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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162421
(43)【公開日】2025-10-27
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/66 20250101AFI20251020BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065713
(22)【出願日】2024-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐圧を向上させる炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置100は、第1主面1と第2主面2とを有し、第1主面に垂直な平面視で、活性領域110と活性領域を囲む終端領域120とを有する炭化珪素基板を備え、炭化珪素基板は、第1導電型を有する第1半導体領域11と、第2導電型を有する複数の第2半導体領域14と、活性領域内に設けられ第2導電型を有し第1主面を構成し、平面視で環状の第3半導体領域16とを有し、複数の第2半導体領域は、活性領域および終端領域内で第1主面に平行な第1軸に沿って並び、第2半導体領域の平面視で第3半導体領域と重なる第4半導体領域144は、第3半導体領域に電気的に接続されており、4半導体領域に含まれる第2導電型の第1不純物の実効濃度は、第2半導体領域の平面視で第3半導体領域の内側に位置する第5半導体領域に含まれる第1不純物の実効濃度よりも低い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有し、前記第1主面に垂直な平面視で、活性領域と、前記活性領域を囲む終端領域とを有する炭化珪素基板を備え、
前記炭化珪素基板は、
第1導電型を有する第1半導体領域と、
前記第1半導体領域内に設けられ、第2導電型を有する複数の第2半導体領域と、
前記活性領域内に設けられ、前記第2導電型を有し、前記第1主面を構成し、前記平面視で環状の第3半導体領域と、
を有し、
複数の前記第2半導体領域は、前記活性領域および前記終端領域内で前記第1主面に平行な第1軸に沿って並び、
前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域と重なる第4半導体領域は前記第3半導体領域に電気的に接続されており、
前記第4半導体領域に含まれる前記第2導電型の第1不純物の実効濃度は、前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域の内側に位置する第5半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも低い、炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第4半導体領域は、
第6半導体領域と、
前記第6半導体領域と前記第2主面との間の第7半導体領域と、
を有し、
前記第7半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度は、前記第6半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも高い、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第7半導体領域における前記第1不純物の実効濃度の最小値は、前記第6半導体領域における前記第1不純物の実効濃度の最大値よりも5×1015cm-3以上大きい、請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記炭化珪素基板は、前記終端領域内に設けられ、前記第2導電型を有し、前記第1主面を構成し、前記第3半導体領域に連なる環状の第8半導体領域を有し、
前記第2半導体領域の平面視で前記第8半導体領域と重なる第9半導体領域は前記第8半導体領域に電気的に接続されており、
前記第9半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度は、前記第5半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも低い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
複数の前記第2半導体領域は、前記第1軸に沿って一定のピッチで設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
複数の前記第2半導体領域は、前記第1主面に平行かつ前記第1軸に垂直な第2軸に沿って延びる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体領域は、前記第2主面に対向する下端面を有し、
前記第1主面と前記下端面との間の距離は、前記第1半導体領域の厚さの1/2以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記第2半導体領域は、前記第2主面に対向する下端面を有し、
前記第1主面と前記下端面との間の距離は、前記第1半導体領域の厚さの1/2未満である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパージャンクション構造を備えた半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-273355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置においては、耐圧の更なる向上が困難である。
【0005】
本開示は、耐圧を向上できる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有し、前記第1主面に垂直な平面視で、活性領域と、前記活性領域を囲む終端領域とを有する炭化珪素基板を備え、前記炭化珪素基板は、第1導電型を有する第1半導体領域と、前記第1半導体領域内に設けられ、第2導電型を有する複数の第2半導体領域と、前記活性領域内に設けられ、前記第2導電型を有し、前記第1主面を構成し、前記平面視で環状の第3半導体領域と、を有し、複数の前記第2半導体領域は、前記活性領域および前記終端領域内で前記第1主面に平行な第1軸に沿って並び、前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域と重なる第4半導体領域は前記第3半導体領域に電気的に接続されており、前記第4半導体領域に含まれる前記第2導電型の第1不純物の実効濃度は、前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域の内側に位置する第5半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも低い。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、耐圧を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置における炭化珪素基板の概要を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域の構成を示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域と終端領域との境界の近傍の構成を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図6図6は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図7図7は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図8図8は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本開示では数字の前に負の符号を付している。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、炭化珪素半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、XY面視を平面視といい、任意の点からみて、+Z方向を上方、上側または上ということがあり、-Z方向を下方、下側または下ということがある。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面とを有し、前記第1主面に垂直な平面視で、活性領域と、前記活性領域を囲む終端領域とを有する炭化珪素基板を備え、前記炭化珪素基板は、第1導電型を有する第1半導体領域と、前記第1半導体領域内に設けられ、第2導電型を有する複数の第2半導体領域と、前記活性領域内に設けられ、前記第2導電型を有し、前記第1主面を構成し、前記平面視で環状の第3半導体領域と、を有し、複数の前記第2半導体領域は、前記活性領域および前記終端領域内で前記第1主面に平行な第1軸に沿って並び、前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域と重なる第4半導体領域は前記第3半導体領域に電気的に接続されており、前記第4半導体領域に含まれる前記第2導電型の第1不純物の実効濃度は、前記第2半導体領域の平面視で前記第3半導体領域の内側に位置する第5半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも低い。
【0012】
第4半導体領域に含まれる第1不純物の実効濃度が第5半導体領域に含まれる第1不純物の実効濃度と同等である場合と比べて、第4半導体領域の近傍における空乏化が促進され、第4半導体領域にかかる電界が緩和される。従って、耐圧を向上できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第4半導体領域は、第6半導体領域と、前記第6半導体領域と前記第2主面との間の第7半導体領域と、を有し、前記第7半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度は、前記第6半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも高くてもよい。この場合、第6半導体領域の近傍における空乏化が促進されやすく、第6半導体領域にかかる電界が緩和されやすい。
【0014】
〔3〕 〔2〕において、前記第7半導体領域における前記第1不純物の実効濃度の最小値は、前記第6半導体領域における前記第1不純物の実効濃度の最大値よりも5×1015cm-3以上大きくてもよい。この場合、第6半導体領域にかかる電界が特に緩和されやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれにおいて、前記炭化珪素基板は、前記終端領域内に設けられ、前記第2導電型を有し、前記第1主面を構成し、前記第3半導体領域に連なる環状の第8半導体領域を有し、前記第2半導体領域の平面視で前記第8半導体領域と重なる第9半導体領域は前記第8半導体領域に電気的に接続されており、前記第9半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度は、前記第5半導体領域に含まれる前記第1不純物の実効濃度よりも低くてもよい。この場合、第9半導体領域にかかる電界も緩和され、耐圧を向上しやすい。
【0016】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれにおいて、複数の前記第2半導体領域は、前記第1軸に沿って一定のピッチで設けられていてもよい。この場合、炭化珪素半導体装置内での耐圧に高い均一性を得やすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれにおいて、複数の前記第2半導体領域は、前記第1主面に平行かつ前記第1軸に垂直な第2軸に沿って延びてもよい。この場合、第2半導体領域を均一に形成しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれにおいて、前記第2半導体領域は、前記第2主面に対向する下端面を有し、前記第1主面と前記下端面との間の距離は、前記第1半導体領域の厚さの1/2以上であってもよい。この場合、第1半導体領域の第1導電型の不純物の濃度を比較的高くしても高い耐圧を得やすい。従って、オン抵抗を低減しやすい。
【0019】
〔8〕 〔1〕から〔6〕のいずれにおいて、前記第2半導体領域は、前記第2主面に対向する下端面を有し、前記第1主面と前記下端面との間の距離は、前記第1半導体領域の厚さの1/2未満であってもよい。この場合、下端面と第2主面との間の第1半導体領域を厚くしやすいため、高い耐圧を得やすい。
【0020】
[本開示の実施形態]
本開示の実施形態は、炭化珪素を用いたいわゆる縦型のMOS(metal oxide semiconductor)型電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)に関する。このMOS型FETは炭化珪素半導体装置の一例である。図1は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置における炭化珪素基板の概要を示す模式図である。図2は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域における層間絶縁膜および第1主面の構成を示す図である。図3は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域の構成を示す断面図である。図4は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の活性領域と終端領域との境界の近傍の構成を示す断面図である。図2は、図1中の領域IIに対応する。図3は、図2中のIII-III線に沿った断面図に相当する。図4は、図1中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。図4では、バリアメタル膜84を省略している。
【0021】
図1から図4に示されるように、実施形態に係る炭化珪素半導体装置100は、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、ソース電極60と、ドレイン電極70と、バリアメタル膜84とを有する。
【0022】
炭化珪素基板10は、第1主面1と、第1主面1とは反対の第2主面2とを有する。第1主面1および第2主面2はXY平面に平行であり、第1主面1は第2主面2からみて+Z方向にある。炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板50と、炭化珪素単結晶基板50上にある炭化珪素エピタキシャル層40とを含む。炭化珪素エピタキシャル層40は第1主面1を構成し、炭化珪素単結晶基板50は第2主面2を構成する。炭化珪素単結晶基板50および炭化珪素エピタキシャル層40は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板50は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含み、n型の導電型(第1導電型)を有する。
【0023】
図1に示されるように、炭化珪素基板10は、活性領域110と、終端領域120とを有する。活性領域110は、例えば第1主面1に垂直な平面視で角丸正方形の形状を有する。活性領域110が、平面視で角丸長方形の形状を有してもよい。終端領域120は平面視で活性領域110を囲む。終端領域120は平面視で活性領域110の周囲に設けられている。終端領域120は、Y軸に平行な方向で活性領域110に接する第1終端領域121と、X軸に平行な方向で活性領域110に接する第2終端領域122と、第1終端領域121および第2終端領域122に接する第3終端領域123とを有する。第1終端領域121は活性領域110の+Y側および-Y側に設けられ、第2終端領域122は活性領域110の+X側および-X側に設けられ、第3終端領域123は炭化珪素基板10の4隅に設けられている。
【0024】
第1主面1は、{0001}面または{0001}面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。好ましくは、第1主面1は、(000-1)面または(000-1)面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ方向は、例えば<11-20>方向であってもよいし、<1-100>方向であってもよい。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0025】
炭化珪素エピタキシャル層40は、ドリフト領域11と、ボディ領域12と、ソース領域13と、スーパージャンクション用のp型領域14と、コンタクト領域16と、接合終端構造(junction termination extension:JTE)17と、コンタクト領域18とを有する。
【0026】
ドリフト領域11は、窒素またはリン(P)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドリフト領域11は炭化珪素単結晶基板50の上に設けられている。
【0027】
ボディ領域12は、アルミニウム(Al)等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。ボディ領域12は活性領域110内にある。ボディ領域12はドリフト領域11の上に設けられている。ボディ領域12の下端面とドリフト領域11の上端面とが互いに接する。
【0028】
ソース領域13は、窒素またはリン等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ソース領域13は活性領域110内にある。ソース領域13はボディ領域12の上に設けられている。ソース領域13は、ボディ領域12によってドリフト領域11から隔てられている。ソース領域13は第1主面1を構成する。
【0029】
第1主面1に、側面3と底面4とにより規定される複数のゲートトレンチ5が設けられている。ゲートトレンチ5は活性領域110内に形成されている。ゲートトレンチ5は、例えばY軸に沿って延びる。また、X軸に沿って複数のゲートトレンチ5が一定の間隔(第1ピッチP1)で設けられている。側面3は、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11の一部とを貫通し、ドリフト領域11に至る。底面4は側面3と連なる。底面4はドリフト領域11に位置する。例えば、底面4は第1主面1および第2主面2と平行である。Y軸に垂直な断面視で、底面4を含む仮想平面30に対する側面3の角度θ1は、例えば45°以上65°以下である。角度θ1は、例えば50°以上であってもよい。角度θ1は、例えば60°以下であってもよい。側面3は、好ましくは{0-33-8}面を有する。{0-33-8}面は、優れた移動度が得られる結晶面である。
【0030】
コンタクト領域18は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。コンタクト領域18は活性領域110内にある。コンタクト領域18は、ソース領域13を貫通し、ボディ領域12に接する。コンタクト領域18は第1主面1を構成する。コンタクト領域18は、第1主面1に垂直な平面視で、X軸に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間にある。X軸に沿って隣り合う2つのゲートトレンチ5の間において、コンタクト領域18とソース領域13とがY軸に沿って交互に設けられていてもよい。X軸に沿って隣り合う2つのゲートトレンチ5の間において、コンタクト領域18がY軸に沿って断続的に設けられていてもよい。
【0031】
Y軸に沿って複数のゲートトレンチ5が一定の間隔で配置されていてもよい。Y軸に沿って複数のゲートトレンチ5が一定の間隔で配置されている場合、コンタクト領域18の一部が、Y軸に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間にあってもよい。複数のゲートトレンチ5がアレイ状に設けられていてもよい。
【0032】
コンタクト領域16は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。コンタクト領域16は活性領域110内にある。コンタクト領域16はコンタクト領域18と同時に形成され、コンタクト領域18と同じ材料から構成され、コンタクト領域18と同じ深さを有する。コンタクト領域16も第1主面1を構成する。平面視で、コンタクト領域16は環状に設けられており、後述の複数のゲートトレンチ5およびゲート電極82がコンタクト領域16の内側に位置する。また、コンタクト領域16の外縁が活性領域110と終端領域120との境界である。本開示において環状とは、角丸長方形状等の、円環状または楕円環状以外の単一閉曲線状の形状を含む。コンタクト領域16は第3半導体領域の一例である。
【0033】
JTE17は、アルミニウム等のp型不純物をコンタクト領域16よりも低い実効濃度で含み、p型の導電型を有する。JTE17はコンタクト領域16に接するように環状に設けられている。平面視で、コンタクト領域16がJTE17の内側に位置する。JTE17は終端領域120内にある。JTE17も第1主面1を構成する。JTE17は炭化珪素基板10の外縁よりも内側に設けられており、炭化珪素基板10の外縁での第1主面1はドリフト領域11により構成される。JTE17は第8半導体領域の一例である。
【0034】
p型領域14は、アルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。p型領域14は活性領域110および終端領域120にある。p型領域14はドリフト領域11内に設けられている。p型領域14はY軸に沿って延びていてもよい。複数のp型領域14はX軸に沿って並ぶ。X軸に沿って複数のp型領域14が一定のピッチで設けられていてもよい。複数のp型領域14がストライプ状に設けられていてもよい。p型領域14は、第2主面2に対向する下端面14Cを有する。例えば、第1主面1と下端面14Cとの間の距離は1μm以上である。p型領域14は第2半導体領域の一例である。X軸は第1軸の一例であり、Y軸は第2軸の一例である。
【0035】
図3に示されるように、p型領域14の一部は、第1主面1に垂直な平面視で、X軸に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間にある。p型領域14の一部であってX軸に沿って隣り合うゲートトレンチ5の間にあるp型領域145はゲートトレンチ5から離れている。ボディ領域12はゲートトレンチ5の側面3に露出する。p型領域145は、X軸に沿ってボディ領域12よりもゲートトレンチ5から離れている。p型領域145はボディ領域12の下にあり、ボディ領域12に接する。p型領域145は、第1主面1に垂直な平面視で、コンタクト領域18に重なり、コンタクト領域16の内側に位置する。コンタクト領域18がボディ領域12を貫通し、p型領域145がボディ領域12およびコンタクト領域18に接していてもよい。コンタクト領域18、ボディ領域12およびp型領域145が互いに電気的に接続されている。p型領域145におけるp型不純物の実効濃度は、例えば、1×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である。p型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度が均一である必要はない。p型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値である。p型領域145は第5半導体領域の一例である。p型不純物は第2導電型の第1不純物の一例である。
【0036】
図4に示されるように、p型領域14の一部であってコンタクト領域16の下方にあるp型領域144はコンタクト領域16に接している。p型領域144は、p型領域146と、p型領域147とを有する。p型領域146およびp型領域147は互いに接する。p型領域146およびp型領域147はドリフト領域11に接する。p型領域147はp型領域146と第2主面2との間にある。p型領域147に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域146に含まれるp型不純物の実効濃度よりも高い。また、p型領域144に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度よりも低い。p型領域146におけるp型不純物の実効濃度は、例えば5×1015cm-3以上3×1017cm-3以下である。p型領域147におけるp型不純物の実効濃度は、例えば、1×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である。p型領域146およびp型領域147のいずれにおいても、p型不純物の実効濃度が均一である必要はない。p型領域146に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域146に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値であり、p型領域147に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域147に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値である。p型領域144は第4半導体領域の一例である。p型領域146は第6半導体領域の一例であり、p型領域147は第7半導体領域の一例である。
【0037】
p型領域14は終端領域120にも設けられている。終端領域120内のp型領域14の一部であるp型領域149がJTE17に接していてもよい。終端領域120内のp型領域の他の一部であるp型領域140がJTE17に接していなくてもよい。終端領域120内において、p型領域149がJTE17に接し、p型領域140がJTE17から離れていてもよい。
【0038】
p型領域149は、p型領域1410と、p型領域1411とを有する。p型領域1410およびp型領域1411は互いに接する。p型領域1410およびp型領域1411はドリフト領域11に接する。p型領域1411はp型領域1410と第2主面2との間にある。p型領域1411に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域1410に含まれるp型不純物の実効濃度よりも高い。また、p型領域149に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度よりも低い。例えば、p型領域1410におけるp型不純物の実効濃度はp型領域146におけるp型不純物の実効濃度と等しく、p型領域1411におけるp型不純物の実効濃度はp型領域147におけるp型不純物の実効濃度と等しい。p型領域1410およびp型領域1411のいずれにおいても、p型不純物の実効濃度が均一である必要はない。p型領域1410に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域1410に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値であり、p型領域1411に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域1411に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値である。p型領域149は第9半導体領域の一例である。
【0039】
例えば、p型領域140におけるp型不純物の実効濃度はp型領域145におけるp型不純物の実効濃度と等しい。p型領域140において、p型不純物の実効濃度が均一である必要はない。p型領域140に含まれるp型不純物の実効濃度は、p型領域140に含まれるp型不純物の実効濃度の平均値である。
【0040】
p型領域149および140は、例えば第1終端領域121、第2終端領域122および第3終端領域123に設けられている。p型領域149および140が第1終端領域121および第2終端領域122のみに設けられていてもよく、p型領域149および140が第1終端領域121または第2終端領域122のみに設けられていてもよい。
【0041】
活性領域110内において、ドリフト領域11は側面3に露出し、かつボディ領域12およびp型領域14に接する。終端領域120内において、ドリフト領域11は平面視でJTE17の外側で第1主面1を構成する。ドリフト領域11は炭化珪素単結晶基板50に接してもよい。ドリフト領域11におけるn型不純物の実効濃度は、例えば、1×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である。ドリフト領域11が、特にn型不純物の実効濃度が高い電流拡散領域を活性領域110内に含んでもよい。ドリフト領域11は第1半導体領域の一例である。
【0042】
Z軸に沿って、底面4と第2主面2との間には炭化珪素単結晶基板50およびドリフト領域11があり、底面4と第2主面2との間の炭化珪素基板10の導電型はn型である。Z軸に沿って、底面4と第2主面2との間に導電型がp型の半導体は存在しない。
【0043】
ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成されている。ゲート絶縁膜81は、側面3および底面4に接する。ゲート絶縁膜81は、底面4においてドリフト領域11に接する。ゲート絶縁膜81は、側面3においてソース領域13、ボディ領域12およびドリフト領域11に接する。ゲート絶縁膜81は、第1主面1においてソース領域13に接していてもよい。
【0044】
ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81の上に設けられている。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコン(ポリSi)から構成されている。ゲート電極82は、ゲートトレンチ5の内部に配置されている。ゲート電極82は、側面3および底面4に対向する。ゲート電極82の一部が第1主面1に対向してもよい。ゲート電極82はY軸に沿って延びる。第1主面1に垂直な平面視で、ゲート電極82が複数のゲートトレンチ5と重なってもよい。
【0045】
コンタクト領域16の上にもゲート絶縁膜81が設けられ、その上に電極膜85が形成されている。電極膜85はゲート電極82と同時に形成され、ゲート電極82と同じ材料から構成される。
【0046】
層間絶縁膜83はゲート電極82を覆う。層間絶縁膜83はゲート電極82およびゲート絶縁膜81に接する。層間絶縁膜83は、例えば酸化膜である。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成されている。層間絶縁膜83は、ゲート電極82とソース電極60とを互いに電気的に絶縁している。層間絶縁膜83の一部は、ゲートトレンチ5の内部に設けられていてもよい。層間絶縁膜83の上面は、曲率が連続的に変化する曲面であってもよい。層間絶縁膜83の上面は、ゲートトレンチ5の上方において+Z方向に凸となる曲面であってもよい。
【0047】
層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81には、X軸に沿って一定の間隔でコンタクトホール90が形成されている。コンタクトホール90は、X軸に沿って隣り合うコンタクトホール90の間にゲートトレンチ5が位置するように配置されている。コンタクトホール90はY軸に沿って延びる。コンタクトホール90を通じて、ソース領域13およびコンタクト領域18が層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81から露出している。
【0048】
コンタクト領域16の上方において、ゲート絶縁膜81および電極膜85の上に層間絶縁膜83が設けられている。層間絶縁膜83に電極膜85に達するコンタクトホール91が形成され、層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81にコンタクト領域16に達するコンタクトホール92が形成されている。炭化珪素半導体装置100は、ゲートランナー63およびソースランナー64を有する。ゲートランナー63およびソースランナー64はソース電極60と同時に形成され、ソース電極60と同じ材料から構成される。ゲートランナー63は、ゲート電極82および電極膜85に電気的に接続される。ソースランナー64は、ソース電極60およびコンタクト領域16に電気的に接続される。平面視で、ソースランナー64は環状に設けられており、ソースランナー64の外縁がコンタクト領域16の外縁と一致してもよい。ゲートランナー63は、ソース電極60とソースランナー64との間に設けられている。
【0049】
バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83の上面と、ゲート絶縁膜81の側面とを覆う。バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83およびゲート絶縁膜81に接している。バリアメタル膜84は、例えば窒化チタン(TiN)を含む材料から構成されている。
【0050】
ソース電極60は第1主面1に接する。ソース電極60は、コンタクトホール90内に設けられたコンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。コンタクト電極61は、第1主面1において、ソース領域13、コンタクト領域16およびコンタクト領域18に接している。コンタクト電極61は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)を含む材料から構成されている。コンタクト電極61が、チタン(Ti)と、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。コンタクト電極61は、ソース領域13、コンタクト領域16およびコンタクト領域18とオーミック接合している。ソース配線62は、バリアメタル膜84の上面および側面と、コンタクト電極61の上面とを覆う。ソース配線62は、バリアメタル膜84およびコンタクト電極61に接している。ソース配線62は、例えばアルミニウムを含む材料から構成されている。
【0051】
炭化珪素半導体装置100は、更に、窒化珪素膜87およびポリイミド膜88を有する。窒化珪素膜87は層間絶縁膜83の上面および側面を覆い、ポリイミド膜88は窒化珪素膜87の上面および側面を覆う。窒化珪素膜87およびポリイミド膜88には、ソース電極60の一部を露出する開口部が形成されており、この開口部の内側にソース用のめっき膜86が形成されている。また、窒化珪素膜87およびポリイミド膜88には、ゲートランナー63に接続されたゲート電極(図示せず)の一部を露出する開口部(図示せず)も形成されており、この開口部の内側にゲート用のめっき膜(図示せず)が形成されている。
【0052】
ドレイン電極70は第2主面2に接する。ドレイン電極70は、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50に接している。ドレイン電極70は、ドリフト領域11に電気的に接続されている。ドレイン電極70は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成されている。ドレイン電極70がチタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。ドレイン電極70は、炭化珪素単結晶基板50にオーミック接合している。
【0053】
炭化珪素単結晶基板50とドリフト領域11との間に、窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有するバッファ層が設けられていてもよい。また、ソース電極60の一部を覆うパッシベーション膜が設けられていてもよい。
【0054】
コンタクト領域16および18におけるp型不純物の実効濃度は、ボディ領域12におけるp型不純物の実効濃度よりも高くてもよい。例えば、コンタクト領域16および18におけるp型不純物の実効濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であり、ボディ領域12におけるp型不純物の実効濃度は5×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0055】
ソース領域13におけるn型不純物の実効濃度は、ボディ領域12におけるp型不純物の実効濃度よりも高くてもよい。ソース領域13におけるn型不純物の実効濃度は、例えば1×1019cm-3程度である。
【0056】
本開示において、第1導電型の不純物の実効濃度とは、第1導電型の不純物の濃度から第2導電型の不純物の濃度を減じて得られる濃度であり、第2導電型の不純物の実効濃度とは、第2導電型の不純物の濃度から第1導電型の不純物の濃度を減じて得られる濃度である。実効濃度は、例えば走査型静電容量顕微鏡(scanning capacitance microscope:SCM)を用いて測定できる。
【0057】
ドリフト領域11はn型の導電型を有し、ボディ領域12およびp型領域14はp型の導電型を有する。このため、ドリフト領域11とボディ領域12との境界およびドリフト領域11とp型領域14との境界は明確である。
【0058】
次に、炭化珪素半導体装置100の製造方法について説明する。図5から図8は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0059】
まず、図5に示されるように、炭化珪素単結晶基板50を準備する。次に、炭化珪素単結晶基板50の上に炭化珪素エピタキシャル層40を形成する。例えば、炭化珪素単結晶基板50は、窒素等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。例えば、炭化珪素エピタキシャル層40は窒素等のn型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。
【0060】
次に、図6に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層40へのイオン注入を行うことにより、p型領域14を形成する。p型領域14を形成するためのイオン注入においては、例えばアルミニウム等のp型不純物のチャネリング注入を行う。このとき、p型領域14の上端面が炭化珪素エピタキシャル層40の上面から露出するようにしてよい。
【0061】
次に、図7に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層40へのイオン注入を行うことにより、ボディ領域12、ソース領域13、コンタクト領域16、JTE17およびコンタクト領域18を形成する。
【0062】
次に、図8に示されるように、一部のp型領域14へのリン(P)または窒素(N)等のn型不純物のイオン注入を行うことにより、p型領域144および149を形成する。この時、隣り合う2つのp型領域144の間でドリフト領域11にn型不純物が注入されてもよく、隣り合う2つのp型領域149の間でドリフト領域11にn型不純物が注入されてもよく、隣り合うp型領域144とp型領域149の間でドリフト領域11にn型不純物が注入されてもよい。n型不純物の注入に伴って、p型領域144および149のX軸に沿った寸法が、p型領域144および149以外のp型領域14(p型領域145および140)のX軸に沿った寸法より大きくなってもよい。
【0063】
次に、複数のゲートトレンチ5を形成する。次に、ゲート絶縁膜81、ゲート電極82、電極膜85、層間絶縁膜83、バリアメタル膜84、窒化珪素膜87、ポリイミド膜88およびめっき膜86を形成する(図3および図4参照)。
【0064】
このようにして、炭化珪素半導体装置100を製造できる。
【0065】
炭化珪素半導体装置100においては、上記のように、p型領域144に含まれるp型不純物の実効濃度はp型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度よりも低い。このため、p型領域144に含まれるp型不純物の実効濃度がp型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度と同等である場合と比べて、p型領域144の近傍における空乏化が促進され、p型領域144にかかる電界が緩和される。従って、耐圧を向上できる。特に、コンタクト領域16に接する複数のp型領域144のうちで最も終端領域120に近い部分にかかる電界が緩和される。
【0066】
p型領域14をチャネリング注入により形成する場合、p型領域14の上端面の近傍でp型不純物の濃度が高くなり、p型領域144に含まれるp型不純物の実効濃度がp型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度と同等であると、p型領域144に電界が集中するおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、このような電界集中を緩和できる。特に、p型領域147に含まれるp型不純物の実効濃度がp型領域146に含まれるp型不純物の実効濃度よりも高い場合、p型領域146の近傍における空乏化が促進されやすく、p型領域146にかかる電界が緩和されやすい。例えば、p型領域147におけるp型不純物の実効濃度の最小値は、p型領域146におけるp型不純物の実効濃度の最大値よりも5×1015cm-3以上大きい。この場合、p型領域146にかかる電界が特に緩和されやすい。p型領域147におけるp型不純物の実効濃度の最小値がp型領域146におけるp型不純物の実効濃度の最大値よりも7×1015cm-3以上大きくてもよく、1×1016cm-3以上大きくてもよい。
【0067】
また、製造誤差によりp型領域14における不純物濃度の分布が設計値からずれることがあるが、その場合でも高い耐圧が得られる許容幅(マージン)が広い。
【0068】
p型領域149に含まれるp型不純物の実効濃度がp型領域145に含まれるp型不純物の実効濃度よりも低い場合、p型領域149にかかる電界も緩和され、耐圧を向上しやすい。p型領域144に含まれるp型不純物の実効濃度とp型領域149に含まれるp型不純物の実効濃度とが互いに等しくてもよい。
【0069】
複数のp型領域14がX軸に沿って一定のピッチで設けられる場合、炭化珪素半導体装置100内での耐圧に高い均一性を得やすい。複数のp型領域14がY軸に沿って延びる場合、p型領域14を均一に形成しやすい。
【0070】
第1主面1と下端面14Cとの間の距離がドリフト領域11の厚さの1/2以上である場合、活性領域110内でドリフト領域11のn型不純物の濃度を比較的高くしても高い耐圧を得やすい。従って、オン抵抗を低減しやすい。
【0071】
第1主面1と下端面14Cとの間の距離がドリフト領域11の厚さの1/2未満であってもよい。この場合、下端面14Cと第2主面2との間のドリフト領域11を厚くしやすいため、高い耐圧を得やすい。
【0072】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 第1主面
2 第2主面
3 側面
4 底面
5 ゲートトレンチ
10 炭化珪素基板
11 ドリフト領域
12 ボディ領域
13 ソース領域
14、140、144、145、146、147、149、1410、1411 p型領域
14C 下端面
16 コンタクト領域
17 接合終端構造
18 コンタクト領域
30 仮想平面
40 炭化珪素エピタキシャル層
50 炭化珪素単結晶基板
60 ソース電極
61 コンタクト電極
62 ソース配線
63 ゲートランナー
64 ソースランナー
70 ドレイン電極
81 ゲート絶縁膜
82 ゲート電極
83 層間絶縁膜
84 バリアメタル膜
85 電極膜
86 めっき膜
87 窒化珪素膜
88 ポリイミド膜
90、91、92 コンタクトホール
100 炭化珪素半導体装置
110 活性領域
120 終端領域
121 第1終端領域
122 第2終端領域
123 第3終端領域
P1 第1ピッチ
θ1 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8