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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016229
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】歯科用鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/247 20060101AFI20250124BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
A61B1/247
A61C19/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119369
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】593080135
【氏名又は名称】株式会社ナルコーム
(74)【代理人】
【識別番号】100160912
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 崇
【テーマコード(参考)】
4C052
4C161
【Fターム(参考)】
4C052LL04
4C161AA09
4C161CC02
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】簡易な構造であって衛生面の懸念が生じることがない歯科用鏡を提供する。
【解決手段】鏡部と、鏡部の端縁において鏡部が取り付けられる基板から突出する第1把持部と、第1把持部から離間して基板から突出する第2把持部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡部と、
該鏡部の端縁において該鏡部が取り付けられる基板から突出する第1把持部と、
該第1把持部から離間して前記基板から突出する第2把持部と、
を備える歯科用鏡。
【請求項2】
前記第1把持部と前記第2把持部とが互いに異なる色によって着色される、請求項1に記載の歯科用鏡。
【請求項3】
前記基板は、
前記鏡部の端縁において該鏡部が取り付けられる枠部及び該枠部から突出する前記第1把持部を有する第1基板と、
該第1基板の前記枠部に重ね合わせられる基部及び該基部から突出する前記第2把持部を有して前記第1基板と連結される第2基板と、を備え、
前記第1基板及び前記第2基板は、
前記第1把持部と前記第2把持部とが相対的に接離可能に回動する、
請求項1または2に記載の歯科用鏡。
【請求項4】
前記鏡部は、
入射光の一部を反射させる一方で前記入射光の一部を透過させる一方向型の鏡によって形成される、
請求項1または2に記載の歯科用鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用鏡、特に、患者に口腔内を確認させるために用いられる歯科用鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医等の歯科医療従事者が患者の歯の治療を行う場合は、一般的に、患者の口腔内を確認する目的で、持ち手(柄)及び持ち手の端部において所望の角度で傾斜して装着された口内鏡を備える歯科用鏡が用いられる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
一方、患者に歯の治療の方針を説明する、あるいは治療に際して患者の不安を除去する等の目的で、患者に手鏡を持たせて口腔内を確認させて指摘しながら、歯科医療従事者が説明を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-188036公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、歯科医療従事者が患者に手鏡を手渡す際に、歯科医療従事者の手と患者の手とが接触したり、患者が手鏡を取り損ねて手鏡を落としてしまったりする場合や、患者に口腔内の該当箇所を説明する際に歯科医療従事者と患者とが手鏡の同じ持ち手を持つ場合があり、歯科医療の現場では衛生面の懸念が生じることになる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造であって衛生面の懸念が生じることがない歯科用鏡を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するための本発明に係る歯科用鏡は、鏡部と、鏡部の端縁において鏡部が取り付けられる基板から突出する第1把持部と、第1把持部から離間して基板から突出する第2把持部と、を備えるものである。
【0008】
これによれば、第1把持部及び第2把持部を備えるという簡易な構造によって、患者と歯科医療従事者とが握る部分を分けることができることから、歯科医療従事者が患者に歯科用鏡を手渡す際に、歯科医療従事者の手と患者の手とが接触したり、患者が歯科用鏡を取り損ねて歯科用鏡を落としてしまったりする事象が発生することを低減させることができる。
【0009】
さらに、歯科医療従事者が患者に口腔内を確認させて指摘する際に、歯科医療従事者と患者とが同じ部分を握ることがない。
【0010】
したがって、歯科医療の現場における衛生面の懸念が生じることが極めて抑制される。
【0011】
この歯科用鏡は、第1基板の第1把持部と第2基板の第2把持部とが互いに異なる色によって着色されるものであってもよい。
【0012】
この歯科用鏡の基板は、鏡部の端縁において鏡部が取り付けられる枠部及び枠部から突出する第1把持部を有する第1基板と、第1基板の枠部に重ね合わせられる基部及び基部から突出する第2把持部を有して第1基板と連結される第2基板と、を備え、第1基板及び第2基板は、第1把持部と第2把持部とが相対的に接離可能に回動するものである。
【0013】
この歯科用鏡の鏡部は、入射光の一部を反射させる一方で入射光の一部を透過させる一方向型の鏡によって形成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、歯科医療の現場における衛生面の懸念が生じることが極めて抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施の形態に係る歯科用鏡の構成の概略を説明する平面図である。
図2図1のA矢視図である。
図3図1のI-I線の断面図である。
図4図3のB部の拡大図である。
図5】本実施の形態の歯科用鏡の使用方法の概略を説明する図である。
図6】本発明の他の実施の形態に係る歯科用鏡の構成の概略を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図1図6に基づいて、本発明の実施の形態に係る歯科用鏡について説明する。
【0017】
(第1実施の形態)
まず、図1図5に基づいて、本発明の第1実施の形態に係る歯科用鏡について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る歯科用鏡の構成の概略を説明する平面図であり、図2図1のA矢視図であり、図3は、図1のI-I線の断面図である。図示のように、歯科用鏡1は、本実施の形態では、基板である第1基板10及び第2基板20を主要構成として備える。
【0019】
第1基板10は、本実施の形態では、平面視で円状に形成された枠部11、この枠部11から連続して枠部11の外側に突出する第1把持部12を有し、枠部11と第1把持部12とがプラスチック素材で一体的に形成される。
【0020】
枠部11には、本実施の形態では、平面視で円状であって凹状にくぼんだ取付部11Aが形成され、この取付部11Aに、平面視で円状の鏡部13がその端縁13aにおいて取付部11Aに嵌め込まれることによって、枠部11に鏡部13が設けられる。
【0021】
第2基板20は、本実施の形態では、平面視で円状であって外縁が第1基板10の枠部11に倣った形状に形成された基部21、この基部21から連続して基部21の外側に突出する第2把持部22を有し、基部21と第2把持部22とがプラスチック素材で一体的に形成される。
【0022】
これら第1基板10及び第2基板20は、本実施の形態では、互いに異なる色で着色されており、第1基板10及び第2基板20が互いに異なる色で着色されることによって、第1把持部12と第2把持部22とが互いに異なる色で着色される。
【0023】
例えば、第1基板10(第1把持部12)がピンク色に着色され、第2基板20(第2把持部22)が黒色に着色される。
【0024】
図4は、図3のB部の拡大図である。図示のように、第1基板10の内側10aには、本実施の形態では、外部に突出して円状の枠部11に沿って周方向に延在する断面視で略L字状の係合部11aが形成される。
【0025】
一方、第2基板20の内側20aには、本実施の形態では、内側に切り欠かれて断面視で略L字状に形成されて円状の基部21に沿って周方向に延在する係合溝21aが形成される。
【0026】
本実施の形態では、第1基板10の枠部11と第2基板20の基部21とが重ね合わせられて第1基板10の係合部11aと第2基板の係合溝21aとが係合することによって、第2基板20が第1基板10に連結される。
【0027】
なお、本実施の形態では、第1基板10の係合部11aと第2基板の係合溝21aとが係合することで第2基板20が第1基板10に連結される場合を説明したが、この構造はあくまでも一例であって、他の構造によって第1基板10と第2基板20とが連結されるものであってもよい。
【0028】
次に、本実施の形態に係る歯科用鏡1の使用方法について説明する。
【0029】
図5は、本実施の形態に係る歯科用鏡1の使用方法の概略を説明する図である。歯科用鏡1は、第1基板10の係合部11aと第2基板の係合溝21aとが係合して、図示のように、回動方向Rにおいて第1基板10と第2基板20とが相対的に回動する。
【0030】
本実施の形態では、第1基板10と第2基板20とが相対的に回動することによって、第1把持部12と第2把持部22とが相対的に接離可能に回動することになる。
【0031】
本実施の形態の歯科用鏡1を用いて、患者に口腔内の任意の箇所を確認させる場合は、まず、歯科医療従事者が例えば第2把持部22を握った状態で、診察台に寝ている患者に第1把持部12を握らせるようにして歯科用鏡1を手渡す。
【0032】
本実施の形態では、第1基板10と第2基板20とが互いに異なる色で着色されることによって、第1把持部12と第2把持部22とが互いに異なる色で着色されることから、患者あるいは歯科医療従事者が握る部分を取り違えることなく容易に把握することができる。
【0033】
歯科医療従事者が例えば第2把持部22を握り、患者が第1把持部12を握った状態において、歯科医療従事者が、患者に口腔内の説明箇所を確認させる(見せる)ために鏡部13に口腔内が映るように調整する場合は、患者に第1把持部12を握らせた状態で、歯科医療従事者が第2把持部22を握って鏡部13の位置及び向きを調節する。
【0034】
このとき、第2把持部22を握った歯科医療従事者の手の動きに追従して、第1基板10と第2基板20とが相対的に回動することから、鏡部13の位置及び向きを容易に調節することができる。
【0035】
このように、歯科用鏡1は、第1把持部12及び第2把持部22を備えるという簡易な構造によって、患者と歯科医療従事者とが握る部分を分けることができることから、歯科医療従事者が患者に歯科用鏡1を手渡す際に、歯科医療従事者の手と患者の手とが接触したり、患者が歯科用鏡1を取り損ねて歯科用鏡1を落としてしまったりする事象が発生することを低減させることができる。
【0036】
さらに、歯科医療従事者が患者に口腔内の任意の箇所を指摘する際に、歯科医療従事者と患者とが同じ部分を握ることがない。
【0037】
したがって、歯科医療の現場における衛生面の懸念が生じることが極めて抑制される。
【0038】
さらに、本実施の形態では、第1把持部12と第2把持部22とが互いに異なる色で着色されることから、患者あるいは歯科医療従事者が握る部分を取り違えることなく容易に把握することができる。
【0039】
しかも、本実施の形態の歯科用鏡1は、第2把持部22を握った歯科医療従事者の手の動きに追従して、第1基板10と第2基板20とが相対的に回動することによって第1把持部12と第2把持部22とが接離可能に回動することから、鏡部13の位置及び向きを容易に調節することができる。
【0040】
(他の実施の形態)
次に、本発明に係る歯科用鏡1の他の実施の形態について説明する。
【0041】
図6は、本発明の他の実施の形態に係る歯科用鏡の構成の概略を説明する断面図である。
【0042】
なお、図6において、図1図5と同様の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
図示のように、歯科用鏡1は、本実施の形態では、第1基板30及び第2基板40を主要構成として備える。
【0044】
第1基板30は、本実施の形態では、枠部31、この枠部31から連続して枠部31の外側に突出する第1把持部32を有し、枠部31と第1把持部32とがプラスチック素材で一体的に形成される。
【0045】
枠部31には、本実施の形態では、平面視で円状であって貫通した取付部31Aが形成され、この取付部31Aに、平面視で円状の鏡部33がその端縁33aにおいて取付部31Aに嵌め込まれることによって、枠部31に鏡部33が設けられる。
【0046】
鏡部33は、本実施の形態では、入射光の一部を反射させる一方で入射光の一部を透過させる、一方向型のいわゆるマジックミラーとして形成される。
【0047】
第2基板40は、本実施の形態では、平面視で円状であって外縁が第1基板30の枠部31に倣った形状に形成された基部41、この基部41から連続して基部41の外側に突出する図示しない第2把持部(第1実施の形態の第2把持部22と同様の構成である。)を有し、基部41と第2把持部とがプラスチック素材で一体的に形成される。
【0048】
基部41は、本実施の形態では、平面視で円状であって貫通した貫通部41Aが形成され、第1基板30と第2基板40とが重ね合わせられて連結された状態において、第1基板30の取付部31Aと第2基板40の貫通部41Aとが連通する一方で、第1基板30の取付部31Aに鏡部33が取り付けられた状態で、第1基板30の取付部31Aと第2基板40の貫通部41Aとの間が閉止される。
【0049】
なお、本実施の形態において特徴的なことは、鏡部33がマジックミラーとして機能することであって、この機能を阻害しない限りにおいて、第1基板30及び第2基板40の構成は上記の構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。
【0050】
このように、歯科用鏡1は、マジックミラーとして機能する鏡部33を備えることから、例えば第1基板30側から鏡部33を見た場合には入射光の一部を反射するように機能し、例えば第2基板40側から鏡部33を見た場合には入射光の一部を透過させるように機能する。
【0051】
これによって、例えば患者は第1基板30側から鏡部33を見ることで自分の口腔内を見ることができるとともに、歯科医療従事者は第2基板40側から鏡部33を見ることで患者の口腔内を見ることができるようになる。
【0052】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
上記各実施の形態では、第1基板10(30)と第2基板20(40)とが相対的に回動することによって第1把持部12(32)と第2把持部22とが接離可能に回動する場合を説明したが、第1把持部と第2把持部とを回動させないで、例えば任意の間隔をおいて互いに離間する第1把持部と第2把持部とを単一の基板から連続するように一体的に形成してもよい。
【0054】
さらに、第1把持部及び第2把持部を折りたためるように構成してもよいし、第1把持部と第2把持部とが重ね合わせられて収納されるように構成してもよい。
【0055】
上記各実施の形態では、第1基板10(30)及び第2基板20(40)がプラスチック素材で形成される場合を説明したが、プラスチック素材に限られることなく、任意の素材(例えばウレタン等)が適宜に選択される。
【0056】
上記各実施の形態では、第1基板10(30)及び第2基板20(40)が平面視で円状に形成される場合を説明したが、円状に限られることなく、例えば矩形等の任意の形状が適宜に選択される。
【符号の説明】
【0057】
1 歯科用鏡
10、30 第1基板
12、32 第1把持部
13、33 鏡部
20、40 第2基板
22 第2把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6