(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001626
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20241225BHJP
E03D 9/05 20060101ALI20241225BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
E03D9/00 B
E03D9/05
E03D9/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016575
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023100636
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 敬太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 綾
(72)【発明者】
【氏名】小川 将平
(72)【発明者】
【氏名】隈本 竜一
(72)【発明者】
【氏名】松下 大剛
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038BB18
2D038BC01
2D038DA00
2D038JC01
2D038JC19
2D038KA02
2D038KA03
(57)【要約】
【課題】脱臭装置に設けたケース内の湿気を吸引する開口部により、便器内の空気を吸引する開口部による空気の吸引性の低下を抑制することができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】ケースと、前記ケース内部に設けられる脱臭装置と、を備えるトイレ装置であって、前記脱臭装置は、前記ケース外部の空気を吸引可能な第一開口部と、前記ケース内部の空気を吸引可能な第二開口部と、前記第一開口部及び前記第二開口部で吸引した空気を前記ケース外部へ排気可能な第三開口部と、前記ケース外部及び内部の空気を前記第一開口部及び前記第二開口部から吸引する吸引用ファンと、前記第一開口部及び前記第二開口部と前記吸引用ファンとを連通する第一脱臭経路部と、前記吸引用ファンと前記第三開口部とを連通する第二脱臭経路部と、を有し、前記第二開口部は前記第一開口部よりも開口面積が小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内部に設けられる脱臭装置と、を備えるトイレ装置であって、
前記脱臭装置は、
前記ケース外部の空気を吸引可能な第一開口部と、
前記ケース内部の空気を吸引可能な第二開口部と、
前記第一開口部及び前記第二開口部で吸引した空気を前記ケース外部へ排気可能な第三開口部と、
前記ケース外部及び内部の空気を前記第一開口部及び前記第二開口部から吸引する吸引用ファンと、
前記第一開口部及び前記第二開口部と前記吸引用ファンとを連通する第一脱臭経路部と、
前記吸引用ファンと前記第三開口部とを連通する第二脱臭経路部と、を有し、
前記第二開口部は前記第一開口部よりも開口面積が小さい、
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より大きい回転数で回転させ、前記第二時間の経過後から第三時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記第二時間の期間は、前記第三時間の期間よりも短いことを特徴とする請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記ケースは、
さらに、前記ケース外部と前記ケース内部の空気が流通可能な第四開口部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記第四開口部に、メッシュを有するフィルタが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記脱臭装置は、
さらに、所定方向からの前記第二開口部への空気の吸引を抑制するリブを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知したときに所定回転数で回転させ、
前記人体検知センサが人体を検知しなくなったときには、人体を検知しなくなってから所定時間が経過するまで、前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的にトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ装置のケース内部の電子部品などの腐食が起きると、トイレ装置が意図しない動作をする、もしくはトイレ装置が動作しないという不具合が生じる可能性がある。その腐食の要因の一つとして湿気による結露が考えられる。このような湿気による結露を抑制するために、便器内の空気を吸引するための脱臭装置に、ケース内の空気を吸引するための開口部を設け、この開口部からケース内の湿気を吸引するトイレ装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-266406号公報
【特許文献2】特開2007-092396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したトイレ装置では、脱臭装置に設けたケース内の空気を吸引する開口部によって、便器内の空気を吸引する開口部による空気の吸引性を低下させる可能性がある。吸引性が低下すると、十分な脱臭性能を得られない可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、脱臭装置に設けたケース内の湿気を吸引する開口部により、便器内の空気を吸引する開口部における空気の吸引性の低下を抑制することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における実施形態の一態様に関わるトイレ装置は、ケースと、前記ケース内部に設けられる脱臭装置と、を備えるトイレ装置であって、前記脱臭装置は、前記ケース外部の空気を吸引可能な第一開口部と、前記ケース内部の空気を吸引可能な第二開口部と、前記第一開口部及び前記第二開口部で吸引した空気を前記ケース外部へ排気可能な第三開口部と、前記ケース外部及び内部の空気を前記第一開口部及び前記第二開口部から吸引する吸引用ファンと、前記第一開口部及び前記第二開口部と前記吸引用ファンとを連通する第一脱臭経路部と、前記吸引用ファンと前記第三開口部とを連通する第二脱臭経路部と、を有し、前記第二開口部は前記第一開口部よりも開口面積が小さいことを特徴とする。
【0007】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、前記第二開口部は前記第一開口部よりも開口面積が小さい。そのため、吸引用ファンが駆動した際に前記第二開口部から吸引される風量を前記第一開口部から吸引される風量よりも小さくすることができる。従って、前記脱臭装置に前記第二開口部を設けることにより前記第一開口部における吸引性が低下することを抑制することができる。
【0008】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、前記吸引用ファンを、前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させる。
【0009】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、前記吸引用ファンを、前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させる。これにより、前記第二時間における前記吸引用ファンの駆動音を前記第一時間における前記吸引用ファンの駆動音より小さくすることができる。そのため、前記第二時間で湿気を吸引している際に、トイレ装置が設けられるトイレ室内に使用者がいる場合や、使用者が使用した後に入れ替わりでトイレ室内に入った別の使用者がいる場合でも、前記吸引用ファンの駆動音による不快感を抑えつつ、前記ケース内部の結露を抑制することができる。
【0010】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、前記吸引用ファンを、前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より大きい回転数で回転させ、前記第二時間の経過後から第三時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させる。
【0011】
便器洗浄終了後かつトイレ室内に滞在中の人がいる場合や、他人が使用した便器洗浄終了後に入れ替わりでトイレ室内に入った人がいる場合、吸引用ファンの駆動音が要因で不快感を与えてしまう懸念がある。一方で、着座中の吸気用ファンの回転数は、着座している人が不快に感じない程度に押さえられているため、離座後のトイレ室内に人が不在の期間で可能な限り臭気や湿気を吸引しておくことが好ましい。そこで、実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、吸引用ファンの駆動音による人への不快感を抑えつつ、吸引用ファンの吸引性を向上することで、ケース内部の結露がより抑制できる。
【0012】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、前記第二時間の期間は、前記第三時間の期間よりも短い。
【0013】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、所定回転数より大きい回転数の期間を、所定回転数より小さい回転数の期間よりも短くすることで、吸引用ファンが長期間所定回転数より大きい回転で駆動することを抑制し、駆動音による人への不快感をより抑えることができる。
【0014】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、前記ケースは、さらに、前記ケース外部と前記ケース内部の空気が流通可能な第四開口部を備える。
【0015】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、前記ケースは、さらに、前記ケース外部と前記ケース内部の空気が流通可能な第四開口部を備える。これにより、前記ケース内部の空気が流出しやすく、かつ前記ケース外部の空気が流入しやすくなり、前記ケース内部と外部の空気圧差を低減することができる。例えば、前記ケースにケース内部と外部とを連通する隙間があり、前記第二開口部から空気を吸引することによりケース内部が負圧となると、隙間からケース内へ湿気が流入しやすくなる懸念があるが、前記ケース内部と外部の空気圧差を低減することで、前記ケース内への湿気流入を抑えることができる。
【0016】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、前記第四開口部に、メッシュを有するフィルタが設けられている。
【0017】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば前記第四開口部に、メッシュを有するフィルタが設けられている。そのため、例えば、前記ケース内部が負圧になる場合でも、塵や埃が前記第四開口部を通過して前記ケース内部に侵入することを抑えることができる。
【0018】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、前記脱臭装置は、さらに、所定方向からの前記第二開口部への空気の吸引を抑制するリブを有する。
【0019】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、脱臭装置は、所定方向からの前記第二開口部への空気の吸引を抑制するリブを有する。これにより、前記リブは所定方向から前記第二開口部への吸引を抑制し、所定方向以外からの空気を優先的に吸引することができる。例えば、ケース内の結露しにくい場所と第二開口部とを結ぶ方向からの空気の吸引を抑制することで、ケース内の結露しやすい場所における湿気を優先的に吸引することが可能となる。従って、ケース内での結露を抑止するとともに、電子部品をケース内部の結露しにくい場所のみに設置するなどのケース内の部品レイアウトにおける制約が生じることを抑止することができる。なお、ケース内の結露しやすい場所とは、例えば、発熱するユニットが周囲に存在せず、冷えやすい場所などであり、ケース内の結露しにくい場所とは、例えば、発熱するユニットが周囲に存在する場所である。
【0020】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置において、さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、前記吸引用ファンを、前記人体検知センサが人体を検知したときに所定回転数で回転させ、前記人体検知センサが人体を検知しなくなったときには、人体を検知しなくなってから所定時間が経過するまで、前記所定回転数より小さい回転数で回転させる。
【0021】
実施形態の一態様に関わるトイレ装置によれば、使用者が使用した後に、より高頻度で別の使用者が入れ替わりでトイレ室内に入るような場合でも、吸引用ファンの駆動音による不快感を抑えつつ、ケース内部の結露を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
実施形態の一態様によれば、ケース内の湿気を吸引する開口部により、便器内の空気を吸引する開口部による空気の吸引性の低下を抑制することができるトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトイレ装置を備えたトイレユニットを表す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るトイレ装置の外観を表す背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るトイレ装置のケースを省略しケースの内部を表す上面図である。
【
図4】
図3にてケースを省略せず矢印A-A方向からみた断面図である。
【
図5】
図1の矢印B-B方向からみた断面図である。
【
図6】
図5の矢印B1付近を拡大した拡大図である。
【
図7】
図3にてケースを省略せず矢印C-C方向からみた断面図である。
【
図8】
図3にてケースを省略せず矢印D-D方向からみた断面図である。
【
図9】ケース内の空気の流れを説明する上面図である。
【
図10】人体検知センサの検知状態と吸引ファンの駆動状態とを示すタイムチャートである。
【
図11】変形例に係るトイレ装置の人体検知センサの検知状態と吸引ファンの駆動状態とを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るトイレ装置を備えたトイレユニットを表す側面図である。
図1に示すように、トイレユニット1はトイレ室内に設けられ、便器2と、便器2の上面に取り付けられたトイレ装置10と、を備えている。トイレ装置10は、便座12と、便蓋14と、ケース20と、を有する。便座12と便蓋14とは、それぞれケース20に対して開閉自在に軸支されている。本願明細書においては、開いた状態の便蓋14に背を向けて便座12に座った使用者からみて上方、下方、前方、後方、右方、及び左方について、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右方」、および「左方」とする。
【0026】
トイレ装置10は、便器2の後方側の上面に取り付けられる。トイレ装置10は、便器2に対して一体的に取り付けてもよく、便器2に対して着脱可能に取り付けてもよい。トイレ装置10は、内部が空洞のボックス状に形成されたケース20と、ケース20の内部に設けられ、臭気を低減する機能を備えた脱臭装置40と、を有する。
【0027】
また、ケース20の内部には、便蓋14や便座12の開閉動作を制御する開閉ユニット(図示せず)、人体局部の洗浄を行う洗浄ユニット(図示せず)、およびリモコンなどの操作部と通信可能な通信ユニット(図示せず)などが必要に応じて内蔵されている。ケース20は、後方側で便座12と便蓋14とを回転可能に軸支する。なお、便蓋14は、トイレ装置10に必要に応じて設けられ、設けないことも可能である。
【0028】
便座12には、人体を検知する人体検知センサであり、使用者の着座の有無を検知する着座検知センサ13が設けられる。着座検知センサ13は、人体を検知している状態、即ち、使用者が着座している状態であることを検知する。また、着座検知センサ13は、人体を検知していない状態、即ち、使用者が着座していない状態(離座した状態)であることを検知してもよい。なお、着座検知センサを設ける場所は便座に限らず、例えば、ケースに設けてもよい。また、人体検知センサとして、着座検知センサでなく、例えば、トイレ室への入室を検知する入室検知センサや、トイレ装置への接近を検知する接近検知センサを用いてもよい。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係るトイレ装置の外観を表す背面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るトイレ装置のケースを省略しケースの内部を表す上面図である。
図4は、
図3にてケースを省略せず矢印A-A方向からみた断面図である。
図5は、
図1の矢印B-B方向からみた断面図である。
図6は、
図5の矢印B1付近を拡大した拡大図である。
図7は、
図3にてケースを省略せず矢印C-C方向からみた断面図である。
図8は、
図3にてケースを省略せず矢印D-D方向からみた断面図である。
【0030】
ケース20は、
図2、4に示すように、側面部21と、側面部21の下端を閉塞する下面部26と、側面部21の上端を閉塞する上面部27と、を有している。側面部21は、左右方向で対面する左側面板22及び右側面板23と、左側面板22と右側面板23との後端側を接続する後側面板24と、を有している。また、下面部26は左側面板22と右側面板23と後側面板24を接続する下側面板25を有している。
図4、6に示すように、下側面板25には、ケース20の内部と外部を連通する第一開口部28と第四開口部32を有している。
図4に示すように、後側面板24には、ケース20の内部と外部を連通する第三開口部29を有している。ここで、第一開口部28は、ケース20外部の空気を吸引可能な開口部であり、ケース20内部の脱臭装置40の第一脱臭経路部41に連通しており、脱臭装置40が便器2の臭気を吸引するためのものである。また、第三開口部29は、吸引した空気をケース20外部へ排気可能な開口部であり、ケース20内部で脱臭装置40の第二脱臭経路部43に連通しており、脱臭装置40が臭気を低減した空気Fを排出させるためのものである。さらに、第四開口部32は、ケース20外部とケース20内部の空気が流通可能な開口部であり、ケース20内部の空気圧を調整するためのものである。
【0031】
第一開口部28は、
図3に示すように、本実施形態では、トイレ装置10の左前側かつ便器2のボウル面の上側に形成されている。なお、第一開口部28は便器2内の空気を吸引可能であれば、必要に応じてトイレ装置10の右側など位置を変更して形成されても良い。
【0032】
第三開口部29は、
図2に示すように、本実施形態では、後側面板24の左側に形成されている。なお、第三開口部29は、必要に応じて左側面板22や右側面板23などに形成されてもよい。
【0033】
第四開口部32は、
図6に示すように、本実施形態では、トイレ装置10の左側に形成され、便器2外部とケース20内部とを連通している。なお、第四開口部32は必要に応じてトイレ装置10の右側や後方の便器2外部に形成されてもよい。
【0034】
第三開口部29には、ルーバ30が複数個設けられている。
図2に示すように、各ルーバ30は、第三開口部29の内部を左右方向に延びる板体からなり、上下方向に所定の間隔を持って形成されている。また、
図4に示すように、各ルーバ30は、ケース20の内部から外部に向けて下方に傾斜している。
【0035】
第三開口部29は、
図2、4に示すように、各ルーバ30により区画されることで形成された複数のルーバ開口29aを有している。本実施形態では、8つのルーバ開口29aを有している。なお、ルーバ開口29aは、8つに限らない。
図4に示すように、脱臭装置40が臭気を低減した空気Fは、各ルーバ30に沿って各ルーバ開口29aから斜め下方に向けて排出される。
【0036】
また、ケース20は、人が清掃時に濡れ雑巾で拭いたり、シャワーなどで水をかけたりする場合がある。このような場合には、水がルーバ開口29aから侵入する可能性がある。しかし、ルーバ30は、ケース20の外部から内部に向けて上り傾斜となっているので、水がケース20の内部に侵入しにくくなっている。
【0037】
脱臭装置40は、
図4に示すように、ケース20の内部に設けられる。脱臭装置40は、便器2内の空気を吸引するための第一吸引開口部33と、吸引した空気を排出するための第二排気開口部34を有し、ケース20の内部に組付ける際に第一吸引開口部33は第一開口部28と連結し、第二排気開口部34は第三開口部29と連結する。この連結においては、例えば第一吸引開口部33は第一開口部28との間、及び、第二排気開口部34は第三開口部29との間にそれぞれパッキンを挟むことで、空気漏れを抑止する。
また、第一吸引開口部33と第一開口部28とを一体に形成してもよく、ケースの下側面板にまで第一吸引開口部が延びるように形成し第一開口部として機能させてもよい。これによって、第一吸引開口部は第一開口部と一体的に、あるいは、第一吸引開口部によって、ケース外部の空気を吸引可能に機能する。
同様に、第二排気開口部34と第三開口部29とを一体に形成してもよく、ケースの後側面板にまで第二排気開口部が延びるように形成し第三開口部として機能させてもよい。これによって、第二排気開口部は第三開口部と一体的に、あるいは、第二排気開口部によって、第一開口部及び第二開口部で吸引した空気をケース外部へ排気可能に機能する。
【0038】
また、脱臭装置40は、吸い込んだ空気を脱臭して第三開口部29から排出する。具体的には脱臭装置40は、便器2内の空気F1とケース20内の空気F2を吸引する。その後、脱臭装置40は、吸引した空気に含まれる大便や尿などの臭気成分を低減させて、脱臭した空気Fをケース20の第三開口部29(ルーバ開口29a)から外部に排出する。同様に、吸引したトイレ装置10内の空気に含まれる湿気もケース20の第三開口部29(ルーバ開口29a)から外部に排出する。そして、脱臭装置40は、第一脱臭経路部41、ファン42と第二脱臭経路部43、脱臭触媒48と、を有している。
【0039】
制御部15は、
図3に示すように、ケース20内部に設けられる。この制御部15は、着座検知センサ13が使用者の着座を検知すると、便座12の便座表面の温度を制御する便座暖房ユニット(図示せず)に便座12の便座表面の温度を上げるように指令を送るなど、ケース20内部に内蔵されている各ユニットに対して動作を指令することができる。
【0040】
ファン42は、
図4に示すように、ケース20の内部に位置し、第一脱臭経路部41の下流側かつ第二脱臭経路部43の上流側に設けられている。このファン42は、便器2内の空気を吸引するための吸引用ファンであり、本実施形態ではシロッコファンとなっている。ファン42は、第一脱臭経路部41の下流側の上面に設けられ、第一脱臭経路部41の下流側の上面に形成された第二吸引開口部52と連通して、下方から上方へと空気を吸引する。また、ファン42は、第二脱臭経路部43の上流端の前面に設けられ、第二脱臭経路部43の上流側の前面に形成された第一排気開口部53と連通して、吸引した空気を後方へ排気する。なお、ファン42は、軸流ファンを用いてもよい。このファン42を駆動させることで、便器2内部の臭気を含んだ空気F1とトイレ装置10内の湿気を含んだ空気F2を第一脱臭経路部41から第二脱臭経路部43へと吸い込む。
【0041】
また、制御部15は、ファン42にあらかじめ指定したタイミングと指定した回転数で駆動するように指令を送ることができる。例えば使用者が便座12を離座してから第一時間は所定回転数で回転し、第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは所定回転数より小さい回転数で回転するようにファン42に指令を送ることができる。第一時間は、例えば、2分間であり、第二時間は、例えば、第一時間よりも長く、30分間である。また、第一時間における所定回転数は、例えば、3700rpmであり、第二時間における所定回転数よりも小さい回転数は、例えば、1900rpmである。制御部15が実行するファン42の駆動制御は、後で詳しく説明する。
【0042】
第一脱臭経路部41、ファン42、第二脱臭経路部43は、第一開口部28と第三開口部29との間を連通している。第一脱臭経路部41は、ファン42が第一開口部28から吸い込んだ空気F1をファン42に向けて流通するダクトとなっている。また、
図3、4に示すように、第一脱臭経路部41の上面には、ケース20内部と第一脱臭経路部41の内部を連通する第二開口部31とリブ50を有している。そのため、第一脱臭経路部41は、第一開口部28のみならず第二開口部31からも空気を吸い込むことができる。第二脱臭経路部43は、ファン42から吐き出される空気を第三開口部29に向けて流通するダクトとなっている。ファン42が吸い込んだ便器2内の臭気成分を含んだ空気F1は、第二脱臭経路部43の途中に設けられた脱臭触媒48により臭気成分が低減され、脱臭された空気Fが第三開口部29から排出される。また、ファン42が吸い込んだトイレ装置10内の湿気を含んだ空気F2も同様に、第三開口部29から排出される。
【0043】
第二開口部31は、
図3、4に示すように、本実施形態では、第一脱臭経路部41の上面に形成されている。なお、第二開口部31は、必要に応じて第一脱臭経路部41の側面に形成されてもよい。第二開口部31の開口面積S1は第一開口部28の開口面積S2よりも小さくなっている。開口面積S1は、開口面積S2に対して1/20程度が好ましく、例えば、開口面積S1は60mm
2(平方ミリメートル)、開口面積S2は1200mm
2(平方ミリメートル)である
【0044】
第四開口部32は、
図6に示すように、ケース20内部とケース20外部の空気が流通できるようになっている。本実施形態では、下側面板25の左側に第四開口部32が形成されている。ケース20内部の空気圧が変動した場合、第四開口部32を通して、ケース20外部の空気F3が流入、もしくはトイレ装置10内部の空気が流出することでケース20内部の空気圧が一定にならないことを抑制する。
【0045】
図5に示すように、ケース20における便器2の内部側にケース20の内部と外部とを連通する隙間44が形成されている。ケース20に隙間44などがある場合、ケース20内部が負圧となると、隙間44などからケース20内へ湿気が流入しやすくなる懸念がある。第四開口部32は、ケース20内部と外部の空気圧差を低減することで、ケース20内への湿気流入を抑えることができる。便器2の内部には封水が形成されるため、特に、便器2の内部側に隙間がある場合、ケース20内部が負圧となると、隙間44などからケース20内へ湿気が流入しやすくなる。
【0046】
フィルタ45は、
図6に示すように、第四開口部32へのはめ込みが可能なサイズかつ第四開口部32を空気が流通できる厚みの面板47と、面板47に設けられ、空気中の塵や埃を捕捉するメッシュ46を有している。このフィルタ45を第四開口部32にはめ込むことで、第四開口部32を流通する空気F3に含まれる塵や埃がケース20内部に入らないように抑止することができる。
【0047】
リブ50は、
図3、7に示すように、ケース20内部の結露しにくい場所(例えば、制御部15などのケース20内部の空気を温めるユニット付近)から第二開口部31へ向けての吸引を妨げる立壁となっている。
【0048】
図9は、ケース内の空気の流れを説明する上面図である。
リブ50は、
図3、7、9に示すように、本実施形態では、第一脱臭経路部41の上面に形成されている。リブ50は、上面視において左右方向の制御部15側と第二開口部31との間に、制御部15の中心と第二開口部31の中心とを結ぶ方向からの第二開口部31への空気の吸引を抑制するように設けられている。
図9に示すように、リブ50は、第二開口部31の右側に設けられている。また、リブ50は、ケース20の上面部27に接触しない高さで突出した平面視L字状で形成されている。これにより、第二開口部31の右側は、リブ50によりファン42との間の開口60が小さくなっている。
【0049】
リブ50は、所定方向からの第二開口部31への空気の吸引を抑制する。所定方向は、例えば局部洗浄用のノズル55の進出口57および隙間44となっている。
図9で矢印に示すように、リブ50は、第二開口部31がケース20内部の空気F2を吸引する際に、ケース20内部の左後側の空気を吸引しやすいようになっている。これにより、リブ50は、例えば便器2内の湿気の多い空気が、局部洗浄用のノズル55の進出口57および隙間44からケース20内に侵入するのを抑制している。なお、リブ50は、トイレ装置10内部であれば第一脱臭経路部41のダクト以外に形成されても良い。また、リブ50は、必要に応じて別の形状、例えば、平面視U字形状などで形成されても良い。
【0050】
リブ50は、ケース20内部の、例えば、結露しにくい場所からの空気の吸引を抑制し、結露しやすい場所からの空気の吸引を結露しにくい場所に比べて優先的に行うように形成される。結露しにくい場所とは、例えば、制御部15、洗浄ユニット(図示せず)であり、動作に伴い発熱するユニット及びそれらユニットが存在する場所である。また、結露しやすい場所とは、例えば、ケース20内の左後方側に設けられ、リモコンからの信号を受信するリモコン受光部51(
図8参照)であり、発熱するユニットが隣接していない場所である。リブ50は、結露しやすい場所の空気の流れを効果的に発生させることができる。これにより、トイレ装置10は、リモコン受光部51などの電子部品に結露が発生するのを抑制できる。
【0051】
図10は、人体検知センサの検知状態と吸引ファンの駆動状態とを示すタイムチャートである。
図10に示すファン42の駆動制御処理は、制御部15により実行される。
【0052】
時刻t0では、着座検知センサ13(人体検知センサ)がON(着座)となる。制御部15は、着座検知センサ13から送信される着座信号を受信すると、ファン42に向けて第一駆動信号を送信する。ファン42は、第一駆動信号を受信すると、回転数N1(例えば、3700rpm)で駆動を開始する。
【0053】
これにより、使用者による大便や尿に基づく臭気成分を脱臭装置40で低減させることができる。また、使用者が便座12に着座することにより、便器2内の湿度が高くなる。トイレ装置10は、使用者が便座12へ着座したときにファン42の駆動を開始することにより、ケース20内の空気を円滑に流通させてケース20内の湿度が高くなるのを抑制できる。
【0054】
時刻t1では、着座検知センサ13(人体検知センサ)がOFF(離座)となる。制御部15は、着座検知センサ13から送信される離座信号を受信すると、第一時間を計測(カウント)する。第一時間は、数秒から数分間(例えば、2分間)となっており、制御部15の記憶部にあらかじめ記憶されている。
【0055】
時刻t1から第一時間が経過した時刻t2では、ファン42を回転数N2(例えば、1900rpm)で駆動させる。即ち、制御部15は、使用者が便座12から離座してから第一時間が経過したときに、ファン42に向けて第二駆動信号を送信する。ファン42は、第二駆動信号を受信すると、回転数を回転数N1から回転数N2に下げる。また、制御部15は、時刻t2から第二時間を計測(カウント)する。第二時間は、第一時間よりも長い時間に設定されており、制御部15の記憶部にあらかじめ記憶されている。第二時間は、数分から数十分間(例えば、30分間)となっている。
【0056】
なお、時刻t1からt2までの時間は、0分から数分となっており、使用者が便座12から離座すると同時に回転数を回転数N1から回転数N2に下げてもよい。すなわち、第一時間は、設定されていなくてもよい。制御部15は、着座検知センサ13(人体検知センサ)が人体を検知したとき(時刻t0)に、ファン42を所定回転数(回転数N1)で回転させる。そして、制御部15は、着座検知センサ13が人体を検知しなくなったとき(時刻t1)に、人体を検知しなくなってから所定時間が経過するまで(時刻t1から時刻t3まで)、所定回転数より小さい回転数N2でファン42を回転させる。所定時間は、例えば30分となっている。
【0057】
これにより、使用者が使用した後に、より高頻度で別の使用者が入れ替わりでトイレ室内に入るような場合でも、ファン42の駆動音による不快感を抑えつつ、ケース20内部の結露を抑制することができる。
【0058】
使用者がトイレ装置10を使用した場合には、排泄物や使用者の体温などにより便器2内の湿度が高くなる。また、使用者の局部に向けて湯を吐出する局部洗浄用のノズル55(
図9参照)は、湿気を帯びているおそれがあるので、このノズル55がケース20内に収納されると、ケース20内の湿度が高くなるおそれがある。
【0059】
そこで、ファン42は、使用者が便座12から離座した後でも駆動を継続させている。使用者が便座12から離座した後の第一時間では、ファン42の回転数を大きくさせて脱臭を効率よく行うことができる。第一時間経過後の第二時間では、ファン42を第一時間での所定回転数(回転数N1)よりも小さい回転数N2で駆動する。
【0060】
これにより、第二時間におけるファン42の駆動音を第一時間におけるファン42の駆動音より小さくすることができる。そのため、第二時間で湿気を吸引している際に、トイレ装置10が設けられるトイレ室内に使用者がいる場合や、使用者が使用した後に入れ替わりでトイレ室内に入った別の使用者がいる場合でも、ファン42の駆動音による不快感を抑えつつ、ケース20内部の結露を抑制することができる。
【0061】
そして、時刻t2から第二時間が経過した時刻t3で、制御部15は、ファン42の駆動を停止させる。これにより、トイレ装置10は、脱臭を効率よく行うことができるとともに、ケース20内の結露を抑制することができる。なお、時刻t2から時刻t3の間(第二時間)で、人体検知センサ(着座検知センサ13)が使用者を検知した場合には、ファン42の回転数N2を回転数N1に変えて、時刻t0からの制御処理となる。
【0062】
本発明の一実施形態に係るトイレ装置10によれば、第二開口部31は第一開口部28よりも開口面積が小さい。そのため、ファン42が駆動した際に第二開口部31から吸引される風量を第一開口部28から吸引される風量よりも小さくすることができる。従って、脱臭装置40に第二開口部31を設けることでケース20内部での湿気による結露を抑止しつつ、第一開口部28における吸引性が低下することを抑制することができる。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係るトイレ装置10によれば、ファン42を、使用者が便座12を離座してから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは所定回転数より小さい回転数で回転させる。これにより、第二時間におけるファン42の駆動音を第一時間におけるファン42の駆動音より小さくすることができる。そのため、第二時間で湿気を吸引している際に、トイレ装置10が設けられるトイレ室内に使用者がいる場合や、使用者が使用した後に入れ替わりでトイレ室内に入った別の使用者がいる場合でも、ファン42の駆動音による不快感を抑えつつ、ケース20内部の結露を抑制することができる。
【0064】
さらに例えば、リモコンなどを使用して、結露対策として駆動しているファン42を停止されると、ケース20内部に結露が発生する可能性が高くなる。ここで、上述した不快感を低減することで、リモコンなどを使用して、上述の駆動しているファン42を停止されてしまう可能性を低減することができる。
【0065】
また、本発明の一実施形態に係るトイレ装置10によれば、ケース20は、さらに、ケース20外部とケース20内部の空気が流通可能な第四開口部32を備える。これにより、ケース20内部の空気が流出しやすく、かつケース20外部の空気が流入しやすくなり、ケース20内部と外部の空気圧差を低減することができる。ケース20にケース20内部と外部とを連通する隙間44があるため、例えば、第二開口部31から空気を吸引することによりケース20内部が負圧となると、隙間44からケース20内へ湿気が流入しやすくなる懸念があるが、ケース20内部と外部の空気圧差を低減することで、ケース20内への湿気流入を抑えることができる。また、第四開口部32は便器2外部とケース20内部とを連通しているため、便器2の内部とケース20内部とを連通する場合に比べ、便器2の内部から第四開口部32を介してのケース20内部への湿気の流入を抑制することができる。
【0066】
また、本発明の一実施形態に係るトイレ装置10によれば、メッシュ46を有するフィルタ45が設けられている。そのため、第二開口部31から空気を吸引することによりケース20内部が負圧になる場合でも、塵や埃が第四開口部32を通過してケース20内部に侵入することを抑えることができる。
【0067】
また、本発明の一実施形態に係るトイレ装置10によれば、脱臭装置40は、所定方向からの第二開口部31への空気の吸引を抑制するリブ50を有する。これにより、リブ50は所定方向から第二開口部31への吸引を抑制し、所定方向以外からの空気を優先的に吸引することができる。ケース20内の結露しにくい場所と第二開口部31とを結ぶ方向からの空気の吸引を抑制することで、ケース20内の結露しやすい場所における湿気を優先的に吸引することが可能となる。従って、ケース20内での結露を抑止するとともに、電子部品をケース内部の結露しにくい場所のみに設置する、電子部品にポッティングを行うなどのケース20内の部品レイアウトにおける制約が生じることを抑止することができる。
【0068】
図11は、変形例に係るトイレ装置の人体検知センサの検知状態と吸引ファンの駆動状態とを示すタイムチャートである。
上述した実施形態では、第一時間と第二時間との2段階でファン42の回転数(出力)を変更させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図11に示す変形例のように、3段階でファン42の駆動を制御させてもよい。
【0069】
具体的には、時刻t0では、着座検知センサ13(人体検知センサ)がON(着座)となる。制御部15は、着座検知センサ13から送信される着座信号を受信すると、ファン42に向けて第一駆動信号を送信する。ファン42は、第一駆動信号を受信すると、回転数N1(例えば、3700rpm)で駆動を開始する。
【0070】
これにより、使用者による大便や尿に基づく臭気成分を脱臭装置40で低減させることができる。また、使用者が便座12に着座することにより、便器2内の湿度が高くなる。トイレ装置10は、使用者が便座12へ着座したときにファン42の駆動を開始することにより、ケース20内の空気を円滑に流通させてケース20内の湿度が高くなるのを抑制できる。
【0071】
時刻t11では、着座検知センサ13(人体検知センサ)がOFF(離座)となる。制御部15は、着座検知センサ13から送信される離座信号を受信すると、第一時間を計測(カウント)する。第一時間は、数秒から数分間(例えば、10秒)となっており、制御部15の記憶部にあらかじめ記憶されている。
【0072】
時刻t11から第一時間が経過した時刻t12では、ファン42を回転数N3(例えば、6300rpm)で駆動させる。回転数N3は、例えばファン42の最大出力値となっている。即ち、制御部15は、使用者が便座12から離座してから第一時間が経過したときに、ファン42に向けて最大駆動信号を送信する。ファン42は、最大駆動信号を受信すると、回転数を回転数N1から回転数N3に上げる。なお、回転数N3は、回転数N1よりも大きければよく、ファン42の最大出力値でなくてもよい。
【0073】
また、制御部15は、時刻t12から第二時間を計測(カウント)する。第二時間は、第一時間よりも長い時間に設定されており、制御部15の記憶部にあらかじめ記憶されている。第二時間は、数十秒から数分間(例えば、60秒)となっている。なお、第二時間は、第一時間よりも、短い時間に設定されていてもよい。
【0074】
第二時間は、例えばトイレ装置10を使用した使用者がトイレ装置10から離れて、次の使用者がトイレ装置10を使用する期間を想定して設定されている。即ち、第二時間は、使用者の入れ替わり期間となっている。トイレ装置10は、トイレ室内に使用者が不在の第二時間でファン42の出力を上げることにより、可能な限り臭気や湿気を吸引させることができる。
【0075】
時刻t12から第二時間が経過した時刻t13では、ファン42を回転数N2(例えば、1900rpm)で駆動させる。即ち、制御部15は、第二時間が経過したときに、ファン42に向けて第二駆動信号を送信する。ファン42は、第二駆動信号を受信すると、回転数を回転数N3から回転数N2に下げる。また、制御部15は、時刻t13から第三時間を計測(カウント)する。第三時間は、第一時間および第二時間よりも長い時間に設定されており、制御部15の記憶部にあらかじめ記憶されている。第三時間は、数分から数十分間(例えば、30分間)となっている。
【0076】
そして、時刻t13から第三時間が経過した時刻t14で、制御部15は、ファン42の駆動を停止させる。これにより、トイレ装置10は、脱臭を効率よく行うことができるとともに、ケース20内の結露を抑制することができる。変形例では、使用者がトイレ装置10の近くに存在するか否かを想定して、ファン42の駆動を制御させている。従って、トイレ装置10は、脱臭性能およびケース20内の電子部品の結露抑制とともに、ファン42の駆動音に基づく騒音を考慮したものとなっている。
【0077】
なお、時刻t12から時刻t14の間(第二時間および第三時間)で、人体検知センサ(着座検知センサ13)が使用者を検知した場合には、ファン42の回転数N3、N2を回転数N1に変えて、時刻t0からの制御処理となる。
【0078】
変形例によるトイレ装置10によれば、第二時間の期間は、第三時間の期間よりも短くなっている。これにより、離座後のトイレ室内に人が不在の第二時間で可能な限り臭気や湿気を吸引することができる。また、ファン42が長期間所定回転数より大きい回転で駆動することを抑制し、駆動音による人への不快感をより抑えることができる。
【0079】
上述した実施形態および変形例では、ファン42の回転数を2段階または3段階で変化させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば4段階以上でファン42の回転数を変化させてもよい。
【0080】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0081】
(構成1)
ケースと、
前記ケース内部に設けられる脱臭装置と、を備えるトイレ装置であって、
前記脱臭装置は、
前記ケース外部の空気を吸引可能な第一開口部と、
前記ケース内部の空気を吸引可能な第二開口部と、
前記第一開口部及び前記第二開口部で吸引した空気を前記ケース外部へ排気可能な第三開口部と、
前記ケース外部及び内部の空気を前記第一開口部及び前記第二開口部から吸引する吸引用ファンと、
前記第一開口部及び前記第二開口部と前記吸引用ファンとを連通する第一脱臭経路部と、
前記吸引用ファンと前記第三開口部とを連通する第二脱臭経路部と、を有し、
前記第二開口部は前記第一開口部よりも開口面積が小さい、
ことを特徴とするトイレ装置。
(構成2)
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする構成1に記載のトイレ装置。
(構成3)
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知している状態から人体を検知していない状態になってから第一時間が経過するまでは所定回転数で回転させ、前記第一時間の経過後から第二時間が経過するまでは前記所定回転数より大きい回転数で回転させ、前記第二時間の経過後から第三時間が経過するまでは前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする構成1に記載のトイレ装置。
(構成4)
前記第二時間の期間は、前記第三時間の期間よりも短いことを特徴とする構成3に記載のトイレ装置。
(構成5)
前記ケースは、
さらに、前記ケース外部と前記ケース内部の空気が流通可能な第四開口部を備えることを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
(構成6)
前記第四開口部に、メッシュを有するフィルタが設けられていることを特徴とする構成5に記載のトイレ装置。
(構成7)
前記脱臭装置は、
さらに、所定方向からの前記第二開口部への空気の吸引を抑制するリブを有することを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載のトイレ装置。
(構成8)
さらに、人体を検知する人体検知センサを備え、
前記吸引用ファンを、
前記人体検知センサが人体を検知したときに所定回転数で回転させ、
前記人体検知センサが人体を検知しなくなったときには、人体を検知しなくなってから所定時間が経過するまで、前記所定回転数より小さい回転数で回転させることを特徴とする構成1に記載のトイレ装置。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の一実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
1 トイレユニット
2 便器
10 トイレ装置
12 便座
13 着座検知センサ(人体検知センサ)
14 便蓋
15 制御部
20 ケース
21 側面部
22 左側面板
23 右側面板
24 後側面板
25 下側面板
26 下面部
27 上面部
28 第一開口部
29 第三開口部
29a ルーバ開口
30 ルーバ
31 第二開口部
32 第四開口部
33 第一吸引開口部
34 第二排気開口部
40 脱臭装置
41 第一脱臭経路部
42 ファン
43 第二脱臭経路部
44 隙間(ケースの隙間)
45 フィルタ
46 メッシュ
47 面板
48 脱臭触媒
50 リブ
51 リモコン受光部
52 第二吸引開口部
53 第一排気開口部
55 ノズル
57 進出口
60 開口