(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162327
(43)【公開日】2025-10-27
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20251020BHJP
H10D 64/60 20250101ALI20251020BHJP
H10D 64/20 20250101ALI20251020BHJP
H10D 64/23 20250101ALI20251020BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20251020BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20251020BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L21/28 301S
H01L29/44 S
H01L29/50 M
H01L29/44 Y
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 658F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065551
(22)【出願日】2024-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 功
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB14
4M104BB25
4M104BB30
4M104DD08
4M104DD09
4M104DD84
4M104FF06
4M104FF10
4M104FF13
4M104FF18
4M104FF22
4M104GG09
(57)【要約】
【課題】コンタクト抵抗を低減することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る半導体装置は、第1半導体層と、第1半導体層上に設けられた第2半導体層と、第2半導体層の第1トレンチに設けられた第3半導体層と、を有する半導体部と、第1半導体層の裏面に設けられた第1電極と、第1トレンチで、第2半導体層と接する第1金属膜と、第1トレンチで第3半導体層および第1金属膜と接する第2金属膜と、第1トレンチで第2金属膜と接する第2電極と、を備える。第1金属膜が、高仕事関数金属を含み、第2金属膜が、第1金属膜よりも仕事関数の低い低仕事関数金属を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた第2半導体層と、前記第2半導体層の第1トレンチに設けられた第3半導体層と、を有する半導体部と、
前記第1半導体層の裏面に設けられた第1電極と、
前記第1トレンチで、前記第2半導体層と接する第1金属膜と、
前記第1トレンチで前記第3半導体層および前記第1金属膜と接する第2金属膜と、
前記第1トレンチで前記第2金属膜と接する第2電極と、を備え、
前記第1金属膜が、高仕事関数金属を含み、
前記第2金属膜が、前記第1金属膜よりも仕事関数の低い低仕事関数金属を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第3半導体層が、シリサイドを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1トレンチの上部に前記第3半導体層が設けられ、
前記第1トレンチの下部に前記第1金属膜が設けられる、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1金属膜および前記第2電極が、前記第1トレンチの前記上部から前記下部まで延在する、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1金属膜および前記第2電極が、前記第1トレンチの前記上部で終端し、
前記第1金属膜が、前記第1トレンチの前記下部に埋め込まれている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1トレンチが、前記第2半導体層に配列された2つの第2トレンチの間に配置され、
前記第2トレンチ内に、ゲート電極と、前記第2電極と電気的に接続される第3電極と、前記ゲート電極と前記第2電極とを電気的に絶縁する絶縁膜と、が設けられている、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記シリサイドがチタンシリサイド(TiSi)であり、前記高仕事関数金属が白金(Pt)であり、前記低仕事関数金属がチタン(Ti)である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2半導体層および前記第3半導体層の各々は、n型不純物を含み、前記第3半導体層に含まれるn型不純物の濃度は、前記第2半導体層に含まれるn型不純物の濃度よりも高い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1半導体層上に形成された第2半導体層に第1トレンチを形成し、
前記第1トレンチに、第3半導体層と、前記第2半導体層と接し、高仕事関数金属を含む第1金属膜と、前記第3半導体層および前記第1金属膜と接し、前記第1金属膜よりも仕事関数が低い低仕事関数金属を含む第2金属膜と、を順次に形成し、
前記第1半導体層の裏面に第1電極を形成するとともに、前記第1トレンチで前記第2金属膜と接する第2電極を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1トレンチTR1の内面にPSG(Phosphorous Silicate Glass)膜を形成し、
前記PSG膜を熱処理することによって、前記第3半導体層を形成する、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トレンチゲートを有するMOSFET等の半導体装置では、ソース電極と半導体層とをトレンチコンタクトで電気的に接続する構造が知られている。
【0003】
上記のようなトレンチコンタクト構造を有する半導体装置では、オン抵抗を低減するために、コンタクト抵抗の低減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コンタクト抵抗を低減することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る半導体装置は、第1半導体層と、第1半導体層上に設けられた第2半導体層と、第2半導体層の第1トレンチに設けられた第3半導体層と、を有する半導体部と、第1半導体層の裏面に設けられた第1電極と、第1トレンチで、第2半導体層と接する第1金属膜と、第1トレンチで第3半導体層および第1金属膜と接する第2金属膜と、第1トレンチで第2金属膜と接する第2電極と、を備える。第1金属膜が、高仕事関数金属を含み、第2金属膜が、第1金属膜よりも仕事関数の低い低仕事関数金属を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図2】第2トレンチ内にゲート電極、第3電極、および絶縁膜を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図3】第2半導体層に第1トレンチを形成する工程を説明するための断面図である。
【
図4】第1トレンチの内面にPSG膜を形成する。工程を説明するための断面図である。
【
図5】第3半導体層を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図6】PSG膜を除去する工程を説明するための断面図である。
【
図7】第1トレンチをさらに深い位置までエッチングする工程を説明するための断面図である。
【
図8】第1トレンチの内面に第1金属膜を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図9】第1トレンチ内に絶縁膜を埋め込む工程を説明するための断面図である。
【
図10】絶縁膜をエッチバックする工程を説明するための断面図である。
【
図11】第1金属膜の一部を除去する工程を説明するための断面図である。
【
図12】絶縁膜を除去する工程を説明するための断面図である。
【
図13】第2金属膜60と、シリサイドを含んだ第3半導体層を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図14】第3電極を第1トレンチ内に埋め込む工程を説明するための断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図17】第1トレンチ内に第1金属膜を成膜する工程を説明するための断面図である。
【
図18】第1金属膜をエッチバックする工程を説明するための断面図である。
【
図19】第2金属膜を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図20】シリサイドを含んだ第3半導体層を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図21】第3電極を第1トレンチ内に埋め込む工程を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。以下の説明では、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて半導体装置の各部の配置および構成を説明する場合がある。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。本実施形態では、X方向およびY方向は、第1方向および第3方向に相当し、半導体装置1の表面(または裏面)に平行な面内方向を表す。Z方向は、第2方向に相当し、半導体装置1の表面(または裏面)に直交する面外方向を表す。
【0010】
また、p、p+の表記は、p型不純物濃度が、この順番で高くなることを意味する。さらに、n-、n、n+の表記は、n型不純物濃度が、この順番で高くなることを意味する。
【0011】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、半導体領域の深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。
【0012】
図1に示す半導体装置1は、ショットキー型の低耐圧MOSFETである。半導体装置1は、半導体部10、第1電極20、第2電極30、ゲート電極40、第3電極41、第1金属膜50、および第2金属膜60を含む。
【0013】
半導体部10の材料は、例えば、シリコンである。半導体部10の裏面には第1電極20が設けられる、一方、半導体部10の表面には第2電極30が設けられる。第1電極20は、ドレイン電極である。第2電極30は、ソース電極である。第1電極20は、例えばニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等を含む金属材料によって形成される。一方、第2電極30は、例えばタングステン(W)およびアルミニウム(Al)を含む金属材料によって形成される。
【0014】
半導体部10は、第1半導体層11と、第2半導体層12と、第3半導体層13と、を含む。各半導体層の導電型は、n型である。以下、各半導体層について説明する。
【0015】
第1半導体層11は、n+型基板層である。第1半導体層11の裏面は、第1電極20と接する。第1半導体層11の表面には、第2半導体層12が接する。
【0016】
第2半導体層12は、n-型ドリフト層である。第2半導体層12に含まれるn型不純物の濃度は、第1半導体層11に含まれるn型不純物の濃度よりも低い。第2半導体層12内には、第3半導体層13、第1トレンチTR1、第2トレンチTR2、第1金属膜50、および第2金属膜60が設けられる。
【0017】
第3半導体層13は、n+型ソース層である。第3半導体層13に含まれるn型不純物の濃度は、第2半導体層12に含まれるn型不純物の濃度よりも高い。また、第3半導体層13には、シリサイドが含まれる。本実施形態では、チタンシリサイド(TiSi)が、第3半導体層13に含まれる。ただし、第3半導体層13に含まれるシリサイドは、チタンシリサイドに限定されない。第3半導体層13は、第2金属膜60と接する。
【0018】
第1トレンチTR1は、所謂コンタクトトレンチである。本実施形態では、第1トレンチTR1は、X方向に配列された2つの第2トレンチTR2の間に配置される。第1トレンチTR1の半導体部10の表面からの深さは、第2トレンチTR2の半導体部10の表面からの深さよりも小さい。第1トレンチTR1には、第3半導体層13、第1金属膜50、第2金属膜60、および第2電極30が設けられる。
【0019】
第1金属膜50は、第1トレンチTR1の下部で第2半導体層12と接する。第1金属膜50の材料は、高仕事関数金属である。本実施形態では、第1金属膜50は、白金(Pt)によって形成される。ただし、第1金属膜50の材料は、白金に限定されず、NiやCoといった他の高仕事関数金属であってもよい。
【0020】
第2金属膜60は、第1トレンチTR1の上部から下部まで延在する。また、第2電極30も第1トレンチTR1の上部から下部まで延在する。そのため、第1トレンチTR1の下部では、第2金属膜60は、第1金属膜50と第2電極30との間に介在する。また、第2金属膜60は、第1トレンチTR1の側部において第3半導体層13と第2電極30との間に介在する。
【0021】
第2金属膜60は、例えば、金属層と、バリアメタル層とを有する2層構造を有する。この金属層は、第1金属膜50および第3半導体層13と接する。このバリアメタル層は、金属層上に積層される。金属層の材料は、例えばチタン(Ti)である。一方、バリアメタル層の材料は、窒化チタン(TiN)である。ただし、金属層およびバリアメタル層の材料は、チタンおよび窒化チタンに限定されず、第1金属膜50よりも仕事関数の低い低仕事関数金属であればよい。
【0022】
第2トレンチTR2には、ゲート電極40、第3電極41、および絶縁膜42が設けられる。以下、第2トレンチTR2の内部構造について説明する。
【0023】
ゲート電極40および第3電極41は、Z方向に離れて配置される。具体的には、ゲート電極40が第2トレンチTR2の上部に配置される一方で、第3電極41は、第2トレンチTR2の下部に配置される。
【0024】
第3電極41は、所謂フィールドプレートである。第3電極41は、第2電極30に電気的に接続される。第3電極41は、絶縁膜42によって、ゲート電極40と電気的に絶縁される。絶縁膜42は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)である。
【0025】
また、絶縁膜42は、ゲート電極40を半導体部10から電気的に絶縁するゲート絶縁膜としても機能する。第2半導体層12は、このゲート絶縁膜を介して、ゲート電極40に対向するように設けられる。第3半導体層13は、このゲート絶縁膜に接する。
【0026】
ここで、
図2から
図14を参照して、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。ここでは、主要な製造工程について説明する。
【0027】
まず、
図2に示すように、第1半導体層11上に積層された第2半導体層12に第2トレンチTR2を形成し、第2トレンチTR2内にゲート電極40、第3電極41、および絶縁膜42を形成する。ゲート電極40および第3電極41は、例えばポリシリコンを用いて形成される。
【0028】
次に、
図3に示すように、第2半導体層12に第1トレンチTR1を形成する。第1トレンチTR1は、例えばRIE(Reactive Ion Etching)によって形成される。ただし、この工程では、第1トレンチTR1の形成は、第3半導体層13を形成する深さ、換言するとゲート電極40の上面と同じ高さ位置レベルに到達した時点で中断する。
【0029】
次に、
図4に示すように、第1トレンチTR1の内面にPSG(Phosphorous Silicate Glass)膜70を形成する。PSG膜70は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)によって成膜することができる。
【0030】
次に、PSG膜70を熱処理する。この熱処理によってPSG膜70に含まれたn型不純物が第2半導体層12へ熱拡散する。その結果、
図5に示すように、第3半導体層131がPSG膜70と接する部分、すなわち第1トレンチTR1の内面に形成される。
【0031】
次に、
図6に示すように、PSG膜70を除去する。その結果、第3半導体層131が露出する。なお、第3半導体層131の形成方法は、上述したPSG膜70からの熱拡散に限定されない。第3半導体層131は、例えば、n型不純物を第2半導体層12へイオン注入することによって、形成されてもよい。
【0032】
次に、
図7に示すように、例えばRIEによって第1トレンチTR1をさらに深い位置までエッチングする。この工程では、第1トレンチTR1の深さは、第1金属膜50を形成する深さ、換言するとゲート電極40の底面と同じ高さ位置レベルに到達する。
【0033】
次に、
図8に示すように、第1トレンチTR1の内面に第1金属膜50を形成する。このとき、第3半導体層131は、第1金属膜50に覆われる。
【0034】
次に、
図9に示すように、第1トレンチTR1内に絶縁膜80を埋め込む。絶縁膜80は、例えば、窒化シリコンまたはTEOS(Tetra Ethoxy Silane)を用いて成膜される。絶縁膜80は、例えばプラズマCVD、プラズマALD(Atomic Layer Deposition)、またはSOG(Spin On Glass)といった低温の成膜方法で形成されることが望ましい。これらの成膜方法を用いることによって、第3半導体層131への白金シリサイド(PtSi)の形成を回避することができる。
【0035】
次に、
図10に示すように、絶縁膜80をエッチバックする。この工程では、第1トレンチTR1内で絶縁膜80の上面が、第3半導体層131の底面と同等の高さ位置レベルになるように絶縁膜80をエッチバックする。
【0036】
次に、
図11に示すように、第1金属膜50のうち、第1トレンチTR1の側面に形成された部分、換言すると絶縁膜80に非接触な部分を除去する。第1金属膜50は、例えば王水等の薬液を用いてエッチングされる。
【0037】
次に、
図12に示すように、絶縁膜80を除去する。これにより、第1金属膜50が露出する。
【0038】
次に、
図13に示すように、第1トレンチTR1内で第3半導体層131および第1金属膜50を覆うように第2金属膜60を形成する。続いて、第2金属膜60を熱処理することによって、シリサイドを含んだ第3半導体層13を形成する。
【0039】
最後に、
図14に示すように、第2電極30を第1トレンチTR1内に埋め込む。なお、この工程とは別に、第1半導体層11の裏面に第1電極20が形成される。
【0040】
ここで、本実施形態と比較する比較例について説明する。
【0041】
図15は、比較例に係る半導体装置の断面図である。
図15では、上述した半導体装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0042】
本比較例に係る半導体装置100では、第3半導体層131と第2金属膜60との間には、高仕事関数金属を含む第1金属膜50が介在する。すなわち、第3半導体層131と第1金属膜50との接触領域である上部メサ領域と、第1金属膜50と第2半導体層12との接触領域である下部メサ領域との両方でショットキー接合となっている。
【0043】
上記のような構造を有する半導体装置100では、第3半導体層131のn型不純物濃度が高くなるにつれて、コンタクト抵抗が低減する。しかし、
図15に示すように、第3半導体層131は第1トレンチTR1のサイドウオールに薄く形成されている。そのため、第3半導体層131に局所的に高濃度のn型不純物を注入することは、プロセスの難易度が高い。
【0044】
そこで、本実施形態では、第3半導体層13は、低仕事関数金属を含む第2金属膜60と接触する。その結果、上部メサ領域には、第3半導体層13と第2金属膜60とによるオーミック接合が形成されるとともに、下部メサ領域には、高仕事関数金属を含む第1金属膜50と第2半導体層12とによるショットキー接合が形成される。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、第3半導体層131のn型不純物濃度を高くするという手法以外の方法で、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のようにPSG膜70の熱拡散によって、高濃度のn型不純物を含んだ第3半導体層131を形成すると、局所的なイオン注入プロセスが不要になる。
【0047】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図16では、上述した第1実施形態に係る半導体装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。上述した第1実施形態に係る半導体装置1では、第2金属膜60および第2電極30が、第1トレンチTR1の上部から下部まで延在する。
【0048】
これに対して、第2実施形態に係る半導体装置2では、
図16に示すように、第1トレンチTR1の下部には第1金属膜50が埋め込まれている。そのため、第2金属膜60および第2電極30は、第1トレンチTR1の上部で終端する。
【0049】
以下、
図17~
図21を参照して、本実施形態に係る半導体装置2の製造方法について説明する。なお、PSG膜70の熱拡散によって、第3半導体層131を形成するまでの工程(
図2~
図7参照)については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0050】
本実施形態では、第3半導体層131の形成して第1トレンチTR1をさらに深い位置までエッチングした後、
図17に示すように、第1トレンチTR1内に第1金属膜50を成膜する。このとき、第1トレンチTR1は、第1金属膜50で充填される。
【0051】
次に、
図18に示すように、第1金属膜50をエッチバックする。本実施形態では、第1トレンチTR1内で第1金属膜50の上面が、ゲート電極40と上面と同等の高さ位置レベルになるように第1金属膜50をエッチバックする。
【0052】
次に、
図19に示すように、第1トレンチTR1内で第3半導体層131および第1金属膜50を覆うように第2金属膜60を形成する。
【0053】
次に、第2金属膜60を熱処理する。これにより、
図20に示すように、シリサイドを含んだ第3半導体層13が形成される。
【0054】
最後に、
図21に示すように、第2電極30を第1トレンチTR1内に埋め込む。なお、この工程とは別に、第1半導体層11の裏面に第1電極20が形成される。
【0055】
以上説明した本実施形態でも、第1実施形態と同様に、上部メサ領域には、第3半導体層13と第2金属膜60とによるオーミック接合が形成されるとともに、下部メサ領域には、第1金属膜50と第2半導体層12とによるショットキー接合が形成される。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第3半導体層131のn型不純物濃度を高くするという手法以外の方法で、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。また、本実施形態においても、PSG膜70の熱拡散によって、高濃度のn型不純物を含んだ第3半導体層131を形成すると、局所的なイオン注入プロセスが不要になる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1,2:半導体装置
10:半導体部
11:第1半導体層
12:第2半導体層
13:第3半導体層
20:第1電極
30:第2電極
40:ゲート電極
41:第3電極
42:絶縁膜
50:第1金属膜
60:第2金属膜
70:PSG膜
131:第3半導体層
TR1:第1トレンチ
TR2:第2トレンチ