出され、不平衡率は小さいことが望ましい。そこで、電力系統に対しねん架等を行い、電力系統の負荷が各相にバランスよく接続されるようにすることで、不平効率を改善する技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、三相送配電線におけるねん架の位置を決定するねん架位置決定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-126679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電力系統には、太陽光発電や電気自動車充電器などの機器が設置されることがある。これらの機器による不規則な負荷変動又は発電変動は電圧の不平衡を拡大させる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、実際の負荷変動又は発電変動は考慮していないため、電圧不平衡率を改善可能なねん架の位置及び当該位置におけるねん架のパターン(相の入れ替え方)を必ずしも決定できるとは限らない。また、電力系統に局所的な不平衡が点在する場合には、ねん架による対策よりも、不平衡が発生している地点の柱上変圧器の接続相を変更する方が、少ない工事数で効果的に不平衡を解消することができることがある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、三相送配電線の電圧不平衡率を効率的に改善可能な工事方法を精度良く定めることができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明は、情報処理装置は、電力系統におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は、前記第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードのそれぞれにおいて前記電力系統とやりとりされる電力と、前記電力系統の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、前記n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出部と、前記電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、前記m個のノードのそれぞれにおける前記三相送配電線の状態を決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、三相送配電線の電圧不平衡率を効率的に改善可能な工事方法を精度良く定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。
図2】第1の実施形態による情報処理装置10が工事方法の決定を行う電力系統20の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態による情報処理装置10が備える機能及びデータベースの一例を示す構成図である。
図4】第1の実施形態による系統構成情報のデータ構成及びデータ例を示す概略図である。
図5】第1の実施形態による付帯機器情報のデータ構成及びデータ例を示す概略図である。
図6】第1の実施形態によるスマートメータマスタのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。
図7】第1の実施形態によるスマートメータ計測値テーブルのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。
図8】第1の実施形態による変圧器電力算出部13が出力する変圧器電力データの一例を示す概略図である。
図9】第1の実施形態による不平衡解消部15の詳細な機能ブロックの一例を示す図である。
図10】第1の実施形態による決定処理を説明するための図である。
図11】第1の実施形態による決定処理を説明するための図である。
図12】第1の実施形態による決定処理を説明するための図である。
図13】第1の実施形態による不平衡解消部15が生成する不平衡率算出結果テーブルの一例を示す概略図である。
図14】第1の実施形態による不平衡解消部15が生成する目的関数算出結果テーブルの一例を示す概略図である。
図15】第1の実施形態による不平衡解消処理の一例を示すフローチャートである。
図16】工事前の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。
図17】決定処理により決定した工事方法で工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。
図18】決定処理により決定した変圧器接続切替の状態に工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。
図19】決定処理により決定したねん架の状態に工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。
図20】本発明の第2の実施形態による不平衡解消処理の一例を示すフローチャートである。
図21】本発明の第3の実施形態による情報処理装置10Aが備える機能及びデータベースの一例を示す構成図である。
図22】第3の実施形態によるセンサ計測値テーブルのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
=====第1の実施形態=====
<<<情報処理装置10の構成>>>
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置10は、例えば、図2に示す電力系統20(後述)の不平衡を解消するための工事方法を決定する装置である。工事方法には、ねん架によって送配電線の相を捻る方法と、工事により柱上変圧器が送配電線に接続する接続相を変更する(以下、「変圧器接続替」とする。)方法とがある。ねん架とは、電力系統において工事により送配電線を途中で切り離して接続し直すことで相を入れ替えることである。
【0012】
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、入力部103、出力部104、記憶部105、記録媒体駆動部106、及びネットワーク接続部107を含むコンピュータである。CPU101、メモリ102、入力部103、出力部104、記憶部105、記録媒体駆動部106、及びネットワーク接続部107は、バスを介して相互に通信接続する。
【0013】
CPU101は、メモリ102又は記憶部105に格納されたプログラムを実行することにより、情報処理装置10における様々な機能を実現する。メモリ102は、例えばRAM(Random-Access Memory)等であり、工事方法を決定するためのプログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。
【0014】
入力部103は、ユーザによるコマンドやデータの入力を受け付ける装置であり、キーボード、タッチパネルディスプレイ上でのタッチ位置を検出するタッチセンサなどの入力インタフェースを含む。出力部104は、例えばディスプレイなどの表示装置、又はプリンタでなどの出力装置である。
【0015】
記憶部105は、例えば、ハードディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカードなどにより構成され、CPU101によって、実行または処理されるプログラム又は各種データを格納する不揮発性の記憶装置である。
【0016】
記録媒体駆動部106は、例えば光ディスク又はコンパクトディスクなどの記録媒体6と接続し、記録媒体6からデータを読み出す、又はデータを書き込む。
【0017】
ネットワーク接続部107は、ネットワーク(不図示)を介して、他のコンピュータと各種プログラムやデータの受け渡しを行う。
【0018】
<<<電力系統20の一例>>>
図2は、情報処理装置10が工事方法の決定を行う電力系統20の一例を示す図である。電力系統20は、例えば、6.6kV系の送配電線系統であり、変圧器211と遮断器212とからなる配電用変電所21、送配電線22、センサ内蔵開閉器23、複数の柱上変圧器TR(TR1~TR5)、及び複数の電力量計SM(SM1~SM5)を含む。また、送配電線22には、センサ内蔵開閉器23又は複数の柱上変圧器TRのそれぞれが接続されるノードN(N0~N5)が設けられる。なお、電力系統20は、自営線で構成されている場合も含む。
【0019】
変圧器211は、送電線(不図示)から供給される電圧を変圧し、6.6kVの電圧を送配電線22へと出力する。遮断器212は、配電用遮断器又はフィーダ遮断器等の、電力系統20で短絡や地絡などの事故が起きたときに電力系統20を保護するために電流を遮断する機器である。
【0020】
送配電線22は、変圧器211からの電力を各需要家に供給するための三相送配電線であり、上流側の変圧器211から下流側に向かって延びている。送配電線22は、変圧器211からのU相、V相、W相の三相交流電力を供給するための電力線である。送配電線22は、U相の電力を供給する送配電線221、V相の電力を供給する送配電線222、及びW相の電力を供給する送配電線223を有する。以下、複数の相をまとめて、それぞれUV相(U相及びV相)、VW相(V相及びW相)、WU相(W相及びU相)、又はUVW相(U相、V相、及びW相)と称することがある。
【0021】
ノードNは、送配電線22上に設けられている任意の管理単位である。本実施形態では、ノードNは、柱上変圧器TR単位で管理されている集約単位である。ノードNは、工事(ねん架又は変圧器接続替)する位置の候補である。以下、説明の便宜を図るため、ノード番号「i(iは整数)」のノードNをノードNiと記す。ノード番号は、各ノードNを識別する識別番号である。例えば、ノード番号「0」のノードNは、ノードN0と記す。なお、各ノードNに共通する事項については、ノード番号を省略し、単に「ノードN」又は「各ノードN」と記す。
【0022】
センサ内蔵開閉器23は、定周期で、設置点の少なくとも電圧、及び電流のそれぞれの測定値を測定可能なセンサを有する開閉器である。センサ内蔵開閉器23の設置点が、ノードN0である。
【0023】
柱上変圧器TRは、送配電線22に接続される変圧器である。柱上変圧器TRは、例えば一次側の電圧を所定の変圧比で変圧して、当該変圧された電圧を二次側から出力する変圧器である。柱上変圧器TR1~TR4の一次側はそれぞれ、送配電線221~223のうち何れか二相(二本)の送配電線22に接続され、変圧器TR5の一次側は送配電線221~223に接続される。柱上変圧器TR1~TR5の二次側はそれぞれ、需要家に接続される。需要家は、送配電線22から供給される電力を使用する者であり、電力を消費する負荷をそれぞれ有する。変圧器211が送配電線22へ出力した電力は、柱上変圧器TRを介して需要家に配給される。以下、説明の便宜を図るため、付帯機器ID「TRi」の柱上変圧器TRを、柱上変圧器TRiと記す。付帯機器IDは、各付帯機器(センサ内蔵開閉器23又は柱上変圧器TR)を識別する識別情報である。例えば、付帯機器ID「TR1」の柱上変圧器TRは、柱上変圧器TR1と記す。なお、各柱上変圧器TRに共通する事項については、数字を省略し、単に「柱上変圧器TR」又は「各柱上変圧器TR」と記す。
【0024】
電力量計SMは、送配電線22の所定のノードNにおける需要家に設置される。電力量計SMとしては、所謂スマートメータを用いることができる。電力量計SMは、需要家の使用電力量(負荷量又は発電量)の測定値を、所定周期で測定する。以下、説明の便宜を図るため、スマートメータID「SMi」の電力量計SMを電力量計SMiと記す。スマートメータIDは、各電力量計SMを識別する識別情報である。例えば、スマートメータID「SM1」の電力量計SMは、電力量計SM1と記す。なお、各電力量計SMに共通する事項については、数字を省略し、単に「電力量計SM」又は「各電力量計SM」と記す。なお、本図では、1台の柱上変圧器TRそれぞれに1台の電力量計SMが接続されている構成を例示しているが、1台の柱上変圧器TRに対し複数台の電力量計SM(すなわち、需要家)が接続されていてもよい。
【0025】
<<<情報処理装置10の詳細>>>
図3は、情報処理装置10が備える機能及びデータベースの一例を示す構成図である。
【0026】
情報処理装置10は、電力系統20の各電力量計SMそれぞれと、通信線30を介して通信接続する。情報処理装置10は、系統構成データベース11と、スマートメータ情報データベース12と、変圧器電力算出部13と、データ生成部14と、不平衡解消部15と、結果出力部16とを有する。情報処理装置10の記憶部105には、系統構成データベース11、及びスマートメータ情報データベース12が予め記憶されている。また、CPU101が、記憶部105に格納された所定のプログラムをメモリ102に読み出して実行又は処理することにより、情報処理装置10には、変圧器電力算出部13、データ生成部14、不平衡解消部15、及び結果出力部16の各機能が実現される。
【0027】
系統構成データベース11は、電力系統20の構成を示す系統構成情報、及び、電力系統20が有する付帯機器(センサ内蔵開閉器23及び柱上変圧器TR)に関する情報を示す付帯機器情報を記憶するデータベースである。
【0028】
図4は、系統構成情報のデータ構成及びデータ例を示す概略図である。図示するように、系統構成情報は、ノード番号と、電柱番号と、緯度と、経度と、接続先電柱番号と、配電線R(U相)と、配電線X(U相)と、配電線R(V相)と、配電線X(V相)と、配電線R(W相)と、配電線X(W相)と、付帯機器IDとの各項目を有する。
【0029】
ノード番号は、各ノードNを識別する識別情報である。電柱番号は、ノードNが配置される電柱の識別番号である。緯度は、電柱が設置されている位置の緯度である。経度は、電柱が設置されている位置の経度である。接続先電柱番号は、電柱が送配電線22を介して接続する上流側の電柱の電柱番号である。配電線R(U相)は、U相における線路の抵抗(単位は、「Ω(オーム)」)である。配電線X(U相)は、U相におけるリアクタンス(単位は、「Ω」)である。配電線R(V相)は、V相における線路の抵抗(単位は、「Ω」)である。配電線X(V相)は、V相におけるリアクタンス(単位は、「Ω」)である。配電線R(W相)は、W相における線路の抵抗(単位は、「Ω」)である。配電線X(W相)は、W相におけるリアクタンス(単位は、「Ω」)である。付帯機器IDは、ノードNに配置される付帯機器の識別情報である。
【0030】
図5は、付帯機器情報のデータ構成及びデータ例を示す概略図である。図示するように、付帯機器情報は、付帯機器IDと、付帯機器種別と、接続相との各項目を有する。付帯機器IDは、各付帯機器(センサ内蔵開閉器23又は柱上変圧器TR)を識別する識別情報である。付帯機器種別は、付帯機器の種別である。例えば、付帯機器ID「SE1」は、センサ内蔵開閉器23であり、付帯機器ID「TR1」~「TR5」は、柱上変圧器TRである。接続相は、付帯機器が接続する送配電線22の相である。図示する例では、例えば、センサ内蔵開閉器23は、UVW相(すなわち、U相、V相、及びW相の全ての相)に接続する。また、柱上変圧器TR1は、UV相(すなわち、U相及びV相の二相)に接続する。
【0031】
図3に戻り、情報処理装置10の機能構成について説明を続ける。スマートメータ情報データベース12は、各電力量計SMのそれぞれに関する情報を示すスマートメータマスタと、各電力量計SMのそれぞれで計測された定周期の計測値を示すスマートメータ計測値テーブルとを記憶するデータベースである。
【0032】
図6は、スマートメータマスタのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。図示するように、スマートメータマスタは、スマートメータIDと、接続先柱上変圧器IDと、型式と、定格電圧との各項目を有する。スマートメータIDは、各電力量計SMを識別する識別情報である。接続先柱上変圧器IDは、電力量計SMが接続する柱上変圧器TRの付帯機器IDである。型式は、電力量計SMの型式である。定格電圧は、電力量計SMの定格電圧である。
【0033】
図7は、スマートメータ計測値テーブルのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。図示するように、スマートメータ計測値テーブルは、計測日時と、スマートメータIDと、メータ計測値との各項目を有する。計測日時は、メータ計測値を計測した日時(年月日時分)である。メータ計測値は、電力量計SMが計測した需要家の使用電力量の測定値(単位は「kWh(キロワットアワー)」)である。図示する例では、30分毎の各電力量計SMの計測値がスマートメータ計測値テーブルに格納されている。すなわち、本例では、各電力量計SMは、30分毎の定周期で、需要家の使用電力量を計測する。
【0034】
スマートメータ計測値テーブルに格納されているデータは、記憶部105に予め記憶されていてもよいし、CPU101が、通信線30を介して、各電力量計SMからメータ計測値を取得し、取得したメータ計測値をスマートメータ計測値テーブルに書き込むことで、随時更新されてもよい。
【0035】
図3に戻り、情報処理装置10の機能構成について説明を続ける。変圧器電力算出部13は、系統構成データベース11、及びスマートメータ情報データベース12が記憶する情報に基づいて、各柱上変圧器TR単位での電力状態(負荷、又は発電)の分布(以下、「負荷分布」とする。)を算出する。本実施形態では、変圧器電力算出部13は、負荷分布として、各柱上変圧器TRそれぞれの平均消費電力を算出する。
【0036】
以下、図7に示すデータ例を用いて、計測日時「2019/12/10 9:00」から計測日時「2019/12/10 9:30」までの30分間の柱上変圧器TR1の平均消費電力を算出する場合を例に、平均消費電力の算出方法について具体的に説明する。まず、変圧器電力算出部13は、図6のスマートメータマスタを参照して、柱上変圧器TR1に接続する電力量計SM1を特定する。そして、変圧器電力算出部13は、計測日時「2019/12/10 9:30」の電力量計SM1のメータ計測値「1550」から計測日時「2019/12/10 9:00」の電力量計SM1のメータ計測値「1500」を減算して、30分間の電力量計測値「50kWh(=1550-1500)」を算出する。そして、変圧器電力算出部13は、電力量計測値「50kWh」を「0.5時間(30分)」で除算して、30分間の柱上変圧器TR1の平均消費電力「100kW(キロワット)(=50kWh÷0.5h)」を算出する。同様に、変圧器電力算出部13は、柱上変圧器TR2の平均消費電力「150kW」、柱上変圧器TR3の平均消費電力「50kW」、柱上変圧器TR4の平均消費電力「80kW」、及び、柱上変圧器TR5の平均消費電力「200kW」を算出する。そして、変圧器電力算出部13は、算出した各柱上変圧器TRの平均消費電力を示す変圧器電力データを、データ生成部14に出力する。
【0037】
図8は、変圧器電力算出部13が出力する変圧器電力データの一例を示す概略図である。変圧器電力データは、計測日時と、付帯機器IDと、変圧器電力との各項目を有する。計測日時は、変圧器電力の算出に用いたメータ計測値を計測した日時(年月日時分)である。変圧器電力は、計測日時から直近30分間の柱上変圧器TRの平均消費電力(単位は、「kW」)である。
【0038】
なお、図示する例では、「2019/12/10 9:30」時点の単一の時間断面での負荷分布を示しているが、時間断面は複数であってもよい。また、本実施形態では、負荷分布を有効電力のみで説明しているが、無効電力も設定してもよい。
【0039】
図3に戻り、情報処理装置10の機能構成について説明を続ける。データ生成部14は、系統構成データベース11、及び変圧器電力データに基づいて、入力データを生成する。入力データは、各ノードNのそれぞれにおける各相それぞれの負荷を示す。まず、データ生成部14は、系統構成データベース11が記憶する系統構成情報及び付帯機器情報を参照することにより、各柱上変圧器TRが設置される電柱、電柱単位の接続関係、及び各配電線のインピーダンスを特定する。例えば、データ生成部14は、系統構成情報及び付帯機器情報に基づいて、各ノードNに配置されている柱上変圧器TRが接続する相を特定し、特定した相に対する負荷を、柱上変圧器TRの変圧器電力とする。図4及び図5に示すデータ例では、例えば、データ生成部14は、ノードN1に配置される柱上変圧器TR1が、UV相の配電線に接続されていることを特定する。そして、データ生成部14は、変圧器電力データを参照し、ノードN1におけるUV相の負荷を柱上変圧器TR1の変圧器電力「100」とし、VW相の負荷を「0」とし、WU相の負荷を「0」とする。そして、データ生成部14は、全てのノードNのそれぞれにおける各相それぞれの負荷を示す入力データを不平衡解消部15に出力する。
【0040】
不平衡解消部15は、入力データに基づいて、電力系統20における不平衡率を効率的に小さくする、工事方法(ねん架の状態及び変圧器接続替の状態)を決定する決定処理を実行する。ねん架の状態とは、ねん架位置、及び当該位置におけるねん架パターンである。ねん架位置は、送配電線22をねん架する位置(本実施形態では、複数あるノードNのうちいずれか)である。ねん架パターンとは、各相の入れ替え方(捻り方)である。変圧器接続替の状態とは、変圧器接続替位置及び当該位置における変圧器接続替パターンである。変圧器接続替位置は、柱上変圧器TRの接続相を変更する位置(本実施形態では、複数あるノードNのうちいずれか)である。変圧器接続替パターンとは、接続相の変更(以下、「接続替え」とする。)の仕方である。
【0041】
図9は、不平衡解消部15の詳細な機能ブロックの一例を示す図である。不平衡解消部15は、算出部151と、決定部152とを備える。
【0042】
算出部151は、電力系統20におけるm(mは正の整数)個のノードNのそれぞれにおける柱上変圧器TRが送配電線22に接続する接続相の状態を、第1状態~第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、電力系統20におけるm個のノードNのそれぞれにおける送配電線22の状態を、第4状態~第6状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n(nは正の整数)個のノードNのそれぞれにおいて電力系統とやりとりされる電力と、系統構成情報と、に基づいて、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率を算出する算出処理を実行する。
【0043】
ここで、接続相の第1状態とは、接続相を変更しない状態であり、接続相の第2状態とは、接続相を第1パターンで変更する状態であり、接続相の第3状態とは、接続相を第1パターンと異なる第2パターンで変更する状態である。また、送配電線22の第4状態とは、送配電線22をねん架しない状態であり、送配電線22の第5状態とは、送配電線22を第3パターンでねん架する状態であり、送配電線22の第6状態とは、送配電線22を第3パターンと異なる第4パターンでねん架する状態である。なお、第1パターン~第4パターンの詳細については後述する。また、本実施形態におけるm個のノードNは、送配電線22に設けられる全てのノードNであるが、これに限らず、送配電線22に設けられるノードNのうち予め選定した複数のノードNであってもよい。また、本実施形態におけるn個のノードNは、電力量計SM(柱上変圧器TR)が接続されるノードN(すなわち、センサ内蔵開閉器23が配置されるノードN0以外の全てのノードN)である。また、本実施形態では、算出部151は、n個のノードのそれぞれに接続された電力量計SMの計測値を用いて、n個のノードのそれぞれにおいて電力系統20とやりとりされる電力を算出する。
【0044】
決定部152は、電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、m個のノードのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する決定処理を実行する。すなわち、決定部152は、電力系統20における工事方法(ねん架の状態及び変圧器接続替の状態)を決定する。
【0045】
図10図14を参照して、不平衡解消部15が実行する決定処理について、詳細に説明する。図10図12は、決定処理を説明するための図である。
【0046】
まず、不平衡解消部15は、入力データに基づいて、図10に示すテーブルT100のように、各ノードNのそれぞれにおける各相の負荷を、変数「ノード[i].負荷設定[j]」にそれぞれ代入する。ここで、配列「ノード」のインデックス「i」は、ノード番号を示す。また、配列「負荷設定」のインデックス「j」は、0,1,2の三値をとり、「0」がUV相を示し、「1」がVW相を示し、「2」がWU相を示す。例えば、ノード[i].負荷設定「0」は、ノード番号「i」のノードNにおけるUV相の負荷を示し、ノード[i].負荷設定「1」は、ノード番号「i」のノードNにおけるVW相の負荷を示し、ノード[i].負荷設定「2」は、ノード番号「i」のノードNにおけるWU相の負荷を示す。また、本実施形態における負荷は、ノードNに配置されている柱上変圧器TRの変圧器電力である。不平衡解消部15は、柱上変圧器TRが接続する相に対応する「負荷設定」に、柱上変圧器TRの変圧器電力を代入する。例えば、ノードN1に配置されている柱上変圧器TR1は、UV相に接続しているため、不平衡解消部15は、ノード[1].負荷設定[0]を、柱上変圧器TR1の変圧器電力「100」(ノード[1].負荷設定[0]=100)とする。
【0047】
続いて、不平衡解消部15は、電力系統20に対する工事パターンpを生成する。工事パターンpは、m個のノードNのそれぞれにおけるねん架パターンの組み合わせ、及び、m個のノードNのそれぞれにおける変圧器接続替パターンの組み合わせである。例えば、不平衡解消部15は、図10示すテーブルT200のように、生成したねん架パターンの組み合わせを、変数「ノード[n].ねん架パターン」により離散値の配列を用いて定義し、変圧器接続切替パターンの組み合わせを、変数「ノード[n].変圧器接続替パターン」により離散値の配列を用いて定義する。
【0048】
変数「ねん架パターン」は、0,1,2の三値をとり、「0」は、送配電線22をねん架しない(捻らない)ことを示し、「1」は、U相をV相に、V相をW相に、W相をU相に入れ替える第3パターンを示し、「2」は、U相をW相に、V相をU相に、W相をV相に入れ替える第4パターンを示す。例えば、ノード[0].ねん架パターン=0は、ノードN0においてねん架を行わないことを示す。また、ノード[2].ねん架パターン=1は、ノードN2において、U相をV相に、V相をW相に、W相をU相に入れ替える(第3パターンでねん架する)ことを示す。また、ノード[5].ねん架パターン=2は、ノードN5において、U相をW相に、V相をU相に、W相をV相に入れ替える(第4パターンでねん架する)ことを示す。なお、三相交流電力を供給する電力系統20では、相の順序を変更することはできないため、ねん架パターンはこの三値に限られる。
【0049】
変数「変圧器接続替パターン」も同様に、0,1,2の三値をとり、「0」は、柱上変圧器TRの接続相を変更しない(接続替えしない)ことを示し、「1」は、U相をV相に、V相をW相に、W相をU相に入れ替える第1パターンを示し、「2」は、U相をW相に、V相をU相に、W相をV相に入れ替える第2パターンを示す。例えば、ノード[0].変圧器接続替パターン=0は、ノードN0において接続替えしないことを示す。また、ノード[3].変圧器接続替パターン=1は、ノードN3において、U相をV相に、V相をW相に、W相をU相に入れ替えるように柱上変圧器TRを接続替えする(第1パターンで接続替えする)ことを示す。また、ノード[4].変圧器接続替パターン=2は、ノードN4において、U相をW相に、V相をU相に、W相をV相に入れ替えるように柱上変圧器TRを接続替えする(第2パターンで接続替えする)ことを示す。なお、三相交流電力を供給する電力系統20では、相の順序を変更することはできないため、変圧器切替パターンもこの三値に限られる。
【0050】
まず、図10に示す電力系統20に対し、テーブルT200に示すねん架パターンの組み合わせでねん架を行うと、図11に示す電力系統20Aのように、ノードN2において、U相がV相に、V相がW相に、W相がU相に接続され、ノードN5において、U相がW相に、V相がU相に、W相がV相に接続される。
【0051】
不平衡解消部15は、図11に示すテーブルT300のように、変数「ノード[i].ねん架パターン」を用いてねん架後の各ノードNにおける相回転を算出し、変数「ノード[i].相回転」に代入する。変数「相回転」は、生成したねん架パターンの組み合わせで送配電線22をねん架した際の、m個のノードNのそれぞれにおける、相の入れ替わり方を示す。変数「相回転」は、変数「ねん架パターン」と同様に、0,1,2の三値をとり、「0」は、送配電線22の状態が変わらないことを示し、「1」は、U相がV相に、V相がW相に、W相がU相に入れ替わることを示し、「2」は、U相がW相に、V相がU相に、W相がV相に入れ替わることを示す。例えば、ノードN3では、ノードN2において第3パターンでねん架された結果、U相がV相に、V相がW相に、W相がU相に入れ替わるため、相回転に「1」が設定される。また、ノードN5では、ノードN2が第3パターンでねん架され、ノードN5が第4パターンでねん架された結果、送配電線22の状態が変わらないため、相回転に「0」が設定される。
【0052】
具体的には、まず、不平衡解消部15は、ノードN0の相回転を0(ノード[0].相回転=0)に設定する。そして、不平衡解消部15は、iが1以上である場合に、ノード[i].相回転を、ノード[i-1].相回転+ノード[i].ねん架パターンの3による剰余(すなわち3で割った余り)とする。つまり、不平衡解消部15は、「ノード[i].相回転=ノード[i-1].相回転+ノード[i].ねん架パターン%3」とする。ここで、「%」は、余剰を示す。
【0053】
続いて、図11に示すねん架後の電力系統20Aに対し、テーブルT200に示す変圧器接続替パターンの組み合わせで変圧器接続替を行うと、図12に示す電力系統20Bのように、ノードN3において、WU相に接続されていた柱上変圧器TRがUV相に接続され、ノードN4において、WU相に接続されていた柱上変圧器TRがVW相に接続される。
【0054】
不平衡解消部15は、図12に示すテーブルT400のように、変数「ノード[i].変圧器接続替パターン」を用いて変圧器接続替後の各ノードNにおける相回転を算出し、変数「ノード[i].相回転」に代入する。例えば、ノードN3では、第1パターンで変圧器接続替された結果、接続相がWU相からUV相に変更するため、相回転に「2」が設定される。また、ノードN4では、第2パターンで変圧器接続替された結果、接続相が変わらないため、相回転に「0」が設定される。
【0055】
具体的には、不平衡解消部15は、ノード[i].相回転を、ノード[i].相回転+ノード[i].変圧器接続替パターンの3による剰余(すなわち3で割った余り)とする。つまり、不平衡解消部15は、「ノード[i].相回転=ノード[i].相回転+ノード[i].変圧器接続替パターン%3」とする。
【0056】
なお、本実施形態では、不平衡解消部15は、ねん架後の相回転を算出してから変圧器接続替後の相回転を算出しているが、これに限らず、変圧器接続替後の相回転を算出してからねん架後の相回転を算出してもよい。
【0057】
続いて、不平衡解消部15は、算出した相回転を利用して、生成した工事パターンpで工事した後の負荷を算出する。具体的には、不平衡解消部15は、工事後の各ノードNのそれぞれにおける負荷を、次の式(1)~(3)により、変数「ノード[i].工事後負荷設定[j]」にそれぞれ代入する。
【0058】
ノード[i].工事後負荷設定[(0+ノード[i].相回転)%3]=ノード[i].負荷設定[0]…(1)
【0059】
ノード[i].工事後負荷設定[(1+ノード[i].相回転)%3]=ノード[i].負荷設定[1]…(2)
【0060】
ノード[i].工事後負荷設定[(2+ノード[i].相回転)%3]=ノード[i].負荷設定[2]…(3)
【0061】
配列「工事後負荷設定」のインデックスは、0,1,2の三値をとり、「0」がUV相を示し、「1」がVW相を示し、「2」がWU相を示す。例えば、ノード[i].工事後負荷設定「0」は、ノード番号「i」のノードNにおける工事後のUV相の負荷を示し、ノード[i].工事後負荷設定「1」は、ノード番号「i」のノードNにおける工事後のVW相の負荷を示し、ノード[i].工事後負荷設定「2」は、ノード番号「i」のノードNにおける工事後のWU相の負荷を示す。
【0062】
ノードN2の負荷を例に、上述した式(1)を用いて具体的に説明する。ノードN2における上述した式(1)は、次の式(1A)になる。
【0063】
ノード[2].工事後負荷設定[(0+ノード[2].相回転)%3]=ノード[2].負荷設定[0]…(1A)
【0064】
そして、式(1A)に、ノード[2].相回転=1を代入すると、次の式(1B)で表せる。
【0065】
ノード[2].工事後負荷設定[(0+1)%3]=ノード[2].負荷設定[0]…(1B)
【0066】
その結果、次の式(1C)になり、ノードN2のUV相の負荷が、ねん架によりWU相に接続されることを算出することができる。
【0067】
ノード[2].工事後負荷設定[1]=ノード[2].負荷設定[0]…(1C)
【0068】
そして、式(1C)に、ノード[2].負荷設定[0]=150.0を代入することにより、次の式(1D)のように、ねん架後のノードN2のVW相の負荷を算出することができる。
【0069】
ノード[2].工事後負荷設定[1]=150.0…(1D)
【0070】
このように、式(1)を用いることで、ノードN2のUV相の負荷「150.0」が、工事によりVW相に変更されることを、変数「工事後負荷設定」に設定することができる。
【0071】
そして、不平衡解消部15は、ねん架後の負荷を示す変数「ノード[i].工事後負荷設定[j]」を用いて、三相潮流計算によるシミュレーションを実行し、生成した工事パターンpで工事後の各ノードNのそれぞれの相毎の電圧、及び不平衡率を算出する。具体的には、不平衡解消部15は、三相各相の電圧から正相電圧及び逆相電圧を算出し、逆相電圧を正相電圧で除算した値に100を乗算する(すなわち、「逆相電圧÷正相電圧×100」)ことで不平衡率を算出する。
【0072】
図13は、不平衡解消部15が生成する不平衡率算出結果テーブルの一例を示す概略図である。不平衡解消部15は、算出した各ノードNのそれぞれの相毎の電圧、及び不平衡率を含む不平衡率算出結果テーブルを生成する。例えば、不平衡解消部15は、m個のノードNのそれぞれについて、ねん架パターン、変圧器接続替パターン、相回転、負荷設定[0]~負荷設定[2]、工事後負荷設定[0]~工事後負荷設定[2]、電圧[0]~電圧[2]、及び不平衡率の各変数の値を、不平衡率算出結果テーブルに書き込む。ここで、電圧[0]は、UV相の電圧を示し、電圧[1]は、VW相の電圧を示し、電圧[2]は、WU相の電圧を示す。図13には、電力系統20に対し、テーブルT200に示す工事パターンで工事したときのデータ例を示している。不平衡解消部15は、工事パターンの組み合わせ毎に、それぞれ不平衡率算出結果テーブルを生成する。また、不平衡解消部15は、複数の時間断面(例えば、所定期間内における電力量計SMの計測周期(例えば、30分)毎の時間断面全て)について、それぞれ不平衡率算出結果テーブルを生成する。
【0073】
続いて、不平衡解消部15は、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率から目的関数を算出する。例えば、不平衡解消部15は、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率の平均値(以下、「平均不平衡率」とし、図13に示すデータ例の場合「1.07」である。)、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率の最大値(以下、「最大不平衡率」とし、図13に示すデータ例の場合「1.95」である。)、送配電線22をねん架するノードNの数(以下、「ねん架数」とし、図13に示すデータ例の場合「2」である。)、を変圧器接続替するノードNの数(以下、「変圧器接続替数」とし、図13に示すデータ例の場合「2」である。)を選択的に組み合わせた目的関数を算出する。本実施形態では、不平衡解消部15は、次の式(4)により、目的関数F(p)を算出する。
【0074】
F(p) = X×f(p) + Y×g(p) + Z1×h1(p) + Z2×h2(p) …(4)
【0075】
ここで、pは、次の式(5)で示される、工事パターンである。工事パターンpが、決定変数である。
【0076】
p ∈ {x1, x2, ・・・, xm-1, xm } , xi ∈ {0, 1, 2}…(5)
【0077】
ここで、mは、ノードNの数である。また、関数f(p)は、工事パターンpを入力として全ての時間断面で全てのノードNの平均不平衡率を算出する関数である。また、g(p)は、工事パターンpを入力として全ての時間断面で全てのノードNの中から最大不平衡率を抽出する関数である。また、h1(p)は、工事パターンpを入力としてねん架数をカウントする関数である。h2(p)は、工事パターンpを入力として変圧器接続替数をカウントする関数である。
【0078】
また、「X」は、平均不平衡率の重みであり、「Y」は、最大不平衡率の重みであり、「Z1」は、ねん架数の重みであり、「Z2」は、変圧器接続替数の重みである。X,Y,Z1,Z2それぞれの値を変化させることにより、各要素(平均不平衡率、最大不平衡率、ねん架数、及び変圧器接続替数)の重みを変更することができる。例えば、Xの値をY、Z1及びZ2の値より大きくすることで、平均不平衡率の重みを、最大不平衡率、ねん架数及び変圧器接続替数の重みより重くすることができる。すなわち、Xの値を大きくすることで平均不平衡率の重みを重くし、Xの値を小さくすることで平均不平衡率の重みを小さくすることができる。同様に、Yの値を大きくすることで最大不平衡率の重みを重くし、Yの値を小さくすることで最大不平衡率の重みを小さくすることができる。同様に、Z1の値を大きくすることでねん架数の重みを重くし、Z1の値を小さくすることでねん架数の重みを小さくすることができる。同様に、Z2の値を大きくすることで変圧器接続替数の重みを重くし、Z2の値を小さくすることで変圧器接続替数の重みを小さくすることができる。また、X,Y,Z1,Z2の値を0にすることにより、目的関数から各要素(平均不平衡率、最大不平衡率、ねん架数、又は変圧器接続替数)を除外することができる。例えば、Z1又はZ2を0とすれば、ねん架数又は変圧器接続替数を目的関数から除外することができる。
【0079】
なお、不平衡解消部15は、上述した式(4)に代えて、次の式(6)により、目的関数F(p)を算出してもよい。
【0080】
【0081】
ここで、関数f(p)は、工事パターンpを入力として時間断面iの全てのノードNの最大の平均不平衡率を算出する関数である。また、g(p)は、工事パターンpを入力として時間断面iの全てのノードNの中から最大不平衡率を抽出する関数である。また、本実施形態では、目的関数は、平均不平衡率又は最大不平衡率の少なくとも何れかに基づいて定まるが、これに限らず、例えば、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率の中央値等、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率に基づいて定まるものであればよい。
【0082】
そして、不平衡解消部15は、予め設定された閾値α,β,γ1,γ2を用いて、目的関数の各要素(平均不平衡率、最大不平衡率、ねん架数、又は変圧器接続替数)に制約条件を定める。例えば、平均不平衡率に対する制約条件は閾値αより小さいことであり、最大不平衡率に対する制約条件は閾値βより小さいことであり、ねん架数に対する制約条件は閾値γ1より小さいことであり、変圧器接続数に対する制約条件は閾値γ2より小さいことである。具体的には、不平衡解消部15は、次のように目的関数の各要素の重みの値を決定する。
【0083】
f(p)<閾値αのとき X=A
f(p)≧閾値αのとき X=A′(ただしA′≫A)
ここで、A及びA′は予め設定された定数である。また、A′は、Aより充分に大きい。
【0084】
g(p)<閾値βのとき Y=B
g(p)≧閾値βのとき Y=B′(ただしB′≫B)
ここでB及びB′は予め設定された定数である。また、B′は、Bより充分に大きい。
【0085】
h1(p)<閾値γ1のときZ1=C
h1(p)≧閾値γ1のときZ1=C′(ただしC′≫C)
ここで、C及びC′は予め設定された定数である。また、C′は、Cより充分に大きい。
【0086】
h2(p)<閾値γ2のときZ1=D
h2(p)≧閾値γ2のときZ1=D′(ただしD′≫D)
ここで、D及びD′は予め設定された定数である。また、D′は、Dより充分に大きい。
【0087】
このように目的関数の各要素に対する重みの値を決定することで、各制約条件を満たさない工事パターンが、不平衡率を小さくする工事パターンとして選択されることを防ぐことができる。例えば、閾値γ1を2とした場合、後述する図14に示すデータ例では、ねん架数が2以上のNo.3及びNo.5は、目的関数が非常に大きな値となるため、不平衡率を小さくする工事パターンとして選択されることがない。
【0088】
その後、不平衡解消部15は、終了条件を満たすまで、工事パターンを変更し、変更した工事パターンに対する目的関数を算出する。終了条件は、例えば、工事パターンの数(算出した目的関数の数)が所定の閾値を超える、又は算出した目的関数の値が所定の閾値よりも小さくなる、などである。終了条件は、任意に定義することができる。
【0089】
図14は、不平衡解消部15が生成する目的関数算出結果テーブルの一例を示す概略図である。
不平衡解消部15は、目的関数を算出する毎に、工事パターンを識別するNo.と、平均不平衡率(単位は、%)と、最大不平衡率(単位は、%)と、ねん架数と、変圧器接続替数と、算出した目的関数とを対応付けて目的関数算出結果テーブルに書き込む。
【0090】
そして、不平衡解消部15は、終了条件を満たすと、目的関数を最適化する。具体的には、不平衡解消部15は、目的関数算出結果テーブルを参照して、最も目的関数が小さい(すなわち、min F(p)の)工事パターンを、不平衡率を小さくする工事パターンとして選択する。例えば、図示するデータ例では、不平衡解消部15は、最も目的関数の小さいNo.4の工事パターンを、不平衡率を小さくする工事パターンとして選択する。そして、不平衡解消部15は、選択した工事パターンを示すデータ(以下、「決定結果」とする。)を結果出力部16に出力する。
【0091】
結果出力部16は、不平衡解消部15から入力された決定結果を、ディスプレイによる表示、又はプリンタによる印字などにより出力する。結果出力部16は、決定結果を、ネットワーク接続部107を介して他のコンピュータなどに送信してもよい。
【0092】
==情報処理装置10で実行される不平衡解消処理の一例==
図15は、情報処理装置10で実行される、電力系統20の不平衡解消処理の一例を示すフローチャートである。
まず、データ生成部14が、系統構成情報、付帯機器情報、及び変圧器電力データに基づいて、入力データを生成する(ステップS100)。続いて、不平衡解消部15が、データ生成部14が生成した入力データを読み込む(ステップS200)。そして、不平衡解消部15は、入力データに基づいて、三相潮流計算によるシミュレーションを実行し、各ノードNのそれぞれにおける相毎の電圧を算出する(ステップS300)。続いて、不平衡解消部15は、算出した各ノードNの相毎の電圧に基づいて、各ノードNのそれぞれの現在の不平衡率を算出する(ステップS400)。
【0093】
続いて、不平衡解消部15は、算出した各ノードNの不平衡率に基づいて、不平衡対策が必要か否かを判定する(ステップS500)。例えば、不平衡解消部15は、ステップS400において算出した各ノードNの平均不平衡率、最大不平衡率、またはその両方が予め設定された閾値を超えた場合に、不平衡対策が必要であると判定する。不平衡対策が必要でないと判定した場合(ステップS500:No)、情報処理装置10は、本不平衡解消処理を終了する。
【0094】
一方、不平衡解消部15は、不平衡対策が必要であると判定した場合(ステップS500:Yes)、ステップS601~S605に示す決定処理を実行する(ステップS600)。
【0095】
不平衡解消部15は、決定処理において、まず、工事パターンpを変更する(ステップS601)。
【0096】
続いて、不平衡解消部15は、複数の時間断面tのそれぞれについて、各時間断面tの負荷を用いて三相潮流計算によるシミュレーションを実行し、変更した工事パターンで工事した際の、各ノードNのそれぞれにおける電圧の不平衡率を算出する(ステップS602:算出ステップ)。すなわち、不平衡解消部15は、複数の時間断面tの負荷全てについて、ステップS602の処理を繰り返し実行する。
【0097】
続いて、不平衡解消部15は、各ノードNのそれぞれの不平衡率に基づいて、上述した目的関数を算出する(ステップS603)。その後、不平衡解消部15は、上述した終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS604)。
【0098】
終了条件を満たさないと判定した場合(ステップS604:No)、ステップS601の処理に戻る。すなわち、不平衡解消部15は、終了条件を満たすまで、工事パターンを変更してステップS602~S603の処理を繰り返す。
【0099】
一方、終了条件を満たすと判定した場合(ステップS604:Yes)、不平衡解消部15は、目的関数が最も小さくなる工事パターンを、決定結果として結果出力部16に出力する(ステップS605:決定ステップ)。結果出力部16は、ディスプレイによる表示、又はプリンタによる印字などにより決定結果を出力する。その後、情報処理装置10は、本不平衡解消処理を終了する。
【0100】
==効果==
以下、図16図19を参照して、本実施形態における不平衡解消処理による効果を説明する。図16図19において黒の四角で表す部分は、ノードNを示す。
【0101】
図16は、工事前の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。図示するように、電力系統20において、配電用変電所21に最も近い区間A0における各ノードNの最大不平衡率が1.5%未満であるのに対し、区間A0より配電用変電所21から遠い区間B0では各ノードNの最大不平衡率が1.5%以上3.0未満であり、区間B0より配電用変電所21から遠い区間C0では各ノードNの最大不平衡率が3.0以上である。
【0102】
図17は、決定処理により決定した工事方法で工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。本例では、不平衡解消部15は、図16に示す電力系統20に対し、上述した決定処理により、2つのノードNでねん架し、1つのノードNで変圧器接続替をする工事方法を決定した。図示するように、決定処理により決定した工事方法で工事後の電力系統20では、全ての区間A1において、各ノードNの最大不平衡率が1.5%未満に改善された。
【0103】
図18は、決定処理により決定した変圧器接続切替の状態に工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。本例では、不平衡解消部15は、図16に示す電力系統20に対し、上述した決定処理において、変数「ノード[n].ねん架パターン」に全て「0」を設定し、ねん架せずに、6つのノードNで変圧器接続替をする工事方法を決定した。このように、変数「ノード[n].ねん架パターン」に全て「0」を設定することで、ねん架せずに、変圧器接続替のみの工事方法(すなわち、柱上変圧器が三相送配電線に接続する接続相の状態のみ)を決定することが可能である。すなわち、不平衡解消部15は、変数「ノード[n].ねん架パターン」に全て「0」を設定することで、工事方法からねん架を除外することができる。図示するように、決定処理により決定した変圧器接続替の状態に工事後の電力系統20では、区間A2において、各ノードNの最大不平衡率が1.5%未満に、区間A2より配電用変電所21から遠い区間B2では各ノードNの最大不平衡率が1.5%以上3.0未満に改善された。しかしながら、変圧器接続替のみの工事方法では、ねん架及び変圧器接続替の両方を行う工事方法と比較して、工事数が3か所多く、不平衡改善率も低い。
【0104】
図19は、決定処理により決定したねん架の状態に工事後の電力系統20における年間最大不平衡率の分布を示す図である。本例では、不平衡解消部15は、図16に示す電力系統20に対し、上述した決定処理において、変数「ノード[n].変圧器接続替パターン」に全て「0」を設定し、変圧器接続替せずに、4つのノードNをねん架する工事方法を決定した。このように、変数「ノード[n].変圧器接続替パターン」に全て「0」を設定することで、変圧器接続替せずに、ねん架のみの工事方法(すなわち、m個のノードのそれぞれにおける三相送配電線の状態のみ)を決定することが可能である。すなわち、不平衡解消部15は、変数「ノード[n].変圧器接続替パターン」に全て「0」を設定することで、工事方法から変圧器接続替を除外することができる。図示するように、決定処理により決定したねん架の状態に工事後の電力系統20では、全ての区間A3において、各ノードNの最大不平衡率が1.5%未満に改善された。ねん架のみの工事方法では、ねん架及び変圧器接続替の両方を行う工事方法と比較して、不平衡改善率は同程度だが、工事数が1か所多い。
【0105】
このように、決定処理により決定した、ねん架及び変圧器接続替の両方を行う工事方法では、ねん架のみまたは変圧器接続替のみの工事方法に比べて工事数(すなわち、工事コスト)を削減することができる。広域的に不平衡が発生している場合、ねん架を行うことで少ない工事数で効果的に不平衡を解消することができる。一方、局所的な不平衡が点在する電力系統の場合、ねん架による対策よりも不平衡が発生している地点の変圧器接続替を行う方が、少ない工事数で効果的に不平衡を解消することができる。よって、ねん架及び変圧器接続替の2つの手段を用いることにより、電力系統の特性を意識することなく、より少ない工事数で効果的に不平衡を解消することができる。例えば、広域的な不平衡が発生している電力系統に対して、ねん架だけではなく局所的な不平衡の部分には変圧器接続替を適用することで、ねん架のみより大きな不平衡改善効果が得られる。
【0106】
このように、本実施形態おける情報処理装置10では、各工事パターンのそれぞれについて、系統構成情報及び電力量計SMの実際の計測値に基づいて、工事した際の不平衡率をシミュレーションにより算出し、不平衡率に基づき定める目的関数が最も小さい工事パターンを、不平衡率を解消する工事方法として決定する。これにより、本実施形態による情報処理装置10によれば、電力系統20の不平衡率を効果的に改善する工事方法(ねん架の状態及び変圧器接続替の状態)を自動的に決定することができる。よって、電力系統20の不平衡率を効果的に改善することが可能となる。
【0107】
=====第2の実施形態=====
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法を用いて、不平衡率を小さくする工事パターンを決定する点が、第1の実施形態と異なる。情報処理装置10のハードウェア構成及び機能構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0108】
図20は、本実施形態による情報処理装置10で実行される、電力系統20の不平衡解消処理の一例を示すフローチャートである。本図に示す例では、情報処理装置10は、メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法として、遺伝的アルゴリズムを用いる。本図に示すステップS100~S500に示す処理は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。本実施形態では、ステップS611~S617に示す決定処理(ステップS610)が、第1の実施形態に示す決定処理(ステップS600)と異なる。
【0109】
不平衡解消部15は、決定処理において、まず、工事パターンpの異なる初期の集団(n,p)を生成する(ステップS611)。
【0110】
続いて、不平衡解消部15は、生成した集団に含まれる複数の工事パターンpのそれぞれに対し、次のステップS612~ステップS613の処理を実行する。すなわち、集団に含まれる工事パターンの数nだけ、ステップS612~ステップS613の処理を繰り返し実行する。
【0111】
不平衡解消部15は、複数の時間断面tのそれぞれについて、時間断面tの負荷を用いて三相潮流計算によるシミュレーションを実行し、工事パターンpを適用した際の、各ノードNのそれぞれにおける電圧の不平衡率を算出する(ステップS612:算出ステップ)。すなわち、不平衡解消部15は、複数の時間断面tの負荷全てについて、ステップS612の処理を繰り返し実行する。
【0112】
続いて、不平衡解消部15は、全ての時間断面tにおける各ノードNのそれぞれの不平衡率に基づいて、目的関数を算出する(ステップS613)。ここで、不平衡解消部15は、生成した集団に含まれる全ての工事パターンのそれぞれに対し、目的関数を算出する。
【0113】
その後、不平衡解消部15は、生成した集団に対し、交差、突然変異、又は淘汰などの遺伝的操作を行う(ステップS614)。
【0114】
その後、不平衡解消部15は、上述した終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS615)。
【0115】
終了条件を満たさないと判定した場合(ステップS615:No)、ステップS614で行った遺伝的操作により世代交代し、集団を入れ替え(ステップS616)、ステップS612の処理に戻る。すなわち、不平衡解消部15は、終了条件を満たすまで、集団を入れ替えてステップS612~S614の処理を繰り返す。
【0116】
一方、終了条件を満たすと判定した場合(ステップS615:Yes)、不平衡解消部15は、目的関数が最も小さくなる工事パターンを、決定結果として結果出力部16に出力する(ステップS617:決定ステップ)。結果出力部16は、ディスプレイによる表示、又はプリンタによる印字などにより決定結果を出力する。その後、情報処理装置10は、不平衡解消処理を終了する。
【0117】
なお、本実施形態では、メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法の一例として、遺伝的アルゴリズムを用いる場合について説明したが、これに限らず、粒子群最適化法、又はタブーサーチなどの他の手法も当然適用できる。
【0118】
=====第3の実施形態=====
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態及び第2の実施形態では、電力量計SMの計測値に基づいて、各ノードNの負荷分布を算出しているが、本実施形態では、センサ内蔵開閉器23の計測値を用いて負荷分布を算出する点が、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。
【0119】
図21は、本実施形態による情報処理装置10Aが備える機能及びデータベースの一例を示す構成図である。本図において第1の実施形態による情報処理装置10と同様の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、情報処理装置10Aのハードウェア構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。本実施形態による情報処理装置10Aは、第1の実施形態による情報処理装置10の構成に加えて、センサ開閉器計測データベース17を備える。情報処理装置10Aの記憶部105には、センサ開閉器計測データベース17が予め記憶されている。
【0120】
センサ開閉器計測データベース17は、センサ内蔵開閉器23が計測する定周期の計測値を示すセンサ計測値テーブルを記憶するデータベースである。センサ内蔵開閉器23の計測値は、設置点の少なくとも電圧、及び電流を含む。センサ計測値テーブルに格納されているデータは、記憶部105に予め記憶されていてもよいし、CPU101が、通信線30を介して、センサ内蔵開閉器23から計測値を取得し、取得した計測値をセンサ計測値テーブルに書き込むことで、随時更新されてもよい。
【0121】
図22は、センサ計測値テーブルのデータ構成及びデータ例を示す概略図である。図示するように、センサ計測値テーブルは、センサ内蔵開閉器IDと、計測日時と、電圧Vuvと、電圧Vvwと、電圧Vwuと、電流Iu0と、電流Iv0と、電流Iw0と、力率uと、力率vと、力率wとの各項目を有する。
【0122】
センサ内蔵開閉器IDは、センサ内蔵開閉器23を識別する付帯機器IDである。計測日時は、計測値(電圧Vuv、電圧Vvw、電圧Vwu、電流Iu0、電流Iv0、電流Iw0、力率u、力率v、及び力率w)を計測した日時(年月日時分)である。電圧Vuvは、UV相の電圧(単位は、V(ボルト))である。電圧Vvwは、VW相の電圧である。電圧Vwuは、WU相の電圧である。電流Iu0は、U相に流れる電流(単位は、A(アンペア))である。電流Iv0は、V相に流れる電流である。電流Iw0は、W相に流れる電流である。力率uは、U相の力率である。力率vは、V相の力率である。力率wは、W相の力率である。図示する例では、1分毎のセンサ内蔵開閉器23の計測値がセンサ計測値テーブルに格納されている。すなわち、本例では、センサ内蔵開閉器23は、1分毎の定周期で、計測値を計測する。
【0123】
データ生成部14Aは、系統構成データベース11及びセンサ計測値テーブルが記憶する情報に基づいて、各ノードNにおける負荷分布を推定し、推定した負荷分布に基づいて入力データを生成する。例えば、データ生成部14Aは、各柱上変圧器TRの平均消費電力(又は各需要家の使用電力量)を変化させて、センサ内蔵開閉器23の計測値に一致するよう、三相潮流計算を行う。この結果、データ生成部14Aは、各ノードNにおける負荷分布を推定することができる。
【0124】
なお、本実施形態では、情報処理装置10Aは、センサ内蔵開閉器23の計測値のみを用いて、各ノードNにおける負荷分布を推定しているが、これに限らず、各電力量計SMの計測値及びセンサ内蔵開閉器23の計測値の両方を用いて、各ノードNにおける負荷分布を推定してもよい。一般に、電力量計SMの計測周期(例えば、30分)は、センサ内蔵開閉器23の計測周期(例えば、1分)よりも長い。よって、情報処理装置10Aは、各電力量計SMの計測値に加えて、センサ内蔵開閉器23の計測値を用いることで、電力量計SMの計測周期よりも短い周期で各ノードNの負荷分布を推定することができる。これにより、情報処理装置10Aは、各ノードNの負荷分布を時系列で精度良く推定することができる。すなわち、情報処理装置10Aは、より細かい時間断面で各ノードNの負荷分布を生成することができる。
【0125】
=====まとめ=====
以上、本発明の情報処理装置10について説明した。本発明における情報処理装置10は、電力系統20におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器TRが送配電線22に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードNのそれぞれにおいて電力系統20とやりとりされる電力と、電力系統20の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率を算出し、電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、m個のノードNのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0126】
このような構成により、本発明による情報処理装置10によれば、送配電線22の電圧不平衡率を改善可能な工事方法を精度良く定めることができる。
【0127】
また、本発明による情報処理装置10は、m個のノードNのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定変数とし、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率に基づいて定まる目的関数を用いて、m個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0128】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を最適化(例えば、最小化)する工事方法を決定することができる。
【0129】
また、本発明による情報処理装置10は、接続相を変更する柱上変圧器TRの数に基づいて定まる目的関数を用いて、m個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0130】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、接続相を変更する柱上変圧器TRの数を最適化する(例えば、接続相を変更する柱上変圧器TRの数が少ない)工事方法を決定することができる。例えば、接続相を変更する柱上変圧器TRの数が少ない工事方法を決定することにより、工事コストの削減を図ることができる。
【0131】
また、本発明による情報処理装置10は、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率に対する制約条件下で、m個のノードNのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0132】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率に対する制約条件を満たす工事方法を決定することができる。例えば、制約条件を「電圧の不平衡率の平均値、又は電圧の不平衡率の最大値が所定の閾値より小さいこと」とすれば、電圧の不平衡率の平均値、又は電圧の不平衡率の最大値が閾値以上である工事方法を決定することがない。
【0133】
また、本発明による情報処理装置10は、接続相を変更する柱上変圧器TRの数に対する制約条件下で、m個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0134】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、接続相を変更する柱上変圧器TRの数に対する制約条件を満たす工事方法を決定することができる。例えば、制約条件を、「接続相を変更する柱上変圧器TRの数が所定の閾値より少ないこと」とすれば、接続相を変更する柱上変圧器TRの数が所定の閾値以上の工事方法を決定することがない。
【0135】
また、本発明による情報処理装置10は、メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法により、目的関数を最適化する、m個のノードNのそれぞれにおける柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0136】
このような構成により、計算コストを削減して効率良く、かつ精度良く、不平衡率を小さくする工事方法を決定することができる。
【0137】
また、本発明における情報処理装置10は、電力系統20におけるm個のノードのそれぞれにおける送配電線22の状態を、ねん架しない第4状態、第3パターンでねん架する第5状態、又は第3パターンと異なる第4パターンでねん架する第6状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、電力系統20におけるm個のノードのそれぞれにおける柱上変圧器TRが送配電線22に接続する接続相の状態を、変更しない第1状態、第1パターンで変更する第2状態、又は第1パターンと異なる第2パターンで変更する第3状態のいずれかとして得られる複数の組み合わせと、n個のノードNのそれぞれにおいて電力系統20とやりとりされる電力と、電力系統20の構成を示す系統構成情報と、に基づいて、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率を算出し、電圧の不平衡率の算出結果に基づいて、m個のノードNのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0138】
このような構成により、本発明による情報処理装置10によれば、送配電線22の電圧不平衡率を改善可能な工事方法(ねん架の状態及び変圧器接続替の状態)を精度良く定めることができる。
【0139】
また、本発明による情報処理装置10は、m個のノードNのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定変数とし、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率に基づいて定まる目的関数を用いて、m個のノードのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0140】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率を最適化(例えば、最小化)する工事方法を決定することができる。
【0141】
また、本発明による情報処理装置10は、送配電線22をねん架するノードNの数に基づいて定まる目的関数を用いて、m個のノードのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0142】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、ねん架するノードNの数を最適化する(例えば、ねん架するノードNの数が少ない)ねん架の状態を決定することができる。例えば、ねん架数の少ない工事方法を決定することにより、ねん架に伴う工事コストの削減を図ることができる。
【0143】
また、本発明による情報処理装置10は、n個のノードNのそれぞれの電圧の不平衡率に対する制約条件下で、m個のノードNのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0144】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、n個のノードのそれぞれの電圧の不平衡率の平均値に対する制約条件を満たす工事方法を決定することができる。例えば、制約条件を「電圧の不平衡率の平均値、又は電圧の不平衡率の最大値が所定の閾値より小さいこと」とすれば、電圧の不平衡率の平均値、又は電圧の不平衡率の最大値が閾値以上である工事方法を決定することがない。
【0145】
また、本発明による情報処理装置10は、送配電線22をねん架するノードNの数に対する制約条件下で、m個のノードのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0146】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、送配電線22をねん架するノードNの数に対する制約条件を満たす工事方法を決定することができる。例えば、制約条件を、「送配電線22をねん架するノードNの数が所定の閾値より少ないこと」とすれば、送配電線22をねん架するノードNの数が所定の閾値以上の工事方法を決定することがない。
【0147】
また、本発明による情報処理装置10は、メタヒューリスティクスを用いた組み合わせ最適化手法により、目的関数を最適化する、m個のノードNのそれぞれにおける送配電線22の状態及び柱上変圧器TRが接続する接続相の状態を決定する。
【0148】
このような構成により、計算コストを削減して効率良く、かつ精度良く、不平衡率を小さくする工事方法を決定することができる。
【0149】
また、本発明による情報処理装置10は、電力系統20における所定の位置の電圧、及び電流を計測するセンサ内蔵開閉器23の計測値、または、n個のノードNのそれぞれに接続された電力量計SMの計測値の少なくとも何れかを用いてを用いて、n個のノードNのそれぞれにおいて電力系統20とやりとりされる電力を算出する。
【0150】
このような構成により、本発明による情報処理装置10では、センサ内蔵開閉器23又は各電力量計SMの計測値を用いて、各ノードNにおける実際の負荷変動又は発電変動が反映された負荷分布を生成することができる。
【0151】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0152】
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置10は、工事方法としてねん架及び変圧器接続替の両方を含む場合について説明したが、これに限らず、ねん架のみの工事方法、又は、変圧器接続替のみの工事方法を決定してもよい。例えば、情報処理装置10は、変数「ノード[n].変圧器接続替パターン」に全て「0」を設定することで、ねん架のみの工事方法を決定することができる。同様に、情報処理装置10は、変数「ノード[n].ねん架パターン」に全て「0」を設定することで、変圧器接続替のみの工事方法を決定することができる。
【0153】
また、上述した系統構成データベース11、スマートメータ情報データベース12、又はセンサ開閉器計測データベース17それぞれが記憶する各データは、CPU101が、記録媒体駆動部106を介して記録媒体6に格納されたデータを読み込んでもよいし、ネットワーク接続部107を介して外部のコンピュータ又はサーバから取得してもよい。
【0154】
また、上述した変圧器電力データ、工事パターン毎の不平衡率算出結果テーブル、又は目的関数算出結果テーブルなどの情報処理装置10,10Aの各機能が生成する各種データは、CPU101が、記憶部105に格納してもよいし、記録媒体駆動部106を介して記録媒体6に書き込んでもよいし、メモリ102上に構造体として格納してもよいし、算出した決定結果とともに出力部104に出力してもよい。
【符号の説明】
【0155】
10,10A 情報処理装置
11 系統構成データベース
12 スマートメータ情報データベース
13 変圧器電力算出部
14,14A データ生成部
15 不平衡解消部
16 結果出力部
17 センサ開閉器計測データベース
101 CPU
102 メモリ
103 入力部
104 出力部
105 記憶部
106 記録媒体駆動部
107 ネットワーク接続部
20 電力系統
21 配電用変電所
211 変圧器
212 遮断器
22 送配電線
23 センサ内蔵開閉器
30 通信線
N ノード
SM 電力量計
TR 柱上変圧器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22