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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016232
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】釣竿ケース
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/08 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
A01K97/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119372
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100196829
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 言一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 友海
(57)【要約】
【課題】開閉蓋の開閉操作が容易に行えると共に、リールを装着した釣竿の収容操作及び取り出し操作がし易く、保形性の良い釣竿ケースを提供する。
【解決手段】本発明の釣竿ケース1は、本体1A内にリールを装着した釣竿を複数本収容可能に構成される。本体1Aは、釣竿の基端を受ける受け皿5と、受け皿5に一体的に設けられ、釣竿を収容する内部空間を形成する筒状の壁部3とを備えている。この壁部3には、ファスナ7を介して内部空間を開放/閉塞する開閉蓋4が設けられており、ファスナ7は、筒状の壁部3の上端領域から受け皿側に向けて延在すると共に、下端側では、壁部3を回り込むように湾曲して受け皿5部分で終端していることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内にリールを装着した釣竿を複数本収容可能な釣竿ケースにおいて、
前記本体は、前記釣竿の基端を受ける受け皿と、前記受け皿に一体的に設けられ、前記釣竿を収容する内部空間を形成する筒状の壁部とを備え、
前記壁部には、ファスナを介して前記内部空間を開放/閉塞する開閉蓋が設けられており、
前記ファスナは、前記筒状の壁部の上端領域から前記受け皿側に向けて延在すると共に、下端側では、前記壁部を回り込むように湾曲して前記受け皿部分で終端していることを特徴とする釣竿ケース。
【請求項2】
前記筒状の壁部は、第1の壁部と、前記第1の壁部に対して屈曲して一体化され、前記開閉蓋を備えた第2の壁部とを有しており、
前記ファスナは、前記第1の壁部の縁部と前記第2の壁部の縁部との間に配設され、前記第2の壁部の中間位置と、前記第1の壁部の縁部と間の範囲で終端していることを特徴とする請求項1に記載の釣竿ケース。
【請求項3】
前記本体は、前記ファスナの湾曲する領域が柔らかい生地で形成され、前記湾曲する領域よりも上端側が、それよりも硬い生地で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣竿ケース。
【請求項4】
前記本体には、少なくとも前記ファスナの裏側に硬質の補強ボードが配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣竿ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して携行され、釣竿を収容する釣竿ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、釣人は、魚釣りに際して複数本の釣竿を用いることがあり、これらの釣竿を釣竿ケースに収容して携行することがある。このような釣竿ケースには、例えば、特許文献1に開示されているように、リールを装着した状態の釣竿が複数本収容できるように、長手方向の中間部の胴径が太いものが知られている。
【0003】
この特許文献1に開示された釣竿ケースは、筒状に形成されたケース本体の下端に釣竿を受ける受け皿を備えており、前記ケース本体には、長手方向に延びるファスナを介して開閉蓋が開閉可能に設けられている。前記開閉蓋は、前記ケース本体の側部で構成されており、開閉蓋の表面には、小物収容部が設けられている。
【0004】
前記ファスナは、釣竿ケースを起立させた状態で、前記ケース本体の正面部の上面領域から受け皿側に向けて垂下しており、前記小物収容部の下方で側部を横切って背面部まで延びるように配設されている。前記側部である開閉蓋の中間部は膨出しており、リール装着部分の内部空間を広く確保しているので、リールを装着した釣竿が複数本収容することが可能となっている。また、前記ファスナを開けることで、開閉蓋が開き、リールを装着した釣竿の取り出し/収容が行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-178343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に開示された釣竿ケースは、上下方向に配設されたファスナの下端側が、開閉蓋を構成する側部を横切るように設けられているため、ファスナを二段操作する必要があり、開閉操作が行ない難い。また、釣竿ケースを立てた状態で、ファスナを全開すると、開閉蓋の保形性が十分ではなく、変形し易い(潰れ易い)。さらに、受け皿の上端と開閉蓋の下端との間に開閉蓋を横切る壁部が形成されることから、釣竿の出し入れ操作が行ない難い。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、開閉蓋の開閉操作が容易に行えると共に、リールを装着した釣竿の収容操作及び取り出し操作がし易く、保形性の良い釣竿ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る釣竿ケースは、本体内にリールを装着した釣竿を複数本収容可能に構成されており、前記本体は、前記釣竿の基端を受ける受け皿と、前記受け皿に一体的に設けられ、前記釣竿を収容する内部空間を形成する筒状の壁部とを備え、前記壁部には、ファスナを介して前記内部空間を開放/閉塞する開閉蓋が設けられており、前記ファスナは、前記筒状の壁部上端領域から前記受け皿側に向けて延在すると共に、下端側では、前記壁部を回り込むように湾曲して前記受け皿部分で終端していることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の釣竿ケースは、筒状に構成された本体の内部空間に、リールを装着した釣竿が複数本収容できるように構成されている。前記本体の壁部には、ファスナを介して開放/閉塞する開閉蓋が設けられており、前記ファスナは、前記筒状の壁部の上端領域から受け皿側に向けて延在している。前記ファスナの下端側は、前記壁部を回り込むように湾曲しているので、ファスナを二段操作することなく、開閉蓋の開閉操作がし易くなる。また、ファスナは、前記受け皿部分で終端しているので、ファスナを開いた際、下端に壁部が存在することなく上下方向に亘って内部空間を広く開放することができ、釣竿の出し入れ操作が容易に行える。さらに、ファスナは、受け皿部分で終端している(中間位置で壁部を横切るように形成されていない)ことから、前記開閉蓋は、保形性を維持することができ、釣竿の出し入れ操作が妨げられることもない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開閉蓋の開閉操作が容易に行えると共に、リールを装着した釣竿の収容操作及び取り出し操作がし易く、保形性の良い釣竿ケースが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る釣竿ケースの一実施形態を示す斜視図。
図2図1に示す釣竿ケースの正面図。
図3図1に示す釣竿ケースの側面図。
図4】ファスナを開けて開閉蓋を開いた状態を示す図。
図5】開閉蓋を開いてリールが装着された釣竿を収容した状態を示す図。
図6図2において、ファスナを開放した状態のA-A線に沿った断面図。
図7】釣竿ケースの本体に配設される補強ボードの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1から図6を参照して、本発明に係る釣竿ケースの一実施形態の構成について説明する。これらの図において、図1は斜視図、図2図1に示す釣竿ケースの正面図、図3図1に示す釣竿ケースの側面図、図4はファスナを開けて開閉蓋を開いた状態を示す図、図5は開閉蓋を開いてリールが装着された釣竿を収容した状態を示す図、そして、図6図2において、ファスナを開放した状態のA-A線に沿った断面図である。
なお、本発明の方向性を定義するに際しては、図2に示すように、受け皿を地面に載置した状態を基準として上下方向(垂直方向)、これと直交する方向を水平方向とする。
【0013】
本実施形態に係る釣竿ケース1の本体1Aは、リール50を装着した釣竿60を複数本収容可能な内部空間Sを備えている(図4,5参照)。前記本体1Aは、例えば、繊維、樹脂、これらの複合材料等によって形成されており、前記内部空間Sを形成するための筒状の壁部3を備えている。この場合、本体1Aは、複数の外殻部材を接着、縫着、溶着等によって一体化することで構成することが可能である。
【0014】
前記筒状の壁部(以下、壁部と称する)3の下端には、前記内部空間Sに収容される釣竿の基端を受ける受け皿5が設けられている。前記壁部3には、前記内部空間Sを開放すると共に閉塞するファスナ7が上下方向に亘って設けられており、操作部材8を下側に移動操作することで、内部空間Sは開放される。前記ファスナ7の上端側7Aは、前記壁部3の外周面に沿って略U字状に回り込むように形成されている。
【0015】
本実施形態の本体1Aを構成する壁部3は、水平方向に沿った断面視で略矩形形状に形成されており、正面壁(前壁)3A、左右の側壁3C,3D及び正面壁3Aと対向する背面壁(後壁)3Bを備えている。このため、隣接する壁同士は、所定角度で屈曲した状態で一体化されており、前記ファスナ7は、正面壁(第1の壁部)3Aの縁部と、左側壁3C(第2の壁部)の縁部との間に配設されている。また、前記受け皿5は、正面壁3A、左右の側壁3C,3D、及び、背面壁3Bの下端と一体化されるように、略矩形形状に形成されている。
【0016】
前記ファスナ7は、本体1Aの上端領域(上端側7A)から受け皿5側に向けて延在するように配設されており、下端側は、前記壁部3を回り込むように湾曲して受け皿5部分で終端するように配設されている。具体的に、本実施形態のファスナ7は、図2に示すように、正面視した際、前記壁部3の上端側7Aから受け皿5側に向けて略垂直に垂下し、その下端側において、正面壁3Aから左側壁3C側に回り込むように湾曲している。
【0017】
前記ファスナ7の湾曲が開始する位置(変曲点とも称する)Pについては、内部空間Sに収容された釣竿のリール装着位置に対応する位置にすることが好ましい。すなわち、図2に示すように、ファスナ7は略垂直方向に垂下すると共に、下端側の位置Pにおいて、左側壁3Cの表面に沿って水平方向に変位し、左側壁3C側に回り込むように湾曲しながら垂下している。
【0018】
上記した壁部3及びファスナ7の構成によれば、ファスナ7の操作部材8を、上端側7Aから下端側に向けて押し下げ操作すると、左側壁3Cの略全体が開閉蓋としての機能を果たし、内部空間Sを開放することが可能となる(以下において、左側壁3Cで構成される開閉蓋を符号4で示す)。また、壁部3は、上端側から下端側に移行するに従って次第に径方向に膨出するように構成されている。この場合、下端側の所定領域(釣竿に装着したリールが位置する領域)が最も径方向に膨出するように構成されており、釣竿に装着されるリールのためのスペースを確保するようにしている。
【0019】
前記左側壁3C側に回り込むファスナ7は、下端部分(受け皿5の部分)において、左側壁3Cの中間位置P2と、正面壁3Aの縁部P3との間の範囲内で終端している(終端位置をP1で示す)。このように、前記ファスナ7は、前記下端側の位置Pで左側壁3Cを水平方向に横切ることで開閉蓋を形成するのではなく、この位置Pから次第に湾曲しながら垂下し、左側壁3Cを回り込んで受け皿5の部分で終端するようにしている。
【0020】
この場合、前記ファスナ7の終端位置P1を背面壁側にシフトすると、開閉蓋4が捲れやすくなって保形性に影響を与えるため、左側壁3Cの中間位置P2よりも正面壁3A側にすることが好ましい。具体的には、終端位置P1と、正面壁3Aの縁部P3との長さL1を4cm程度としており、左側壁3C(受け皿5)の長さLの50%以下としている。
【0021】
上記したファスナ7の配設構造によれば、開閉蓋4を開放するためにファスナ7の操作部材8を操作する際、垂直方向に押し下げ、前記位置Pから下側についても、そのまま押し下げ操作することができる。すなわち、ファスナ7は、上記した公知技術のように、ある程度、押し下げ、その後、背面壁3Bに向けて押し込むような二段操作をする必要がなくいので、開閉蓋4の開閉操作(釣竿の取り出し、収容)がし易くなる。
【0022】
また、前記ファスナ7は、前記受け皿5の部分で終端しているので、ファスナ7を下端まで開くと、図4図5で示すように、上下方向に亘って内部空間Sを広く開放することができる。この際、釣竿60の下端部分(グリップ部分)の出し入れを妨げるような壁部が存在しないため、リール50が装着された釣竿60の出し入れ操作を容易に行うことが可能となる。さらに、ファスナ7は、中間位置で左側壁3Cを横切るように形成されておらず、左側壁3Cの中間位置P2よりも正面壁3A側で終端させているため、開閉蓋4は広く開くことができ保形性を維持することができる。すなわち、釣竿60の出し入れ操作性、視認性の向上が図れるようになる。
【0023】
上記した釣竿ケース1は、本体1Aに各種の収容部や、取り扱いを容易にするための各種の部材を設けておくことが好ましい。
例えば、本体1Aの上端側に、左側壁3Cと右側壁3Dを連結する帯状部材20が取着されている。また、背面壁3Bの中間部分には、取手21が取着されている。このような帯状部材20及び取手21を取着することで、釣竿ケース1を持ち上げたり、運搬することが容易に行えるようになる。或いは、ショルダーベルト(図示せず)を取着して、釣竿ケース1を肩掛けして容易に持ち運べるようにしても良い。
【0024】
また、前記左右の側壁3C,3Dの表面に収容ポケット23,24を設けておくことが好ましい。各収容ポケット23,24は、左右の側壁3C,3Dの表面に、変形可能なシート材や樹脂ボード(開閉蓋)を縫着、溶着することで形成することが可能である。各収容ポケット23,24は、それぞれファスナ25,26の操作部材25a,26aを操作することで、開放、閉塞できるように構成されている。このような収容ポケット23,24を設けることで、その内部空間23a,24aに各種の仕掛け、リール等を収容することが可能となる(図6参照)。
【0025】
また、本実施形態では、本体1Aの内部にも収容部材30,31,32を設けている。前記内部空間Sに、リール50を装着した釣竿60を複数本収容すると、リールの装着位置から上方側はスペースが生じるため、この部分に収容部材30,31,32を設けておくことで、前記収容ポケット23,24と共に、魚釣りに際して携行される各種の部材を仕分けて収容することが可能となる。
【0026】
上述したように、本体1Aに設けられるファスナ7は、略垂直方向に垂下すると共に、下端側の位置Pにおいて、左側壁3Cの表面に沿って水平方向に変位し、左側壁3C側に回り込むように湾曲しながら垂下している。このような構成では、ファスナ7の湾曲する領域を柔らかい生地(材料)で形成し、湾曲する領域よりも上端側を、それよりも硬い生地(材料)で形成することが好ましい。
【0027】
具体的には、壁部3は、ファスナ7が湾曲し始める位置(下端側の位置P)から下方領域を、例えば、EVA樹脂素材、PEフォーム(ポリエチレン発砲素材)、ゴム系等の柔らかい材料で形成しておき、その位置Pよりも上端側を、例えば、ポリプロピレン(PP)にポリウレタン(PU)を被着した素材やPE(ポリエチレン)、ABS等の硬い材料で形成される。このように、ファスナの湾曲領域が柔らかいことで、ファスナ7の開閉操作性がより向上すると共に、開閉蓋4の強度の向上、及び、保形性の向上を図ることができる。
【0028】
また、前記本体1Aには、少なくとも前記ファスナ7の裏側に硬質の補強ボードを配設しておくことが好ましい。この補強ボードは、例えば、プラスチック製の板材で形成することが可能であり、このような補強ボードを前記ファスナに重ねて配設することで、強度の向上、及び、誤って踏むなど、荷重が作用しても壊れることを防止することができる。
【0029】
なお、補強ボードについては、ファスナ7(ファスナ25,26)に重なるような大きさで形成しておけば良いが、図7に示すように、補強ボード40を、本体の正面壁3A、側壁3C(3D)、更には、背面壁や収容ポケット23,24の全面をカバーするように配設しても良い。
このように補強ボード40を、本体1Aの任意の位置に重ねて配設することで、更に強度の向上を図ることが可能となる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した筒状の壁部3の大きさ(太さ、長さ)については適宜変形することができ、その断面形状についても適宜変形することができる。例えば、筒状の壁部については、円筒形状、断面多角形形状、これらの組み合わせなど、適宜変形することが可能である。この場合、円筒形状の壁部の構成では、上下方向に延在し、下端側で湾曲するファスナについては、ファスナを正面視した際、下端側の位置Pを変曲点として水平方向にずれて下方に延在していれば良い。
【符号の説明】
【0031】
1 釣竿ケース
1A 本体
3 筒状の壁部
3A 正面壁(第1の壁部)
3B 背面壁
3C 側壁(第2の壁部)
3D 側壁
4 開閉蓋
5 受け皿
7 ファスナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7