(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162597
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】ペレット
(51)【国際特許分類】
B29B 9/12 20060101AFI20251021BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20251021BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20251021BHJP
C08K 5/375 20060101ALI20251021BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20251021BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20251021BHJP
【FI】
B29B9/12
C08L23/06
C08K5/14
C08K5/375
C08J3/12 Z CES
B29K23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065842
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】細水 康平
(72)【発明者】
【氏名】山名 健司
(72)【発明者】
【氏名】泉 直毅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 孝則
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AC37
4F070AC56
4F070AE03
4F070AE08
4F070DA60
4F070DC05
4F070DC11
4F201AA04
4F201AB03
4F201AB06
4F201AG03
4F201AH35
4F201BA02
4F201BC02
4F201BC12
4F201BC29
4F201BL08
4F201BL43
4J002BB031
4J002EK006
4J002EK036
4J002EV077
4J002FD077
4J002FD146
4J002GQ01
(57)【要約】
【課題】絶縁樹脂と架橋剤と酸化防止剤を含むペレットを改良する。
【解決手段】ペレットは、ポリエチレンを含む樹脂成分と架橋剤と酸化防止剤とを含み、中心部分と中心部分の外周に位置する外周部分とを備え、中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの架橋剤の含有量をA、外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの架橋剤の含有量をB、中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの酸化防止剤の含有量をC、外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの酸化防止剤の含有量をDとしたとき、(C/A)/(D/B)≦0.97を満たす、ペレット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンを含む樹脂成分と架橋剤と酸化防止剤とを含むペレットであって、
中心部分と前記中心部分の外周に位置する外周部分とを備え、
前記中心部分および前記外周部分のそれぞれにおける前記架橋剤の含有量と前記酸化防止剤の含有量とが以下の式(1)を満たす、
ペレット。
(C/A)/(D/B)≦0.97・・・(1)
ここで、
A:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
B:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
C:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
D:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
である。
【請求項2】
前記Aおよび前記Bが、B<Aの関係を満たす、
請求項1に記載のペレット。
【請求項3】
前記Bは10wt%未満である、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項4】
前記Aおよび前記Bが、B/A≦0.9の関係を満たす、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項5】
前記外周部分は前記架橋剤を含まない、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項6】
前記Aは1wt%以上10wt%以下である、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項7】
前記ペレットに含まれる前記架橋剤の含有量は、前記ペレットを構成する樹脂成分100wt%に対して0.3wt%以上5.0wt%以下である、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項8】
前記Dが0.031wt%以上0.0875wt%以下である、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項9】
前記外周部分の厚さは0.1mm以上1mm以下である、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【請求項10】
前記A、前記B、前記Cおよび前記Dのそれぞれは、前記ペレットを切断した切断面をFT-IRまたはラマン散乱法により測定して算出される、
請求項1又は請求項2に記載のペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ポリエチレンは電力ケーブルの絶縁層として広く用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
絶縁層は、ポリエチレンや架橋剤を含む樹脂組成物を含むペレットが用いて形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力ケーブルは、電気絶縁層を有する。以下、電気絶縁層は「絶縁層」と称する。絶縁層は、絶縁樹脂と架橋剤と酸化防止剤を含むペレットから形成される。絶縁樹脂は例えばポリエチレンである。ペレットは、電力ケーブルを製造する前に製造されて、保存される。ペレットが長期間にわたり保存された場合、ペレットは長期間空気にさらされる。ペレットが長期間空気にさらされることで、ペレットの表層は、ペレットの表層に含まれる架橋剤によって、絶縁樹脂の一部が架橋してしまい、架橋異物が形成される。また、ペレットは、空気にさらされることで、その樹脂成分が劣化し、変色することがある。これらペレットでの架橋の進行や樹脂劣化によりペレット中に異物が生じることがある。電力ケーブルの絶縁層を製造する際、ペレットは加熱される。ペレットが加熱されることにより、ペレットに含まれる絶縁樹脂は、架橋剤により架橋される。したがって、電力ケーブルは、架橋された絶縁層を有する。しかしながら、架橋された絶縁層が異物を含むペレットから形成される場合、架橋された絶縁層は異物を含む。当該ペレットを長期保存した場合には、当該異物が絶縁層の電気絶縁性の低下を招くことを、発明者は見出した。
【0006】
本開示の目的は、絶縁樹脂と架橋剤と酸化防止剤を含むペレットの改良を提供することである。本開示の目的は、特に、長期保存が可能なペレットを提供することである。
【0007】
本開示の一態様によれば、
ポリエチレンを含む樹脂成分と架橋剤と酸化防止剤とを含むペレットであって、
中心部分と前記中心部分の外周に位置する外周部分とを備え、
前記中心部分および前記外周部分のそれぞれにおける前記架橋剤の含有量と前記酸化防止剤の含有量とが以下の式(1)を満たす、
ペレット。
(C/A)/(D/B)≦0.97 ・・・(1)
ここで、
A:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
B:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
C:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
D:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、絶縁樹脂および架橋剤を含むペレットについて長期間にわたる空気との接触による劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るペレットの概略構成図である。
【
図2】
図2は、ペレットの加速劣化試験での評価方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、サンプル16において冷却を行った際の外周部分と中心部分の予想温度推移を示す図である。
【
図4】
図4は、サンプル18において冷却を行った際の外周部分と中心部分の予想温度推移を示す図である。
【
図5】
図5は、サンプル20において冷却を行った際の外周部分と中心部分の予想温度推移を示す図である。
【
図6】
図6は、サンプル17のペレットについて深さ方向での架橋剤および酸化防止剤の含有量の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施態様]
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
[1]本開示の一態様は、
ポリエチレンを含む樹脂成分と架橋剤と酸化防止剤とを含むペレットであって、
中心部分と前記中心部分の外周に位置する外周部分とを備え、
前記中心部分および前記外周部分のそれぞれにおける前記架橋剤の含有量と前記酸化防止剤の含有量とが以下の式(1)を満たす、
ペレット。
(C/A)/(D/B)≦0.97・・・(1)
ここで、
A:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
B:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記架橋剤の含有量
C:前記中心部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
D:前記外周部分を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量
である。
この構成によれば、空気との接触によるペレットの劣化を抑制し、ペレットの長期保存性を向上させることができる。
【0012】
[2]上記[1]に記載のペレットにおいて、
前記Aおよび前記Bが、B<Aの関係を満たす。
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]に記載のペレットにおいて、
前記Bは10wt%未満である。
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記Aおよび前記Bが、B/A≦0.9の関係を満たす、
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0015】
[5]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記外周部分は前記架橋剤を含まない、
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記Aは1wt%以上10wt%以下である。
この構成によれば、ペレット全体での架橋剤の含有量を調整することができる。
【0017】
[7]上記[1]から[6]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記ペレットに含まれる前記架橋剤の含有量は、前記ペレットを構成する樹脂成分100wt%に対して0.3wt%以上5.0wt%以下である。
この構成によれば、ペレットの長期保存性を高く維持しながらも、架橋させたときに所定の架橋度を実現することができる。
【0018】
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記Dが0.031wt%以上0.0875wt%以下である。
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0019】
[9]上記[1]から[8]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記外周部分の厚さは0.1mm以上1mm以下である。
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0020】
[10]上記[1]から[9]のいずれか1つに記載のペレットにおいて、
前記A、前記B、前記Cおよび前記Dのそれぞれは、前記ペレットを切断した切断面をFT-IRまたはラマン散乱法により測定して算出される、
この構成によれば、ペレットの長期保存性をより高く維持することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の一実施形態を説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、wt%は質量%を示す。
【0022】
[実施形態1]
図1は、実施形態1のペレット1を示している。
ペレット1は、中心部分10と外周部分11とを有する。外周部分11は、中心部分10の外側に位置する。
【0023】
ペレット1は、ポリエチレンを含む樹脂と、架橋剤と、酸化防止剤とを含む。架橋剤は例えば有機過酸化物である。酸化防止剤は例えばフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などである。ペレット1は、架橋剤および酸化防止剤以外の他の添加剤をさらに含む。添加剤は例えば無機充填剤、滑剤である。架橋剤や酸化防止剤、他の添加剤は、例えば特開2020-132819、US2020/279672A、特開2020-132818、US2020/273598A、特開2020-132817、US2020/270426A、特開2019-189842、US2021/032434Aにおいて開示されているので説明は省略する。
【0024】
中心部分10および外周部分11は、それぞれに含まれる架橋剤や酸化防止剤の量が下記式(1)を満たすように構成される。
(C/A)/(D/B)≦0.97・・・(1)
ここで、Aは中心部分10を構成する樹脂成分100wt%あたりの架橋剤の含有量(wt%)である。Bは外周部分11を構成する樹脂成分100wt%あたりの架橋剤の含有量(wt%)である。Cは中心部分10を構成する樹脂成分100wt%あたりの酸化防止剤の含有量(wt%)である。Dは外周部分11を構成する樹脂成分100wt%あたりの前記酸化防止剤の含有量(wt%)である。
【0025】
式(1)は、中心部分10と外周部分11のそれぞれに含まれる架橋剤や酸化防止剤の比率を示すパラメータである。A~Dが式(1)を満たす場合、外周部分11における架橋剤の含有量Bが中心部分10における架橋剤の含有量Aよりも少ない、もしくは、外周部分11における酸化防止剤の含有量Dが中心部分10における酸化防止剤の含有量Cよりも多くなる傾向を示す。そのため、外周部分11は、架橋剤と空気との接触による架橋や空気との接触による樹脂劣化が抑制される。一方、中心部分10は、外周部分11に覆われるため、架橋剤と空気との接触による架橋や樹脂劣化が抑制されている。したがって、ペレット1は長期保存性に優れる。
【0026】
ペレット1において上記式(1)を満たす観点から、外周部分11は、架橋剤の含有量が中心部分10の架橋剤の含有量よりも少ないことが好ましい。つまり、B<Aであることが好ましい。また、酸化防止剤の含有量については式(1)を満たせば特に限定されず、例えば中心部分10の酸化防止剤の含有量Cや外周部分11の酸化防止剤の含有量Dは、AやBの数値によって式(1)を満たすように適宜調整するとよい。
【0027】
このペレット1は、コーティング法で製造される。コーティング法は、以下のステップを有する。
・樹脂準備ステップ
・第1成型ステップ
・第2成型ステップ
【0028】
(樹脂準備ステップ)
樹脂準備ステップでは、まず、第1組成物と、第2組成物を準備する。第1組成物は、中心部分10を形成するためのものである。第2組成物は、外周部分11を形成するためのものである。第1組成物は、ポリエチレンと架橋剤と酸化防止剤とを含む。第2組成物は、次の条件(a)~(c)のいずれか1つを満たす。
(a)第2組成物はポリエチレンを含む。第2組成物は酸化防止剤を含むが、架橋剤を含まない。
(b)第2組成物はポリエチレンを含む。第2組成物は架橋剤および酸化防止剤を含み、第2組成物の架橋剤の量は、第1組成物の架橋剤の量よりも少なく、酸化防止剤の量は、上記式(1)を満たすような範囲である。
(c)第2組成物はポリエチレンを含む。第2組成物は架橋剤および酸化防止剤を含み、第2組成物の酸化防止剤の量は、第1組成物の酸化防止剤の量よりも多く、第2組成物の架橋剤の量は、上記式(1)を満たすような範囲である。
【0029】
(第1成型ステップ)
樹脂準備ステップに続いて、第1成型ステップが行われる。まず、第1組成物を例えば80℃で加熱して、溶融させた第1組成物を作製する。溶融させた第1組成物を押出機で押し出して、線状の第1組成物を作製する。続いて、線状の第1組成物を所定の長さに切断する。これにより粒状の樹脂成型体を形成する。続いて、粒状の樹脂成型体を、例えば25℃の空気中で自然冷却する。この粒状の樹脂成型体は、中心部分10に対応する。
【0030】
(第2成型ステップ)
第1成型ステップに続いて、第2成型ステップが行われる。まず、第2組成物を例えば80℃で加熱して、溶融させた第2組成物を作製する。続いて、溶融させた第2組成物を中心部分10の周囲に付与することで、中心部分10の周囲に外周部分11を形成する。外周部分11は、例えば、溶融させた第2組成物を中心部分10に対して塗布したりスプレーしたりすることで形成してもよい。また、第2組成物は、外周部分11が所望の厚みとなるように、中心部分10に対して複数回付与されてもよい。続いて第2組成物を、例えば25℃の空気中で自然冷却する。これにより実施形態1のペレット1が得られる。
【0031】
このように、実施形態1のペレットは、第1組成物を含む中心部分10の周囲に、第2組成物を含む外周部分11を有する。このペレット1は、中心部分10および外周部分11のそれぞれにおける架橋剤や酸化防止剤の含有量が上記式(1)を満たすように構成される。
【0032】
[実施形態2]
実施形態2のペレット1は、実施形態1のペレット1と同様に、中心部分10と外周部分11とを有する。実施形態2のペレット1は熱拡散法により製造される。熱拡散法は、次のステップを含む。
・樹脂準備ステップ
・成型ステップ
・冷却ステップ
【0033】
(樹脂準備ステップ)
まず、第1組成物を用意する。第1組成物は、ポリエチレンと架橋剤と酸化防止剤とを含む。
【0034】
(成型ステップ)
樹脂準備ステップに続いて、成型ステップが行われる。成型ステップでは、まず、第1組成物を加熱することにより、溶融した第1組成物を作製する。例えば、第1組成物を、80℃に加熱することにより、溶融した第1組成物を作製する。続いて、溶融した第1組成物を押出成形することにより、高温で線状の第1組成物を製造する。続いて、高温で線状の第1組成物を所望の長さで切断し、高温のペレット1を形成する。
【0035】
(冷却ステップ)
成型ステップに続いて、冷却ステップが行われる。冷却ステップは、次のサブステップを含む。
・一次冷却サブステップ
・二次冷却サブステップ
【0036】
(一次冷却サブステップ)
一次冷却サブステップでは、高温のペレット1の表面を急冷する。具体的には、一次冷却サブステップでは、高温のペレット1の表面に対して、一次冷却温度の流体を所定の時間供給することにより、ペレット1の表面を急冷する。例えば、一次冷却サブステップでは、5℃のCO2ガスを30秒間、高温のペレット1に吹き付けることにより急冷する。急冷により、ペレット1の中心部分10と外周部分11の間に温度差が生じる。なお、流体の温度および流体を吹き付ける時間は適宜調整できる。
【0037】
(二次冷却サブステップ)
一次冷却サブステップの直後に、二次冷却サブステップを行う。二次冷却サブステップでは、二次冷却温度の空気中にペレット1を置く。二次冷却温度は、例えば10℃から40℃である。これにより、ペレット1は徐々に冷却される。ペレット1が徐々に冷却されるとき、ペレット1の中心部分10と外周部分11の温度差が一定期間維持される。この温度差に起因して、架橋剤がペレット1内で熱拡散する。具体的には、架橋剤は、冷却された外周部分11から、高温の中心部分10へ拡散する。これにより、中心部分10の架橋剤の量は、外周部分11の架橋剤の量よりも多くなる。一方、酸化防止剤は熱拡散しにくく、中心部分10と外周部分11とで酸化防止剤の量は同一となる。つまり、B<AかつC≒Dとなり、式(1)を満たすことになる。
【0038】
なお、中心部分10と外周部分11における架橋剤や酸化防止剤の量は、FT-IRやラマン散乱法で測定できる。
【0039】
また、ペレット1の外径や体積、適宜設定できる。
【0040】
[実施形態のまとめ]
ペレット1によれば、中心部分10および外周部分11における架橋剤と酸化防止剤の含有量が上記式(1)を満たすため、長期間にわたる空気との接触による架橋の進行や樹脂劣化を抑制でき、長期保存性に優れる。例えば、以下の加速劣化試験を行ったときに異物の形成が少なく、また長期保存した後のペレット1を用いてシートサンプルを形成しても異物の形成が少ない。
【実施例0041】
次に、本開示に係る実施例を説明する。これらの実施例は本開示の一例であって、本開示はこれらの実施例により限定されない。
【0042】
(1)ペレットのサンプル1~8
サンプル1~8を、上述のコーティング法で製造した。表1は、コーティング法における樹脂準備ステップ、第1成型ステップ、第2成型ステップの条件を示している。サンプル1~8は、次の架橋剤および酸化防止剤を含む。
・架橋剤CA1:ジクミルパーオキサイド(以下、DCPともいう)
・酸化防止剤AO1:4、4′-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)
【0043】
【0044】
サンプル1~8は、以下に示す加速劣化試験及びシートサンプル試験で評価した。
【0045】
[評価方法1:加速劣化試験1]
サンプル1~8のペレットは、加速劣化試験1により評価した。加速劣化試験1では、各ペレットを恒温槽で保存した。保存条件は次のとおりである。
・恒温槽の温度:80℃
・恒温槽の雰囲気:空気
・恒温槽で保存する時間:48時間
【0046】
続いて、所定時間保存した後のペレットを、
図2のように切断し、切断面1aを得た。切断面1aにおいて、以下の観察部分を光学顕微鏡で観察し、異物を確認した。観察部分は、ペレットの外周面から0.15mmの部分(
図2中の1b)の1か所とした。本実施例では、観察部分において、琥珀色であって、大きさが0.01mm以上のものを、架橋や樹脂劣化により生じた異物とした。ペレットの表面で異物が観察されない場合を長期保存性に優れるとして「2A」、異物が観察された場合を長期保存性に劣るとして「1A」と評価した。
【0047】
[評価方法2:加速劣化試験2]
また、各サンプルのペレットは、加速劣化試験2により評価した。加速劣化試験2では、加速劣化試験1の恒温槽での保存時間を48時間から96時間に変更した以外は、加速劣化試験1と同様に評価を行った。
【0048】
[評価方法3:シートサンプル試験]
加速劣化試験2を行った後のペレットで、シートサンプルを作成した。シートサンプルは、ペレットを120℃で加熱し溶融させて、厚さ1mmでシート状に押出成形した。そして、シートを180℃に保持することで、架橋されたシートサンプルを作製した。シートサンプルの表面を光学顕微鏡で観察し、異物を確認した。異物は、加速劣化試験と同様の基準で特定した。本実施例では、シートサンプルの表面で異物が観察されない場合を合格品として「2B」、異物が観察された場合を不合格として「1B」と評価した。
【0049】
サンプル1~8の評価結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
[サンプル1~6]
サンプル1~6では、表2に示すように中心部分10の酸化防止剤の含有量Cと外周部分11の酸化防止剤の含有量Dとを同一とする一方、外周部分11の架橋剤の含有量Bを中心部分10の架橋剤の含有量Aよりも少なくして、(C/A)/(D/B)が0.97以下であった。そのため、加速劣化試験1、2後の外周部分11は異物を含んでいなかった。また、シートサンプルにおいても異物を含んでいなかった。
また、サンプル1~6から、架橋剤の含有量AおよびBについて、0≦B/A≦0.90を満たすことが好ましい。
【0052】
[サンプル7、8]
サンプル7は、酸化防止剤の含有量C、Dを同一とし、中心部分10および外周部分11における架橋剤の含有量A、Bを同一とした。サンプル8は、酸化防止剤の含有量C、Dを同一とし、外周部分11の架橋剤の含有量Bを中心部分10の架橋剤の含有量Aよりも多くした。これにより(C/A)/(D/B)が1以上となった。この結果、サンプル7、8は、加速劣化試験後の外周部分11は異物を含んでいた。また、シートサンプルも異物を含んでいた。
【0053】
(2)ペレットのサンプル4-1~4-7
サンプル4-1~4-7は、上記サンプル4をサンプル4-0として、外周部分11の酸化防止剤の含有量Dを適宜変更し、サンプル4-1~4-7のペレットを作製した。具体的には、サンプル4-0~4-7は、外周部分11の架橋剤の含有量を中心部分10よりも少なくしつつ(B<A)、中心部分10の酸化防止剤の含有量Cを0.05wt%、外周部分11の酸化防止剤の含有量Dを0.0125wt%~0.0875wt%の範囲で変更した。これらのサンプルについて上記のような評価を行った。サンプル4-1~4-7の評価結果を表3に示す。
【0054】
【0055】
サンプル4-1、4-2では、(C/A)/(D/B)が0.97超となり、加速劣化試験2後の外周部分11は異物を含んでいた。また、シートサンプルも異物を含んでいた。これらのサンプルでは、外周部分11の架橋剤の含有量Bを中心部分10の含有量Aよりも少なくすることで、架橋反応を抑制できたものの、外周部分11の酸化防止剤の含有量Dが少ないことで、外周部分11で樹脂劣化が進んだものと考えられる。一方、サンプル4-0、4-3~4-7では、含有量Dをサンプル4-1などよりも多くすることで、樹脂劣化を抑制できたものと考えられる。
【0056】
(3)ペレットのサンプル9~14
サンプル9~14を、上述のコーティング法で製造した。表4は、コーティング法における樹脂準備ステップ、第1成型ステップ、第2成型ステップの条件を示している。サンプル9~サンプル14は、次の架橋剤を含む。
サンプル9の架橋剤CA2:t-ブチルジクミルパーオキサイド
サンプル10の架橋剤CA3:ジ(t-ブチルパーオキサイド)
サンプル11の架橋剤CA4:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン
サンプル12の架橋剤CA5:1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン
サンプル13の架橋剤CA6:4,4-ビス[(t-ブチル)ペルオキシ]ペンタン酸ブチル
サンプル14の架橋剤CA7:1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン
【0057】
【0058】
サンプル9~14は、上述した加速劣化試験及びシートサンプル試験で評価した。表5は、評価結果を示す。
【0059】
【0060】
[サンプル9~14]
表5に示すように、サンプル9~14では、外周部分11の架橋剤の含有量Bを中心部分10の架橋剤の含有量Aよりも少なくして、(C/A)/(D/B)が0.97以下であった。そのため、加速劣化試験後の外周部分11は異物を含んでいなかった。また、シートサンプルにおいても異物を含んでいなかった。
【0061】
(4)ペレットのサンプル15~22
サンプル15~22を、上述の熱拡散法で製造した。表6は、熱拡散法における樹脂準備ステップ、成型ステップ、冷却ステップの条件を示している。
【0062】
【0063】
サンプル15~22は、上述した加速劣化試験及びシートサンプル試験で評価した。表7は、サンプル15~22の評価結果を示す。
【0064】
なお、サンプル15~22では、中心部分10および外周部分11における架橋剤の含有量は、FT-IRにより測定した。具体的には、
図2に示すように各ペレットを切断し、切断面1aにおいて外周面から深さ0.15mmの位置(
図2中の1b)と、外周面から深さ0.90mmの位置(
図2中の1c)とをそれぞれFT-IRにより測定し、各位置での架橋剤の含有量を求めた。深さ0.15mmの位置での含有量を外周部分11での含有量とし、深さ0.90mmの位置での含有量を中心部分10での含有量とした。また、中心部分10および外周部分11における酸化防止剤の含有量も、架橋剤と同様に測定した。
【0065】
【0066】
[サンプル15、16]
表7に示すように、サンプル15、16では、外周部分11における架橋剤の含有量が中心部分10と同じであった。この原因は、中心部分10および外周部分11での温度が
図3に示すように推移したためと考えられる。
図3は、サンプル16において冷却(一次冷却サブステップと二次冷却サブステップ)を施した際の、外周部分と中心部分の予想温度推移を示す図である。図中、破線は中心部分10の予想温度推移を、実線は外周部分11の予想温度推移をそれぞれ示す。
【0067】
具体的には、
図3に示すように、一次冷却サブステップの時間が短いため、一次冷却サブステップにおいて外周部分11の温度が十分に低下しなかった。具体的には、一次冷却サブステップにおいて、中心部分10および外周部分11の温度は、冷却開始後、10秒まで急低下したが、中心部分10及び外周部分11とも温度が比較的高い。二次冷却サブステップでは、中心部分10と外周部分11はともに緩やかに低下し、外周部分11と中心部分10の温度差が小さく、外周部分11から中心部分10への架橋剤の熱拡散が生じないものと推測される。
【0068】
サンプル15、16は(C/A)/(D/B)が1であり、加速劣化試験後の外周部分11は異物を含んでいた。また、シートサンプルも異物を含んでいた。
【0069】
[サンプル17~19]
サンプル17について、ペレットの表面から深さ方向に向かって架橋剤と酸化防止剤の含有量の変化を測定したところ、
図6に示すように変化が確認された。
図6は、
図2に示すようにペレットを切断し、その切断面1aにおいて外周面から深さ0.15mm、0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1.2mm、1.5mmの各位置をFT-IRにより測定し、架橋剤と酸化防止剤の含有量を求めたものである。
図6中、実線は架橋剤の含有量の変化を、破線は酸化防止剤の含有量の変化をそれぞれ示す。
図6に示すように、サンプル17では、ペレット表面ほど架橋剤の含有量が少なく、ペレットの中心にむかうにしたがい架橋剤の含有量が増えることが確認された。一方、酸化防止剤の含有量はペレットの深さ方向で大きな変化がないことが確認された。なお、サンプル18、サンプル19でも同様に架橋剤の含有量が深さ方向で変化することが確認された。
【0070】
サンプル17~19では、架橋剤の含有量がペレット全体での平均値以下となる領域を外周部分、平均値を超える領域を中心部分とした。ペレット全体での平均値とは、各サンプルのペレット全体を80℃で溶融させて自然冷却させたときの、ペレット全体における低密度ポリエチレン100wt%あたりの架橋剤の含有量を意味し、ペレット17~19では3wt%である。サンプル17~19では、架橋剤の含有量が3wt%以下の領域が表面から0.3mmであったため、厚さ0.3mmの領域を外周部分とした。そして、外周部分を除いた、直径2.4mmの領域を中心部分とした。
【0071】
表7および
図6に示すように、サンプル17~19では、外周部分11におけるペレット表面から深さ0.15mmの位置での架橋剤の含有量が、中心部分10におけるペレット表面から深さ0.90mmの位置での架橋剤の含有量よりも少なかった。この原因は、中心部分10および外周部分11での温度が
図4に示すように推移したためと考えられる。
図4は、サンプル18において冷却(一次冷却サブステップと二次冷却サブステップ)を施した際の、外周部分11と中心部分10の予想温度推移を示す図である。図中、破線は中心部分10の予想温度推移を、実線は外周部分11の予想温度推移をそれぞれ示す。
【0072】
具体的には、
図4に示すように、一次冷却サブステップの時間が適切であったため、一次冷却サブステップにおいて外周部分11の温度が大きく低下した。具体的には、一次冷却サブステップにおいて、冷却開始後から60秒までの間に外周部分11の温度は5℃まで低下した。一方、中心部分10の温度は外周部分11ほど低下せず、外周部分11と中心部分10の温度差が大きい。外周部分11と中心部分10で温度差が大きかったため、一次冷却サブステップにおいて、外周部分11から中心部分10への架橋剤の熱拡散が生じるものと推測される。
【0073】
サンプル17~19は、外周部分11の架橋剤の含有量Bが中心部分10の含有量Aよりも少なく、かつ、それぞれの部分での酸化防止剤の含有量CおよびDが同一であって、(C/A)/(D/B)が0.97以下であった。そのため、加速劣化試験後の外周部分11は架橋や樹脂劣化にともなう異物を含んでいなかった。また、シートサンプルも異物を含んでいなかった。
【0074】
[サンプル20~22]
サンプル20~22では、表7に示すように、外周部分11における架橋剤の含有量Bが中心部分10の含有量Aと同じであった。この原因は、中心部分10および外周部分11での温度が
図5に示すように推移したためと考えられる。
図5は、サンプル20において冷却(一次冷却サブステップと二次冷却サブステップ)を施した際の、外周部分と中心部分の予想温度推移を示す図である。図中、破線は中心部分10の予想温度推移を、実線は外周部分11の予想温度推移をそれぞれ示す。
【0075】
具体的には、
図5に示すように、一次冷却サブステップにおいて、冷却開始後から300秒までの間に中心部分10および外周部分11の温度が5℃まで低下した。このとき、中心部分10の温度は外周部分11よりも緩やかに低下し、外周部分11の温度が5℃まで低下した後、時間をおいて中心部分10の温度も5℃まで低下した。そのため、外周部分11と中心部分10で温度差が大きくなる時間帯があったため、外周部分11から中心部分10への架橋剤の熱拡散が生じる。一方、二次冷却サブステップにおいては、外周部分11の温度が5℃から25℃まで上昇した後、時間をおいて、中心部分10の温度も25℃まで上昇した。この過程で、外周部分11の温度が中心部分10の温度よりも高くなり、また所定の温度差が生じたため、中心部分10から外周部分11への架橋剤の熱拡散が生じる。結果、冷却ステップとしては、架橋剤の熱拡散が生じないものと推測される。
【0076】
サンプル20~22は、(C/A)/(D/B)が0.97超となり、加速劣化試験後の外周部分11は異物を含んでいた。また、シートサンプルも異物を含んでいた。
【0077】
以上より、本明細書が開示するペレットは、
ポリエチレンを含む樹脂成分と架橋剤とを含むペレットであって、
中心部分と前記中心部分の外周に位置する外周部分とを備え、
前記中心部分および前記外周部分のそれぞれにおける前記架橋剤の含有量と前記酸化防止剤の含有量とが(C/A)/(D/B)≦0.97の関係式を満たす、
ペレット。
【0078】
したがって、ペレットを長期保存しても劣化しにくい。また、そのようなペレットを用いて製造した電力ケーブルは、良好な電気絶縁性を有する。なお、電力ケーブルの製造方法は、例えば特開2020-132817やUS2020/0270426に開示されているため、説明は省略する。
【0079】
外周部分11における架橋剤の含有量は、サンプル6に開示されている2.85wt%以下に限定されない。外周部分11における架橋剤の含有量Bが中心部分10の含有量Aよりも少ないペレットは、外周部分11と中心部分10の架橋剤の量が同じペレットよりも長期保存したときに劣化しにくいことは理解できるであろう。
【0080】
ただし、外周部分11が多くの架橋剤を含む場合、外周部分11における架橋剤の含有量が中心部分10よりも少なくても短時間でペレット1が劣化してしまう可能性がある。したがって、外周部分11における架橋剤の含有量Bは、外周部分11を構成する樹脂成分100wt%に対して0wt%以上10wt%未満であるとよく、もしくは0wt%以上9wt%以下であるとよい。
【0081】
樹脂成分を十分に架橋させるために、中心部分10の架橋剤の含有量Aは、中心部分を構成する樹脂成分100wt%に対して1wt%以上であるとよい。また、架橋後の樹脂成分が多くの架橋副生成物を含むことを防ぐために、中心部分10の架橋剤の含有量Aは、中心部分を構成する樹脂成分100wt%に対して1wt%以上10wt%以下であるとよい。
【0082】
ペレット1において、上記式(1)を満たし、外周部分11での架橋をより確実に抑制する観点からは、外周部分11の架橋剤の含有量Bは中心部分10の含有量Aよりも少ないことが好ましい。もしくは、外周部分11の酸化防止剤の含有量Dが中心部分10の含有量Cよりも多いことが好ましい。
【0083】
ペレット1において、中心部分における架橋剤の含有量Aと、外周部分における架橋剤の含有量Bとの比率B/Aは、実施例の数値に限定されない。ペレット1をコーティング法で作製する場合、含有量Aおよび含有量Bをそれぞれ調整できるため、比率B/Aは例えば0≦B/A≦0.9を満たすように調整するとよい。一方、ペレット1を熱拡散法で作製する場合、B/A≦0.9となるように、熱拡散により含有量Aおよび含有量Bを調整するとよい。下限値は特に限定されないが、比率B/Aは例えば0.6≦B/A≦0.9と満たすように調整するとよい。
【0084】
ペレット1に含まれる架橋剤の含有量は、つまり、中心部分10および外周部分11に含まれる架橋剤の総量は、ペレット1を構成する樹脂成分100wt%に対して0.3wt%以上5.0wt%以下であるとよい。架橋剤が過度に少ない場合、ペレット1から絶縁層を形成するときに、所望の架橋度を実現できず、所定の絶縁特性を得られないことがある。各含有量を上記範囲とすることにより、ペレット1の長期保存性を向上しつつ、絶縁特性に優れる絶縁層を形成することができる。
【0085】
ペレット1において、外周部分11での樹脂劣化をより確実に抑制する観点からは、外周部分11に含まれる酸化防止剤の含有量Dが0.031wt%以上0.0875wt%以下であるとよい。一方、中心部分10に含まれる酸化防止剤の含有量Cは、上記式(1)を満たせば特に限定されない。式(1)を満たす観点からは、含有量Cは0.031wt%以上0.0875wt%以下であるとよい。
【0086】
外周部分11の厚さは、実施例に開示する0.3mmに限定されない。中心部分10が劣化することを防ぐために、外周部分11は0.1mm以上1mm以下の厚さを有すればよい。中心部分10の大きさ(直径)は、実施例に開示する2.4mmに限定されない。中心部分10の直径は1.8mm以上6.0mm以下であることが好ましい。また、ペレット1の直径は、実施例に開示する3mmに限定されない。ペレット1の直径は2.0mm以上8.0mm以下であることが好ましい。
【0087】
熱拡散法により作製されたペレットにおける外周部分および中心部分それぞれの架橋剤の含有量について、実施例では、ペレット表面から深さ0.15mmの位置、深さ0.9mmの位置をそれぞれ選択したが、これに限定されない。外周部分の測定位置としては、外周部分の厚さの中間を選択するとよい。中心部分の測定位置としては、中心部分の表面と中心との中間を選択するとよい。