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特開2025-16248長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016248
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20250124BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
F16L5/00 G
F16L59/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119390
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】池場 賢次
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB25
3H036AE13
(57)【要約】
【課題】充填材を通孔内に十分に充填することができる、長尺材貫通部の閉塞装置を提供する。
【解決手段】閉塞装置4は、断熱壁1の貫通孔1aを長尺材2が貫通する長尺材貫通部3を閉塞するために、第1の断熱ブロック体5と第2の断熱ブロック体6とを備える。第1の断熱ブロック体5は、第1の通孔5aを備え、第1の通孔5aの一端側5bが貫通孔1aに繋がるように、断熱壁1に固定される。第2の断熱ブロック体6は、第2の通孔6aを備え、第2の通孔6aの一端側6bが第1の通孔5aの他端側5dに繋がるように、第1の断熱ブロック体5に接合される。そこで、第1の断熱ブロック体5を断熱壁1に固定して、長尺材2が通る第1の通孔5a内に充填材7a(7)を充填する。その後、第2の断熱ブロック体6を、第1の断熱ブロック体5に接合して、長尺材2が通る第2の通孔6a内に、充填材7b(7)を充填する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁に形成された貫通孔を長尺材が貫通する長尺材貫通部を閉塞するための、閉塞装置であって、
断熱性能を有する第1の断熱ブロック体と、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体とを備え、
前記第1の断熱ブロック体は、前記長尺材が通過可能な大きさを有して貫通する第1の通孔と、前記第1の通孔の一端側が前記貫通孔に繋がるように、前記断熱壁の壁面に固定される固定面とを備え、
前記第2の断熱ブロック体は、前記長尺材が通過可能な大きさを有して貫通する第2の通孔と、前記第2の通孔の一端側が前記第1の通孔の他端側に繋がるように、前記第1の断熱ブロック体に接合される接合部とを備え、
前記第1の断熱ブロック体を前記断熱壁に固定した状態で、前記長尺材が通る前記第1の通孔を塞ぐように、前記第1の通孔の他端側から、前記第1の通孔の内面と前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填可能であり、
前記第2の断熱ブロック体を、前記充填材が充填された前記第1の断熱ブロック体に接合した状態で、前記長尺材が通る前記第2の通孔を塞ぐように、前記第2の通孔の他端側から、前記第2の通孔の内面と前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填可能である、長尺材貫通部の閉塞装置。
【請求項2】
前記第2の断熱ブロック体は、前記第2の通孔を縦に割る分割面によって分割された複数の分割体からなる、請求項1に記載の長尺材貫通部の閉塞装置。
【請求項3】
前記第2の断熱ブロック体は、前記接合部とは反対側に被接合部を有し、
その被接合部は、前記第2の断熱ブロック体と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体の接合部が接合可能に形成されて、その接合により、前記別の第2の断熱ブロック体の第2の通孔の一端側が、前記第2の断熱ブロック体の第2の通孔の他端側に繋がる、請求項2に記載の長尺材貫通部の閉塞装置。
【請求項4】
前記第1の断熱ブロック体は、前記第1の通孔を縦に割る分割面によって分割された複数の分割体からなる、請求項2に記載の長尺材貫通部の閉塞装置。
【請求項5】
前記第1の断熱ブロック体は、前記固定面から、前記第2の断熱ブロック体の接合部が接合される被接合部に向かって、その外形状が小さくなっており、
前記第2の断熱ブロック体は、前記第2の通孔の延びる方向から見て、その第2の断熱ブロック体を前記第1の断熱ブロック体に接合したときの前記固定面の外周の内側に収まっている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の長尺材貫通部の閉塞装置。
【請求項6】
断熱壁に形成された貫通孔を長尺材が貫通する長尺材貫通部を閉塞する、長尺材貫通部の閉塞方法であって、
貫通する第1の通孔を備えた、断熱性能を有する第1の断熱ブロック体を、前記第1の通孔に前記長尺材が通された状態で、前記第1の通孔の一端側が前記貫通孔に繋がるように、前記断熱壁の壁面に固定し、
前記第1の通孔の他端側から、前記第1の通孔の内面とその第1の通孔に通された前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填して、前記第1の通孔を塞ぎ、
貫通する第2の通孔を備えた、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体を、前記第2の通孔に前記長尺材が通された状態で、前記第2の通孔の一端側が前記第1の通孔の他端側に繋がるように、前記第1の断熱ブロック体に接合し、
前記第2の通孔の他端側から、前記第2の通孔の内面とその第2の通孔に通された前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填して、前記第2の通孔を塞ぐ、長尺材貫通部の閉塞方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断熱壁における、長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線・配管材の断熱壁貫通配設構造があった(例えば、特許文献1参照)。この断熱壁貫通配設構造は、図16に示すように、通孔13aが形成された断熱ブロック体13を備えていた。そして、断熱ブロック体13は、その通孔13aが、断熱壁11の貫通孔11aと連通するようにして、断熱壁11の一方側の面11bに配置され、配線・配管材12が、貫通孔11aと通孔13aを通るように配設された。そこで、配線・配管材12が通された通孔13aを塞ぐように、通孔13aの内面と配線・配管材12との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材14が充填された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-24019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の断熱壁貫通配設構造にあっては、通孔13aの内面と配線・配管材12との間の空隙に充填する充填材14が、奥方までしっかりと充填されない虞があった。特に、空隙が小さいと、奥方に到達する前に、充填材14が配線・配管材12の外面や通孔13aの内面に付着して固まってしまうことがあり、充填材14を通孔13a内に十分に充填することができない虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、充填材を通孔内に十分に充填することができる、長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置は、断熱壁に形成された貫通孔を長尺材が貫通する長尺材貫通部を閉塞するための、閉塞装置である。この閉塞装置は、断熱性能を有する第1の断熱ブロック体と、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体とを備える。ここで、前記第1の断熱ブロック体は、前記長尺材が通過可能な大きさを有して貫通する第1の通孔と、前記第1の通孔の一端側が前記貫通孔に繋がるように、前記断熱壁の壁面に固定される固定面とを備える。前記第2の断熱ブロック体は、前記長尺材が通過可能な大きさを有して貫通する第2の通孔と、前記第2の通孔の一端側が前記第1の通孔の他端側に繋がるように、前記第1の断熱ブロック体に接合される接合部とを備える。そこで、前記第1の断熱ブロック体を前記断熱壁に固定した状態で、前記長尺材が通る前記第1の通孔を塞ぐように、前記第1の通孔の他端側から、前記第1の通孔の内面と前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填可能である。そして、前記第2の断熱ブロック体を、前記充填材が充填された前記第1の断熱ブロック体に接合した状態で、前記長尺材が通る前記第2の通孔を塞ぐように、前記第2の通孔の他端側から、前記第2の通孔の内面と前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填可能である。
【0007】
この閉塞装置によると、閉塞装置は、断熱壁の壁面に固定される第1の断熱ブロック体と、その第1の断熱ブロック体に接合される第2の断熱ブロック体とを備える。第1の断熱ブロック体は、第1の通孔を備え、第2の断熱ブロック体は、第2の通孔を備えており、断熱壁の貫通孔を貫通する長尺材が、第1の通孔と第2の通孔とに通される。そして、第1の通孔と第2の通孔とは、長尺材との間の空隙に充填される充填材によって塞がれる。すなわち、閉塞装置として、長尺材に沿って並ぶ第1の断熱ブロック体と第2の断熱ブロック体とが用いられ、それら断熱ブロック体と充填材により、断熱壁の長尺材貫通部が閉塞される。そこで、第1の断熱ブロック体を配置して第1の通孔に充填材を充填し、その後、第2の断熱ブロック体を配置して第2の通孔に充填材を充填するというように、充填材を段階的に充填することができ、これによって、その充填材を通孔内に十分に充填することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置は、請求項1に記載の長尺材貫通部の閉塞装置において、前記第2の断熱ブロック体は、前記第2の通孔を縦に割る分割面によって分割された複数の分割体からなる。これにより、長尺材に対し、第2の断熱ブロック体を側方から配置することができる。このため、第1の断熱ブロック体とか長尺材を設置した後であっても、第2の断熱ブロック体を設置することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置は、請求項2に記載の長尺材貫通部の閉塞装置において、前記第2の断熱ブロック体は、前記接合部とは反対側に被接合部を有する。その被接合部は、前記第2の断熱ブロック体と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体の接合部が接合可能に形成されて、その接合により、前記別の第2の断熱ブロック体の第2の通孔の一端側が、前記第2の断熱ブロック体の第2の通孔の他端側に繋がる。これにより、第2の断熱ブロック体と別の第2の断熱ブロック体を長尺材に沿って連続接続することができ、断熱範囲を拡張することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置は、請求項2に記載の長尺材貫通部の閉塞装置において、前記第1の断熱ブロック体は、前記第1の通孔を縦に割る分割面によって分割された複数の分割体からなる。これにより、長尺材に対し、第1の断熱ブロック体を側方から配置することができる。このため、長尺材を設置した後であっても、第1の断熱ブロック体を設置することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の長尺材貫通部の閉塞装置において、前記第1の断熱ブロック体は、前記固定面から、前記第2の断熱ブロック体の接合部が接合される被接合部に向かって、その外形状が小さくなっている。そして、前記第2の断熱ブロック体は、前記第2の通孔の延びる方向から見て、その第2の断熱ブロック体を前記第1の断熱ブロック体に接合したときの前記固定面の外周の内側に収まっている。これにより、閉塞装置を大型化することなく、長尺材貫通部の断熱を効率よく行うことができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る長尺材貫通部の閉塞方法は、断熱壁に形成された貫通孔を長尺材が貫通する長尺材貫通部を閉塞する、長尺材貫通部の閉塞方法である。この閉塞方法は、はじめに、貫通する第1の通孔を備えた、断熱性能を有する第1の断熱ブロック体を、前記第1の通孔に前記長尺材が通された状態で、前記第1の通孔の一端側が前記貫通孔に繋がるように、前記断熱壁の壁面に固定し、前記第1の通孔の他端側から、前記第1の通孔の内面とその第1の通孔に通された前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填して、前記第1の通孔を塞ぐ。その後、貫通する第2の通孔を備えた、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体を、前記第2の通孔に前記長尺材が通された状態で、前記第2の通孔の一端側が前記第1の通孔の他端側に繋がるように、前記第1の断熱ブロック体に接合し、前記第2の通孔の他端側から、前記第2の通孔の内面とその第2の通孔に通された前記長尺材との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材を充填して、前記第2の通孔を塞ぐ。
【0013】
この閉塞方法によると、第1の断熱ブロック体を配置して第1の通孔に充填材を充填し、その後、第2の断熱ブロック体を配置して第2の通孔に充填材を充填するというように、充填材を段階的に充填することで、その充填材を通孔内に十分に充填することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る長尺材貫通部の閉塞装置、および長尺材貫通部の閉塞方法によれば、長尺材に沿って並ぶ第1の断熱ブロック体と第2の断熱ブロック体とを用いて、充填材を段階的に充填することで、その充填材を通孔内に十分に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施の形態の、断熱壁に閉塞装置を設置した斜視図である。
図2】同じく、図1における縦断面図である。
図3】同じく、断熱壁に第1の断熱ブロック体を固定して、第1の通孔内に充填材を充填した縦断面図である。
図4】同じく、図3に加えて、第1の断熱ブロック体に第2の断熱ブロック体を接合して、第2の通孔内に充填材を充填した縦断面図である。
図5】同じく、第1の断熱ブロック体の斜視図である。
図6】同じく、正面図である。
図7】同じく、図6におけるA-A線による断面図である。
図8】同じく、第1の断熱ブロック体を構成する分割体の斜視図である。
図9】同じく、正面図である。
図10】同じく、第2の断熱ブロック体の斜視図である。
図11】同じく、正面図である。
図12】同じく、図11におけるB-B線による断面図である。
図13】同じく、第2の断熱ブロック体を構成する分割体の斜視図である。
図14】同じく、正面図である。
図15】この発明の他の実施の形態の、閉塞装置の縦断面模式図である。
図16】従来の断熱壁貫通配設構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図14は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、断熱壁を示す。1aは、前記断熱壁1に形成された貫通孔を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)等の長尺材を示す。3は、前記貫通孔1aを前記長尺材2が貫通する長尺材貫通部を示す。4は、前記長尺材貫通部3を閉塞(詳しくは、断熱壁1の一方の壁面において閉塞)するための閉塞装置を示す。
【0018】
長尺材貫通部3の閉塞装置4は、断熱性能を有する第1の断熱ブロック体5と、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体6とを備える。第1の断熱ブロック体5は、前記長尺材2が通過可能な大きさを有して貫通する第1の通孔5aと、第1の通孔5aの一端側5bが断熱壁1の貫通孔1aに繋がるように、断熱壁1の壁面1bに固定される固定面5cとを備える。そして、第2の断熱ブロック体6は、前記長尺材2が通過可能な大きさを有して貫通する第2の通孔6aと、第2の通孔6aの一端側6bが第1の通孔5aの他端側5dに繋がるように、第1の断熱ブロック体5に接合される接合部6cとを備える。
【0019】
そこで、第1の断熱ブロック体5を断熱壁1(詳しくは、壁面1b)に固定した状態で、長尺材2が通る第1の通孔5aを塞ぐように、第1の通孔5aの他端側5dから、第1の通孔5aの内面と長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7a(7)を充填可能である。そして、第2の断熱ブロック体6を、充填材7a(7)が充填された第1の断熱ブロック体5に接合した状態で、長尺材2が通る第2の通孔6aを塞ぐように、第2の通孔6aの他端側6dから、第2の通孔6aの内面と長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7b(7)を充填可能である。
【0020】
詳細には、第1の断熱ブロック体5は、第1の通孔5aを縦に割る分割面5eによって分割された複数の分割体5f、5fからなる。同様に、第2の断熱ブロック体6は、第2の通孔6aを縦に割る分割面6eによって分割された複数の分割体6f、6fからなる。
【0021】
そして、第2の断熱ブロック体6は、前記接合部6cとは反対側に被接合部6gを有する。この被接合部6gは、第2の断熱ブロック体6と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体601(6)の接合部6cが接合可能に形成されて、その接合により、別の第2の断熱ブロック体601(6)の第2の通孔6aの一端側6bが、第2の断熱ブロック体6の第2の通孔6aの他端側6dに繋がる。
【0022】
より詳細には、第1の断熱ブロック体5は、固定面5cから、第2の断熱ブロック体6が接合される被接合部5gに向かって、その外形状が小さくなっている。そして、第2の断熱ブロック体6は、第2の通孔6aの延びる方向からみて、その第2の断熱ブロック体6を第1の断熱ブロック体5に接合したときの前記固定面5cの外周の内側に収まるように形成されている。
【0023】
具体的には、断熱壁1は、例えば、発泡ポリスチレン等からなる断熱材層の両面に金属板等の板材(図示せず)を配したサンドイッチ構造をしている。この断熱壁1は、例えば、冷凍設備とか冷蔵設備とかの、縦壁とか天井等を形成するものであって、垂直に配置されたり、水平に配置されたり、傾斜して配置されたりする。そして、充填材7となる発泡性断熱材は、例えば、発泡ウレタンからなる。
【0024】
第1の断熱ブロック体5は、例えば、発泡スチロールからなる。この第1の断熱ブロック体5は、半球状に形成され、その半球の平面部が、前記固定面5cとなる。そして、前記第1の通孔5aは、固定面5c側の一端に拡張部(拡径部)を備え、かつ、主体部の内壁が筒状に延びており、第1の断熱ブロック体5は、その第1の通孔5aを囲うようにして中がほぼ詰まったブロック体となっている。詳細には、第1の通孔5aは、固定面5cの中心から前記半球の球面部5hの上部側に向かってあけられる(詳しくは、第1の通孔5aは、固定面5cの中心からその固定面5cと垂直となる方向にあけられて、固定面5c側が、前記一端側5bとなり、球面部5hの上部側が、前記他端側5dとなる)。そこで、第1の通孔5aの他端側5dから一端側5bに至るまで、第1の通孔5aの内面と長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7a(7)を充填可能となっている。また、第1の断熱ブロック体5は、前記半球の球面部5hの上部に、外方に突出する突出部5i(例えば、掴み部となる突出部)が設けられる。詳細には、この突出部5iは、平面視四角形状に形成されて、前記半球の球面部5hの上部において第1の通孔5aを囲むように設けられる。そこで、この突出部5iとその突出部5iを囲む周辺が、前記被接合部5gとなる。
【0025】
この第1の断熱ブロック体5(詳しくは、固定面5c)は、コーキング材等の接着材8aにより、断熱壁1の壁面1bに固定される。図示実施の形態においては、固定面5cには、第1の通孔5aを取り囲むように溝5jが設けられており、この溝5jを埋めるように、コーキング材等の接着材8aが塗布される。
【0026】
また、第1の断熱ブロック体5は、前述したように、分割面5eによって分割された複数の(図示実施の形態においては、二つの)分割体5f、5fからなる。ここで、二つの分割体5f、5fは、同一形状であって、その分割面5eに、凹部5kと凸部5mとを備え、両分割体5f、5fの互いの凹部5kと凸部5mが嵌合することで、両分割体5f、5fは、互いに位置合わせされる。そして、これら分割体5f、5fは、コーキング材等の接着材(図示せず)により、互いに固定される。図示実施の形態においては、分割面5eには、溝5nが設けられており、この溝5nを埋めるように、コーキング材等の接着材が塗布される。
【0027】
第2の断熱ブロック体6は、第1の断熱ブロック体5と同様に、例えば、発泡スチロールからなる。この第2の断熱ブロック体6は、円柱状に形成され、その軸心部分に、前記第2の通孔6aが設けられる。この通孔6aは、その内壁が筒状に延びており、第2の断熱ブロック体6は、その第2の通孔6aを囲うようにして中がほぼ詰まったブロック体となっている。そこで、第2の通孔6aの他端側6dから一端側6bに至るまで、第2の通孔6aの内面と長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7b(7)を充填可能となっている。そして、第2の断熱ブロック体6は、その一方側が、前記接合部6cとなり、他方側が、前記被接合部6gとなる。そこで、接合部6cには、第1の断熱ブロック体5の突出部5iが嵌まる凹設部6hが設けられる。そして、第2の断熱ブロック体6の被接合部6gは、第1の断熱ブロック体5の被接合部5gと同一形状に形成されて、その被係合部6gに、外方に突出する突出部6iを有する。
【0028】
この第2の断熱ブロック体6(詳しくは、接合部6c)は、コーキング材等の接着材8cにより、第1の断熱ブロック体5(詳しくは、被接合部5g)に接合される。ここで、接合部6cには、凹設部6hを取り囲むように溝6jが設けられており、この溝6jを埋めるように、コーキング材等の接着材8cが塗布される。
【0029】
図示実施の形態においては、閉塞装置4は、第2の断熱ブロック体6と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体601(6)を備えており、この別の第2の断熱ブロック体601(詳しくは、接合部6c)は、溝6jを埋めるコーキング材等の接着材8dにより第2の断熱ブロック体6(詳しくは、被接合部6g)に接合される。
【0030】
また、第2の断熱ブロック体6は、前述したように、分割面6eによって分割された複数の(図示実施の形態においては、二つの)分割体6f、6fからなる。ここで、二つの分割体6f、6fは、同一形状であって、その分割面6eに、凹部6kと凸部6mとを備え、両分割体6f、6fの互いの凹部6kと凸部6mが嵌合することで、両分割体6f、6fは、互いに位置合わせされる。そして、これら分割体6f、6fは、コーキング材等の接着材(図示せず)により、互いに固定される。図示実施の形態においては、分割面6eには、溝6nが設けられており、この溝6nを埋めるように、コーキング材等の接着材が塗布される。
【0031】
次に、長尺材貫通部3の閉塞方法について説明する。この閉塞方法は、前記長尺材貫通部3を閉塞する、長尺材貫通部3の閉塞方法であって、はじめに、貫通する第1の通孔5aを備えた、断熱性能を有する第1の断熱ブロック体5を、第1の通孔5aに長尺材2が通された状態で、第1の通孔5aの一端側5bが断熱壁1の貫通孔1aに繋がるように、断熱壁1の壁面1bに固定し、第1の通孔5aの他端側5dから、第1の通孔5aの内面とその第1の通孔5aに通された長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7a(7)を充填して、第1の通孔5aを塞ぐ(図3参照)。その後、貫通する第2の通孔6aを備えた、断熱性能を有する第2の断熱ブロック体6を、第2の通孔6aに長尺材2が通された状態で、第2の通孔6aの一端側6bが第1の通孔5aの他端側5dに繋がるように、第1の断熱ブロック体5に接合し、第2の通孔6aの他端側6dから、第2の通孔6aの内面とその第2の通孔6aに通された長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7b(7)を充填して、第2の通孔6aを塞ぐ(図4参照)。このとき、第1の断熱ブロック体5の第1の通孔5aと、第2の断熱ブロック体6の第2の通孔6aとは、一直線上に位置する。
【0032】
そして、図示実施の形態においては、さらに、第2の断熱ブロック体6と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体601(6)を、別の第2の断熱ブロック体601(6)の第2の通孔6aに長尺材2が通された状態で、その第2の通孔6aの一端側6bが第2の断熱ブロック体6の第2の通孔6aの他端側6dに繋がるように、第2の断熱ブロック体6に接合し、別の第2の断熱ブロック体601(6)の第2の通孔6aの他端側6dから、その第2の通孔6aの内面とその第2の通孔6aに通された長尺材2との間の空隙に、発泡性断熱材からなる充填材7b(7)を充填して、その第2の通孔6aを塞ぐ(図1図2参照)。このとき、第2の断熱ブロック体6の第2の通孔6aと、別の第2の断熱ブロック体601(6)の第2の通孔6aとは、一直線上に位置し、これにより、第1の通孔5aと、二つの第2の通孔6a、6aは、一直線上に位置する。
【0033】
次いで、以上の構成からなる長尺材貫通部3の閉塞装置4、および長尺材貫通部3の閉塞方法の作用効果について説明する。閉塞装置4は、断熱壁1の壁面1bに固定される第1の断熱ブロック体5と、その第1の断熱ブロック体5に接合される第2の断熱ブロック体6と(図示実施の形態においては、さらに、別の第2の断熱ブロック体601(6)と)を備える。第1の断熱ブロック体5は、第1の通孔5aを備え、第2の断熱ブロック体6(図示実施の形態においては、さらに、別の第2の断熱ブロック体601(6))は、第2の通孔6aを備えており、断熱壁1の貫通孔1aを貫通する長尺材2が、第1の通孔5aと第2の通孔6aとに通される。そして、第1の通孔5aと第2の通孔6aとは、長尺材2との間の空隙に充填される充填材7によって塞がれる。すなわち、閉塞装置4として、長尺材2に沿って並ぶ第1の断熱ブロック体5と第2の断熱ブロック体6と(図示実施の形態においては、さらに、別の第2の断熱ブロック体601(6)と)が用いられ、それら断熱ブロック体5、6と充填材7により、断熱壁1の長尺材貫通部3が閉塞される。
【0034】
そこで、第1の断熱ブロック体5を配置して第1の通孔5aに充填材7a(7)を充填し、その後、第2の断熱ブロック体6を配置して第2の通孔6aに充填材7b(7)を充填する(図示実施の形態においては、さらに、別の第2の断熱ブロック体601(6)を配置して第2の通孔6aに充填材7b(7)を充填する)というように、発泡性断熱材からなる充填材7を段階的に充填することができ、これによって、その充填材7を通孔5a、6a内に十分に充填することができる。すなわち、長尺材2に沿って並ぶ第1の断熱ブロック体5と第2の断熱ブロック体6と(図示実施の形態においては、さらに、別の第2の断熱ブロック体601(6)と)を用いて(つまり、閉塞装置4を、長尺材2に沿って並ぶ複数の断熱ブロック体5、6に分割して)、充填材7を段階的に充填し、これにより、発泡性断熱材からなる充填材7の流動性を高めたり、充填圧を上げたりすることもなく、その充填材7を通孔5a、6a内に十分に充填することができる(つまり、充填不足を生じさせない)。言い換えれば、閉塞装置4は、第1の断熱ブロック体5と第2の断熱ブロック体6の各通孔5a、5bの合算長によって、充填材7の必要充填長が確保されるものであり、その合算長が、複数の断熱ブロック体5、6によって分割されることで、充填材7の充填不足が生じないようにしている。
【0035】
また、このように、長尺材2に沿って充填材7を段階的に充填することができるため、通孔5a、6aの内面と長尺材2との間の空隙を少なくでき、発泡性断熱材からなる充填材7の使用量が少なくて済み安価である。また、長尺材2の熱伝導が良いなどにより、一つの断熱ブロック体(第1の断熱ブロック体5)では十分な断熱効果を得られない場合であっても、他の断熱ブロック体(第2の断熱ブロック体6)を接合することで断熱効果を上げることができる。
【0036】
また、閉塞装置4は、第1の断熱ブロック体5と第2の断熱ブロック体6の他に、第2の断熱ブロック体6と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体601(6)を備えている。そこで、第1の断熱ブロック体5に対し、第2の断熱ブロック体6と別の第2の断熱ブロック体601(6)を(つまり、第2の断熱ブロック体6を二つ)長尺材2に沿って連続接続することができ、断熱範囲を拡張することができる。
【0037】
また、第1の断熱ブロック体5は、第1の通孔5aを縦に割る分割面5eによって分割された複数の(図示実施の形態においては、二つの)分割体5f、5fからなる。これにより、長尺材2に対し、第1の断熱ブロック体5(詳しくは、分割体5f、5f)を側方から配置することができる。このため、長尺材2を設置した後であっても、第1の断熱ブロック体5を設置することができる。同様に、第2の断熱ブロック体6は、第2の通孔6aを縦に割る分割面6eによって分割された複数の(図示実施の形態においては、二つの)分割体6f、6fからなる。これにより、長尺材2に対し、第2の断熱ブロック体6(詳しくは、分割体6f、6f)を側方から配置することができる。このため、第1の断熱ブロック体5とか長尺材2を設置した後であっても、第2の断熱ブロック体6を設置することができる。
【0038】
また、閉塞装置4において、第1の断熱ブロック体5は、固定面5cから被接合部5gに向かって、その外形状が小さくなっており、第2の断熱ブロック体6(図示実施の形態においては、加えて、別の第2の断熱ブロック体601(6))は、第2の通孔6aの延びる方向から見て、その第2の断熱ブロック体6を第1の断熱ブロック体5に接合したときの固定面5cの外周の内側に収まっている。これにより、閉塞装置4を大型化することなく、長尺材貫通部3の断熱を効率よく行うことができる。つまり、貫通孔1aに対する断熱を第1の断熱ブロック体5が担い、長尺材2の熱伝導を長尺材2に沿って延びる第2の断熱ブロック体6が担うことで、過剰な断熱装置(閉塞装置4)とならず小型化することができ、安価となる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、別の第2の断熱ブロック体601(6)は、無くてもよい。反対に、別の第2の断熱ブロック体601(6)は、二つ以上設けられて、順次接合されてもよい。
【0040】
また、第2の断熱ブロック体6の被接合部6gに接合される別の断熱ブロック体は、第2の断熱ブロック体6と必ずしも同一物品である必要はない。
【0041】
また、第1の断熱ブロック体5は、複数の分割体5f、5fがコーキング材等の接着材により一体化されるが、それに替えて、あるいは加えて、外周を粘着テープで巻回することで、一体化する、あるいは一体化を補強してもよい。また、このことは、第2の断熱ブロック体6においても同様である。
【0042】
また、第1の断熱ブロック体5は、複数の分割体5f、5fからならなくても、初めから一体に形成されていてもよい。同様に、第2の断熱ブロック体6は、複数の分割体6f、6fからならなくても、初めから一体に形成されてもよい。
【0043】
また、長尺材2は、予め、断熱壁1の貫通孔1aに通されていなくても、長尺材2を、各断熱ブロック体5、6の通孔5a、6aに通し、その後に、貫通孔1aに通してもよい。
【0044】
また、第2の断熱ブロック体6の形状は、図15に示すように、第1の断熱ブロック体5の、固定面5cを除く全体を覆うような形状をしていてもよい。
【0045】
また、第1の断熱ブロック体5とか第2の断熱ブロック体6は、発泡スチロールからならなくても、断熱性能を有する他の材料からなってもよい。また、充填材7となる発泡性断熱材は、発泡ウレタンに限るものではない。
【0046】
また、図示実施の形態においては、通孔5a、6aの一端側5b、6bから他端側5d、6dまでの長さ(つまり、通孔5a、6aの長さ(軸長))は、第2の断熱ブロック体6が第1の断熱ブロック体5の半分の長さとなっている。そのため、第2の断熱ブロック体6の数を変更することで、通孔6aの合算長を細かく設定することができる。また、第2の断熱ブロック体6と、その第2の断熱ブロック体6に接合される別の第2の断熱ブロック体601(6)とで、充填材7b(7)を別々に充填したが、接合した状態で、別の第2の断熱ブロック体601(6)の他端側6dから第2の断熱ブロック体6の一端側6bに至るまでの繋がる第2の通孔6a、6a内に、充填材7b(7)を一度に充填してもよい。
【0047】
また、図示実施の形態においては、第2の断熱ブロック体6に、第2の断熱ブロック体6と同一物品からなる別の第2の断熱ブロック体601(6)を接合するというように、第2の断熱ブロック体6を二つ用いているが、これに替えて、第2の断熱ブロック体6を大型化して第2の通孔6aを倍の長さとし、その第2の通孔6aの長さを、第1の断熱ブロック体5の第1の通孔5aの長さと同じにしてもよい。この場合でも、大型化した第2の断熱ブロック体6の第2の通孔6aの長さは、第1の断熱ブロック体5の第1の通孔5aの長さと同一であり、この第2の通孔6aに、発泡性断熱材からなる充填材7b(7)を充填可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 断熱壁
1a 貫通孔
1b 壁面
2 長尺材
3 長尺材貫通部
4 閉塞装置
5 第1の断熱ブロック体
5a 第1の通孔
5b 一端側
5c 固定面
5d 他端側
5e 分割面
5f 分割体
5g 被接合部
6 第2の断熱ブロック体
601 別の第2の断熱ブロック体
6a 第2の通孔
6b 一端側
6c 接合部
6d 他端側
6e 分割面
6f 分割体
6g 被接合部
7、7a、7b 充填材
図1
図2
図3
図4
図5
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