(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016243
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
G08G1/015 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119384
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】野沢 隆勝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC21
5H181DD10
5H181EE07
5H181EE10
(57)【要約】
【課題】踏板の故障を予知できる故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】故障予知装置は、車線の踏板を走行する車両の軸数を取得する第一取得部と、前記車両の車両情報を取得する第二取得部と、取得した前記車両情報から重み付け係数を決定する決定部と、取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出する、積算部と、前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板6が劣化状態であると判定する、判定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の踏板を走行する車両の軸数を取得する第一取得部と、
前記車両の車両情報を取得する第二取得部と、
取得した前記車両情報から重み付け係数を決定する決定部と、
取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出する、積算部と、
前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定する、判定部と、
を備える故障予知装置。
【請求項2】
前記踏板が劣化状態であると判定された場合に、警告を通知する通知部を、さらに備える、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項3】
前記車両情報は、前記車両の車種である、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項4】
前記重み付け係数は、各車種の車両総重量に応じた所定の値である、請求項3に記載の故障予知装置。
【請求項5】
前記車両情報は、前記踏板が備える軸重計により計測された軸重である、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項6】
前記踏板の外気温情報を取得する第三取得部を、さらに備え、
前記積算部は、算出した前記補正値に対して前記外気温情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項7】
前記車両の速度に関連する速度関連情報を取得する第四取得部を、さらに備え、
前記積算部は、算出した前記補正値に対して前記速度関連情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する、請求項1に記載の故障予知装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の故障予知装置と、
前記踏板と、
を備える料金収受システム。
【請求項9】
車線の踏板を走行する車両の軸数を取得するステップと、
前記車両の車両情報を取得するステップと、
取得した前記車両情報から重み付け係数を決定するステップと、
取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出するステップと、
前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定するステップと、
を含む故障予知方法。
【請求項10】
故障予知装置のコンピュータに、
車線の踏板を走行する車両の軸数を取得するステップと、
前記車両の車両情報を取得するステップと、
取得した前記車両情報から重み付け係数を決定するステップと、
取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出するステップと、
前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路に利用されている電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標))は、料金所の車線(レーン)を走行する車両との間で無線通信を行うことで、走行中の車両に対して料金収受処理を実施することができる。
【0003】
電子式料金収受システムでは料金所の車線上に設置された車種判別装置を用いて、通過する車両の車種(普通車、大型車、・・等の区分)を判別できるものがある。例えば、車種判別装置は、車線の路面に敷設された踏板型の押圧検出センサ(以下、「踏板」又は「踏板ユニット」とも記載する。)を通じてタイヤによる押圧回数を計数することで当該車両の車軸数を計測し、その計測結果を含めて車種を判別する。
【0004】
電子式料金収受システムにおいて、上述した踏板は、直上に車両が通過する特性上、故障頻度が比較的高いことが知られている。また、踏板の故障時には、補修のためのレーン閉鎖が必要であり、故障時の補修による利用者への影響が高い。このため踏板は、予知保全の必要性が高い装置と考えられる。
【0005】
踏板は、通過軸数の増加に伴い故障の発生確率も増加することが経験的に知られており、通過軸数を指標とした予知保全が考えられる。例えば、特許文献1には、軸重計が内蔵された踏板の故障を検知する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、同一の車両特徴情報を有する車両について取得される複数の計測情報を比較することにより、軸重計が内蔵された踏板の故障を検知する故障予知方法が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された方法では、直上を通過する車両荷重及びそれに起因した振動等により劣化が進展するという踏板の特性が考慮されていないため、故障予知精度の観点からは、改善の余地があった。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされるものであって、踏板の故障を予知できる故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る故障予知装置は、車線の踏板を走行する車両の軸数を取得する第一取得部と、前記車両の車両情報を取得する第二取得部と、取得した前記車両情報から重み付け係数を決定する決定部と、取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出する、積算部と、前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定する、判定部と、を備える。
【0010】
本開示に係る故障予知方法は、車線の踏板を走行する車両の軸数を取得するステップと、前記車両の車両情報を取得するステップと、取得した前記車両情報から重み付け係数を決定するステップと、取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出するステップと、前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定するステップと、を含む。
【0011】
本開示に係るプログラムは、車線の踏板を走行する車両の軸数を取得するステップと、前記車両の車両情報を取得するステップと、取得した前記車両情報から重み付け係数を決定するステップと、取得した前記車両の軸数に対して、決定した前記重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、前記補正値を積算して積算値を算出するステップと、前記積算値が所定の判定値以上である場合に前記踏板が劣化状態であると判定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の故障予知装置、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムによれば踏板の故障を予知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る料金収受システムの概略斜視図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る故障予知装置のブロック図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る故障予知方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る故障予知装置が記録するデータベースの例である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係る故障予知装置が記録するデータベースの例である。
【
図6】本開示の第二実施形態に係る故障予知装置のブロック図である。
【
図7】本開示の変形例に係る料金収受システムの概略斜視図である。
【
図8】本開示の変形例1に係る故障予知装置のブロック図である。
【
図9】本開示の変形例1に係る故障予知方法のフローチャートである。
【
図10】本開示の変形例2に係る故障予知装置のブロック図である。
【
図11】本開示の変形例2に係る故障予知方法のフローチャートである。
【
図12】本開示の各実施形態に係る故障予知装置が備えるコンピュータのハードウェア構成の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の各実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0015】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る故障予知装置7について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(料金収受システムの全体構成)
本実施形態の料金収受システム1は、例えば、有料道路である高速道路のいずれかの料金所TL(入口料金所、又は本線料金所)に設けられ、高速道路の利用者から、当該利用者が乗車する車両AAに関連した額の料金の収受を行うためのシステムである。
【0017】
図1に示すように、車両AAは、入口料金所である料金所TLを介して、一般道路側から高速道路側へと通じる車線LNを走行している。その際、車両AAは、複数の車軸を有する車両であって、軽自動車、普通車、大型車等である。
【0018】
以下、車線LNが延びる方向(
図1における±X方向)を「車線方向」と記載し、また、車線LNの車線方向における高速道路側(
図1における+X方向側)を「下流」と記載する。また、車線LNの車線方向における一般道路側(
図1における-X方向側)を「上流」と記載する。
さらに、車線LNの幅方向を車線幅方向(
図1における±Y方向)と称し、車両AAの車高方向を上下方向(
図1における±Z方向)と称する。
【0019】
車線LNの両側には、アイランドISが敷設されており、料金収受システム1を構成する各種装置の少なくとも一部が設置されている。
例えば、
図1に示すように、料金所TLには、複数の車線LNが並んで敷設される。その際、隣り合う車線LNと車線LNとの各間にアイランドISが敷設されている。
【0020】
本実施形態では、料金収受システム1では、無線通信システムによる課金処理が行われる。
料金収受システム1は、車線LNの上流から下流に向かって、料金所TLを通過しようとする車両AAとの間で無線による通信処理(以下、単に「無線通信」と表記)を行い、車両AAの車種等に関連した課金処理を行う装置である。
例えば、料金収受システム1は、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」ともいう)を構築するシステムの一部であってもよい。
【0021】
図1に示すように、料金収受システム1は、車種判別装置2と、通信アンテナ3と、車線サーバ4と、故障予知装置7と、を備える。
【0022】
図2に示すように、車種判別装置2と、通信アンテナ3と、車線サーバ4と、故障予知装置7との各装置は、専用線又は通信回線を介して、互いに接続されている。
例えば、料金収受システム1は、一連の課金処理を司る図示しない課金処理部をさらに備え、取得した情報や決定した課金額の情報等を、専用線又は通信回線を介して、遠隔地に設置された上位装置9に出力する。
【0023】
(車種判別装置)
車種判別装置2は、車線LNを走行する車両AAの車種を判別する装置である。車種判別装置2は、料金収受システム1のうち、車線方向の最も上流側(+X側)に設けられている。
本実施形態では、車種判別装置2は、第一車両検知器10と、踏板6と、ナンバープレート読取装置5と、を有している。
車種判別装置2は、踏板6で検知した軸数、及びナンバープレート読取装置5で取得したナンバープレート情報等の種々の情報に基づいて、車線LNに進入した車両AAの車種を判別する。
なお、車種判別装置2は、料金収受システム1の各種センサにより検出される車線LNに進入した車両AAの車長、及び車高等のその他の情報をさらに取得して車両AAの車種を判別する。
例えば、車種は、“軽自動車/二輪車”、“普通車”、“中型車”、“大型車”及び“特大車”の5分類とされる。
車種判別装置2は、判別した車種を車両情報として故障予知装置7及び車線サーバ4に出力する。
例えば、料金収受システム1は、車種判別装置2が特定した車種から、車両AAの車種に応じた料金を課金する。
【0024】
(第一車両検知器の構成)
図1に示すように、第一車両検知器10は、車線方向に関し、進入検知位置XAにおいて、車両AAを検知可能なように構成されている。
第一車両検知器10は、車線LNに向けて、アイランドISに設置されている。
複数の車線LNが並んでいる場合、車線LN毎に第一車両検知器10が設けられる。その際、各車線LNに向けて、各車線LNに隣接するアイランドISに第一車両検知器10が設置される。
【0025】
第一車両検知器10は、投受光器21を備える。
投受光器21は、進入検知位置XAに配置される。本実施形態において、投受光器21は、透過型の車両検知器を構成する。
投受光器21は、進入検知位置XAにおける車線幅方向と平行な垂直面内(±X方向に垂直な面内)で、車両AAの車高方向全体に亘って、投受光する。
図1に示すように、投受光器21は、車線LNを挟んで、光を投光する投光器21Aと、当該光を受光する受光器21Bとの対を有する。その際、投受光器21は、進入検知位置XAに車両AAが存在しないとき投光器21Aが投光する光を受光し、進入検知位置XAに車両AAが存在するとき投光器21Aが投光する光を受光しない。
これにより、第一車両検知器10は、進入検知位置XAに進入する車両AAを検知できる。
なお、他の実施形態においては、第一車両検知器10は、反射式の車両検知器であってもよい。
【0026】
(踏板の構成)
踏板6は、第一車両検知器10によって検知された車両AAに関して、車両AAのタイヤによる踏み付けに応じた検知信号を取得する。
踏板6は、踏まれた位置及び範囲を検出可能に構成されており、第一車両検知器10の検知結果と組み合わせることで、車両AAの軸数、トレッド幅及びタイヤ幅を特定することができる。
踏板6と第一車両検知器10との車線方向(±X方向)における位置は同じである。
踏板6は、車両AAの軸数を、故障予知装置7に出力する。
【0027】
(ナンバープレート読取装置の構成)
ナンバープレート読取装置5は、第一車両検知器10によって検知された車両AAのナンバープレートを含む撮影画像を取得する。
ナンバープレート読取装置5は、取得した撮影画像に対し所定の画像解析処理を施し、撮影されたナンバープレートのナンバープレート情報、すなわち、当該ナンバープレートに刻印された車両番号及び分類番号、当該ナンバープレートの大きさ、色などを取得する。
【0028】
複数の車線LNが並んでいる場合、車線LN毎にナンバープレート読取装置5が設けられる。その際、各車線LNに隣接するアイランドISにナンバープレート読取装置5が設置される。その際、各ナンバープレート読取装置5は、取得されたナンバープレート情報を、上位装置9に出力する。これにより、上位装置9は、車両AAが通行する車線LN及び時刻にかかわらず、料金所TLを通行する車両AAから取得されるナンバープレート情報を上位装置9に蓄積することができる。
【0029】
ナンバープレート読取装置5は、車線方向について、進入検知位置XAを撮影する。さらに、ナンバープレート読取装置5は、第一車両検知器10が進入検知位置XAに進入する車両AAを検知するタイミングで、車両AAのナンバープレートを含む撮影画像を取得する。
このように撮影すれば、ナンバープレート読取装置5は、第一車両検知器10によって車両AAの通過が検知されている最中に車両AAのナンバープレートを含む撮影画像を取得できる。このため、ナンバープレート読取装置5は、車両AAに先行する車両AA、及び車両AAに後続する車両AA等を区別して、車両AAのナンバープレートを含む撮影画像を取得しやすい。
【0030】
(通信アンテナの構成)
通信アンテナ3は、ガントリGNにより、車線LNの上方に設置されている。
通信アンテナ3は、車両AAの車載器αとの間で無線による通信処理を行う。具体的には、通信アンテナ3は、所定周波数(例えば、5.8GHz程度)の電磁波を送受可能に形成されており、当該電磁波を介することで到来した車両AAが搭載する車載器αとの無線通信を行う。
複数の車線LNが並んでいる場合、車線LN毎に通信アンテナ3が設けられる。
【0031】
通信アンテナ3は、第一車両検知器10が進入検知位置XAに進入する車両AAを検知するタイミングで、車両AAが搭載する車載器αとの無線通信を行う。
このように無線通信を行えば、通信アンテナ3は、第一車両検知器10によって車両AAの通過が検知されている最中に車両AAが搭載する車載器αとの無線通信を行うことができる。このため、通信アンテナ3は、車両AAに先行する車両AA、及び車両AAに後続する車両AA等を区別して、車両AAが搭載する車載器αとの無線通信を行いやすい。
【0032】
(車線サーバの構成)
車線サーバ4は、アイランドIS上に設置されている。
車線サーバ4は、料金所TLに進入する車両AAに車載されている車載器αの識別情報を取得する。その際、車線サーバ4は、通信アンテナ3における車載器αとの無線通信により取得される情報に基づき、識別情報を取得する。
【0033】
複数の車線LNが並んでいる場合、車線LN毎に車線サーバ4が設けられていてもよい。その際、各車線LNに向けて、各車線LNに隣接するアイランドISに車線サーバ4が設置される。
各車線サーバ4は、取得した識別情報及び車種判別装置2からの車両情報を上位装置9に出力する。
【0034】
(故障予知装置7の構成)
図2に示すように、故障予知装置7は、第一取得部71と、第二取得部72と、決定部76と、積算部77と、判定部78と、を機能的に備える。
故障予知装置7は、記録処理部75と、通知部79と、をさらに備える。
【0035】
第一取得部71は、踏板6から、車線LNを走行する車両AAの軸数を取得する。
第二取得部72は、車種判別装置2から、車線LNを走行する車両AAの「車両情報」を取得する。
第一実施形態では、車両情報には、車両AAの「車種」を含む。
第一実施形態では、第二取得部72は、車両情報として、車両AAの車種を車種判別装置2から取得する。なお、車両情報は、車両AAのナンバープレート情報を含んでもよいし、車両AAの識別情報を含んでもよい。
【0036】
記録処理部75は、車線LNを走行する車両AAの車両情報と、当該車両AAの軸数と、を関連づけて記録する。
記録処理部75は、車両AAに対し、同じ車線LN及び同じタイミングで取得された車両情報と軸数とを関連付けて記録する。
記録処理部75は、各車両AAが料金所TLに到来する度に、取得されるナンバープレート情報、識別情報、車種、及び車両総重量の各情報を互いに関連付けて記録する。
【0037】
決定部76は、取得した車両情報から重み付け係数を決定する。
第一実施形態では、決定部76は、車種に応じて重み付け係数を決定する。
例えば、決定部76は、車種が“軽自動車/二輪車”の場合は0.8、“普通車”の場合は1.0、“中型車”の場合は1.1、“大型車”の場合は1.3、及び“特大車”の場合は1.5、と重み付け係数を決定する。
なお、決定部76は、各車種の車両総重量に応じた所定の値を重み付け係数として決定してもよい。例えば、決定部76は、車種が“軽自動車/二輪車”及び“普通車”の場合、車両総重量の中央値、平均値、最頻値等に基づいて重み付け係数を決定してもよい。また、例えば、決定部76は、車種が“中型車”、“大型車”及び“特大車”の場合、車両総重量の最大値に対して0.8を乗じた値に基づいて重み付け係数を決定してもよい。
【0038】
積算部77は、取得した車両の軸数に対して、決定部76が決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出する。
【0039】
判定部78は、積算値が所定の判定値以上である場合に、踏板6が劣化状態であると判定する。劣化状態は、踏板6の使用が開始されたときから、判定部による判定に至るまでに、踏板6が劣化した度合いを示すものであり、劣化状態は、設備が使用不可能となる故障状態には至っていないものの、そのまま使用を継続することは望ましくはない状態とみなすことができる。
【0040】
通知部79は、判定部78において踏板6が劣化状態であると判定された場合、警告を通知する。また、通知部79は、劣化状態と判定された踏板6が設けられている車線番号を併せて通知する。
図1に示すように、故障予知装置7は、料金所TLを管理する事務所Rの監視装置MNに接続され、通知部79は、監視装置MNに踏板6が劣化状態である旨を通知する。その際、監視装置MNにおける表示等により、踏板6が劣化状態である旨の通知を確認したら、作業員は、踏板6の交換等を実施してもよい。
【0041】
(動作)
第一実施形態の故障予知装置7の動作について
図3を用いて説明する。
故障予知装置7の動作は、本実施形態の故障予知方法に相当する。
【0042】
故障予知装置7の動作は、例えば、第一車両検知器10が車線LNを走行する車両AAを検知し、それに伴い、車種判別装置2が車両AAの車種を判別したタイミングで開始される。
まず、
図3に示すように、第一取得部71は、車種判別装置2から、車線LNを走行する車両AAの軸数を取得する(ST01:軸数を取得するステップ)。
ST01の実施に続いて、第二取得部72は、車種判別装置2から、車両AAの車両情報として、車両AAの車種を取得する(ST02:車両情報を取得するステップ)。
ST02の実施に続いて、決定部76は、取得した車両情報から重み付け係数を決定する(ST03:重み付け係数を決定するステップ)。第一実施形態において重み付け係数は、車種に基づいて決定される。
具体的には、例えば、決定部は、車種が“軽自動車/二輪車”の場合は0.8、“普通車”の場合は1.0、“中型車”の場合は1.1、“大型車”の場合は1.3、及び“特大車”の場合は1.5、と重み付け係数を決定する。
【0043】
ST03の実施に続いて、積算部77は、取得した車両AAの軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出する(ST04:積算値を算出するステップ)。
具体的には、例えば、
図4のデータベースDBの例では、積算部77は、No.1の車両AAの軸数2に対して、“軽自動車/二輪車”に応じて決定部76により決定された重み付け係数0.8を乗じた補正値1.6を算出する。積算部77は、No.1と同一の車線番号1を走行したNo.3の補正値2.2を算出した後、1.6+2.2=3.8の積算値を算出する。
なお、各情報は、各車両AAが料金所TLに到来する順に、No.1、No.2、No.3、・・・とデータベースDBに蓄積されることにより、記録される。
また、データベースDBに含まれる各車線番号は、料金所TLの複数の車線LNのうち、各情報が取得されたときに車両AAが走行した車線LNの番号を示す。
【0044】
ST04の実施に続いて、判定部78は、積算値が所定の判定値以上である場合に、踏板6が劣化状態であると判定する(ST05:劣化状態を判定するステップ)。
具体的には、例えば、
図5に示すデータベースDBでは、判定値は20,000である。なお、判定値は20,000以外の値であってもよい。
積算値が所定の判定値以上でない場合(ST05で「No」の場合)、ST01の実施へ戻り、新たな軸数を取得する。一方、積算値が所定の判定値以上である場合(ST05で「Yes」の場合)、通知部79は、踏板6が劣化状態である旨の警告を通知する。
【0045】
なお、上述した第一の実施形態に係る故障予知装置7の動作(
図5)は一例であり、同等の目的が達成できる範囲内で、処理ステップの順番や判定基準を変更可能である。例えば、第一取得部と第二取得部に関するステップ(ステップST01とステップST02等)は、相互に入れ替え可能である。
【0046】
(作用及び効果)
本実施形態の一例によれば、故障予知装置7は、車両AAの軸数に対して、車両情報に応じた重み付け係数を乗じた補正値を積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
これにより、本実施形態の故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両重量とを含むことができるので、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度を向上させ、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0047】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る故障予知装置7について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の故障予知装置7の構成は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態と同様である。
【0048】
図6に示すように、車種判別装置2が備える踏板6は、軸重計11を更に備えている。
軸重計11は、第一車両検知器10によって検知された車両AAの軸重を計測し、軸重情報を取得する。
軸重計11は、複数の車軸を有する車両AAの各車軸に関して、軸重情報を取得する。
【0049】
第二実施形態では、第二取得部が取得する車両AAの「車両情報」は、車両AAの「軸重情報」を含む。
第二実施形態では、第二取得部72は、車両情報として、車両AAの軸重情報を車種判別装置2から取得する。
第二実施形態では、決定部76は、軸重情報である軸重に基づいて重み付け係数を決定する。
【0050】
車線サーバ4は、車種判別装置2が備える踏板6の軸重計11により検出される車線LNに進入した車両AAの軸重情報を取得する。各車線サーバ4は、車種判別装置2から取得した軸重情報を上位装置9に出力する。
【0051】
記録処理部75は、各車両AAが料金所TLに到来する度に、取得されるナンバープレート情報、識別情報、車種、車両総重量、及び軸重情報の各情報を互いに関連付けて記録する。
【0052】
決定部76は、軸重情報である軸重に基づいて重み付け係数を決定する。
例えば、決定部76は、軸重が“1000kg未満”の場合は0.8、“1000kg以上2000kg未満”の場合は1.0、“2000kg以上3000kg未満”の場合は1.1、“3000kg以上4000kg未満”の場合は1.3、及び“4000kg以上”の場合は1.5、と重み付け係数を決定する。
例えば、決定部76は、車両AAの軸重情報に基づき、車両AAの軸重の総和を算出することにより、車両総重量を取得し、当該車両総重量に応じた所定の値を重み付け係数として決定してもよい。
【0053】
(動作)
第二実施形態の故障予知装置7の動作について説明する。
第二実施形態の動作は、以下のとおり
図3に示す第一実施形態と同様である。
【0054】
故障予知装置7の動作は、例えば、第一車両検知器10が車線LNを走行する車両AAを検知し、それに伴い、車種判別装置2が車両AAの車種を判別したタイミングで開始される。
まず、
図3に示すように、第一取得部71は、車種判別装置2から、車線LNを走行する車両AAの軸数を取得する(ST01:軸数を取得するステップ)。
ST01の実施に続いて、第二取得部72は、車種判別装置2から車両AAの車両情報を取得する(ST02:車両情報を取得するステップ)。第二実施形態において車両AAの車両情報は、車両AAの「軸重」である。
ST02の実施に続いて、決定部76は、取得した車両情報から重み付け係数を決定する(ST03:重み付け係数を決定するステップ)。第二実施形態において重み付け係数は、軸重に基づいて決定される。具体的には、例えば、決定部76は、軸重が“1000kg未満”の場合は0.8、“1000kg以上2000kg未満”の場合は1.0、“2000kg以上3000kg未満”の場合は1.1、“3000kg以上4000kg未満”の場合は1.3、及び“4000kg以上”の場合は1.5、と重み付け係数を決定する。
【0055】
ST03の実施に続いて、積算部77は、取得した車両AAの軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出する(ST04:積算値を算出するステップ)。
具体的には、例えば、No.1の車両AAの軸数が2であり、各軸重が2100kg、1900kgの場合は、積算部77は、一方の軸数1に対して、“2000kg以上3000kg未満””に応じて決定部76により決定された重み付け係数1.1を乗じた補正値1.1を算出する。更に、積算部77は、他方の軸数1に対して“1000kg以上2000kg未満””に応じて決定部76により決定された重み付け係数1.0を乗じた補正値1.0を算出した後、1.1+1.0=2.1の積算値を算出する。
【0056】
ST04の実施に続いて、判定部78は、積算値が所定の判定値以上である場合に、踏板6が劣化状態であるか否かを判定する(ST05:劣化状態を判定するステップ)。積算値が所定の判定値以上でない場合(ST05で「No」の場合)、ST01の実施へ戻り、新たな軸数を取得する。一方、積算値が所定の判定値以上である場合(ST05で「Yes」の場合)、通知部79は、踏板6が劣化状態である旨の警告を通知する。
【0057】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、故障予知装置7は、第一実施形態と同様な作用及び効果を有する。
【0058】
(変形例)
例えば、以下に説明するような変形例が考えられる。
【0059】
<変形例1>
上述の各実施形態の一例では、車両の車両情報に基づいて重み付けを実施しているが、踏板6の外気温情報に基づいて更に重み付けを実施してもよい。
【0060】
変形例1に係る故障予知装置7について、図面(
図7及び
図8)を参照しながら説明する。
変形例1の故障予知装置7の構成は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態又は第二実施形態と同様である。
【0061】
図7に示すように、第一車両検知器10は踏板6近傍の外気温を計測する温度センサ12を備える。なお、温度センサ12は、踏板6近傍の外気温を計測している他の温度センサ(例えば料金所TLに設置している温度センサ)を使用してもよい。
【0062】
車種判別装置2は、温度センサ12により計測される外気温情報を取得する。
車種判別装置2は、取得した外気温情報を車線サーバ4に出力する。
【0063】
図8に示すように、故障予知装置7は、第三取得部73を備える。
第三取得部73は、車線サーバ4から、踏板6近傍の外気温に関する外気温情報を取得する。
【0064】
記録処理部75は、各車両AAが料金所TLに到来する度に、取得されるナンバープレート情報、識別情報、車種、車両総重量、軸重情報、及び外気温情報の各情報を互いに関連付けて記録する。
【0065】
決定部76は、車両情報に基づく重み付け係数を決定すると共に、取得した外気温情報に基づく係数を決定する。
例えば、決定部76は、外気温が“20℃未満”の場合は1.0、“20℃以上”の場合は1.05、と外気温情報に基づく係数を決定してもよい。
例えば、決定部76は、車両情報に基づく重み付け係数に対して、外気温情報に基づく係数を乗じて、重み付け係数を決定してもよい。
【0066】
例えば、積算部77は、決定部76が決定した重み付け係数に基づき算出した補正値に対して、決定部76が決定した外気温情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算してもよい。
【0067】
(動作)
図9に示すように、変形例1の故障予知装置7の動作は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態又は第二実施形態と同様である。
【0068】
故障予知装置7の動作は、例えば、第一車両検知器10が車線LNを走行する車両AAを検知し、それに伴い、車種判別装置2が車両AAの車種を判別したタイミングで開始される。
ST02の実施に続いて、第三取得部73は、車線サーバ4から踏板6の外気温に関する外気温情報を取得する(ST02A:外気温情報を取得するステップ)。
ST02Aの実施に続いて、決定部76は、取得した車両情報から重み付け係数を決定すると共に、取得した外気温情報に基づく係数を決定する(ST03:重み付け係数を決定するステップ)。
具体的には、例えば、決定部は、外気温が“20℃未満”の場合は1.0、“20℃以上”の場合は1.05、と外気温情報に基づく係数を決定する。
ST03の実施に続いて、積算部77は、取得した車両AAの軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出し、算出した補正値に対して外気温情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する。
【0069】
なお、上述した変形例1に係る故障予知装置7の動作(
図9)は一例であり、同等の目的が達成できる範囲内で、処理ステップの順番や判定基準を変更可能である。例えば、第一取得部、第二取得部、及び第三取得部に関するステップ(ステップST01、ステップST02、及びステップST02A等)は、相互に入れ替え可能である。
【0070】
(作用及び効果)
本変形例の一例によれば、故障予知装置7は、車両AAの軸数に対して、車両情報に応じた重み付け係数を乗じた補正値を算出し、算出した補正値に対して外気温情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
これにより、本変形例の故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と、車両重量と、外気温とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0071】
<変形例2>
上述の各実施形態の一例では、車両の車両情報に基づいて重み付けを実施しているが、車両の速度に関連する速度関連情報に基づいて更に重み付けを実施してもよい。
【0072】
変形例2に係る故障予知装置7について、図面を参照しながら説明する。
変形例2の故障予知装置7の構成は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態又は第二実施形態と同様である。
【0073】
図7に示すように、車種判別装置2は、第二車両検知器13を更に有する。
【0074】
(第二車両検知器の構成)
第二車両検知器は、車線LNの進入検知位置XAから車線方向(±X方向)に所定の距離ΔDsだけ下流側の通過検知位置XBに離れて設置される。
変形例2に係る第二車両検知器13は、第一車両検知器10と同様の機器構成を有している。
第二車両検知器13は、第一車両検知器10の車両検知信号と組み合わせることにより、所定の距離ΔDs間における車両AAの速度(通過速度)を検出する。
車線サーバ4は、第二車両検知器からの車両検知信号と第一車両検知器10からの車両検知信号との時間差と、既知の距離ΔDsとを用いて、車両AAの速度を算出する。
例えば、車線サーバ4は、ΔDsが10m、第一車両検知器からの車両検知信号の時間が14時30分00秒、第二車両検知器からの車両検知信号の時間が14時30分02秒であった場合、車線セーバ4は、10m/2s=5m/s=18km/hと算出する。各車線サーバ4は、各車両AAの速度に関連する速度関連情報を上位装置9に出力する。
【0075】
図10に示すように、故障予知装置7は、第四取得部74を備える。
第四取得部74は、車線サーバ4から、速度に関連する速度関連情報を取得する。
【0076】
記録処理部75は、各車両AAが料金所TLに到来する度に、取得されるナンバープレート情報、識別情報、車種、車両総重量、軸重情報、及び速度関連情報の各情報を互いに関連付けて記録する。
【0077】
決定部76は、車両情報に基づく重み付け係数を決定すると共に、取得した速度関連情報に基づく係数を決定する。
例えば、決定部は、速度が“時速20km未満”の場合は1.0、“時速20km以上時速60km未満”の場合は1.05、“時速60km以上”の場合は1.1と速度関連情報に基づく係数を決定する。
【0078】
例えば、積算部77は、決定部76が決定した重み付け係数に基づき算出した補正値に対して、決定部76が決定した速度関連情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算してもよい。
【0079】
(動作)
図11に示すように、変形例2の故障予知装置7の動作は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態又は第二実施形態と同様である。
【0080】
故障予知装置7の動作は、例えば、第一車両検知器10が車線LNを走行する車両AAを検知し、それに伴い、車種判別装置2が車両AAの車種を判別したタイミングで開始される。
ST02の実施に続いて、第四取得部74は、車線サーバ4から速度関連情報を取得する(ST02B):速度関連情報を取得するステップ)。
なお、車線サーバ4は、第二車両検知器からの車両検知信号と第一車両検知器10からの車両検知信号との時間差と、既知の距離ΔDsとを用いて、車両AAの速度を算出する。具体的には、例えば、ΔDsが10m、第一車両検知器からの車両検知信号の時間が14時30分00秒、第二車両検知器からの車両検知信号の時間が14時30分02秒の場合、車線セーバ4は、10m/2s=5m/s=18km/hと算出する。
【0081】
ST02Bの実施に続いて、決定部76は、取得した車両情報から重み付け係数を決定すると共に、取得した速度関連情報に基づく係数を決定する(ST03:重み付け係数を決定するステップ)。
具体的には、例えば、決定部76は、速度が“時速20km未満”の場合は1.0、“時速20km以上時速60km未満”の場合は1.05、“時速60km以上”の場合は1.1と速度関連情報に基づく係数を決定する。上述の時速が18kmの場合は、決定部76は、速度が“時速20km未満”であるとして、速度関連情報に基づく係数を1.0に決定する。
ST03の実施に続いて、積算部77は、取得した車両AAの軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出し、算出した補正値に対して速度関連情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する。
【0082】
なお、上述した変形例2に係る故障予知装置7の動作(
図11)は一例であり、同等の目的が達成できる範囲内で、処理ステップの順番や判定基準を変更可能である。例えば、第一取得部、第二取得部、及び第四取得部に関するステップ(ステップST01、ステップST02、及びステップST02B等)は、相互に入れ替え可能である。
【0083】
(作用及び効果)
本変形例の一例によれば、故障予知装置7は、車両AAの軸数に対して、車両重量に応じた重み付け係数を乗じた補正値を算出し、算出した補正値に対して速度関連情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
これにより、本変形例の故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と、車両重量と、速度とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0084】
<他の変形例>
上述の各実施形態の一例では、車種判別機2が車種を特定しているが、車種を特定できるなら、どのように車種を特定してもよい。例えば、車線サーバ4が車種を特定してもよい。
【0085】
上述の各実施形態の一例では、故障予知装置7は、電子式料金収受システムに設けられているが、どのようなシステムに設けられてもよい。
変形例として、故障予知装置7は、料金自動収受機を備えるシステムに設けられてもよい。
他の変形例として、故障予知装置7は、収受員により料金を収受する有人の料金所に設けられてもよい。
【0086】
上述の各実施形態の一例では、故障予知装置7は、踏板6や車線サーバ4とは別に設けられているが、どのような態様で設けられてもよい。変形例として、故障予知装置7は、踏板6に設けられてもよいし、更に別の変形例として、故障予知装置7は、車線サーバ4に設けられてもよい。
【0087】
上述の各実施形態の一例では、故障予知装置7は、アイランドISに敷設されるセパレートレーン方式の料金収受システム1に適用されているが、変形例として、故障予知装置7は、フリーフロー方式の料金収受システムに適用されてもよい。
【0088】
<コンピュータのハードウェア構成>
なお、上述の各実施形態においては、故障予知装置7の各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをマイコンといったコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0089】
上述の各実施形態において、故障予知装置7の各種機能を実現するためのプログラムを実行させるコンピュータのハードウェア構成の例について説明する。
【0090】
図12に示すように、故障予知装置7が備えるコンピュータ80は、CPU801と、メモリ802と、記憶/再生装置803と、Input Output Interface(以下、「IO I/F」という。)804と、通信Interface(以下、「通信I/F」という。)805と、を備える。
【0091】
メモリ802は、故障予知装置7で実行されるプログラムで使用されるデータ等を一時的に記憶するRandom Access Memory(以下、「RAM」という。)等の媒体である。
記憶/再生装置803は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置である。
IO I/F804は、故障予知装置7と他の装置との間で情報等の入出力を行うためのインタフェースである。
通信I/F805は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、他の装置との間で通信を行うインタフェースである。
【0092】
<その他の実施形態>
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれる。
【0093】
<付記>
各実施形態に記載の故障予知装置7、料金収受システム、故障予知方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0094】
(1)第1の態様に係る故障予知装置7は、車線の踏板6を走行する車両AAの軸数を取得する第一取得部71と、車両AAの車両情報を取得する第二取得部72と、取得した車両情報から重み付け係数を決定する決定部76と、取得した車両AAの軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出する、積算部77と、積算値が所定の判定値以上である場合に踏板6が劣化状態であると判定する、判定部78と、を備える。
【0095】
本態様によれば、故障予知装置7は、車両AAの軸数に対して、車両重量に応じた重み付け係数を乗じた補正値を積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
このため、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
したがって、故障予知装置7は、踏板6の故障を予知できる。
【0096】
(2)第2の態様に係る故障予知装置7は、踏板6が劣化状態であると判定された場合に、警告を通知する通知部79をさらに備える(1)の故障予知装置7である。
【0097】
本態様によれば、故障予知装置7は、踏板6が劣化状態であると判定された場合に、警告を通知することができる。
【0098】
(3)第3の態様に係る故障予知装置7は、車両情報は、車両の車種である、(1)又は(2)の故障予知装置7である。
【0099】
本態様によれば、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車種に応じた車両重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0100】
(4)第4の態様に係る故障予知装置7は、重み付け係数が、各車種の車両総重量に応じた所定の値である、(3)に記載の故障予知装置7である。
【0101】
本態様によれば、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両総重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0102】
(5)第5の態様に係る故障予知装置7は、車両情報が、踏板6が備える軸重計11により計測された軸重である、(1)又は(2)に記載の故障予知装置7である。
【0103】
本態様によれば、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と軸重とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0104】
(6)第6の態様に係る故障予知装置7は、踏板6の外気温情報を取得する第三取得部を、さらに備え、積算部77は、算出した補正値に対して外気温情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する、(1)から(5)のいずれかの故障予知装置7である。
【0105】
本態様によれば、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と、車両重量と、外気温情報とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0106】
(7)第7の態様に係る故障予知装置7は、車両AAの速度に関連する速度関連情報を取得する第四取得部74を、さらに備え、積算部77は、算出した補正値に対して速度関連情報に基づく係数を乗じて更に重み付けした後に積算する、(1)から(6)のいずれかに記載の故障予知装置7である。
【0107】
本態様によれば、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と、車両重量と、速度とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
【0108】
(8)第8の態様に係る料金収受システム1は、(1)から(7)のいずれかの故障予知装置7と、踏板6と、を備える。
【0109】
本態様によれば、料金収受システム1は、車両AAの軸数に対して、車両重量に応じた重み付け係数を乗じた補正値を積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
このため、料金収受システム1は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
したがって、料金収受システム1は、踏板6の故障を予知できる。
【0110】
(9)第9の態様に係る故障予知方法は、車線の踏板6を走行する車両AAの軸数を取得するステップと、車両AAの車両情報を取得するステップと、取得した車両情報から重み付け係数を決定するステップと、取得した車両の軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出するステップと、積算値が所定の判定値以上である場合に踏板6が劣化状態であると判定するステップと、を含む。
【0111】
本態様によれば、故障予知方法は、車両AAの軸数に対して、車両重量に応じた重み付け係数を乗じた補正値を積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
このため、故障予知方法は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
したがって、故障予知方法は、踏板6の故障を予知できる。
【0112】
(10)第10の態様に係るプログラムは、車線の踏板6を走行する車両AAの軸数を取得するステップと、車両AAの車両情報を取得するステップと、取得した車両情報から重み付け係数を決定するステップと、取得した車両の軸数に対して、決定した重み付け係数を乗じた補正値を算出した後、補正値を積算して積算値を算出するステップと、積算値が所定の判定値以上である場合に踏板6が劣化状態であると判定するステップと、を実行させる。
【0113】
本態様によれば、故障予知装置7は、車両AAの軸数に対して、車両重量に応じた重み付け係数を乗じた補正値を積算し、この積算値に基づいて踏板6が劣化状態であるか否かを判定できる。
このため、故障予知装置7は、劣化状態を示す指標として通過軸数と車両重量とを含み、通過軸数のみを指標とした装置と比較して故障予知精度が高く、踏板6の故障時期をより正確に予知することができる。
したがって、故障予知装置7は、踏板6の故障を予知できる。
【符号の説明】
【0114】
1 料金収受システム
2 車種判別装置
3 通信アンテナ
4 車線サーバ
5 ナンバープレート読取装置
6 踏板
7 故障予知装置
9 上位装置
10 第一車両検知器
11 軸重計
12 温度センサ
13 第二車両検知器
21 投受光器
21A 投光器
21B 受光器
71 第一取得部
72 第二取得部
73 第三取得部
74 第四取得部
75 記録処理部
76 決定部
77 積算部
78 判定部
79 通知部
80 コンピュータ
801 CPU
792 メモリ
793 記憶/再生装置
794 IO I/F
795 通信I/F
AA 車両
DB データベース
GN ガントリ
IS アイランド
LN 車線
MN 監視装置
R 事務所
TL 料金所XA 進入検知位置
XB 通過検知位置
α 車載器