(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016225
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】高圧流体用防護シート
(51)【国際特許分類】
B32B 25/02 20060101AFI20250124BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20250124BHJP
A41D 31/10 20190101ALI20250124BHJP
A41D 31/24 20190101ALI20250124BHJP
A41D 31/28 20190101ALI20250124BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20250124BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B32B25/02
A41D31/00 502B
A41D31/00 502E
A41D31/00 503F
A41D31/00 503H
A41D31/00 504H
A41D31/10
A41D31/24
A41D31/28
A41D31/02 A
C08J5/04 CEQ
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119365
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000101499
【氏名又は名称】アトム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】平 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 弘満
(72)【発明者】
【氏名】村田 真杜
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
【Fターム(参考)】
4F072AA08
4F072AB06
4F072AB28
4F072AB29
4F072AD02
4F072AK14
4F072AL09
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4F100GB72
4F100JA07A
4F100JA07C
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4F100JD05C
(57)【要約】
【課題】高圧ジェット水流の作業に適した防護シートであって、圧力の低い水流に対しても防水でき、高圧流体が1点に集中して連続噴射された場合でも耐えられる防護シートを提供する。
【解決手段】防護シート1は、表面に設けられた第1層10と、その裏面に設けられた第2層20と、その裏面に設けられた第3層30を備える。第1層10及び第3層30は、パラ系アラミド繊維の不織布にNBRを含浸させたシートである。第2層20は不織布21と流体保持部材22によって液体が保持される保持区画23が形成されている。防護シート1の第1層10により防水性が確保され、仮に高圧ジェット水流Wによって第1層10に亀裂が入っても、第2層20に侵入した水が不織布21及び流体保持部材22によって保持区画23内に保持され、さらに侵入しようとする水の緩衝作用を果たす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体から被防護体を防護する防護シートであって、
表面に設けられ防水材料で構成される第1層と、前記第1層の裏面に設けられる第2層と、前記第2層の裏面に設けられる第3層を少なくとも備え、
前記第1層は、スーパー繊維を原料とする織布又は不織布にゴム系材料を含浸させてなり、
前記第2層は、親水性を有する素材により形成され、
前記第3層は、防水性を有する素材により形成されていることを特徴とする防護シート。
【請求項2】
請求項1に記載の防護シートであって、
前記第2層は、前記第1層及び前記第3層と接触して保持区画を形成する流体保持部材を備えていることを特徴とする防護シート。
【請求項3】
請求項2に記載の防護シートであって、
前記第2層は不織布により形成され、前記流体保持部材は前記不織布に保持された吸水性樹脂部材で形成されていることを特徴とする防護シート。
【請求項4】
請求項1に記載の防護シートであって、
前記スーパー繊維は、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、又はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維のいずれかの繊維からなる防護シート。
【請求項5】
請求項1に記載の防護シートであって、
前記第1層は、前記ゴム系材料にアクリロニトリルブタジエンゴムを用いて前記スーパー繊維に含浸させ、加熱加圧処理を行って形成されていることを特徴とする防護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ジェット水流等の高圧流体から作業者を防護することができる防護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルから噴射される高圧ジェット水流等の高圧流体を利用した加工や洗浄等の作業が行われており、作業者の防護を行う防護服についても種々提案されている。例えば、特許文献1では、ノズルから噴射された高圧水を遮断する多層構造体として、高圧水の衝撃を繊維の伸張により吸収する超高分子量ポリエチレン繊維製のダブルニットの衝撃吸収層と、衝撃吸収層の繊維が破断するのを防止する布帛製の破断防止層と、これら2層の繊維間を通過した高圧水の内部への侵入を防止する防水層を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の多層構造体は、高圧水の衝撃を繊維の伸長により吸収するニット製の衝撃吸収層と、この衝撃吸収層の破断を防止する布帛製の破断防止層と、これらの2層を通過した高圧水が身体側へ漏れ出すのを防止する防水層を備えている。
【0005】
特許文献1の多層構造体は、高圧水の衝撃を衝突部分の衝撃吸収層が凹んで繊維が伸長することにより、高圧水の衝撃を衝撃吸収層に吸収させ、破断防止層によって衝撃吸収層が伸びきって破断するのを防止し、防水層によって身体側への水の浸入を防止している。
【0006】
しかしながら、当該構成では、高圧水での作業中に、加工又は洗浄の対象物から跳ね返った水のような圧力が低い水がかかった場合であっても衝撃吸収層や破断防止層が水分を吸収し、重量が重くなるという不都合がある。また、衝撃吸収層及び破断防止層が、共に水を通過させる素材であるため、仮に高圧流体が1点に集中して連続噴射された場合、防水層への負担が大きくなり、高圧水が防水層を破断させるおそれがある。
【0007】
本発明は、高圧ジェット水流等の高圧流体を利用した作業に適した防護シートであって、圧力の低い水流に対しても防水が可能であり、高圧流体が1点に集中して連続噴射された場合でも耐えることが可能な防護シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、高圧流体から被防護体を防護する防護シートであって、表面に設けられ防水材料で構成される第1層と、前記第1層の裏面に設けられる第2層と、前記第2層の裏面に設けられる第3層を少なくとも備え、前記第1層は、スーパー繊維を原料とする織布又は不織布にゴム系材料を含浸させてなり、前記第2層は、親水性を有する素材により形成され、前記第3層は、防水性を有する素材により形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の防護シートによれば、第1層がスーパー繊維を原料とする織布又は不織布にゴム系材料を含浸させてなるものであり、防水材料で構成されているので、圧力の低い水流に対しても防水が可能となる。また、第1層がスーパー繊維とゴム系材料により構成されているので、柔軟性があり、防護服等に用いた際に作業性がよい。また、仮に高圧流体が1点に集中して連続噴射され、流体の一部が第1層に亀裂を生じさせて通過した場合であっても、第2層は親水性を有する素材により形成されるので、液体(水)は第2層に保持される。
【0010】
この第2層に保持された液体が、第1層の亀裂から浸入する高圧流体の緩衝材となるため、第3層に到達する流体の衝撃が緩和される。これにより、本発明の防護シートは、圧力の低い水流に対しても防水が可能であり、高圧流体が1点に集中して連続噴射された場合でも耐えることができる。
【0011】
本発明の防護シートにおいて、前記第2層は、前記第1層及び前記第3層と接触して保持区画を形成する流体保持部材を備えていてもよい。保持区画とは、流体を保持可能で他の区画への流体の漏出を抑制する区画を言う。当該構成により、仮に第1層に亀裂が生じて高圧流体の一部が侵入した場合でも、第2層に液体を止めておくことができるので、第2層における緩衝作用を確実なものとすることができる。
【0012】
また、当該構成において、前記第2層を不織布で形成し、前記流体保持部材を前記不織布に保持された吸水性樹脂部材で形成してもよい。流体保持部材をこのような構成とすることにより、流体保持部材によって第2層に液体を止めておくことができる。また、流体保持部材がある箇所に高圧流体が集中して連続噴射された場合であっても、吸水性樹脂部材によって保持された液体によって緩衝作用を生じさせることができる。
【0013】
また、当該構成により、第2層の不織布と流体保持部材を一体に形成することができるので、本発明の防護シートを防護服等に用いる際に、製造が容易となる。ここで、不織布に保持されるとは、不織布にゲル状にした吸水性樹脂部材を塗布して乾燥させる他、粉体状の吸水性樹脂部材を加熱して不織布に付着させる等の手段により、不織布に吸水性樹脂部材を固定させることを言う。
【0014】
また、本発明の防護シートにおいて、前記スーパー繊維は、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、又はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維のいずれかの繊維で構成してもよい。上記複数のスーパー繊維は、それぞれ性質や価格等が異なるものであり、本発明の防護シートを用いて形成される防護服や防護手袋等の製品の性質や価格設定等に応じて、適宜選択することが可能である。また、これらのスーパー繊維を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
また、本発明の防護シートにおいて、前記第1層は、前記ゴム系材料にアクリロニトリルブタジエンゴムを用いて前記スーパー繊維に含浸させ、加熱加圧処理を行って形成してもよい。本願発明者等によれば、当該素材の組合せによって、高い防護性能を有する防護シートを得ることができた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高圧ジェット水流等の高圧流体を利用した作業に適した防護シートであって、圧力の低い水流に対しても防水が可能であり、高圧流体が1点に集中して連続噴射された場合でも耐えることが可能な防護シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の防護シートを示す説明図であり、(A)は防護シートの裁断面を示す説明図、(B)は(A)のB-B線断面図。
【
図2】本実施形態の防護シートを用いた防護服を示す説明図。
【
図3】本実施形態の防護シートの高圧ジェット水流に対する作用を示す説明図。
【
図4】各試験片における高圧ジェット水流の貫通時間を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態の一例である防護シート1について、
図1~
図4を参照して説明する。本実施形態の防護シート1は、例えばノズルNから噴射される高圧ジェット水流W(高圧流体)から人体等の被防護体を防護するシートであって、
図1に示すように、表面に設けられた第1層10と、第1層10の裏面に設けられた第2層20と、第2層20の裏面に設けられた第3層30とから構成されている。また、本実施形態においては、第2層20の一部に、第1層10と第3層30に接触して保持区画23を形成する流体保持部材22が設けられている。
【0019】
第1層10は、スーパー繊維の一つであるパラ系アラミド繊維を原料とする不織布に、アクリロニトリルブタジエンゴム(以下「NBR」)を含浸させ、ホットプレスと呼ばれる加熱加圧処理を行って形成したシートである。具体的には、パラ系アラミド繊維の不織布にNBRをハンドレイアップ法により含浸させて乾燥させ、プレス機で100℃以上に加熱し、15MPa以上に加圧して30分から数時間プレスを行った。この第1層10は、不織布にNBRが含浸されているので、水を通さない防水材料による防水シートとなっている。
【0020】
パラ系アラミド繊維としては、デュポン社の製品であるケブラー(登録商標)を用いることができる。或いは、スーパー繊維として、超高分子量ポリエチレン繊維である東洋紡株式会社のイザナス(登録商標)を用いることもできる。その他、スーパー繊維としては、メタ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、又はポリアクリロニトリル系炭素繊維等の公知の素材を適宜採用することができる。
【0021】
また、本実施形態では、ゴム系材料としてNBRを用いている。NBRは、ゴム系材料の中でも柔軟性と耐摩耗性に優れており、耐圧性能も高い素材である。ゴム系材料としては、この他に、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)や、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、或いは、柔軟性を有する熱硬化性ポリウレタンエラストマー等の素材を用いることができる。
【0022】
第2層20は不織布により形成されており、親水性を有している。また、第2層20は、
図1(B)に示すように、合成樹脂製の不織布21に、親水性を有する吸水性樹脂部材である流体保持部材22を格子状に保持させている。この流体保持部材22は、第1層10の裏面と第3層30の表面に接触しており、流体保持部材22に囲まれた部分に保持区画23が形成されている。
【0023】
不織布21としては、広く一般に使用されているものを使用することができる。例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、或いはニードルパンチ不織布を挙げることができる。その素材としては、ポリプロピレン、ポリエステル、或いはナイロン等を用いることができる。また、第2層20においては、不織布21以外にも、親水性を有していれば織布やウレタンフォーム等の素材を用いることができる。
【0024】
流体保持部材22としては、公知の高分子吸水材を用いている。高分子吸水材としては、SAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の吸収性樹脂(高分子吸水材)等を用いることができる。SAPは、水を吸収し保持する架橋構造を持つ親水性ポリマーである。流体保持部材22としては、この他に、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、或いはポリビニルアルコール等、公知の保水材料を用いてもよい。
【0025】
保持の第2層20は、上記構成となっているため、予め不織布21のシートに流体保持部材22を格子状に保持させたものを準備しておき、防護服2やその他のグローブ等の用途に応じて裁断して使用することができる。従って、通常の布地の材料と同様の取り扱いができるので、製造が容易となる。
【0026】
第3層30は、本実施形態では第1層10と同様の防水シートを用いている。第3層30については、第2層20に水が浸入した際に浸水を防止する防水性があればよいが、スーパー繊維を用いたシートを使用することで、さらに防護性能を高めることができる。
【0027】
本実施形態の防護シート1は、例えば、
図2に示す防護服2に用いることができる。防護服2は、防護シート1を適宜裁断し、縫製することで防護服2の形状を形成している。この防護服2は、装着者の胴の部分と、腕の部分と、首の部分を覆うように形成されている。また、縫い合わせた部分に流体保持部材22を保持するようにしてもよい。その他、本実施形態の防護シート1は、ヘルメット、グローブ、スラックス、ブーツ、エプロン等の防護具に用いることができる。本実施形態の防護シート1は、柔軟性を有しているため、防護服2やグローブ、スラックス等に用いた際に、作業性がよい。
【0028】
本実施形態の防護シート1は、上記構成を備えているため、
図3(A)に示すように、ノズルNから高圧ジェット水流Wが防護シート1に噴射された場合であっても、第1層10によって防護される。第1層10は、スーパー繊維であるパラ系アラミド繊維の不織布に、NBRを含浸させたものであり、耐水性及び耐摩耗性を有しているので、高圧ジェット水流Wの連続噴射に対しても比較的長時間防護することができる。
【0029】
ここで、仮に高圧ジェット水流Wが長時間連続噴射された場合、
図3(B)に示すように、第1層10の一部に亀裂が入り、水流が第2層20に到達することもある。このような場合であっても、第2層20に侵入した水は、不織布21によって保持され、さらに侵入しようとする水の緩衝作用を果たす。
【0030】
不織布21に含浸した水は、重力によって下方に移動するが、第2層20は流体保持部材22によって保持区画23が形成されているため、水が不織布21の内部を下方に移動すると流体保持部材22により保持される。これにより、水が浸入した第2層20の保持区画23においては、不織布21に水が保持され、さらに侵入しようとする水の緩衝作用が維持される。
【0031】
本実施形態では、流体保持部材22としてSAPを用いている。このSAPは、紙おむつ等に使用されている素材であり、吸水するとゲル状となるため、保持区画23から外部への水の漏出を防止することができる。従って、第1層10に亀裂が生じた場合であっても、その亀裂の生じた保持区画23のみに水が保持され、他の保持区画23には水は漏出しない。これにより、第1層10の亀裂による水の浸入による防護服2の重量の増加が最小限に抑えられる。
【0032】
図4は、試験片に対して200mmの距離から3MPaの圧力で高圧ジェット水流Wを噴射し、試験片が貫通するまでの時間を計測した結果を示すグラフである。グラフの縦軸は累積確率(%)を示し、横軸は時間(秒)を示している。
【0033】
グラフは、5種類の試験片の貫通時間の結果をプロットしたものであり、左側から、○:NBRのみのシート、△:スーパー繊維(パラ系アラミド繊維)不織布のみのシート、□:スーパー繊維(パラ系アラミド繊維)不織布にNBRを含浸させ、ホットプレスを行ったシート、●:本実施形態の防護シートで流体保持部材22を設けていないシート、▲:本実施形態の防護シート1であり、流体保持部材22を備えているシートとなっている。
【0034】
図4を見れば明らかなように、NBRのみのシート(○)は、この試験環境下においては10秒以下で貫通し、スーパー繊維の不織布のみのシート(△)は平均貫通時間が6秒程度となっている。また、本実施形態の第1層10に相当するスーパー繊維不織布にNBRを含浸させたシート(□)であっても、平均貫通時間は10秒程度となっている。
【0035】
これに対し、本実施形態の防護シートで流体保持部材22を設けていないシート(●)では、平均貫通時間が約20分となり、貫通時間が大幅に増加している。さらに、本実施形態の防護シート1(▲)では、平均貫通時間が30分を超えており、流体保持部材22による保持区画23内での水の保持が貫通防止に寄与していることがわかる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、第1層10において、スーパー繊維の不織布を用いているが、これに限らず、スーパー繊維の織布を用いてもよい。この場合、織布としては、平織、綾織、朱子織等の織物であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態において、第2層20は、不織布21に流体保持部材22を格子状に保持させたものとなっているが、第2層20に保水ができるのであれば、他の構成を採用してもよい。例えば、防水性及び柔軟性を有する合成樹脂を不織布21に含浸させてもよく、格子状に両面粘着テープを配置し、矩形状の内部に不織布21を配置するようにしてもよい(図示省略)。この場合、両面粘着テープに多孔質体を用いることにより、両面粘着テープに水を保持できるので、さらに対貫通性能が向上する。
【0038】
また、上記実施形態において、第3層30は、第1層10と同様の防水シートを用いているが、これに限らず、防水性を有するシートを用いればよい。例えば、スーパー繊維ではない通常の繊維の不織布にNBR等を含浸させたものでもよく、柔軟性を有する合成樹脂製シートを用いてもよい。また、通気性を有する防水布地を用いてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、防護シート1を第1層10~第3層30の3層構造としているが、それに限らず、第3層30の裏面に布製の裏地やクッション性を有する布地、或いは防寒用の布地をさらに重ねてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…防護シート
2…防護服
10…第1層
20…第2層
21…不織布
22…流体保持部材
23…保持区画
30…第3層