(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162331
(43)【公開日】2025-10-27
(54)【発明の名称】選果装置の排果システム
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20251020BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065560
(22)【出願日】2024-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】391017207
【氏名又は名称】三井金属計測機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 啓二
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC21
3F079AC23
3F079CA23
3F079CA31
3F079CA41
3F079CB29
3F079CC03
3F079CC04
3F079DA12
3F079DA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査における最適な排出口の割り当てを自動的に行い、時期や生産者などによらず、選果作業に必要な時間の短縮や青果物の搬送に必要な電力の削減を行う。
【解決手段】青果物Tのランクに応じて異なる排出口14a-14eへと青果物Tを排出する排果システム10にて、青果物検査装置40によって検査された青果物Tの検査結果に基づき、青果物Tのランクを選別する制御装置18と、複数の排出口と排出口14a-14eに青果物Tを排出するための排出機構とを有する選別排出装置12とを備え、制御装置18は、選果作業の開始時に、選果データに基づき、青果物Tのランクごとの個数を計数し、搬送手段の上流側にある排出口14a-14eから順に、個数の多いランクを割り当てるとともに、選果作業の際に、青果物Tのランクに基づき、選別排出装置12を制御して、青果物Tのランクに応じた排出口14a-14eに青果物Tを排出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を搬送手段によって搬送しながら選果を行う選果装置において、前記青果物のランクに応じて異なる排出口へと前記青果物を排出する排果システムであって、
事前に取得した選果データが記録されているとともに、青果物検査装置によって検査された前記青果物の検査結果に基づき、前記青果物のランクを選別する制御装置と、
複数の排出口と、前記排出口に前記青果物を排出するための排出機構と、を有する選別排出装置と、
を備え、
前記制御装置は、選果作業の開始時に、前記選果データに基づき、前記青果物のランクごとの個数を計数し、前記搬送手段の上流側にある前記排出口から順に、個数の多いランクを割り当てるように構成されるとともに、
前記制御装置は、選果作業の際に、前記青果物のランクに基づき、前記選別排出装置を制御して、前記青果物のランクに応じた排出口に前記青果物を排出するように構成されることを特徴とする排果システム。
【請求項2】
前記選果データが、直近の選果作業を行った際に取得した選果データ、または、選果作業を行う前に、一部の前記青果物を抜き出して予備選果を行うことで取得した選果データであることを特徴とする請求項1に記載の排果システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物の選別作業において、例えば、等級や品質などに基づき青果物を所定の排出口へ排出する選果装置の排果システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選果場などにおいて、青果物の選果を行う際には、ピアノ鍵盤状のコンベアを用いたPKコンベアや平ベルトコンベアなどの搬送装置によって選果物を搬送しながら、例えば、外観検査装置や内部品質検査装置などを用いて青果物の等級や品質などを判別し、この判別結果に基づいて、各青果物を等級ごとや品質ごとに仕分けられた排出口へ排出する選果装置が用いられている。
【0003】
このような選果装置100は、
図4に示すように、例えば、外観検査装置や内部品質検査装置などの検査装置104と、搬送手段106と、複数の排出口102a~102eを備えており、検査装置104によって検査された青果物は、搬送手段106によって一方向に搬送され、検査装置104による検査結果に基づき、各排出口102a~102eに排出される。
【0004】
例えば、各排出口102a~102eには、それぞれ、高糖度の青果物(排出口102a)、中等度の青果物(排出口102b)、低糖度の青果物(排出口102c)、規格外の青果物(排出口102d)、障害果(排出口102e)が排出されるように設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の選果装置100では、一般的に、事前に設定された排出口は変更することなく運用されている。
選果作業後の動線を考慮すると、次の作業場所に近い排出口(例えば、排出口102e)に、排出される量が多い等級・品質の青果物(例えば、中等度の青果物)を排出するように設定したり、逆に、選果作業に必要な時間の短縮や青果物の搬送に必要な電力の削減などを目的として、検査後の青果物の搬送距離を短くするために、検査装置104に近い排出口(排出口102a)に、排出される量が多い等級・品質の青果物を排出するように設定したりすることができる。
【0006】
しかしながら、時期や生産者によって排出される量が多い等級・品質が異なることがある。このため、排出口ごとに排出される等級・品質を固定してしまうと、時期や生産者によっては、選果作業に必要な時間が延びてしまったり、青果物の搬送に必要な電力が増えてしまったりする。
【0007】
本発明では、このような現状に鑑み、検査における最適な排出口の割り当てを自動的に行い、時期や生産者などによらず、選果作業に必要な時間の短縮や青果物の搬送に必要な電力の削減を行うことができる選果装置の排果システム及び排果方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の選果装置の排果システムは、以下のように構成されたものを含む。
【0009】
[1] 青果物を搬送手段によって搬送しながら選果を行う選果装置において、前記青果物のランクに応じて異なる排出口へと前記青果物を排出する排果システムであって、
事前に取得した選果データが記録されているとともに、青果物検査装置によって検査された前記青果物の検査結果に基づき、前記青果物のランクを選別する制御装置と、
複数の排出口と、前記排出口に前記青果物を排出するための排出機構と、を有する選別排出装置と、
を備え、
前記制御装置は、選果作業の開始時に、前記選果データに基づき、前記青果物のランクごとの個数を計数し、前記搬送手段の上流側にある前記排出口から順に、個数の多いランクを割り当てるように構成されるとともに、
前記制御装置は、選果作業の際に、前記青果物のランクに基づき、前記選別排出装置を制御して、前記青果物のランクに応じた排出口に前記青果物を排出するように構成されることを特徴とする排果システム。
【0010】
[2] 前記選果データが、直近の選果作業を行った際に取得した選果データ、または、選果作業を行う前に、一部の前記青果物を抜き出して予備選果を行うことで取得した選果データであることを特徴とする[1]に記載の排果システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予備選果または直近の選果データに基づいて、排出口ごとに最適な等級・品質を自動的に割り当てるように構成しているため、ユーザーが都度設定を変更する必要がなく、確実に、選果作業に必要な時間の短縮や青果物の搬送に必要な電力の削減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の排果システムを含む選果装置の一実施形態を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、選果用搬送手段の構造を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、各ランクと、青果物Tの個数との関係の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、従来の選果装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本発明の排果システムを含む選果装置の一実施形態を説明するための模式図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態における選果装置50は、青果物供給手段22と、選果用搬送手段30と、青果物検査装置40と、排果システム10と、を備えている。なお、本実施形態においては、青果物供給手段22と選果用搬送手段30とにより青果物搬送装置20が構成される。
【0015】
本実施形態において、青果物供給手段22は、作業者によって青果物Tが投入されるホッパー24と、ホッパー24に溜め込まれた青果物Tを取り出し、一定の速度で搬送する供給用搬送手段26と、供給用搬送手段26の下流端に設けられ、供給用搬送手段26から選果用搬送手段30へ青果物Tを投入するシューター28と、を備えている。
【0016】
なお、青果物供給手段22としては、選果用搬送手段30へ青果物Tを略一定量ずつ供給可能な構成であれば、特に限定されるものではなく、既知の供給手段を用いることができ、また、作業者によって選果用搬送手段30へ青果物Tを直接載置するようにしてもよい。
【0017】
選果用搬送手段30は、2つの平ベルトコンベア32,32から構成される。選果用搬送手段30には、青果物Tの整列を行う整列部30aと、後述する青果物検査装置によって青果物Tの検査を行うとともに、排果システム10によって青果物Tの等級・品質(以下、単に「ランク」とも言う。)毎に各排出口へと青果物Tを排出する選果部30bとを有している。
【0018】
なお、本明細書において、「ランク」には、例えば、糖度などの品質に基づくランクや、大きさなどの等級に基づくランクのみならず、規格外や障害果なども含む。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の選果用搬送手段30は、整列部30aにおいて、2つの平ベルトコンベア32,32が略V字状となるように配置されている。このように構成することによって、選果用搬送手段30に供給された青果物Tは、重量に従って、選果用搬送手段30の幅方向中央に整列することになる。
【0020】
整列部30aにおける2つの平ベルトコンベア32,32の傾き角αは、搬送する青果物Tの大きさなどに応じて適宜変更することが好ましい。このように構成することによって、青果物Tと2つの平ベルトコンベア32,32とが2点で接触することとなるため、載置安定性が向上するとともに、青果物Tを選果用搬送手段30の幅方向中央付近に整列させることが容易となる。
【0021】
また、選果用搬送手段30は、選果部30bにおいて、2つの平ベルトコンベア32,32が略水平となるように配置されている。このように、選果部30bを平坦部とすることによって、青果物検査装置40による青果物Tの検査や、排果システム10による青果物Tの排出動作に、選果用搬送手段30が障害となるようなことがない。
【0022】
なお、本実施形態においては、2つの平ベルトコンベア32,32の各平ベルト33,33が、整列部30aでは略V字状となり、選果部30bでは略水平となるように捻られて配置されている。
【0023】
このように構成することによって、2本の平ベルト33,33によって、略V字状の整列部30aと略水平の選果部30bを有する選果用搬送手段30とすることができる。さらには、整列部30aにおいて、2本の平ベルト33,33は略水平となっていることから、2本の平ベルト33,33を、1つのモーターによって駆動するように構成することができる。このため、1つの動力の制御によって、選果用搬送手段30の搬送を制御することができるため、搬送制御を簡便にすることができる。
【0024】
また、本実施形態においては、
図3に示すように、平ベルトコンベア32の平ベルト33の幅と、平ベルトコンベア32のフレーム34の幅とが、略同一となるように構成されている。このように構成することによって、青果物Tが平ベルトコンベア32のフレーム34と接触することを防止することができ、例えば、青果物Tがフレーム34と接触することによる搬送時の減速などのトラブルを回避することができる。
【0025】
青果物検査装置40は、青果物Tの外観検査や内部品質検査、サイズ検出などを行う装置である。
【0026】
外観検査では、青果物Tの外観に現れる青果物Tの外観に現れる傷の有無、水腐れや異常乾燥などの果皮表面や果皮表層下に現れる異常の有無などを検査する。このような外観検査は、例えば、近赤外分光法を用いた検査装置、可視光カメラを用いた検査装置などを用いて行うことができる。
【0027】
内部品質検査では、青果物Tの糖度、酸度、熟度、内部障害などの内部品質を検査する。このような内部品質は、例えば、近赤外分光法を用いた検査装置、超音波を用いた検査装置などを用いて行うことができる。
【0028】
青果物Tのサイズを検出するサイズ検出は、例えば、可視光カメラを用いた画像解析による検出装置、変位センサを用いた検出装置、光電センサを用いた検出装置などを用いて行うことができる。
【0029】
なお、青果物検査装置40としては、外観検査、内部品質検査、サイズ検出のうち少なくともいずれかを行うものであればよい。また、青果物検査装置40としては、外観検査装置、内部品質検査装置、サイズ検出装置を組み合わせて構成したものであってもよい。
【0030】
排果システム10は、選別排出装置12と、制御装置18とを有している。
制御装置18は、青果物検査装置40によって検査された青果物Tの品質や大きさなどの検査結果に基づき、青果物Tのランクを選別するとともに、該ランクに応じて、選別排出装置12を制御する。
【0031】
このような制御装置18は、例えば、演算装置、記憶装置、入出力装置などを含むコンピュータとすることができる。なお、コンピュータとしては、マイクロコントローラなどを用いた組み込みシステムを用いてもよいし、また、パーソナルコンピュータなどを用いてもよい。
【0032】
選別排出装置12は、複数の排出口14a~14eと、各排出口14a~14eに青果物Tを排出するための排出機構16と、を備えている。
排出機構16としては、特に限定されるものではないが、例えば、青果物Tに対してエアーを噴出したり、青果物Tにアームを押し当てたりして、青果物Tを選果用搬送手段30上から各排出口14a~14eに排出するように構成される。
【0033】
このように構成される本実施形態の選果装置50においては、選果作業を開始する際に、制御装置18に記憶される選果データに基づいて、制御装置18が、排出口14a~14eごとに排出される青果物Tのランクが自動的に割り当てるように構成される。
【0034】
具体的には、直近の選果作業を行った際に取得した選果データや、選果作業を行う前に、一部の青果物を抜き出して予備選果を行うことで取得した選果データなど、事前に取得した選果データに基づき、制御装置18は、青果物Tのランクごとの個数を計数する。なお、選果データとしては、青果物Tのランクごとの個数がわかるデータが含まれていればよく、例えば、単に予備選果時のランクごとの個数としてもよいし、青果物Tごとにサイズや糖度などの情報が記録されたデータであってもよい。
【0035】
そして、制御装置18は、選果用搬送手段30の上流側にある排出口14aから順に、個数の多いランクを割り当てる。本実施形態においては、高糖度の青果物TをランクA、中糖度の青果物TをランクB、低糖度の青果物TをランクC、規格外の青果物TをランクD、障害果をランクEとする。
【0036】
このとき、各ランクの青果物Tの個数が、
図3に示すような分布だった場合、制御装置18は、排出口14aにランクBを、排出口14bにランクCを、排出口14cにランクDを、排出口14dにランクAを、排出口14eにランクEを割り当てる。
【0037】
制御装置18は、選別された青果物Tのランクと、上述するように排出口毎に割り当てられたランクと、に基づいて、選別排出装置12を制御して、青果物Tのランクに応じた排出口へと青果物Tを排出する。
【0038】
このように構成することによって、選果作業の際に青果物Tが選果用搬送手段30によって搬送される距離を最小にすることができる。このため、選果作業に必要な時間を最小にすることができる。
【0039】
選果用搬送手段30において消費される電流を計測したところ、何も積載されていない状態で動作させた場合と比較して、3kgの重りを積載して搬送動作をさせた場合には、3%程度増加した。すなわち、なるべく選果用搬送手段30上に何も積載されていない状態にすることによって、選果作業における消費電力を削減することが可能となる。
【0040】
このため、上述するように、選果作業の際に青果物Tが選果用搬送手段30によって搬送される距離を最小にすることで、センサ作業における消費電力を削減することができる。
さらには、このように選果作業に必要な時間を最小にするとともに、選果用搬送手段30によって搬送される距離を最小にすることで、選果用搬送手段30にかかる負荷も低減することができるため、選果用搬送手段30の長寿命化、ひいては、選果装置50の長寿命化にも繋がる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 排果システム
12 選別排出装置
14a 排出口
14b 排出口
14c 排出口
14d 排出口
14e 排出口
16 排出機構
18 制御装置
20 青果物搬送装置
22 青果物供給手段
24 ホッパー
26 供給用搬送手段
28 シューター
30 選果用搬送手段
30a 整列部
30b 選果部
32 平ベルトコンベア
33 平ベルト
34 フレーム
40 青果物検査装置
50 選果装置
100 選果装置
102a 排出口
102b 排出口
102c 排出口
102d 排出口
102e 排出口
104 検査装置
106 搬送手段