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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016226
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】食材調理容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
B65D81/34 A
B65D81/34 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119366
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】523278216
【氏名又は名称】合同会社フレンズ
(72)【発明者】
【氏名】芝野 智之
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA24
3E013BB06
3E013BD01
3E013BE02
3E013BH03
3E013BH22
3E013BH32
3E013BH68
3E013BH70
3E013BJ03
3E013BJ10
(57)【要約】
【課題】湯切り若しくは水切りに係る液体を外部に捨てることなく湯切り若しくは水切りして食材を食することができる食材調理容器を提供する。
【解決手段】第1の容器20と、第1の容器20内に収容される第2の容器30とを有し、第1の容器20の内面と第2の容器の底面により画成される第1の空間40と、第2の容器20内の第2の空間50とを形成し、第2の空間50内に湯戻し若しくは水戻しに係る食材51を収容し、第1の空間40内に湯戻し若しくは水戻しに係る液体Lを吸収する吸水剤41を収容した食材調理容器100であって、第2の空間50内に注がれた液体Lを第1の空間40内に導くために第2の容器30の底面に形成された1又は複数の開口31と、第1の容器20と第2の容器30との隙間に形成され、第2の空間50内の液体を第1の空間40内に導く際に第1の空間40内の空気を外部に放出する空気抜き通路21と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容器と、前記第1の容器内に収容される第2の容器とを有し、前記第1の容器の内面と前記第2の容器の底面とにより画成される第1の空間と前記第2の容器内の第2の空間とを形成し、前記第2の空間内に湯戻し若しくは水戻しに係る食材を収容し、前記第1の空間内に前記湯戻し若しくは水戻しに係る液体を吸収して膨張する吸水剤を収容した食材調理容器であって、
前記第2の空間内の食材の湯戻し若しくは水戻しのために前記第2の空間内に注がれた液体を前記第1の空間内に導くために前記第2の容器の底面に形成された1又は複数の開口と、
前記第1の容器と前記第2の容器との隙間に形成され、前記第2の空間内の湯又は水を第1の空間内に導く際に、前記第1の空間内の空気を外部に放出する空気抜き通路と、
を具備することを特徴とする食材調理容器。
【請求項2】
前記空気抜き通路は、
前記第1の容器と前記第2の容器との隙間の特定の一カ所若しくは複数個所に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の食材調理容器。
【請求項3】
前記空気抜き通路は、
前記第1の容器と前記第2の容器との隙間に蛇行して形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の食材調理容器。
【請求項4】
前記第2の容器は、
その上部周辺部外壁に前記第1の容器の内壁側に突出する凸部帯が形成され、
前記第1の容器は、
その上部周辺部内壁に、前記凸部が嵌合する凹部帯が形成され、
前記空気抜き通路は、
前記凸部帯及び前記凹部帯の切り欠き部に形成される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【請求項5】
前記第1の容器は、
その上部周辺部内壁に前記第2の容器の外壁側に突出する凸部帯が形成され、
前記第2の容器は、
その上部周辺部外壁に、前記凸部が嵌合する凹部帯が形成され、
前記空気抜き通路は、
前記凸部帯及び前記凹部帯の切り欠き部に形成される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【請求項6】
前記第1の容器と前記第2の容器とは、
その上縁部が接着され、前記第1の容器の上部側壁に前記空気抜き通路に連通する1又は複数の空気抜き孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【請求項7】
前記第2の容器は、
その底面が湾曲している
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【請求項8】
前記開口には、
前記吸水剤の膨張により該開口を前記第1の空間側から閉じる可撓性のシート材が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【請求項9】
前記シート材は、
前記第2の容器の底部の前記開口に対応して形成され、前記開口を閉じる際に該開口に嵌合する1又は複数の突起を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の食材調理容器。
【請求項10】
前記シート材は、
前記吸水剤側の面に該吸水材の膨張時に該吸水材に当接する突起部を有する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の食材調理容器。
【請求項11】
前記吸水剤は、
該吸収材の膨張時に前記シート材又は前記シート材の突起部に当接する膨出部を有する ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の食材調理容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯戻し若しくは水戻して食に供する食材の調理に適した食材調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
簡単に調理が可能な食材として、湯戻しして食するカップ焼きそば、カップ春雨、カップスパゲティ、生麺タイプのカップラーメン、カップうどん、及びカップ等に収容された餃子、シウマイ等の飲茶食材等が知られており、また、水戻しして食するカップそば、カップうどん等も知られている。
【0003】
これらの食材は、カップに湯又は水を注いで湯戻し若しくは水戻しした後に、湯切り、水切り操作が必要になる。
【0004】
上記湯切り操作を容易にした従来のこの種の食材調理容器としては、特許文献1に開示した「湯切り孔付き蓋材」を用いたものが知られている。この特許文献1に開示した「湯切り孔付き蓋材」を用いた食材調理容器は、湯切り孔形成用摘み3を掴んで外蓋11の紙層12を内蓋15から剥離することにより内蓋15に湯切り孔9を形成し、この湯切り孔9を通して容器内の湯切りに係る液体を外部に捨てるように構成されている。
【0005】
しかし、上記構成の湯切りを必要とする食材や水切りを必要とする食材は、湯切り若しくは水切りをした湯、水等の液体を捨てる場所のない環境下においては食することができないという問題があり、このことがコンビニエンスストア等におけるこの種の食材の販売の大きな障害となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-96879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、湯切り若しくは水切りに係る液体を外部に捨てることなく湯切り若しくは水切りして食材を食することができる食材調理容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、第1の容器と、前記第1の容器内に収容される第2の容器とを有し、前記第1の容器の内面と前記第2の容器の底面とにより画成される第1の空間と、前記第2の容器内の第2の空間とを形成し、前記第2の空間内に湯戻し若しくは水戻しに係る食材を収容し、前記第1の空間内に前記湯戻し若しくは水戻しに係る液体を吸収して膨張する吸水剤を収容した食材調理容器であって、前記第2の空間内の食材の湯戻し若しくは水戻しのために該第2の空間内に注がれた液体を第1の空間内に導くために前記第2の容器の底面に形成された1又は複数の開口と、前記第1の容器と前記第2の容器との隙間に形成され、前記第2の空間内の液体を第1の空間内に導く際に、前記第1の空間内の空気を外部に放出する空気抜き通路と、を具備することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記空気抜き通路は、前記第1の容器と前記第2の容器との隙間の特定の一カ所若しくは複数個所に形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記空気抜き通路は、前記第1の容器と前記第2の容器との隙間に蛇行して形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1の容器は、その上部周辺部内壁に前記第2の容器の外壁側に突出する凸部帯が形成され、前記第2の容器は、その上部周辺部外壁に、前記凸部が嵌合する凹部帯が形成され、前記空気抜き通路は、前記凸部帯及び前記凹部帯の切り欠き部に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記第2の容器は、その上部周辺部外壁に前記第1の容器の内壁側に突出する凸部帯が形成され、前記第1の容器は、その上部周辺部内壁に、前記凸部が嵌合する凹部帯が形成され、前記空気抜き通路は、前記凸部帯及び前記凹部帯の切り欠き部に形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1の容器と前記第2の容器とは、その上縁部が接着され、前記第1の容器の上部側壁に前記空気抜き通路に連通する1又は複数の空気抜き孔が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発明において、前記第2の容器は、その底面が湾曲していることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発明において、前記開口には、前記吸水剤の膨張により該開口を前記第1の空間側から閉じる可撓性のシート材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8に記載の発明において、前記シート材は、前記第2の容器の底部の前記開口に対応して形成され、前記開口を閉じる際に該開口に嵌合する1又は複数の突起を有することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項8又は9の発明において、前記シート材は、前記吸水剤側の面に該吸水材の膨張時に該吸水材に当接する突起部を有することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の発明において、前記吸水剤は、該吸収材の膨張時に前記シート材又は前記シート材の突起部に当接する膨出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1の容器と、前記第1の容器内に収容される第2の容器とを有し、前記第1の容器の内面と前記第2の容器の底面とにより画成される第1の空間と、前記第2の容器内の第2の空間とを形成し、前記第2の空間内に湯戻し若しくは水戻しに係る食材を収容し、前記第1の空間内に前記湯戻し若しくは水戻しに係る液体を吸収して膨張する吸水剤を収容した食材調理容器であって、前記第2の空間内の食材の湯戻し若しくは水戻しのために該第2の空間内に注がれた液体を第1の空間内に導くために前記第2の容器の底面に形成された1又は複数の開口と、前記第1の容器と前記第2の容器との隙間に形成され、前記第2の空間内の液体を第1の空間内に導く際に、前記第1の空間内の空気を外部に放出する空気抜き通路と、を具備して構成したので、湯切り若しくは水切り時に第2の空間内の湯又は水を第2の空間に容易に導いて第2の空間内の吸水剤に吸収させることができ、これにより湯切り若しくは水切りに係る液体を外部に捨てることなく食することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る実施例1の食材調理容器の断面図及び上面図である。
図2図2は、図1に示した食材調理容器を用いた食材の調理方法を説明する図である。
図3図3は、図1に示した食材調理容器を用いた食材の調理方法を説明する図である。
図4図4は、図1に示した食材調理容器の第2の容器の底面に設けた開口を湯切り若しくは水切り後に閉じる他の構成を説明する断面図である。
図5図5は、図1に示した食材調理容器の開口を湯切り若しくは水切り後に安定して閉じるための構成を説明する断面図である。
図6図6は、本発明に係る実施例2の食材調理容器の断面図及び上面図である。
図7図7は、本発明に係る実施例3の食材調理容器の断面図及び上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための実施例について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0022】
図1は、本発明に係る食材調理容器の実施例1を示すもので、図1(A)は、図1(B)のA-A断面図、図1(B)は、上面図である。
【0023】
図1(A)、(B)に示す実施例1の食材調理容器100おいて、この食材調理容器100は、蓋体10と第1の容器20と、第1の容器20内に収容される第2の容器30とから構成される。
【0024】
ここで、第1の容器20の内面と第2の容器30の底面とにより画成される第1の空間40と、第2の容器内の第2の空間50とが形成される。
【0025】
すなわち、本発明に係る食材調理容器100は、第2の容器30の底面を仕切り版として2つに仕切られた第1の空間40と第2の空間50とを有する2重構造からなり、第1の空間40内に、吸水剤41が収容され、第2の空間50内に、湯戻し又は水戻しする調理対象である食材51等が収容される。
【0026】
第2の空間50に収容される食材51としては、例えば湯戻しした後に湯切りして食するカップ焼きそばを想定しているが、カップ焼きそば以外の湯戻しして食するカップ春雨、カップスパゲティ、生麺タイプのカップラーメン、カップうどん、及びカップ等に収容された餃子、シウマイ等の飲茶食材又は水戻しして食するカップそば、カップうどん又はこんにゃくや生めん、タピオカ等であってもよい。
【0027】
また、この実施例1の食材調理容器100は、第2の容器30の底面には、第2の容器30内に収容された食材51を湯戻し又は水戻したのちに湯戻し又は水戻しに用いた湯又は水等の液体を第2の空間50から第1の空間40に導く複数の開口31が設けられている。
【0028】
この複数の開口31には、この開口31を第2の空間側50から塞ぐシール70が貼設されており、このシール70には、このシール70を外部から剥離するために把持される延材部71が設けられている。
【0029】
なお、上記延材部71の代わりにシール70に取り付けた紐等を設けるようにしてもよい。また、シール70の延材部71は、蓋体10を開ける前は第2の空間50内に収容するようにしてもよい。
【0030】
第2の容器30内に収容された食材51の湯戻し又は水戻しが完了すると、延材部71が把持され上に引かれ、これにより第2の容器30の底面の複数の開口31からシール70が剥離される。これにより、第2の容器30内の湯戻し又は水戻しに用いた湯又は水等の液体は、第2の容器30の底面の複数の開口31を通って、第1の空間40内に導かれ、吸収剤41に吸収される。
【0031】
さて、この実施例1の食材調理容器100においては、第2の容器30の上部周辺部外壁に第1の容器20の内壁側に突出する凸部帯32が形成されており、第1の容器20の上部周辺部内壁には、第2の容器30の凸部帯32が嵌合する凹部帯22が形成されている。そして、第2の容器30を第1の容器20内に収容する際には、第2の容器30の凸部帯32が第1の容器20の凹部帯22が嵌合して、第2の容器30が第1の容器20内に固定される。
【0032】
そして、上記凹部帯22及び凸部帯32には一部切り欠き部が形成され、この切り欠き部により第2の容器30内の湯戻し又は水戻しに用いた液体を第1の空間40に導く際の空気抜き通路21を形成している。
【0033】
この空気抜き通路21がないと、第1の空間40は密閉構造となるため、第2の容器30内の湯戻し又は水戻しに用いた湯又は水等を容易に第1の空間40に導くことはできない。
【0034】
なお、上記実施例1では、上記空気抜き通路21を第1の容器20と第2の容器30の周面の一カ所に設けたが、複数個所に設けてもよい。また、空気抜き通路21からの液漏れを防ぐためには、第1の容器20の内壁及び/または第2の容器30の外壁に複数の仕切り板等を形成して、空気抜き通路21を蛇行するように構成してもよい。
【0035】
また、この食材調理容器100の蓋体10を装着した状態では、シール70の延材部71により空気抜き通路21を上部から同時に塞ぐように構成することもできる。
【0036】
図2及び図3は、図1に示した食材調理容器100を用いた食材51の調理方法を説明する図である。
【0037】
図2(A)に示すように、この食材調理容器100の第2の空間50には、調理対象である食材51が収容され、第1の空間40には、吸水剤41が収容される。
【0038】
この状態で、蓋体10を開け、図2(B)に示すように、第2の空間50に必要な湯又は水等の液体Lを注ぎ、これにより、第2の空間50内の食材51の湯戻し若しくは水戻しを行う。
【0039】
第2の空間50内に注がれた液体Lが所定量に達すると、第1の容器20及び第2の容器30に蓋体10を乗せ、第1の容器20及び第2の容器30を閉じる(図2(C))。
【0040】
この状態で、所要時間経過して、第2の空間50内の食材51等の湯戻し若しくは水戻しが完了する(図2(C))と、図3(D)に示すように、第1の容器20及び第2の容器30から蓋体10を外す。そして、シール70の延在部71を引くことにより、シール70を開口31の上面から剥離し、これにより、第2の空間50内の湯又は水等の液体Lは、開口31を通って第1の空間40に流れ、湯切り若しくは水切りが行われる。
【0041】
この時、第1の空間40内の空気は空気抜き通路21を通って外部に放出され、第2の空間50内の湯切り若しくは水切り係る湯又は水等の液体Lは、容易に第2の容器30の底面の開口31を通って下に流れることができ、容器全体を傾けたりしなくて確実かつ有効な湯切り若しくは水切りを行うことができる。
【0042】
第2の空間50から第1の空間40に流れ込んだ湯切りに係る湯又は水等の液体Lは、図3(D)に示すように、第1の空間40内の吸水剤41により吸収され、吸水剤41は徐々に膨張する。
【0043】
この吸水剤41の膨張により、シート材60は下から上に押し上げられ、図3(E)に示すように、第2の容器30の開口31は、このシート材60により下から閉じられ、この食材51の調理が終了する。
【0044】
上記構成によると、第2の容器30の開口31は、湯切り若しくは水切り後に、シート材60により閉じられるので、第1の空間40の吸水剤41に吸収された湯又は水等の液体Lが湯切り若しくは水切りした食材51に逆流して触れる虞は生じず、また、吸水剤41から発生するガス等も湯切り若しくは水切りした食材51に触れる虞もない。
【0045】
図4は、上記開口31を湯切り若しくは水切り後に閉じるシート材60の他の構成例を説明する断面図である。
【0046】
図4においては、第2の容器30の開口31に対応して配設されるシート材60は、その上面に、上記開口31に対応して形成され、該開口31にそれぞれ嵌合する突起61を有している。
【0047】
図4(A)の状態で、シール70が第2の空間50側から剥がされると、湯切り若しくは水切りに係る液体は、図4(B)に示すように、開口31を通って第2の空間50から第1の空間40に流れ、このとき第1の空間40内の空気は空気抜き通路21を通って外部に放出され、これにより、第2の空間50から第1の空間40への液体の流れを容易に行うことができ、第2の空間50内の食材51の湯切り若しくは水切りを確実にする。そして、第2の空間50から第1の空間40に流れた湯又は水等の液体は、第1の空間40内に収容されている吸水剤41に吸水される。
【0048】
第1の空間40内に収容されている吸水剤41は、湯切り、若しくは水切りに係る液体の吸収により膨張し、図4(C)に示すように、シート材60を下から上に押し上げ、その結果、開口31は、シート材60により塞がれ、開口31は閉じられる。
【0049】
ここで、シート材60には、第2の容器30の開口31に対応して突起61が形成されているので、図4(C)の状態において、シート材60の突起61は、開口31に嵌合し、これにより開口31を確実に閉じることができる。
【0050】
図5は、図1に示した食材調理容器の開口を湯切り若しくは水切り後に安定して閉じるための構成を説明する断面図である。
【0051】
図1乃至図4で説明した食材調理容器100において、第2の空間に注がれる湯又は水等の量が少ないと、湯切り若しくは水切り後に、第2の空間50から第1の空間40へ流れる液体の量が少なくなり、これにより、吸収材41の膨張が不十分で、第2の容器30の底面の開口31がシート材60により確実に閉じられない場合がある。
【0052】
この場合は、第1の空間40の吸水剤41に吸収された湯又は水等の液体が湯切り若しくは水切りした食材51に逆流して触れたり、吸水剤41から発生するガス等に触れる虞がある。
【0053】
そこで、本願発明の食材調理容器100においては、図5(A)に示すように、シート材60の下面に、弾性材からなる突起部62を形成する。この構成によると、第2の空間50から第1の空間40へ流れる液体の吸収により膨張する吸収材41は、まず、上記突起部62に当接する。ここで、突起部62は弾性体から構成されているので、シート材60と吸収材41との間の緩衝材として機能し、吸収材41の膨張が不十分でも、第2の容器30の底面の開口31を確実に閉じることができる。
【0054】
図5(B)は、第2の容器30の底面の開口31を確実に閉じるようにするための他の構成を示す断面図である。図5(B)に示す構成においては、シート材60の下面に、突起部62を形成する代わりに、吸収材41の上に、弾性材からなる突起部42を形成する。この構成においても、吸収材41の膨張に際して、突起部42がシート材60に最初に当接し、突起部42は弾性体から構成されているので、シート材60と吸収材41との間の緩衝材として機能し、吸収材41の膨張が不十分でも、第2の容器30の底面の開口31を確実に閉じることができる。
【0055】
なお、図5(A)に示す構成においては、シート材60の下面に弾性材からなる突起部62を形成し、図5(B)に示す構成においては、吸収材41の上に、弾性材からなる突起部42を形成するように構成したが、シート材60の下面に弾性材からなる突起部62を形成するとともに、吸収材41の上に、弾性材からなる突起部42を形成するように構成してもよい。
【実施例0056】
図6は、本発明に係る食材調理容器の実施例2を示すもので、図6(A)は、図6(B)のA-A断面図、図6(B)は、上面図である。
【0057】
図6(A)、(B)に示す実施例2の食材調理容器200おいても、実施例1の食材調理容器100と同様に、蓋体10と第1の容器20と、第1の容器1内に収容される第2の容器30とから構成され、第1の容器20の内面と第2の容器30の底面とにより画成される第1の空間40と、第2の容器内の第2の空間50とが形成される。すなわち、実施例2の食材調理容器200は、実施例1の食材調理容器100と同様に、第2の容器30の底面を仕切り版として2つに仕切られた第1の空間40と第2の空間50とを有する2重構造からなり、第1の空間40内に、吸水剤41が収容され、第2の空間50内に、湯戻し又は水戻しする調理対象である食材51等が収容される。
【0058】
さて、この実施例2の食材調理容器200においては、第1の容器20の上部周辺部内壁に第2の容器30の内壁側に突出する凸部帯23が形成され、第2の容器30の上部周辺部外壁には、第1の容器20の凸部帯23が嵌合する凹部帯33が形成されており、第2の容器30を第1の容器20内に収容する際には、第1の容器20の凸部帯23が第2の容器30の凹部帯33が嵌合して、第2の容器30を第1の容器20内に固定するように構成されてる。
【0059】
そして、上記凹部帯33及び凸部帯23には一部切り欠き部が形成され、この切り欠き部により第2の容器30内の湯戻し又は水戻しに用いた湯又は水等を第1の空間40に導く際の空気抜き通路21を形成している。その他の構成は図1に示した実施例1の食材調理容器100と同様である。
【実施例0060】
図7は、本発明に係る食材調理容器の実施例3を示すもので、図3(A)は、図3(B)のA-A断面図、図7(B)は、上面図である。
【0061】
この実施例3の食材調理容器300は、第1の容器20と第2の容器30とをその上縁部でスペーサ80を介して接着し、第1の容器20の上部側壁に空気抜き通路21に連通する空気抜き孔24を穿設して構成したものである。
【0062】
ここで、上記空気抜き孔24は、第1の容器20の上部側壁周縁部に複数個設けるように構成してもよい。
【0063】
また、第1の容器20と第2の容器30との上縁部の接着はスペーサ80を介さずに直接接着するように構成してもよい。
【0064】
その他の構成は実施例1及び実施例2の食材調理容器100、200と同様である。
【0065】
上記実施例3の食材調理容器300によると、シール70の延在部71を引くことにより、シール70を開口31の上面から剥離すると、第2の空間50内の湯又は水等の液体を、開口31を通って第1の空間40に流れる。このとき、第1の空間40内の空気は、空気抜き通路21、空気抜き孔24を通って外部に放出されるので、第2の空間50内の湯切り若しくは水切り係る湯又は水等の液体を、容易に第2の容器30の底面の開口31を通って第1の空間40に流すことができ、容器全体を傾けたりしなくて確実かつ有効な湯切り若しくは水切りを行うことができる。
【0066】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【0067】
例えば、上記第2の空間に収容される吸水剤を水と反応することにより冷却効果を有する材料から構成すれば、水戻した第1の空間の食材を冷却状態に維持させることができる。
【0068】
また、本発明に係る食材調理容器は、湯切り若しくは水切りに係る液体を外部に捨てることなく第1の空間に収容した食材を食することができるので、例えば、この食材調理容器をぬいぐるみ等に収容して持ち歩けば、場所、時を選ばずにこの種の食材を食することが可能になる。
【符号の説明】
【0069】
10…蓋体
20…第1の容器
21…空気抜き通路
22…凹部帯
23…凸部帯
24…空気抜き孔
30…第2の容器
31…開口
32…凸部帯
33…凹部帯
40…第1の空間
41…吸水剤
42…突起部
50…第2の空間
51…食材
60…シート部材
61…突起
62…突起部
70…シール
71…延在部
80…スペーサ延在部
100、200、300…食材調理容器
L…液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7