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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016224
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】埋込型器具の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/04 20060101AFI20250124BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20250124BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20250124BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
F21V21/04 330
F21S8/02 420
F21V21/00 130
F21V21/00 110
F21V21/30 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119359
(22)【出願日】2023-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1-1)発行日 令和5年 4月20日 (1-2)刊行物 あかり専科vol.42,2023-2024第23頁,第139頁,第334頁,第687頁,第712頁 (1-3)公開者 コイズミ照明株式会社 (2-1)ウェブサイトの掲載日 令和5年 5月17日 (2-2)ウェブサイトのアドレス https://webcatalog.koizumi-lt.co.jp/kensaku/item/detail?itemid=AE55011E等 (2-3)公開者 コイズミ照明株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 竜男
(57)【要約】
【課題】バネ部材によって器具本体の外方に係止端部を移動させることができ、バネ部材とねじ軸との引っ掛かりによる取付不良を防止することができる埋込型器具の取付構造とする。
【解決手段】天井Cに設けられた埋込孔Caに取り付けられる器具本体1と、天井Cの上面に当接して器具本体11を取り付けるための取付具12と、を備える。取付具12は、ねじ軸52と、ねじ軸52を中心に回動可能な回転部材51と、を有する。回転部材51は、ねじ軸52が取り付けられる軸支承部61と、ねじ軸52に取り付けられる係止アーム部62と、バネ部材75と、を有しする。係止アーム部62は、ねじ軸52の回転によってねじ軸52に沿って移動可能なアーム本体部77と、天井Cの上面に当接可能な係止端部76と、を有する。バネ部材75は、一方の端部が係止端部76に固定され、他方の端部が軸支承部61と当接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられた埋込孔に取り付けられる埋込型器具の取付構造であって、
器具本体と、
前記天井の上面に当接して前記器具本体を取り付けるための取付具と、を備え、
前記取付具は、ねじ軸と、前記ねじ軸を中心に回動可能な回転部材と、を有し、
前記回転部材は、前記ねじ軸が取り付けられる軸支承部と、前記ねじ軸に取り付けられる係止アーム部と、バネ部材と、を有し、
前記係止アーム部は、前記ねじ軸の回転によって前記ねじ軸に沿って移動可能なアーム本体部と、前記天井の上面に当接可能な係止端部と、を有し、
前記バネ部材は、一方の端部が前記係止端部に固定され、他方の端部が前記軸支承部と当接する、
ことを特徴とする埋込型器具の取付構造。
【請求項2】
前記軸支承部は、前記ねじ軸が取り付けられる上面部を有し、
前記係止アーム部が前記軸支承部の前記上面部と当接するとき、前記係止アーム部と前記軸支承部の前記上面部との間に摩擦力が生じるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具埋込型器具の取付構造。
【請求項3】
前記回転部材は、前記係止アーム部が回動することで前記係止アーム部が開いた状態又は前記係止アーム部が閉じた状態にすることができ、
前記バネ部材は、前記係止アーム部が閉じた状態の巻角度が前記係止アーム部の開いた状態の巻角度の2/3以下となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項4】
前記軸支承部と当接する前記バネ部材の先端は曲面部を有するように加工され、前記曲面部が前記軸支承部に当接しながら移動可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項5】
前記係止アーム部が閉じた状態のとき、前記バネ部材の他方の端部は、平面視において前記器具本体の長手方向に延びる両側面の間に配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項6】
前記バネ部材は、前記係止端部において固定部材によって固定され、
前記係止アーム部が閉じた状態のとき、平面視において前記固定部材が前記器具本体寄りに配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の埋込型器具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等の被取付面に形成した取付穴内に埋設して、被取付面に取り付けてなる埋込型器具の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された埋込型の照明器具が用いられている。特許文献1では、ボルト止めではなく、天井内面に設置するように回転可能な取付具によって器具本体を天井に装着する埋込型器具が公知となっている。
特許文献1の取付具は、一対の装着端部と装着端部を回転可能に支持する回転軸を有する。装着端部は装着前には器具本体の側面部近傍の外形寸法内に位置し、装着後には、天井内面に設置されることで器具本体を天井に装着するものであった。
【0003】
このような、回転可能に支持する回転軸を有する取付具の構造として、特許文献2のように、係合アームの基部においてねじ棒にコイルバネを有し、コイルバネの一端部が係合アームに係合するとともに、他端部は支持枠の内面に当接して係合アームを常時外方に付勢する構造が公知となっている。また、係合アームは、支持軸と当接することによって回動が停止され、支持軸と係合アームとの当接が解除されると外方へ移動する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-276933号公報
【特許文献2】実公昭48-31643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の取付具を使用する場合、コイルバネがねじ棒に取り付けられるため、コイルバネとねじ棒とが引っかかり、係合アームの移動を妨げて取付不良となる可能性があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、バネ部材によって器具本体の外方に係止端部を移動させることができ、バネ部材とねじ軸との引っ掛かりによる取付不良を防止することができる埋込型器具の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
すなわち、本願に開示する埋込型器具の取付構造は、天井に設けられた埋込孔に取り付けられる埋込型器具の取付構造であって、器具本体と、前記天井の上面に当接して前記器具本体を取り付けるための取付具と、を備える。前記取付具は、ねじ軸と、前記ねじ軸を中心に回動可能な回転部材と、を有する。前記回転部材は、前記ねじ軸が取り付けられる軸支承部と、前記ねじ軸に取り付けられる係止アーム部と、バネ部材と、を有する。前記係止アーム部は、前記ねじ軸の回転によって前記ねじ軸に沿って移動可能なアーム本体部と、前記天井の上面に当接可能な係止端部と、を有する。前記バネ部材は、一方の端部が前記係止端部に固定され、他方の端部が前記軸支承部と当接するものである。
【0009】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記軸支承部は、前記ねじ軸が取り付けられる上面部を有し、前記係止アーム部が前記軸支承部の前記上面部と当接するとき、前記係止アーム部と前記軸支承部の前記上面部との間に摩擦力が生じるように構成されることが好ましい。
【0010】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記回転部材は、前記係止アーム部が回動することで前記係止アーム部が開いた状態又は前記係止アーム部が閉じた状態にすることができる。前記バネ部材は、前記係止アーム部が閉じた状態の巻角度が前記係止アーム部の開いた状態の巻角度の2/3以下となることが好ましい。
【0011】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記軸支承部と当接する前記バネ部材の先端は曲面部を有するように加工され、前記曲面部が前記軸支承部に当接しながら移動可能に構成されることが好ましい。
【0012】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記係止アーム部が閉じた状態のとき、前記バネ部材の先端は、平面視において前記器具本体の長手方向に延びる両側面の間に配置されることが好ましい。
【0013】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記バネ部材は、前記係止端部において固定部材によって固定され、前記係止アーム部が閉じた状態のとき、平面視において前記固定部材が前記器具本体寄りに配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バネ部材によって器具本体の外方に係止端部を移動させることができ、バネ部材とねじ軸との引っ掛かりによる取付不良を防止することができる埋込型器具の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る埋込型器具を示す斜視図。
図2】同じく埋込型器具を示す側面断面図。
図3】同じく埋込型器具を示す平面図。
図4】同じく埋込型器具を示す底面図。
図5】同じく係止アーム部が開いた状態を示す側面図。
図6】同じく係止アーム部が軸支承部の上端まで移動した状態を示す側面図。
図7】同じく係止アーム部が開いた状態を示す側面図。
図8】同じく係止アーム部が開いた状態における軸支承部およびバネ部材を示す平面図。
図9】同じく係止アーム部が閉じた状態における軸支承部およびバネ部材を示す平面図。
図10】同じく軸支承部を示す平面図。
図11】同じく係止アーム部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る埋込型器具について、図1から図11を用いて説明する。本発明の実施形態に係る埋込型器具1の形状は、図1及び図2に示すように、短手方向の長さに対して長手方向の長さの比率が大きい細長い長尺形状で構成されている。埋込型器具1は、図5に示すように被取付部の一例である天井Cに配置された埋込孔Caに埋め込まれて設置される。なお、本実施形態に示す埋込型器具1は、天井に限らず、壁面や棚下等の被取付部に取り付けることもできる。天井Cには、埋込孔Caが設けられている。なお、本実施形態の埋込型器具1は、照明器具を着脱自在且つ移動自在に取り付け可能な、受電構造を有するダクトレールDRを取り付けることができる埋込型配線ダクトである。本実施形態においては図2および図4に示すように、埋込型器具1の上面下側に前記ダクトレールDRを取り付けるための溝5が設けられている。溝5は、上面端手方向中央部に設けられており、埋込型器具1の長手方向と平行に設けられている。
【0017】
図1図2および図5に示すように、埋込型器具1は、器具本体11と、埋込孔Caに埋め込んだ状態で天井Cに取り付けるための取付具12と、を備えている。
【0018】
器具本体11は、断面視略下辺を開放した矩形状の長尺部材であり、図2に示すように、内部に照明器具を配置する空間を有している。器具本体11の上面中央部には受電構造を有するダクトレールを取り付けるための溝5が設けられている。
【0019】
器具本体11は、長尺に構成されており、長手方向の長さは、複数種類の所定長に構成されている。所定長は、例えば、最も短いもので1000mmであり、最も長いもので1500mmである。
【0020】
器具本体11は、器具主体31および枠部34を有している。器具主体31および枠部34は、放熱性および機械的強度を考慮し、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属素材を用いて形成されている。器具主体31は、押し出し成形により所定の長さに形成されている。
【0021】
枠部34は、取付具12との間に天井Cを挟むことで、埋込型器具1の上下方向の移動を規制することができる。枠部34の取付面側には、弾性部材16が配置される。弾性部材16は、枠部34と天井Cとの間に配置され、室内と天井Cとの間の気密性を高める。なお、枠部34は、器具主体31と別体で形成してもよい。器具主体31と枠部34を別体で形成する場合には、枠部34を任意の色に形成し、器具主体31を共通化させることができる。これにより、器具主体31と枠部34部分の色の塗分け作業を行わずに、所望の色の枠部34を備える埋込型器具1を実現する。
また、器具主体31の上面には、取付具12(具体的には、回転部材51の軸支承部61)を固定するためのねじ軸52を挿入するための挿入孔31bが設けられている。
なお、器具主体31および枠部34は、所望の熱伝導性および機械的強度を有する材料であればアルミニウムやその他の金属部材に限定されない。また、器具主体31は、熱伝導性を有する材料で形成されていることが好ましいが、熱伝導性を有することは必須ではない。
【0022】
器具本体11は、その長手方向両端部に端板部81をねじ部材84によって取り付けることができる。端板部81は、器具本体11の端部を覆い、器具本体11の長手方向両端部の解放された部分を閉塞するものである。端板部81は、その下端から、それぞれ器具本体11の長手方向に沿う方向に延びる枠部82が設けられている。器具本体11に端板部81を取り付けたとき、枠部82は器具本体11の枠部34と連続するように設けられている。枠部82の取付面側には、弾性部材83が配置されている。弾性部材83は、枠部82と天井Cとの間に配置され、室内と天井Cとの間の気密性を高める。
また、端板部81を取り付けていない状態の器具主体31は、連結部材(図示せず)によって、複数個を直列に連結可能に構成している。前記連結部材は、器具主体31の互いの端部を連結する連結部となる金具であり、前記連結部材によって器具主体31を固定することにより、器具本体11を直列に配置した埋込型器具1を構成することが可能となる。
【0023】
器具本体11の内部に設けられた空間は、ダクトレールDRを配置するための空間であり、器具本体11の上面中央部には受電構造を有するダクトレールDRを取り付けるための溝5が設けられている。
本実施形態の器具主体31は、ダクトレールDRよりもやや大きい幅で形成されている。ダクトレールDRは、器具主体31内に配置された後、ねじ(図示せず)を用いて取り付けられる。このとき、ねじは先端部及びねじ部の一部が溝5内に配置されて固定される。ダクトレールDRの下面(部屋側の面)は、枠部34よりも下側に位置するように配置されることが好ましい。このように配置することで、ダクトレールDRに取り付けられる照明器具(図示せず)等の器具の取付構造部(例えば、プラグ等)とダクトレールDRとの干渉を抑止することができる。
【0024】
取付具12は、回転部材51と、ねじ軸52とを有する。回転部材51は、取付時において、埋込孔Caの上縁部に係止するように回転可能な部材である。また、回転部材51は、非取付時においては、図7及び図9に示すように、器具本体11の幅方向よりも内側に配置される。より詳細には、図5に示すように、回転部材51は、器具本体11の取付時において、後述する回転部材51の係止アーム部62が天井Cの上面に当接する。係止アーム部62と枠部34との間に天井Cが挟まれることにより、器具本体11は天井Cに取り付けられる。なお、図5に示すように、枠部34は、枠部82と重なる位置に配置される。ねじ軸52は、回転部材51を回転支承する軸であるとともに、回転部材51を器具本体11に取り付けるための部材である。器具本体11は、ねじ軸52に対応する位置に挿入孔(図示せず)を所定数(本実施形態では、6つ)設けられている。ねじ軸52は、器具本体11の挿入孔(図示せず)に挿入される。ねじ軸52の下面には、工具を差し込むための頭部52aが設けられている。頭部52aは、器具本体11の室内側(図2における下面側)に露出し、作業者が工具を用いて頭部52aを回転させることによってねじ軸52を回転させることができる。これにより、埋込型器具1が、天井等に配置された天井Cに埋め込まれた状態であっても、ねじ軸52が回転可能に配置される。
【0025】
回転部材51は、ねじ軸52が取り付けられる軸支承部61と、ねじ軸52に取り付けられる係止アーム部62と、を有する。図10に示すように、軸支承部61は、板状の部材を屈曲させて形成しており、上面部65、下面部66、上面部65及び下面部66を繋ぐ側面部67、下面部66の側面部67と反対側の端部から下方へ延伸する下取付部68、とを有する。
【0026】
上面部65は、ねじ軸52の上端側を支承する部分であり、ねじ軸52を挿入するための挿入孔65aを有している。挿入孔65aに挿入されたねじ軸52の上端は、上面からさらに上方へ突出する。ねじ軸52の上端には、ねじ固定キャップ69が取り付けられている。ねじ固定キャップ69は、ねじ軸52の上端を上面において回転可能に支持する部材である。
【0027】
下面部66は、ねじ軸52の下端側を支承する部分であり、ねじ軸52を挿入するための挿入孔を有している。前記挿入孔は、本実施形態では、図11に示す挿入孔65aと平面視で重なる位置に設けられる。器具本体11の挿入孔、上面部の挿入孔65aおよび下面部の挿入孔は、平面視で重なる位置に設けられる。換言すると、器具本体11の挿入孔、上面部の挿入孔65aおよび下面部の挿入孔は同軸上に設けられる。ねじ軸52は、器具本体11の挿入孔、上面部の挿入孔65aおよび下面部の挿入孔に挿入される。これにより、上面部65及び下面部66によってねじ軸52が挟持され、回転可能に支承される。
【0028】
側面部67は、上端において上面部65と連続し、下端において下面部66と連続する板状の部分であり、本実施形態においては、側面断面視において、幅方向内側に配置されている。側面部67、上面部65、下面部66は一枚の板を屈曲して形成している。
【0029】
下面部66の側面部67と連続する面と反対側の端部から下方には下取付部68が延伸している。側面視において、下取付部68と下面部66は、器具主体31の角部に沿うように設けられ、本実施形態では下取付部68と下面部66との間の内角は略90度となるように形成されている。下取付部68と下面部66との接合部には、固定部材70を挿入するための固定ねじ挿入孔68aが設けられている。
【0030】
軸支承部61は、器具本体11の器具主体31の角部に取り付けられる。器具本体11の角部には、幅方向側面側が開口するように器具本体11の長手方向に沿うように設けられたねじ溝31cを有する。軸支承部61を器具主体31の角部に配置すると、下取付部68に形成された固定ねじ挿入孔68aとねじ溝31cの一部が重なる。ねじ溝31aおよび固定ねじ挿入孔68aに固定部材70を挿入することにより、軸支承部61を角部に取り付けるものである。
【0031】
また、軸支承部61に支承されたねじ軸52には、係止アーム部62が軸支されている。係止アーム部62は、板を屈曲させた部材であり、器具本体11を取り付ける際に天井Cの上面と当接する部分である係止端部76と、ねじ軸52に軸支されるアーム本体部77とを有している。係止端部76は、後述するバネ部材75の一端が固定ねじ78によって固定されている。
【0032】
アーム本体部77は板状部材で形成されている。アーム本体部77の板面には、ねじ軸孔77aが設けられている。ねじ軸孔77aにねじ軸52を螺合することにより、アーム本体部77は、軸支承部61の上面部65および下面部66と平行に配置される。ねじ軸52を回転させることで、アーム本体部77はねじ軸52に沿って上下方向に移動することができる。アーム本体部77の上面側には樹脂製(本実施形態においては、ポリアセタール樹脂製)のワッシャー80が取り付けられており、アーム本体部77が最も上側に移動した場合において、アーム本体部77の上面と、軸支承部61の上面部65の下面との間に過剰な荷重がかかるのを防止するとともに密着性を高める。これにより、係止アーム部62を、係止アーム部62が開いた状態(図8のように、アーム本体部77が軸支承部61に対して略90度の位置にある状態)から係止アーム部62が閉じた状態(図9のように、アーム本体部77が軸支承部61と重なる位置にある状態)に姿勢を変える時に、係止アーム部62と軸支承部61との間に不要に荷重を与えることを抑止する。また、係止アーム部62を閉じた姿勢にしたとき、アーム本体部77の上面と軸支承部61の上面部65の下面との間に適切に摩擦が生じ、後述するバネ部材75の復元力に抗して係止アーム部62は閉じた姿勢を容易に保持することができる。
【0033】
また、図11に示すように、係止アーム部62が閉じた状態のときに、アーム本体部77の側面部67と当接する当接部77cは、傾斜角度θ3で傾斜するように設けられている。傾斜角度θ3は、平面視で係止端部76の表面と平行な平面からの傾き角度である。当接部77cを係止端部76の表面に対して傾いて形成することで、係止アーム部62が閉じた状態のときに係止端部76の位置がより軸支承部61の側面部67側に配置することができる。傾斜角度θ3は2~5°が好ましい。このように構成することにより、係止端部76の固定ねじ78が配置される側は、他の側よりも器具本体11寄りに配置されることとなる。これにより、固定ねじ78が器具本体11の幅よりも突出することを防止することができる。
【0034】
係止端部76は、アーム本体部77と直交した板状部材で形成されており、バネ部材75の先端が固定される部分である。係止端部76に設けられた固定ねじ孔76aに固定部材である固定ねじ78を取り付けることによりバネ部材75の先端を係止端部76に固定することができる。
【0035】
本実施形態のバネ部材75は、トーションばね(捩りばね)で構成されており、線材を円筒状に巻回したコイル部75aの両端から延びる二つの腕部を有する形状に形成されている。バネ部材75は、コイル部75aの中心軸まわりにねじりモーメントを生じさせるものである。本実施形態のバネ部材75では、二つの腕部が近づくように荷重を加えてから開放させると、その弾性力(復元力)によりコイル部75aの中心軸を中心に回転する方向に二つの腕部が広がるよう変位する。二つの端部の一方は、固定部材によって係止端部76に固定されている。また、他方の端部(軸支承部側腕部75bの端部)は、軸支承部61の側面部の外側面に当接している。バネ部材75の軸支承部側腕部75bの端部は曲面部(軸支承部側端部)75cを有するように加工されている。すなわち、線材を円弧状に加工することにより曲面部75cを形成している。曲面部75cは、軸支承部61に当接しながら移動可能に構成される。
【0036】
次に、取付具12を用いた埋込型器具1の設置方法について説明する。
埋込型器具1の器具本体11を天井Cの埋込孔Caに挿入する。このとき、取付具12の係止アーム部62を閉じた状態にする。係止アーム部62が閉じた状態であれば、埋込孔Ca内に係止アーム部62を挿入することができる。この状態のとき、係止アーム部62のアーム本体部77は最も上側の位置まで移動している。アーム本体部77が最も上側の位置にあるとき、アーム本体部77と軸支承部61上面との間に摩擦力が生じる。この摩擦力がバネ部材75の復元力(付勢力)よりも大きい場合は、係止アーム部62は閉じた状態で保持される。このとき、バネ部材75の軸支承部側端部である曲面部75cは、平面視において器具主体31の長手方向に延びる両側面の間に配置される。平面視で曲面部75cが器具主体31の両側面よりも外側に配置されないため、バネ部材75の曲面部75cが天井Cの何れかの部分と接触して変形するのを抑止することができる。これにより、バネ部材75の変形による取付具12の取付不良を抑止する。
【0037】
本実施形態のバネ部材75の巻角度は、二つの端部とコイル部75aの成す角度をいう。係止アーム部62が開いた状態(図8参照)のときのバネ部材75の巻角度をθ1とし、係止アーム部62が閉じた状態(図9参照)のときのバネ部材75の巻角度をθ2とする。本実施形態の回転部材51は、係止アーム部62が閉じた状態の巻角度θ2は、係止アーム部が開いた状態の巻角度θ1の2/3以下となるように構成した。換言すると、係止アーム部62が開いた状態から閉じた状態となるときの変位する角度は、θ1の1/3以上となる。このように構成することにより、アーム本体部77を変位させるのに十分な弾性力(トルク)を確保することができる。
また、トーションばねで形成したことにより、バネ部材75を配置するスペースを小さくすることができる。また、線材の太さ、コイル部75aの巻回数、又は巻角度を調整することで、所望のトルクやアーム本体部77の変位範囲を設定することができる。
【0038】
次に、ドライバー等の工具を用いて取付具12のねじ軸52を回転させる。ねじ軸52を回転させると、図6の状態から図5の状態になるように、アーム本体部77が下方へ移動する。アーム本体部77と軸支承部61の上面部65とが離間するにつれて摩擦力が減少し、完全に離間するとアーム本体部77と上面部65との間の摩擦力は消失する。これにより、バネ部材75の復元力によって、係止端部76を軸支承部側腕部76bから離間する方向に押圧され、アーム本体部77がねじ軸52を中心に略90度回動した状態(係止アーム部62が開いた状態)となる。
【0039】
さらに、ドライバー等の工具を用いて取付具12のねじ軸52を回転させると、アーム本体部77が下方へ移動する。アーム本体部77が下端まで移動すると、係止端部76の下端が、天井Cに当接する。これにより、器具本体11が天井Cに固定されることとなる。埋込型器具1の器具主体31と天井Cとの間には、弾性部材16が設けられており、部屋と天井Cとの間の気密性を高めることができる。
【0040】
取付具12は、器具本体11の長手方向に沿って複数個(本実施形態では6個)配置されている。本実施形態においては、2個一対の取付具12・12が器具本体11の長手方向に略等間隔に3カ所配置されている。2個一対の取付具12・12は、平面視において、180度回転した姿勢となるように配置されている。2個一対の取付具12・12のねじ軸52・52は、器具本体11の幅方向に並ぶように配置される。このように構成することにより、作業者が取付具12のねじ軸52を回転させる際に、2個一対の取付具12・12のねじ軸52の頭部52aが並んで配置されて点在していないため、高所での取付作業でも作業性が向上する。また、2個一対の取付具12・12を同形状の部品で用意することができる。
【0041】
また、器具本体11は、連結部材を用いて複数個を連結することができる。器具本体11を連結する場合は、端板部81を取り付けずに長手方向に沿って複数個配置し、連結部材を用いて器具本体11の互いの端部を連結する。
これにより、前記連結部材を介して器具本体11は長手方向に沿って複数個配置される。また、所定長に構成された器具本体11を連結して施工することができ、所望の長さの埋込型器具1を提供することが可能となる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る埋込型器具1の取付構造は、天井Cに設けられた埋込孔Caに取り付けられるものであって、器具本体11と、天井Cの上面に当接して器具本体11を取り付けるための取付具12とを備える。取付具12は、ねじ軸52と、ねじ軸52を中心に回動可能な回転部材51と、を有する。回転部材51は、ねじ軸52が取り付けられる軸支承部61と、ねじ軸52に取り付けられる係止アーム部62と、バネ部材75と、を有しする。係止アーム部62は、ねじ軸52の回転によってねじ軸52に沿って移動可能なアーム本体部77と、天井Cの上面に当接可能な係止端部76と、を有する。バネ部材75は、一方の端部が係止端部76に固定され、他方の端部が軸支承部61と当接する。
このように構成することにより、バネ部材75の復元力により係止アーム部62が回動して、器具本体11の外側に係止端部76が移動する。バネ部材75がねじ軸52に取り付けられていないため、スムーズに係止アーム部62を上下方向に移動することができる。
【0043】
また、軸支承部61は、ねじ軸52が取り付けられる上面部65を有し、係止アーム部62が軸支承部61の上面部65との間に摩擦力が生じるように構成されてもよい。
このように構成することにより、係止アーム部62と軸支承部61との間に摩擦力が発生して、バネ部材75の弾性力に抗することで、係止アーム部62を閉じた状態で保持することができる。また、係止アーム部62を下方向に移動させることで摩擦力が低減して、バネ部材75の復元力により、係止アーム部62は、容易に開いた状態に回動される。
【0044】
また、回転部材51は、係止アーム部62が回動することで係止アーム部62が開いた状態又は係止アーム部62が閉じた状態にすることができる。バネ部材75は、係止アーム部62が閉じた状態の巻角度θ2が係止アーム部62の開いた状態の巻角度θ1の2/3以下となる。
このように構成することにより、アーム本体部77を変位させるのに、十分なトルクを得ることができる。
【0045】
また、軸支承部61と当接するバネ部材75の軸支承部側腕部75bの端部は曲面部75cを有するように加工され、曲面部75cが軸支承部61に当接しながら移動可能に構成されるものである。
このように構成することにより、バネ部材75の軸支承部側腕部75bの曲面部75cで軸支承部61の側面部67に当接するため、軸支承部61の表面を傷つけずに摺動することができる。これにより、係止アーム部62の開閉動作がスムーズになる。
【0046】
また、係止アーム部62が閉じた状態のとき、バネ部材75の軸支承部側腕部75bの曲面部75cは、平面視において器具本体11(器具主体31)の長手方向に延びる両側面の間に配置されるものである。
このように構成することにより、バネ部材75の軸支承部側腕部75bの端部である曲面部75cが平面視で器具本体11の長手方向に延びる側面から外側に露出しないため、器具本体11を天井Cに配置する際にバネ部材75と天井Cとの接触による変形を抑止することができる。
【0047】
また、バネ部材75は、係止端部76において固定部材である固定ねじ78によって固定される。係止アーム部62が閉じた状態のとき、平面視において係止端部76の固定ねじ78を有する側が器具本体11寄りに配置されるものである。
このように構成することにより、固定ねじ78の先端を器具本体11寄りに配置することができるので、天井Cに器具本体11を配置する際に固定ねじ78の先端と天井Cとの接触を抑止し、天井Cおよび取付具12の損傷を抑止する。
【0048】
また、器具本体11は、長尺に構成されており、回転部材51は、少なくとも長手方向に沿って二列以上設けられるものである。
このように構成することにより、複数の回転部材51によって器具本体11を安定して被取付部に配置することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 埋込型器具
11 器具本体
12 取付具
16 弾性部材
31 器具主体
34 枠部
51 回転部材
52 ねじ軸
61 軸支承部
62 係止アーム部
65 上面部
66 下面部
67 側面部
68 下取付部
69 ねじ固定キャップ
70 固定部材
75 バネ部材
75a コイル部
75b 軸支承部側腕部
75c 曲面部(軸支承部側端部)
76 係止端部
77 アーム本体部
78 固定ねじ
C 天井
Ca 埋込孔
θ1 係止アーム部が開いた状態の巻角度
θ2 係止アーム部が閉じた状態の巻角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11